暗い暗い森の中、気が付けば私はその真っ只中に居た。
辺りを見回せど人影一つ無く、有ったとしてもこの暗さでは判別も出来ないだろう。
大きな声を出しても何物にも届かず、声が途切れれば耳鳴りが聴覚を支配していく。
少し……いや、かなり心細い。
私以外に誰も居ないというのは、存外心を弱めるものだと、改めて気付かされた。
この状況から一刻も早く抜け出そうと、何か役に立ちそうな物は無いかと、身の回りを探る。
しかし、役に立ちそうな物は何一つ無い。着の身着のままで森の中に放り出されたかのようだ。
そもそも、何故私がこんな所に居るのか、それすらも分からなかった。
ここは、確かに幻想郷だ。
しかし、私が夢に見ていた幻想郷とは、大分違う様だ。
もちろん今の状況――夜の森の中だからというのも有るのかもしれないが、静か過ぎる暗闇は不気味ささえ湛えている様に思える。
幻想郷へと足を踏み入れられれた喜びよりも、未知の世界へ一人足を踏み入れる恐怖が勝りそうだ。
少し前、この森の中で気が付いた時より前の記憶が、朧気にしか残っていない。
しかしいくら記憶が曖昧でも、この場所に留まっている事が危険である事は確かだと確信出来る。
この状況を打破すべく、先も見え難い暗闇の中を、勘を頼りに私は進み始めた。
少し歩いて行くと、何か人影の様なものが視界の片隅から現れた。
見方……とは考え難い、そもそも私に見方が居るのかどうかも怪しいし、居たとしても顔も名前もよく分からない。
となれば、あの人影は通りすがりか、もしくは敵か。
その影は少しずつ私の方に近寄ってきている、少しずつ、その姿がよく見える様になってくる。
その姿が大分視認出来る様になって、その人影が人でない事に気が付いた。
背中の羽は、人間には付いていないものだ。
ならばあれは何者か、と考える前に、その人影は何かを私の方に向かって撃ち出した。
野球ボール大の丸くて光るものが、何も無い人影の掌から現れて。
幸いにも速度は遅く、何とか避ける事は成功したが、それで状況は変わるはずも無く。
それと同じ人影が、あちこちから現れては同じ様に私に向かって撃って来る。
なるほど、ここでは人間は攻撃される存在らしい。
非現実的な状況を楽しむ余裕も無く、私は飛んで来る物を避ける為に、必死になって逃げ回った。
精一杯の抵抗もした。 手近なものを投げつけて、反撃もした。
何とかしてこの森から出なければいけない。 あの何かに当たってしまったら、きっととても危険だ。
必死で逃げ回りつつも、助けになりそうなものを掻き集めて、時々抵抗する。
長く続く緊張で汗が滲むが、そんな事を気にかけている余裕は無い。
何度も逃げ回って、何度も抵抗して、何度も危険な目に会って、それでも私は逃げ続ける。
幻想郷は、ただの人間には厳しく在るものらしい。
長い緊張の中で、思考が鋭利に磨がれるかの様に、感覚が高まっていく。
やがて、敵の攻撃が少し治まってきた所で、私の目の前に小さな女の子が現れた。
子供の様に小さな体躯に幼さの残る顔立ち、白黒の少女趣味な服、森の中で出会うにはあまりにも不自然だ。
そうして疑い始めた頃、その少女はこちらに向かってルーミアと名乗り、2枚と宣言する。
二言三言会話を交わした直後、その幼い見た目に反し、さっきまでの人影とは大違いの激しい攻撃を繰り出してきた。
そのルーミアの向こう側には、微かに森の終わりが見える。 つまりどうにかしてこの少女を倒さなければ、森から出る事は出来ない
新たな幻想の世界をこの目で見たいが為、私に出来る精一杯の攻撃を仕掛けた。
しかし、ルーミアもそう簡単にはやられてはくれない。
所詮二十代半ば程度の力では、攻撃を中てた所で大した効果は出なかった。
その上決闘そのものに慣れているのだろうか、ルーミアは綺麗に避ける先を狙って来る。
攻撃を貰った回数はここまでで2回、意味も無く力の篭る掌を握り締めて、ルーミアを注視する。
不思議な交差を繰り返す攻撃を必死に避けて攻撃、そんな無様な戦い。
更に弱まった力で出来る事といえば、ただ攻撃を受けない様人事を尽くし、天命に祈る他無い。
だが、負けたくはない。
この森の向こうには、まだ見ぬ美しい幻想が待っているに違いないと、そう確信して。
やがて、不意にルーミアの攻撃が止んだかと思えば、それきり攻撃を仕掛けて来る事は無かった。
恐る恐る近付いてみるが、不意打ちという訳でもなさそうだ。
理由は分からないが、通してくれるという事らしい。 ならば理由を問う必用は無い。
何かを忘れている気がしたまま、意気揚々とルーミアの隣を進み、森の終点へと向かう。
そんな私の背中に、ルーミアは一言残してくれた。
「おめでとう、次はステージ2だよ」
辺りを見回せど人影一つ無く、有ったとしてもこの暗さでは判別も出来ないだろう。
大きな声を出しても何物にも届かず、声が途切れれば耳鳴りが聴覚を支配していく。
少し……いや、かなり心細い。
私以外に誰も居ないというのは、存外心を弱めるものだと、改めて気付かされた。
この状況から一刻も早く抜け出そうと、何か役に立ちそうな物は無いかと、身の回りを探る。
しかし、役に立ちそうな物は何一つ無い。着の身着のままで森の中に放り出されたかのようだ。
そもそも、何故私がこんな所に居るのか、それすらも分からなかった。
ここは、確かに幻想郷だ。
しかし、私が夢に見ていた幻想郷とは、大分違う様だ。
もちろん今の状況――夜の森の中だからというのも有るのかもしれないが、静か過ぎる暗闇は不気味ささえ湛えている様に思える。
幻想郷へと足を踏み入れられれた喜びよりも、未知の世界へ一人足を踏み入れる恐怖が勝りそうだ。
少し前、この森の中で気が付いた時より前の記憶が、朧気にしか残っていない。
しかしいくら記憶が曖昧でも、この場所に留まっている事が危険である事は確かだと確信出来る。
この状況を打破すべく、先も見え難い暗闇の中を、勘を頼りに私は進み始めた。
少し歩いて行くと、何か人影の様なものが視界の片隅から現れた。
見方……とは考え難い、そもそも私に見方が居るのかどうかも怪しいし、居たとしても顔も名前もよく分からない。
となれば、あの人影は通りすがりか、もしくは敵か。
その影は少しずつ私の方に近寄ってきている、少しずつ、その姿がよく見える様になってくる。
その姿が大分視認出来る様になって、その人影が人でない事に気が付いた。
背中の羽は、人間には付いていないものだ。
ならばあれは何者か、と考える前に、その人影は何かを私の方に向かって撃ち出した。
野球ボール大の丸くて光るものが、何も無い人影の掌から現れて。
幸いにも速度は遅く、何とか避ける事は成功したが、それで状況は変わるはずも無く。
それと同じ人影が、あちこちから現れては同じ様に私に向かって撃って来る。
なるほど、ここでは人間は攻撃される存在らしい。
非現実的な状況を楽しむ余裕も無く、私は飛んで来る物を避ける為に、必死になって逃げ回った。
精一杯の抵抗もした。 手近なものを投げつけて、反撃もした。
何とかしてこの森から出なければいけない。 あの何かに当たってしまったら、きっととても危険だ。
必死で逃げ回りつつも、助けになりそうなものを掻き集めて、時々抵抗する。
長く続く緊張で汗が滲むが、そんな事を気にかけている余裕は無い。
何度も逃げ回って、何度も抵抗して、何度も危険な目に会って、それでも私は逃げ続ける。
幻想郷は、ただの人間には厳しく在るものらしい。
長い緊張の中で、思考が鋭利に磨がれるかの様に、感覚が高まっていく。
やがて、敵の攻撃が少し治まってきた所で、私の目の前に小さな女の子が現れた。
子供の様に小さな体躯に幼さの残る顔立ち、白黒の少女趣味な服、森の中で出会うにはあまりにも不自然だ。
そうして疑い始めた頃、その少女はこちらに向かってルーミアと名乗り、2枚と宣言する。
二言三言会話を交わした直後、その幼い見た目に反し、さっきまでの人影とは大違いの激しい攻撃を繰り出してきた。
そのルーミアの向こう側には、微かに森の終わりが見える。 つまりどうにかしてこの少女を倒さなければ、森から出る事は出来ない
新たな幻想の世界をこの目で見たいが為、私に出来る精一杯の攻撃を仕掛けた。
しかし、ルーミアもそう簡単にはやられてはくれない。
所詮二十代半ば程度の力では、攻撃を中てた所で大した効果は出なかった。
その上決闘そのものに慣れているのだろうか、ルーミアは綺麗に避ける先を狙って来る。
攻撃を貰った回数はここまでで2回、意味も無く力の篭る掌を握り締めて、ルーミアを注視する。
不思議な交差を繰り返す攻撃を必死に避けて攻撃、そんな無様な戦い。
更に弱まった力で出来る事といえば、ただ攻撃を受けない様人事を尽くし、天命に祈る他無い。
だが、負けたくはない。
この森の向こうには、まだ見ぬ美しい幻想が待っているに違いないと、そう確信して。
やがて、不意にルーミアの攻撃が止んだかと思えば、それきり攻撃を仕掛けて来る事は無かった。
恐る恐る近付いてみるが、不意打ちという訳でもなさそうだ。
理由は分からないが、通してくれるという事らしい。 ならば理由を問う必用は無い。
何かを忘れている気がしたまま、意気揚々とルーミアの隣を進み、森の終点へと向かう。
そんな私の背中に、ルーミアは一言残してくれた。
「おめでとう、次はステージ2だよ」
幻想入りでは、多少の主人公設定は不可欠なはずなのに、それが無い。
思い出話って所にに引っ掛かりを感じるが……
なんにせよ、『主人公=自分』として読んだら面白かった。
一発ネタとしては、アリなのかなと。
他の方のコメを見て、とんでもない勘違いをしてた事に気付きました。
読解力の無さが恥ずかしい。
大変失礼しました。
穴があったら蹴り落として下さい!
紅魔郷のノーマルは結構あっさりクリア出来ちゃいましたね。
ハード?無理ゲーwww