Coolier - 新生・東方創想話

屠自古の浮遊

2014/01/08 11:30:50
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『くぁぁ・・・』
今日もいい天気だ。冬も中頃にさしかかり、大気も安定している。少し肌寒い気もするが、霊体の身としては調度良い心地だ。暑いと、少し膨張するしな。亡霊となってもう何年も経つが、やはり冬は過ごしやすくていいな。
今日は何をする日だっけか、そうだ、特に予定もなかったな・・・。とりあえず起きるとするか。
布団をしまい、まずは道場へ向かう。朝の精神統一だ。修行というわけではないが、これをやるとやらないとでは大分違う。気持ちがシャキっとして、目が完全に覚める。今時分、気を抜くとあっというまに午前中が終わってしまう。太子さまにつかえる身としては、そんなことは許されない。あの御方は大変こころやさしいが、怠惰なものが気安く近づいてもよい御方ではない。もちろん、わたしがすこしばかり気を抜こうが、彼の方はまったく気にすることはなく、むしろ心置けない同士としてあつかってくれるが、これは私の側の問題だ。すこしでも、彼の方に・・・
さて、目も覚めたことだし、太子様の御食事の用意でもしよう。普通、全員分の食事を用意する係が数人、交代で朝餉を作ることになっているのだが、太子様の分は特別にわたしが作らせてもらっている。そのための一画まで用意してもらって、あれこれと考えながら料理をつくっているひと時は至福そのものだった。太子様に喜んで食事をしてもらいたい。そのこころに満たされて、いつも趣向を凝らしている。いつもつまみに来る白狸は、今日は来ない。集中して、料理をつくれるぞ・・・。
料理をつくり終わり、太子様のお部屋へと運ぶ。今日はよろこんでくれるかな。
「失礼します」
「おお、屠自古! おそかったではないか!」
「なんでおまえが・・・」
布都。
「いつになく凝っているようであったしのう、完成を待ったほうがよいと思ってな」
「お前の分はないぞ」
「ないのか!」
「あるわけないだろう」
「ううむ・・・計らいが仇となったのう・・・」
こいつ食いたくて待っていたのかよ・・・。
「太子様は?」
「おらぬぞ」
「どこへ?!」
「知らぬ」
おいおいおいおいおいおい・・・・・・・・どうすんだよこれ これどうすんの? せっかく、太子様に喜んでもらおうと手を込んだのに
「本当に知らないのか?」
「本当に知らぬ。というか、昨日から見てないぞ」
「なに?!」
「見ておらん」
はぁぁ・・・またか。うかつだった。そういえば近頃留守がおおいんだよなあ・・・
「・・・食うか?」
「おお!よいのか!?」
「仕方ないだろ、わたしはまあ、食わなくても一日どうとでもなるし。・・・待っていたんだろう?」
「ありがたいのう、頂くとするぞ!」
ふう、今日はまあ・・・仕方ない。こんな日もあるさ・・・。
初投稿となります。ひとくろです。最初適当に題名だけ書いて、そのまま気の赴くままに書きました。屠自古可愛いですよね。今回、太子様がどこへ行かれたかというと・・・わかりません。考えてません。まあ、あのお方の御心は常人には計り知れないということでここはひとつ・・・。ね。前半と後半で大分形式は変わりますが、自分では楽しめて書けました。楽しめて貰えたら幸いです。では
ひとくろ
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コメント



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12.60とーなす削除
嫌いではない、嫌いではないけど如何せん短い!
今回は本当に徒然なるままに書かれたのでしょうけど、ぜひ次回はストーリーがきちんとある作品が読んでみたいです。
14.100らぐ削除
きっと面白い作品を書いてくれる方に違いない
掌編でも長編でも何でもいい
勝手に期待しながら待ってます