Coolier - 新生・東方創想話

風鳴りの日に

2009/10/31 10:34:51
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「むぅ」
 ちりん、ちりんと風鈴が鳴る。風が凪ぎ、揺れの残りのみで音を鳴らしている様は、鳴くの方が正しいのかもしれないが。
「そろそろ、外した方がいいですかねぇ、これは」
 阿求は一人呟く。ざぁ、と吹き去った風の音の後には、その声しか聞こえなかった。
 猫たちは、数ヶ所で集まり、違う熱を互いに分けあっている。
「面倒だからと、外すのを渋ったのが悪かったですね、やっぱり」
 一つ、溜息。
 大仰に吐き終えて、くすりと笑った。
「こんな風鈴ひとつに溜息を吐いてたら、幸せが零になりますかね」
 ちりん、と指で風鈴を鳴して、ゆっくりと取り外した。
「あ……」
 ふつと呟いて、風鈴を振る。ちりん、ちりんと数度鳴した後に、耳の横へと持っていった。
「うーん……、やっぱり大き過ぎますよね」
「なになに、ピアスでも欲しいの?」
「まあ、そんなと、……いつ来たんですか、ミスティア」
「ついさっき。面白かったよ、阿求を見てるの」
 後ろから聞こえたそんな声に、阿求の顔は薄い紅に染まった。振り向くと、またちりんと風鈴が鳴る。
「あー……、赤いね、空」
「寝過ぎですよ、ミスティアは」
「夜雀だし、夜型だからね」
「いつもは、お昼前に起きてるじゃないですか……」
 そう言いながら、目を瞑り溜息を吐く。そんな阿求の姿を見て、ミスティアは首を傾げた。
「どしたの?風邪?」
「貴方の、ねぼすけな、ところに、溜息を、ついた、だ、け、で、す、よぅだっ!」
 顔を赤く染めて、阿求が大きな声を出す。赤く、とはいっても羞恥ではなく怒りによるものだが。
「何度起こしても起きて来ない、起きてきたら起きてきたで、……いや、もうい
いです」
「い、言うなら最後まで言ってよ。ねぇ、阿求さん」
「どうせ、鳥頭ですし、忘れちゃうんでしょう?」
「お、怒ってる……?」
「当たり前です!」
 普段聞かぬ阿求の大声に、ミスティアはびくつく。羽根はぱたぱたと動き、指先もぴくん、と跳ねた。
「そ、その、埋め合わせ、とか」
「いらないです」
「じゃあ、あの、えっと、」
「なにもしなくていいですから」
 ぽたりと、汗が一滴、垂れた。
「あのね、あきゅ」
「黙りなさい」
「……はい」
「……ふぅ。もう、いいですよ。そんな風じゃ、怒る気もなくなりますから」
「え、と、その、許してくれる、んだよね?」
 にこり、と、阿求が笑う。
「許すわけじゃないですけどね、もちろん」
 そう耳元で囁いて、耳たぶに触れた。
 ころん、とした、ピアス。
「さっき、聞きましたよね?ピアスがほしいのかって。だから、これ」
「いぎっ!?」
「あっと、その、痛かった、ですか?」
「当たり前!阿求は取るの慣れてないんだから」
 ピアスが赤く染まる。
 血ではなく、太陽の光で、だが。
「その、ごめんなさい」
「もうしないでね、今回はいいけど。ほんっとうに、痛かったんだ、って、なにやってるんだろうね、私たち」
「ですね」
 くすり、なんて笑い声が二つ合わさって、ちりん、という音に薄れた。
「今度は、しっかり起きてくださいね」
「はいはい。もちろん」
「はいは一回」
「はいはいはい。まあ、忘れてなかったらね」
「次は、ピアスを引っこ抜きますから」
 ミスティアが慌てて耳を隠したのは、言うまでもない。


 夜、屋台にて。
「あれ?みすちー、片耳どったの?」
「あー、えっとねぇ、阿求にあげちゃった」
「仲いいねぇ、あんたら」
「いやまあ」
「なんかむかつくんだけど、その言い方」
 夜は更けていく。
久々に書き上げれた
これは、九月ぐらいに書き上げるはずだったものなので、やはり季節感がおかしい
いくつか書いてるけど、半分ぐらいでとまる、止まる
それにしても、ミスティアのピアスがかわいい
カリスマあふれるミスティアのピアスがかわいい
なんという挑発、なんというかわいいピアス
そうだ、花映塚をやろう
◆ilkT4kpmRM
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コメント



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素敵な雰囲気でした。大満足。

でも、冒頭2行くらいになんか違和感が?
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ミスティアの耳もふもふしたい
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そういえば案外ピアス開けてる妖怪多いね。

阿求が耳に穴開けるの想像できないww
10.100名前が無い程度の能力削除
誤字報告
>羽根は亜ぱたぱたと

>次は、ピアスを引っこ抜きますから
次はってことは、結局ピアス抜いてないってこと?
12.100名前が無い程度の能力削除
◆ilkT4kpmRM氏は本当に良い仕事をしてくれたよ。
14.100名前が無い程度の能力削除
最後の会話は耳を阿求に千切り取られたみたいに聞こえる