Coolier - 新生・東方創想話

アフタヌーン・ティーにアップルパイを

2010/04/02 10:24:27
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※緒注意
 いとも自然に交わされるカニバリズム的会話、
 ロリ咲夜さん及び手前勝手な捏造設定、
 見るも無残なカリスマと頭がピンクな魔女に免疫のない方の閲覧は
 皆さんの自由意志にお任せします。





「食べてしまいそうなんです」
「性的な意味で?」
「そうそうあの真っ白い柔肌を別の白い液でべたべたに、って何言わせるんですか!」
「冗談よ」

『動かない大図書館』などと仰々しい二つ名を持つ紅魔館の頭脳は全く悪びれずにそう言った。普段と何ら変わりない無表情で笑えないジョークを飛ばすのはやめてほしい。あと人の話を聞く時ぐらい読書を止めろと。
 というツッコミを美鈴は何とか呑み込んだ。前者はうっかりノリツッコミをしてしまったから。後者は言っても無駄だから。

「いや、ホント真剣に悩んでるんですって。ちょっとはにかんだ様な笑顔で『めーりん』って、もみじみたいなちっちゃい手を伸ばしてくるんですよ? 一日立ちん坊してお腹ぺこぺこの時に、こりゃ拷問ですよ」
「別の棒が立ちん坊になるのね」
「だからさっきから何言ってるんですか!?」
「冗談よ」

 美鈴としては一歩間違えば紅魔館の名に相応しい血みどろグロテスクな話をしている筈なのに、パチュリーの冗談に掛かると何故かピンクとエロスの漂う話をしているような気分になるので不思議だ。まあ本当に実行した場合、美鈴はロリコンレズ強姦魔という最悪のレッテルを貼られて館から追い出されるという、ピンクどころかお先真っ暗な展開が待っているのだが。

「それにしても驚きだわ」
「何がです?」
「レミィがまさか貴女にあの子の教育を押し付けるとはね」
「……その点については同意です」



     ***



 ある日、一人で夜の散歩に出た筈のレミリアは、帰った時は一人ではなかった。
 夜勤明けで漸く温かい布団にあり付けた美鈴を馬乗りで叩き起こし、彼女はそれを指差して言ったのだ。

 ――お前にこれを預けるわ。煮るなり焼くなり好きにしなさい。

 文字通り目の前にグングニルの切っ先を突き付けられながら言われては、美鈴もこくこく頷くことしかできない。美鈴の生存本能剥き出しの素直な反応にレミリアは満足げに頷き、「じゃあ寝るわ」と言ってさっさと去ってしまった。
 残されたのは全く訳が解らない美鈴と、所在無げに佇む目つきの鋭い子供が一人。さて困った。
 煮るなり焼くなり、と言う事は食べていいという事かと言うとそうとは限らない。そもそも連れて帰った時点で、レミリアはこの子に何かする、もしくはさせる気なのだろう。
 美鈴は悩みに悩んだ。長く伸びた前髪のせいで男か女かも解らない子供を眺めながら、右に首を傾げ、左に首を傾げ、顎に当てていた手を頭にやって髪を掻きまわし、てっぺんに集めてパイナップル、などとやってみたがレミリアの心情は解らなかった。子供がにこりとも笑わなかったので更に気まずくなっただけだった。
 けれどこのまま放置していてはどのみち怒られそうな気がしたので、とりあえず美鈴は布団から出た。出たところで子供がびくっと肩を揺らし、近づいてくる美鈴に警戒心を剥き出しにした。美鈴はちょっと困ったが、とりあえず素早く近づいて目線を合わせた。
 逃げようか飛びかかろうかと一瞬迷った子供の両手を右手一本で封じて、
「えい」
 左手でどろどろに汚れた前髪をかきあげる。
「あらかわいい」
 現れたのは整った顔立ちの可愛らしい女の子だった。ただ非常に残念な事に、泥や埃や乾いた血の類で薄汚れていた。
 侍らせるなら綺麗な方が良いだろう。食べるなら綺麗な方が良いだろう。眺めるなら綺麗な方が良いだろう。よし。
「食べるにしろ囲うにしろ観賞用にしろ、取り敢えず風呂ですね」
 ひょいと抱え上げると漸く、少女はじたばたと暴れ始めた。拳が当たっても大したことは無いが、暴れられるより大人しくされたほうが持ち運びには便利である。ええとこういうときどうするんだっけ、と美鈴は考え、腋に手を突っ込んでぶら下げた。
「うひゃ」
「あ、喋った。というかほっそいですね、お風呂の後はご飯ですね!」
 ご飯はどうしましょう、やっぱり温めたミルクですかね? それからとりあえず里で首輪を買って来なくちゃ、と睡眠不足のちょっとテンションの高い頭で美鈴はうきうきと考えた。
 美鈴よ、それは犬だ。



   ***



「その時は美味しそうとか思わなかったの?」
「うーん、寝る前にお腹一杯食べてたので、別にそういう事は思わなかったですねぇ」
「で、今になってムラムラする、と」
「……その言い方はなにやらもの凄く引っ掛かりますが、まあそういうことです」

 パチュリーはうぅん、と唸って眉間にしわを寄せた。

「それが解せないのよ。貴女が食人種だっていう事は、レミィも知っていたでしょうに」
「ええまあ、お嬢様の食べのこしとか良く貰ってますし。人間が大好物って訳じゃないので食べられればなんでもいいんですけど」
「それで人間の仔を差し出すって、『さぁお食べ』って言ってるようなものじゃない。ライオンに肉塊、牛に牧草、吸血鬼に血、飢えた男に穴あきこんにゃくを差し出すようなものだわ」
「最後のは何だか違うような」
「そういえば女にもいたわね、こんにゃくでオナ」
「それ以上は駄目です! それ以上は駄目です!」

 美鈴は涙ながらに二度叫んだ。大切な事なので。

「……っていうかもういっそ食べたら? 煮るなり焼くなりって言われた以上、レミィにも責任あるし。っていうか食べろ。私の前で食べろ」
「食べられませんよあんなに可愛いのに、っていうかそんなグロいものみて一体どうしようと?」
「美鈴×ロリ咲夜の18禁エロ小説書いて閲覧者を釣るわ。小悪魔手伝いなさい」
「釣らないでください! っていうか夜伽でやれ!」

 なんという事だろう! 美鈴がかわいいかわいい咲夜を前に日々生物的欲求を抑え込み葛藤しつつも笑顔で接しているというのに、この紅魔館の頭脳、動かぬ大図書館は美鈴を食べる方向で唆すのだ。しかも性的な意味で。というか知識がピンクな方向に突破しすぎである。お前は辞書の活字にすら興奮する中学生か。

「私は本当にお腹空いてるんですよ! だって紅魔館まともな食事出ないし、咲夜さんかわいいし、門の前に立ちっぱなしだし、咲夜さんかわいいし、偶に妖怪とか来て戦わないといけないし、咲夜さんかわいいし、おぜうさまは我儘だしパチュリー様はもやしだし咲夜さんはかわいいし!」
「さりげなく暴言吐いたわね。小悪魔、紅茶おかわり。つーか貴女はどれだけ咲夜を猫可愛がりしてるの」
「咲夜さんッッ可愛いよおかわいいいよォ咲夜さんァァアアァァア アァッ!!」
「そこまでよ!」

 バタァン、と図書館の扉が大きく開かれた。内に。ちなみに美鈴がここを訪れた時は確かに外開きの観音扉だった。吸血鬼の莫迦力が扉の開き方すら変えてしまったのである。しかも二度と閉まらない。
 粉々の木っ端微塵にならなかっただけマシか。

「さっきから黙って盗み聞きしていれば咲夜を食べたい食べたいってそればかり! 咲夜を拾ったのは私よ、つまり咲夜は私の娘よ!」

 堂々と言い切ったレミリアからは母の威厳が漂っていた。見た目は幼女だが。

「即ち咲夜を一番に食べるのはこの私よ!」
「何故っ!?」

 訂正、漂っていたのはカリスマの残骸だった。どうやら木っ端微塵になったのは図書館の扉ではなくレミリアのカリスマの方だったらしい。

「そんなこと言うんだったら『煮るなり焼くなり』なんて言わなきゃ良かったんじゃ……」
「美鈴が『それではいただきます』と食べようとする→私が美鈴ぶっ飛ばして咲夜を助ける→咲夜『ありがとうございますっレミリア様だいすき!』これよ!」

 どれだ。
 というか『煮るなり焼くなり』って言った時傍に咲夜いたし。グングニル美鈴に突きつけてる様子をばっちり見られてるし。

「だから寝たことにしてこっそり二人を尾行していつ襲うかいつ襲うかワクワク……気を引き締めて見張ってたのに、美鈴ったら一緒におフロ入った挙句温かいミルクなんか飲ませて自分のポイント上げてるのよ! 信じられない! そこは主人を立てて襲うべきところでしょう、気を使う程度の能力が聞いて呆れるわ! あと私も咲夜にあったかいミルクを飲ませてあげたかったわ、勿論自家製のレミリア印のミルクをね!」

 ……言われた通り煮るなり焼くなりしなくて正解だった、と美鈴は大きな胸を撫で下ろした。あそこでいただきますをした時点で美鈴は挽肉の運命をたどり、咲夜はレミリア印の温かなミルクを飲まされていたのだ。上から出るミルクか下から出るミルクかを深く考えてはならない。
 今更ながらこれが私の主人なのか……と虚ろな目をする美鈴の傍らで、パチュリーは眼をカッと見開き拳を握りしめていた。

「レミリア×ロリ咲夜……双方(見た目は)幼女でしかも母×娘という倒錯感や背徳感も楽しめる……イケるっ」

 誰かこのピンクもやしを止めろ。






「めーりーん」

 吹き飛んだ扉の向こうから愛しい声が聞こえ、美鈴はよろよろとそちらを向いた。精神的疲労で満身創痍だ。
 見れば噂の渦中の食べられてしまいそうなぐらいかわいい咲夜が、メイド服に身を包み小さなお盆を持って立っていた。
 傍らにはフランドールがふよふよと浮いていて、咲夜にじゃれついている。

「あぁ、咲夜さんに妹様……どうなさったんです?」
「あのね、いもうとさまといっしょにアップルパイを作ってきたの」
「アップルパイ? ……わぁ本当だ、美味しそうです。これを、私に?」

 訊けば咲夜はこくりと頷く。

「めーりんいつもおなか空いたって言ってるから」
「さくやと一緒に作ったよ! 食べて食べて!」

 言われるがままに一口かじる。
 外はサクサク、中はしっとりとした生地の中から、とろりと甘いリンゴの蜜が溢れて美鈴の口腔を満たす。文句なく美味しい。

「とっても美味しいですよ」
「よかった」
「さくやすっごく料理じょうずなんだよー! フランにもまた今度作ってくれるって!」

 無邪気に笑う二人の幼女に、美鈴のささくれ立った心が癒されていく。嗚呼、幼女万歳。ロリコンじゃないけど。

「ややしっとりとした中から甘い蜜……だと……? そんなもの瓶詰めにして売るしかないじゃない!」
「食べて食べてだなんてフラン……っ! そんな誘い受けテクを教えたつもりはないわよ、あとで私の寝室にいらっしゃい」
「…………」


 美鈴は幼子を守る清らかな涙を流しながら二人をぎゅっと抱きしめた。「おっぱい苦しいよめーりん」とフランドールの苦情が聞こえるが、これは君達の未来の為だ。というか今更すぎるが駄目だこの主たち……早くなんとかしないと……







 両手に持った盆の紅茶が小さく音を立てる。
 その音が聞こえやしまいかと思えば思う程、スリルでじっとりと濡れてしまうのを感じた。

 何度か呼ばれつつも我が身かわいさにシカトし続け、出るタイミングを完全に失した小悪魔は、書架の影でガタガタ震えながら額や背を冷や汗で濡らしていた。
ピンクもやし「ハッ意表をついて小悪魔×ロリ咲夜……新境地の予感がするわ! 小悪魔! こーあーくーまー!」
濡れこあくま「(ヒィィィィィィィィィィ!!)」



エイプリルフールに投稿すれば色々と許されるだろ、とか思っていたら遅刻しました。
誓って言いますが、作者はロリコンではありません。幼女かわいいよ幼女。
あぜ道
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コメント



0.1630簡易評価
1.100煉獄削除
咲夜さん可愛いしフランも可愛いなぁ。 こう……ギュッとして撫で撫でしたくなりますね。
他の三人の色々とぶっ飛んでいる発言とかも面白かったです。
7.100名前が無い程度の能力削除
なんだこの酷い奴らwwww
8.100名前が無い程度の能力削除
可愛いからおk
何の問題もない
11.100名前が無い程度の能力削除
>上から出るミルクか下から出るミルクか
うぉい!!どっちも出ねーよ、お嬢様からそんなもん出てたまるか
もし出たとしても私が頂く、もちろん上から出るやつをw
下から出るものは……いらんなぁ
14.90名前が無い程度の能力削除
これはひどいw
16.100名前が無い程度の能力削除
ノーカリスマの吸血鬼とピンクもやしを食べちゃえば
お腹いっぱいになれて咲夜さんを食べずに済むじゃない

濡れこあくまはあとで私の寝室にいらっしゃい
17.100名前が無い程度の能力削除
他と比べても、あまりにもパッチェさんがだめすぎる……w
18.無評価あぜ道削除
処女作に相応しからざるまさかのコメと評価に怖れ戦くあまり内心小悪魔状態だが冷静を装ってあえて言おう。このロリコンどもめ!
ところで小悪魔×咲夜って冗談のつもりだったけど意外とアリじゃね?

煉獄様>ロリ咲夜さんとフランのコンビに敵うものはあんまりないと思われます。幼女かわいいよ幼女
    美鈴は中盤パチュリーに汚染されてつい頭のねじがぶっ飛んだようです。

7様>どう考えても一番酷いのは書いた人の頭の中です本当にありが(ry

8様>可愛いは正義。

11様>上から出るミルク=くちうつし、下から出るミルク=お嬢様が哺乳瓶で飲ませてくれるんだと思えばセフセフ!

14様>褒め言葉として受け取っておきますww

16様>そして出来上がるロリ咲夜と永遠の495歳児を侍らせた美鈴王国。どう見ても真性のロリコンです。
   濡れこあくま? 俺の隣で寝てるよ?
19.無評価あぜ道削除
見落とし失礼!

17様>おぜうのカリスマブレイクは想定の範囲内だったが、いざ書き始めるとパッチェさんが駄目な方向にすいすいと筆が滑りま…うわなにをするやmくぁwせdrftgyふじこlp;
20.無評価名前が無い程度の能力削除
でもおぜうさまのミルクならちょっと見たいかも
21.100名前が無い程度の能力削除
どこから出るのだね?
どこから出るのだね!?
26.100名前が無い程度の能力削除
どうでもいいけど後書きの「ハッ意……」を「やつごころ……」なんて読んじゃったもんだわロリコン万歳
27.無評価あぜ道削除
コメントに レスを するよ

20様>ステップ1.幻想郷へ行く事から始めましょう

21様>ロリ咲夜かフランを差し出して土下座すれば好きな所から出してくれます。たぶん。

26様>永遠亭へお帰り…ロリコン万歳
30.100名前が無い程度の能力削除
おぜうさまの股間の保護カバー付き哺乳瓶にしゃぶりつきたいです
36.無評価あぜ道削除
30様>門番とメイド長を倒した先に花園はある…
40.80ずわいがに削除
情は食よりも強し
ンッンー名言だなこれは

とにかくこの作品で一番可愛いのは小悪魔
42.100名前が無い程度の能力削除
笑いましたw
咲夜さんとフランさんを護る美鈴……みんな親ばかですね。
48.100名前が無い程度の能力削除
お、おう…