Coolier - 新生・東方創想話

八人の魔法使い

2014/09/20 20:14:20
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――コチッ、コチッ

 日の光が差し込まない大図書館。
 時を刻む音が聞こえる。
 この大図書館の主である私は読書に耽っていた。

 今日も昨日も一昨日も――私は本を読み続けている。
 私の周囲にはこの数日間、数週間で読み終えてしまった本が積み上げられていた。
 私は手元の蝋燭に照らされた文字を目で追いながら、パタンと本を閉じた。

 ――この本、読み飽きてしまったわ。

 私がふらっと立ち上がり、新しい本を手にしようとした。
 その時、私の服の袖に何かが引っ掛かった。

 ――ドサッ

 私が目を向けた時には既に、本の山が崩れた後であった。

 ――ごほっ、ごほっ。

 埃っぽくて、咳が止まらない。
 少し動くだけで体が悲鳴を上げる。

 ――小悪魔、またサボったわね……

 私は使い魔に悪態をつきながら、そこに落ちていた一つの本を拾った。

 ――あら、この本は……

 それは、私がこの百年間愛し続けた本であった。

 そのタイトルは―― 『八人の魔法使い』


 ◇


 僕ら八人は小さい頃、同じ師から魔法を教わった。
 みんな互いに高めあい、仲良くやっていけていたんだ。
 僕らの力は七つと一つに分かれていった。
 ある日、僕らの中の一人が新しい魔法を見つけた。
 僕らの魔力を呼び水として、幻想を引き寄せる魔法だ。
 その魔法により僕らの生活は一変した。
 その世界に触れた僕はさっそく、『魔法使い』ではなくなった。


 ◆


 ――――この世界を引き寄せたのは僕だ。

 牛三つ時、他の仲間を隠れ家に残し、僕は森をズンズンと進んで行った。
 僕の好奇心は留まることを知らない。
 気分の良かった僕は、魔法で雲を作り出し、森全体に恵みを与えてやった。
 なんて僕は献身的なんだろう!

 僕は鼻歌を歌いながら、雨に濡れる森を闊歩した。
 すると、いつの間にか目の前に不気味な人間が現れていた。
 こういう奴はピエロって言うんだっけか?
 気分の良かった僕は、ピエロに陽気に話しかけた。
 どうもそのピエロは、僕に蓬莱の薬をくれるらしい。

 ――これで、捨虫の法を使わずとも、不死の魔法使いになれる!
 
 僕は歓喜し、その好奇心から、薬に手を伸ばした。

 ――ザシュ

 ――闇夜に不思議な音が響いた。
 関係ないね。
 この蓬莱の薬さえあれば、僕は不死になれるんだ!
 僕の手に握られた薬はどんどん僕の口もとに近付いていく。
 さあ、さあっ!

 ――スカッ

 あれ? 今度は薬がどんどん遠ざかってゆく。

 ――トスッ

 いてて……
 どうも僕は倒れてしまったらしい。
 頬がズキズキする。
 僕は蓬莱の薬に視線を向けた。
 ……ほっ。まだ僕の手の中にあるようだ。安心した。
 アレは僕の薬だ。

 雨は激しさを増して行く。
 僕は決して届かない蓬莱の薬を見上げながら――


 ◆

 ――――この楽園には巫女がいる。

 それはそれは美しい、華麗な巫女だ。
 そして、何より強い。
 あの強さは魔法なのか?
 八人の中で最も雄大な力をもつ僕は彼女に興味をもった。
 彼女の力の秘密を暴くのだ。

 ――巫女は妖怪を退治するため、夜に行動する。
 だから、僕は朝早く起きて薄暗い森を抜け、巫女を探しに行った。
 だけど、森の中には巫女の姿は無かったんだ。
 落胆し、僕らの家に戻る途中、美しい光が湖に降り注ぐのを目にした。
 僕は急いでその光を追いかけた。
 案の定、そこには美しい巫女が『闇』と踊っていた。

 しかし、雨が降っていて、姿がよく見えない。
 ――もっと近くで彼女の姿を見たい。

 だから、僕は壮大な魔法で霧をはらった。
 陽烏(やたがらす)の力を操る僕には造作もないことだ。
 しかし、霧が晴れたときには、もう巫女の姿は消えていた――


 ◆


 ――――雨は止むことを知らなかった。

 巫女はしっとりと全身を濡らしたまま、雨に溶け込む様に消えていく。
 その美しさに見とれ、ふらふらと森の中を進んで行った。

 空を見上げた――今日は十五夜だっけか。
 しかし、雲で隠れて見えない。
 森に視線を戻すと――いつの間にか巫女の姿は消えていた。
 夜が明けようとしているのに、まるで夜のような暗さ。
 星の光も月の光も届かない。

 ――スッと、体が宙に浮く。
 ボクはどうもピエロに捕えられたようだ。
 そのまま、闇の中へと攫われていく。

 ――せめて、月の光さえあれば……

 ボクは天に祈りをささげながら、森の奥へと消えて行った――


 ◆


 ――――夜、僕ら六人は未だ降り続く雨で外に出られず、景気づけにパーティを開いた。

 飲めや踊れやのどんちゃん騒ぎ。
 年端のいかない僕は、近くの魔法使いたちにお酒を取り上げられてしまった。
 ――いつもそうだ。
 みんな僕のこと子供扱いする。
 魔法に関してもそうだ。
 僕の魔法は泥遊びじゃない。
 僕は不貞腐れて、部屋の隅でお菓子をつまんでいた。

 ――ねぇ、僕。一緒に遊ぼう。

 どこからか美しい声が聞こえる。
 僕はその声に誘われるように、会場から抜けだした。

 ――ねぇ、誰が僕を呼んでいるの?

 暗闇の中に問いかけた。
 けれど、返事は聞こえてこない。
 僕は火の魔法使いではないから、暗闇を照らすことができないよ……
 キョロキョロの周囲を見渡していると、半月状にキラッと輝くものが見えた。

 ――わぁ、綺麗だなぁ。お月様かな?

 そう思った瞬間、僕はあっさり首を切られた。
 あれれ……??
 いつも泥人形の首をもいで遊んでいた罰かな?

 僕が子供扱いされることはもう二度となかった――


 ◆


 ――――はあっ、はあっ。

 僕は息が切れるまで走った。
 誰も僕を追いかけてくる仲間はいない。

 僕は僕らの中で疎まれていた。
 儚く、先生も行使し得ない七曜から外れた力――みんなは僕のことを外道と言う。
 この力は、決して他には見せない努力により得たものなんだ。
 だから、僕は力こそがすべてを引きつけると信じてやまなかったんだ。

 ――だけど、それももう終わりだ。
 僕は見つけてしまったのだ、雨に濡れた森に落ちた月型の髪飾りを。
 そして、周囲に散らばった美しいブロンドの髪を。
 きっと闇に――ピエロに攫われたのだ。

 もう僕の想い人は消えてしまった。
 こんな世界で生きていても仕方が無い。

 ――せめて、最後は星を見て死のう。

 僕は星と月の光が降り注ぐ森で最後を迎える決意をした。
 太い枝に縄を縛りつけ、首を掛けた――


 ――
 ――――
 ――――――
 ――――――――あーあ、綺麗な星空だなぁ……

 僕は星空を見上げていた。――地に背をつけて。

 ――あれ、おかしいな? 縄が脆かったのか?

 なぜ失敗したか考えながら再び空を見上げると、はたと気づいた。
 ――今晩は新月だった。
 僕は立ち上がり、手を開き、そして握りしめた。
 
 ――そうだ、僕は生まれ変わったのだ。

 最も儚い光を放つ僕は生まれ変わった。
 もう失うものは何も無い。
 僕はもう一度だけ普通の魔法使いの真似をしてみることにしよう――


 ◆


 ――――目覚めたら僕ら五人は暗闇の中にいた。

 一人の言うことには、僕らは謎のピエロに攫われたらしい。
 四人は幼稚な脱出計画を立てている。

 ――君ら四人の術では、賢者の石も作れやしない。

 鋭い魔法と感性をもつ僕は、とうとう口に出さなかったのだ。
 四人の魔法を用いた脱出計画は実行された。

 闇を祓う魔法――日の魔法が闇を照らしだす。

 予想に反して成功した脱出計画で、その四人は無事に闇から抜けだした。
 
 計画に参加せずに闇の中に取り残された僕は呟いた。

 ――ああ、そういうことか。

 僕は気付いてしまった――この闇を作り出したピエロの正体に。
 しかし、すでに遅かった。

 ――どうしようもないな。
 
 諦めて暗闇の中でナイフを弄び暇をつぶしていると、闇の中から気配を感じた。
 僕は戯れに、手に握ったナイフを投げた。
 だが、手ごたえは無かった。

 ナイフが落ちる音すら、聞こえない。
 とたん、僕の足元がぬかるみ動きがとれなくなった。

 ――これはあの二人が得意としていた複合魔法、ノエキアンデリュージュ……

 僕には、その魔法の正体がすぐさま理解できた。
 そして、抵抗をやめた。
 今度はすぐ後ろに気配を感じたが、身を任せた。

 ――サクッ

 冷たい感触を感じ、熱いものが背中に伝った。

 それと同時に、僕には消えたナイフの行方がなんとなくわかった気がした――


 ◆

 ――――僕らは見事に脱出に成功したんだ。

 一人は、僕らはなんて賢いんだろうと感心していた。
 もう一人は、自信満々に雄大な力を自慢していた。
 三人目は、険しい顔をしながらみんなの顔を見渡していた。
 そして生まれ変わった僕は、何も怖くなくなっていた。

 みんな、所詮は普通の魔法使いだったんだ。
 自分の魔法を信じてやまなかったんだ。

 そして、みんな仲良しだったんだ……


 ◆

 引き寄せた楽園には、大きな湖があるんだ。
 その湖畔には、僕らが魔法を学んだ場所とまったく同じつくりの古びた洋館が佇んでいる。

 ――いつの時代の建物かはわからない。
 門をくぐると広がる、美しい中庭。
 僕らの時を刻む大きな時計台。
 そして、カビ臭くも懐かしさを残した図書館――

 そんな温かく迎い入れてくれる洋館も今日は少し寂しげだ。
 いつもなら大量に用意するはずの食事がいつもの半分で済んでいた。
 ――知らぬ間に僕らは半分になっていたんだ。


 ◆

 ――――僕らの午後は、いつもお茶の時間と決めていた。

 アフタヌーンティーってやつさ。
 けれど、今日は不思議だったんだ。
 いつも苦いだけの珈琲が、僅かに甘く感じる。

 ――ふと気付くと僕の目の前に美しいピエロが佇んでいた。
 道化とは思えないくらい美しい笑顔だった。
 その笑顔を向けられたとき、僕の心臓は跳ね上がったんだ!

 恋焦がれるようなこの気持ち!
 僕の魔法よりもはるかに熱い!
 この体の痺れも心地いい!

 ――美しいピエロさん。どうしたのですか?
 
 美しいピエロは微笑み続けている。
 僕は美辞麗句を並べ、恋し、そして幸福のまま眠りについた――


 ◆


 ――――僕は明らかに毒で殺された仲間を見てしまったんだ。
 
 珈琲を片手に幸せそうな顔をした仲間の姿を。
 あれは自殺のはずがない。
 なぜなら、珈琲は僕が適当に選んで皆の部屋に配ったんだからな。

 他の二人には彼の死を伝えず、皆が寝静まるまで必死に起きていた。
 僕は自分で用意した食事以外は口に入れなかった。
 僕は眠い頭で必死に考えた。

 ――あれは、水銀毒(マーキュリポイズン)……
 術式は水と金だが、あいつらはもういない。
 いや違う。これは……

 ――ドスン

 思慮にふけっていた僕のすぐ近くで、不気味な音が響いた。
 まるで、木に釘を打つような音だ。

 ――ドスン

 その音に合わせて僕の体が痛む。
 僕は、僕の手に打ち込まれているそれに目を向けた。
 これは子供のようなあいつの魔法、土曜槍(ドヨースピア)。
 ――何で気付かなかったんだ?

 ――ドスン

 僕の足に衝撃が走る。
 もう僕の趣味である花壇の手入れはできないだろう。
 僕はそんなことを思いながら、術式を組んだ。――ばれないように。

  ――ドスン

 僕の四肢に土曜槍を打ちつけ終わったようだ。
 そして、最後の土曜槍が僕の眉間に当てられた。

 月明かりに照らされて、僕の予想通りの顔が浮かんできた。
 僕は声をあげずに、完成した術式をぶつけた。
 生命を支配するその術は、そいつの喉を貫いた。

 ――これからは夜な夜な襲ってくる発作に苦悶し続けるがいい!

 僕が心の中で叫ぶと同時に、光は完全に途絶えてしまった――


 ◇

 ――――君は余りにも腑抜けだったのだ。

 君にはセンスがあった。
 天性の鋭い感覚をもち、僕らの中で唯一すべての魔法を研究した。
 しかし、足りなかったんだ――決定的なものが。

 普通の魔法使いが七曜を操ることが、自然への冒涜だと分からないのか?
 こんな馴れ合いの果てに力を細分化して……
 僕は、昔みたいに皆で高めあって、先生のようにすべての力を行使できるようになりたかっただけなんだ。
 
 ただそれだけだったのに……

 一仕事終えた僕は、朝食の準備をし、夜が明けるのを待った――


 ◆


 ――――その朝、僕は日が昇る前に目を覚ましたんだ。

 すでに用意されていた食事をとり、おいしいコーヒーを一杯いただいた。
 そして、日が昇りきった頃には――既に虫の息だった。

 今朝、用意されていたハムエッグに何か盛られていたんだろう。
 この毒は――あいつか!
 おかしくなった時点で気付くべきだった!
 やはり、僕の力で殺しておくべきだったんだ。
 だが、あいつは僕がいなければ輝けない。

 ――あいつは一生、太陽の光に拒絶され続けるといい。

 いずれにしても、もう遅すぎたな……
 僕の最後の力で、僕の力に呪いをかけた。

 僕は朦朧とした意識の中で考えた。
 それにしても、あいつの髪の色はブロンドではなかっただろうか?
 徐々に色が変わっている――まるで、藍から紫に変わる紫陽花のように。
 僕の最後の魔力と引き換えに、幸せに逝かせてほしいと願った――

 ――
 ――――
 ――――――ロイヤルフレア!
 僕はいつかの巫女は戦っていた。
 巫女の美しい弾幕と僕の激しい魔術がぶつかり合う。

 ――そうだ。この高揚感が欲しかったんだ!

 高笑いしながら僕は魔術を行使する。
 そう高笑いをしながら……

 ――そうこんな幻想ならば、いくらでも。
 僕は最後まで巫女と戦うことを夢見ていた――


 ◆


 ――――あれから生まれ変わった僕は、昨日の夕食後、強烈な睡魔に襲われたんだ。

 僕の夕食にも何か盛られていたようだ。
 頭が割れるように痛い。
 窓から外の様子を見ると、すでに日が落ちたのか真っ暗だった。
 曇りなのか、星の光も見えやしない。

 しかし目の前の現実は、天気よりももっと悲惨だった。

 ――何てことだ……

 一人は槍で木に打ちつけられて磔に。
 一人は珈琲を片手に夢の中。
 そして、最後の一人は――

 ――首をはねられていた。


 星も見えない部屋の中。
 もうこんな一片の光も無い世界に未練など、無い。
 今度は丈夫な縄を天井に縛り、僕は高い椅子を蹴った。

 ――あーあ、最後に星を見たかったなぁ……

 暗闇の中、意識が薄らいでいく。
 とうとうこんな幻想とは、さよならだ。
 そんな、二度と地に着くことのない僕の視界に、キラリと光るモノが映った。
 僕は目を見開いた。
 すると、傍らで優しい声が聞こえる。

 ――君の力だけは奪わないであげる、僕に恋をした星の魔法使い。

 ―― ……っ

 僕の肺から空気が漏れる。
 その声は僕の恋した声だった。

 ――百年後、また出直してきて。そのとき、相手をしてあげる。

 僕はまるで夢を見ているような心地だった。

 ――最後に夢をかなえてくれたんだね、お星様!

 僕は優しい夢に包まれながら、二度と地に足を着けることは無かった。

 そして、普通の魔法使いは全員消えた。


 ◆


 ――――あら?

 私は古くからの友人とお茶を飲んでいると、魔法の森の方から歩いてくる紫陽花色の髪をもつ美しい少女を見かけた。
 その少女、どこかで見たような気がした。
 が、まったく思い出せなかった。

 ――ああ、あの娘。

 あの娘の髪と同じ名をもつ私の友人は、何か察したように口もとを釣り上げた。
 その娘は咳をしながらもぺこりと頭を下げて、日の光を避けながら楽園の出口の方に向かっていった。

 ――変な娘ね。

 友人はくすくすと笑いながら、口もとを扇子で隠した。

 そういえば、あの娘は八人の中で唯一の女の子だったわね。
 でも、最後に見たときはブロンド髪だったような……
 まぁ、そんなことはどうでもいいけど。
 私はそう言ってお茶を飲み干した。

 ――あーあ、今日もまた退屈な一日だったわ。


 ◇


 ――――恋符『マスタースパーク』!

 図書館の入口で魔力の爆発を感じた。
 本に目を落としていた、ぼ―― いや、私はふらっと立ち上がった。

 ――なんだか懐かしい魔力ね。

 私はその魔力に引き寄せられるように、図書館の入口付近へと向かった。

 ――ごほっ、ごほっ。

 少し動くだけで体が悲鳴を上げる――あの日の術式はまだ続いている。
 なんとか、私は図書館の入口へとたどり着いた。
 そこには、私がこの百年で集めた本に触れようとする、白黒ネズミが一匹。

 ――わぁ、本がいっぱいだぁ。後で、さっくり貰っていこ。

 私は息を切らせながら、叫んだ。

 ――持ってかないでー

 白黒は私の顔を一瞥し、口もとを釣り上げた。

 ――持って行くぜ。

 なんてふてぶてしい!
 まるで、私に最後の呪いをかけたあの魔法使いのようだ。
 私は手元の本に目を落とし、呟いた。

 ――えぇーと、目の前の黒いのを消極的にやっつけるには…… うーん、最近、目が悪くなったわ。
 ――部屋が暗いんじゃないのか?

 そのネズミは地下図書館の暗がりを指差した。
 理由も知らない、白黒ネズミ。
 私は、太陽に弱いのよ。

 ――鉄分が足りないのかしら?

 私はとぼけて見せた。
 白黒ネズミは頬をさすりながら、顎に手を当てた。

 ――どっちかっつーとビタミンAだな。
 ――あなたは?

 私の質問に対し、キョトンとした顔をした。
 少し間をおいて、白黒はニヤリと笑い自信満々に言い放った。

 ――足りてるぜ、色々とな。

 私は彼女を見ながら、クスリと笑った。
 そう、今は満ち足りているのね。――恋と星の魔法使い。

 ――じゃぁ、頂こうかしら。
 
 あなたの魔法を……ね。
パチュリーは一人で七曜を操るという生来の魔女です。
それでは、始めからそのすべてが操れたのか?
その魔力は誰かから奪い取ったものではないのか?
そう言った、私の愚かな妄想から生まれたのがこの話(解釈?)です。
元ネタを知っている人は知っていると思いますが、蓬莱人形のストーリーをベースにしています。
多数、原作から改変してしまっている部分がありますが、お許しください。
ここまで読んでいただきありがとうございました。

もしこの小説について、もっと深く知りたいのでしたら、以下のリンクに進んでください。蓬莱人形の解釈とともに、私の答えを書いておきたいと思います。
アグサン
http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=4382806#5
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コメント



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6.100大根屋削除
蓬莱人形CD-R版とアグサン氏の妄想が入り混じった、面白い話だと思います。あのストーリーをベースに、よくここまでかみ合った話が出来たものだと感心しました。
非常にもったいないなと思ったのは、作品自体よりもその元ネタの知名度に問題アリというところでしょう。CD-R版の蓬莱人形を持っている人は現在の東方ファンの数からすれば圧倒的に少数で、CD-R版の存在自体を知らない人も多いと思います。
そしてこのストーリーはそのCD-R版のストーリーをほぼベースにしていますので、あのストーリーを知らないとかなり難読ではないかと思うのです。私もネットでストーリーを調べてようやくこの作品の感覚をつかむことが出来ました。まぁあのストーリー自体かなり難読ですけどね……
蓬莱人形のストーリーをふまえ、アグサン氏の解説を見れば、この作品が良く出来ていると分かります。それ故に、評価されないのは残念だと本当に感じました。