Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

門番隊最後の日(おまけ追記)

2008/10/22 14:46:31
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「紅魔館ももうすぐで攻略できるぜ」
「そうね、魔理沙…」
「そうはいかせません!」

 紅魔館の門の前に現われた魔理沙と霊夢の前に
 先ほどの戦闘でボロボロになった美鈴が姿を現せる
「無駄だぜ、もうお前が戦えないのは良くわかっている」
「魔理沙の言うとおりよ、背水の陣を張った貴方では私達を止めれないわ!」
 
 一人でも強敵な相手を二人も相手にして生き残れるはずが無い
(…咲夜さん、パチュリー様…後を任せました!)
 美鈴が覚悟を決めると最後の切り札を使う覚悟をきめる
「ふん!(ずしゅっ!)」
「なっ!?」
「じ、自分の胸に手を突き刺した!?」

 霊夢と魔理沙が驚くのをよそに、美鈴の手が何かをつかみ出す
 そして、それを霊夢と魔理沙の前に突き出した
「こ、これは!?」
「そ、そんな馬鹿な!?私達の弱点!?」

 美鈴は流血しながらつかみ出したものから出る光を魔理沙と霊夢に浴びせる
「受け取れ!これが貴方達が恐れている!ゲッター線だ~!」





 なんて話ではありません、あしからず

























 今日も今日とて、霧雨魔理沙は紅魔館にやってきていた
 目的はもちろん、図書館にある本を手に入れるため
 そのためには紅魔館の門を突破しなければならないが
 そんなものこの白黒の魔法使いにとっては
 あまり意味が無いものであった

「…ん?誰も出てこないな…」

 だが、今日は様子が違った
 いつも紅魔館の門の近くにきた自分を止めに来るはずの
 門番隊達がやってこないのだ

(まあ、めんどくさくなくていいけどな)

 気を取り直して魔理沙が門の前まで向かう
 いつもなら、門の前に来れば門番である紅美鈴が
 魔理沙の前に立ちふさがるのだが
 今日は立ちふさがらなかった
 門の前で寝そべっていたのだ
 眠っているのなら、見た事はあるが
 自分の姿を見て一切動かないという事は始めてだった
 不思議に思った魔理沙が、寝そべっている美鈴の隣に降りる

「…なあ、何してるんだ?」
 魔理沙が眠っている美鈴に声をかけると
 美鈴は魔理沙の方を少しだけ目で見るてから、再び上を向いた
「寝そべっているだけですよ…どうぞ?気にしないで早く奥に向かってください」

 そう言ってから、魔理沙の事を無視して再び仰向けになる 

「おいおい、敵が目の前にいるんだぜ?止めないのか?」
 
 何時もと違う様子に、魔理沙が美鈴の隣に座り込む
 寝そべったままで、美鈴が魔理沙に答える

「はあ…魔理沙さんと戦うだけ、無駄ですから」
「いや、確かに私の方が強いと思うけど、このままじゃナイフが飛んでくるぜ?」

 思えば、すでにナイフが飛んできてもおかしくない状況である
 魔理沙を止めずに、中にどうぞ?なんていえば職務放棄もいいところだ

「戦った方が被害が大きくなりますからね…」
「あ~」 

 魔理沙との戦いによって、何度も門が壊された
 それによる被害が出るよりは、放って置いた方が楽であるのは事実だ
 魔理沙が頷くのを美鈴は気配で感じると
 めんどくさそうに魔理沙に伝えた

「ですから、もう門を守る努力止めました」
「お、おいおい!?」

 流石の魔理沙もその言葉に驚きを隠せなかった
 紅美鈴という妖怪はそれこそ、門の前に常に立ち
 そして、門を守ることに力を注いできたという事は魔理沙も良くわかっていたし
 紅魔館の住民も良く話していたからだ

「…努力なんてしても無駄ですよ無駄…良い事なんてありませんよ~」

 その言葉を聞いた瞬間

「バカ女郎~!」
 
 魔理沙は美鈴に全力で怒り出した
 あまりの剣幕に、美鈴が思わず上半身を起した

「努力をして無駄なんて言うんじゃないぜ!そんな事を言えば!
 お前と戦ってきた対戦相手も侮辱する事になるんだぜ!?」


 美鈴が怒った魔理沙を見つめる
 魔理沙は帽子を深くかぶりながら話を続けた

「…お前と戦いをするのも楽しかったんだぜ…」
「……」

 魔理沙は楽しかったのだ、自分が来るたびに
 真剣に勝負を仕掛けてくる美鈴との戦いが
 
「それに…真剣に努力している奴が居るって聞いて…嬉しかった」

 そして、幻想郷で努力をしている者がどれだけいるか
 人間である魔理沙はともかく
 妖怪達は、年を取ればそれだけで強くなる
 故に、毎日真面目に努力をしている者はこの幻想郷に、殆んど居ない
 美鈴が門を守るために、弾幕の練習や
 クンフーを積んでいると言う話を紅魔館の中で聞いた魔理沙は
 自分と同じ奴が居ると思って心底喜んだのだ

「…頼むぜ…努力が無駄とか絶対に言わないでくれ…」

 美鈴が努力を否定するという事は
 魔理沙自身も否定されてしまうようで嫌だったのだ 
 
「すいません…ちょっと自暴自棄すぎましたね」
「…分かってくれればそれでいいぜ」
  
 魔理沙がホッとした表情でそう告げる
 だが、美鈴は悲しそうな表情で話を続けた

「でも、もう魔理沙さんと戦う事も少なくなると思いますよ?」
「な、なんでだよ!?努力を続けるって事は…」
「紅魔館門番隊がなくなるからですよ」

 魔理沙が何かを言おうとするよりも先に美鈴が理由を告げた
 その言葉に魔理沙の口が止まる

「…門番隊は元々、外の世界でお嬢様を狙ってくる
 危険な敵を相手にするために作られました…」

 その頃は、ヴァンパイヤハンターと呼ばれる人物が
 大量に居たため、ほぼ毎日美鈴が門の前で敵と戦ってきた

「そして、紅魔館が幻想郷にやってきた時は
 妖怪達が領地を奪う為にかかってきました」

 幻想郷に来てから、レミリアが妖怪達に戦いを仕掛けた事もあり
 妖怪達が大群を持って紅魔館に攻め入って来る事があった

「ですが、今の幻想郷でそんな争いはありません」

 だが、博麗の巫女が制定した『スペルカードルール』によって
 戦いは、一種の遊びとなり、安全面でも考慮されたものになった
 能力差がある、妖怪と人間でも戦う事が出来る幻想郷
 最早『戦い=生きるか死ぬか』ではなくなったのだ
 
「…ですから、遅かれ早かれ戦闘集団である門番隊は…消える運命にあったんですよ」
「だ、だからって、お前達が無くなるって事は…」

 魔理沙が必死に口論しようとするが
 美鈴は口元をにやけさせると魔理沙に優しく告げた

「大丈夫です…部署の名前が変わるだけで、これからは
 紅魔館の門も開かれますから門の前に立つ事は少なくなりますけど…」
 
 美鈴が両足を振り下ろし、反動で立ち上がる
「門番隊の魂は絶対に無くなりませんから」
「…そうか」
 
 美鈴の顔を見て、魔理沙も立ち上がる
「…もしかして、門番隊がいないのは…」
「はい、皆、明日からの業務の為に身辺整理をしているところです」
 その言葉を聞いて、魔理沙は箒にまたがる 

「…じゃあな!今日はこれで帰るぜ!」
「パチュリー様にあっていかれないんですか?」
「今日はこのまま帰ってやるぜ…門の前で退却だ」

 それが魔理沙なりの門番隊への手向けだったのだろう
 
「今度来る時は、お茶でもプレゼントしますね」
「…ああ、パチュリーから本を借りて、この門の前で読ませてもらうぜ!」
「あはは…その時はパチュリー様も外に引きずり出して上げてくださいね」
「そうするぜ、じゃあまたな」

 魔理沙が箒に乗って紅魔館の門の前から帰っていく  
(…あばよ、門番隊…これが最後の手向けだぜ…)
 そして、最後に魔理沙が門にみえるようにして
 真上に八卦炉を構えると

「マスター!スパーーークーーー!」
 本日初めで、門番隊の最後となるマスタースパークを放った








 その日の夕方…紅魔館の偉大な門番隊は
 長年の歴史に幕を下ろすことになった
 どうも、脇役です
 魔理沙と美鈴は幻想郷でも珍しい
 努力の人の一員だと思います
 だから、二人は戦うのだと思います
『セラギネラ9』とても綺麗です






 次の日…

「…なあ、これはなんだ?」
 次の日、魔理沙が門の前に来ると
 そこには元門番長の美鈴がチャイナ服にエプロンを着て
 忙しそうに動き回っていた
「あ、魔理沙さん?新しく紅魔館の門の傍に作られたカフェ
『上海紅茶館』が開店したんでどうぞ、ゆっくりしていってください」
「なんだよそれは!返せ!私の昨日の怒りを返せ!」
「魔理沙さん、お茶はいりましたよ~」
(かちゃ…)
「…(ずずっ~)…うまい」
「肉まん置いておきますから、のんびりしていってくださいね」

 肉まんを齧りながら周りを見ると

 エプロンをつけて、従事者にお茶を持ってきた屋敷の主とか

 瀟洒に鼻から血を出してそれを受け取る従事者とか

 元門番長に背中から抱きつく悪魔の妹とか

 日光浴しながら本を読む魔女の姿が見受けられた

(なんだ…結局、あいつがやっているのは何時もと同じ事じゃないか)
 
 結局、門番隊は屋敷に居る人を守っている事には変わりなかった
 それが『命』を守る事から『笑顔』を守る事に変わっただけの話だったのだ
脇役
コメント



1.回転魔削除
脇役さんの美鈴はいつも暖かいですな(^-^)
2.名前が無い程度の能力削除
女郎ってことは、泡姫様か。素晴らしい。
3.名前が無い程度の能力削除
タイトルで某ゲッターロボを連想した俺はちょっとサンドバッグに詰められてきます
4.名前が無い程度の能力削除
あなたは、スバラシイ
5.聖ソル削除
ゲッターロボと思い込んだ奴

気にするな、俺もそう思ったから
6.名前が無い程度の能力削除
魔理沙の説教強盗っぷりのうざさが物凄いですね。
ここまでうざい魔理沙も中々居ないです。
うざ魔理沙と無気力めーりん。良いものを見させていただきました。
7.欠片の屑削除
美鈴への愛が溢れんばかりですね。
>「バカ女郎~!」
噴きましたw
8.名前が無い程度の能力削除
シリアスかとおもったらそうでもないというww
9.名前が無い程度の能力削除
う~ん
>最早『戦い=生きるか死ぬか』ではなくなったのだ
それは一部の者にとってであって、そうでもない者たちも多いのよね

とか言うと無粋だなw
10.名前が無い程度の能力削除
ゲッターロボかと(ry
いやぁこれはいい美鈴
11.名前を表示しない程度の能力削除
なんだろう、急にみすちー肌に……。

>『命』を守る事から『笑顔』を守る事に変わっただけ
その笑顔を守ることが実に美鈴らしいと思いました。
12.名前ガの兎削除
インベーダー
もとい月星人が紅魔館に攻め込んでくる話かと
いやしかしよかた
13.シリアス大好き削除
こいつは一本取られた!
流石は熟練の兵のなせる華麗な技ですな、この次も期待してます。
14.名前が無い程度の能力削除
これで美鈴は特命門番に従事できるってわけですね!色んな意味で!
15.名前が無い程度の能力削除
魔理沙氏ね
16.時空や空間を翔る程度の能力削除
笑顔を守る、
そして笑顔を生み出すのですね、わかります。
17.名前が無い程度の能力削除
ギャグかと思ったらシリアスかと思ったらギャグだった。