Coolier - 新生・東方創想話

【海路の旅人】

2018/01/07 00:05:06
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【海路の旅人】
――ガタンゴトン

 二人きりの車両内に電車の音が大きく響く。
 窓の外には日本の古民家を思わせる家々が連なっており、ぐっと近づいては遠ざかるを繰り返している。
 アリス・マーガトロイドは窓枠に頬をつきながら、その景色をぼんやりと眺めていた。
「ねえ、アリス。海まではあとどれくらいになるの?」
 ふいに向かいの席から声を掛けられ、物思いから覚めた。
 そんなアリスを相方はジト目を向けていた。
「別に焦らなくたって、海は逃げたりしないわよ」
「もう二時間以上同じ景色を走ってばっかじゃない。……時間は大丈夫なの?」
 ふくれっ面を浮かべる少女にアリスは苦笑を浮かべた。
 本人としては冷静に振る舞っているつもりなのだろうけど、その表情からは焦燥や好奇が透けて見える。
 まるで旅先を今か今かと待ち侘びる幼子のようだ。
 アリスはふっと友人の顔を見つめ微笑んだ。
「……そんな顔しないでも、約束通り海には連れてくから。――霊夢」

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