Coolier - 新生・東方創想話

死ねない男 第3話「迷い」

2014/08/11 21:07:34
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「……」
月が綺麗な真夜中。俺は縁側に腰掛け、ぼんやりと夜空を見上げていた。
此処は博麗神社の裏手、霊夢の住居だ。
あの後、魔理沙は魔法の森に帰って行き、寝泊まりする所が無かった俺は霊夢のご好意に甘えて泊めてもらった。しかし、寝付けずにいた。
それも仕方ないであろう。何せ、突然あんな事を告げられたのだから。
…俺は、どうするべきなのか。この幻想郷の地に残るか、それともあらゆる侮蔑を受けながら元の世界に帰るか。
当然、帰るを選択するべきであろう。元の世界にやり残した事があるし、それを願ったからこそ手に入れた能力なのだから。しかし、俺は怖い。今まで仲良くしてくれた人が俺を蔑むような目で見てくるのを。最も恐ろしいのは、家族に捨てられる事だ。一人暮らしとは言え、俺にとって家族は、命と同じ位大切なものなんだ。それを失うのは、死ぬのと同じだ。
頭の中がぐしゃぐしゃになって気持ち悪いから無理やり寝る為に布団に潜る事にしよう。

霊夢は縁側で夜空を見上げる海斗を見ていた。心配で仕方ないのだ。
突然の幻想郷入り、人生を変える選択を迫られている。並みの人間なら心が壊れてもおかしくない状態なのだ。そんな彼を、どうにかしてあげたい。でも、方法が見つからない、そんなジレンマの中、霊夢も葛藤していた。海斗が立ち上がるのを見ると慌てて部屋に戻っていった。

朝になったのか、襖から日の光を感じた。
少し気分が悪いが、外にいた時のように素振りをしたいのだが、木刀が無い。
いずれ見繕うと心に決め、部屋を出た。
「あら、起きてたのね。おはよう。」
「おはようございます。」
居間に行くと霊夢が朝食を作っていた。味噌のいい香りが漂ってた。
朝から霊夢の笑顔が見れて少し嬉しく思っていた。
「海斗~、運ぶの手伝って~。」
準備が出来だのであろう。俺は霊夢のいる台所へ向かった。
本日の朝食は、ご飯に味噌汁、焼き魚に沢庵と、昔の日本を彷彿とさせるメニューだった。
「いただきます。」
「い、いただきます。」

「ご馳走様でした!」
「お粗末様でした。」
めちゃくちゃうまかった。霊夢は料理が上手いんだなぁ。
しっかりと出汁の効いた味噌汁、味が染み込んだ沢庵。ふっくらと炊かれたご飯に程よく火の通った魚。久々にこんなに旨い飯を食えて幸せだった。
食後のお茶を飲みながらぼんやりしていた。
この幻想郷は、向こうに比べて平和だった。東京はビルや車に人も多く、田舎育ちの俺には結構ハードだった。
「此処で過ごすと、きっと楽しいんだろうなぁ。」
…はっ!?しまった、口にでてしまった。
霊夢をちらりと見ると、真剣な表情をしていた。
「ねぇ、海斗。あなたはこの先どうするの?」
…わかっている。いずれは決めなくてはならない。
しかし、俺は迷い続けている。どうしようも無い蟻地獄からもがいてもがいて、それでも出れずにいる。
「…まだ判らない。俺にとっての最善策は何かなのか。向こうに戻ってやっていけるか。此処に止まっても生きていけるか。そもそもこの能力は何なのか。判らない事だらけなんだ。どうしようも無いんだ。」
霊夢は黙って俺の話を聞いていた。それのおかげか、少しだけ肩の力が降りた。
暫しの間があった。俺は言葉を発しなかった。そうしていると霊夢が口を開いた。
「例え、あなたがどんな選択をしたとしてもそれがあなたにとっての最善策なんだと思うわ。だから、この6日間。存分に迷ってね。でも、絶対に折れないで。最後の最後まで、あなたは強くいて。お願い…。」
最後のほうでは泣きそうなのをこらえたような声になっていた。
俺は嬉しかった。まだあって1日経った位の間がらなのに、こんなに俺を心配してくれて、気づかってくれてる。俺は、嬉しくて涙を流していた。
「う、ぐすっ、うああ、うああああああ!!」
こんなに泣いたのは久しぶりだった。霊夢は泣きじゃくる俺を優しく宥めていてくれた。

泣きに泣いた俺は、恥ずかしくて霊夢の顔を見られなかった。男のくせに女の子の前であんなに泣いて、一生の恥だな。霊夢は少し笑ったような顔をしながら
「ねぇ、海斗。あなたにこれを渡しておくわ。」
そう言い、霊夢は俺の前に三枚の札を置いた。
「これは護符よ。危なくなったら使いってね、必ずあなたを守ってくれるから。」
護符なるものを俺は受け取って、大事に左ポケットに入れた。でも、流石に何でもかんでも霊夢に頼ってばかりは嫌だったので、俺は霊夢に相談した。
「なぁ霊夢。この世界に木刀か刀ってあるか?」
霊夢はきょとんとしていた。
「いや、護符を貰ってありがたいんだけど、それでも一様身を守る手段が欲しいし、素振りもしたいから。例え、向こうの世界に帰る事になっても、せめて一人でこの地を散歩して色々見てみたいし。」
暫し考える仕草をした後、
「なら、少し遠いけど行ってみましょう。」
そう言い立ち上がった。何だか淋しそうな顔をしていたのは気のせいだろうか。

一時間位たったであろうか、俺と霊夢は魔法の森の近くにきた。あの時の事が脳裏に浮かぶ。あまりいい気分では無かったので、霊夢に行き先を聞く事にした。
「なぁ、何処に行くつもりなんだ?」
すると前を向いたまま
「じきに着くわ。」
とだけ言った。
暫くすると目の前に小屋みたいなのが見えてきた。そこには看板がありそこには、
「香霖堂」と書いてあった。
「ここは?」
「まぁ、いわゆる雑貨屋ね。」
そう言うと扉を開け中に入って行った。俺も慌てて後を追った。
「いらっしゃい、って霊夢さんか。」
「何よその言い方。」
ジトッっとした目で睨んでた。
「後ろの方は?」
店主は俺の存在に気づいたのか聞いてきた。
「藤海斗です。はじめまして。」
「これはどうも、森近霖之助と言うものです。宜しくね。」
裏の無さそうな、爽やかな笑顔を向けてきた。
「それで、本日はどのようなご用件で?」
霖之助さんが聞いてきたので答えた。
「えっと、木刀と真剣が欲しいんですけど。」
「木刀と真剣ねぇ、ちょっと待っていて下さい。」
そう言うとカウンターの奥の部屋に消えて行った。三分位した位に三つの箱を出してきた。
「この二つは小太刀と普通の木刀。これはいいんだけど、もう一つはあまりお勧めしないな。この箱は真剣何だけど、ここにある前から錆びていて使い物になるか判らないんだ。」
そう言い、それぞれ指を指しながら説明してくれた。錆びているなら研いで使える筈と思い。
「三つとも下さい。後、できれば砥石も下さい。」
「まいど、代金は霊夢のつけでいいよ。君、ここの人間じゃないんだろ?」
鋭い、何故わかったのだろうか?…服装で判るか。でも、霊夢のつけとなると迷惑がかかる。ちらりと横を見ると、
「それでいいわ、ありがとう。」
といい箱を受け取っていた。俺はその箱を譲り受けた後、霖之助さんと話がしたいと言って霊夢に先に帰って貰う事にした。

海斗は、私に有らん限りの悩みをぶつけた。嬉しかった、彼が頼ってくれていることが。それが、嬉しくて嬉しくて仕方なかった。彼を、せめて、帰ってしまうとしても、それまでの間は頼れる私でありたいと決意を決めた直後、彼は私に遠慮してか、防衛手段として刀が欲しいと言った。そんな事は無いのに、彼は全てを背負うつもりでいることがわかった。自分の事は自分て解決しようとしている。周りに迷惑をかけんとしている。さっきの嬉しさとは反対の寂しさが霊夢を包んでいた。それでも彼の希望通りに動いていた自分。霊夢の中で彼に対する感情は、ゆっくりゆっくり、ぐらぐらと揺れていた。

霖之助さんと話をしていた。彼はどうやら人間ではなく、妖怪と人間のハーフだそうだ。この幻想郷の人間達は、妖怪に畏れながらも共存している。不思議な所だった。話込んでいて時間を忘れ陽が暮れてきたため、急いで帰る事にしさた。霖之助さんは、帰り際になって、木刀用に鞘を二つプレゼントしてくれた。念のため帯刀して帰っていった。二十分もした頃、魔法の森は元々薄暗かった為か既に前を見るのが厳しかった。こんな中にいるとあの時の事を思い出して足が竦みそうだった。気を紛らわすように頭を振って走った。再び二十分位たっただろうか、既に息切れしていた。四十分も走ると流石にキツい。漸く森を抜け出せた時、後ろから音がした。体力を消耗していて集中力が鈍っていた俺は、深呼吸をし落ち着いて状況判断した。草を踏みしめる音、獣のような鳴き声。狼か?と思い早めに離れようと前を向いた時、その音の主であろうものが、行く手を遮った。目の前にいたのは人間より一回り大きい、狼の容姿をしたものだった。鋭い爪、長い牙。口からは涎が垂れていた。あの時みたいだ。ルーミアに襲われた時の事が頭をよぎり、油断した時に俺は、爪に引っかかれた。
「ぐはっ!」
近くにあった木に叩きつけられ体の中の空気を吐き出した。左側の腹を抉られていた。呼吸するのが辛い、血の流れ止まらない。俺は痛いのをこらえて立った。逃げるのでは無い。腹を抉られ、普通なら余裕の無いなか、俺は落ち着いていた。理由は簡単。一つ、ルーミアの方が恐ろしかった。二つ、今は相手がしっかり見えている。三つ、俺は、自分自身にもう負けない。さっきのように恐怖に戸惑う俺が、弱い俺が嫌いだ。俺が最も嫌いな事は、自分自身に敗北する事。俺のプライドに賭けて、こいつを切り倒す!そう決断し、腰にある木刀を抜いて構えた。

To Be Continued
はい、どうも皆さん、子雀です。今回は青年海斗の迷いを描いてみました。自分自身に打ち勝つために戦いを挑む所で、次回は彼の決断に触れていこうと思います。この度は、数々のアドバイス、評価をくださって、誠にありがとうございます。次回も何卒よろしくお願いします。
子雀
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コメント



0.100簡易評価
2.10名前が無い程度の能力削除
あんた絶対原作知らないだろ?
まず原作学んでから来い。
4.無評価名前が無い程度の能力削除
東方の顔とも言える霊夢が誰てめえ状態
原作をろくに把握せずオリキャラありきの物語なんて受け入れられん
5.無評価名前が無い程度の能力削除
主人公、幻想郷へ→ルーミアに襲われる→霊夢に出会う。
ここまで話がテンプレ過ぎます。次回は魔理沙の登場ですか?紅魔館を舞台にレミリア倒して一部完ですか?
自分の物語なのだから、自分の好きなように物語を制作してください。
死ねない男だから、最初フランにボコられるのもいい。主人公を元気づけるのがメディでも全く問題ありません。
もっともっと自分の好き勝手に、自分の好きなキャラだけで物語を作ってください。

他の皆様がキャラ崩壊を指摘してますが、物語が面白ければ誰も文句言いません。
話がテンプレで面白くないから文句言うのです。
最初に比べ文章はずっとうまくなってます。頑張ってください。
6.無評価名前が無い程度の能力削除
まず書きためて量を確保し、推敲を重ねて質を高める努力をしてください。
このサイトの他の作品や、市販の小説などを読んで文章について学んでください。
新しい話を投稿する前に、投稿済みの話をまともに読めるレベルにしてください。
そもそもこのサイトが、オリキャラ幻想入りが受け入れられやすい土壌かどうか、よく見て考えてください。
オリキャラ幻想入りそれ自体がまるで駄目だとは言いませんが、現状あなたの作品では良しとされるのは難しいでしょう。

あなたの状態は投稿をするには早すぎるのではないでしょうか? 功を焦ってはいませんか?
いったん投稿を中断し、じっくり腰を据えて力をつけるのが先決だと思います。
7.30名前が無い程度の能力削除
いいんじゃないかなぁとは思うけど、まず話の展開が遅すぎるよね。
これはぶっちゃけちゃうとあんまりよくないかもしれないけど、原作知識なんかは二の次で、とにかく面白ければ問題ないのよ。(まあキャラの名前間違いはよろしくなさすぎだけど)設定なんかは、タグに「独自設定」って書きゃ問題ないしね。
あなたの作品が不評なのは、単純に面白くないから。
区切る部分が根本的に間違ってると思うよ。起承転結で言うなら、「起」の部分を更に四等分して小出ししてる感じ。それじゃ駄目だよ。
ここでは基本的に続き物はある程度の長さがないと厳禁だし、小出しするんならよっぽど気になる引きじゃないと不評を買うだけ。
多分一話~四話で纏めて出してようやく一区切りってのが普通なんじゃないかな。
まぁ、仕上げた作品をすぐに投稿したくなる気持ちはよく分かるけど、そこは抑えて。なんでも、溜めて出すってのは気持ちいいもんだよ。
四話が仕上がったら、一~四話までをまとめて「一話」として再編集した方がイイとは思います。
これはあくまで一読者の一意見なのでスルーしてくれて一向に構いませんが。
まあ、頑張ってね。
9.40名前が無い程度の能力削除
東方で幻想入り書きたいの事実っぽいから多少は独自設定で(知らなくて)もええやん?とは少し思います。そう言うのは今後直していけるし。「霊夢さん」も、客として来いよみたいな皮肉かもしんないし。
ベジータのザーボンさん呼びみたいな。
こーりんの性格だって正しく書かれてる作品とかほとんどお目にかからないし、こーりん堂読んでない人だって相当数存在してます。
最初から文章が上手い人なんていないし資料確認の不備があったり、最初は一発ネタの気配があったにしろ(ぶっちゃけ今もネタの香りがするけど)、指摘とかで徐々に文章とかを改善してきている以上、ボロクソにおとしめられる謂れは無い訳で。
なぜなら、今回は90年代ラノベっぽいテイストで、ほんのり「有り」かな?と思ってしまったからです。
主人公の彼も素の性格はまだ把握しきれませんが、少なくとも礼儀を欠いてる訳では無いし、そこまで不快ではありませんでした。
ただ、「しまった、口に出てた!」の辺りはやっぱり90年代ラノベっぽいノリだと思います。
ネタが古いw
それ以外は多少展開が強引な物の、概ね「普通」です。テンプレから外れなさすぎて、物語に個性が無い。そこでマイナス10点。
ですから、普通の50点から10点引いた40点を置いて行きます。
ネタにしろ本気にしろ、創想話で「これ系」の話が三話続いたのは驚嘆に値します。(普通は折れる)
ルーミアの辺りで作者失踪もテンプレの一つと言えるので、次こそが最初のヤマ場と言えそうですね。
今後も続けるつもりならルーミアをかなり上手く処理しないと無茶苦茶言われるとは思いますが…自分だったらどうすれば良いのか思い付きません。
どうするのか(色んな意味で)期待してます。
11.40名前が無い程度の能力削除
霊夢やこーりんがなんでこんなにいい人なのかが純粋に疑問でした
甘いというか

まあ全体的に純粋な何かは感じますけど
12.無評価名前が無い程度の能力削除
プロローグの4氏は皮肉だったと思うんですけど。どうしてそのままの展開を書けるのか、激しく疑問。
マジレスするなら、神職でも見習いでもないのに神社に住み込めるかっつーの。
けーねに頭下げて里に置いてもらえ
13.無評価名前が無い程度の能力削除
オリキャラはいいけどオリキャラのために東方キャラを都合よく改変とかやりすぎるのは勘弁だわ
14.10名前が無い程度の能力削除
すごいっすまじすごいっす