Coolier - 新生・東方創想話

スノウ・ウォーズ

2008/12/19 20:14:51
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雪合戦・・・それは、冬の風物詩。



雪合戦・・・それは、プライドを賭けた真剣勝負。



雪合戦・・・それは、人間と妖怪と妖精が、持てる力を総動員する、究極の合戦である・・・。





                                      BY、魂魄 妖忌



















































雪で出来た弾幕の中を、かいくぐる。

味方と離れてから、随分と経つ。

足下を、雪玉がえぐる。

・・・中には、石が入っていた。

ヲイ。

そんなわけで、今現在、鈴仙・優曇華院・イナバは、孤立状態にあった。

・・・現在、永遠亭側は、窮地に立たされている。

相手は、白玉楼。

構成する人員の殆どが、幽霊という、何とも卑怯な布陣だ。

おかげで、雪玉がすり抜ける。

・・・これって卑怯じゃない?

そのせいで、半数以上の兎達が戦死した。

主部隊は、未だに生存しているが、竹林を抜けて攻め込まれるのも時間の問題だろう。

こうしている間にも、あちらこちらから、兎妖怪達の悲鳴が聞こえる。

鈴仙の師匠である、八意 永琳に『秘策があるから、時間稼ぎをよろしく』と言われ、生存していた前線部隊を引き連れて頑張ってはいるが



・・・もう長くは持たない。



「ハッ・・・ハッ・・・いい加減、こっちも限界だからっ、急いで欲しい、なあっ!!」



飛んできた雪玉に、雪玉を投げつけ、相殺する。

先程から、狂気の瞳もフル活用で、回避に徹する。

そこに・・・。



「覚悟っ!!」

「!?」



上からの大量の雪玉を、地面に転がって避ける。

そして、地上に降りてくる半人半霊の剣客。



「我々の勝利のため・・・ここで討ち取らせていただきます」

「うわぁ、最悪・・・」



とうとう、相手は主戦力を投入してきた。

そして、周りには数えるのも面倒なくらいに増えた幽霊。

狙いは全て、鈴仙に向けられている。

正に、絶体絶命。

だが、その状況で・・・。



「?・・・まだ、笑う余裕があるんですか?」



笑っている。

鈴仙は、この状況で、笑っている。

その光景に、薄ら寒い物を覚えた妖夢は、幽霊達に攻撃するように命じようとしたところで。

この一帯のみが、影を落としている事に気付いた。



「え?、何・・・・・・!?」



上を見上げ、青ざめた。

ここら一帯を埋め尽くすほどの雪玉。

それは既に、雪崩と呼称しても差し支えないほどの規模だった。

慌てて妖夢は後ろに下がる。

時間にして数秒。

しかし、妖夢にとって、悪夢の数秒間。

迫る雪壁と、逃げる妖夢。





そして。





竹林の一部が、白く染まった。











・・・・・・











「はっ、はっ・・・・・・はっ・・・・・・」



危なかった。

幽霊ならともかく、半分とはいえ生身で生き埋めなんて御免だと妖夢は思う。

だが、唯一実体を持つ自分が無事なのだ。

そして物理攻撃をすり抜ける幽霊達ならば、簡単に体勢を立て直すことが出来る。

妖夢は、体に付いた雪を払いながら起き上がる

そして、幽霊達に呼びかけようとして、絶句した。

・・・・・・幽霊達が、全て雪に埋まっていた。



「・・・・・・は?」



何故、どうして、という疑問は沸かない。



「・・・取りあえず、敵将、討ち取ったわ」



その前に、妖夢の意識は刈り取られたのだから。











・・・・・・・・・











竹林の外周部。

その場所に白玉楼の主である西行寺 幽々子は陣取っていた。

七輪で餅を焼きながら。



「はふ・・・やっぱり、お餅は焼きたて、つきたてが美味しいわぁ~~~」



黄粉と砂糖を混ぜた物を、焼けた餅にたっぷり付け、頬ばる。

熱いには熱いが、幽霊だから火傷はしない。

ある意味究極の食べ方である。

幽々子は、ほふほふと美味しそうに、山ほど積んである餅を食べていく。

そうして、餅を食べていると。



「あら・・・」



雪玉の集中豪雨が竹林に降り注いだ。

それを見て、幽々子は。



「妖夢達・・・負けてなければいいけど・・・」



ポツリと、そう呟いた。

実際、この時点で全滅しているのだが、幽々子には知るよしがない。





















・・・・・・・・・























『白玉楼、まさかの敗北!?』



まさかの優勝候補敗退に、幻想郷は、大いに沸いた。

まさか。

あのチート軍団が。

そんな馬鹿な。

だが、対戦勢力の名前を聞いて、皆、仕方がない、と思った。



『勝者、永遠亭』



その名を聞いて、ある者達は、戦意を大いに燃え上がらせた。

また、ある者達は、永遠亭に対する情報を元に策を練り直していた。

だが同時に、永遠亭に感謝していた。

物理攻撃の通用しない、無敵と言ってもいい相手を、早々に戦いから脱落させたのだ。

その行いに、参加勢力全てがそれぞれに賞賛した。

だが、皆忘れてはいない。

いつか、相対する相手だと言うことを。

越えなければ優勝には至らない、と。





















・・・・・・・・・





















「と、言うわけで、早急に対策を立てる必要があると、私は思うんだ」



開口一番にそんな台詞しか言えないこのモノクロ魔法使いにこそ、対策が必要ではないのかと、博麗 霊夢は思う。

・・・今日も茶が旨い。



「・・・だから私は、って、呑気にお茶飲んでる場合か!?」

「慌てて飲んだら火傷するでしょ?」

「そう言う事じゃなくてだな・・・ああ、もう、霊夢はおかしいぜ」



私から見れば、雪合戦ごときに熱くなるアンタらの方がよっぽどおかしい。

そう言ったとたんに、魔理沙は急に立ち上がり、雪合戦に対して、熱く語り始めた。

やれプライドを賭けた戦いだとか、冬の一大イベントだとか。

霊夢は、矢継ぎ早に入ってくる言葉を聞き流しながら、お茶をすする。



「・・・そして、勝った奴には豪華賞品だって言ってたんだ!、参加しない手は無いだろう!?」



豪華賞品。

その単語に、巫女の心は揺れ動いた。



「・・・それ、本当?」

「あん?、パチュリーの写真集が出るなんて、私はデマだと思うぜ?」

「何の話よ・・・私が言ってるのは、豪華賞品の事よ」

「おう、ホントホント・・・出資者は、参加勢力の殆どだからな・・・さぞ豪華な賞品だと思うぜ」

「むう・・・」



商品は気になるが、いかんせん寒い。

さて、どうしたものか、と考えながら、霊夢がお茶をすすっていると。



「あら、霊夢は参加しないの?」



声を発しながら降りてきたのは、魔理沙と同じく、魔法の森在住の魔法使い。



「おお、そっちはどうだった?」

「全然ダメね・・・勧誘するのが、遅すぎたわ」



肩をすくめて首を横に振る。

その仕草に、魔理沙は溜息を吐く。



「あーーーー、やっぱりか・・・・・・と、なると」

「ええ、そうね」



グリン、と頭だけを霊夢に向ける。

アリスも、霊夢に視線を向ける。

だが、期待の星は。



「やだ、寒いから」



にべもなく、言い放つ。



「ええぇーーーーーー?」

「そこを何とか、ね?」

「・・・って言われても、寒いもの・・・動く気になんないわ」



無理無理、と、お茶をすすりながら答える。

頼み込む魔理沙達と、断る霊夢。

すると、そこに。



「へえ・・・・・・なんだか面白そうなことやってるじゃない」

「?」



その声に、魔理沙達は振り返る。



「あ、不良天人」

「やほ、元気してる?」



そこには、不良天人こと比那名居 天子の姿。



「丁度退屈してたの、面白そうなことがあるなら、私達も混ぜなさいよ」

「おお!、混ぜる混ぜる、喜んで混ぜるぜ」

「人手不足なのよ、天人でも妖怪でも、歓迎するわ」



手を叩いて喜ぶ二人。

そこに、何を思ったのか、霊夢が話し掛ける。



「ねえ」

「お?、霊夢も参加するのか?」

「や、そうじゃなくて・・・」



後ろ、と、指を指す。

首を傾げながらも、霊夢の指した方向に、首を巡らせる。



「お、いつぞやの電気鰻」

「あら、いつぞやの電気鰻」

「電気鰻ではありません、竜宮の使いです・・・・・・それはそうとして、総領娘様、また勝手に抜け出して・・・」

「良いじゃない、上には飢えも老いも無い、けれども退屈だけはどうにもならないわ・・・衣玖も、よく知っていると思うけど?」

「ええ、良く存じております・・・しかし、他の方々は・・・」

「他の奴らなんて、知った事じゃないわ・・・私は、私なりの方法じゃないと、暇をつぶせないの」



その言葉に、何を言っても無駄だと悟り、溜息一つ。



「・・・はぁ・・・・・・程々になさってくださいね?」

「判ってるわよ・・・と、言うわけで」



お目付役の了承を得て、天子は胸を反らしながら、魔理沙達に振り返る。



「私『達』も、参戦することになったわ・・・よろしくね?」

「よし、それじゃあ『四人』で霊夢の説得しようか」

「へ?」



何か、おかしな表現が無かっただろうか。



「と、言うわけだ、霊夢、手を貸してくれ、な?」

「えぇーーーーー?」

「ちょ、あの?」

「あら、どうかしたの?」

「今、四人って言いませんでした?」



今、魔理沙は四人で、と言った。

明らかにおかしい。

今現在此処にいるのは、魔法使い×2、巫女×1、天人×1、そして、竜宮の使い×1の、合計五人。

そのうち、巫女×1は、今から勧誘するとのこと。

すなわち。



「ちゃっかり私まで数に入れないでくださいよ!」

「おいおい、天人には竜宮の使いもセットで付いてくるんじゃないのか?」

「バリューセット!?、私は、付いてて嬉しいおまけか何ですか!?」

「え?、違ったの?」



さも意外そうな天子の言葉に、衣玖はさめざめと泣いた。



「まあ、アイツはアリスに宥めて貰うとして・・・・・・霊夢!!」



ビシッと指を突きつけて。



「雪合戦、や ら な い か !?」

「断る」



一刀両断に切り捨てられた。

どうやら、チーム博麗神社(仮)の受難は、まだまだ続きそうだ。





















・・・・・・・・・





















「あたしの出番は無いのかい・・・・・・そうかい・・・・・・」



境内裏で、お呼ばれされなかった悪霊が、さめざめと泣いていた。
未だに熊本には雪が降りません。

そんな思いがキーを走らせ、書いてしまった雪合戦。

題名も、直球です。

ああ、雪、降りませんかねぇ・・・・・・。



そんなわけで、ご感想、ご意見など、ございましたらお書き下さい。
GUNモドキ
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コメント



0.450簡易評価
5.40名前が無い程度の能力削除
ここで終わるの? 話が広がるのはこれからじゃないか!
6.無評価GUNモドキ削除
希望があれば、続きを書きますよ?
二回戦目は紅魔館辺りにスポットライトを当てたいですね。
7.60名前が無い程度の能力削除
希望があればって、普通こういう作品は続かせると思うのですが。
じゃないと投稿する意味がないでしょ。

まぁ期待込めてこの点で。
11.40名前が無い程度の能力削除
永遠亭がなぜ勝てたのかという説明がなく、話もなんとなく中途半端な感じ。
13.80名前が無い程度の能力削除
ぜひ続きを書いてもらいたいです。
楽しみにしてます!
14.無評価名前が無い程度の能力削除
これで全部?
分類に「だいたい全員」とあるので、ほぼ全ての東方キャラが登場するのかと思いました。
物理攻撃が通じない幽霊を相手に勝利した永琳の秘策も明らかにされていませんし。
評価はフリーレスで。
19.80有風削除
ずっと縦スクロールバーの残りを気にしながら読んでましたw
続編希望です。次回作への期待をこめてこの点数。

それと、
>・・・中には、石が入っていた。
核攻撃は、南極条約違反ですよ?w
20.30名前が無い程度の能力削除
話自体はかなり楽しかったです。
ただ、作者のコメからするとこのまま口を拭って知らんフリする可能性もあったので、
色々複線用意しときながらの小汚いやり口に-50点
22.70名前が無い程度の能力削除
後書き見て、「熊本ってここ何年か雪ふったけ?」と思った熊本県人がとおりますよっと。

とても面白かったです。
ただいろいろ分かってない事や続きがきになったりするのでこの点で。
23.80名前が無い程度の能力削除
できれば続きを。早急に。
えーりんの秘策、説明もほしいし。
24.60名前が無い程度の能力削除
割とおもしろかった。
続き?書きたきゃ書けば?