Coolier - 新生・東方創想話

紅椿

2010/01/18 04:04:28
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パチン パチン
庭に響く鋏の音
パチン パチン
白玉楼の庭師、魂魄妖夢の奏でる枝に鋏を入れる音
パチン パチン
一面雪に覆われた庭にただ響き渡る音
パチン パチン
その日、冬を迎えた白玉楼は雪が積もったが妖夢の日常は変わらない

今日も庭の手入れをしている

今日は満開になった椿の枝を剪定している

「はぁ・・・」

空 雲 地面 屋敷の屋根 自分の吐息・・・

全てが白に覆われた中でただ凛として赤く萌える椿
その艶やかな咲き姿に妖夢は見惚れながらも手は止まることがなかった

かじかみそうな手を時折吐息で温めながら作業を続ける
その顔に一片の辛さは無く、ただ花を活ける少女の顔であった

無心で枝に鋏を入れ、庭に咲く椿が妖夢の手で作品になる
その光景を眺めながら幽々子がこちらに歩いてくる

「寒い中ご苦労な事ね」
「あ、幽々子様」

雪の中歩いてきた主人に妖夢が幽々子に振り返った

「あなたも、この椿も」

桜色の肩掛けを羽織った幽々子は椿にそう呟いた
「椿も、ですか?」
「えぇ、どうして椿は温かい春じゃなくて冬に咲いてるのかしら?こんな冬に咲いたってロクな事がないのに」
「そうですね・・・」
その言葉に妖夢は木ヘンに春と書いて椿なのに何故冬に花を咲かせるのか疑問に思ったが

「でも冬を彩る花が無いとこの庭は寂しいですよ」
「それもそうね」

妖夢の言葉に幽々子も目を細めて微笑む

椿の都合がどうであれ今この庭に綺麗に咲いている花がある
二人はそれだけでいい事なのである

すると幽々子の目元が悪戯を思いついた子供のように少し明くるくなった

「そうだ。妖夢、鋏を貸しなさい」
「あ、はい」
パチン
妖夢から受け取った鋏で幽々子は椿を一輪切り取った
「あのー、、、幽々子様?」
「さあ妖夢こちらにいらっしゃい」
「え?」
そう言われた妖夢は幽々子のもとに駆け寄った

スッ
「・・・あ」
「うん綺麗だわ」
そして幽々子は妖夢の髪に椿を飾った

「やっぱり似合うわ。あなたの髪は白雪のような輝きだからこの冬を彩る椿の赤がとても似合うわ」
「ゆっ、幽々子様、いきなり何を・・・」

ふいに綺麗と言われた妖夢の顔はその椿の髪飾りに負けないほどに赤くなっている
それでも構わず幽々子は淡々と語り続ける

「妖夢、あなたは美しいわ
あなたは鋼のように美しい。
その身で肉や骨を残酷に断ち斬ろうとも
白銀の刃が鮮血で紅く染め上がった姿のように美しいわ」

「幽々子様・・・」

「ふふ、少し戯れが過ぎたわね。」

惚ける妖夢の姿をひとしきり見詰めた後幽々子は屋敷の方を向いた

「こんなところに長居したら半霊でも風邪をひくわよ。
さ、お茶にしましょう」
「は、はい!」

幽々子の提案に我に返った妖夢は茶の支度をするため勝手口へと急いだ

そして今一度心に思った

自分は刃になろう
主の庭を彩る鋏に
主の敵を切り裂く刀に

縁側に腰かけた幽々子はまた椿を眺め呟いた

「白銀を 凛と彩る 紅椿   か」

ただ思ったことを呟くだけで詩になる
そんな幻想的な景色を眺めながら幽々子は妖夢の淹れるお茶をまっている。
処女作です
気楽院
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コメント



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11.70ずわいがに削除
臭う、臭うぜぇ、こいつぁ温かい親子臭ってやつだ
実は本当に親戚とかなんじゃないかと最近疑ってます