Coolier - 新生・東方創想話

ハンティングシーズンの到来です

2009/03/14 23:01:34
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広く深い森の奥に、人と妖怪の騒がしい声が響く。

「チィィィィン!!」
「ドスズメがそっちに行ったわよー!!」

五メートルはあろうかという巨大なドスズメが地響きを立てながら走る、
自らの三分の一もない大きさの少女から逃げる為に。

「オーライ! 任せとけー!!」
「ちーっ!?」

しかしその先に、巨大な鈍器を構えた少女が木陰から姿を現した、
ドスズメはそれに驚いて立ち止まろうとするが、少女からすれば絶好の隙だ。

「狩猟は……パワーだぜ!!」

少女は背負った鈍器を構えると、一切の加減なく真横に振りぬき、
一メートルほど先でようやく立ち止まれたドスズメの脛に向けて全力で振る。

「…………ぢぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」

ドスズメは数秒ほど表情を凍らせた後、脛を抱えて倒れこみ、
目から大粒の涙をこぼしながらその場で左右に転がり始めた。

「っし! 会心の一撃だぜ!」
「一気に畳み掛けるわよ!」

もはや逃げる事すらできなくなったドスズメの頭目掛けて少女は鈍器を振り下ろす、
もう一人の少女も離れた位置から的確に砲弾を浴びせ続けた。

「ち……ちぃぃぃぃぃぃん……!」

やがてドスズメは大空に向けて一鳴きすると、その意識を失った。

「やった?」
「……みたいだな」
「よし、剥くわよ!」

二人の少女は懐から刃物を取り出すと、ドスズメの身にそれを突き立てる、
切り裂き、引き裂き、ちぎる音が静かな森に鳴り響く。

「……さすがはボスね、いい服着てるじゃない」
「帽子は駄目だな、ぼろぼろだ」
「とりあえず背中側のは剥ぎ取ったわよ」
「よし、んじゃ私はあれを狙うぜ!」
「あ、あれって……また失敗するわよ?」
「女は度胸、色々試してみる物さ!」

あらかた衣服を剥ぎ取った後、黒白の少女がドスズメの足の間に場所を移す、
あくどい笑みを浮かべる彼女の目には純白の布が映る。

「今度こそドロワーズをゲットしてやるぜ!」
「まったく……成功さえすれば高く売れるからいいんだけど」
「しっかりこいつの様子を見ててくれよー!!」
「はいはい、あんたは逃げる準備をしときなさい」

黒白の少女は白い布を掴むと、身体全体で引くようにゆっくりと下がる。

「……ち……」
「あ、目を覚まし始めたわよー!」
「早いな、叩きが足りなかったか……間に合ってくれよ!」

少女はドスズメの覚醒に伴ってペースをあげるが、
ドロワーズはようやく膝を通り越した程度だ。

「ち……ん?」
「いけない! もう起きるわ!」
「こうなったらお前だけでも先に逃げるんだ!!」
「えっ、まさかあんた……」
「でぇぇぇい!!」
「……ちっ!?」

ここで少女は賭けに出た、ドロワーズを全力で引っ張って見事に脱げるか、
それとも足に引っかかって脱がすのに失敗するか、彼女は前者に賭けたのだ

「ぢぃぃぃぃぃぃ!!」
「走れ走れ走れーーー!!」
「脱がすならせめて私が安全なところまで逃げてからにしなさいよ!」
「死ぬ時は一緒だぜ相棒!」
「一人で死ね!」

そして彼女は賭けに勝った、が、さらに彼女達は顔を真っ赤にした
ドスズメから逃げ切れる、逃げ切れないの賭けに挑む事となる。

「走れ走れー! もうすぐキャンプだ!!」
「どうしてあんたはいっつもドロワばっか狙うのよー!!」
「女の浪漫だぜっ!」


 ―――――


「それじゃ、狩猟の成功を祝って」
「ドロワーズの初ゲットを祝って」
『かんぱーい!!』

テーブルを囲み、酒が入ったコップを打ち鳴らして一気に飲み干す、
二人は無事にドスズメから逃げ切り、巨額の報酬を手にしたのだ。

「はーっ、この一瞬が一番生きてるって感じがするわねぇ」

博麗霊夢、称号ルーキーハンター、本職は巫女なのだが、
このご時世ゆえにハンターもやらないと生きていけない。

「よしよし、ドロワハンターまでこれであと19枚だぜ」

霧雨魔理沙、称号初心者、ハンマーとドロワをこよなく愛する乙女、
未だに初心者を名乗るのは、ドロワハンター以外に興味が無い為。

「いい加減ドロワは諦めなさいよ、今日のだって逃げ切れたのは奇跡に近いんだし」
「諦めないぜ、私はこの里でストリキニーネに次ぐ二人目のドロワハンターになるって決めたんだ!」
「それにつきあわされる私の身にもなってみなさいよ!」
「いいじゃないか、相棒だろ?」
「勝手にあんたがついてきてるだけでしょうが!」
「おっと!」

軽く怒った霊夢が肉を投げつけるが、
魔理沙は笑いながらそれをひょいとかわした。

「ふぅ、そんな狙いじゃ――」
「うっ!」
「私には……ん?」
「あ、やば……」

直後に魔理沙の後方で上がる呻き声、その声の元では今まさに食事を
口に運ばんとしていたハンターの顔に肉が張り付いていた。

「……まずいぜ霊夢、あの装備はかなり上位のハンターだ」

白髪のハンターは肉を取ると、ゆっくりと立ち上がって霊夢達に歩み寄る、
その装備の異質さは明らかに並のハンターとは違っていた。

「貴様ら、遺言はあるか?」
「(やばい! 目がマジだぜ!)」
「(魔理沙! 刀! 刀を見てみなさい!)」
「(刀? ……あっ!)」
「(あれをやるわよ!)」
「(応!)」

二人は刀を見ると視線を交わしてこくりと頷く。

「そ、その刀はまさか白楼剣!?」
「この里でそんな名品を使うハンターはただ一人!」
「幽霊となってもなお主人に絶対の忠誠を誓い!」
「その剣の腕前は並ぶ者無く!」
「切り伏せたヨーカイの数は幾百幾千!」
「数少ないレジェンドハンターの一人!」
『ソードマスター魂魄妖夢!!』

数秒の静寂の後に、ちょーんと何かが鳴り響く。

「……ふ、ふん、まあこの程度のことで怒ることもあるまい」
「さすがは里でも指折りのハンターね、心が広いわ~」
「まったくだぜ、心身共に優れている人ってのはあんたの事を言うんだろうな」
「マスター! このテーブルに酒を持ってこい! 私の奢りだ!」
『いよっ、お大尽!』

魂魄妖夢、称号サムライ、大剣を扱う全霊の剣士、
見ての通りおだてられると弱い。

「成る程、まだハンターになって一年も経っていないのか」
「ああ、私が霧雨魔理沙、んでこっちの紅白が博麗霊夢だ」
「……え?」
「ん? どうしたんだ?」
「あ、いや、何でもない……」

意気投合して酒を酌み交わす三人、しかし二人の名を聞いた途端、
妖夢が呆けたような、それでいて驚いたような表情を浮かべる。

「神社の収入だけで食っていけるならハンターなんてやってないんだけどね……」
「よく言うぜ、ハンターの収入で神社を拡張するって息巻いてるくせに」
「え……と、霧雨魔理沙に博麗霊夢、なんだな?」
「おう、私は魔理沙でいいぜ」
「私も霊夢でいいわ」
「そうか、なら私も妖夢でいい」

二人の名前を再確認すると、妖夢はどことなく嬉しそうな表情を浮かべた。

「マスター! 肉と三大珍味を持ってこい! 皿に山盛りでだ!」
『お大尽ってレベルじゃねーぞ!?』

そのままの表情で注文を飛ばす妖夢、驚く二人の目の前に
すぐに運ばれてくる大皿に満載された肉と食物。

「よし食え! 全部私の奢りだ!」
「こんな食べ物、滅多に見た事ないんだけど……」
「さすが上位ハンター様は格が違うぜ」

高級すぎるそれの威圧感に気圧される二人、
恐る恐るフォークを伸ばすと、珍味の一つ、迷彩胡瓜を口に運ぶ。

「……こ、この芳醇な味わい」
「それでいてくどくなくあっさり……!」
『美味い!!』

珍味と肉を肴に酒が進む三人、出会いは最悪だったが
今ではすっかり打ち解け、談笑を交わしていた。

「そういえばお前達のハンターランクは幾つだ?」
「えーと、私が8で霊夢が9だったか」
「ほう、ならもうそろそろ公式狩猟試験に挑む頃か」
「あー……」
「そういやそんなのがあったなぁ……」

その中、妖夢から飛び出した公式狩猟試験という言葉に二人が顔をゆがめた。

「10以上を目指すなら必須だろう?」
「でもねぇ」
「ほら、もうすぐあれだからな」
「あれとは?」
『寒冷期』
「……は?」

霊夢と魔理沙はその一言を呟くと溜め息を吐いた。

「寒いのは嫌なのよ」
「冬の間は鉱石だけで十分だぜ」
「待て待て、そんなことでハンターが務まるとでも……」
「ほら、気温が低いと痛さが増すじゃない?」
「ヤスズメにはたかれた時なんか……おおこわいこわい」
「(駄目だこいつら、早く何とかしないと……!)」

二人のへたれっぷりに頭を抱える妖夢、
未来ありし新米ハンターがこのざまでは里の未来も暗い。

「ごちそうさまでした」
「ごっそさん、最高の晩餐だったぜ」
「それは何よりだ、ではまたな」
「おう、またなー!」
「ありがとうねー!」

暮れた日の中を帰路に付く霊夢と魔理沙、
妖夢はそれをじっと見送ると、右手で頬をぽりぽりとかいた。

「これは……長老に相談すべきか」


 ―――――


「ウサー、ウサウッサ!」
「んー……あー」
「ウサウサ」
「おはよう……」

麦わら帽子を被った因幡に揺らされて、魔理沙は目覚めを迎えた、
すでに窓の外は明るく、時計を見れば八時を指していた。

「うしっ、今日も元気に狩るか!」

食事と着替えを済ませて家の外に飛び出る魔理沙。

「やあ、おはよう」

ただいつもと違うのは、昨日知り合ったばかりの
超高名なハンターがその向こうで待っていたことでした。

「おはようだぜ……えーと、何の用だ?」
「公式狩猟試験に行くぞ」
「いきなりすぎるぜ!」
「準備ができるまでは待つ」
「いやいや、そういう問題じゃなくてな……」

反論しようとした時、ふと視界の隅に映る紅白、
其方に視線をやると霊夢が何もかも諦めた目で見つめ返してくる。

「(……諦めよう)」

それだけで魔理沙の心は容易く折れた。

「よし、持ち物をもう一度確認するんだ、忘れ物はビギナーがよくやる失敗だからな」
『あいあいさー』

酒場に移り、出発前のチェックを行う三人、
研ぎ石、八意印の回復薬、生肉と持ち物を確かめていく。

「……あっ!」
「どうした、忘れ物か?」
「大事な物を忘れてたぜ……タル爆弾!」
「待て、タル爆弾はビギナーが使うには――」
「タル爆弾は浪漫だぜ?」
「……浪漫ならしょうがないな」

止めようとした妖夢だが、浪漫の前には納得せざるを得ない。

「しかしタル爆弾はそんなに安いものではないぞ?」
「大丈夫だ、タダだからな」
「……タダ?」

魔理沙に連れられて向かった先は、里の外れにある一軒の洋風の家、
その家の前では金髪の女性がシートの上でせっせとタルを作っていた。

「おーいアリスー、タル爆弾くれよタル爆弾ー」
「またなの? いい加減にしなさいよね」
「成る程、ここか」
「あら、珍しい顔ね」

互いに知っている程度、といった表情のまま見合わせるアリスと妖夢、
その間に霊夢と魔理沙はタル爆弾を荷物にどんどんと詰めていた。

「いいのか、タルが盗られていくぞ」
「仕方ないじゃない、あの姿と声でくれ、なんていわれたら……ふぅ」
「……わからなくもない」
「ほら二人とも、国士無双の薬も持っていきなさい、まだまだビギナーなんだから」
「あら、ありがとう」
「サンキューだぜ」
「(いささか過保護な気もするが)」

顔を緩ませながら二人に接するアリス、
その光景を見て妖夢も顔をほころばせる。

「アリス、この爆弾は何?」
「あ、それは駄目! 対巨鬼用の極タル爆弾だから!」
「じゃあ貰っていくわね」
「駄目よ! それは本当に危険なの!」

その時、霊夢が隅っこの方におかれた扇マーク付きのタルを見つける、
持っていこうとした霊夢をアリスが止めようとした時、
そのアリスをさらに魔理沙が引きとめた。

「アリス! 今日はお前に大事な話があるんだ!」
「え!? 何よ突然! 今はそれどころじゃ……」
「頼む、聞いてくれ、私達の将来に関する話なんだ」
「ええっ!? 駄目よ魔理沙! 私はそんな軽い女じゃ……」
「念願の、極タル爆弾を、手に入れたぞ!」
「よし逃げるぜ!!」
「ああっ! は、計ったわねー!!」
「(なんという鮮やかなコンビネーション……!)」

二人の鮮やかな手口に、妖夢もただただ感心するしかなかったという。


 ―――――


「……付いたぞ、ここが公式試験の場所だ」
「いつもの森とはちょっと雰囲気が違うのね」
「目標はドスケダマだ、一匹倒せばいい」
「あいつか、ならすぐに終わりそうだな」
「私は試験官としてついていく、手出しはしないからそのつもりで」

ある程度説明が終わり、各々がボックスで装備を整えると、
タイミングを合わせたかのように肉を取り出して火を起こしはじめる。

「てってれ~てれて~てってれ~てれて~」
「てれて~てれて~てれて~てれて~」
『てれてれてん!』

肉を焼く、ハンターの基礎中の基礎である。

「上手に焼けたぜ!」
「ウルトラ上手に焼けたわ!」
「さすがは霊夢……肉を焼かせたら右に出るものはいないな」

こんがりと焼けた肉は肉汁が滴り、食欲を誘う、
その二人の影で妖夢だけは肉を回し続けていた。

「…………」
「ん、妖夢?」
「…………」
「妖夢、お肉もう焦げてるわよ!」
「…………」
「もういい! 手を止めるんだ!」
「……どうせ私は肉一つ満足に焼けないハンターさ」
『妖夢ぅぅぅ!!』

落ち込む妖夢をなだめながら、一行は森の奥に歩を進める。

「ドスケダマの生息地域はこの辺りだったな」
「……見当たらないわね、普段はこの辺にいるんだけど」

周囲を探索してドスケダマを探す霊夢と妖夢、
しかしその姿は見えず、痕跡すら見つからない。

「魔理沙の方は……」

ふと霊夢が先に進んだ魔理沙の方に目をやると、
何やら魔理沙がとんでもない勢いで二人の元に駆け寄ってきた。

「どうしたのよ?」
「はっ、はっ……い、いいか? 聞いて驚くなよ?」
「キングサイズのドスケダマでもいたの?」
「……布団があった」
『――っ!!』

魔理沙の発言に二人の顔が引きつる、このヨーカイだらけの森の中に
布団がある、その異常が指し示す事とは何か。

「この世で布団と共に生きるヨーカイはただ一匹……」
「全てのヨーカイの頂点に立つといわれている、その名も……」
『ヤクモ!』

その名を口に出しただけで、全員の背に戦慄が走る。

「何でだ! 何でこんなところにあいつがいるんだ!?」
「知らないわよ、兎に角ここはキャンプまで退くわよ!」
「(くっ、長老の仕業か……!)」

反転して来た道を引き返す一行、
しかし、彼女らの眼前には信じられない光景が。

「なっ、布団だと!?」
「嘘! 回り込まれたって言うの!?」

いつの間にか退路にあった布団、
それには人一人分程度のふくらみが見て取れる。

「妖怪ヤクモは境界を自由に移動できる、先回りされてもなんら不思議は無い」
「それじゃ、私達はあいつに狙われてるってことか!?」
「ここは私が引き付ける、お前達はその間にキャンプを目指せ!!」
「無茶よ妖夢! いくらあなたでもヤクモと一人で戦うなんて!」
「行けっ! お前達では足手まといだ!!」
「そんな……」
「霊夢、ここは妖夢の言うとおりにするんだ、私達じゃ何の戦力にもなれない」
「行くんだっ!!」

霊夢は一瞬躊躇った後、魔理沙と共に駆け出した、
己の未熟さと、弱さを噛み締めながら。

「チェェェェストォォォ!!」

妖夢も同時にヤクモへと駆け出し、その白楼剣を振りかぶる、
しかしヤクモまであと数歩と言ったところで、その足が宙に浮いた。

「なっ……落とし穴だと!!」

虚を突いた罠の前に妖夢は成すすべなく穴の底まで落ちる。

「くっ、程度で……」

すぐに体勢を立て直し、這い上がろうと上を見上げると、
今にも開かんとする隙間が視界に入る。

「や、やめ……うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

妖夢の絶叫が木霊する、
その声は離れていた霊夢達にも届いた。

「今の声は……畜生!」
「もう少し、もう少しよ! あそこさえ駆け抜ければ……!」

二人は悲しみを堪えながら必死でキャンプへと走る、
やがて森の切れ目が見え、もう少しでたどり着くというところで、
急に前を走っていた魔理沙が立ち止まった。

「ちょっと、どうしたのよ魔理――」

直後、その理由を霊夢も知ることになる、キャンプに続く道の正面に居座る布団、
妖夢の犠牲は実る事無く、二人の前にヤクモが立ちはだかった

「どうすりゃいいんだ、逃げれない、だけど戦っても勝てる相手じゃない……!」
「……魔理沙、私が突破口を開くわ」
「霊夢!?」

脅える魔理沙とヤクモの間に霊夢が立つ。

「やめろ! いくらなんでも無茶だ!」
「……魔理沙、今までありがとうね」
「霊夢? い、一体何なんだよ」
「あんたとコンビが組めて……楽しかったわ」
「お、おい、どういうことだよ霊夢!?」
「立派なドロワハンターになるのよっ!!」
「霊夢ーっ!!」

そして霊夢は駆け出した、その両腕に一つのタルを抱えて、
極タル爆弾、対巨鬼用に作られた、耐えられるヨーカイなど殆どいないそれを抱えて。

「さて……そろそろ挨拶しなきゃね、おはよう、お二人さ――」
「博麗神社に栄光あれぇぇぇぇぇ!!」
「……え、何この超展開」

この時発生したドクロ雲は、里からも見えたという。

「……畜生、霊夢まで……よくも、よくも!」

因幡達に運ばれていく霊夢を、魔理沙は悲しみと怒りの混ざった表情で見送った、
そしていまや、彼女の眼前にはヤクモがぴくりとも動かずに地面に伏していた。

「うあああああ!!」

もはや彼女を止めるものなど誰もいない、
魔理沙は感情の赴くままにヤクモにその牙をむいた。


 ―――――


「で、あんたは私が黒焦げになりながらも心配してキャンプで待ってる間に」
「私が全身ピンク色に染められながらも心配してキャンプで待ってた間に」
『ヤクモから散々剥ぎ取っていたと!』
「いやー、わりーわりー、でも剥ぎ取れる物は全部剥ぎ取ってやったぜ?」

酒場でテーブル越しに魔理沙を睨みつける霊夢と妖夢、
睨みつけられた魔理沙は悪かったという表情を浮かべながら
ヤクモから剥ぎ取った物をテーブルの上に並べる。

「布団だろ、枕だろ、んで紫の服も剥ぎ取ってやった、ドロワーズじゃなかったのが不満だが」
「うわー、随分といい布団に寝てんのね」
「布団がほしけりゃやるぜ、倒したのは霊夢だしな」
「あらいいの、それじゃ貰っておくわ」

和気藹々と二人が物品を分け合う中、
妖夢は酒をちびちびと飲みながら暗い表情を浮かべていた。

「どうした?」
「え、あっ、何でもない、何でもないんだ!」
「妖夢、あんたはいらないの? この服とか似合いそうよ?」
「いやいい、私は遠慮しておく、お前達で分けてくれ」
「んじゃ、こいつは私が貰っておくぜ」

必死に取り繕い、平静を装う妖夢、
だが彼女は今後の事を考えるとそれだけで頭が痛くなるのだった。

「(……怒られるだろうなぁ)」

やがて打ち上げは終わり、各々が帰路につく、
魔理沙も今日の体験を貴重な物としながら、疲れた身体で家の戸を開けた。

「ふぅ~、ただいまー」
「おかえりなさいうさ、ご飯にする、それともお風呂?」

中で出迎えたのは、麦わら帽子を被った全裸の女性だった。

「間違えました」
「あっ――」

魔理沙は戸を閉めると、家の表札を確認し、さらに家の全景を確かめる。

「……私の、家だよな」

きっとさっきのは疲れから来る幻覚だったのだろう、
そう思い魔理沙はもう一度家の戸を開いた。

「霧雨魔理沙様、あれは私の唯一の衣服なのです、どうかご慈悲を――」
「間違えました」

慈悲など与える暇なく、二人を冷徹な戸が分かつ。

「……アリスの家にでも泊まるか」

その日は一晩中、魔理沙の家からくしゃみの音が響いていたという。
             // ヽ,
           ,.└''"´ ̄ ̄   `ヽ、
         ,. '´     、、   ヽ  ヽ    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
        ノ   ,  lヽ  j /、lヽ ト、_,,.',   | あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
      r'´ r'"イ .ノ\| .レ r=;ァ' レ'  {  } < 『私は来週半ばまで作品集がもつと思ったら
        {  !、 l rr=-       /  `'''l.>‐ .、| 11日夜~14日朝の間に32作品投稿されていた』
      レヽ.,ト'.u   ー=‐' u  /    l 、,,_,,ノ| イベントシーズンだとかシンクロニシティだとか
      {  ,}' ',          /ヘ,  /レ' ,/ .| そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ
      .7'´レ1 ヽ  u         人ル'レ'   │ もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…
    ,-‐'、  レ~i`  /|__,、 ,-,ニ"、_       \____________________
    !、_ノ   __ハフ  .| `ハ′/  ヽ


   _,,....,,_ _
-''":::::::::::::::::`' 、                    なのでネタの8割を後編に移しました。
ヽ:::::::::::::::::::::::::::::\ いい加減連載諦めろよ
 |::::::;ノ´ ̄\:::::::::::\_,. -‐ァ つか後編あんのかよ     // ヽ,
 |::::ノ   ヽ、ヽr-r'"´  (.__                ,.└''"´ ̄ ̄   `ヽ、
_,.!イ_  _,.ヘーァ'二ハ二ヽ、へ,_7              ,. '´     、、   ヽ  ヽ
::::::rー''7コ-‐'"´幻空;  ', `ヽ/`7           ノ   ,  lヽ  j /、lヽ ト、_,,.',
r-'ァ'"´/  /! ハ  ハ  !  iヾ_ノ         r'´ r'"イ .ノ\| 混 r=;ァ'レ'  {  }
!イ´ ,' | /__,.!/ V 、!__ハ  ,' ,ゝ         {  !、 l rr=-       /  `'''l.>‐ .、
`!  !/レi' (ヒ_]     ヒ_ン レ'i ノ           レヽ.,ト'     ー=‐'   /    l 、,,_,,ノ
,'  ノ   !'"    ,___,  "' i .レ'                ,}' ',          /ヘ,  /レ' ,/ >‐、
 (  ,ハ    ヽ _ン   人!            7'´レ1 ヽ            人ル'レ'   'i、_
,.ヘ,)、  )>,、 _____, ,.イ  ハ             レ~i` ヽ 、_     ( "
幻想と空想の混ぜ人
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コメント



0.1490簡易評価
7.70名前が無い程度の能力削除
何だろうこの…RPG風中世?
こういう馬鹿なノリ、嫌いじゃないぜ。
森の中に佇む布団を想像するとなかなかシュール。
8.50名前が無い程度の能力削除
いつものキレが無い・・・
15.70名前が無い程度の能力削除
M○?
16.60名前が無い程度の能力削除
○H?
17.100名前が無い程度の能力削除
吹いたwwwwwwwテラモンハンwwwww

ちょっとヤクモ倒しに行ってくる。主に服を剥ぎ取る為に。
19.100名前が無い程度の能力削除
すごく・・・
22.30名前が無い程度の能力削除
悪い、俺はモンハンは知らんwww
だから、モンハンネタだけ振り回されても、評価に困るのです。

てか、最近ネタが空回りしてる様な気がするんですが。
25.100名前が無い程度の能力削除
ヤバイ……里で最初のドロワハンターがヤバイ。
26.90名前が無い程度の能力削除
ドロワハンター......ゴクリ...。
27.100名前が無い程度の能力削除
このモンハンはやってみたいwwwww
28.10名前が無い程度の能力削除
つまんね
東方としてもモンハンとしても駄作
33.80名前が無い程度の能力削除
今気付いたwwwww過酸化水素さんwwwww
35.30名前が無い程度の能力削除
内輪ネタは何だかなあ、という感じ
38.100名前が無い程度の能力削除
ドロワ作家たちが徒党を組んでドロワ狩りするまでイメージ余裕でした。
43.80名前が無い程度の能力削除
ストリキニーネww