Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

経緯を説明するメリー

2005/02/17 16:42:59
最終更新
サイズ
3.2KB
ページ数
1


私の名はマエリベリー・ハーン。
どこにでもあるオカルトサークル、秘封倶楽部のメンバーだ。
このサークル、構成人数は他のサークルに比べるとちょっっっぴり見劣りはするけれど、
その差を埋めて尚余りある特別な才能が溢れてる素敵なサークルなのよ。

例えばもう一人のメンバー宇佐見蓮子は、お空に浮かぶ月と星を見て
正確に現在居る座標と時刻を知る事ができる。北極星があるほうが北とか、
そういうレベルではなく感覚として知覚できるのだそうだ。
その割りには待ち合わせに間に合った試しはないんだけど。

そしてこの私が見ることができるモノは、結界の境目。
そもそもが滅多にお目にかかれるものじゃないんだけど、これが意外に重宝している。
なぜなら、秘封倶楽部の裏の主な活動内容、「結界探索」の要になるからだ。これが見えないと話にならない。

で、私達二人は怪しげな情報やら乙女の直感やらでその境目を見つけ出しては引っ掻き回して楽しんでるんだけど――


実は私、蓮子にもまだ話してない秘密の結界を知ってるの。
それも今にも開いちゃいそうな、決壊寸前の堰のような、ひどく危なげな代物。
そんな結界の存在を知ったら、きっと蓮子は一も二もなく案内しろと騒ぐでしょうね。
でもそれは無理な話。だって、その結界は蓮子自身なんだもの。

蓮子と知り合ってからしばらく経った時、彼女の近くに結界のスキマが浮いてるのが目に入ったわ。
意識しないと判らないような、ちっちゃな綻びのある結界。驚いて声を上げそうになっちゃったけど、
その場では我慢して様子を見ることにしたの。だって、結界を探してる蓮子本人に結界が付いてるなんて、
こんなに見てて面白い事はないわ。だから秘密にして、私だけでそのスキマを観察するようにしたの。

何日か観察していると、ほんの少しずつだけど綻びが大きくなってきて、その頃から道行く見知らぬ人々にも
数百人に一人ぐらいはこの綻びがあることに気が付いたわ。だから、これが何の結界なのか大体の察しもついた。

私にできるのは結界を視ることだけで、スキマを閉じたり開いたりして操る能力はない。でも、蓮子のスキマは
私の挙動に呼応するように目の前で大きくなったり小さくなったりする時があった。面白いからいろいろ試して、
ようやく蓮子の結界の正体と、そのスキマの意味するところが判ったのが少し前。

結界とは、縛るモノのこと。暴れるものを捕らえ、溢れるものを繋ぐモノを結界と呼ぶのなら――
ならば、この結界にはきっと名前がある。この結界の名は……”倫理観”だ。

然るに、このスキマの正体も自ずと見えてくる。私に反応してスキマが大小する事があったけど、それは
殊に私が流し目で蓮子に視線を投げたり、妖しげな台詞を吐いたり、さり気なく胸元をはだけたりした時などに、
スキマは大きく成長する傾向があった。あたかも限界が訪れたダムに水流でヒビが入るように。

思うに、これは彼女の、蓮子の中の”同性に魅かれてはいけない”という倫理観にできた亀裂なのだ。
それが今、私の目の前で張り裂けんばかりになっている。常識的見解と言う結界がそれをギリギリで支えているのだ。
そこまでスキマを大きくしたのは他ならぬ私自身だし、恐らくは発端も私だったのではないかと思う。
だから私は最後の一押しをしたのだ。いつも通りのサークル活動中、私は不意を突くような形でテーブルの反対側に居る
蓮子までその身を乗り出し、その小さな唇を軽く舐めて。

そうして、私はついに独力で結界を破ることに成功したわ。秘封倶楽部の活動としてはかなりの快挙よね。
でも、それを蓮子には言わないし、私から惚れた事にしてあげるの。だって、こんな顛末を話したらきっと
自分の後ろを見てみろと言われるに決まってるもの。そんなの御免よ。分かっていてもきっと夢見が悪いわ。


だってこんなにも蓮子が好きな私に、倫理観が欠片でも残ってると思う?

この二人、なんかいいっスよねーエヘエヘ
次回の東方シリーズには脇キャラでもいいから出てくれないかなーと密かに期待してたりします。
腋キャラでもいいですが。
二足歩行猫
[email protected]
コメント



1.名無し妖怪削除
足も裏キャラも追加で
2.名前を隠す程度の能力削除
なんかいいな、メリー
てかこのコンビ気に入りましたw
3.名無し妖怪削除
うはwwっうぇろすぎwwwっうぇっうぇwwww
4.名無しな程度の能力削除
経緯ね、経緯。
ならこの先もあるはずだね?
5.名前が無い程度の能力削除
おいしいちゅっちゅ
もう10年前ですか...
6.名前が無い程度の能力削除
結界という小道具の使い方がとてもいいですね。とても素敵です。