Coolier - 新生・東方創想話

とある店主の長い一日(後編)

2008/11/09 21:50:29
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ホールには、プリズムリバー楽団による四分の三拍子の優雅な円舞曲の流れている。
中央付近は卓が無くそこでメイド服を着替えたメイドや客が集まり曲に合わせて舞い踊っていた。
メイドとして働いていた女性や妖精、一部の客は思い思いの怪物に仮装し、今日と言う日を祝している。
ざっと見ただけでも、犬耳を付けた狼女、鼻の高いゴブリン、黒い羽をした悪魔、
頭に肌色の螺子を挿したフランケンシュタインや浮いている幽霊、人型の黒猫、
笑顔が怖い魔神、金髪の魔女に冴えないドラキュラと実に多様な種類がいる。
それらを一望できる喧騒から離れた位置で僕はちびちびとシャンパンを飲んでいた。
その一団の中には僕の知り合いもそれなりに居たが、どうにも輪に入り辛い。
一人白けた空気を振りまいていると、聞き覚えのある声がした。

「森近さんじゃないですか。どうしました? こんな所で」
「生憎こういう雰囲気は苦手でね、見る方として楽しませてもらってるよ」
「そんな楽しみ方をされては招待状を送った私が悪者のようじゃないですか。中に向かいましょう?」

そう言って僕の手を引くのは、この会場でもメイド服を着て動き回る唯一の人間。
完璧な従者の異名を持つ、十六夜 咲夜その人だ。

「おいおい、勘弁してくれ……この格好を知り合いに見られたくないんだ」
「恥なんて掻いてナンボです。さあ行きますよ」
「い、や、だ! こんな姿を霊夢とかに見られたら死ぬまで話の種にされるのは明らかじゃないか!」

霊夢だけならまだしも、あそこには噂好きのパパラッチがいる。
風評被害は店の看板にも傷が付くし全力で拒否せねば。

「もう、仕方ないですね」

今まで振り払おうと力を込めてもびくともしなかった咲夜の手が、唐突に力を抜く。
柱を背にする彼女から逃れるように走り出す僕。

「悪いが僕は端で料理の味に舌鼓でも打つ役目を──」

理由は知らないが腕を放した事を幸いと捨て台詞をはきながら元居た会場の端に戻る。
はずだった。

「──勤め……え?」

元の場所に向かおうと歩を進めたはずが爪先の方向はホールの中央だった。
ありのままに今起こったことを話すとそうなる。
僕が踵を返すと。

「くっ……」

今度はそちらが中央となる。

「こんな、馬鹿な──」

言いながら振り向く。咲夜が居る方向へ。
しかし僅かな違和感がその間に走る。

「──ことに能力を使うなよ!」

やはりそこにあるのは楽しそうに話す一団の姿だった。

「こうでもしないと森近さんは自主的に向かってくれませんから」

後ろに気配、見ればそこに咲夜は立っていた。
僕の手を離したときと同じ、柱を背にしたままで。
これではまるで。

「僕がその場で動いていただけじゃないか……」
「その場でくるくる回る森近さんは面白かったですよ?」

反省する様子も無い犯人。全ては咲夜の持つ能力のせいだ。
時間を操る程度の能力。
人の身には有り余るその能力は今の現象を説明できる唯一のもの。
それは口にすれば簡単な話。

「時を止めてまで僕の向きを修正しないでくれ!」

咲夜は時を止め、その中で僕の向きだけを変えた。

「まあまあ。何にせよ今の騒ぎで皆さんが森近さんに気付いたようですし、もう角には置かれませんよ」
「僕は静かに楽しみたいんだよ」

咲夜が始めて香霖堂に来たとき、ひょんなことで彼女の逆鱗に触れてしまった経験がある。
それ以来、咲夜は事ある毎に僕へ嫌がらせとも悪戯ともとれる行動をとっていた。

「そうそう、聞き忘れていましたわ。森近さん、『Trick or treat』」
「もう既に悪戯されている気がするんだが」
「それはそれ。さあどっちです?」

今までの行いをそれはそれ、の一言で片付ける咲夜の豪胆さには驚きを通り越して呆れるしかない。

「ふぅ……クッキーがある。それでいいね」
「イ・ヤ」

びしりと表情が凍りついた音がした。僕の理性が砕けるのも時間の問題だろう。というかもう無理。

「なんて言いませんよ、そんな怒った顔しないで下さい……ね?」
「……君は本当に性格が悪い。
 僕はその胸の内が何で出来てるのかを皆に言い触らして賛同者を得たい位なんだが」

今更上目遣いでお願いなんてされた所で僕のこの怒りが収まるはず無い。
さて手始めにパパラッチに真実を告げに行こうか。

「森近さん……」
「なんだい咲夜。僕はこれから幻想郷に君の胸中にある影の話をパパラッチにしてやらないと……」
「今この場で胴体と泣き別れしたいですか?」

悪鬼羅刹も今の咲夜を前にすれば生剥を前にした赤子と同じ反応をするだろう。
古今東西の恐れを表す言葉をどれだけ並べても僕の感じた恐怖を描写することは不可能だろう。

「ごめんなさい黙ってます」

断じてへたれと言うなかれ。
ほら、どんな生物だって命は惜しい。

「よろしい。私はこれからお嬢様を起こさねばならないので失礼しますが、皆さんに宜しく伝えておいて下さい。
 もし余計なことを口にすればおよそ一切の人間が見聞きしたことの無い残忍な処刑を執行致しますので」

最後にそう僕に釘を刺し、瞬きの間に咲夜は消え去った。
……およそ一切の人間が見聞きしたことの無い残忍な処刑って何だよ。

「あ、来た来た。霖之助さん今晩は」

やっとのことで咲夜と別れ、仕方なく中央の方へ向かっていくと真っ先に金髪の魔女がこちらに気付いた。
同じ森に住む魔法使いは二人とも面識があるが、アリスとはそう長い付き合いがあるわけではない。
それなのに僕らが親しいのはひとえに彼女という架け橋があるからだろう。

「今晩は、アリス。して何をやっていたんだい?」
「タップダンス? 萃香と幽々子が呑み比べで張り合ってたみたいだけどシャンパンじゃ流石に潰れなくてね」

さっき見えた幽霊とフランケンシュタインはこいつらか。

「君の事を聞いたんだがな……。にしても幽霊にタップダンスが出来るのか?」
「私には分からないわ。さて、料理でも取ってきますか」
「いってらっしゃい」

そう言って歩き始めるアリス。
が、数歩進んだ所で戻ってきた。

「どうした? 何か忘れ物でも?」
「言ってなかったわ。『トリックオアトリート』」
「……ここには料理があるというのにそのがめつさは何なんだ。都会派の名が泣くよ?」
「貰える物は貰っておく。都会派っぽく合理的でしょ?」
「はいはい……」

パチョネを渡す。季節は外れたものだが別にいいだろう。
洋風のお菓子もこれで最後か。

「へぇ、手作り?」
「そうだよ、味の保障はしないからな」
「いいわよ別に、妖怪はそこまで味を気にしないわ」
「ならお菓子を欲しがるなよ……」

お菓子は嗜好品だろうに、納得いかん。
気を取り直し辺りを見ると丁度萃香のタップダンスが終わったところだった。
即席の舞台に次の役者、幽々子さんがあがる。
相変わらず地に足が着いていないけど、本当にタップダンスは出来るのか?
輪舞曲が終わり、次の曲が流れ出す。
それに合わせ、

「おぉ……凄い」

シャンシャンという澄んだ音が幽々子さんのステップと同期して聞こえる。
あ、萃香のやつ地団駄踏んでる。
そのダンスを暫く眺めていたら不意に声が掛けられた。
鈍い僕でも分かるくらいの存在感からその人が誰だか分かる。

「あんな事していて恥ずかしくないのかしら……」
「こんな日ですから羽目を外しても良いんじゃないですかね?」

でなければ僕はこんな格好で人前に出ない。
そういう幽香さんもチェック柄のドレスから闇色のドレスに身を包んでいた。
昼会った時はいつもの格好だったのにがどこで着替えたのだろう。

「で、外した結果がそれ? 滑稽ね、霖之助。確かに外れてるわ」
「手厳しいなぁ。まあ……僕が選んだ服じゃないんだけど」

今の僕の格好は黒のタキシードにいつもの眼鏡。
後は服に合わせて革靴やら手袋やらを着けている。

「服装からだと何の特徴も無いんだけどそれは何のつもり?」
「あぁ、こうすれば分かるかな」

そう言って笑顔を作る。吊り上った口の端から長い犬歯が覗いているはず。
一応、吸血鬼をモチーフにした格好だ。
……吸血鬼の館で吸血鬼の仮装って。

「誰の入れ知恵だか知らないけどその冗句そんなに面白くないわよ」

幽香さんも呆れ顔。
まあそうだろう、僕だってそうなんだから。

「僕もそう思うな。悪戯に挑発するだけだと思う」
「貴方はいつもの格好のほうが良いわよ。土に塗れてもみすぼらしく無いもの」
「理由は兎も角その意見には賛成。僕にはこんな立派な服は似合わないし」
「あら、分かってるじゃない」

ふふ、と小さく笑う。
幽香さんは会場のあちこちに視線を飛ばしていた。

「楽しそうね」
「そうですね」
「踊っているわね」
「そのようですね」

他愛も無い事を言う幽香さんに生返事しか返さない僕。
遠くの笑顔を見る姿は、とても辛そうに見えた。

「……ねぇ」
「なんですか? 幽香さん」
「昼頃に言った言葉、覚えてる?」

しおらしい声。

「覚えてますよ。ダンスの相手になってもいい、でしたよね」
「違うわ。ダンスの相手くらいならしてあげないことも無い。よ」

幽香さんにしては弱弱しいその態度。

「一人で枷を取るのは難しいわ」
「えぇ、そうだと思います」

最強最悪と呼ばれ、他人が近づく事など無かっただろう。

「だから、だからね」

きっと、ずっと──

「私と手を取り合い踊ることを特別に許してやるわ、下郎」

──誰かと一緒に遊びたかったのだろう。

「断るなんて許さないわよ。……早く連れて行きなさい」

ぎゅっと袖を握られる。その仕草が幼い子供のようで可愛らしかった。
また曲が終わり、それに合わせ中央の辺りで人が動く。
今ならあの中に入っても自然だろう。

「行こう。幽香さん」

そして、再び曲が流れ出す。

「ちょっと、貴方踊れないの?」
「ステップくらいなら知ってるよ」

音楽に合わせぎこちないながらもくるくると回る。

「ならリードなさい。私全く知らないから」
「ちょ、それは荷が勝ちすぎてないかい!?」

たまに人にぶつかったり、ぶつかられたりしていたけど。

「痛っ! いま足踏んだでしょ! ……後で覚えてなさい」
「ごめん、でも僕さっきからかなり踏まれてるんだけど」

うまくいかない事もあったけど。

「あ、あれ良いわね。あのくるって回るやつ」
「やってみるかい? いくよ、いち、にの、」

二人で息を合わせて踊っている間は、

「うまく出来たわね。息ぴったりじゃない?」
「……回るのは僕なのか」

失敗も成功も、起こった全てが本当に楽しかった。

「あー楽しかった。たまには羽目を外すのもいいかもね」
「その結果がこれだと僕としては笑えないよ……」

ぎこちないダンスは僕達の靴に相手の靴跡をいくつも残していた。
回数は僕のほうが少ないが痛みは幽香さんの方が強かっただろう。
それでもやっぱり、痛みより恥ずかしさより楽しさが勝っているけれど。

「これであの子に自慢できるわね。ふふん、今から楽しみだわ」
「あの子って……? ってうわっ!」

いきなり誰かに右腕を掴まれた。
力を込め振り払おうとしてもびくともしないその腕は。

「咲夜さんか、びっくりした……」
「ちょっと急いでいたもので、すいませんね」

数十分前、ホールを去った咲夜さんのものだった。
こっちに気付いてないのか幽香さんは嬉しそうに傘を弄って遊んでいる。

「私はそろそろ帰るわ。またね、霖之助」
「えぇ、また。幽香さん」

結局気付かないまま去って行った。
なにが幽香さんをあそこまで上機嫌にしたのか。

「……お邪魔でした?」
「いや、そんなこと無いけど」

その発言は的確でないだろう。
この場合のお邪魔は恋仲の男女間に空気を読まず入り込んでしまった時に言うべき言葉だ。
先程の状況にはどう拡大解釈しても当てはまらない。

「なら良かった。馬に蹴られては堪りませんので」
「そんなんじゃないんだけどね。それで、何か用かい?」
「今すぐにどうしてもという用事が無ければついて来て頂きたいのです」

なんとなく、矢継ぎ早に話す咲夜に違和感を感じる。
どんな時でも余裕を作って動く咲夜がこうも焦るなんて何があったのだろうか。

「そりゃまたどうして?」
「……お嬢様が、面白そうだから連れて来いと」
「傍迷惑な理由だなぁ……」

咲夜も天真爛漫に振舞う主人を持って大変だろう。
僕だったら胃に穴が開いている。

「良いですよね? 春は過ぎたようですし」
「良いですよ。丁度冬が迎えに来たし」

咲夜の顔に笑顔のまま青筋が。器用だ。
その手にはいつの間にか銀のナイフが握られていた。

「……私を冬に喩えるとは良い度胸じゃない。頭に飾りが欲しいの?」
「君の髪は雪みたいで綺麗じゃないか」

言い切った直後ナイフがこめかみのすぐ近くを通っていった。
髪が切断され何本かがぱらぱらと落ちていく
頭からさーっと血の気が引く音がする。

「黙って付いて来な」
「そうしますごめんなさい」

教訓。口は災いの元。

 * * *

「お嬢様、咲夜です。」

樫の木を使った分厚い扉の前で足を止める。
この奥にいるのは間違いなく強大な妖怪なのだろう。
僅かな隙間も無いそこから、鈍い僕でも分かるくらいに妖気とでも形容すべき物が溢れている。
立っているだけなのに僕の体は緊張して息をするのも苦しい位だった。
……少し深呼吸でもして落ち着こう。
大きく息を吸うため顔を上げると、ここが誰の部屋なのかを示すプレートが目に入った。
『れみぃのおへや』
「ぶっ!」
主に空気吐いた。
咲夜に白い目で見られたが、何か言われる前に扉の向こうから声がした。

「入っていいわよー」

友達に話しかけるような軽い言葉で入室を促される。
僕が思っているほど、幻想郷では礼が重要視されてないのかも知れない。

「失礼します。森近 霖之助様をお連れ致しました」
咲夜が先に入り僕の紹介を行う。
「どうも初めまして、ご紹介に預かりました森近 霖之助と申します。本日はお招き頂き真に……」

そういって礼をしようとした矢先、細い腕が突き出されたのが見えた。

「あーストップストップ。敬語使わなくて結構よ、堅っ苦しいの嫌いだし」
「それじゃ改めまして、森近 霖之助です」

そう適当な自己紹介を済ます。

「どーも、あかいあくまでーす」

随分とフランクな挨拶だ。酒でも入ってるのだろうか。

「お嬢様、それではまるで酔っ払いのようですよ」
「難しいわね……おっす、私レミリア! この紅魔館の主よ! ……これでどう?」

あれか、冗句でやっているのか?
確かにものすごいギャップだがこれは笑っていいものか。

「その挨拶の仕方だと最終的に敵を連れて遠いところへ瞬間移動し、そこの人を巻き込んで死に、
 挙句その死が無駄死にとなる運命が確定すると思いますが」

咲夜の言ってるような内容の漫画を最近読んだ気がする。
いつから界王拳は常時発動になったのかで僕と彼女で夜を徹して議論したこともあった気もする。

「……そいつは嫌ね」
「然様ですか」

というか僕は何のために呼ばれたのだろう。

「……帰っていいかなぁ」

僕に届くか届かないかというくらいの小声で言った独り言なのに、

「そいつは無理ね」
「諦めて下さい」

今まであーだこーだ喋ってた二人はすぐさま反応してきた。
彼女らの耳は悪魔耳か。

「さて、程よく空気も和んできたし本題に入ろうかしら」

今までのは前フリだったのか……随分とサービス精神旺盛なトップも居たものだ。
この分だと扉の上のプレートも僕の緊張をほぐすために仕込んだものかもしれないな。

「この部屋に入る前、森近さんがお嬢様のネームプレートを発見した時点で空気は緩んでましたが」
「ちょっと、あれ咲夜が付けたんじゃない! 取れないようプレートの時間まで止めてさ!」
「はて、何のことでしたか」

犯人はお前か。というか本題はどこに行った。
歯止めを利かせないといつまでも脱線したまま走り続けていそうだ。

「それはいいからそろそろ話を進めてくれないかな?」

痺れを切らし尋ねるとレミリアはばつの悪そうな顔をして、それから咲夜を睨んだ。
睨まれても咲夜はどこ吹く風、といった様子だったが。

「悪かったわ。貴方を呼んだのはね」
「呼んだのは?」
「出来るだけ早くに帰って欲しいからなのよ」

早くに帰って欲しい? 何かの隠喩だろうか。

「こんな事言うのもあれなんだけどね、貴方に長いこと居られるとちょっと困った事になるのよ。
 帰り道の心配ならしなくて良いわ。美鈴を護衛として付けて上げるから」

困った事が何か分からないが、美鈴さんに送ってもらうのはありがたい。
しかし……。

「早く帰れというのは僕の身に何か有るってことかな?」
「有るといえば有る。無いといえば無い。人によって尺度は違うから絶対とは言えないけど、
 貴方が遅くに帰ると、大事が起こる運命が強く視えるのよ。
 あ。言い忘れてたけど、私には運命を操る程度の能力があるから大体合ってるはずね」

これには僕も閉口してしまった。
風の噂に紅魔館の悪魔は運命を操るなんて聞いていたが、まさか本当だったとは。

「どんな運命が視えたんですか?」

黙ってしまった僕に変わって、咲夜がレミリアに尋ねる。
すると不思議なことにレミリアは頬を染めながら曖昧な表情を浮かべ、

「それが……その、モリチカのプライベートに関わる事なの。だから言いたくないって言うか、
 いや、私はどっちに転んでも面白いとは思うんだけどこれはあんまりだとも思うし……」

もじもじと歯切れの悪い言葉を零した。
何が起こるんだ僕の未来。
咲夜はニヤニヤしながら何事か考えているようだ。

「あー! もういい! 私はモリチカに忠告した。それでいいのよ!」

突然レミリアが癇癪を起こし、つかつかと僕に歩み寄る。
僕も咲夜も突然のことに戸惑うことしか出来ない。
そのままの勢いで、レミリアは僕に掌を上にして腕を突き出した。

「『Trick or treat!』 さっさとお菓子よこしなさい! そんで帰れ!」

本当に、なんでこの悪魔はお怒りなんだろうか。
待たせても更に苛々させるだけだろうし、さっさとお菓子を渡して帰ろう。
それが最もお互いの為になる行動だ。

「ちょっと待ってくれ。まだあったかな」

とは思うものの正直パーティー会場やそれまででお菓子は結構渡している。
まだ残りがあるかどうか……。
あ、あった。

「これしかないか。咲夜、火を借りれるかい?」
「コンロでも宜しければここに御座います」

なんと、魔法でも使うかと思ったのに。

「大歓迎だね。それにしても準備が良い」
「今取りに行きましたから」

……魔法以上の技能を使っていた。

「なにそれ?」

目を輝かせた子供のような目でレミリアが僕を見ていた。
用意されたコンロが点くかどうか確かめながら説明をする。

「これは簡易調理具でね、一回限りだが暖めるだけでお菓子を作る事が出来るようなんだ。
 ただ僕も使うのが初めてだしどんなお菓子が出来るかはわからない」
「へぇー……」

アルミで包装をしたそれを火にかける。
よく分からない単語や英語が並んでいるのを無視し、作り方を見る。
どうやら、火に三~五分程かけると熱々のお菓子が出来るようだ。

「咲夜、今から五分計ってくれ。その頃には多分出来る」
「畏まりました。それにしても何が出来るのでしょうか?」
「うーん、私にも視えないわ。でも熱々の何かが出来るのは分かる」
「そりゃ火にかけてるからそうだろうよ……」

火にかけて待つ間、三人で四方山話をして過ごす。
一人で出来る暇潰しとか、人身掌握術だとか、家事は効率が大切だとかを語り合っていた。

「咲夜、時を早めて乾かすのは貴方にしか出来ないから」
「そうだね。もっと誰にでも出来るやり方を教えて欲しいよ」
「しかしそれが一番効率良いんですけどねぇ……。あら、そろそろかしら」

咲夜が時計を、僕は火にかけた容器を見る。
どちらも頃合いが十分なことを示していた。

「熱いと思いますのでお気を付け下さい」
「あぁ、分かってる。ここを剥がすのか?」
「皿ならここにあるよ」
「ありがとう。さて、何が出るやら……」

火を止め容器のふたを剥がすと、そこには白い雲のようなものがあった。
容器を傾け平皿に移す。軽いのか自重では中々出てこない。

「これはなんでしょう? 大根かしら?」
「それは無い。にしても不思議な形だ」
「一個一個違うわね、ランダム弾?」

レミリアの言う通りそれらは決まった形が無いようで小さい物もあれば大きい物もあった。
大きさの違う二つを摘んで持ち上げてみても、重さの違いはほとんど無い。
白い結晶がまばらに付いていた。

「塩がついているな、お菓子に塩か。珍しい」
「分析はそこまでにして食べてみましょうか。百見は一食に如かずです」
「さくやにさんせー」

頂きますと合掌し、それを一つ二つ口に運ぶ。
僕のは塩が少なかったのか、そんなに味はしなかった。しかしパリパリと音を立てるその食感は中々良い。
よく考えれば、結構な量があるこれ一つ一つが濃い味をしていたらとてもじゃないが食べれないか。

「私は食べたものは少し塩の味が強いです」
「僕は逆だ、塩の味は殆ど無く食感を楽しめたよ」

たまにアクセントとして濃い味のが入ってるのかな?
それともただ単に味付けが適当なだけか。
簡易の物らしいし後者が適切かもしれない。

「あついー……」
「ん? そうかい?」
「うー……なんかヒリヒリする……」

そう言ってレミリアは口を押さえている。
よほど熱かったのか少し涙目になっていた。

「お嬢様は猫舌ですね。水をお持ち致しましょうか?」
「そこまでじゃないけど……」
「なら少し冷まそうか」

適度に風を送り熱を飛ばす。
暫くすると立ち上る湯気も大分少なくなってきた。

「どうだい?」

恐る恐る手を伸ばすが、レミリアは触った途端手を引っ込めてしまった。
そこまで熱くは無いはずなんだが。

「やっぱり熱い、なんなのよこれ……?」
「もしかしてこれは炒り豆では?」

ほら、と火にかけていた容器を僕に渡す咲夜。
その容器の底には黄色の豆らしきものが入っていた。

「確かに炒り豆の一種のようだが、炒り豆は何か不味い事があるのかい?」
「私は吸血鬼なの、鬼は炒り豆を苦手とするって話を聞いたこと無いの?」
「そういう事か……すまない」

成る程通りで熱いわけだ。鬼は炒り豆をぶつけると火傷するらしいし。

「一杯食わされたわね。どうしてやろうか……」

見る見る内にレミリアの表情が曇っていく。
苛立ちを表すかのように莫大な妖気が噴出していた。

「他になんか無いの?」
「砂糖を塗した炒り豆なら」
「我が紅魔館に対する宣戦布告と見て良いわね?」
「あれ、僕お菓子あげたよね?」

この流れはまずい。流石に手加減してくれるだろうがこのままじゃ痛い目を見ることになりそうだ。
こんな時は──

「てことは帰っていいね。じゃっ!」

──逃げるとしよう。全力で。
「待てこら」
あっさり追いつかれる。
ちっこいからといって吸血鬼の身体能力を甘く見すぎたか。
咲夜に目線で助けを求めたがそれは叶わず微笑みを返された。

「強者の弱点を突けば怒りを買うとママに教わらなかったのか?」

疑問文で尋ねられても首絞められたら声出せません。というか息が出来なくて非常にまずい。
このままじゃぽっくり逝って浮遊タップダンスを披露していた人にお世話になってしまう。
死の間際だと脳が判断して常連のツケのことが走馬灯として浮かんでくる。
……走馬灯がそれかよ。

「お嬢様、そろそろお手をお放し下さい。でないと森近さんが死んでしまわれます」
「それもそうね」

手を離されやっと呼吸が出来るようになった。今の僕には何よりも酸素が足りない。

「殺す気か!」
「ついカッとなってやった、後悔はしていない」
「反省しなさい! 君は子供か!」
「れみりあわかんなーい」

怒りもピークを過ぎれば呆れになる事を今日一日で何回感じただろう。
願わくばこれが今日の最後であって欲しい。

「もういい、僕は帰る。その大事になる時間には間に合うのかい?」
「拗ねない拗ねない。それなら十時前に着いていればいいから」
「現在時刻は八時四十七分、森近さんのご自宅まで三十分程かかると思われます」

時間的には十分間に合う。かといって長居する気にはなれなかった。
自分の命が軽くなる場所にずっと居たいとは思えない。
さっきの騒ぎは軽いトラウマになりそうだ。

「咲夜、送ってあげて。私パチェのとこ行くからその後は好きにしていいわよ」
「畏まりました。失礼します」

これがこの館では日常茶飯事なんだろうか。
だとしたら、芯の細い僕には耐えられない日常だ。

「ああ、失礼するよ」
「また会いましょう、モリチカ」

その言葉を背に、僕と咲夜は部屋を出た。

部屋を出てから会話は無かった。
それはお互いに話すことが無いからではなく、タイミングを計っているからだと思える。
少なくとも僕はそうだし咲夜もさっきから歩き方に落ち着きがない。
小さく息を飲む音がして、沈黙は破られた。

「お嬢様のこと、悪く思わないでね」
「悪く思っては居ないさ、ああいうのは勘弁して欲しいけど」

暗い廊下を並んで歩く。明かりは小さな燭台の頼りなく光る蝋燭だけ。
確か今日は新月だったか、窓の外には何も無い。

「なあ、覚えてるか分からないけど、君が始めてうちに来たとき、ナイフを一本欲しがってたよね」
「確か……鞘が見つからないから売れないって断られた」

誰も見てない場所ならば、彼女は敬語を使わない。
尤も、それなりに親しい相手になら、だが。

「そうそれなんだけどね、この前鞘が見付かったんだよ」
「本当? なら買いに行くけど」
「いやまだ続きがあってね、その鞘割れてて刃が仕舞えないんだ」
「それじゃ鞘の意味が無いわよ」

明かりも無く影すら見えないその表情を読み取るのは難しい。
だけど、声がするならそれを頼りに彼女の感情は創造できる。

「だから、作った」
「え?」

今はきっと驚いた。満月のように目を丸くしていることだろう。

「この頃暇でね、その暇を有効活用してみた」
「それは嫌味?」
「いや愚痴だね」
「男の愚痴はみっともないわ」

ご尤も、と二人して笑う。
誰も居ない廊下にその笑い声は吸い込まれていった。

「それで、出来たのがこれ」
「暗くて見えないわよ」
「こうすれば見えるかな」

鞘から抜き銀の刀身を露にした。
そのナイフは暗闇の中光っているようにも見える。
よく見ると、蝋燭の炎を内に灯したその刃は錯覚でなく輝いていた。
その光は鞘の輪郭もぼんやりと浮かび上がらせた。

「流石私が見込んだナイフ、実用性ありそうね。鞘も綺麗よ」
「確かに良く切れるんだが買い手が居なくてね、咲夜、折角だから貰ってくれないか?」

道具というものは使われて初めて意味を持つ。
使わない僕が蒐集することは道具にとっての幸せではないだろう。

「いいの? 一応売り物でしょ?」
「今は鞘に入っていたし最近研いでもらったばかりだから大丈夫だが、このナイフ意外と錆びやすくてね」

というか僕じゃ使えない。
錆びやすいこれは手入れのことを考えると、とてもじゃないが実用性が無い。

「だから時間の固定で劣化を防げる私に?」
「あぁ。不良品を押し付けるようなものだし御代はいらないよ」
「太っ腹ね……ありがとう」

これからの投資と考えれば安いものだ。
幸い、僕はそのナイフに大した価値を見出せない。
それで喜んでくれる人がいるならその人に渡すべきなのだろう。
咲夜はそのナイフをじっと見つめていた。
やがて顔を上げると、目が合った僕に自然な笑顔を見せてくれた。

「じゃあ、ちょっとだけサービス」

一瞬の浮遊感と違和感、ずっと足は地についているはずなのに。
燭台の蝋の長さが少しだけ変わった気がした。
この現象と感覚が意味することは一つしかない。
咲夜は時を止めて僕を運んだようだ。

「……ありがとう」
「そろそろ着くわよ。後は美鈴が分かってると思うから」
「最後まで世話になったね」
「引篭もるのを悪いとは言わないけど、たまには外に出るべきね」
「耳に痛いね、さっきの言葉も」

外は月こそ出てないけれど、廊下よりずっと明るかった。
星明りはどこからでも僕たちを照らしてくれる。

「最後はしっかり締めますかね」
「堅くないのも魅力的だよ」
「世辞として受け取っておくわ。さて──」

咲夜の顔が今までの柔和なものから引き締まったものへと変わっていく。
完全な、飾り気のない従者の顔へ。

「──本日はわが紅魔館のパーティーに遠路遥々お越し頂き、誠にありがとうございます。
 略式ではありますが、森近様のまたの御来訪を、紅魔館一同は心よりお待ちしております。」
「こちらこそ。今日のパーティーは楽しかった。また催事があれば是非呼んでほしい」

お互いに礼をし別々の方向へ歩き出す。咲夜は屋敷へ。僕は門へ。
門前まで歩くと、そこには長身の女性が僕を待ち受けていた。

「お帰りですかー? 送りますよー」
「門番が門を離れていいのかね……」
「大丈夫なんです、私が止めるのは本当に入ったらまずい人だけですから」
「そうか。じゃ、気兼ね無く頼めるな」
「はいはーい、一名様ごあんなーい」
「それは入るときに言う台詞だろう……」

長い紅髪を翻し門と向き合う。
来た時と同じ要領で立派な門は開いていった。
その背中に、ふと浮かんだ疑問をたずねる。

「そうだ、一つ聞きたいんだがいいかい?」
「私と咲夜さんのスリーサイズ以外ならお答えしましょう」
「今日魔理沙はここに来てたか?」
「正規入場はしてませんね。勝手に進入した線は無くも無いですが多分無いでしょう」

なんだかはぐらかされている気もする。
……人の良い美鈴さんに限ってそれは無いか。

「つまり?」
「来てません」

一言で言えばいいのに。
好意的に取れば順序立ててきちんと説明してくれた。となるのだろうか。

「ありがとう、聞きたかったのはそれだけ」
「どういたしまして」

門が開きると、その向こうには霧が立ち込めていた。

「じゃ、背負いますからしっかり掴まって下さいね」

湖の畔へ着いたとき、そう言って美鈴さんは僕の前で屈み込んだ。
……男としては情けないが仕方ない。大人しく背負われるとしよう。
僕には湖を渡ることが出来ないのだからこうするしかないのだ。

「宜しく頼むよ」

兎に角、今は何より無事に帰ることを優先しよう。
レミリアの言っていた大事の起こる十時前に。
秋の星空が映る水面に波紋が何度も広がった。

「飛ぶんじゃないのかー!」
「だからしっかり掴まれって言ったんですよー!」

 * * *

「森の入り口っていうとこの辺りで良いんですかね?」
「……」

湖を走り森を渡り、僕たちはあっという間に魔法の森へ到着した。

「おーい、聞こえてます?」
「……」

そこまではいい。

「これくらいでへたるなんて功夫が足りてませんよ?」
「……君たち妖怪の尺度で図らないでくれ」

その間ずっと背負われたままでいるとは思わなかった。
おかげで気分が悪くなるわ手の感覚がなくなるわと大変だった。
ここに着くまで何度落ちそうになったことか。
……もう絶対頼まねぇ。

「それでこの辺りでもう大丈夫ですか?」
「……いいよ、家まで後数分もかからないし」
「では失礼します」

そう言って風のように美鈴さんは走り去っていった。
暗くて視界の悪い夜の森とはいえ一秒弱で見えなくなるなんてどんな足腰をしているんだ。
今度うちの測定器具を使って計ってみようか。ちょうどそれに向いた装置があったはず。
そんな詮無い事を考えている内に、虚しさで胸がいっぱいになった。

「……僕も帰るか」

林道を歩くこと数分、道の先に僕の家が見えてきた。
その家の姿を見た僕はわが目を疑った。

「おかしい……明かりは消してきたはずなんだが」

狸の置物やら標識やら使い方の分からない道具やらが放置されているのはいつもの事。
だが、留守の家が明るいのはいつもの事ではない。
というのも火を使うのが一般的である灯りが誰も居ない場所で点いているなんて殆ど無いからだ。
人の居ない家屋で火があれば、何の弾みで火事になってもおかしくない。

「放火……いや空き巣か強盗か?」

まったく物騒な世の中になったものだ。
しかしここでまごまごしても事態は好転しないし、むしろ悪化するだろう。
覚悟を決めて、僕はノブに手をかける。
鍵はかかっていなかった。
出来るだけ音を立てないよう、細心の注意を払って隙間を作る。
そこに身を滑らせるようにして入り込んだ僕が見たものは、

「こんな遅くまでどこに行ってたんだ、香霖」

仏頂面の魔理沙だった。

「は? ちょっと待て? なぜ君がここにいる?」
「別に私がどこに居たっていいだろ? 不在の証明が出来るなら話は別だがな」

どこの世界か分からない理論をいったいどこから仕入れたのか。
何にせよ相変わらず意味不明な論理を展開する彼女に僕の混乱はピークを迎えた。
これから落ち着いてくれるかどうかはちょっと分からないからピークは正しくないかもしれない。

「いや鍵かかってただろ。それはどうした?」
「あんなもん鍵とは言わないぜ。硝子をちょこっと割ったくらいで中に入れたし」

こいつは僕の家の窓を叩き割ってそこから鍵を開け僕の家に無断で入って来たというわけか。

「魔理沙、勝手に人の家に入るのは正直どうかと思うんだが?」
「堅い事言うな、私と香霖の仲だろ?」
「どんな仲だよ……」
「主人と客。あぁ、もちろん主人は私だぜ」
「ここは僕の家だ!」
「そういやそうだったか。おかえり香霖」

不機嫌そうだった表情は今は明るくなっているが、それに比例して僕の顔は暗くなっていることだろう。
色々あって疲れているのに彼女の応対は心身に堪える。

「……どうした? 疲れているのか?」

青い顔をしていたのだろう。驚きと困惑が入り混じったような複雑な表情をしていた。
困り顔は珍しいが見てて面白いものでもない。
出来るだけ平静を装って……。

「珍しく遠出していたからね。それで君は何か用があったのか?」

その言葉に彼女の眉がぴくっと反応した。
というか雰囲気が怒った時のものへと変わりつつある気がする。

「……ほう、何か用があったのか。か。香霖は鉛筆の芯に志願するのが趣味なんだな。
 その趣味に付き合ってやってもいいぜ、ちょうど私も手伝う気は満々だからな」

遠まわしすぎて意味が伝わりにくいが意訳すると大体こうなるのだろう。
『貴方は消し炭にしてほしいと言うのですか。ちょうど良い、私もしたかった所です』と。
……あれ、かなり怒ってる? 地雷、踏んだか?

「待て待て待て、僕が何をしたって言うんだ」

吊り上っていた眉はいっそう上がり口もそれに習って端が持ち上がっていた。
どうやら怒りの臨界を越えて感情が笑いに転じてきたらしい。そのくせ目は据っているときた。
分析の結果、長年の経験から『切れた』状態であると推測する。
いかん、唐突に生命の危機が目の前に迫っていた。
その手に握られた八卦炉という形をとって。

「なんだ香霖、遠慮しなくていいぜ? 八卦炉は香霖一人吹っ飛ばしたからって消えやしない」
「八卦炉は消えなくても僕は確実に消えるだろうが!」
「約束破って外でぶらぶら遊んでた奴は消えちまった方が世の中のためだと思わないか?」

八卦炉が俄かに輝きを持った。自分が作ったからこそ分かる。
発光は魔力充填が完了したのを示すもので、後数秒もしないうちにそれが発射されるということを。
こうなったらやるしかない、僕だってまだ命は惜しい。
彼女から八卦炉を奪えば集まった魔力も霧散するはず!

「えぇい、こんな所で撃つなー!」

数歩も無い距離にいる魔理沙に手を伸ばす。
力なら僕のほうが上だし間に合えばまだ勝機はある。
届くのが先か、撃たれるのが先か。

「はっ! 音速が遅いぜ! マスター……!」

夜空が一瞬だけ、昼のように輝いた。

「……」
「……」

結論から言えば、僕は撃たれる事は無かった。
やけくそで振り回した手は運良く八卦炉に当たり、魔理沙の手から弾き飛ばした。
その衝撃で真上に閃光を放ったが、被害は僕の家の屋根がぶち抜かれたくらいだった。
しかし、僕はその後の体制維持が上手く出来ずに倒れてしまった。
……彼女もろとも。
下に敷く形になってしまった彼女からはさっきから尖った視線が向けられている。
だが行動はそれだけ。何か言ってくるとか、動こうとするとかをしようとはしなかった。
……気まずい。

「だ、大丈夫かい、魔理沙? 怪我とかは?
 ……なんていうかそのこっちも悪かったけど魔砲はやりすぎじゃないかなと僕は思ったんだよ」

ちょっと間をおいて彼女は口を開いた。

「私も大人気無かったとは思うけど押し倒されるとは思ってなかったぜ」
「うわっ!」

慌てて飛びのく。それに少し遅れて彼女も立ち上がった。
腕を振ったり体を伸ばしたりして異常を確かめていたが動きを見る限りではなさそうだ。
しかしあれだけ密着したことは意識しているようで顔は真っ赤。僕もだが。
……すごく気まずい。
先に立ち上がり、辺りを見回してる振りなんてしていたがどうも気になる。
彼女はの方は腕を伸ばしたり足を曲げたりしていて、体の異常を確かめているようだ。
ちらちらとそちらを盗み見ていたら何回目かで目が合った。

「……」
「……」

会話も無いのは相変わらずなのにさっきより沈黙が重たい。
目が合ったということはあちらもこちらを見ていたわけで。
目線を逸らそうにも逸らせず、何も言わずに睨み合う不毛な時間が過ぎていった。
……とんでもなく気まずい。

「……埒が明かないぜ。香霖、朝に郵便受けの中身は取ったか?」
「え、あ? と、取ったよ?」

いつまでも続くかと思った沈黙は割とあっさり破られた。
予想もしてなかった出来事に、咄嗟に言葉が出ない。

「なら次だ、その中身は見たか?」
「いや、見てなかったな。今日は用事があって急いでたし」
「……それか」

がっくりと肩を落とす。
それから奥に引っ込むと店の机の上を漁り出した。

「どうした?」
「これを読め」

押し付けられたのは質素な便箋だった。封を切り中の紙を取り出す。
折り畳まれた紙を開くと中央に黒字で大きく字が書かれていた。

「十月三十一日、そちらへ遊びに行きます。時間は十九時頃になるかと。魔理沙」
「という訳。この頃家に引き篭もってたのは酒を作ってたんだ」
「で、それが上手く行ったからうちで酒宴でもやろうと」

なんというか彼女らしい理由である。
今日がハロウィンだと分かってて言ってるのか?

「まあ大体そうだな。なのに香霖はどっか行ってて家にいない。夜の森に一人、寂しくなった私は……
 折角だから勝手に入って鍋でもやろうと考えたわけだ」
「大人しく帰りを待つか諦めるかしてくれよ……」

彼女の常識から外れた行動力には最早脱帽せざるを得ない。

「ちなみに鍋は作って食った。材料も適当に使わせてもらったぜ」
人の家でここまで好き勝手やれるのは一種の才能を感じる。
というか宴会という当初の目的はどこやったんだ。
「酒はほら、この通りあるんだが……飲むか?」

指差した先には銘の無い酒瓶。封は切られていなかった。
……一升瓶一本だったら空けるのにそれほど時間は掛からないだろう。
二人で飲んで、それから帰ってもらおう。

「あぁ、お詫びの意味も込めてご相伴に預かろうじゃないか」
「乗り気だな香霖。男はかくあるべき、だな」
「鍋もまだあるだろ? それも食べるから暖めといてくれ。僕は食器の用意をする」
「あいよ、お湯も作っとく。私の八卦炉が火を噴くぜ」

やっといつもの空気が戻ってきた。
鍋の前ではしゃぐ彼女を尻目に見ながら、僕は台所へぐい飲みを取りに行った。
熱燗をするなら瀬戸物じゃないとね。
戸棚から二つ取り出し水で軽く洗う。布巾で乾拭きも忘れずに。
やることも特に無いのでそれだけ持って食卓に戻った。

「もう出来てるかい?」
「愚問だな、見りゃ分かるだろ」

見れば鍋はもうもうと湯気を噴いていた。

「それもそうだね」

元は僕と食べることを考えて用意していたのだろう。
卓袱台の上の食器は二人分あり、片方は使われていなかった。
対面に座り持ってきたもの渡す。お互いに杯を酒で満たし高く掲げ、

『乾杯っ!』

同時に全て飲み干した。
僕らの頭上には満天の星空が覗いている。
話の種に鍋と星とを用いれば会話に花が咲くことだろう。
……天井の穴は、喜ばしいことではないけれど。

* * *

「ごちそうさま」
「お粗末さまでした」

宴会が始まってから数十分、卓袱台の上の食べ物はあらかた無くなっていた。
彼女の作った酒は性格を表すように澄んでいて、後味もすっきりとした心地良いものだった。
かなり研究して作られたのだろう。それを彼女はおくびにも出さないが。
鍋も出汁からしっかり取ったようでとても美味かった。
がさつでどこか荒っぽくても一人暮らしをしているだけあって料理はとても上手い。
それに料理以外の家事も殆ど出来る、掃除を除いて。

「久しぶりに飲んだぜ……人が居ると酒は断然甘くなる。一人も乙だがな」
「美味くなる、か。確かにそうかもしれないね」

そう答えて立ち上がる。と、

「おっとっと」

飲みすぎたのか体がふらつく。
そのまま倒れそうになったけど彼女が隣で腕を取って僕を支えていた。
なんとまぁ情けない僕だろう。

「香霖は飲み過ぎだ。私が全然飲めなかったじゃないか」
「そうだったかなぁ……」

考えてみれば瓶の八割ほどは僕の体に入っていった気がしないでもない。
酒精はそんなに多くないと思ったが、八合も飲めばそりゃ酔うだろう。

「顔洗ってくる。悪いが片付けを頼まれてくれないか?」
「まあいいだろう。穴空けちまった負い目もあるしな」

快諾を得られたところで流し場に引っ込む。
冷たい水で顔を洗ってぼんやりした意識をはっきりさせる。
台所から居間へ戻ると鍋その他を持ち上げているところだった。

「酔いは醒めたみたいだな。丁度いい、手伝え」
「言われなくとも。一応魔理沙はお客様らしいからね。」

流石に土鍋と諸々の食器を彼女一人で運ぶのは大変だろう。
重いものを優先して僕が持ち二人で手分けして持って行く。
洗い物は後で僕がやるから良いとして、これが終わったら特にやることも無くなる。
時間も時間だし悪いがそろそろ帰ってもらおう。
ひびの入った盤面の奥、針は九時半を示していた。

「よーし片付いたな。洗い物は香霖がやるとして、何かするか?」
「いや、君は帰るべきだ。早く帰らないと家に着くのが明日になるぞ?」
「……もうそんな時間か? 泊まりは?」

意外だったのだろう。首を傾げていた。
というか真剣な顔で泊まりは駄目かなんて聞かないでほしい。
もう少し女性としての自覚と恥じらいというものをね……。
口に出したら激怒されるだろうから言わないけど。

「時計ならそこに転がってるよ。あと泊まりは認めません」
「おいおい、香霖はかよわい乙女を夜の森に放り出すのかよ?」
「魔理沙が女性だということは肯定するが、弱弱しいとは思えないな」
「なんだと……」

言った途端、顔に赤味が差し眉が吊り上る。
次いで開きかかった口からの声は僕の言葉で遮った。

「それに、もしかよわい乙女なのだとしたら天井に穴のある家に泊められるはず無いだろう。
 家としての機能を全うしてないんだから野宿と大して変わらないし」
「……」

流石に二の句が次げないのだろう。天井に穴が開いた原因は彼女にもあるのだ。
反省している節もあったし、もう反論はしてこないはず。

「……そうだな。なら帰るぜ」
「そうか。せめて玄関まで送ろう、なんたって魔理沙はかよわい乙女だもんな」

そう言ったら箒でしこたま足を突かれた。非常に痛い。

「余計なお世話……と言いたい所だが我慢してありがとうと言っておく」
「……そりゃ、どういたしました」
「言葉遣いがおかしいぜ、香霖」

言い返せなかったのがそんなに悔しかったのか、僕を置いて玄関に向かっていく。
結局、外に出るまで振り返ることもしなかった。

「じゃ、そろそろ帰る。食材を勝手に使ったが別に良かっただろ?」
「毎度のことだからね、気にするなら早くツケを払ってくれ」
「死んだら払うぜ」

いつものような軽口の応酬。
なにかにつけてツケを払えというけれど僕は本心ではどう思っているのだろう。
彼女は人間で与えられた時間も少ない。そして持っていく物は大抵どうしても必要なものだ。
それに対して半妖で時間なら苔が生えるほどあり、香霖堂は商売というより趣味でやっている僕。
本当にそれが要るならば僕は譲るべきだと思う。僕には時間があるのだから。
勿論、こんな考えはおくびにも出す気はないが。

「最後に一ついいか?」
「ん? どうした?」

そう結論付けたところで彼女が声をかけてきた。
金の瞳が僕を捉える。

「今日はどこに行ってたんだ? 私結局聞いてないぜ」
「紅魔館に行ってた。魔理沙にも招待状が来ていなかったかい?」
「いや知らん。しかし紅魔館からの招待なんて香霖はあそこに知り合いいたか?」

知的好奇心が刺激されたのか星空を映したかの如く目が輝く。
確かに僕が外出、しかも紅魔館になんてのも珍しいと思うがそんなに気になる事なのか?

「咲夜がいる。それに僕はあそこへ食器とかを卸している身でね」
「ほー、そうなのか。して何を?」
「ハロウィンパーティーさ。霊夢やアリス、他にも沢山知り合いが来てたな」

僕から知人の名前が出る度に顔が険しくなっていく。
誰からも声を掛けられなかった事に疎外感を感じているのだろうか。

「……そういや今日はハロウィンだったか。すっかり忘れてた」
「ハロウィンの名を騙った舞踏会だったかも知れない。メインはそっちだったし。
 でも萃香とか幽々子さんみたいな縁の無い人にとってはただの宴会と変わりなかったかもね」
「香霖は誰かと踊ったのか?」
「幽香さんと。初めてだったが中々楽しかったよ」
「……ほー」

さっきと同じ『ほー』なのに言葉の重みがまったく違う。
今の彼女には怒ったレミリアを超える迫力があった。

「えっと、どうしてそんなに怒っているんだ?」
「何言ってるんだ私は怒ってなんかいないし香霖がそう思う理由も分からないな」
「そんなはず……ありましたねすいません」

あまりの恐ろしさに目が合わせられなかった。
表情はにこにこしているのに目だけは据わって笑っていない。

「折角だから私も言っておくぜ。『トリックオアトリート』さあどっちだ?」
「ちょっと待ってくれ、奥に行って何か探してくる」
「今この場で答えを聞きたい。持ってないなら悪戯させてもらうぜ」

そう言って手を怪しげに動かす。
どうやら、どうあっても僕に鬱憤晴らしがしたいようだ。

「ああもう分かった、今僕はお菓子を持っていません。これでいいかい」
「素直な香霖は大好きだよ。悪戯するから少し屈んでくれ」
「はいはい」

僕に指示しつつ箒を構える。
それで脳天を一撃でもするつもりなのか、それとも……?
なんにせよ僕に出来る事は腹を括るくらいしかないか。

「それじゃ……行くぜ!」

強い風が吹いたかと思うと僕の視界は真っ暗になった。
少し遅れて唇に何か柔らかく湿ったものが触れ、しかし僕の意識が追いつく前にその感覚は消えてしまった。
目を覆っていた手は外れ人が枯れ草を踏む音が鳴る。数秒ぶりに色彩を取り戻した景色の中で彼女は箒に座り浮いていた。
ほんのり頬を染め、とびきり可愛らしい笑顔を浮かべながら。
全く、してやられた……。

「やることやったし今日は帰る。またな、香霖」
「ちょっと待ってくれ!」

飛び去ろうとする彼女に慌てて声をかける。僕にはまだ心残りがある。
今日まだ一度も言ってない言葉があったじゃないか。
ここまで僕を翻弄してくれたんだ、せめて一言報いたい。

「なんだ? 何が起こったとか聞くようなら魔砲の一発くらい──」
「『トリックオアトリート』……僕にも言わせてくれよ?」

彼女がお菓子の類を持っているはずが無い。
つまりこれは僕にも何かするチャンスがあるということだ。

「甘いものならもうやっただろう?」
「は?」

予想外の言葉に思考が止まる。
まさか鍋か? いやあれは美味かったが甘くはない。
ならば酒? いやどちらかというと味は辛口だった。
思考の迷路に嵌まり込んだ僕に上から答えが降って来た。

「ああいうのは甘いもんだろ?」

まさか彼女の言っているのは……。

「……やはりあれはっ!」

あまりの驚きに一瞬声が出なかった。

「──おっと、それを聞くんなら魔砲の一発や二発、返答としてくれてやるとさっき警告したろ?
 何も無いなら今度こそ帰る。そいじゃ香霖、また来るぜ」

今度こそ言い返す間もなく、彼女は天狗でも追いつけないような速さで去ってしまった。
去ってしまったからには今更真偽を尋ねても決して口を開かないだろう。
明日にはもう何も無かったかのようにすっ呆けている。それが彼女の性格だ。

「やってくれるなぁ……」

森から店へ目線を戻す。
余韻にまだ浸っていたかったが、そろそろ気持ちを切り替えて明日の準備をしなくては。
残念なことに僕には使用人は居ないし身の回りを世話してくれる人もまだ居ない。
天井に開いた大穴は自分で塞がなければならないのだ。

店から工具を持ち出し取り敢えずの応急処置を施す。
十時半を過ぎて雨風くらいは防げるようになった頃、急に雲が広がってきた。
それからすぐ雨は降り出して補修作業は中断。
雨漏りする所はまだあったが水滴の落ちる所に洗面器を置いて床の腐食は防いだ。
急いで風呂に入り体を温め、体が冷えない内に寝ることにした。
布団に包まり雨音を聞きながら僕はレミリアの忠言を思い出していた。
レミリアの言っていた事はこれなのだろうか?
確かに僕が遅く帰ったら彼女も遅くまで居る事となる。
それによって雨で足止めされた魔理沙が家に泊まることも十分ありえる。
然しそれはまだ許容範囲内ではないだろうか。
そこまで考えて漸く気づいた。
今、この家全体に大穴が開いていることに。
それによって殆どの部屋が雨漏りしていることに。
ここはまだマシな方だが、他の部屋は補修をしていなければ水浸しであることに。
もしこの大穴がどうあっても開く運命にあったのなら。
……彼女と二人、この部屋で寝ることになっていたのかも知れない。

「……馬鹿らしい、もう寝よう」

いくら考えても、それは可能性に過ぎない。
そんな事にいつまでも頭を使っていられるほど僕は体力が余っているわけでもない。
明日にはきちんと屋根の修理をして店を開けなければいけないのだ。
意識に暗幕が落ちるよう不明瞭になってゆく。
こうして僕の長い長い一日は漸く終わった。
最後に、唇に触れた柔らかい感触を思い出して。




「眠れねぇ……」
前言撤回。今日はもう眠れないのかも知れない。
僕の長い長い一日が終わるにはもう暫く時間が要るだろう。
暗く鬱蒼とした森の中、木々の隙間を縫うようにして飛ぶ。
速度の出しすぎで何度かぶつかりそうになったが、それでも速度は落とさない。
いや、落とせない。
もしあいつが何らかの方法で逃げる私に追いついてしまったら、どんな顔で話せばいいか分からないから。
追いつかれるなんて事はありえないと頭で理解していても。
暫く全速力で飛び続け、やっと家まで帰ってこれた。
家に着いた安心感からか飛ばしていたツケが一気に来たのか疲労感がどっと押し寄せてきた。
だるさで倒れそうになりながらも必死で自分のベッドに向かう。
寒くなってきたこの時期、床で寝てしまったら次の日には間違いなく風邪を引いてしまう。
もしそうなったら一人身の私は最悪衰弱死もありえるのだ。
……いや、もしかしたら。
以前、風邪を拗らせ寝込んでいたとき、あいつが見舞いに来た事があった。
あのとき、あいつはそんな心算で来たのではなかったと思う。
それなのに弱っている私を面倒そうな顔一つ見せず看病してくれた。
もしかしたら、また──。

「違う違う!」

頭を振ってだるさと今考えたことを追い払う。
今さっき会ったばかりだというのに、明日にはまた店で会うのだろうに私は何を考えているんだ!
下らない事を考えたのは疲れのせい。そう自分を説得しベッドに潜る。
さっさと寝て、この疲れをどこかにふっ飛ばしてやろう。
そう思い目を閉じると。

「……ん? 雨か?」

雨音が窓の外から聞こえてきた。
気になってカーテンを開けると森が白くぼやけている。

「霧雨……か」

森も、空も、さっきまでの星明りは見えなくなりただ白色が風景を染めていた。
そのまま暫く空を見上げていたら、不意にあいつの家の天井に開いた大穴を思い出した。
あいつは修理出来たのだろうか、それとも今もしているのだろうか。
私が開けたあの穴を。

「……そういやあいつ寝床どうするんだ?」

あいつの家の見取り図を頭に思い描く。
その図が正しければ、他の部屋は殆ど全滅なのに対し寝室は被害が少なかった。
……悪いことしたなぁ。

「待てよ? ということは今日泊まれれば」

あっ、と声が出そうになった。

「あいつと同じ部屋で寝ることに……って何を考えてるんだ私は!」

自分の考えが信じられない。よりにもよって何を考えているんだよ!
いくらあいつと親しいからって異性と同じ部屋で寝るなんて破廉恥にも程がある!

「あーもう! 寝る、もう寝るっ!」

落ち着こうと布団を被っても自分の心音が聞こえるばかりで逆効果。
思考を逸らそうにもあいつの事が頭から離れない。
極めつけに、あいつとした別れ際のことを思い出してしまった。

「畜生……いっそ殺してくれぇ……」

こんなんじゃ寝れるはずも無い。
私の長い長い夜は、まだ始まったばかりだろう。





まずはご挨拶を。御読了、ありがとうございました。
唐突ですが、この作品、時季を少し逃しています。
それで一度は消すことも考えたのですが、結局こうして上げてしまいました。
旬のネタというものは取り扱いが難しいですね。問題があるのは私ですが。
感想や誤字脱字の指摘、お待ちしております。
清流泉
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コメント



0.4000簡易評価
4.100煉獄削除
霖乃助と魔理沙のちょっと甘め?な感じが良かったですね~。
その前のパーティーまでの流れや開始当初なども
飽きることなく読み流せていけたのが良かったです。
あれからの二人は眠れぬ夜をどう過ごしたんでしょうねぇ・・・?(含笑)
ちょっと気になったり。
面白かったです。
7.80名前が無い程度の能力削除
甘いよ!
10.100名前が無い程度の能力削除
魔理霖キター。あっますぎwww
16.100GUNモドキ削除
楽しく読ませていただきました、こんな霖乃助はいい霖乃助だと思ったりします。
個人的には前編に出てきた案内役の妖精が結構良かったり。
20.90通りすがりの遊び人削除
どうもー、楽しませてもらいました。
いや、甘いですねw

気になった点は原作でレミリアとは顔合わせてたはずですよ?

あと霖之助、ちょっとヘタレ気味ww
22.90名前が無い程度の能力削除
ちょっと砂糖吐いてくる。
24.100名前が無い程度の能力削除
まだ誰も言ってないようだから


こーりん殺す
26.90名前が無い程度の能力削除
甘いぜw
とりあえず案内役の妖精はどうなったのか教えてくれー
28.90名前が無い程度の能力削除
残念、霖之助は俺が全力で守りきる

血糖値上げながら
30.90名前が無い程度の能力削除
さすが幻想郷一のフラグ男、霧之助…しかし立てたフラグを片っ端から折ってる気もw

甘い甘いハロウィン、ご馳走様でした~
31.80名前が無い程度の能力削除
なんという無自覚たらし・・・
でも、いい霖之助でした
32.100名前が無い程度の能力削除
ああぁっまああああいいいぃぃぃ!!!!!!!
後日談とか、咲夜、幽香との馴れ初め話とかも是非読んでみたいですねw
35.100名前が無い程度の能力削除
甘いな…しかし幽香やパチュなんかにもフラグが立っているというw
36.100名前が無い程度の能力削除
これは伸びる!!
41.100謳魚削除
魔理沙にぱるしーぱるしーしちゃう。
くっそう、霖ちゃんの甘味を奪いやがってちくしょう。
まぁレミリアお嬢様が意外に良い人でよかたよかたよ。
でももし残っていたら……駄目だ結末がどうであれ少なくとも霖ちゃんに御冥福をお祈りしなきゃならないな……。
楽しかったっす。
追記:妖精さんとのラヴストーリィとか読んで見たいです。
42.90名前が無い程度の能力削除
霖之助以外に、各女性陣の個性と魅力が満載なのが高ポイント
44.100名前が無い程度の能力削除
魔理沙の
手紙での微妙な丁寧語がかわいい
45.100名前が無い程度の能力削除
だだ甘い、心がほっこりとした。
50.無評価名前が無い程度の能力削除
レミィに渡したのはポップコーンだと思うが、トウモロコシって豆なのか?
52.100名前が無い程度の能力削除
佐藤呑んだ
58.90名前が無い程度の能力削除
結局魔理沙に招待状が届いてないのはなんでなんだぜ?ゆっこや幽香が来るくらいなんだから大分ばら撒いたんだと思うんだが。
酒造りに熱中してて気づかなかったというのが本当のところなんだろうが幽香がこっそりポストから招待状を抜くという修羅場を想像したら不覚にも幽香にもえた
61.100名前が無い程度の能力削除
あまーーーーーーーーい!
65.無評価清流泉削除
たくさんの感想と評価、本当にありがとうございます。

以下、気になったコメントへの返信となります

>>気になった点は原作でレミリアとは顔合わせていたはずですよ?
恥ずかしながら、私、原作を読めなかった年代の人間なんです。
年齢さえ足りていれば……。どっか書籍として出してくれないかなぁ。

>>レミィに渡したのはポップコーンだと思うが、トウモロコシって豆なのか?
調べてみたらイネ目イネ科、立派な米の仲間でした。豆じゃないのか……。
ご指摘ありがとうございます。ちゃんと調べるべきですね。

>>幽香がこっそりポストから招待状を抜くという修羅場を想像したら不覚にも幽香にもえた
その姿を魔理沙に見られてしどろもどろの言い訳するのを想像したら不覚にも幽香にもえた
72.100ras削除
ニヤニヤが止まらない・・・
78.100名前が無い程度の能力削除
早く書籍でないかな
公式設定をもっと深くしりたいのにorz

あっおもしろかったですよ(逆だろ
80.100名前が無い程度の能力削除
どんなハロウィンのお菓子よりも甘すぎでしょうこれは…
83.100名前が無い程度の能力削除
枯れてない香霖もかわいーです
100.90名前が無い程度の能力削除
ヘタレだな~霖之助
少しは甲斐性見せんかい!
面白かったです
102.90名前が無い程度の能力削除
甘いな……しかし、爽やかだ。
106.100名前が無い程度の能力削除
甘いよ!