Coolier - 新生・東方創想話

怪盗ジェラシーアイ

2010/06/05 02:27:01
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 見ぃーつめるキャッツァイ♪ふーふふん、ふんふん♪
 みぃーどりいろにひかーぁる♪



 やあ、よい子のみなさん!怪盗ジェラシーアイよ!
 キャッツァイ?誰それ?

 私は妬ましいと思ったものを盗むのが日課なの。
 盗んでどうするのかって?そりゃ捨てるでしょ。妬ましい物並べて何が楽しいのよ。
 それじゃ怪盗じゃない?うっさいわね、どうでもいいでしょそんなこと。盗むわよ?

 ま、それはおいといて。

 今日の獲物は何かしらね?ふふ、楽しみだわ!



 ミステュリァアスガァール♪





 うん、さすがにこれは予想外だったわ。
 とりあえずなんでか朝起きたら勇儀が私の隣で(しかも半裸で)寝ているという状況は実に理解しがたい。わけがわからない。
 というか、こうなる状況を予想してる奴がいたら怖い。
 寝る前に「きっと朝起きたらゆかりんが半裸で隣に寝ているはず」なんて考えてたらイタい。洒落にならない。
 私がそんなものを見つけたら蹴る。脇腹辺りをおもいっきり蹴る。そんでもって盗む。盗んで捨てる。土手に。
 というか、マジで何で寝ているんだ。ゆうべたのしんだ覚えはないぞ。
 朝チュンとかねーよ。リア充爆発しろ。寧ろリア充に自爆テロしたい。ジェラシーボンバーをぶち込みたい。そんでもって盗む。盗んで捨てる。土手に。主に汚い土手に。

「んあ、パルスィ?」

 なんて朝からいろいろ妬んでる間に勇儀が目を覚ます。
 ねむたげに目を擦る姿はかわいい。しかも髪は乱れてはいるのにとにかく綺麗だ。世界が嫉妬する髪である。ついでに半裸。えろい。
 だが朝チュンは死ね。

「んあ?じゃないわよ。何してんのよ。」
「パルスィの幸せな夢見てた!」

(≧∀≦)b<パルスィの幸せな夢見てた!

 じゃねーよ!何でここに寝てんのか聞いてんだよ!無駄に幸せそうな顔してんなやこのリア充!いや夢充!
 クソッ、私もみてーよ勇儀の夢!妬ましい!妬ましいぃぃぃぃぃ!!

 決めた。今日の獲物。
 勇儀を盗む。心?全部に決まってんだろ。
 捨てる?なわけねーだろって。

 私は勇儀の腕を掴んだ。離さない。

「勇儀ゲェーッツ。」
「はっはっはっ、捕まってしまった。」

 笑ってるし。鬼ってのは常に酔っ払ってんのか。

「よっしゃー、お宝げっとー、もう勇儀は私の物よー(棒読み)」
「ああそうだな。大切にしておくれよ。定期的にお酒を与えるのも忘れてはいけないよ。」

 やったー、さりげなく勇儀にプロポーズできたー。家族が増えるよやったねパルちゃん!さらば非リア充ふぉーえばー。

「じゃなくて、なんで私の隣に寝てるの。」

 勇儀はまだ酔っ払っているのか、私の腕に頬を寄せながら答えた。

「あーん?家まで帰るのめんどーだったからパルスィのベッド借りたんだよ。寧ろパルスィを借りた。抱き枕的な意味で。」
「の割には抱き着いてなかったわね。」

 どうせならそっちの方がよかったのは言うまでもない

「パルスィが一晩かけて全身複雑骨折してもいいならやるよ。」
「怖いわ!そんな破壊神が隣で寝てたら怖いわ!」

 寝相の裏拳で鼻が折れかねん。

「つーかなんで半裸?」
「パルスィがあったかかったからさ……。」
「………………さいですか。」
「そんなことより挙式はいつにしようか。」

 さっきのプロポーズ半分冗談だったんだが。
 まぁいいや、どうせ毎日くるんだし、特に問題あるまい。

「あーそうねーそれより先に結婚指輪が必要よねー。」
「高いよ?」
「私は怪盗よ?」
「盗むより略奪の方が好きだなー。」
「野蛮ねぇ。で、どこ行ったらあるかしら、結婚指輪。」
「紅魔館みたいな西洋の屋敷行ったら宝石くらいあるだろう。」
「目標決定。ところで勇儀は全身タイツとかある?」
「あるよ。」
「なんなら私の予備用とか……ってあるんかい!」

 なんのために持ってるんだ。








「ってファイティングスーツやないかいっ!!」
「ネオ地霊殿代表の星熊勇儀とは私の事さ。」

 どこのガンダ〇ファイターだ。
 動きやすいのは分かるけどさ。









 見ぃーつめるキャッツァイ♪ふーふふん、ふんふん♪
 みぃーどりいろにひかーぁる♪



 やあ、よい子のみなさん!怪盗ジェラシーアイよ!
 この度晴れてリア充の仲間入りを果たした私はダーリンとともに結婚指輪を盗みに来たわ!


 悪魔の住まう屋敷紅魔館。
 二人の吸血鬼の姉妹と、それに使える時空使いの人間、そして七曜の魔女。あと門番がいる。
 誰もかれもが相当の実力者であり、生半可な力で挑めば一たまりも無い。
 しかし、私達は間違いなく実力者である自信があった。
 今回狙うのは"スカーレットダイヤモンド"
 ダイヤモンドの名を冠していながら、まるでルビーのように赤いガーネットであるという。

「いい?勇儀、怪盗が姿を見せるのはお宝を戴いてからよ。」
「分かった。」

 勇儀は頷いた。本当に大丈夫か。
 しばらく歩くと紅魔館の門が目に入った。

「うーん、流石紅魔館、門番がしっかり構えているわ。どうしようかしら。」
「まかせな!石破ッ!!」
「待ちなさい。」

 使えるのかよ流派東方〇敗最終奥義。

「忍ばないとだめよ。怪盗なんだし。」
「私は正面から乗り込むのが好きなんだが。」

 じゃあ勝手に囮にでもなってくれ。

「とにかく、なんとか忍び込めそうな裏口を探すわよ。」
「わかった、私は囮だな。」
「何自分から進言してんの!?」
「パルスィのためさ。」
「あーうん、ありがとう。」

 まあ勇儀の格好は隠密行動に向いてない。カラフルだし、両肩の突起が邪魔だし。






「超級覇王〇影弾!!」

 凄まじい轟音がなった。いくら囮でも派手過ぎるだろ。
 うわーサイレンなってるよー。つーかサイレン完備かよー。いつ、何のためにつけたんだよー。



 さて、紅魔館には窓が無い。
 しかし、それが幸いした。窓が無いなら、かならず通気孔があるということなのだ。
 案の定、通気孔を発見。きっと広く内部に展開しているに違いない。
 通気孔に入り込む。いや、なかなか怪盗らしい姿だと思う。
 警報さえなっていなければ。

 いや、分かってる。分かってるよ?あの警報は勇儀に対してのものだってぐらい
 でもなんか嫌じゃん?ちょっと焦るじゃん?ね?
 ……と、戦闘の音が聞こえる。引き返して別の道を…………。

「く……メイド長!敵は強力です!私達では……!!」
「彼女を呼びなさい!」
「はい!」

 援軍を呼ぶ気か。大丈夫なのか?勇儀。



「「「助けて!レミィィィィィィィィィィィィィィ!!」



「はぁ?」

 思わす声が出た。


てってってってれーてんてて てんてれー♪

 軽快な音楽が流れだした。



 この頃流行りの女の子。
 お胸の小さな女の子。
 こっちを向いてよレミー♪
 だってなんだか だってだってなんだもーん。
 お願いーお願いーきずつけないでー。
 私のーカリスマぁーがーブレイクしちゃーうのー。
 イヤよ!イヤよ!イヤよ!見つめちゃYEAAAAAAH!(ここで叫ぶのがポイント)
 レミーフラッシュ!



「キューティーレミー、推参!」

 とりあえずハニーは推参とか言わない。

「レミー!」
「レミーちゃんだわ!」
「みんなのレミーちゃんが来てくれたわ!」

 皆の期待を一身に背負って、レミーは勇儀に立ち塞がった。

「貴様の悪行もこれまでよ!怪人……怪人…………いや、ガンダムファイター?」

 キュー〇ィーハニーVSガンダ〇ファイター
  シュールな光景だ。

「ふはははは!出たな!キューティーレミー!今日の私は一味違うぞー!」

 勇儀はノリがよかった。

「なんたって、我が恋人、パルスィの期待を一身に背負って囮をしているのだからな!!」

 そこで私の名前をだすなぁぁぁぁぁぁ!!

「パルスィだって!?」
「自称怪盗ジェラシーアイか!!」
「あの怪盗ジェラシーアイを自称している奴が我が紅魔館に!?」
「一体怪盗ジェラシーアイを自称している奴はどこにいるんだ!?」

 自称自称うるせぇよ!そこのキューティーレミーも自称だろうが!!

「星熊勇儀。大人しく怪盗ジェラシーアイ(自称)の居場所を吐けば見逃してあげるわ」
「鬼は嘘をつけないからな。今頃真上あたりに居ると思うぞ。」

 やっぱこいつ置いてくればよかったぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
 慌てて引き返す。

「はーはっはー!見つかってしまってはしょうがないわね!」

 はいぃ?
 まったくもって聞き慣れない声だった。

「天が呼ぶ地が呼ぶ人が呼ぶ!悪を倒せと私を呼ぶ!!」

 そんな声と同時、天井が崩れた。通気孔にいた私も当然落下する。
 そして、穴の開いた天井の遥か上から見下ろす影が一つ。

「美少女戦士ブレザームーン、月に代わって滅殺よ!」

 またなんか来た。滅殺ってなんだ。
 とにかく、私は回りの視線が真上にいるブレザームーンのパンモロに釘付けになってる間に、近くの部屋に隠れた。扉が吹っ飛んでいたので物音はたたない。

「……なんだうさぎか。」

 レミーは溜息をついた。
 咲夜も続く。

「うさぎみたいですね。パンツ見れば分かります。」
「見んな!!」

 スカートを押さえるブレザームーンだが、真上にいる時点で隠せていない。
 というかパンツで誰かわかんのかこのメイド。

「もう怒ったわ!覚えておきなさい、私のパンツを見た奴は問答無用で皆殺しなのよ!!」

 見せびらかしている痴女が言う事か!

「月の光よ……力を貸して!!」

 ちなみに月は出ていない。
 が、ブレザームーンが空に手を翳せば、そこに光が集まっていた。
 その光が、だんだん形を作ってゆく

「ブレザースティック!!」

 光が失せ、その黒い姿があらわになった
 その長さは約37cm。密室での近接白兵戦から比較的長距離からの一撃必殺の狙撃まで対応可能な――――――兵器!!

「M4アサルトライフル!?」

 レミーがその名を呼んだ。正確にはM4カービンである。
 物騒な変身ヒロインだ。

「バーティカルムーンライトバスター!!」

 ダダダダダダダダァン!!

 M4の銃口が火を噴いた。咲夜は素早くレミーを抱えて退避。素早くというかプライベートスクウェアだろう。

「勇儀っ!?」

 思わず私は声をあげた。
 逃げ惑う妖精達の中、勇儀は微動だにしなかった。
 床に穴を開ける銃弾の嵐、そして、それは勇儀に向かっても放たれた。
 真っすぐ飛んでくる銃弾を見た勇儀は、ファイティングスーツの両肩の取っ手に手を掛け、抜いた!!

「「「「「ビームサーベルだとォッ!!?」」」」」

 その場にいる全員が声をあげた。



「勇儀スラッシュタイフゥゥゥゥゥン!!」



 凄まじい竜巻。それは勇儀の周囲の弾丸を全て吹き飛ばした。
 その内一発が私の頬を掠めて。

「ひゃあっ!?」

 思わず声が出てしまった。

「………………。」
「………………。」

 手を広げたままのポーズで固まる勇儀。両手に折れた突起を持っていた。べつにビームサーベルではないらしい。
 その後ろで私とレミーが目を合わせていた。

「見つめ合~うと~。」
「すな~おに~。」

 お喋り出来ない。

 津波のようなわびしさに。

 I know…怯おびえてる。

「う~☆じゃなくて!」

 意外に歌声は綺麗なキューティーレミー。

「見付けたわよ怪盗ジェラシーアイ!!こそこそ隠れて卑怯な!来るなら正面から殴り込みに来たらどうなの!?」
「私は怪盗よ!?隠れてなんぼでしょうが!」
「キューティーレミーの言う通りだパルスィ!やはり行くなら正面からだろう!!」
「乗んな!!」

 もはや勇儀はどちらの味方かわからない。
 というか何者かすらわからない。両肩の突起が折れて、ただ変なカラーの変なタイツ来た変な奴でしかない。

「おいお前ら!無視すんな!」

 屋上まで吹き抜けの青天井からブレザームーンの声が聞こえた。相変わらずパンモロ状態である。もう痴女戦士パンモロムーンでいいだろう。
 それにキューティーレミーは食ってかかった。

「うっさい!ブレザームーンだかパンモロムーンだか知らないけど、勝手に人ん家の天井を吹き抜けにしておいて、床穴だらけにしておいて!あんたは一体何しに来たのよ!!」

 パンモロムーンの発想が被った。敵ながら気が合う。

「私は正義の使者!ならば悪を撃つ(×討つ)ために決まってるでしょ!!」
「だったら今すぐ首を吊れ!巨悪が一人消えるから!」

 ごもっともだ。

「くっ……!人のパンツを見た揚句死ね発言!!キューティーレミー、貴方は正義を気取った悪よ!」
「お前だよ!!」

 ちなみにパンモロムーンは既にスカートを押さえていない。
 と、勇儀が肩を叩いた。

「パルスィ、ここは私に任せてお宝を取りに行きな。」
「……もう、怪盗が駄目とか言ったと思ったら行けとか言うし…………。」
「確かにコソコソとした盗みはあまり好きじゃない。けど、無事に宝石を手に入れられれば私とパルスィは結婚できるんだろ?」
「うん確かにそうだけど自然な流れで死亡フラグ立てんな!しかも同意を求めんな!巻き込むな!」










 なんとか難は逃れた。スカーレットダイヤモンドのあるという地下へ向かう。
 薄暗い。化け物の一つでも出てきそうだ。
 なんて想像をしたら化け物が出てくるフラグである。そう、今私の後ろにいる奴とか。

「何かお探しですか?綺麗なお嬢さん。」
「あら、紳士的な化け物なのね。」
「誰が化け物だ。誰が。」

 イケメンな声が一気に少女に。
 振り返ってみれば、そこに白装束の金髪がいた。
 白いシルクハット、白いマント、目には片目眼鏡。

「…………怪盗キッ
「怪盗キッリサメだぜ。」
「…………。」

 語呂悪っ。

「いや、怪盗キリサメでいいんじゃないの?」
「怪盗キッ〇のパロディってわかんねぇじゃん?」

 服装で分かるだろ。わざわざ白黒返上してまで真っ白にしてるし。

「そんなことよりこんな所で何してんだよ、自称怪盗ジェラシーアイ。」
「なんなの?私のタイツに自称とか書いてあるの?というか、怪盗がこんな所にいる理由なんて一つでしょう?怪盗キッリサメさん。」

 キッリサメはニッと笑って。

「スカーレットダイヤモンドか?」
「貴方はどうなのよ。」
「そうか……そうだな、私もそうだ。スカーレットダイヤモンドを拝みに来たのさ。」

 微妙に含みのあるいい方だが、まぁ向こうには向こうの事情があるってことだ。
 私には関係ない話だろう。

「拝む?それだけ?」
「それだけだぜ。」
「ふぅん……そんなに綺麗なの?スカーレットダイヤモンド。」
「綺麗……というよりかわいいかな」
「小さいの?」
「ああ、小さいぜ。」

 まぁいいか、大きさとか。

「ところで止めないの?愛しのスカーレットダイヤモンドを盗もうって輩がいるのに。」
「はははっ、あれを盗むだって?無理無理」
「…………?」

 厳重体制なのか?
 だから見るだけって……。

「とれもしないものを見に行くの?まさか毎日?」
「私はあいつが好きなんだ。恋だと言ってもいい。」
「恋って…………。」

 ……まぁ、人の性癖は様々だ。痴女戦士パンモロムーンよりはマシな人間だろう。



 しばらく歩くと一つの扉が現れた。分かれ道は無かったし、ここが終着だろうか。

「スカーレットダイヤモンドはこの中なのね?」
「ああ。」

 白い貴公子は首肯する。
 私は扉に手をかけた。重苦しい巨大な扉だが、それはあっさりと開いて思わず身構えた。
 何も来ない。
 ……いや、来た。

「魔ー理ー沙っ!」

 小さな少女がかけてきて、キッリサメに抱き着いた。

「おーフラン。相変わらず可愛い奴め。」

 フラン、と呼ばれた少女は背中に虹の羽(妙な形である。飛べるのかあれで)を生やしていた。
 ふむ、吸血鬼に妹がいると聞いたことはあるが、まさか怪盗と仲がいいとは。
 スカーレットダイヤモンドを盗みに来たとは言っていたが、こいつに会うための方便という所か。
 それにしてもだ。

「魔ー理ー沙ー♪」
「おいおいあんまりくっつくなって、パルスィが見てるだろ?」

 ねったましっ!!
 なにこの典型的バカップル!!盗みたい!捨てたい!どこに?土手に!!
 クソッ!クソッ!リア充め!妬ましい!本当に妬ましい!!

 …………ふ、なにを、何を言っているのか水橋パルスィよ。
 私はなんだ?橋姫?怪盗?いやそれ以前に。

 私はリア充だ!!

 勇儀という唯一ぬにの超美人フィアンセをもつリア充だ!!
 それに対して今の私の行動はなんだ?
 ふはははははっ!!笑わせる!
 リア充が!リア充に対して!何を羨む事がある!?
 リア充とリア充が相対した時、取る行動等一つ!!
 見せてやれ!私達の愛を!
 嘲笑ってやれ!所詮小学生のおままごとだと!
 そうだ!俺が、俺達が――――――リア充だッ!!





「…………はぁ……妬まし。」
「ほら、パルスィもああ言ってるし、な?」

 そんな度胸があればはなっからリア充だ非リア充だのと喚いていない訳で。
 うん、ラブラブなのとバカップルでは違う。
 よく考えても見ろ、"バカ"ップルだ。馬鹿なのだ。わざわざ真似てやる事も無い。
 というか、私は宝石を盗みに来たのだ。嫉んでる場合か。
 そうだ。それこそさっさと私達の愛の証を盗んで帰ろうではないか。
 私達は初の共同作業の真っ最中である。

「それで、宝石はどこにあんの?」
「ん?」

 魔理沙は首を傾げた。

「居るじゃないか、私の目の前に。」
「は?」

 「「ねー」」と二人で声を揃えた。うぜー。

「え、何?そこの子供がスカーレットダイヤモンドだって?」
「玉のように可愛い……っていうだろ?」
「玉は宝石の事じゃないわよ。」
「レミリアに言ってくれ。」

 何それ、え、マジで言ってんの?宝石は?スカーレットダイヤモンドは?私達の愛の証は?
 こいつ持って返って養子にしろってか?オーケイ、ふざけるのも大概にしろよな。

 orz

「魔理沙、あの人誰?」
「いや、別に浮気した訳じゃ無いぜ?」
「うん、だから誰?」
「怪盗ジェラシーアイだよ。スカーレットダイヤモンドを盗みに来た。」
「ああ、馬鹿姉の妄言の被害者か。」

 自分の姉をバッサリと馬鹿姉呼ばわりとは……。
 まぁキューティーレミーとか言ってる姉は私も嫌だが。

「はい。」
「へ?」

 はい、と差し出されたフランの手には、一つ大きめの宝石が乗っていた。
 羽に付いていたものである。

「大丈夫、また生えてくるから。」

 マジでか。

「というか、定期的に抜かないと不揃いになるのよね。親不知っていうのかしら?」

 永久歯かよ。
 生えてくるって……事は?
 とりあえず受け取る。
 ふむ、まごうことなき宝石のように見える。だが。

「これ、主成分はどうなってるの?」
「カルシウム。」
「な!?」
「冗談だよ。普通の宝石だよ。」
「…………まぁ、ありがと。」



「そうはさせないわ!!小さな子供をいたぶる極悪非道な怪盗め、成敗してやるわ!」



 何者かの声が、地下によく響いた。
 それまでに聞いた覚えの無い声だ。つまり、また新たな変身ヒロインか。
 今度はなんだ、ど〇みか?プリキ〇アか?



「超昂天子エスカレぴぎゃあ!?」

 雷が一本落ちた。



 考え得る最悪の変身ヒロイン――――降臨。

 魔理沙とフランは誰?というような顔をしていたが、悔しくも私は知っていた。
 当然、ここに居ていい奴ではないことも。

 ふわーりと、階段から天女のような女が降りて来て、超昂天子を抱き抱えた。

「いや、変なものをお見せしてしまってすいません。今片付けますんで。」
「うん、そうして。っていうか、その子天界のお嬢様でしょ?一体どういう教育をしているの。」

 まるでクレーマーのような物言いだが、流石にこれは事実といわざるを得ない。

「アイフィルターはかけているのですがね……一体どこからこんな情報を仕入れてくるのか……。」
「…………。まあフィルター機能って変に規制厳しいと思いきや肝心なサイト写ったりするしねぇ…………。」
「まったくです…………。」

 苦労してるなぁ、天界も。

「アリスソ〇トに罪はないんだけどねぇ。私大〇長好きだし。」
「あ、知ってるんですか?好きなキャラは誰ですか?」
「え、い、韋駄川……。」
「ほーレンクンですか。私は冬摩くんが大好きでして、狼冬で本とか書いていまして……。」

 ……とりあえずこんなやつが側にいるのが原因ではないのか。
 魔理沙が首を傾げた。

「私は知らない変身ヒロインだが、パルスィ達は知っているのか?」
「「子供は知らなくていいのよ(です)!」」







 そんな一発ネタがあって。

「勇儀!ズラかるわよ!」
「お、宝石は手に入ったか!!」

 勇儀はレミーにヘッドロックをかましていた。勝ってんじゃん。余裕じゃん。
 というか勇儀は全身タイツの為、胸が直に当たっていると考えていい。羨ましい。妬ましい。
 ちなみに痴女戦士は伸びていた。

「うー!うー!」

 字面から想像する可愛いものではなく、寧ろ苦しげである。見た目が幼いだけに少し可哀相だ。
 が、結婚が優先なのは言うまでもない。
 勇儀が手を離すと、レミーは「げほっげほっ」と喘息の魔女に負けず劣らない勢いで咳込んだ。痛ましい。
 が、結婚が優先なのは言うまでもない
 逃げるのは簡単である。どこぞの痴女のお陰で天井が吹き抜けだ。
 これを通るだけだ。もう誰も来やしまい。

「そこまでだ悪党共め!!」

 と思ったら来るフラグである。
 ああ、今度は誰だ。



「光の使者、キューティーサニー!」



「………………。」
「………………。」

 被ったァァァァァァァァァ!!
 光の使者ならキュアサニーでいいだろうに!

「「偽者――――――――!!」」

 予想通りの反応だった。

「私を真似るなんていい度胸じゃない妖精風情が!」
「で、でも私が本物のキューティーサニーよ!私の方が名前似てるし!」

 吸血鬼相手に随分強気な妖精である。というか、この際キューティーサニーとキューティーレミーは別物でいいだろう。

「名前なんて関係ないわ。要するにどっちの方がヒーローにあるかよ。だから力比べして勝った方が本物よ!」

 汚っ!大人げなっ!子供だけど。

「喰らいなさい!レミーフラ
「サニーフラッシュ!!」
「ぎゃああああああああああ!!」

 吸血鬼は日光に弱い。
 哀れ、レミリアはヒーローの名を奪われた上、妖精に敗北したという不名誉を被ったのである。

 キューティーレミー
                  ~完~









 さて、宝石を無事入手し、帰還を果たした訳だが。

「…………綺麗だけどでかいな。」

 文字通り手に余る大きさである。5、60カラットはあるだろうか。
 これをどうやって指輪にしたものか。
 つか、無理だろ。

「よーう、怪盗ジェラシー!結婚式場は決まったかー?」

 怪盗キッリサメが飛び込んで来た。ただし、いつもの白黒衣装である。

「決まったからってなんであんたに教えないといけないのよ。」
「魔理沙さんの好意を無下にするとバチが当たるぜ?」
「知らん。帰って。」

 正直、紅魔館で色々ありすぎた。しばらくは家で大人しく暮らしたい。
 勇儀が尋ねる。

「知り合いか、パルスィ?」
「あんたも会ったことあるでしょうが!」
「あったっけ?」

 鬼の記憶力は悪いらしい。

「べつに勇儀が私の事を覚えていなくてもいいさ。そんなことより、昨日の宝石だが……。」
「何?盗みに来たの?」
「いや、いらないぜ。私は沢山もってるからな。」

 そうなのか。定期的に抜かないといけないとは言っていたが、魔理沙が持っていっていたのか。
 なんだ、ちゃっかり貰ってるじゃないか。宝石。
 赤以外にもあったが。

「あれが何で出来てるかって話なんだがな。」
「……宝石よね?」

 いや、分かっている。分かっているとも。
 いくら吸血鬼でも背中にに宝石が無尽蔵に生えてくるなんて有り得ないことくらい分かっているさ。
 しかし、じゃあ何なのかだ。それを考えるのはあまり気持ちのいいものではない。

「いいか?フランの羽の宝石の大半はドラキュリウムで出来ている。」
「ど、ドラキュリウム?」

 なんそれ。おいしいの?

「ちなみに命名したのは私だ。」
「どうでもいいよ。」
「ドラキュリウムはいわば魔力の集合体だ。それも高圧縮のな。私もケミカルボムによく使ってるんだが……いやとにかく、あの宝石の加工は危険だ。魔力が爆発しないようにコーティングをしながら砕かないといけないんだが――――

 バキッ

「お、いい感じに割れた。

 私はそう言った勇儀をとりあえず土手に捨てようとしたが間に合わなかった。
 かくして、怪盗ジェラシーアイは長きにわたって闇に包まれていた地底に(ほとんど瞬間的に)光を取り戻したのである。
 めでたし。めでたし。



 あーやしくキャッツアイ ふーふんふん、ふふん
 るーるるるららららー
 ミステュリァアスガァール♪

 怪盗ジェラシー
                  ~完~
 よい子は超昂天○とかググっちゃだめですよ。
 あ、でも大○長はマジオススメ。紅美さんが好きです。でも空也さんのほうがもっと好きです。

 さて、まさかここまで投げやりな物語になるとは思ってもみなかった。本当に最初はただの勇パルだったんです。本当です。
 もうね、久しぶりの頭カラッポにして書き殴っただけの作品です。でもテスト明けでストレス解消は出来ました。ええ、多分。
 次の投稿は時間が結構空くと思う。こんぺに出すのが先になるかも。

>1
 やりすぎは自覚してます。
 今書いている話が妙に真面目な話になってきた反動だと思います。

>コチドリ氏
 エスカレイヤーはやってません。大番長はやりまくってます。高3ですが。

 北郷孝一と聞いて誰か分かる人、握手したいです。
過剰睡眠摂取症候群
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コメント



0.660簡易評価
1.10名前が無い程度の能力削除
勢いがひたすら滑り続けている印象でした。
とりあえず、ここまで来ると東方以外の二次創作で通じそうですね。
4.100名前が無い程度の能力削除
怪盗キッリサメ名前だけじゃ本ネタ解らねえよw
5.80名前が無い程度の能力削除
カwオwスw

腹筋もってかれたwww
8.90凪方風也削除
いかん、馬鹿すぎるwww(褒め言葉
今回はマスラヲネタか……チェーンソーじゃないけど。
この流れだと次回作はどこぞの店主がゼンラーするんですね、分かります(爆
9.80コチドリ削除
流石にエスカレイヤーし過ぎでしょう、作者様。
しかし超昂天子には一本取られた! 確かに似たような属性もあるっぽいし。

ただ、作中のネタで確実にわかるのがア○スソフト関連だけとは、
どういうことなんだ、自分……
11.90名前が無い程度の能力削除
自重しろ

でも、そういうの……嫌いじゃないぜ?
15.90名前が無い程度の能力削除
勢いがよすぎだろw
このノリに嫉妬。そんでもって盗む。盗んで捨てる。どこに? 土手に!
16.100名前が無い程度の能力削除
怪盗キッ……リサメ!
いやあ題名だけであれかと思ったのにびっくらこいた。