この思いは強い。
だが、それは性的欲求からくるものか、純粋な好きというものなのか。
憧れの存在という枠から、あの女性はとうにはみ出していた。
彼にとって、あの女性は女神に等しかった。
普通の女性にはない、美しさと知恵と余裕。
いや、人間という枠すら超えている。
あの女性は、人間ではない。妖怪と呼ばれる存在だった。
ただの農家の人間である彼が、女性を見たのは本当に偶然だった。
その偶然が運命というわけでもない。
紅い悪魔も、『ただの偶然。見ることがあったかなかったかというだけよ』というだろう。
そして、あの女性にとって彼はただの生物にすぎなかった。
だが、女性への思いは募るばかりだった。
あの女性に殺されてもいい。だから、触れたい。
あの女性に微笑みかけてもらいたい。ただの通行人Aとして記憶に残らなくとも良い。
あの女性が、あの女性が、もし自分の名前を呼ぶのなら、幸せだろう。
男の募りに積もった思いは、ひとりでに歩き始めた。
男が一人死んだ後も、思いだけが残っていった。
男と同じ感情を持ち死んだ者と混ざりあう。
そして、一人の男が生まれた。
あの女性のためだけに…と、唯一それだけの思いを持った弱い想いの塊が生まれた。
だが、所詮は感情の塊だ。顔がない。
のっぺらぼうのような顔を隠すと同時に、感情の塊は一つ文字を入れた。
このような、姿になってまで貴方に執着することは罪なのだろうと。
この愛は異常なまでに、貴方を求めると。
『罪』と書いた袋をかぶり、男は歌い舞い愛を叫んだ。
ならねーよwwwwwwwww
ねーよwwwwwwww
みえねぇよwwwwwwwwwwwww
たにたけし氏は偉大だな。