マリアリです。若干の百合要素を含みます。
やおいです。ヤマもオチも意味もありません。
短いです。説明不足気味且つ消化不良気味です。
以上の注意を踏まえた上でもよろしければ、どうぞ。
↓
古来より伝わる由緒正しき魔法。
伝えたい想いを呪文(ことば)に変換し、その内容を歪曲させる事なく、ありのままに届けることを目的とした媒介。
それが、手紙。
* * *
霧雨魔理沙様へ
突然の手紙をお赦しください。
私には、どうしても貴女に伝えたいことがあります。普段会った際に直接伝えられればよいのですが、なかなか切り出す切っ掛けを掴めずにいた為、今回こうして手紙を認めさせて頂いた所存です。
率直に申し上げます。
私は貴女のことが好きです。
貴女はきっと「何を言っているんだこいつは」とお思いになることでしょう。
ですが、これが貴女に対する私からの素直な気持ちです。
天邪鬼な性格の私は、貴女の前では偽りの仮面を被り続けてきました。不機嫌そうな表情を取り繕い、貴女を迷惑がり、遠ざけようと。魔法使いとして、魔法使いらしく、孤高の存在である為に。
本当は、遠くから貴女の様子を眺めているとき、貴女が突然尋ねて来たとき、貴女と一緒にいるとき、いつも私は心躍らせていました。
最初は本当に貴女のことが嫌いでした。自分勝手で我侭で傲慢な貴女が大嫌いでした。
けれど貴女との長い付き合いの中で、それが自分の勝手な思い込みであったことに気付かされました。
何事にも縛られる事なく自由奔放に、自分を偽る事無く、何かを諦める事なく前に進む意思を持った、本物の魔法使い。
そして、本当はとても優しい人。
私に何度拒絶されても臆する事無く、何度でも会いに来てくれる貴女がいたからこそ、私は一人ぼっちの寂しさを知ることが出来ました。
貴女がいてくれたからこそ、私は本当の意味での孤独にならずに済んだのです。
どうかこれからもずっと、素直になれない私の、素敵な友人でいて下さい。
from Alice Margatroid.
* * *
親愛なるアリスへ
貴女のことが好きです。
友人として、ではありません。
女同士でありながら、私は貴女に、恋をしてしまったのです。
貴女が普段見せることの無い笑顔を初めて見せてくれたとき、私の胸が暖かい気持ちで満たされるのを感じました。思えばあの時、既に私は貴女に惹かれていたのかもしれません。
それ以来、何度も貴女の家に足を運びました。貴女の迷惑を省みずに申し訳ないと、心の中で謝りながら。
仲が良いとはとても言えず、それどころか普段怒らせてばかりで嫌われていることは分かっていましたが、それでも、ただ、その笑顔を見たい一心でした。
笑ってほしくて、けれど上手くいかなくて、呆れられて。それでもなかなか諦められずに無茶をして、貴女を怒らせました。「心配させないで」と言われたときには、思わず泣きそうになりました。自分勝手な我侭で自分自身気付かない内に貴女に心配をさせていたことに申し訳無さで一杯になって、そして何よりも、私のことを心配してくれた優しさがたまらなく嬉しくて。
貴女の新しい表情や仕草を発見するたびに嬉しくなって、もっと貴女のことが知りたくなって、誰も知らない、私だけが知っているであろう貴女を独り占めしたくなって。
いつからか、貴女の隣で過ごす時間に、掛け替えの無い幸福を感じるようになっていました。
時には貴女を怒らせもしましたが、そんな顔もとても可愛らしく、愛おしい。
胸の中でどんどん膨らんでいくこの感情が恋だと気付くのに、そう時間はかかりませんでした。
これからも私に、貴女の笑顔を見せて下さい。私に、微笑みかけて下さい。
これからも私を、貴女の傍にいさせて下さい。いつまでもずっと、私の傍にいて下さい。
貴女を、愛しています。
霧雨魔理沙より
* * *
「・・・嗚呼、可笑しい」
手紙を読み終えた少女――パチュリー・ノーレッジは、心の底から可笑しそうに笑った。
片や友情、片や愛情。
調和するようで調和することの無い、相反する二つの感情。
一度交じわろうものなら、きっと壊れてしまう関係。
それでも、きっと再び結び付くであろう絆。
一頻り笑い終えたパチュリーは、“元通りに”、二通の手紙を丸めて屑篭に投げ捨てた。
「折角組み上げた魔術式をどうして破棄したのかしら。本当は伝えたくてたまらないくせに。誰かに見付かるかもしれないのにわざわざこんな所で手紙を書いたのも、それをそのまま此処に捨てたのも、偶然にでもこうして誰かに見付かるのを期待しているからでしょうに。・・・けれど――」
それでは伝わらない。伝わる筈が無い。
伝える事無く破棄した時点で、伝えようとする意思を自ら否定した時点で、手紙に込められた魔法は失われてしまったのだから。
それはもう、存在する必要の無い矛盾。死して尚意味も無く残り続ける、亡霊だ。
「――届けない限り、想いは決して伝わらない」
パチュリーが短く呪文を唱えた次の瞬間、屑篭から火が上がり、亡霊は灰となった。
やおいです。ヤマもオチも意味もありません。
短いです。説明不足気味且つ消化不良気味です。
以上の注意を踏まえた上でもよろしければ、どうぞ。
↓
古来より伝わる由緒正しき魔法。
伝えたい想いを呪文(ことば)に変換し、その内容を歪曲させる事なく、ありのままに届けることを目的とした媒介。
それが、手紙。
* * *
霧雨魔理沙様へ
突然の手紙をお赦しください。
私には、どうしても貴女に伝えたいことがあります。普段会った際に直接伝えられればよいのですが、なかなか切り出す切っ掛けを掴めずにいた為、今回こうして手紙を認めさせて頂いた所存です。
率直に申し上げます。
私は貴女のことが好きです。
貴女はきっと「何を言っているんだこいつは」とお思いになることでしょう。
ですが、これが貴女に対する私からの素直な気持ちです。
天邪鬼な性格の私は、貴女の前では偽りの仮面を被り続けてきました。不機嫌そうな表情を取り繕い、貴女を迷惑がり、遠ざけようと。魔法使いとして、魔法使いらしく、孤高の存在である為に。
本当は、遠くから貴女の様子を眺めているとき、貴女が突然尋ねて来たとき、貴女と一緒にいるとき、いつも私は心躍らせていました。
最初は本当に貴女のことが嫌いでした。自分勝手で我侭で傲慢な貴女が大嫌いでした。
けれど貴女との長い付き合いの中で、それが自分の勝手な思い込みであったことに気付かされました。
何事にも縛られる事なく自由奔放に、自分を偽る事無く、何かを諦める事なく前に進む意思を持った、本物の魔法使い。
そして、本当はとても優しい人。
私に何度拒絶されても臆する事無く、何度でも会いに来てくれる貴女がいたからこそ、私は一人ぼっちの寂しさを知ることが出来ました。
貴女がいてくれたからこそ、私は本当の意味での孤独にならずに済んだのです。
どうかこれからもずっと、素直になれない私の、素敵な友人でいて下さい。
from Alice Margatroid.
* * *
親愛なるアリスへ
貴女のことが好きです。
友人として、ではありません。
女同士でありながら、私は貴女に、恋をしてしまったのです。
貴女が普段見せることの無い笑顔を初めて見せてくれたとき、私の胸が暖かい気持ちで満たされるのを感じました。思えばあの時、既に私は貴女に惹かれていたのかもしれません。
それ以来、何度も貴女の家に足を運びました。貴女の迷惑を省みずに申し訳ないと、心の中で謝りながら。
仲が良いとはとても言えず、それどころか普段怒らせてばかりで嫌われていることは分かっていましたが、それでも、ただ、その笑顔を見たい一心でした。
笑ってほしくて、けれど上手くいかなくて、呆れられて。それでもなかなか諦められずに無茶をして、貴女を怒らせました。「心配させないで」と言われたときには、思わず泣きそうになりました。自分勝手な我侭で自分自身気付かない内に貴女に心配をさせていたことに申し訳無さで一杯になって、そして何よりも、私のことを心配してくれた優しさがたまらなく嬉しくて。
貴女の新しい表情や仕草を発見するたびに嬉しくなって、もっと貴女のことが知りたくなって、誰も知らない、私だけが知っているであろう貴女を独り占めしたくなって。
いつからか、貴女の隣で過ごす時間に、掛け替えの無い幸福を感じるようになっていました。
時には貴女を怒らせもしましたが、そんな顔もとても可愛らしく、愛おしい。
胸の中でどんどん膨らんでいくこの感情が恋だと気付くのに、そう時間はかかりませんでした。
これからも私に、貴女の笑顔を見せて下さい。私に、微笑みかけて下さい。
これからも私を、貴女の傍にいさせて下さい。いつまでもずっと、私の傍にいて下さい。
貴女を、愛しています。
霧雨魔理沙より
* * *
「・・・嗚呼、可笑しい」
手紙を読み終えた少女――パチュリー・ノーレッジは、心の底から可笑しそうに笑った。
片や友情、片や愛情。
調和するようで調和することの無い、相反する二つの感情。
一度交じわろうものなら、きっと壊れてしまう関係。
それでも、きっと再び結び付くであろう絆。
一頻り笑い終えたパチュリーは、“元通りに”、二通の手紙を丸めて屑篭に投げ捨てた。
「折角組み上げた魔術式をどうして破棄したのかしら。本当は伝えたくてたまらないくせに。誰かに見付かるかもしれないのにわざわざこんな所で手紙を書いたのも、それをそのまま此処に捨てたのも、偶然にでもこうして誰かに見付かるのを期待しているからでしょうに。・・・けれど――」
それでは伝わらない。伝わる筈が無い。
伝える事無く破棄した時点で、伝えようとする意思を自ら否定した時点で、手紙に込められた魔法は失われてしまったのだから。
それはもう、存在する必要の無い矛盾。死して尚意味も無く残り続ける、亡霊だ。
「――届けない限り、想いは決して伝わらない」
パチュリーが短く呪文を唱えた次の瞬間、屑篭から火が上がり、亡霊は灰となった。
この切なさが心にきました。
あなたのペンネームが純砂糖な意味がよく分かりました。
つまり甘いなあ甘いなあってことですよ!ニヤニヤ!