Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

ひとときの茶話

2008/12/10 00:11:38
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※ドロワ祭り参加し損ねてしまいました………orz
※しかし作風は続投させていただきました。
※読んでご機嫌を損ねる方がいたら、申し訳ございません。





















「咲夜」

───はい、なんでしょうか。紅茶のおかわりですか?

「暇なのよ。私の話の相手になりなさい」

───は、はい。

「そうね、咲夜。あなた、自分の名前の由来を考えたことはあるかしら」

───ええ、ありますわ。お嬢様からいただいた名前ですもの。

「あら、あるの。それで、答えは見つかったのかしら?」

───はい。きっと、お嬢様がそういう名前をつけたかったからですわ。

「それを答えとは言わない」

───あら、そうですか?

「それは問題を読み返しているだけよ。部分点もあげられないわ」

───むむぅ

「ちょうどいい機会ね。この場で考えてみなさい。私も暇を殺せるわ」

───そ、そうですねぇ。私とお嬢様が初めて会ったときが、十六夜だったからでは?

「違うわ。あなたと会った夜は、新月の夜よ」

───そうでしたっけ?

「どうして吸血鬼を狩る者たちが、満月から魔力を補給した直後の吸血鬼に会いに来るかしら」

───私はいつでもお嬢様の都合を第一に考えていますわ。

「そうね。あなたは私の一番都合が悪いとき、朔の夜を狙って会いに来てくれたわ」

───そこらの記憶はあいまいでございます。

「だいたい、あなた、どうして私を狩ろうとしていたか覚えているの?」

───さっぱりですわ。

「忘れられるようなちんけな理由で狩られようとしてたのね、私」

───あ、分かりました。きっと剥製を作って、部屋に飾りたかったんですよ。

「愚かな行為ね。剥製なんかにされたところで、痛くも痒くもないわ」

───痒そうですわ。

「むしろ、ハンターを油断させ、寝首をかけるもの。いいこと尽くめじゃない」

───夜に徘徊されるのですか?学校に寄贈したらどんな惨事になることか………

「勝手に人体模型の話とすりかえるな」

───あれ?なんの話でしたっけ?

「あなたの名前の話よ」

───むむぅ

「苦戦しているようね。ヒントをあげるわ」

───どうせなら正解をください。

「いやよ。暇になっちゃうじゃない」

───むぅ

「さあ、ヒントよ。あなたが十六夜なら私は満月、ってところかしら。それも永遠のね」

───私は少し欠けているのですね。

「その解釈はあっているわ。しかし誤りでもある」

───どういう意味です?

「全てを他人に頼るのはよくないわ。もうヒントはあげない」

───むむむむぅ

「ふふ、分かるかしら」

───とりあえず、お嬢様は永遠に満月なのですね。

「ええ、まあ、そうよ。欠けること知らずね」

───そう詠って、後に滅びた一族の話を、この前、パチュリー様から教えていただきましたわ。そのもっと前に、そこのご先祖にも会いましたが。

「滅びたのは後継者がパーだったからよ。私が永遠に生きれば、月は欠けないわ」

───するといつまで経っても十六夜はやってきませんね。

「ええ。間違っても、私が人間になることはないわ。人間に少しの興味を持つ吸血鬼、それでいいの」

───人間はいいものですよ。どうです?

「お断りするわ。方法がないし、第一、月が欠けちゃうじゃない」

───大丈夫です。お嬢様の後継者がパーでなければ月は欠けません。

「そんな不確かなものを求めるつもりもないわ。私は私。私以外の何者でもないし、私以外の何者になるつもりもないわ」

───すると、私が長いときを経て、満月になるのですか?

「哀れ儚き人の世が、十六夜が満月になれるほど長いものかしらねぇ」

───ああ、そういうことですか。

「あら、分かっちゃったの?」

───ご安心ください。私はいつまでも人間として、お嬢様に仕えてまいりたいと思っています。

「分かってるようだけど、本当に分かってるのかしら?」

───難問でしたわ。

「勘違いされたら困るから言っておくけど、あなたが人間だから私は気に入っているの。そこを忘れると、どうなっても知らないわよ」

───承知しております。

「さて、続きだけど、どうする?」

───『咲夜』の部分については、後でパチュリー様に聞いてきますわ。哀れ儚き人の世の短さでは導けない答えかもしれませんし。

「パチェがあなたとの与太話につきあってくれるかしらね」

───大丈夫です。腕によりをかけて聞き出しますから。

「また紅茶に変なのを混ぜるつもり?」

───そんな、滅相もございません。変なのに紅茶を混ぜようとしているだけです。

「余計たちが悪い」

───冗談ですよ。

「あなたの冗談はときに実行性をもつから怖いのよ。それこそ油断していると剥製にされそうね」

───時を止めれば全てが剥製ですわ。

「能力を解除したら動き出すんでしょ?そういうのを剥製とは言わないわ」

───剥製に囲まれても楽しくありませんわ。動いてこそ楽しいのです。

「またそうやって話をずらす。まあ、いいわ。咲夜、紅茶、おかわり。余計なものを混ぜないでね」

───はい、かしこまりました。

「ありがとう、いいひと時だったわ。さあ、他の仕事に取り組んで頂戴」

───では、失礼します。








 
  

 
満月が動かなければ、十六夜にとって満月は“隣り合わせ”であるにも関わらず、“もっとも離れた存在”となる。
あの娘はそれが何を意味するのか、私がそこにどういう気持ちをこめたか、本当に分かっているのかしら。

レミリアはそう想った。まあ、彼女の永遠に比べればほんの一瞬だったが。


 
地球人撲滅組合
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
な、難解だ・・・・・・5回読んでようやく理解できたかどうか。
難解なところがまたお嬢様らしいとか、そんなことを思ったり。
2.名前が無い程度の能力削除
おぉ面白い解釈です。
話自体も会話文中心ながらテンポが良くて読みやすかったです。