Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

河童ですがマルキューと同じ部屋に閉じ込められました(((((´д`;))))サムイ  その2

2007/11/25 09:48:52
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多分、これは「河童ですがマルキューと同じ部屋に閉じ込められました(((((´д`;))))サムイ」の続編です(自信ない)。





#3

サイキョー様(推定少女)がパーフェクトフリーズで部屋の六割を凍らせて早数時間。
私は凍り付いてしまった部屋を唖然として見渡し、ため息を吐いた。
これはどうやら最低でも今日一日はこのバカとこの部屋に寝泊りするしかないようだ。
幻想郷の中でも現代っ子を気取る河童の私としてはこれはちょっと耐えられない。

サイキョー様(暫定⑨)はさっきから氷で作ったマイクらしきものを持って歌を歌っている。
おてんば恋娘。
恋のこの字すら知らなさそうなちびっ子が良くもこんな歌を歌うもんだ。
どうやら壁を凍らせるのは飽きたらしい。
それは⑨が壁を凍らせようとするたびに居住エリアを削られる私として非常にありがたい。
だが、それも私がさきほど難民救助した蛙を見つけるまでのことだろう。

で、さっき助けた蛙はどこに行ったんだろう。
そう思って部屋を探してみるとまた凍ってた。
世話のかかるヤツだとは思ったがまた流しに運んでお湯で氷を溶かして置いた。

もう二度と凍るなよ。

とにかくだ、この部屋の現状をまとめなければいけない。
頭の中でずっと⑨という形容詞が定着したヤツがブレーンとして機能しない以上、
後は私がどうにかするに他はないな。

部屋の四方にある壁を見渡してみたが、
何の変哲も無いホワイトカラーの壁紙が張られた壁としか形容しようがない。

自分のリュックの中からトンカチを取り出して叩いてみる。
見た目はただの部屋の壁なのに響いてくるのは金属音。
リュックの中にサーモスコープが目に付いたのでなんとなく装着。
本当に何でも入っているな、このリュック。そして本当に何でも入れているな、私。
我ながら節操が無いと反省はしよう。だが、後悔はしない。

サーモスコープであたりを見回してみる。

所々在り得ない位に温度が下がっている部分があるが、いわずもがなそれはヤツが凍らせた壁の部分。

何も無い。そう、壁の向こうには何も無い。
もしくは私の携帯しているサーモスコ-プの熱源感知を遮断できるほど分厚い壁なのか。
とにかくサーモスコープを取り外して部屋を壁伝いに歩いてみる。

この恐怖だとか不安だとか心因的にマイナスに傾きそうなこの状況に、ヤツは楽しそうに踊ってる。
本当にサイキョー様は何も考えていないらしい。
正直そのおつむが羨ましいとすら思えてきた私は疲れているに違いない。
とにかく一旦思考を停止して部屋を歩いて巡るに任せた。

そして凍っている部分の壁を視ていたが、ほどなくしてその部分に私の目を引くモノを発見する。
どう考えても手を引っ掛ける場所にしか見えないそれは取っ手だった。

このバカ。よりにもよって……
ヤツの軽率さにムカっときて振り返る。
サイキョー様こと⑨は同じ歌をリピートしては歌っている。
そもそも、その五分レベルの長さはあるだろう曲の歌詞が良くあんたの小さなおつむに入ったな。

今の私はとても機嫌が悪い。
サイキョー様をひねり潰してこの私こそがサイキョーよ、なんて言いたくなるが、
そんな子供なマネ、河童である私のプライドが許さない。

サイキョー様(心の中では私がサイキョー)を無視して流しに向かう。
バケツでも何でもいいからお湯を貯める器が必要だと思って調べてみたが調理用の鍋ぐらいしか見当たらない。

なんで、調理用の鍋があるの?

混乱しそうになった私は考えることを止め、お湯をたっぷりと貯めた鍋を両手に件の壁ににじりよった。
「ちょっと近寄らないでよ。熱い」
横から⑨が寄ってくる。
熱いなら近寄なければいいのに。
ってゆうか近寄るな!
お湯が冷える!

絶対こいつはカップラーメンにお湯入れて三分待たずに食べるクチだ。
いや、お湯すらいれずに食べそうだ。

もう、自分が何を考えているのか分らず、鍋の中のお湯を凍りついた壁にふりかけた。

ざっぱぁ~ん

凍り付いていた壁が煙を立ち昇らせて凍りつく前の元の状態に戻る。
目的は達成したが、部屋の中が水浸しになったことはこの際だ。
どうでもいいと思うことにした。

「あ、扉」

その扉を凍らせた本人が間抜けに呟くのはいくらなんでも世話が無さ過ぎるだろ。

この不適切なカップリング地獄から出たい一心で私は取っ手に手をかけて扉を横にスライド。
そして、そこに出口があると信じて疑わなかった私は己の短絡さを恥じた。

ガクガクブルブル

新しく開けた先はただの薄暗い物置だった。
つまりこの部屋の押入れであり、まだこの部屋の範疇にあるというわけだ。

ガクガクガクガク

ブルブルブルブル


ただ、そこにあったというか、そこに居たのは凍えている背中から羽とか生えてる新しいジャンルのコスプレ少女。
「わたしみすちー、鶏肉じゃないよ」
自分をみすちーと言う翼のコスプレした少女を押入れの中から出してあげる。
出掛けに羽が本物かと確認してみたが、いい手触りだった。
たかなかコスプレだというのに顔を赤らめて嬌声を上げだしたコスプレっこ。
予期しなかった反応に臆し、私は羽に伸ばしていた手を引っ込めた。

気を取り直して少女の身の上を推察する。
多分、私と同じように気が付いたらこの部屋に閉じ込められていて、しかも押入れの中で、更に外側から⑨によって凍らされていて出ることも適わずに挙句の果てには即席冷凍庫状態だったとは。
可愛そうに。

出口は無く、後もう少し命を落としていたかもしれないヤツだが、
どんなヤツであろうとだ、ここに来てメンバーが増えるのは心強いじゃない。

そう思って、私は油断した。
この⑨と一緒に閉じ込められ、更に押入れの中に居た鳥っ子。

「わたし、みすちー。鶏肉じゃぁないよぉぅ~♪」
さっきまで文字通り鳥肌立ってた鳥っ子はサイキョー様の擬似マイク見るや否やかっさらって歌いだしやがった。正直、私はそれを見てあごが外れるほどあっけにとられた。

仲間の到来に抱いた私の安堵の念は、その仲間によって瓦解し、吹き飛ばされていった。


何故だ。
何故、考慮しなかった……
この鳥っ子が⑨な可能性を!


はぁ、とため息をつき、私はへたりむ。

これは……ちょっと駄目かもしれない。

とにかくバカコンビ。夜中じゅう歌うのだけはやめろ。眠れない。



#4

新たな同居人が凍て付いた押入れの中から発掘されて数時間。
私は部屋の一角に散乱した家具で机になりそうなものを設置し、作戦本部を設けることにした。

とにかく、私の戦いの記録もここで付けていくことなる。

「ねぇ~何書いてるの~」
横から鳥っ子が鳴きながら近寄ってくる。
待て待て、私はお前の親鳥じゃない。というか、群れからはぐれてしまったのなら須らく淘汰されろ。
引導は私が台所で渡し、骨にしてやるから。

「ちんちん、かもかも」
後、さっきから下半身の一部名称を連呼している。やめろ。

じゅるり。
いかん、舌なめずりが。

横でくっついて鳴いていた鳥っ子が顔を真っ青にして距離を取る。
この程度で臆したか、チキンめ!

⑨から常時放たれる冷気へのバリケード兼湯たんぽとしての有効性、活用性は恐らく冬が深まるこの先もっと高くなるのは火を見るより明らかだ。火あぶりか……そういえば冬の焼き鳥っておいしいよなぁ。

じゅるり。
ビクッ
いかん。また舌なめずりを……。

折角手に入れた湯たんぽが私に近づこうとしない。これは困った。
自業自得なんて誰かが言いそうだけど、そんな中の人は居ない。

今も⑨は部屋の真ん中で陣取ったまま。つまり冷気が部屋中に満遍なく届いている。
バカのクセして無駄にエネルギー効率よくしてやがるな、あの⑨め。


とにかく寒い。今は可及的速やかに熱の保持できる物を手に入れなければ。

私はリュックを開けて何か無いかと探し出す。
使えそうな布団は⑨が凍らせてしまったし、更に、その上に私が押入れを開ける際に部屋にぶちまいたお湯がかかり、⑨の冷気のせいで見るも無残な氷布団の出来上がり。

今日の朝起きたら、その氷布団を⑨は寝床にしていた。
ぶん殴ってやろうかと思った。

ガサゴソ、ガサゴソ

奥の方まで調べてみる。
私のことだ寝袋か毛布の一枚リュックに常備しているハズ……あった。
ビバ!私!

カサコカソコソ

一つの寝袋が取り出され、自分の取り出した寝袋に違和感を覚えた。
だって、なんかは入ってるし。
生理的嫌悪を抱きかねない音もする。

今すぐその想像をやめろ。
私はあんなものをリュックの中に入れた覚えはないし、入れることも金輪際無いわ!

とにかく、だ。事は緊急を要する。(私の中では)
恐る恐る寝袋のチャックを開けていく。
上から叩いて殺したりたらバイオハザードだ。ここは落ち着いて迅速に。
「はじき」なんて火災訓練であったな。あれ、それは距離と時間と速さの関係だったっけ?

まぁ、頼むから開けた瞬間にはねて出て来るなよってことだ。

チャックを開けていった先に悪夢が現れる……かと思ったが出てきたのは一人の少女?
いや、こんな可愛い子が女の子なはずない!

開けた寝袋の中から目の前に現れたのは頭からなんか触覚はえてる虫ッ子だった。

なにこのムッツリ○ロウ王国。って、あれは動物ばかりか。

「せっかく冬眠してたのに、なに?」
なに?なにだとぅ。
怒りによって我が河童の拳が真っ赤に燃える。
人の備品(寝袋)に無断で住み着き、あまつ冬眠だと抜かしおるか、この虫けらめぇ!
目の前の虫のガキが私にやっと気づく。
見る見る内に凍りついていく様はなかなかエクスタシー。ハマるってばよ!
熊を一睨みで盆踊りさせるほどの形相で睨みつける私の顔が早すぎる冬眠明けの初見とは不幸なヤツ。
だが、今の私は自分の絶対領域を侵されたことに……ブチ切れなんだZE!

私の「にらみつける」に虫っ子はひるんでいる。

「……斬るの?潰すの?」

ひるんだ虫っ子はそんなことを言ってくる。

生か死か。それが問題だ。ハムレットの名言だな。
しかし虫っ子よ、私がどちらを選択してもお前は多分デッド・オア・デッドだ。

言いたくないが、その選択肢を出した時点でお前はもう死んでいる。
ヒコー突かれてるよ。

余りにも嗜虐心をあおる有様に殺る気がそれたので⑨の方に思いっきり蹴っ飛ばしておく。
サイキョー様、もうソイツの処理任せた。ヤっちゃって。
そうして何事も無かったかのように寝袋の中にこもった後、
思いついたので、思いついたかのように目の前でビクついてる湯たんぽもとい鳥っ子を手招きした。

オラ、来ねぇと焼いて食うぞ。

「うっ。わたし鶏肉じゃない」

それはお前が決めることじゃない。











この、私が決めることだ!!











私が怖いのか鳥っ子は恐る恐る私に近づいてくる。怖ければ近づいて来なければいいのになんて他人事のように思った。
でも、来ないなら来ないで腕ずくで捕まえてやっぱり食べるけど。

「わたし、とりにくじゃない」

再三再四自分はノット食料だと主張するマイ非常食。
分った。分った。まだ食べ物はいっぱいあるし、今日は食べないから。


早く来い。

睨み利かして、手招きすると、鳥っ子が涙流しながら寄ってくる。コレはそそる。

一歩一歩と確実に近づいてきて、後もう少しで手が届くところ。

凍りついたさっきの虫が湯たんぽを巻き込んで部屋から台所まで飛んでった。

あーあ。
ため息が出てた。
流石に寝袋があるといっても湯たんぽ無しだとまだ寒いのに。


頭をポリポリかいて私は⑨に近づいてく。
「あんたってやっぱサイキョーだね」
「そうでよしょー、本当あたいったらサイキョーね」
うんうん、サイキョーサイキョー(笑)
「強いヤツって実はさ……」


うまく言い含めて押入れの中に⑨を閉じ込めた私は寝袋にもぐりながら日記を付けていた。
台所からは氷ついた虫の下敷きになった鳥の鳴き声が聞こえてくる。
多分蛙にでもいじめられているんだろう。

虫っ子が暖めていたせいか寝袋は本当に暖かく私はぐっすりと良く眠れた。
あれ?オチない……(汗
キンカ
コメント



1.名無し妖怪削除
うむ、ナイスgdgd。
2.名無し妖怪削除
面子が増えてカオス度も上がったな。
今後に期待。