Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

無計の壊

2005/06/25 08:12:45
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聞こえる 号砲が聞こえる
周辺を湖に囲まれた人の訪れる事の無い島から

聞こえる 雷鳴が聞こえる
血塗られし館の無限回廊の終わりの最果てから

聞こえる 濤声が聞こえる
神鋼の鉄鎖に因って永久に開かぬ扉の裏側から

違う 違う 違う
何故真実から眼を背けるのだ 何故虚偽の安穏に逃げるのだ

汝も夙に判っている筈 あれは紛う事無き崩壊の万波
嗚呼それこそ…… その真義の主こそ……

唐突に天地を割る爆音が羽化する

そして哮り立つ破砕の嵐が彼の者を束縛する万物を毀す
焦土と化した次元に浮かぶは余りに幼く華奢な少女の身

これが掉尾 これが開闢
最早物語ですら漕ぎ着けない

諸目が捉えたのは幾つもの形 意味無き骸共が寄り添う蜜月
思案するよりも早く四肢が動いたのは道理の決まり事

四囲より狭まりながら襲い掛かる弾雨 天つ雲居に灼熱の軌跡を描く焔の劔
別けられた影達が暴戻なる唄を散らす 張り巡らされた弾幕が雪崩れていく

破滅の味はどんな味 どんな風に舌を楽しませてくれる
洋菓子よりも美味しいか 紅茶よりも美味しいか

情人を逃がさぬ惨烈な出口の無い迷路 光を超えて現れるは虹色の星達の舞
縦横無尽に跳ね踊り飛び交う三種の珠 在りし日々を彷彿させる二基の巨針

魔を法する乙女子を苛む惨烈な詞華
光翼 忌み子 許されぬ者

封ぜよ 疾く封ぜよ
彼の者は何時の日か神滅を引き連れて三千世界だけでなく十万億土すら破壊してしまうだろう

在って為らぬ事は有り得ぬ事
世の習いに従い封ぜよ

我は一体何だ 我は一体誰だ
判らない 解らない

ならば……誰も居なくなってしまえ!

怒濤の勢いを超える悪辣さを放ちながら暴れ狂う無数の弾幕と無限の弾幕の争い
世界が泣き叫ぼうと留まることは叶わず

そうか……そう言うことか
我は到達せり 故にこれはその証明

顕現した力の有り様をどう表現すれば良いのか
人の英知などその御業の前では無意義に等しい

愛せ! 愛せ!
痴愚なる民草共よ我を愛せ!

我が無計の壊! 無計の壊が我!
壊せぬ物を壊せられると締約された世界の敵であり汝等の救い主ぞ!

もしこの六道が愛されぬ構造で蠢いているというのなら我は……我は!

全壊の渦の中心に呑まれていく無計の壊が流すは慨嘆の慟哭との血の涙
やがて来る黒き風が彼女の存在理由を救うその時まで彼女は泣き続ける

遙けき深紅は痛切を以て祈る その日が一刻も早く訪れる事を
彼女自身が愛なのです……
逆しま
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