Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

春がくる

2007/03/13 12:16:42
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 「あぁ,そろそろ花見の季節だな。」

 赤と白の衣装を着た,神社の娘。
 いわゆる,巫女さんはつぶやいた。
 
 春が来る。
 冬の終わり,暖かくなりつつある季節の変わり目。
 感じる。生命の息吹。草花の香り。
 もう既に日中は過ごしやすい暖かさ。
 
 だからといって,何が変わるわけでもない。
 しかし,心が浮き立つのは仕方がない。
 寒い冬を越え,暖かい春がやってくる。
 それだけで,どうしてこう楽しくなってくるのだろう。
 それはきっと,桜のせいだ。
 あの美しくも儚い,春の風物詩。
 その下に皆で集い,騒ぎ,心地よい一時を過ごす。
 その気持ちを思い出すからだ。

 柔らかな午後の日差しを受ける,ここ博麗神社の巫女,
 博麗霊夢は,そんなことを考えながら家屋部分の縁側でお茶を飲み,
 まったりと無為の時を過ごしていた。
 午前中のうちに神社の掃除を終え,今日も今日とて参拝客のいない午後。
 社務所にいるのも面倒で,1人,お茶とお茶菓子の日光浴。
 黒カリントウを盛った皿,急須と熱い茶を満たした湯のみを載せた盆を隣に置き,
 足袋を吐いた足を豪快に前に投げ出し,両手を斜め後ろに身体の支えとして,
 空を見上げて1人ごちる。
 
 「やっぱり,暇ね。しょっちゅう,怪異が起こるのも面倒だけど,
  こう何もないのも退屈だわ。誰か来ないかしら。」

 盆からカリントウを一つ摘み,ぼり,ぼり,ぼり。
 
 「ん~,美味し。これ,妖夢がお土産に持ってきたんだっけ。
  どこのお店のかしら。今度,聞いてみよっと。」

 至福の表情で食べる。その顔からはとても退屈しているようには見えない。
 また一つ,皿からカリントウが霊夢の口の中へと消えていく。
 お茶を飲む。カリントウを食べる。カリントウを食べる。お茶を飲む。
 それは陽気な午後にふさわしい情景。
 幻想郷が幻想郷たる所以の,時の流れさえ忘れさせてくれるような時間であった。

 「って,なにやってるのよ,霊夢。」

 いつの間にいたのか。
 顔を前に向けると,そこには呆れ顔の友がいた。
 金髪碧眼のかわいらしい顔立ちに,それとマッチしたかわいらしい服装。
 右手には袋を,左肩にはこれまたかわいらしい人形を乗せた七色の人形遣い。
 アリス・マーガトロイト。
 魔法の森に住む,引き篭りがちな霊夢の友人である。  

 「なにってお茶の時間よ,今は。あなたもどう?」
 「いつもお茶の時間のくせに。あんまりだらしない格好しないの。」
 「だって,とても気持ちいいのよ。それに楽だし。いいじゃない。」
 「もう。一応,女の子なのよ,あなたも。」
 「一応・・・」

 いつものとおりに,いつもの挨拶代わりの軽口を交わす。
 アリスは盆を挟んで,霊夢と正反対の位置に座り,
 言葉に甘えカリントウを摘み上げる。

 「和菓子なんて久しぶり。」
 
 嬉しそうに食べる。一口,二口,三口で一本。
 上質な,品のいい甘さが口中に広がる。
 いい仕事をしていることが分かる。
 どこのお店かしら。
 霊夢と友人になってから,和菓子を食べる機会が以前より増えたアリス。
 そこはやっぱり女の子。彼女も甘味には目がなかった。

 「お茶,淹れ直してくるわ。」
 「おかまいなく。」

 「一応」に軽く傷つきながらも,客はもてなさねばならぬ。
 霊夢,立ち上がり,台所へ。
 アリスはそのまま縁側に。
 アリスの肩にいた人形が,宙に浮かび霊夢の後を追う。上海人形。
 お手伝いをするつもりだろうか。
 七色の人形遣いと呼ばれるアリス。
 彼女は人形を自在に操る。まるでそれらが生きているかのように。
 そう,彼女は人形を操ることができるだけで,彼女の人形に魂はない。
 しかし,つい先日,なんの奇跡か偶然か。
 アリスは意思持つ上海人形を作り上げることに成功した。
 言葉を喋ることはできぬども。
 主人の意を汲み取り,適切な行動を取ることのできる賢い人形。
 今はまだ一体しか作れていない。もしかしたら,もう二度と作れないかもしれない。
 未だ,アリスにも原因はわかっていない。
 ただ,それでも愛しい人形が,独自の意思で動く。
 それを目の当たりにできただけで満足だった。
 彼女のような魔法使いには,時間は悠久に等しく存在する。
 ゆっくり解明していけばいい。焦ることはない。

 「ねぇ,霊夢。」

 上海人形とともに新しい湯呑みを棚から取り出していた霊夢に,声がかかる。

 「なぁに?」

 取り出しながら応じる。少し大き目の声を出して。
 
 「そろそろ花見の季節だと思わない?」
 「あぁ,あなたもそう思う?」
 「ええ,思うわ。だって,こんなにも楽しい気分だもの。」

 本当に楽しそうに言う。
 波長が合う。2人が友人である理由。
 こんなところでもそうなのか,嬉しくなる。
 上海人形と目が合い,微笑み合う。
 
 「そうね。私もそうだわ。」
 「ふふ,でしょう?だからね,霊夢。
  今日はもっと楽しくなるものを持ってきたの。」
 「あら,何を?」

 新しい湯呑みと急須を盆に持ち,縁側へと戻りながら問いかける。
 もちろん,上海人形も一緒に。
 見ると,アリスは持ってきた袋からワインを取り出し,笑顔で言った。

 「宴会しましょ?少し早いけど,お花見前の前夜祭ってことで。」
 「・・・久しぶりに出てきたと思ったら。」

 アリスはあまり外に出てこない。研究やらなにやらで忙しいのかしれない。
 単なる引き篭り体質なのかもしれないが。
 それが久しぶりに家を出て,自分に会いに来たので,
 どうしたのかと思った,その答えが宴会。
 座り直し,呆れ顔でまた空を見上げながら霊夢。
 が,次の瞬間には苦笑を浮かべ。

 「いいわ。やりましょうか,宴会。
  ちょうど,私達の春度につられて,
  春を運ぶ妖精もそこにきたことだしね。」

 指を上に向ける。アリスが顔を上げると,そこには満面の笑顔のリリーホワイトがいた。

 「春を告げにきたわ。」

初めまして。
最近,東方にハマりまして,
気持ちを抑えきれずに妄想が爆発してしまいました。
それが,上海人形についてのオリ設定とか
微妙に大人なびた登場人物なわけですが・・・
こんな世界だったらいいな,てことで一つよろしくお願いします。
コメント



1.名無し妖怪削除
内容はまぁ和み系かな

ただ一つ気になるのは、句読点が多いかなぁ…と思いました

これからもがんばって下さいね
2.名無し妖怪削除
句読点がコンマなのはそういった趣向でしょうか。
にしてもアリスかわいいよ
3.手スタメンと削除
カリントウからギャグ方向に壊れるのではないかと思った私は汚れているようです
4.名無し妖怪削除
大丈夫、俺も汚れているさ!

にしてものんびりしてて良いですねコレ
5.削除
春だ。すっごく春だ。春としか感想のつけようがない。
6.Yuya削除
面白くないけど、嫌いではない