Coolier - 新生・東方創想話

着せ替え中国人形

2007/08/23 09:16:39
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紅魔館の門番・紅美鈴は有能な門番だ。
某黒白魔法使いに連敗続きなこともあって世間的にはそう思われていない節はあるが……
実際に紅魔館の門を突破できるだけの実力者は幻想郷の中でも(私を含めた紅魔館の住人を除いて)十人に満たない。

そして、彼女が門番を任されている最大の理由はその格闘能力の高さにあった。
美鈴が持つ気を使う程度の能力。それは弾幕勝負よりも徒手空拳での殴り合いで本領が発揮される。
冬眠明けで気が立っている巨大クマをミドルキック一撃で吹き飛ばした、という実績もある。
つい先日も彼女の主と白玉楼の主の計らいで、白玉楼の庭師・魂魄妖夢と
『両者武器を持っての模擬戦。ただし弾幕の使用禁止』というルールで大激戦を繰り広げたばかりである。


詳細を語りだすと長くなるので、この時の死闘は後の機会に語る事にしよう。
とにかく、私は彼女の実力やその他諸々を高く評価している。


――彼女の実力が周囲に認知され出すと同時に、紅魔館には道場破りならぬ門破りが後を立たなくなった。
里に住む人間から、妖精、妖怪、しまいにゃ竹林に住む蓬莱人・藤原妹紅まで噂を聞き付けて現れた程だ。
半人半霊の彼女もちょくちょく手合わせに現れるようになった。

お人好しな彼女は毎日毎日現れる門破り達と、律儀にも正々堂々と勝負していた。
大体は勝つが、時々負けて門番としての業務が差し支えることもあった。主に怪我と気絶が原因だ。
挑戦者の中に勝ったからと言って、本当に門を突破して館に侵入する輩が居なかったのは幸いだ。(例外としては某黒白魔法使い)
美鈴も美鈴で自分の得意分野である格闘戦を楽しんでいるようだったが……

「……気に入らないわ」
「さ、咲夜さん?」

つい呟いてしまった。今日も戦闘を繰り広げた結果ボロボロになった彼女を手当てしながら、つい本音が零れてしまった。

「あ、あの…やっぱ、門番の仕事ほったらかしにしてるせいですか?」
「……違うわ。もっと別の問題よ」
「……たまに、負ける事ですか?」
「違うわ」
「だとすると……?」

彼女の足首の包帯を巻き終わり、ナイフで余った部分を切って――私は言った。

「美鈴の服が地味なのが気に入らないの。主に色合い的に」

しばらく、妙な間があった。

「……はい?」

妙に引き攣った顔の美鈴。そんなに驚く必要もないでしょうに。

「だからね。せっかく門に人が集まってきてるのに、普段通りじゃマンネリよ。私はスリット大好きだから平気だけど」
「何サラっと言ってるんですか!?」
「折角なんだからもっと目立つ格好にしない?できればもっとスリットが激しいと嬉しいわ。主に私が」
「ど、どんな理由ですか!!あ、あと、とりあえず太ももに頬擦りするのやめてもらえませんか…!?」
「よって今から私は貴女の為に服を買いに行くので、レミリア様にそう伝えておいて。それじゃ」

「――え?」

美鈴が私の言葉を理解したであろう頃には、私は既に紅魔館からとある店へ向かっている最中だった。





「……そんな感じで出てっちゃいました……」
「………」
「止められなくて申し訳ありません……」
「仕方ないわ……」

主は暴走する瀟洒な従者に対し、軽く諦め気味だった。




「――そんなワケで、ありったけの外界の服を持ってきて」
「それは構わないけど……別に、人間の里にある服とかでいいんじゃないか?」
「何を言っているの?美鈴に色んな服を着せるいい機会じゃない」
「……ああ、そうかい」

香霖堂の主人・霖乃助は呆れ半分、ドン引き半分な表情で棚を漁っていた。
私は至極当然の事を言ったまでだ。何もあんな引きつった顔をしなくてもいいと思う。

「よっこい、しょ……っと」
「随分大きな葛篭ね」
「衣類はここに一まとめにしてあるんだ。男性用、女性用問わずね」

雑貨が多い香霖堂では衣服はそれほど多くないらしい。まぁ、贅沢は言うまい。
美鈴に着せたら似合うであろう珍しい服がこの葛篭の中に詰まっているのだ。

「……とても瀟洒には見えないニヤケ面だね」
「あら、失礼」

気を取り直したところで葛篭を霖乃助が開ける。運動に適した服を選別しているようだった。

「えーっとこれは……迷彩服、というらしい。外の世界の軍隊が使用していたようだ」
「その赤黒いシミは“前の持ち主”のモノかしら?」
「……おそらく」
「そう。じゃあ迷彩服は却下ね」

どこの軍人が着ていたかは知らないが、死体から引っぺがしたような服を着せてたまるか。

「これは女性用の運動着だね。ジャージというらしいが」
「……なんていうか、田舎くさいわね。その小豆色のせいかしら……」

確かに実用性は高そうだが、流石に地味すぎる。
これを着させて門の前に立たせるのは、紅魔館のイメージ的にもよくないだろう。

「動き易い格好だとは思うんだけど。……これは女の子用の体操服。ちょっとサイズが小さめだけど」
「それはレミリア様に着せたいところだけど、今日は美鈴用の衣装を買いに来たのよ……」

中々良い服が見当たらない。さて、長い買い物になりそうだ―――







「たのもー。美鈴さん、今日もお手合わせに――あれ?咲夜さん?」
「あら、妖夢。早いのね」
「どうしたんですか?いつも館の中にいらっしゃるのに」

ちなみに現在の時刻は昼前だ。確かに普段なら、今頃昼食の準備や館内の掃除に追われている時間だ。
でもそんなの関係ねぇ!!と、いうわけで。

「実は貴女――というか、門破りを待ってたのよ。おめでとう妖夢、貴女が今日の一番手よ」
「はぁ」

妖夢は状況が飲み込めて居ないのか苦笑いを浮かべつつ首を傾げるだけで。

「実はね、美鈴の戦闘服を新調したの。私が見立てたのよ」
「あ、それで反応を見に表に出たんですか?」
「それもあるけど……私もまだ見てないの。――ああ、丁度着替え終わったみたいね」

正直に言おう。詰め所のドアが開くと同時に、私は意識を手放しそうになった。

「さ、咲夜さーん……こ、これ恥ずかしいですよ……!!」

青いチャイナ服。お団子で丸めた髪、手首のトゲ付きブレスレット。
そう、かつて“K連打”と“↓ため↑K”、そして空中投げで一世風靡した彼女の服だ。
香霖堂の主人曰く「初代」だそうだ。…実に良い。とても、とても良い。主に脚が。

「……なんで妖夢さんまで居るんですかぁ……!!」
「あ、あの……とても良く似合ってます……」
「嬉しいけど嬉しくなぃ……」

そんな会話が聞こえて、ようやく正気に戻れた。美鈴の脚線美にKOされるところだった。危ない危ない。
とりあえず二人に模擬戦をするように促し、私は一旦館の中に引っ込む事にした。
美鈴が「一人にしないで下さいー」とか言っているが、私にも仕事がある。



―――心配せずとも、今夜は一人になんかさせないわ。うふふ……夜が楽しみね。

(おしまい?)
ちなみにこの後の美鈴vs妖夢はお互い服が気になってgdgdな結果になったようです。
中国と言えば春○さんという安易な考えで申し訳ないです…。
Chris
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コメント



0.1460簡易評価
2.70名前が無い程度の能力削除
もっと話を長くして、もっと美鈴にいろんな着せ替えさせる。
それが今、アナタに出来る善行だと俺は思ったりするんだ。
7.70名前が無い程度の能力削除
咲夜さんダメすぐるw
俺も、もっと、衣装を変えて闘う美鈴を、見たいな~。
(´∀`)
10.80名前が無い程度の能力削除
咲夜さんニヤケ顔自重wもっと色んな衣装着た中国を見たい。体操服お嬢様もw
11.80イスピン削除
ここであえてストリートファイターのキャミィではなくKOFから不知火舞の衣装を着せてみるのはどうだろうと言ってみる私。
無論アルカナハートも捨てがたいのだが。
14.90時空や空間を翔る程度の能力削除
・・・・・・・・・・。

ありだな。うん、ありです。OKでKOです。
22.100名前が無い程度の能力削除
そうきたか!www
ちょうどブームだった世代だけに噴きました。
これは大いにありですねw
37.無評価名前が無い程度の能力削除
いまさらだけど

×霖乃助
○霖之助