Coolier - 新生・東方創想話

東方運命糸事変

2010/01/17 21:59:28
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朝…。

今日も幻想郷にいつもの朝がやってくる。

目を開ける幻想郷の博麗神社の巫女、博麗霊夢は朝の光の眩しさ、そしていつもの体内時計によって目を覚ます。今日も1日、何事もない平和な日常であって欲しいと願って、身体をおこ……。




「ってなによこれぇええええええええ!!!!」










東方運命糸事変










 霊夢の身体は赤い糸によって身体が拘束されるように絡まりあっていたのである。霊夢は、この異常事態に目覚めたばかりの頭を働かせ、身動きが取れにくい状況下でありながら、毛布から抜け出す。まるでダルマのような格好で、赤い糸は四方八方に伸びているようだ。


「霊夢!」


 ふと、外から声が聞こえてくる。
 それはどこか聞きなれた声。


「魔理沙!?」


 外に飛び出した霊夢の前、そこには、赤い糸でぐるぐる巻きにされまるで芋虫のように動いている魔理沙がいた。その芋虫魔理沙の近くでは、アリス・マーガロイド、パチュリー・ノーレッジの2人が睨みを利かせながら、立っている。

「なに、やってるのよ?あんた?」
「それは私が聞きたい台詞だ!朝起きたらこんなことになってて……」

 魔理沙は後ろにいるアリスとパチュリーを見る。二人の小指からは赤い糸が伸びて、魔理沙の身体にと巻きついている構図が出来上がっている。霊夢は、腕を組み……糸で身体の自由が利かず、腕組みも出来ずに大きく溜息をつく。

「これってあれでしょ?運命の赤い糸って奴なんでしょ?」
「そうみたい…」「そのようね」

 霊夢の言葉にパチュリーとアリスが頷く。

「っていうことは、魔理沙、あんたはこの2人と……」
「待て待て!なんだその安直な解釈は!?」
「だって、そういうことになるでしょう?」
「そ、そういうお前はどうなんだ!霊夢!お前にだってそんなに赤い糸があるってことは…」
「い、いや~~ね~~、何を言っているのかしら?こんなのは、きっと気のせ……」

「霊夢~~~!!!」

 いやな声に、霊夢は顔を上げると抱きついてくるレミリア・スカーレット。彼女の身体にも幾つかの赤い糸が結ばれている。その一方の相手である霊夢に、レミリアはこうして会いに来たのである。レミリアのために傘を持つ十六夜咲夜の手にも赤い糸があり、レミリアと繋がっている。霊夢はレミリアの登場にあたふたしている。

「やっぱり、霊夢にもいるようだな、運命の相手が」
「魔理沙~~~~!!」
「げっ、こ、この声は!?」

 それは、悪魔の妹フランドール・スカーレットである。彼女もまた自身の運命の赤い糸である。魔理沙にと抱きついてくる。既に拘束されており身動きが取れない魔理沙には逃げることが出来ない。

「ちょ、ちょっと!フランドール!私が先に魔理沙の赤い糸のことを知ったんだから、貴方は後に並びなさいよ!べ、別に魔理沙と運命の赤い糸で結ばれてるからって嬉しくもなんともないけど、こういうのはしっかりと……」
「な~に?私と魔理沙の関係には順番もなにもないんだよぉ?愛し合ってるんだから♪」

「「愛し合って……」」

「フラン、この陰険人形使いの言うとおりよ?順番を守りなさい」
「誰が陰険ですって?引きこもりの分際で!」
「なんですって!?」

 魔理沙の真上では、フランドールとパチュリー、そしてアリスのバトルが始まっている。魔理沙はこういった戦闘に巻き込まれる前に何とかこの状態を解決してもらおうと、霊夢のところにきたのだ。

「れ、霊夢ぅ~~~~!!!はやくなんとかしてくれ!」
「そ、そうよね、このままだと……」

 霊夢はレミリアを身から剥がして、己にまた山のように巻きついている赤い糸を見る、これらの持ち主が訪れれば、魔理沙のようになりかねない。なんとか解決をしなくては。

「どこにいく気?霊夢。今日は、いいえ永遠を今日は誓い合うわよ?」
「ちょ!?わ、私は吸血鬼になる気はないわよ!それに、レミリア。貴方には別の赤い糸があるわよ!?」

 レミリアは己の指についているものを見る。確かに、赤い糸は他にも結ばれているようだ。だが、それが誰かは既に判断がついている。

「フ、そんなことで動揺する私だと思っているの?私と運命で結びついているのは、姉妹愛であるフランドール。そして、敬愛である咲夜。友愛であるパチュリー。奴隷愛である美鈴よ?」
「くっ……全員の運命の赤い糸の愛を判断しているのね?」
「残念だったわね?私と霊夢の愛は、ひとつ……」
「ゴクッ…」
「真実の愛よ!」


 ちなみに……。

 傘を差して先ほどから言葉を発しない咲夜は私、レミリア・スカーレット以外に本命がいるみたい。美鈴もさっきから顔を真っ赤にして黙っているけれど、あの2人、あーやって平然を装えているつもりなのかしら?

「と、止めなくていいんですか?さ、咲夜さん??」
「な、な、なんのこと?」
「だって……れ、霊夢さんとレミリアお嬢様が……」
「わ、私のは敬愛であって……ほ、本命は」
「さ、さ、さ…咲夜さん……」

 そんな2人の間を跳ね飛ばし霊夢は、ある者の元へと急ぐ。
 こんなことができるのは、幻想郷でたった一人だけだ。


 幻想郷はこの赤い糸で様々なものが張り巡らされていた。
 チルノは様々な妖精の赤い糸で体中が拘束され、窒息寸前。
 蓬莱山輝夜と藤原妹紅なんかは、お互いに結ばれているものを見て呆然としていた。

 違う。
 こんなのは間違っている!!




「紫!!」




「わ~~い、霊夢がきたぁ~~」
「いらっしゃい、博麗の巫女」

 そこは白玉楼。

 西行寺幽々子に膝枕をさせてもらいながら、幸せそうな顔をする八雲紫がそこにはいた。紫の小指にも複数の赤い糸があり、そしてその一本は、しっかりと幽々子と結ばれている。霊夢は頭にきながら、2人にと近づく。そんな霊夢の前に立ちふさがる魂魄妖夢。彼女にもまた赤い糸が結ばれており、それは幽々子と繋がっている。

「お2人の邪魔はさせません!」
「あんた今の状況がわかってるの!?地上はあのバカ二人のせいで無茶苦茶なんだから!」

 霊夢は怒声をあげながら、幽々子と紫を睨みつける。紫は、膝枕をしてもらいながら、霊夢を見る。

「なにがいけないの?たまにはこうしてお互い、どう思われているのかを判断できていいじゃない?」
「だから!それが迷惑だっていってるんでしょうが!」
「どうして?」
「どうしてって……」

 紫は顔をあげて、幽々子の隣に座る。

「私達の関係ってみんな一見希薄なのよね。誰にでも均等に接する関係。特に霊夢?貴方は。それが博麗の巫女であるから仕方がないとは言え。私達の間柄はなんと呼べばいいのか。だから、それを一回形としてみたわけよ」

 幽々子は紫の隣で、彼女にもたれ掛られながら微笑み。

「勿論、貴方の言いたいこともわかるわ。彼女でさえ…」

 幽々子は笑顔で、紫の指をつまみ上げる。
 紫は痛い痛いと連呼しながら、彼女の赤い糸が霊夢にと伸びていた。
 霊夢はハっとして指を隠す。

「妖怪でさえこれなんですから。乱れた関係がはっきりと出てしまうのは、イヤですもんね。霧雨魔理沙や貴方なんかは特にその風潮が強いみたいだし。人間ってやっぱりそういった乱れた間柄って意識しそうですものね」



「違うわ!」



「なにが?」
「ぜんぜん、あんたの言っていることも、紫のいっていることも全然違う!」

 霊夢は真面目な表情で、紫と幽々子を見る。

「いい?人の気持ちなんていうものは、見えなくていいのよ。いえ、人だけじゃない。妖怪だってそう。自分の秘密にしたい気持ち。相手に伝えられない気持ち…それに一喜一憂するのが、楽しいんじゃないの?それを全部露にして…。本当に赤い糸で結ばれているのなら、こんなので現されなくたって、私は私の気持ちを相手に伝えるわよ!」

 霊夢は指を紫と、幽々子に向ける。

「あんた達のやったことは、余計なお節介!そして、人の恋路を邪魔する奴は、馬に蹴られて三途の川!!!!」

 霊夢の怒りの陰陽玉が炸裂。
 白玉楼に爆音が轟く。
 霊夢は、紫と幽々子の姿が消えたこと……それと同じくして、赤い糸が消えたことで、なんとか腹の虫を抑え込んで、元来た道にと戻っていく。


「……随分と怒ってたわよ?紫?」
「そうねぇ、折角面白いと思ったのに……」


 霊夢の帰った様子を隙間で眺めながら、2人は紫の家にいた。紫の前では、式である八雲藍と、橙がまるで人形のように抱き付き合って目を閉じ眠っている。紫は溜息をつきながら

「確かに、赤い糸がなくても、分かるものには分かるのかもしれないわ」
「そうね~~。きっと、本人達には自覚があるのかもしれないわね」

 そういって紫と幽々子は顔を見合わせる。
 2人は微笑み合うとおでこを重ねて……。








「おかえり~~霊夢!」
「あれ?さっきまでいた連中は」

 すっかり、夕方になってしまった神社に戻ってきた霊夢を出迎えたのは、魔理沙だ。
 話によると、霊夢がいってからすぐに、赤い糸がパチュリーとアリスにも結ばれていることが判明して、パニックになりながら2人はこの状況を調査すべく紅魔館にといってしまったらしい。

「ったく……あんな紫のインチキ、真面目に信じるのが悪いのよ」

 屋敷に戻った2人は、窓際でお茶を飲みながら、今日一日のことを話している。


「え?あれインチキだったのか?!」
「そうよ、紫の奴が勝手に人の気持ちを試すためにやったでたらめなこと。だから信じたりしたらダメよ?」
「そっか~~。少し面白かったんだけどな?きっと今頃、鴉天狗は大仕事だぜ?」
「げっ!あいつには一番口封じしなきゃまずいじゃない!!」

 霊夢は立ち上がると、早速、鴉天狗討伐にと、動こうとするが、霊夢はゆっくりと振り返ると、魔理沙を見る。その表情は穏やかなもの……。彼女は、魔理沙に手を伸ばす。

「一緒にいく?」
「さすが霊夢!わかってるぜ!」

 霊夢の手を握る魔理沙……。

 夕日に照らされた影に、霊夢と魔理沙の指に繋がった一本の陰。


 それは幻か、見間違いか。

 きっと2人だけが真実を知っている。
誰と誰があれなのか…。

妖怪達にとってはもしかしたらどうでもいいことなのかも。
ただ、感情を露にするのは素敵なことですね。
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コメント



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15.70名前が無い程度の能力削除
おおぅいいなぁ
17.60名前が無い程度の能力削除
もうちょい長く書いてほしかった。


だかGJ!
30.90名前が無い程度の能力削除
伊藤潤二のホラー漫画にこんなのがあったな。
あれは怖かったがこれは笑えるw