Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

プロジェクトκ(河城にとりの真相)

2008/07/16 22:52:15
最終更新
サイズ
4.58KB
ページ数
1

注:「河城にとりの窮屈」の続きです。読んでいない場合、おまけだけでも読んでからどうぞ。



















プロジェクトκ(カッパ)

~もうちょいマシなネーミングは無かったのか~




前回のあらすじ


人間好きなのに極度の恥ずかしがり屋であるにとり。

そんな彼女に、「人間の里で行われるお祭りに参加せよ」と言う非情な通告。

しかし逆境にめげずにステルス迷彩を完成させた彼女は、個人的向上心と共に人間の里への潜入行動『きゅーかんばーいーたー』を開始した!



……らしい?

(以上、文々。新聞のボツ原稿より抜粋)





「だから、きゅうりが歩いてたんだって!」
そう主張する妹紅に対して、慧音は冷静だった。
「妹紅、私はお前を疑っているわけじゃない。だが、いくらなんでもきゅうりが歩く筈が無いだろう。きっと何か緑色の物を見間違えただけなんだ。」
妹紅も落ち着くように、と両肩に手を置きながら、正面から目を見て言い聞かせる慧音。
「そうよ妹紅。私も数多くの薬を見たけれど、どんな毒薬も農薬も、きゅうりを歩かせるなんてものは聞いたことが無いわ。」
その隣で、お茶を飲む手を休めて妹紅に向き直り、真剣に何かを考えている永琳。
「まったくだわ妹紅。あなたは燃やしてばっかりだから知らないんでしょうけど、緑色の植物は風に吹かれても歩かないものでしょうが。」
そのまた隣で、うっかり袖に零したらしいお茶を拭きながら意見する輝夜。


「なんでお前達がここに居るんだよ!」
「おじゃましてます。」
「遅い!それ以前に違う!」

主題そっちのけでぎゃいぎゃいと口論を始める妹紅と輝夜。

「輝夜の世話って、大変そうだな。」
「別に大変じゃないわ。ただ、最近は来客不足なだけよ。」

ふう、と一息つきながら、二人してのんびりお茶を楽しむ慧音と永琳。



毛玉に説教されて以来、妹紅は輝夜との殺し合いを止めてしまった。
相手が閻魔で無く毛玉である辺りに違和感を感じた慧音だったが、しかし殺し合いを止めたと言うのであれば無闇に詮索する必要も無いだろうと判断し、そのまま現在に至っている。
妹紅本人にしても、輝夜の殺し方を考えなくなった分、他の事が出来て意外と有意義だと感じていた。

輝夜に関して言えば、妹紅との殺し合いは暇つぶしの延長線上に存在するイベントだったし、憎しみが友情に変化する様は間近で見て割と面白そうだったので、なし崩し的に妹紅と友達になっただけである。
慧音にとっては想定の範囲内であり、流石に殺されなくなった当日から寺子屋に押しかけて来た時だけは驚いたが、それ以降はやたらと妹紅にべたべたしているだけの新しい友人だ。

予想外なのは永琳である。
輝夜が心配で付いて来た、と言うなら理解できる。
どうしても妹紅の所に行くから付いて来なさい、と言われたなら納得だ。
だが、その両方のどちらでも無かった。
そして、そのどちらでも無いと言うだけしか分からないまま、今でも慧音は永琳に強く問い詰める事も出来ず、他の誰もが彼女を追い出そうとしない。それだけが、確かな事だった。



「そもそも最初からおかしすぎるのよ!大体きゅうりなんて野菜でしょ、野菜が歩くってどう言う理屈なのよ、はっきりしてよ慧音!」
お化けの話が嫌いな子供の様に、手で耳を塞ぎながら大声を上げる輝夜。
「私に聞くなって言うか私だって聞きたいぐらいだ!きゅうりを歩かせる薬は無くても他の植物用なら有るとか言うなよ永琳!」
がりがりと頭を掻きながら、負けない位の大声で答える妹紅。

最近は日常的になった唐突な呼び出しに、二人は湯呑みを空にしてから答えた。


『実物を見ないことには何とも言えないから、早くその現場に行くまで。』

完璧に揃った言葉の後。
「と言う訳で、確認ついでに散歩にでも行こうか。」
「あら、それならお弁当を用意してあるわよ、四人分。」
口にしている内容こそ違えど、実に息の合った慧音と永琳を見て。


特に疑問を覚えずにいそいそと準備を始める妹紅と輝夜であった。





現場には、きゅうりがいっぱいあった。

周囲が草地である事を考えれば、見事に風景に溶け込んでいるように思える。
そしてそのきゅうりは、人間の里でも採れそうな、美味しそうな普通の大きさのきゅうりだった。


しかし。
そのきゅうりは、鋭利な刃物で茎を切った痕跡が有った。
と言うか、実際に切られた茎の断面が見えた。
そのきゅうりは、人間の里の物では無かった。
それ以前に、きゅうりと言うものは通常冬に採れるものでは無い。

そして何より、そのきゅうりは異様だった。



何にも支えられていないのに、そのきゅうりは全て直立していた。





数分後、ポケットの中にきゅうりを忍ばせ、顔を真っ赤にしたまま動けなくなったにとりがその場に現れた。
光学迷彩スーツは、電池切れを起こしていた。







「閻魔様。最近の師匠、怪しげな行動が増えてると思うんです。患者さんの前だと今までみたいにシャキッとしてるんですけど、診察が終わった時とか姫様と一緒に居る時とか、そうじゃなくても唐突にすごくいい笑顔になる事が有って……いえ、別に師匠が何か企んでるとかじゃなくってですね、そう言う悪意の有る波長は感じませんし。でも私たちの知らないところで、何か変な楽しみに目覚めていないかと心配で心配で……。」
「心配せずに兎達の面倒をみてあげる事、それがあなたに出来る善行です。」



永遠亭の頭脳こと八意永琳、最近の熱意は姫様の情操教育だった!

……そーなのかー?
(文々。新聞の揉み消し原稿より抜粋)
流石ににとりと言っても、きゅうりの格好で匍匐前進したりはしません。
しませんとも。
……まさか、ねえ。

追記(080719):
どうも毎回『タイトルは何かのパロディ』にしている所為で、続き方が分からないなんて事態が有ったら嫌だなあと言う思いでタイトルに追加。
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
本当にキューカンバーイーター作戦始めちゃった!?
2.名前が無い程度の能力削除
良いタイトルと思いますよ、プロジェクトκ。
やっぱりにとりんは可愛いなぁ。
3.名前が無い程度の能力削除
いいネーミングだ
4.名前が無い程度の能力削除
いいネーミングだな。

プロジェクトк。

読めなかったけど。
5.名前が無い程度の能力削除
プロジェクトXはいい作品だったなぁ
なんでDVDださないんだろ・・・買うんだがなぁ

にとりのきゅうり装甲は完璧ですね!きゅうりの力で刀を防ぎ銃弾を弾くわけですね!
6.名前が無い程度の能力削除
電池で動いてたのか。自家発電システムもつけたら…重いな。