Coolier - 新生・東方創想話

或る男の手記

2011/08/27 00:39:54
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 幼少の頃に不思議な体験をした、という話はよくある話である。勿論、全ての人がそんな体験をしたわけではない、などということは承知の上なのだが、しかし決して少なくないことである。
というのも、私自身がそんな体験をしたうちの一人であり、皮膚が少々弛んできた年齢になってもそれを忘れられないということがあるからだ。
私が体験した不思議な出来事をこれから綴ろうと思うのだが、何分私は文章を書くことは愚か、読書さえ大してしたことがないような者である。なので、大いに読みづらい文章が出来上がることは明白である、ということを一つ付け加えておこう。
 これより記す話は、私が大人達から飴をもらって喜ぶ程度には幼い時分に体験した、紛れもない事実である。しかし、あまりに突拍子もなく、且つありふれた話であるため、誰に話しても真面目に聞き入れられることはなく、少し強く押して言えば狂人扱いまでされる始末である。しかし、先にも記したがこれは紛れもない事実であり、また私は狂人などでは断じてない。この手記を読まんとする者にはそれを肝に銘じて頂き、その上で読んで頂きたいと強く願うものである。

 私はそのころあまり人付き合いが上手くなく、友人と呼べるものも決して多くはなかった。休日などはそういった数少ない友人達と過ごしていたのだが、彼らが何らかの用事でいなくなってしまうと、私は一人で過ごさねばならず、その日は一日惨めな思いをしていたものだ。
 そんなとき、私は決まって近所のとある山へ訪れた。山と言ってもアルプスや富士山といった大きなものではなく、子供の足でも麓から頂までそう大した時間はかからないような、ごく小さなものである。友人と遊べないとき、喧嘩をしたとき、親や先生に叱られたとき……。本当にことあるごとに、私はその山へ訪れていた。
あまりに何度も訪れるので、どこにどんな植物が生えているのか、どんな成長のしかたをするのか、などのことはほとんど頭に入ってしまっていた。飴をくれていた大人と同じくらいの齢になった今でさえよく覚えている。
 その日もまた、私は山へ訪れていた。どうしてか、などはもう覚えていない。きっと友人と喧嘩したか、親か先生に叱られたかしたのだろう。もしかしたら全く違う理由だったのかもしれないが、そんなことはどうでもいいことである。
 その日に限って、山へ分け入るときに違和感を覚えたことを強く覚えている。始めは、いつもと何ら変わらない獣道だった。いつもと同じところに咲いている白い花を横目に、長い植物をかきわけるように歩いた。季節は夏も盛りで、日差しも強く、とても暑かった。流れる汗が多すぎて目に入ってきてしまうほどだ。周囲では蝉がやかましく鳴いており、全身に休まることなく何らかの刺激が与えられている。しかし、私はそれをどこか心地いいと感じていた。
 それからしばらくは、いつも通っている道のりの通りに進んでいた。複雑に曲がりくねり、高低差も激しい道なのだが、慣れた私にとってはそこを通ることなど朝飯前のことだった。
 しばらくして、私は何かがおかしいと感じた。最初に感じた違和感もそうだったのだが、何が私にそう感じさせているのかは全くわからなかった。今になって思えば、あれは何らかの前兆を無意識に感じ取っていたのではないだろうか。子供の感覚というのは鋭敏なもので、時折大人には到底思いもよらないような想像、もしくは発見をする。あれもきっとその類だったのだろう。
 気がつくと、私はそれまで見たこともないような光景の中にいた。表面的に見れば変わらず山の中にいるように見えるだろう。その山の光景を綿密に覚えている私だからこそわかった変化だった。
 見たこともない地形、植物……。そこは紛れもなく、私がそれまでいたのとは違う場所だった。
 いつからそこにいたのかは、今になってもわからない。論理的に考えれば、山の景色を綿密に覚えていた私ならば、その変化にも即座に気付くであろうということは想像に難くないのだが、しかし、私には皆目見当もつかないのだ。ひょっとすると、初めから私は見知らぬ山に我が物顔で分け入っていたのではないだろうか、とすら思えてしまう。
 その変化に気付いて、私はひどく驚いた。無理もないだろう。現実にはありえないと思われることを、今まさに、他の誰でもない自分が体験しているのだから。
 それからは、正直な話どこをどう歩いたかなど全く覚えていない。しかし、どうか不甲斐ないと思わないで欲しい。そも、山中で自分の位置と道を見失うことは珍しいことではなく、そのような状況を指した、遭難という言葉さえあるほどのものなのだから。
 そう、遭難。きっとその言葉が相応しい場だったのだろう。今思い返してもつくづく思う。よく無事で帰ってこれたものだ、と。
 行く当てなどというものがあるはずもなく、私は山中を彷徨った。不思議なことに、危機感などというものは一切なく、そこらに落ちていた手頃な枝を片手に持ち、あたりの植物を打ち鳴らしつつ、呑気に口笛などを吹きながら歩いていた。
 ……改めて今思い返すと、山中にしては高低差が無かったように思える。というのも、余り足元に気を配った記憶がないのだ。少し気を抜けば足を踏み外すような足場で、そんなことは考えづらい。つまり、足元を気にする必要がなかった、ということなのだろう。とすると、あの場所はもしかしたら山などではなく、森などの類だったのかもしれない。
 閑話休題。そうして気楽に歩き回っていた私は、ようやく目印とも言えるものを見つけた。木々の間に何かきらきらしたものが見えたのだ。
 一瞬だけ見えたその輝きは、木々の間から見たからだろうか、とても小さく儚いものに見えた。それは本当にそこにあるのか、もしかしたら余裕のない自分が幻視しただけなのではないか。そんな疑問が浮かんではきたが、幻視だとしても構わないと考え直し、足をそちらへ向けた。
何の目印もなく、ただぼんやりと足を運ぶという現状から一刻も早く抜け出したかったのが半分、この見知らぬ土地には一体どんなものがあるのだろうという好奇心が半分、といったところだろうか。つくづく自分が幼かったのだと思い知らされる。
しばらく進んでいると、そのきらめきが確かにそこにあるものだとわかった。それと同時に、自分が思っていたよりもずっと大きいものらしいことも。進むにつれて徐々にその存在をあらわにしていくきらめきは、その大きさもまた徐々に大きくしていくのだった。途中にある木々を人に見立て、自分の邪魔をする者達をなぎ倒して進んでいく、といった想像もしたことを覚えている。
やがて、そのきらめきが正体を現し始めた。それは、湖だった。それも、とても大きなものである。空から照りつける太陽の光が水面に反射して、あの時私の下へ届いたのだろう。
なんとも美しい光景だった。太陽光を乱反射する水面はまるで宝石を散りばめているかのように輝き、水の揺れによって生きているかのように動く。土地の特徴なのだろうか、辺りは霧が立ち込め、水面から反射した光を更に細かな粒に変えている。まるで、その湖を中心にした一帯の空間自身が光を孕んでいるように感じられた。
幻想的、とでも言うのだろう。生憎私は浪漫を感じ取るような感性もなければ、洒落た言葉を並べることもできないようなつまらない者である。その光景がいかに美しいものだったのか、言葉を尽くして語りたいところではあるのだが、それができないというのがこの上なく口惜しい。せめて、私のような者がそこまで言うようなものなのだ、ということで察して頂きたい。
ものの道理もわからないような幼い時分ではあったが、そんな私でさえつい時間を忘れて見とれてしまうほどの光景だった。どれほどの時間立ち尽くしていたのだろうか。一秒にも満たないようにも思えるし、一昼夜の間そうしていたのかもしれない。
そんな、どこか遠くの国へと飛んでいってしまった私の精神を体に立ち返らせたものがあった。微かではあるが、人の声が聞こえたのだ。
 初めは幻聴かとも思った。それほどに微かな声だったのだが、二度、三度と聞こえればそんな疑念もすっかり取り払われる。次に私は、助かった、と考えた。いかに見慣れぬ土地であっても、そこに住まう者に尋ねさえすれば人の住む処へは行けるはずだ。そうして、私は湖の水で喉を潤してから声の主を探して歩き始めた。
 歩きながら横目で湖を見やると、自分も動いているためか、先ほどより水面の輝きが増したように見えた。それまでに蓄積していた疲れはかなりのものだったと思われるのだが、それすら感じず、ただ見とれながら機械的に足を進めるのだった。
 それからしばらく歩いたところで、また声が聞こえた。先ほどは遠かったからか、聞こえた声が微かすぎて言葉を聞き取ることができなかったのだが、今度こそはっきりと聞き取ることができた。その声は一言、もういいかい、と声高に言った。
 次の瞬間、私は駆け出した。湖に見とれて忘れかけていたのだが、私は迷い人なのである。いくら他のことに気を取られようと、それだけは絶対に忘れることのできない事実であった。再び汗が噴出し、息も先ほどよりずっと荒くなる。その時の私は、広大な砂漠で蜃気楼を見た旅人と同じ心持ちだったに違いない。
 声の主はすぐに見つかった。木の幹に身体を預け、顔を伏せている。すぐに声をかけようとしたが、息が上がってしまっていてそれすらままならなかった。しかし、そうしているうちに、相手が気付いてこちらへと振り向いた。
 目が覚めるような、というのはおそらくあの時感じた心持ちを言うのだろう。私は、声を発することもろくにできないような息を止め、呑みこんだ。
 それは、少女だった。年の頃は当時の私とそう変わらないようだったが、私が今まで見てきたそれとは一線を画すものだった。
 まず最初に目を引いたのは、髪だった。彼女が後ろを向いている時、私は下を向いて呼吸を整えていたのでその時初めて気付いたのだが、今まで見たこともない色、碧色の髪をしていた。それも、人工の薬品で無理矢理染めたような汚らしいものではなく、新緑の葉を思わせる鮮やかな色だった。髪は頭の横で一つにまとめられている。
 服は、白いブラウスにワンピース。そこから伸びる手足はこの太陽の下にいるとは思えないほど白く、向こうの景色が透き通って見えそうだと感じた。
 何よりも私の目を引いたものがあった。彼女の背中には、羽が生えていたのだ。とても薄く、透明で、まるで蜻蛉のような羽だった。それがあたりを満たす光を更に乱反射し、まるで彼女が光を散りばめてきらきらと輝いているように感じられた。
 最後に、彼女の纏う雰囲気に私は言葉を失った。美しさと可愛らしさの両方を併せ持ち、決してそれを誇示することもない奥ゆかしさ。何よりも、クラスメイトの女子達には絶対に感じることのできない神聖さがあった。決して犯してはならないと感じたが、同時に、幼いながら、自分の手でそれを汚してみたいという劣情も感じた。
 私と彼女はそのまましばらく見つめ合っていた。と言っても、私の方はただ単純に、息があがってしまっていて喋ることが出来なかっただけである。それに対し、彼女は私のことを見定めるようにじっと見つめていた。
汗一つかかず、涼しげな様子でこちらを観察する美しい少女と、汗や土、それに葉っぱなどを体中にひっつけて荒く呼吸を繰り返す自分。彼女の立っている場所が小高い丘のようになっていることもあってか、急に自分がとても惨めな存在に思えた。
しばらく間を空けて先に声をかけたのは彼女だった。きっと、私の息が整うのを待っていてくれたのだろう。彼女は私に、何者なのか、どうしてここにいるのか、と問うた。その答えとして、私がそこに至るまでの経緯を話すと、彼女は私の姿を上から下までまじまじと見て、合点がいったようににっこりと笑った。
そして、帰り道を案内すると言うと、くるりと背を向けて森の中へ歩き出し、私はそれを慌てて追った。
道すがら、ぽつりぽつりと話をした。と言っても、彼女が私に何がしか質問をし、事務的に私が答えるというものだった。私はすっかり彼女の持つ雰囲気に圧倒され、魅了され、何も考えることができなくなっていた。まさに心ここにあらず、と言ったところだろう。先を歩く彼女の背と羽、揺れる髪、地を蹴る脚、舞うスカート、そういった諸々をうっとりと眺めていた。
そうしてしばらく歩いていると、ふと彼女が立ち止まり、こちらを振り向いた。同時に彼女は私の目の前から体をずらす。すると、そこからまっすぐに伸びる道が見えた。道と言っても、コンクリートなどで舗装されたようなものではなく、人一人通るのがやっとといった獣道のようなものだった。
彼女はその道を指し、ここをまっすぐ行けば帰ることができると言った。しかし、私はその道に足を踏み入れることを躊躇した。
彼女ともっと一緒にいたかったのだ。恐らくは、数分にも満たない短い時間だったのだろう。しかし、私はその不思議な魅力を持つ彼女にすっかりやられてしまっていた。彼女と一緒にいられるのなら、この先の人生を全て無駄にしても構わない、そんな風にさえ思ってしまっていた。
本当に私は幼かったと思う。気付くと私はその思いを彼女に全てぶつけ、一緒にいたいと言っていた。無茶なことだと幼いながらに理解してはいたのだが、それでも言わずにはいられなかったのだ。
それを聞いた彼女はとても困った顔をして、私に帰らなければいけないと諭した。それでも私は食い下がり、まるで駄々っ子のようにべそまでかいて彼女に懇願した。
どれほどそうしていたのだろう。彼女は困り果てた顔で必死に私を諭し、私は涙をぽろぽろと零しながら訴えた。傍から見たら、さぞ滑稽に見えたことだろう。特に、私の方は理屈も何も関係なく、ただただ同じ主張を繰り返すばかり。当然、そんな話し合いに終わりが来るはずもなく、やがてどちらともなく黙り込んでしまった。
とうとう私は俯いてうずくまってしまい、本格的に駄々っ子の様相を呈してしまった。彼女の顔を見ることはできなかったが、きっと本当に困った顔をしていただろう。今となっては彼女に悪いことをしたと思うのだが、その時は本当に必死だったのだ。
太陽の光は相変わらず地上を激しく照らしている。しかし、周りを囲む木々のおかげで刺すような光に晒されることもなく、ゆるやかに流れる風が私達を優しく包み込んでくれていた。遠くの方から蝉の声が聞こえる。湖を満たす水の気配を感じることができる。きっと夜であれば、湖上を舞う蛍の姿が見られたことだろう。
そうして、しばらくの間気まずい沈黙の中に身を預けていると、彼女が私の前に屈みこみ、顔を上げさせた。その時私の顔は涙とか鼻水とかそういったものでぐちゃぐちゃになっていたのだが、それを全く気にした様子もなく、私を抱き寄せてこう言った。
「あなたがここを好きになってくれたのはとても嬉しいこと。私もここが大好きだから。でも、今のあなたには帰るべき場所も、迎えてくれる人もいる。そういう人はここにいてはいけないの。だから、今は帰りなさい。もし、もしも、あなたがもう一度ここに来て、その時持っている全てを捨ててここにいたいと言ったら。その時こそは、一緒にここで生きましょう」
 そうして体を離し、私の目をまっすぐに見ると、首を傾げながら「だから……ね?」と笑った。
 その時、ようやく彼女が言っていたこと、私自身が言っていたこと、その意味を理解することができた。彼女は、ずっと私のためを思い、帰るように言ってくれていた。しかし、私は彼女のそんな気持ちを無為にしようとしていたのだ。
 それがわかると、私は、急に自分自身がとても恥ずかしく思えた。その時にようやく、私の言っていることが、物心のついたばかりの幼子のような我儘だったのだと気付いたからである。
 私は着ていたシャツをめくりあげ、ぐちゃぐちゃになった顔を拭った。そして彼女の顔をまっすぐに見据えて自分の物言いを詫び、帰路へつく意思を告げると、彼女は何も言わず笑顔を浮かべた。それは本当に美しくて、まるでお伽話に語られる「妖精」のようだ、と感じた。もしかすると、彼女は本当に妖精で、あの場所は俗に極楽と呼ばれるところだったのかもしれないとすら思えてしまう。
 そして、私はへ一歩、また一歩と足を運んでいった。それでも、彼女への想いは中々決別することができず、三度だけ彼女の方へ振り返った。一度目は笑って手を振ってくれた。二度目は一度目よりも遠く、ただ微笑んでこちらを見ていた。そして三度目はさらに遠く、既に彼女はそこにいなかった。それから私が振り返ることはなかった。
 何も考えずにひたすら歩いているうちに、気付くと山の麓へと辿りついていた。彼女のところへ迷い込んだ時と全く同じように、である。やはり私は途中で知っている場所へ出ることもなく、唐突にそこへ着いたのだった。
 そしてぼんやりと彼女のことを考えながら家路につくと、家族や友人等、数々の知り合いから異様なまでの出迎えを受けた。驚いたことに、私が迷い込んだ時から実に数週間が経っていたのだ。
 当然彼らは私がどうしていたのか根掘り葉掘り尋ねてきたが、私が体験したありのままを話しても信じてはもらえず、ついには怒り出してしまう者まで出てしまう始末だった。結局、最終的には山で遭難していたということになり、当然ながら私はその山への出入りを禁じられてしまった。
 どうしても彼女のことが気になってしまい、何度かこっそり山へ足を踏み入れたのだが、何度試してももう一度あの場所へ行くことはできず、それを感づかれてこっぴどく叱られることに終わるのみだった。
 そうしているうちに、だんだんと私も日常の生活へ戻っていき、慣れ親しんだ土地を離れる頃にはあの場所のことや彼女のこともすっかり忘れてしまっていた。

 就寝前の手慰みにと、この手記に手をつけたが、予想よりずっと夢中になってしまった。本来なら一晩で書き上げてしまうつもりなどなかったのだが。随分長いこと思い出すこともなかったのだが、いざ記憶を掘り起こしてみると思っていたよりもずっと鮮明に覚えていたことに、自分でも驚きを隠せない。
 やはり、あの体験は私の中で私が考えていた以上に鮮烈な記憶となって残っていたのだろう。あの時私が彼女に感じた想いは、やはり初恋というものだったのだろうか。これまで送ってきた人生の中で親密な関係になった女性は幾人かいるが、思い返してみるとどこか彼女と似通った部分があったような気がしないでもない。
 とはいえ、所詮は既に遠い過去の記憶だ。いくら強烈な体験だったとしても、今の私にそれほど強く影響を及ぼすものではない。記憶とは、時と共に風化しやがて消え行くものなのだ。
 さて、そろそろ日をまたぐ時刻だ。明日も朝から仕事へ行かなければいけないし、そろそろ眠るとしよう。
 まあ、折角思い出したことだし、今日は彼女のことを考えながら眠るとしよう。もしかしたら、あの場所と彼女の夢を見られるかもしれない。
これは、突然姿を消してしまった僕の友人が持っていたパソコンに残されていたものです。
保存された日付は、姿を消す前日の夜。つまり、これを書いた直後に姿を消したのだと思われます。
当然ながら警察には届けましたが、手がかりが全くと言っていいほど無いことや、彼が成人した男性であることから大したことは期待できないでしょう。
僕は、これがただの失踪ではないと考えています。
理由は二つ、彼の所持品が一切合財、携帯や財布は勿論、服や靴まで部屋に残されていたこと。
もう一つは鍵がかけられていたことです。彼の持つ鍵は部屋の中に放置されていました。
つまり、彼は寝巻きを一枚着たまま密室の中から外へ出たということになります。
それに、彼には突然姿を消すだけの理由なんて何一つありませんでした。
これを見た方にお願いです、これが人為的なものなのか、それとも何かの現象なのか、僕には全く判断がつきません。
何か知っている方は連絡を下さい。どんな些細なことでも構いません。
どうかお願いします。
プリン
http://blog.livedoor.jp/down_to_check_it-puddingalamode/
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コメント



0.510簡易評価
1.90名前が無い程度の能力削除
あなたの文章、風景がありありと浮かんでくるようでとてもわくわくしましたよ
3.80奇声を発する程度の能力削除
不思議な感じがしました
5.100名前が無い程度の能力削除
本編でも十分なのに後書きまであるなんて…
6.30名前が無い程度の能力削除
何が怖いかってこいつなんで勝手に人のPC見てんの?
7.100愚迂多良童子削除
良いですね。
ひょっとして某スレで少し前に出たお題を元に書いたのでしょうか。
だとしたらGJ。そうでなくともGJ。
9.100broiled削除
とっても好きな雰囲気でした。
会話文が少なく、また手記っぽさがありありとあって、また短いあとがきでこの文章の背景を説明しきれてるあたりがすごくいいと思います。
12.100佐藤削除
多分、誰もが一度は感じるものなんじゃないでしょうか。
こんな風にふっと逃げるように蒸発してみたいと。
後書きも含め、素晴らしい味のSSでありました。
わたくしも、思わず蒸発したくなりました。
15.100名前が無い程度の能力削除
ちょっとぉ‼終始、この友人さんに共感しっぱなしだったじゃない!
なんというか、とても今幸せな気分です。自分の中でなんて言えばいいのかよくわからない体験や気持ちをこの小説がうまく表現してくれたからです。「そう!まさにこの気持ち‼」と頷きながら読んでいました。素晴らしい作品をありがとう。
19.100名前が無い程度の能力削除
これは後書きを含めた作品という印象でした

後、芥川龍之介の河童を思い出しました
20.100名前が無い程度の能力削除
友人さんの見た幻想的な光景がありありと浮かんでくるようでした