Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

彼女が愛される理由、もしくは寝たら死ぬ

2007/11/26 07:32:04
最終更新
サイズ
3.67KB
ページ数
1
「このことばの意味を教えなさい!」
 そんなことを叫びながらこの店―――香霖堂に飛び込んできたのは一人の
(一匹の?)氷精だった。名前は、チルノだっただろうか。
 この店の店主である僕としては、居るだけで周りの温度を下げていく種族
である氷精というのは客商売の邪魔にはなれど足しにはならないのでお引取
り願いたい、そう言いかけて気がついた。
 どうせ客なんか来ないじゃないか(客≠代金を払わずに商品を持っていく)
 むしろそういった客ではない客を追い払うのには役に立つ。
「ちょっと聞いてるの~?」
 そんな損得勘定に思考を働かせていたためか、ついチルノに接近を許してし
まった。その手に握られているのは、なにやら文字が書かれた紙。
「・・・・・・」
 特に興味も沸かないので、読んでいた『図書館~小悪魔と私と時々黒白』
なる自費出版の小説に目を戻す。なかなかに面白い。
「ちょっと~ねぇ~」
 何やら腕を振り回しながら目の前の少女が声を出すが、徹底的に無視。本
の内容の方が面白い。
 突然本を目当てに飛び込んできた「黒白」相手にどたばたする図書館の日
常を描いた小説らしいが、現在はその「黒白」と「私」が何故か紅茶を飲ん
でいるシーンだ。
 ページをめくる。
 ぺらっ
 どうやらその紅茶に「小悪魔」が何かを入れようとしているらしい。
 ページをめくる。
 べりっ
 「小悪魔」が持ってきた紅茶を警戒もせずに口にしようとする「黒白」
 ページをめく・・・
 べりべりべりっ
「む?」
 ページとページがくっついてしまって―――は!
 慌てて顔を上げてみると、未だに暴れている少女の腕や羽から何やら霧が
出てきている。どうやら無意識のうちに空気中の水分を凍らせて・・・
 さらに慌てて辺りを見回して、僕は溜め息をついた。
 『ヒバチ』なる重くて黒い物体や『クロデンワ』というよく分からない物
体にまで、霜が張り始めている。
「ああ、分かった分かった降参だ。何を教えて欲しいんだい?」
 さすがにこのまま目の前の少女を放置していては凍死にまで追い込まれか
ねない。素直に降参することにした。
「このことばの意味を教えて!」
 そういって彼女が見せたのは、白い紙に『マルキュー』と書かれた文字。

 涙が出てきた(そして凍った)

 “チルノ”というこの少女が知りたがっているのは、自分の呼び名の由
来。そう、この少女が「馬鹿」と呼ばれる由縁。
 その由縁をほかならぬこの少女が知りたがるとは、なんという皮肉か。
 これこそが、“彼女が馬鹿である理由”なのだろう。
「ねぇねぇ、あんたなら知ってるんでしょ?」
 僕の様子にも気づかず、無邪気に少女はそう問いかける。
 ふと、僕は悩んでしまった。
 ここで正直に本当のことを教えるのも一興ではある、だが目の前で無邪気
な笑顔を見せるこの少女に、果たして本当のことを教えてやっても良いのだ
ろうか。
 それとも、幻想を見せてやった方が良いのだろうか。
「どうしたの?」
 黙りこくったままの僕に、訝しげな顔をする少女。
 僕の腹は決まった。
「マルキュー、つまりこれは『丸』と『九』なんだよ。これは別の言い方を
すると『ないんぼーる』なんだ。そして『ないんぼーる』というのは、昔あ
る世界で伝説と呼ばれた弾幕使いの呼称、つまり!
 『マルキュー』とは『最強の証』なんだよ!」
「な、なんだtt・・・じゃなくて、それほんと?」
「ああ、本当だよ」
 僕はいつもの表情で、嘘をつく。ああそうだ、これは小さな氷精を傷つけ
ないための小さな嘘。
「むむ・・・・・・」
 そんな僕の想いとは裏腹に、彼女は何やらうめいている。
 もしかすると、嘘がばれてしまったのだろうか。
「なぁんだ・・・」
 そう言って彼女は、小さなガッツポーズを作る。え?、と思う暇もなく、
「やっぱりあたいったら最強ね!」
 そう叫び、開け放たれたままの扉から外へと飛び出していった。
 その顔に満面の笑顔を浮かばせたまま。
「・・・・・・ふぅ」
 彼女が去り、店内の気温が少しずつ戻っていく。
 手に持った小説のページが元に戻るまで、少しの時間がありそうだ。
 そこでふと、彼女の笑顔を思い浮かべる。
「彼女は只の馬鹿じゃない、か」
 それは誰が言った言葉だっただろうか。
 確かに、彼女は只の馬鹿ではない、“愛される馬鹿”なのだろう。
 なんだかんだで彼女との弾幕ごっこに付き合う少女達を思い浮かべながら、
「いつになったら寒くなくなるのかな・・・」
 僕は凍死寸前で椅子に座っていた。
お初にお目にかかります、RYOです。
SSは滅多に書かないのですが、ここを訪問するうち出来心がわきまして。
というわけで、個人的思考に基づくSSです。
チルノは愛される馬鹿だと思います。愛されない馬鹿ほど悲惨なものはありません。
ありきたりなSSだとは思いますが・・・
 
ACもある意味弾幕ですよね?
 
12月10日:URL・メールアドレス追加
RYO
[email protected]
http://book.geocities.jp/kanadesimono/ryoseisakuzyo-iriguti.html
コメント



1.文月削除
デデデデストローイッナーインボーッ!
チルノ可愛いよチルノ( *´Д`)
そしてパチェさん何書いてんのw
一番弾幕っぽいのはPPのファンタズマか4のフェルミ×3かね
2.名無し妖怪削除
夏場だったら客寄せになるんだけどなあ
『図書館~小悪魔と私と時々黒白』の通気があああああ
3.名無し妖怪削除
すみません。ミスって送っちゃいました
>通気があああああ
続きが気になるなああああ
4.名無し妖怪削除
タイトルにふいた