Coolier - 新生・東方創想話

魔法少女マジ狩るフランViVid

2009/11/09 00:13:26
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 ※この作品は作品集90の「魔法少女マジ狩るフラン!?」、「魔法少女マジ狩るフランA's」、同作品集内の「魔法少女マジ狩るフランStrikerS」の続編になります。ご了承ください。










 新しく仲間になった魔法少女。

 以前からの親友が魔法少女になったのは心強いけど、同時に心配でもある。

 四人でこうやって魔法少女なんかをやって、夜空を翔ける日々。

 人間も、妖怪も、妖精も。

 ここ最近はすっかり有名人になってしまったようで、なんだかなぁと思う日々。

 凶悪事件の犯人逮捕、軽犯罪の犯人捕縛、時には子犬の捜索から人生相談まで。

 そして、早苗が仕立て上げたもう一人の魔法少女も加わり、波乱万丈の日々。

 思ってたよりも忙しい毎日だけど、私は十分に満足していたりもするわけで。

 ……よし、周りには誰もいないね。いないよね?

 こほん。それじゃ、みんな今日こそタイトルコール行くよ。

 魔法少女マジ狩るフランViVid。

 『準備は良いか、野郎共っ!!』
 「どこの最遊記!!?」

 ……始まります。

 ねぇ何これ、いじめ?



 ▼



 辺りは騒がしい喧騒に包まれている。
 空に登る雄々しい炎が、人里の家屋を焼き尽くしていた。
 逃げ惑う人々。家屋を蝕む焔を鎮火しようとする人々。皆に指示を飛ばす人。
 皆様々な感情が入り乱れ、奔走し、襲い来る災害に懸命に立ち向かっている。

 「だめだ慧音先生!! 火の回りが速い!!」
 「クッ、子供たちを避難させた大人はこちらを手伝ってくれ!! このままじゃ手が足りない!!」

 悲鳴に似た声を上げる男性の言葉に、上白沢慧音が大声で指示を飛ばす。
 それにあわせて数名の人々が消火に加わったが、いかんせん火の勢いが強い。
 じわりじわりと肌を撫でる熱気。噴出す汗が今のこの里の熱量を物語っている。
 このままでは里が焼け落ちてしまうのではないかと誰もが危惧したその時。

 「先生、アレを!!」

 誰かの声が、慧音の耳に届く。
 その言葉に反応して、慧音が里の人々の指差す先に視線を向けると。

 「せぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇいッ!!」

 裂帛の気合と共に振り抜かれる歪な杖。真横に振り抜かれた杖の一閃は、強烈な風圧を撒き散らした。
 家屋を侵食していた焔が、たった一人の少女が放った杖の一閃によって、風圧で吹き散らされていく。

 「君は、紅魔館の!!?」
 「話は後! 今のうちに早く消火して!! もう少ししたらちょっとは楽になるはずよ!!」
 「……あぁ、すまないフランドール。いや、今はマジ狩るフランか。皆、今のうちに出来るだけ火を消すんだ!!」
 『応ッ!!』

 ゴスロリドレスを着たフランの登場に多少驚いた慧音だったが、彼女の言葉に肯いて里の人々に指示を出す。
 彼女の言葉に力強く肯いた人々を見やりながら、慧音は別の方角に視線を向ける。
 そこにはまだ火の手が上がっていたはずだったが、その場所には古明地こいしと東風谷早苗が消火作業を手伝っている姿が見えた。
 フランの言葉から考えれば、おそらく何か考えがあるのか。ふと彼女のほうを仰ぎ見てみれば、フランはその吸血鬼としての力を生かして素振りの風圧で火を弱めて回っていた。
 ただ、気になったのは彼女の傍に控える小悪魔が傘を持っているということか。
 しかし、その疑問はすぐに氷解することとなった。



 ―――傘符「大粒の涙雨」―――



 その言葉は、はるか上空から聞こえた言葉。
 はっとして空を見上げれば、大粒の雨が降り注ぎ、それはやがてあっという間に大雨となって降り注いだ。
 小悪魔が傘を差してフランを守り、あたりには天の助けだと歓喜する里の人々の声。
 徐々に弱まっていく炎の鎮火も、この分なら被害は最小限に食い止められるだろう。

 見上げる慧音の視線の先、そこにいるのは一人の少女。
 フランドール・スカーレットと古明地こいしと共に現れた、もう一人の魔法少女は、次々と鎮火していく炎を見てほっと安堵の息をつく。

 これが新たな魔法少女となった多々良小傘の、華々しい初陣の顛末であった。



 ▼



 さて、人里の大火事の翌日、その事件の新聞を食い入るように見つめている人物がいた。
 守矢神社に祭られる神の一柱、八坂神奈子その人である。
 彼女は新聞の一面を飾っている事件を食い入るようにジィッと見つめていた。
 その写真には、この火事の鎮火に大いに貢献したとして、フランドール、こいし、小傘、早苗、そして小悪魔の五人が写っている。
 おもむろに、神奈子は立ち上がる。そして何を思ったか、ピシッとポーズを決め。

 「魔法の力で世界を救う。魔法少女マジカル神奈子参上! キラッ☆」
 「何してんの、神奈子」

 ビタッと、恥ずかしいポーズを決めていた神様が動きを停止する。
 首を軋ませて後ろを振り向けば、守矢神社のもう一人の神、洩矢諏訪子が呆れたように彼女に視線を向けていたのであった。
 カチコチと、無音の世界の中で時計の秒針の音だけが鳴り響く。

 「神奈子、アンタも魔法少女にあこがれてるのかい?」
 「な、何言ってるんだい諏訪子!! そんなはずないじゃないか!!」
 「声震えてるって。心配しなくてももう知ってるから。何年アンタとつるんでると思ってるのさ」

 慌てて弁解しだした神奈子に、諏訪子は呆れたようにため息をついた。
 思えば、兆しはあったのだ。まだ幻想郷に来る以前には早苗と一緒に魔法少女アニメを見ていた神奈子を覚えている。
 問いただせば「いや、これも家族としての団欒だよ」と言っていた神奈子だが、諏訪子にはどう考えても言い訳にしか聞こえない。

 「あのさ、諏訪子。このことは早苗には内緒に……」
 「いやー、もう手遅れじゃないかな」
 「へ?」

 神奈子の言葉にも、気まずそうに頬を掻いた諏訪子の言葉に嫌な予感がだんだんと膨らんでいく。
 諏訪子がおもむろに彼女の後ろを指差して、恐る恐る、神奈子もそちらに視線を向ける。

 あぁ、なんということか。襖のわずかな隙間に輝く眼がキラリと光り、口がニィッと三日月に歪んだ。

 「ヒ、ヒィィィィィィィィィィィィィィィィ!!?」
 「フフフフフフフ、話は聞きましたよ神奈子様」
 「さ、早苗!!? アンタ、一体いつから?」
 「そうですね、魔法の力で世界を救うあたりからです」
 「最初から!!?」

 くつくつと不気味に微笑む早苗の言葉に、神奈子は頭を抱えて畳に突っ伏した。
 自分の恥ずかしい姿を最も見られたくない人物に見られてしまったのである。その心のうち、推して知るべしと言う奴だろう。
 しかし、その姿を一体どういう風に勘違いしたのやら、襖を開け放った風祝は朗々と宣言する。

 「任せてください神奈子様。神奈子様のその望み、かなえてしんぜます!! 私が、私たちが、神奈子様を立派な魔法少女にして差し上げます!!」
 「いや、待って早苗!! 私はそういうつもりじゃなくて……」
 「気にしないでください神奈子様!! 私が見事に神奈子様を変身させて上げますよ!! ではでは、皆呼んできますんでちょっと待っててくださいな。
 東風谷早苗プロデュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥスッ!!」

 神奈子の制止の声もなんのその。こうと信じたらてこでも動かない暴走機関車の現代っ子は、襖をぶち抜いてムーンサルトしながら守矢神社を飛び出していった。
 先日の事件のせいで寝てない風祝。彼女のテンションは今現在ナチュラルハイってやつである。
 呆然とその姿を見送る神奈子。真っ白になった神奈子の肩を、諏訪子が遠い眼をしながらポンッと叩く。

 「諏訪子、私ぁあの子の育て方間違えたかね?」
 「いや、あの子はもともとあんなんだよ」

 そっかーと他人事のようにつぶやく神奈子の声には力がない。
 破壊された襖がカタカタと風に揺られ、それが笑っているような錯覚がしてついオンバシラをぶち込んでしまった神奈子であった。



 ▼



 「第一回、八坂神奈子様魔法少女化計画ぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」

 ナチュラルハイのテンションって恐ろしい。八坂神奈子は長い時間を生きた神として今改めてその事実を痛感した。
 早苗は相変わらず奇妙なテンションのまま叫び、テーブルには魔法少女の面々が集まっている。
 フラン、こいし、小傘、そして小悪魔。早苗と一緒に魔法少女家業を続けている少女たちは、皆一様に早苗の叫びに同調するように拍手した。
 彼女たちも徹夜明けのテンションで色々ハイな状態だったりすることが伺える光景であった。
 頼みの綱である諏訪子は神奈子の隣で爆睡中。チクショウこのお子様め、自分に被害来なけりゃ興味なしかよと恨み言を胸中でつぶやく。

 「さぁ、皆さんの力を借りて魔法少女デビューですよ神奈子様!! 神奈子様の夢、私が見事かなえて見せます!!」
 「いや、別に夢って訳じゃあ……」

 相変わらずテンションの高い早苗に、神奈子は冷や汗流しながらも強く言えずに黙り込む。
 勘違いとはいえ、自分のためにがんばってくれている早苗に強くいえない自分の親馬鹿さ加減が恨めしい。
 けれどと、神奈子は思う。
 もしかしたら本当に、自分も魔法少女になれるのではないかと淡い期待を抱いてしまう自分もいる。
 それは愚かしいことだろうかと、少し自問してみたが答えは出ない。

 「まぁまぁ、ここは早苗に任せてみても良いんじゃないかな?」
 「そうそう、こいしさんの言うとおりですよ。それに私たちもいますし、ここは任せてくださいな」
 「あんた達」

 こいしと小悪魔の言葉に、神奈子は目からうろこが落ちる思いだった。
 そうだ。彼女たちが早苗を信じるように、家族である自分がどうして彼女を信じてやらないのか。
 彼女のことを信じてやれないで、何が家族か。何が神か。何があろうと、堂々と構えているのが八坂神奈子の本領であろうに。

 「わかった、早苗。お願い」

 だから、自分は座して待てばいい。座して、彼女たちの言葉に耳を傾ければいいのだ。
 神奈子のその言葉に、早苗がにっこりと微笑んだ。
 「まかせてください」という言葉が、とても心強くて、神奈子もこくりと肯いてみせる。

 「それではまず、皆さんからの意見を統合した結果、神奈子様が魔法少女として活躍することは絶望的という結論が出たわけですが」
 「ぜっ……」

 肯いて見せたのだけれども、彼女の覚悟はものの数秒で木っ端微塵になった。

 「ぜ……な、え?」
 「うーん、やっぱり外見が問題なのかな?」
 「そうなんですよね、神奈子さんはどう考えても魔法少女って言うかむしろ魔女っていうか……」

 まさかの早苗のひどい発言に口をパクパクとするしかない神奈子をよそに、本人を前にしてひどい台詞を遠慮なく暴露するこいしと小悪魔。
 唯一、神奈子の様子に気づいた小傘がおろおろと辺りを見回していたが、残念ながら彼女にこの面子の言葉の暴力を止めるのは無理そうである。
 ふと、神奈子とフランの視線がばっちりと合う。

 『大変ね、アンタもさ』
 『お互い様さフラン』

 息ぴったりのアイコンタクト。現役のサッカー選手でさえ難しいとされるそれを、彼女たち二人は見事に成し遂げた。
 なんか波長でも合ったのかもしれない。主に苦労人の。

 「そう、神奈子様の最大の問題は容姿。つまりはその大人の女性といった外見こそが魔法少女として致命的な最大の問題です!!
 大人の女性として認知されるならまだ良いです。でも知ってますか神奈子様、人里の方の中には神奈子様のことを「おばさん」だの「三十路越え」だのと揶揄する人がいるんです!!
 許せますか!? 許せませんよね神奈子様!! そんな奴らをご自慢のオンバシラでヒーヒー言わせたいと思いませんか!!?」
 「こぁっこぁっこぁ! オンバシラでヒーヒー言わせるってなんか卑わきゅっ!!?」

 こきゃっと、小気味のいい音がして小悪魔が床に倒れ付す。
 フランが首を絞め落としたらしく、小悪魔の首があらぬ方向にひん曲がってぶくぶくと泡を吹いて気絶していたが、誰もそのことは指摘しない。
 だって、ほぼそのやり取りは日常のひとつと化していたのである。いちいち突っ込んでいたら埒が明かない。
 実に嫌な日常である。

 「でもさ早苗、それじゃわざわざこの会議する必要なくない?」

 小悪魔を絞め落としたフランが不思議そうに彼女に問いかける。
 幸いなことに、彼女は夜に活動する吸血鬼だったためかまだテンションはそこまでおかしいわけではないらしい。
 しかし、早苗はクックックッと不気味な笑みを浮かべると、ギラリと瞳を光らせる。

 「ふっふっふ、何をおっしゃいますフランさん。解決策はすでに私の中にあります。真実はいつもひとつです!」
 「いや、それはなんか違うと思う」
 「誰が小傘さんを魔法少女に仕立てたと思ってるんですか? ほかならぬ私です。早苗Pです! 言うなればSanae Kothiya style!!」
 「Japanese please!!?」

 目の前でコントを繰り広げる早苗とフラン。こういう光景を見ていると、このフランが危険な吸血鬼だとすっかり忘れてしまいそうである。
 そんな彼女のツッコミに頓着しないこの風祝、ある意味で大物であった。

 「では神奈子様、小悪魔さんから今回の作戦を発表させていただきます!!」
 「お任せあれっ!!」
 「復活早ッ!!?」

 そしてあっという間に小悪魔復活。まだ首をへし折られて一分とたってない復活に驚きを隠せない神奈子。
 フランのほうについつい視線を向ける。そこには疲れきった諦めの表情を浮かべる彼女がいて大方を悟ってしまった神奈子。
 なんて不憫な子!! と涙がちょちょ切れそうであった。

 「えっと、それで。その作戦って言うのは?」
 「簡単な話です、幼女になりましょう!!」
 「いきなり無理難題来たよこれ!!?」

 小悪魔の作戦ともいえない作戦にたまらず神奈子が声を上げる。
 まさかいきなりの外見を若くしろ発言である。無理難題にもほどがある言葉に、神といえどもツッコミをいれずに入られなかったようであった。

 「え、なれないんですか?」
 「なれないよ!! 何でなれると思ってたのか不思議でたまらんわっ!!」
 「いやぁ、だって諏訪子さんがほら、ああいう外見ですし」
 「あの子は元からああいう外見なんだよ!!」

 まさか本気で幼女になれると思っていたらしい小悪魔が素っ頓狂な声をあげ、神奈子が大声でツッコミをひとつ。
 するとどうだろう。明らかさまにやる気をなくしたらしい小悪魔は、「え~?」と気だるげに言葉にして机に突っ伏した。

 「どうしましょう、フランさん。いきなり作戦の第一段階で頓挫しましたよ」
 『他に作戦ないのかよっ!!?』

 早苗の心底困った様子の言葉に、フランと神奈子のツッコミが飛ぶ。
 二人の視線が不意に交差して、お互い何か悟ったように肯きあう。

 「神奈子、今度ミスティアの屋台で一杯どう?」
 「いいねぇ、ちょっと語り合おうか。お互いさ」

 ぐっと肩を組んで今後を語り合う吸血鬼と神様。
 本来なら相反するはずの二人が、お互いの境遇を知り果てしなく固い結束を交えた瞬間であった。

 「ごめんなさい神奈子様、私の力が及ばないばかりに」
 「いいんだよ、早苗。気にするこたぁないさ」

 早苗が申し訳なさそうに言葉をつむぐと、神奈子は苦笑しながら早苗の頭を撫でてやる。
 結果はどうアレ、早苗の気持ちは嬉しかったし、少し夢を見れただけでも行幸という奴だ。
 こうやって皆を集めてまで、自分のためを思ってやってくれたのだ。起こるなんて出来るはずもない。
 そんな中、ひょこっと手を上げるものが一名。

 「えっとさ、私のでよければ作戦がひとつあるんだけど」

 その手を挙げ、作戦があると言葉をつむいだのは―――多々良小傘であった。



 ▼



 妖怪の一人に追われ、ナズーリンは木の幹に座り込んだ。
 うかつだった。探し物に夢中で、飢えた妖怪に気がつかないとは、自嘲の笑みが自然とこぼれた。
 腹からあふれ出る大量の血液が、傷の深さを物語る。このままいけば、おそらくは助かるまい。

 「あぁ、すまないなご主人。これは、ご主人のことをうっかりなんて言えなくなってしまったかな?」

 乾いた笑みをこぼしながら、目の前の巨体を仰ぎ見る。
 熊の妖怪か、はたまたは別の何かか。まったく、こんな知性のない妖怪にいいようにされるなんて、本当に気が緩んでいたらしい。
 浮かんだのは、今にも泣きそうな主人の顔。
 あぁ、まいったなぁとナズーリンは呟く。せめて最後ぐらい、笑顔の君を見たかったと、静かに彼女は眼を閉じて。

 「待てい!!」

 その高らかな声に、彼女は眼をしばたかせた。
 その声のしたほうに視線を向ければ、そこには月夜をバックに立つひとつの人影。

 「人が呼ぶ、妖怪が呼ぶ、地が呼ぶ、天が呼ぶ!! 仮面オンバシラー!!」

 全身タイツに胸部にはアーマー、腰にはベルト。顔は虫を模したマスクで覆われて素顔はわからないが、背中には四本の柱を携えている誰か。
 その誰か―――いや、仮面オンバシラーは「とうっ!!」と力強く跳躍し、妖怪の前に着地する。

 「俺、参上っ!!」

 ビシッとポーズを決め、仮面オンバシラーは力強く言葉にする。
 その光景にナズーリンが呆然としていると、いつの間にそばに寄ってきたのか、フランとマスコット形態の小悪魔がナズーリンを守るように前に立つ。
 そして小傘と早苗、そしてこいしがナズーリンの応急処置を始めたあたりで、ようやくナズーリンは現在の状況を認識した。

 「私は、助かった……のか?」
 「喋らないでくださいナズーリンさん。応急処置をして、それから永遠亭に運びます」

 呆然と呟くナズーリンの言葉に、早苗が優しく諭すように言葉にする。
 傷はひどいが、早苗の応急処置は的確なものだった。傍らの小傘がその大量の血で気を失いそうになっているが、何とか踏みとどまっている。

 「それにしても、小傘の案は盲点だったよ。いっそのこと顔を隠してみたらどうかなんてさ」
 「そうですねぇ、私もそう思います。ところで、小傘ちゃん大丈夫?」
 「うぅ、大丈夫くないかも……」

 こいしの感心したような言葉に、小悪魔が同意する。
 しかし、ふと小悪魔の視界に入った小傘は顔が真っ青で、ついつい心配するがどうも芳しくないようである。
 一方、フランは目の前の光景に釘付けだった。
 さすがは神というべきか、圧倒的な力の差を見せ付けて、妖怪にとどめのオンバシラキックをぶち込んでいるところであった。
 しかし、フランは口にせずに入られなかった。そのことを誰が攻められようか。
 彼女は感慨深く、ただポツリと一言。

 「つーか、アレ魔法少女じゃなくね?」

 妖怪を倒した仮面オンバシラーの仮面の下、神奈子が泣いているような気がしてならないフランドールであった。



 ▼



 後日、仮面オンバシラーは射命丸文の新聞に掲載され、そのかっこよさから人妖問わず子供たちのヒーローになっていったのはここだけの話である。
 神奈子がそれで満足したのかどうかはわからない。
 しかし、この記事が後に「仮面スキマーV2」だとか「仮面エイリーンV3」だの「仮面ナムサーンRX」などが誕生するきっかけとなり、仮面戦隊として幻想郷中を賑わす事になる。


 その仮面戦隊の誕生の後、仮面戦隊の誕生のきっかけに立ち会ったフランドール氏はこう語る。

 「お前ら魔法少女はどうした」

 と。
オッドアイつながりで小傘が魔法少女化。
神奈子さまも登場したけれども、いつも敵として出てくるとパターンになってしまうような気がしたので今回はこんな感じに。
なんか最近自重したほうがいいような気がしてきた今日この頃。
ちょっと勢いが足りないかもしれないですけど、いかがだったでしょうか?

そういえば前回の話のコメにありましたけど、ジェイソンさんチェーンソー使ったことないんですねぇ。
……なんで自分そう思ったんだろう^^;
教えてくださった皆さん、ありがとうございます。
前回の話も多くのコメがあって嬉しかったです。コメ返しできてないですが、ちゃんと全部読んでます。
いつも励みになってます。皆さんいつもありがとうございます。

それでは、今回はこの辺で。
白々燈
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コメント



0.3910簡易評価
5.100マンキョウ削除
ヴィヴィ○か!? ○ィヴィオなのかwww? てか、更新早すぎます!
何故ライダーに走ったしwww
次はX(イクサ)ですか? それとも過去編で『とらハ』ですかww

あと、西遊記最終章始まりますね。楽しみです。
6.70名前が無い程度の能力削除
>仮面ナムサーンRX
バイオナムサンやロボナムサンになるんですね

太陽王ならおくうじゃないか?とも思いましたが、年m じゃなくて外見年齢が高い方々が仮面ヒーローになるならしょうがない
7.100名前が無い程度の能力削除
小傘じゃ鎧がないじゃないか…
8.100名前が無い程度の能力削除
>「俺、参上っ!!」
似合ってる気がして腹筋が割れましたwwwww
9.90名前が無い程度の能力削除
仮面の下から涙が滴ってる神奈子様想像して悶えた
10.90名前が無い程度の能力削除
何処で間違ってしまったんだ……w
↑↑いや、『太陽+一本指を掲げる立ち絵』から考えておくうはカブトだろう。
12.90名前が無い程度の能力削除
もちろんマスコットキャラは、
ケロちゃん(!=ケロベルス)だよね!!
16.70名前が無い程度の能力削除
だから、ひじりんは、魔法少女だと言ってるだろうがぁっ!
17.100名前が無い程度の能力削除
仮面ナムサーンRXで堪えていた笑いが噴出したwww
19.100名前が無い程度の能力削除
白々燈氏は早苗のCVを若本御大にする作業に着手すべきだと思うんだ
あと、
>仮面スキマーV2
>仮面エイリーンV3
>仮面ナムサーンRX
貴www様wwwらwwwww

誤字だと思うけど、Kochiyaかな?
21.100名前が無い程度の能力削除
是非ともこがにゃんは
以前の「ねこみみ」「にくきう」「しっぽ」を標準装備でぇぇぇぇぇ!!!!!!
さぁ、魔法少女からかさこがにゃん!!
決めのポーズは是非とも「ちら♪」をっっっ!!!!
24.80名前が無い程度の能力削除
吹いたけどこのシリーズではいつものことですwwww
そして仮面戦隊のカッコよさにごまかされたけど、落ち着いて考えるとみんなあのスタイルで全身タイツな訳だから……
( ゚∀゚)o彡゜オッパイ!オッパイ
28.80名前が無い程度の能力削除
>少し夢を見れただけでも行幸という奴だ。
広辞苑によると『行幸』は「天皇陛下の外出」『僥倖』が「偶然の幸運、思いがけない幸せ」なのだそうです。
31.100名前が無い程度の能力削除
こ、こがにゃんもついに魔法少女にぃ~!!ぜひとも、ぜひとも次回には名乗りシーンをぉぉぉ~~~!!!
・・・つーか、神奈子様・・・あんたそれでほんとにええんですか?
あと、最後の仮面の三人はほんとなりふり構ってなくね?特にナムサーン、あーたの後ろで虎とか幽霊とかが泣いてる感じが・・・・・・
34.90煉獄削除
テンションの高さや、早苗たちの会話とかも面白かったです。
仮面オンバシラーとか他の仮面系にもニヤニヤしました。
35.100名前が無い程度の能力削除
もうこの言葉しかいえません。
ひでぇwwwwwwwww
37.90名前が無い程度の能力削除
<妖怪を倒した仮面オンバシラーの仮面の下、神奈子が泣いているような気がして
仮面の下で泣いていたクウガアルティメットを思い出したw
39.無評価名前が無い程度の能力削除
永琳なら……永琳なら、「ナースウィッチ永琳ちゃん まじカルテ」があるよ!
42.100名前が無い程度の能力削除
小傘が一番魔法少女っぽい気がする
えーりんは月光仮面しか浮かんでこないなぁ
47.100名前が無い程度の能力削除
なんか人里が一番危険な場所かもしれない。
火事があったり殺人事件があったり。
そして確かに魔法少女じゃないwww
相変わらず楽しませてもらいました。
48.100ぺ・四潤削除
こがにゃんが傘を畳んでステッキみたいに持っただけでナチュラルに魔法少女っぽくなるな。登場時の片足立ちのポーズとかウインクでちょっと舌出してとか。
「ねこみみ」「にくきう」「しっぽ」装備であの立ちポーズだったらもう!!!
決め技は「驚きフラッシーュ!!」でスカートを捲り上げるのですね。眩しすぎて目が眩みそうです。素晴らしいです。
49.無評価名前が無い程度の能力削除
次はゆゆ様かゆうかりんが仮面ヒーローなるのか!?
50.10049削除
点数忘れてた…
52.100名前が無い程度の能力削除
絵板にマジ狩るフランキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!
58.100七人目の名無し削除
ちょww仮面オンバシラーって、もう魔法少女関係ねぇww
せめてキューティー神奈子とかにしてあげてください。

「あなたの人生変わるわよ」


あと、仮面オンバシラーはストロンガーなのか電王なのかはっきりしてくださいww
61.80名前が無い程度の能力削除
ちょっとまてフラワーマスターウーマン(ライダーマン)はどうした?w
あと仮面シリーズの制作が楽しみです。
63.100名前が無い程度の能力削除
作者がジェイソン=チェーンソーっていう勘違いをしたのはバカ殿のせい。間違いない
72.100名前が無い程度の能力削除
手段のために目的忘れてる~w

ジェイソンはホッケーマスクかぶる前に一回ぐらいチェーンソー使ってるはず…
73.100奇声を発する程度の能力削除
もうどうやって突っ込めばいいのかwwwwwww
80.100名前が無い程度の能力削除
むしろグッジョブ仮面オンバシラー。

ジェイソンが使ったのは芝刈り機だな
91.100名前が無い程度の能力削除
>せめて最後ぐらい、笑顔の君を見たかった

ナズーリンカッコ良すぎだろ……!!
110.100名前が無い程度の能力削除
ばばぁは仮面戦士か。
幻想郷でもばばぁの魔法少女は受け入れられないんだね。
114.100名前が無い程度の能力削除
似合ってるっていうのが何とも