Coolier - 新生・東方創想話

灰かぶりはB面に踊る

2009/12/31 16:08:21
最終更新
サイズ
43.59KB
ページ数
1
閲覧数
2477
評価数
69/198
POINT
13090
Rate
13.18

分類タグ


 


 ◇ 聖ミッキキ私立デズミー女学院



 看板の前で、私は立ちすくんでいた。

(この店に……)

 ダウジングロッドが反応を示している。目的の宝塔はここにあると、教えてくれている。
 だが同時に、人間より少しだけ性能の良い私の鼻が、イヤな匂いを嗅ぎとっていた。

 突然だが、小中高一貫、全寮制の女学校で私は育った。
 バラ色のエピソードはそれこそ学友の数に五十をかけたぐらいあるが、ただ楽園だったと、その一言で言い表せよう。
 言うなれば花園で羽化して、その園の蜜だけを吸って育った蝶、それが私。
 自然、三度の飯より可憐な女の子を愛でるのが大好きなのである。

 そんな私であるから、男の人との接し方がまるでわからないのだ。
 そう、イヤな匂いっていうのは、つまり男の匂い。

(怖っ……)

 未知なるものへ抱く感情は、人も妖怪も大して変わらない。恐怖、あるいは嫌悪……。
 よせばいいのに私はまたすんすんと鼻を鳴らす。この匂いを形容する言葉を私は持たない。それが不気味で不気味で仕方なかった。
 ――毘沙門天はどうなのって? あれはただのサンドバッグだ。

「はぁ……」

 今一度、店を眺める。
 ……おそらく数分間、長くとも数十分でことは済むのだろう。
 だが、こんなに狭そうな店で男の人(なのか妖怪なのか知らないけれども)と二人きりだなんて、気が狂いかねない。
 どんな顔をしてどんな佇まいでいれば良いのか、見当もつかないのだ。
 ぜったいキョドる。ぜったい噛む。そんな痴態をさらけ出すのがスゴいイヤ。

 つまるところ私は、任務などほっぽり出して船に引き返したいのだ。だけれども、それは許されなかった。
 責務? 使命感? そんなご大層なものではないよ。


『あ、あの……なずりん?』
『どうしたんだいご主人』
『あのですね、その、その……』
『頼み事、だろう』
『まだ何も言ってませんけど……?』
『君がそうやって人差し指をつんつんしてる時は、概ねそれだ』
『き、君って……私、ご主人様なのですけど……』
『何か問題でも?』
『アリマセン』
『なら、話しを聞こうか?』
『それがですね、その』
『ああ、そういえばご主人。何やら今朝から騒がしかったようだけれども、件の宝塔はちゃんと持っているんだろうね?』
『……!』
『いや失敬、これは老婆心というものか。アンカーがタスキを忘れてゴールイン、なんて笑い話にもならないよね』
『いや……あの……』
『で、頼み事って?(ニコッ)』
『な、なんでもないです……』
『そんなはずないだろう? 一刻一秒を争うこの事態にわざわざ私を呼びつけるのだから』
『なんでもないですったら……。ああそうそう、私これから家出しますんで探さな――できれば探して下さいね……。うん、それが頼み事なんですよハイ、ハイ……(シクシク)』
『ふふ、冗談だよ。ヘコんでるご主人は本当に素敵だなあ』
『えっ』
『みなまで言わなくともわかっているよ。上司の尻拭いは部下の務めだろう?』
『な、ナズーリン……!』
『哀れなシンデレラよ、君が心を痛めることは何もない。君はただこの船――お城で、ボクという名の王子様とガラスの靴を待っていればいいんだ』
『王子様! 私の王子様はここにいたのですね……!』


 とまぁ。調子にのりすぎた。
 これだけの大口を叩いておいて、手ぶらで帰るわけにはいかないのだ……。

「香霖堂、か……」

 信楽焼きのタヌキや、見たこともない看板などが寄せ集められた、煩雑な外観から、店主の人とナリを想像する。
 きっと、だらしがないのだろう。昼間から酒でも飲んでいるのかもしれない。
 森の影に隠れてあまり日が当たらない店だから、店内には地下足袋やら、らくだの股引きやらが干してあったりして……。
 脳裏に浮かんだおぞましい光景に全身の細胞が震えた。だけど震えていても始まらないのだ。

 ぎゅっと拳を握り締めて一歩踏み出す。大丈夫、私はきっと上手くやれる。
 汚らわしくって、野蛮で、ヘンな匂いがする男とはいえ、商売人だ。理屈は通じるはず。
 粛々と、理路整然と取引をしてもらえれば、それでコトは済む。

 落ち着け、とにかく落ち着くんだ……。
 お風呂あがりよりも一等激しく跳ねる心臓を抑え、嫌な汗が背中を伝うのを感じながら、私は店の戸を押した――



 ◆ ファーストインプレッション



 ――カランカラン。

 釣り鐘の音と、

「いひゃぁッ!?」

 悲鳴が同時に響く。
 さすがの僕も、何事だ、とのんびり本を閉じ、眼鏡をかけなおしてから身構えた。
 大きくて丸い耳。見ると妖怪ネズミらしき少女が、入り口のところで腰を抜かしている。

「猫いらずを仕掛けたつもりはなかったんだが」
「えっ……? あ、な、なに? ……誰?」
「何って、誰って……それは僕が訊きたい」

 丸い目が僕を見上げる。その流れで彼女は釣り鐘にまで目線をやった。ひょっとして、コレの音に驚いたのか。

「こういう店には付き物だろう? そんな風になるほど、乱暴な音を鳴らす鐘ではないと思うけど」

 少女は腰を抜かしたまましばらく呆けていたけれども、不意にキッと瞳を険しくした。

「べ、べつに驚いたわけじゃない。足を滑らせただけだ」

 苔が生えるほど掃除を怠っているわけではないんだが。まぁ、そういうことにしておこう。

「な、何なんだこの店は。この狭さで釣鐘が要るのか、要らないだろっ」
「貴重な意見はあとで聞くから、営業妨害はそこまでにしてくれ」

 僕は手をさしのべた。
 妖怪であるところの彼女を見た善良なお客様が驚いて、引き返されてしまっては困る。
 といっても、興味津々で茶々を入れにくるお客の方が僕の店では多数派なのだろうが……、そういう輩は概ね何も買わないから、いずれにしろ困る。

「え、あ、ぅ」
「ほら」

 少女はあんぐりと口を開けて僕の手を見つめていた。

「え、て、いや、て、ててて手……って」
「僕は昆虫か何かなのか。悪いけど、手は二本しか持っていない」
「いや、虫の、あれは、足じゃ、ないのか」
「そうだね……」

 ため息が出た。

「頭でも打ったのかい。生憎、ここは薬屋じゃない」
「わ、私は健康だ、元気な風の子だ!」
「結構なことだ」

 いい加減面倒になった僕は少女の手を掴んだのだが、

「――びひゃあッ!」

 僕がせっかく、わざわざ、さしのべてやった手を少女は振り払った。

「じ、自分で立てるッ!」
「それは重畳」

 言葉通り少女は立ち上がり、どういうわけだか掴まれた方の手を自分の服で拭った。

「何なんだ君は! 初対面で許しも得ずにてっ、手を握るとか! 最近じゃこういうのはセクハラっていうんだぞ!」

 恨めしげな視線に加えて罵倒まで、親切な僕は頂戴してしまう。

 ずいぶんなご挨拶だけれど、礼儀がなってない来客など、この店ではべつに珍しくもない。
 そう、見知らぬ妖怪がこの店に迷いこんでくることなど、別段珍しいイベントではないのだ。
 だから僕は至極いつも通り、珍しくもない対応をすることにした。

「その道の先は魔法の森、あれに見える山へ真っ直ぐ向かえば人里がある、それとは真逆の方向にある川を渡って道なりに進めば太陽の畑だ」

 手際よく、指さしてやる。

「え、あ、うん。あり、がとう……」
「それじゃ、良い日を」

 軽く微笑んで店の戸を閉めた。
 やや、間があった。お茶をいれて、読みかけの本を開き、数ページ分読み進められるほどの。

 ――バンッ! ガランガラ……

「ちがぁ――――うッ!!」

 僕は少し勢いをつけて本を閉じ、ぱたんと音をたてた。ついでに、少しだけ眉間に力をこめた顔を入り口の方へ向ける。
 これで僕の気持ちを察してもらえば。それだけのことを無意識に願っての行為だったのだが、意図せぬ効果があったらしい。

「……っ!」

 少女は声を詰まらせていた。
 耳をぺたんと伏せている、というのは怯えの表れなのだろうか。それとも、僕の話など聞くつもりはない、という意思表明か。

「いや、済まなかった。なにもそう脅かすつもりは……」
「――だっ、誰が君を怖がってるって!?」
「なら、強盗かい? 残念ながら君が持っていって簡単に捌けるような品物はこの店には一つもないよ。もう少し大衆向けの店を選んだほうが良い」
「なぜそうなるッ!?」

 論理に矛盾はないはずなのだが、会話がかみ合わない。
 何か見落としがあるのだろうか? と首をひねったところで僕は当意即妙を得た。

「ひょっとして、お客様ですか?」
「そうだよ! それ以外に何があるっていうんだ!」
「これは失礼しました」

 なぜそれを最初に言ってくれないのか、という不満は胸にしまっておく。
 おそらくは、僕が悪いのだから。……納得はいかないが。



 ◆ 薀蓄デスパレードマーチ



 妖怪ネズミの少女、ナズーリンは拍子抜けしてしまうぐらい真っ当なお客様だった。
 主張は明確。どこで手に入れた情報なのかは知らないけれども、僕の店にある『宝塔』を求めに来たのだとか。
 ……真っ当? いや、どうだろう。

「どうしてそんなところに納まってるんだい」
「構わないでくれ、っていうか近づかないでくれ」
「猫は飼っていない。だから、そんなに警戒する必要はない」
「偏見はやめろ、そういうわけじゃない。私はここが落ち着くんだ」
「ネズミだから?」
「ネズミだから」

 狭いところが好き、と。
 だからって道具屋に来てまで狭いところ――キャビネットに潜りこむのはどうかと思う。わざわざ中の掃除道具を放り出してまで……。
 というか、好んで納まっているというより、キャビネットの扉をバリケードにして身を守っているように見えた。
 もしかして誰かに追われているのだろうか? 面倒なお客は避けたいところだが、こういう店だから、客を選ぶ贅沢は許されない。

「毘沙門天の宝塔、と言ったか」
「そうだ、宝塔だ。お金なら出せるだけ出すから早く、早く」
「急ぎの用なのかい?」
「ああ、その通りだ。急ぎも急ぎ。もう一秒だってこんな埃っぽいところに居る暇はないし、居たくもないんだ」

 何やら引っかかる言い方だけれども目を瞑ろう。
 出せるだけ出す、しかも時間がない、だなんて言ってくれているのだ。極上のカモ……いやお客様である。慎重に扱わなければなるまい。
 僕の扱いとは、こうだ。
 
「それが、非常に言い難いんだが」
「え?」
「この店には、そんな商品はない」

 弱みを見つけたらとことん利用しろ。少々乱暴な、霧雨の親父さんの教えだ。その教えに従って僕は、嘘をついている。
 おぼろげではあるが、宝塔なるアイテムを手に入れた記憶はあった。またその居場所まで、おおよその見当はついている。

 ではなぜ素直に出さないのか?
 考える時間を奪う、というのは、相手の思考をコントロールするのに実に効果的なのだ。
 つまり、こちらの言い値が高いか安いか考える暇を与えないということ。
 焦らして焦らして焦らしきったところで、さも全くの偶然で鉄壁の宝箱が開いたかのように、希望の品を見せつけてやる。
 切羽詰った彼女は、僕を救いの女神か何かのように思うのかもしれない。自然、財布の紐は緩むというわけだ。
 せせこましいと思われるかもしれないが、これも立派な交渉術の一つである。

「……嘘をつくな」

 ……。

「どうしてそう思う」
「私のダウジングに間違いはない」
「ダウジング?」
「捜し物を見つけるんだ、このロッドでこうやって」

 狭いキャビネットのなかで、うぃんうぃんと器用に細い棒を動かす。
 いささかシュールな光景を、僕は机に片肘をついて見つめていた。

「それ、楽しいのかい?」
「え? うーん、楽しいのかって言われると微妙……ってそんなことはどうでもいい! なぜ嘘をつく!」
「待ってくれ、そもそも僕が嘘をつく理由がどこにある。これでも商売人だ。売れるものなら喜んで売るさ。だけど、ない物は売れないんだ、当然の理屈だろう」 
「私は屁理屈を買いに来たんじゃない」
「この程度で代金を貰うわけにはいかないよ」
「誰が払うかッ!」

 ガタ、とキャビネットが揺れる。

「まぁ、待つんだ。この通り品揃えが豊富な店だから――」
「品揃え豊富? 節操がないだけだろう」

 ひきつりそうになる頬を商魂で抑えつけた。どうにもこの少女は、言葉の端々に棘があるように思う。

「君が言う宝塔とやらが例えこの店にあるとしてもだ。場所がわからないのではどうしようもないだろう。狭い店とはいえ、これだけの品物の中から探すとなると一筋縄ではいかない」
「場所ならわかっている。あの、山積みの木箱、あれの中のどこかに宝塔はある」

 ナズーリンは店の隅を指さした。さっきのダウジング、とやらの成果なのだろうか。
 大した能力だ、とついつい感心してしまい、

「正解だ」

 と言ってしまった僕は迂闊の極みだった。

「正解……?」
「いや、こっちの話だ」

 あの山は、手に入れたは良いものの使い方がわからず、なおかつ陳列物としても僕の眼鏡にかなわなかった哀れな道具の群れである。
 僕ではどうすることもできず、売れる見込みもなさそうな、お手上げのアイテム。要するにお蔵入りの品だ。
 道具たちの名誉のために述べておくと、使えないから価値がない、というわけではない。
 道具とは、その機能性とは別に、ある時代の社会的、文化的側面を映しだす鏡でもあるからだ。
 無闇やたらと無価値の烙印を押すのは、使い手である我々の傲慢だろう。

「さぁ、とっとと探してくれ。私はここで見てるから」
「君は手伝ってくれないのか」
「君はお客に、自分の仕事の手伝いをさせるのか」
「そうは言わないが、君が手伝ってくれた方が早く見つかるんじゃないかと思ってね」
「そ、そうやって私をここから引きずり出すつもりなんだろう。そしてイタズラするつもりなんだろう。狡猾な狼め、その手には乗らないからな……!」

 彼女が何を言ってるのか何を言いたいのか、さっぱりわからない。

「ひどい誤解があるようだけれど」
「……いいから探せ! 今すぐ!」

 もう少し彼女の時間を奪ってから取引に入りたかったところなのだが、

「まぁ、仕方ないか」
「仕方ないとはなんだ、仕方ないとは」
「こっちの話さ」

 急かされつつ僕は、木箱の山をひっくり返し始めた。一つ、また一つと手に取るたび、あれやこれやと道具の名前、及び用途が頭に飛びこんでくる。
 誰しも経験があるものだと思うが、自分のテリトリで再発見する懐かしい物品というものは、ひどく魅力的に見えるから困りものだ。

「これは……」
「あったのか」
「レコードプレイヤ。音を出す道具だ」
「れこ……? え?」
「レコード、というこの円盤とセットで用いるらしいんだが、使い方がわからないんだ」
「おい……?」
「音を出す、というからオルゴールのようにギヤを回転させて金属音を出すものなのだろうかと考えて、円盤を回転させてみたのだけれど、一向に鳴る気配がなくってね、さすがの僕もお手上げ、というわけだ。だがそこで考えることをやめてしまう道具屋は二流だろう。
 レコード、意味はわかるかい? 記憶する、ということだ。そもそも音と記憶がどう繋がるのだろう? と考えた僕はある仮説を立てた。
 話が少々前後するが、外の世界で多大な影響力を持っている学問の一つに神智学というものがある。ただの神秘主義だ、荒唐無稽だ、などとあらぬ謗りを受けたりもするようだが要するに、世界にたった一つの真理を見出そうという、実に挑戦的な学問だ。
 その神智学における概念の一つに、アカシックレコードというものがある。簡単に言えば、この世のありとあらゆる過去、現在、未来の記憶を保持する存在がどこかにあるはず、と規定する概念のことだ。まぁその実在はさておくとしてだ、そのことがこのレコードプレイヤとどう繋がるか、気になるだろう」
「…………」
「まず、音には古来から神秘的、あるいは呪術的な要素が含まれていたことを述べておこう。日本で上代に行われていた『踏歌』などはその最たるものだね。大地を踏みしめ、音を鳴らしながら歌うことによって古の人々は、神々と交信できると考えたんだ。
 ここまで語れば概ね想像がつくだろう? つまり、方法はわからないけれども、レコードプレイヤによって音を出し、神々の記憶――アカシックレコードにアクセスしようと試みる。使い方は十中八九、それだ。
 このレコードプレイヤは、いわば占いの道具のようなものであるのだろう。おそらくは密教などと呼ばれる団体の、何らかの儀式において用いられていたんだ。もっとも僕は占いに造詣が深いわけでも興味があるわけではないから、残念ながらこうしてお蔵入りの目にあっていた、けれど君のおかげで日の目を見ることができた、というわけだ。彼も喜んでいるだろう」

 僕はレコードプレイヤの埃を慈しむように払い、ナズーリンへ向き直った。すると視界で星が舞った。

「時間がないって言ってるだろうこの馬鹿店主ッ!! 誰が薀蓄を聞かせろって頼んだ!?」

 僕の額にダウジングロッドとやらが刺さっている。すごいな、どういう原理なのだろう。

「もういい! 私が探す!」

 と、ようやくキャビネットから出てきたかと思えば、彼女はバケツに足を引っかけ、盛大に転んだ。
 そのドジを僕は額の痛みの腹いせに笑ってやることもできたのだが、それどころではなくなった。
 元々、重さのわりに安定感のある造りではなかったキャビットが(それゆえに捨てられ、この店まで流れ着いたのだろうが)ぐらついている。

「あいたたた……、もう最悪だ……」

 これで最悪? 君は気が早い。最悪の事態はこれからだ。
 ゆらりゆらり。キャビネットは倒れる。あとコンマ数秒で確実に。

 それで彼女が圧死しようが、せいぜい死体を葬ってやる手間が今日の仕事に加わり、久々のお客を失う程度で、僕はさほど困らないのだが、今潰されようとしているのは別の『物』だ。
 キャビネットの頭が弧を描いて落下する先はおそらく僕の机の上。

 机の上には『鬼の花瓶』があった。つい先日、物々交換で手に入れたアイテムだ。
 あれを得るために放出した品物の数々は決して安価なものではなかった。デザイン、実用性、その他もろもろを鑑みて僕は、それだけの価値があると判断したのだ。

 花瓶というのは鬼たちなりの洒落であって、実際に花を飾るために用いるわけではない。
 水を入れて一晩置くと酒の花が咲く、と彼らはいう。酒の花といっても酒粕のことではない、花酒のことだ。
 花酒というのは泡盛のなかでも特に強烈なお酒で――こんなことを悠長に考えている場合ではなかった。

「危ない!」

 僕は叫び、後先などまるで考えずに我が身を投げだした。これは悪漢から我が子を守る親の心境に近い。
 肩にキャビネットの重さなりの衝撃が加わり、鈍い痛みが生まれ、それが僕の顔を歪めさせた。

 鋭く息を吐いて、元の場所へ押し戻す。
 久々の力仕事に全身の関節が悲鳴をあげたが道具のためなら何のこれしき、どうということはない。
 眼下では尻餅をついたナズーリンがきょとんとこちらを見上げていたが彼女のことなんてどうでもよく、予想された破壊音がなかったことに、僕は安堵していた。

「ふぅ……」
「あ、あ……?」
「無事で、よかった」

 自然と、頬が緩んだ。よかった、本当によかった。
 そう呟きながら花瓶を撫でて微笑していると、ナズーリンが心配げに眉を下げて、僕の顔を覗きこんできた。

「店主、額に傷が」
「なに、大したことはない」
「わ、私のせいで……」

 うん、紛れもなく君にやられたのだ。いまさら何を言うか。

「ま、守って、くれたのか……? そんな、身体を張ってまで」

 彼女はどういうわけだか上目遣いに、そんなことを訊ねてくる。道具屋が自分の店の商品を守るのは当然だろう。

「僕と違ってデリケートなんだ。秤にかければ僕の身体の方が軽かった。ただそれだけのことだ」
「……っ」
「それに」

 と僕は花瓶を撫でつつナズーリンに向き直った。

「この美しい肌に傷をつけるなんて、大罪だ」
「う、うつくし……って」
「美しいだろう? 景徳鎮の器さながらに透き通るような白さだ。考えてみれば、初めて見たときから僕は心を射抜かれていたんだな。なんとしても僕のモノにしたい、一日中その肌を愛でていたいだなんて、これほど激しい思いを抱いたのは何十年ぶりだろう。欲望、いや、もはや羨望と言っても過言ではなかった」
「君っ、君! 店主! 初対面だぞ!? いきなり何を言って……!」
「初対面……? 関係ないだろう。アンティークが放つ独特の気配に惹かれる気持ちはもちろん理解できるが、この美は親しんだ時間の長短を超越したレヴェルにある。一目惚れ、うん、あれは確かに一目惚れだった」
「ひと……っ!」

 背中に氷柱でも入れられたかのように硬直するナズーリン。自分が何をしでかしたのか理解してくれたのだろう。
 この通り、僕はインテリア的な面でもこの花瓶を高く評価していたのだ。だから、どれだけ肝を冷やしことか。

「僕はいささか、怒っている」
「ひゃっ」

 机を小突くと、ナズーリンはピンと背筋を伸ばした。

「君も女性ならもう少し落ち着いた方が良い。君がどんな過失でも償えるというのなら僕は何も言わないが、世の中には取り返しのつかない、償いようのない過失もあるんだ」
 
 君のような迷惑な客の代わりならいくらでもいるけれども、この花瓶の代わりは存在しないのだ。とまでは言わずにお説教を続ける。

「でも、それはだって、君が……。ん……、いや、ごめん、なさい……」
「いいかい、常日頃から熟考に熟考を重ねてから動くほどでも――」
「うん……、いや、はい……」
「……?」

 まるで叩き落された紙風船のように、ナズーリンはしおらしくなった。
 しゅん、と耳を垂れて俯いている。そう殊勝にしていると、先ほどまでの彼女とは違っていくぶん幼く見えた。

 怪訝に思いつつも僕はしばらくお説教を続けていたのだけれども、彼女はただただ頷くばかりだった。
 普段、お説教には必ず屁理屈で反撃してくる小癪な客ばかりを相手にしているからか、張り合いがない。
 これでは歯向かう術を持たない咎人に石を投げているようで……、具合が悪かった。
 ともかく、この豹変振りをどう解釈すれば良いのだろう。

「熱でもあるのかい、顔が赤いが」
「……ッ! ち、違う。これは違うぞ、断じて違う」
「何がどう違うんだい」
「そっ、そんなことをいちいち訊くのか君は!?」
「そこで君が怒る理由がわからない」
「だから……! あっ、ちゅっ……。……!」
「噛んだ?」
「噛んでない! あっ、暑いんだよこの店は」
「そうかい?」

 燃料が切れているから、ストーブはつけていないのだけれど。

「現に私の喉はカラッカラで……、だから噛んじゃったの!」
「噛んでないって言ったじゃないか」
「うっ、うるさい! この店はお客様に茶の一つも出さないのか!」

 はぁ。ため息が出た。

「ああ、これは気づきませんでした。申し訳ない」
「……えっ」

 このまま口論を続けていてもらちがあかないな、と見た僕は接客態勢にシフトした。
 大人しくなったかと思えば急に騒がしくなったり、こんなに面倒な客は久々だ。早いところ取引を終えて出て行ってもらうことにしよう。

「な、なんだ? 急に改まって……」
「少々お待ちを」

 と、お望み通りお茶を淹れてやるため、お勝手へ向かったのだが、

「あ、い、いや……。そんな、気を使ってくれなくても」

 自分が要求したくせに、彼女は胸の前で指を交差させながら、ちぐはぐなことを言う。

「お茶をご所望なのでしょう?」
「わ、私みたいなのは水でいいんだ水で! ――あっ! こんなのでいいんだ、こんなので!」
「あっ」

 何をトチ狂ったのかナズーリンは、花瓶の中身を飲み干した。
 どれだけ乾いていたのだろう、と呆れてしまうぐらい、一気飲みだ。止める暇もなかった。

「ぷはっ! ……あっ、れぇ……? この水、すっごくおいしい、ね?」
「君が飲んだのは」
「おっ、おっ、おなかに染みるぅ、っふぅ……」
「昨晩までは水だったものだ……」

 『鬼の花瓶』という命名のゆえんは、水を一晩容れておくと、その水を『花酒』へと変えることにある。
 ――強烈なお酒だ。火をつければ容易に燃えるお酒。ストレートで楽しめるほどの猛者はそう多くはないだろう。それこそ、鬼でもない限り。

「えへっ、えへへへ……」

 ほとんど劇薬に近いお酒をこれだけの勢いで飲み干した彼女だ。当然、無事では済まない。
 まさしく火がついたように頬を真っ赤に染めて、視点の定まらない目を僕に向ける。泥酔、あるいは毒キノコに中った者のそれだった。

「くすっ、くすすす……くふっ、くふっふう……!」
「おい、しっかりしてくれ」
「ひっかり? わらひはいつれもしっかいしれるよぉ~、えへっ、えへへっ」

 目をまわしながら、けたけたと笑うナズーリンは、日本語を喋ってくれない。
 面倒な予感に伴うひどい頭痛に襲われて、僕は眉間を揉んだ。 



 ◆ 覚醒×2



 宝塔の発掘作業は遅々として進まなかった。背中に重石があるからだ。

「わたし、わたしな? 妹みたいな子はいっぱいいたんだけどな? 弟っていうのは、いなかったんだよ。ちょっとボーイッシュで、弟みたいな子ならいたんだけどぉ……。やっぱりそういう子も、なんだかんだいって女の子だったからさぁ」

 屈んで作業をする僕の背中に、ぴったりと張りつくナズーリン。彼女は背が低いから、これで丁度良い塩梅であるらしい。

「だからさ、君、わたしの弟にしてあげても、いいよ? ……はむ、はむ」

 こうして、僕の耳たぶを齧りながら、わけがわからないことを口走る。
 気色悪い感触に鳥肌が立つ、のはさておき、吐息の酒臭さに僕は閉口していた。

「うふふふふ……。わたしの弟はどんな声で啼くんだい……?」
「おぶっ」

 さらには、こうして背後からアームロックをかけたり、頬をつねったりして、僕の作業の邪魔をするのだ。
 彼女は、ある種の凶暴さを含んだ絡み酒であるらしかった。

「……急いでるんじゃなかったのか」
「なぁ?」

 ゴンッ。頭突かれる。

「なぁ?」

 ゴンッ。まただ。

「何のことかな?」
「宝塔のことだ」
「そんなことよりぃ、ねえっ、あそぼうよぉ」

 マタタビに酔った猫のように、尾を引く声。完膚なきまでに酔っぱらいだ。それも、極めてタチが悪い……。
 息苦しさを感じるほどに強烈なハグは、おそらく狙ってやっている。
 お客様(こうなるときっちり代金を頂けるのか疑わしいが)とはいえ、酔っぱらいのお遊びにつきあう甲斐甲斐しさは僕になく、

「手伝わないのなら、せめて大人しくしていてくれ」
「あれれぇ、ごきげんナナメなの?」
「仕事の邪魔だと言ってるんだ。誰のために僕が働いてると思ってるんだ」
「あ、わかった。弟より、おにいちゃんの方がいいんだろ。そうだな、君の方がおっきいもんな」
「そういう問題じゃない」

 適当に流しつつ、作業を続ける。酔っぱらいの口から出る単語を逐一気にかけていては、頭がいくつあっても足りない。

「おにいちゃん?」
「……」
「男の子って、女の子より頑丈なんだよね?」
「人間に限って言えばそうなのだろうけど」

 『子』にカテゴライズされるだなんて久しぶりもいいところだ。

「へえ、やっぱりそうなんだ……んふっふぅ……。なら、手加減って、そんなにしなくても良いのかなあ? ちょっと痛いぐらいのほうが、おにいちゃんも気持ち良いよねぇ?」
「……手加減?」

 背中から離れたナズーリンは僕の肩をぽんぽん叩き、

「なずが、おにいちゃんのこと、いっぱいいっぱいイジめてあげるね」
「なに」

 ドッ。

「をいぶっ」

 僕は悶絶した。初めて体験する兄貴分呼ばわりのこそばゆさに、ではない。ボディーブロウにだ。
 肝臓にエレキテルを直接流されるような衝撃が、僕の身体を内側に外側に、くの字に曲げた。

「あはは、エビみたい!」
「……ッ。おい、いい加減にしないか。僕が何をした」
「あれ、怒った?」
「これで怒らない方が不健康というものだ」
「そんなこと言って、ホントは良かったんだろう?」
「良かった……? 何を言ってるんだ」

 痛みを喜ぶような趣味はない。この通り、僕を苛む甘い痛みはまだ下腹部に残っていて――

(甘い? 下腹部?)

 何を考えてるんだ、何を……。

「くすっ、素質……、あるじゃないか」

 やっとのことで身を起こした僕に、ナズーリンはすすと身を寄せてくる。

「君はいったい何を……」
「なァに、怖がることはないよ。わたしのテクニックってやつさ」
「テクニックって、何の」
「わかってるくせにぃ……」

 トン、と。彼女はその右肩を僕にぶつけた。左手の細い指先が僕の胸を伝い、文字にならぬ文字を描く……。

「素敵な目をしているね……。首を掴まれた雄鶏みたいだ」

 トン、トン、と。僕の胸を人差し指でノックするナズーリン。

「知らなかったなぁ。男の子が、こんなに可愛い生き物だったなんて」
「……」
「ふふ、可愛がってあげるよ。楽しいとか辛いとか嬉しいとか悲しいとか、何も、考えられなくなるぐらい」

 いとけない少女そのものの顔立ち。その中で、ゆがんだ口の端だけが大人びていて、蠱惑的だった。
 僕は自分の過ちに気づいて、背筋を冷たくする。そう、彼女は妖怪だったのだ。僕と違って純粋な、妖しげなる者。人を惑わす者。
 何をされるのか、僕はどうなるのか、まるで見当もつかない。
 無論、無抵抗にやられるつもりはないが、僕の膂力で抵抗がかなうのだろうか……。
 だがそれもすぐに杞憂だったと気づく。

「すぅ……、んふふっ、君には特別に、とびっきりのムチと……秘蔵のローソクを……すぅ……」

 微笑を顔に浮かべたまま、彼女は僕の胸で寝入っていた。どこまでも不穏な単語を呟きながら……。
 拍子抜けしてしまったが、それどころではない、今のうちだ、と僕は思い立った。
 一刻も早く取引を済ませなければ、わが身が危うい。



 ◆ 僕にその手を汚せというのか



 苦労して手に入れるから、宝物は宝物足りえる。そんな、教訓めいたことを思い知った。
 さらには、宝物を手に入れたところで何事もなく終わるはずがない、という物語のセオリーも、僕は知ることになる。

「手こずらせてくれたな……」

 ナズーリンを座敷に寝かせてから作業に戻り、ややあって最後の箱から宝塔を発掘したそのときだ。

「――え?」

 まばゆい光が店内に満ちて、僕は目を細めた。
 キュルッキュキュ、キュキュッキュ。傍らに置いていたレコードプレイヤが、ひとりでに回転を始める。
 ズンッチャ、ズンズンッチャ。重低音。聞いたことのないテンポの音楽と……、バリトーンの声を僕は聞いた。
 男の声……? いったい、誰の……。

「チェケラ」

 その一言目がこれで、

「呼ばれて飛び出て毘沙門天」

 二言目がこれだ。さすがの僕も混乱したが、散らばる思考を取りまとめ、憶測を積み重ねた末の言葉を、どこへともなく吐き出す。

「毘沙門天、様……なのですか?」
「イェア~、カリフォルニアの暴れ牛とはおれのこと」
「牛……? 牛をモチーフにした仏様ではなかったと記憶していますが……」
「オ~ゥ、聞いたかボーイゼンガール、おれのリリックにケチがついたぜ」

 ――Shoot him! Shoot him! Shoot him!

 宝塔からシュプレヒコールが聞こえる。何やらのっけから不穏な空気が漂っているが……、

「あの……仏様が私めに何か御用でしょうか?」
「てめぇの胸に訊いてみろっつの」
「あ、もしかして、この宝塔のぞんざいな扱いをお怒りに――」
「んなグリコのおまけはどうでもいいっつの」

 天部のグリコってスゴイなあ。

「れこーどぷれいや、だ? おれのタンテをダッセェ名前で呼びやがって」
「タンテ……」
「タンテ↓じゃねえよ、タンテ→だっつの。ターンテーブルもわかんねえの? ぱねえぐらいサムいやつだなOI。っつーか黙って聞いてりゃ適当なこと抜かしやがってよぉ。アカシックレコードだ? ありゃおまえ、おれと持国天が天部高校時代に作った黒歴史同人誌だっての。小学生並みの画力で象耳シッダルタのネチョとかマジでチャレンジャー。若いってコエーよな」
「……そうですね」

 神仏にツッコむ勇気は持ち合わせていない僕だ。

「薀蓄、マジでいらない。含蓄、おれのパッセージ。ヘイカモン! DJ・YO忌、アーユオケイ? (キュルッキュッキュキュルッキュキュ) イェア~COOOOL! リッスン、聞かせてやるおれの魂、度胸と読経のヒップホップソウル。ハンニャーハーラーミーターシンキョー、おれの心境、マジで快調」
「とりあえず、執拗なまでに韻を踏むのをやめて頂けませんか」

 ひどく腹が立つので。

「アーハン? てめぇ、おれのライムをディスってんのかよ? マジでバッドボーイ、バット持ってこい」
「先ほどからのお言葉は経典からの御引用でしょうか……? 不勉強なもので、私には理解致しかねます」
「ちげーよ、西海岸で大切なモンはてめぇバイブルじゃねえよライフルだっつの」

 駄洒落がよっぽどお好きなのだろうか。……なんだか敬意を払うのが馬鹿馬鹿しくなってくる。

「ハァ~」

 長く息を吐く音。煙草でも喫んでおられるのだろう。

「さっきから黙って見てりゃ、おれの部下にひでえことしやがってよぉ」

 と、ようやく本題らしきお言葉を頂いた。

「部下……もしかしてナズーリンのことでしょうか?」

 毘沙門天のアトリビュート……いや、この場合は三昧耶形というべきか。その一つにネズミの使い、がある。
 観念的な存在に、身近で具体的なコトガラを付与することによって、自分たちの次元に近づける。それも人と神仏の関わり方の一つだ。
 例えば日本古来の稲荷神信仰でも、稲荷神――ウカノミタマは始め、キツネの姿と結びついてはいなかった。
 キツネが祟る、という農村における民間信仰。平清盛の蓮台野でのキツネとの伝説……。
 などと語るべきことは山ほどあるが、とにかく、そういった様々なファクタが積み重なって、今のようにキツネと結びついた稲荷神信仰のカタチがある。

 つまり、超自然的な存在に人間はそう易々と親しめないということだ。
 猿でも鳥でも犬でも、我々にとって身近な姿をしていた方が、理解もできるし信仰もできる。
 ゆえに、この毘沙門天様の部下がネズミの妖怪であることや、酒場でぐだを巻く不良中年のように砕けていることも、我々人間の近くにあらんがためなのだ、という見方も……

「おうよ、あいつは親しみを込めておれのことを『歩く半透明ゴミ袋』って呼んでくれる。なんで半透明か分かる? 何考えてるか一目で分かるぐらい薄っぺらいからだってよ。スゲェよな、おれ仏様なのに。けどあいつがおれをそう呼ぶときの目はホンット、カラスが食い散らかした残飯を見るみてえなクールっぷりでよ、マジぱねえぐらい快感」

 できないなあ。

「ひどいこと、と仰られますと……僕に何か粗相があったのでしょうか? 多少の食い違いがあったとはいえ誠心誠意で取引を務めさせて頂いたつもりですが……」
「それ」

 指をさされたような気がした。

「誠心誠意って何?」
「と仰られますと」
「酔っ払って前後不覚な女の子に何もしねえとか、逆に失礼だと思わないわけ?」
「はっ?」
「あんだけデレられてボディタッチの一つもねーとか考えらんねー。んなおサムいヤツぁイーストコーストじゃハブだっつの」

 日本語で話して頂けませんか、と願う暇もなかった。

「つまりよー、この毘沙門天さまが力を貸してやるっつってんの」
「力、何の力でしょう……」
「決まってんだろ」

 レコードプレイヤが、回転を止めた。

「もっと、人生を楽しむための力よ」
「それは、イッタイ――」



 ◇ サディスティックブライド



 心地よい温もりのなかで私はまどろんでいた。
 いぐさの香りと、もう一つ。胸を高鳴らせる匂いがして、鼻をすんすん鳴らす。
 ぎゅっと布団を抱きしめると、モミの木に抱きついたときみたいに匂いがあふれて、それが嬉しくって、でも何となく恥ずかしくって、綿に顔をうずめる。

 イヤでイヤで仕方なかった匂いが今はちょっとだけ好ましい。ぼんやりとした頭で、その変化を不思議に思った。
 これは、誰の匂いだったっけ……? と頭を働かそうとした瞬間、

「……痛ッ」

 こめかみをハンマーで叩かれたような痛みが走った。吐き気まではないが、ひどく気分が悪い。
 ええと、どこで何してたんだっけ。
 身体を起こして、ぐるりと辺りを見渡す。見覚えのないお座敷に、見覚えのない道具がいくつか。
 そう、確かここは道具屋で……私は仕事で探し物に来ていて……。

 店に入ってからの記憶に霞がかかっていた。
 ただ、恥ずかしくって楽しいコトを、あの店主とヤッていたような気がする。
 あの店主と……恥ずかしくって楽しいコト……

「――って何ッ!?」

 慌てて布団から飛び出して着衣を確認した。
 寝相なりの乱れはあるけれども、その……、脱いだだとか脱がされただとか、そういう痕跡はなくって、胸を撫で下ろす。
 けれどホッとしたのも束の間。

「寝ぼすけさん、汝の名は女なり」
「――ッ!?」
「照れ屋さん、汝の名も女なり」

 聞き覚えのあるフレーズ。
 シェイクスピア気取りか、と振り向いた先には、知ってるけど知らない男がいた……。
 シルクベルベットに黒のフェイクファーの縁取りっていう、極めて趣味の悪いロングコートを着ている。
 この寒いのに、裸の上半身に直接、だ。

「ガイアが呼んだんだ。僕と君の名を……」

 首には犬の首輪みたいなチョーカー。両手には指貫グローブ……
 極ショートの革パンの上からはこれでもかこれでもかと言わんばかりにチェーンがぶら下がり、ちょっと動くたびにジャラジャラとうるさかった。

 私は知っている。
 こういう格好は良く言えばビジュ系、悪く言えばギャル男、もっと悪く言えばナル男って呼ぶんだって……。

「お、おい……店主、何があったんだ。っていうか私はいったい何を……」

 店主は斜め四十五度右上に向けた顔を手で覆い隠し、その指の隙間から流し目で私を見た。

「そんなことよりあの月を見てごらん。僕はあの月の雫を君に飲み干してもらいたい。静謐な光が君の体内をかけめぐり、髪の一つ一つから指先までその細胞を輝かせる様をこの目に見てみたいんだ」
「何をトチ狂っている。思いっきり部屋の中だぞ……」

 と言った刹那、ハッとした。まるで瞬間移動したかのように。近っ、い。店主が、目の前に。
 彼は私の顎に指をかけ、くいと上へ向ける。
 
「まるで人形……そう、お人形のグラスアイのように透き通る瞳だ……君はどこの花園で育った妖精さんなんだい」
「……よ、妖精? 私は妖怪だぞ」
「妖怪? 馬鹿をいっちゃいけないな。乙女はみんな恋する妖精さんなんだ」

 一瞬、ぼぅっとしてしまった。見つめあうこと数秒。

「若葉の香りがする、これが君の髪の香りなんだね」
「ちかっ、近いって!」

 ぐいっと店主の胸板を押す。
 男の生肌に触れるのに抵抗がないことが不思議だった……けどそれは今、問題じゃない。

「おい、何があったか知らないけどしっかりしてくれ。私は取引……そう、取引の続きをだな……」
「回りくどいのはお嫌いかい? ならばはっきり言おう。君はかわいい、ぱねえぐらいかわいい」
「――」

 心臓が止まりそうになる。
 こんなことを面と向かって言われるのは初めてだ……。

(馬鹿っ!)

 初めてだからって赤くなるんじゃない私のほっぺた! と全力でセルフビンタして誤魔化した。
 そんな私などお構いなしに、店主はいちいちキメ顔を作って、歯の浮くようなセリフを吐き続ける。

「僕の伴侶になってくれ、僕の味噌汁を毎日作ってくれ。それが駄目なら僕が君の伴侶になろう。暖かいチーズフォンデュとバゲットを用意して、この店で君の帰りを待とう」
「なっ! なななっ! 何を言って――ッ!」
「僕が信じられない? ならば誓いの証を立ててあげようじゃないか」

 店主は私から離れ、祈るように目を瞑った。

「――イシュタルの烽火よ、深淵の狭間より集いて我が心の在処を示せ……『森近式練成陣(クリエイト・ザ・キリサメソード)』!」

 黒歴史ノートの隅っこに書いてありそうな文句と共に取り出した剣を、彼は畳みに突き立てた。その前に跪き、胸の前で十字をきる。
 痛々しいファッションと相まって、どっからどう見てもひどい中二病だ。
 私はドン引いた。

 トクン。
 だけれどもこの胸のトキメキは何? 
 
「誓おう、永久の愛と、忠誠を……」
「あっ、ひゃ……!」

 手の甲にキスをされた……。まるで導火線に火をつけたみたいに、体中の体温が上がる……。身体中の血液が沸騰するよう……。

 ――不意に思い出されるのは女学院での日々のこと。
 白雪姫、シンデレラ……学芸会で演じた種目は数あれど、私はいつもいつも王子様役だった。
 暇があったら女の子を口説く、そういった普段の行いに起因していることは自分でも分かっていた。

 だけど私だって女の子。お姫様役に憧れなかったわけじゃない。
 純白の、フリッフリのドレスを着て舞台に立ち、王子様の力強い腕に抱かれ、ロマンティックなキスを受ける。
 そんな自分の姿を夢想することもあった。
 
「さあ、目を瞑って、僕に身を任せて」
「――ッ!?」

 だからってだからってだからって! 出会って何時間も経たない即席の王子様を受けいれられるものか!

「よっ、よせッ!」

 パァン!
 私はもう条件反射で店主の頬を張った。

「殴ったね! シッダルタにもぶたれたことないのに!」
「あ、いや、すまない。痛かったか……?」
「もっと殴ってくれッ!」

 キュンッ、と胸が締めつけられる。
 ああ、そっち方面での相性もバッチリだなんて……。
 こうなると私の妄想はとどまるところを知らなかった。やがて私と彼は緑の牧場に白いお家を建て……二人っきりで……。
 いや、でも……。
 
「私のお味噌汁って……ハバネロでダシをとった鷹の爪スープだぞ? それを『残さず食べてね?』って割烹着姿でにっこり微笑むんだぞ?」
「どんな味付けでも君が作るならメロンソーダさ。そこへ君の笑顔という名のクリームを添えれば甘い甘いクリームソーダのできあがりだ」
「『まったく君はだらしないな、ネクタイが曲がっているじゃないか』と見せかけて朝からネックハンギングツリーとかしちゃうんだぞ?」
「酸欠なんて大した問題ではない。君を見ていると僕は呼吸することを忘れてしまうのだから」
「『はい、あーん』は喉タッチの前振りだし、それに、それに……」
「ハハ、幻想郷は、いいや僕はどんな愛情表現も受けいれる!」
「あっ!」

 力強く抱き寄せられる。窮屈な腕のなか、彼の鋭い、でも優しい瞳を、レンズごしに真っ直ぐ見据えた。
 耳をべったり伏せて、怯えた私がそこに映っている。
 だけど、怯える? 何を怯えることがあるというのだろう。
 彼はあのキャビネットから私を守ってくれたじゃないか。それこそ即席の王子様のように、身体を張ってまで……。

 何よりも嬉しかったのはあの時の言葉だ。私の身をひたむきに気遣う、この捻くれた店主らしからぬ、真っ直ぐな言葉。
 あれがどんな種類の感情から生まれた言葉なのかはわからない。慈愛、献身、それとも……愛情?
 わからない、わかってたまるか、そんなもの……。
 だけれども私は彼の言葉の一つ一つを今でも思い出……すのはやめにする。
 これ以上、耳を熱くしてどうする、ヤケドしてしまうだろう。

「怖がることはないんだ、僕が君の嫌がることをするとでも?」
「あ……」

 近づく距離、重なる影と影。
 生意気で、乱暴。
 自分がそういうイキモノだってことは、何となく悟っている。だから、一風変わった他者との関わり方を求めてしまう。
 でも、こんな私でもこの人となら自然に、仲睦まじくやっていけるような気がして、私は抵抗の仕方を忘れてしまっていたのだ……。

「口づけの作法を忘れてしまったのかい、お姫様? この期に及んでそういう粗相は頂けないな」
「は、はい……王子様……」

 真っ黒なカーテンを下ろすように、私は瞳を閉じた。舞台の幕が下りたあとにどんな世界が待っているのかはわからない。
 菜の花の咲くお花畑か、あるいはめくるめく官能の海か……。

 カァン、カァン。頭痛のせいだろうか、頭のなかでそんな音が鳴り響く。私にはそれが教会の鐘の音に聞こえた。
 ベルの音は天使に翼が生えたことを示す音だと聞いたことがある。そう、だからこれは吉兆なんだ。
 この先に何が待っていようと恐れることはない、そのお墨つきを神様から貰ったような気がした。

 だけど。

『だめっ……!』

 彼の吐息をすぐ近くに感じたそのとき、私は懐かしい声を聞いた。


『気を確かに持つのですナズーリン!』
『……ご主人? ご主人なのか!』
『はい、あなたのピンチを察知して法界からテレパシィを送っています。何だってやれば出来るもんですねもぐもぐ』
『簡潔な説明をありがとう。だがこんなにも切羽詰った状況で物を食べながら話すとは頂けないな。あとでお仕置きだ』
『だ、だって……誰も相手してくれないから退屈で退屈でお腹がすいて……。あっ、ナズーリンの分もちゃんと取ってありますよ。魔界シュークリームなんですけど』
『うん、そういうことなら何も問題はない。そして用件を手短に頼む。もう、彼の唇が、残り一センチってところまで近づいているんだ。このままでは私は……ああ、私は……』
『――ッ!! いけませんよナズーリン、私以外の、それも男の人とちゅっちゅするなんて! ……じゃなくって、その方は取り憑かれているのです!』
『憑かれてる? まさか狐憑きか?』
『そんなにタチの良いものではありません、悪霊です。それも私にとって極めて所縁深い悪霊です、ド畜生です、ハレンチです、魑魅魍魎です』
『ご主人がそこまで口汚くなるってことは……まさか』
『その、まさかなのです』

 ……ああ、わかった、すべてわかった。
 あの口説きっぷりに加えて、唐突すぎるイジめて願望。不自然だとは思っていたのだ。
 こんなことにも気づかないあたり、私はよっぽど寝ぼけていたらしい。
 ――別の理由? ……ないよ、そんなもの。

『ありがとうご主人様。君はやっぱり私のご主人様だった』
『えへへ……、早く帰ってきてくださいね? 待ってますから』

 部下のためにテレパシィまでやってのける、ご主人様の思いに深く感謝した。
 もっとも、彼女の助けがなくとも私は気づけていたのかもしれない。

「イェア~、ホットなキスのあとは、ぱねえぐらいクールな夜を過ごそうぜ。おれのクチビルが熱疲労で砕けちゃうぐらい激しい夜をYO」

 これで私を落としたと見たのか、露骨にボロが出始めていたのだ。
 間一髪。
 私と彼……いや、ド外道の顔の間に手を差し入れて、最悪の事態を防ぐ。

「ワーッツ? あんまり焦らすのもイケてないんだぜレイディ? おれのマグナムが湿気ちまうぜHAHAHA!」

 最悪……いや、どうかな、べつにこのままでも私は……、心は外道でも身体は彼のままなわけで……ってそんなことはどうでもいい。

「久しぶりだな、天部の油虫」
「えっ」

 私の一言で水槽に穴を空けたように、顔中からだらだらとこぼれる汗が畳みに染みを作ったが、見て見ぬ振りをした。

「丹田に力を込めろ。彼が怪我をしてはいけない」
「えっ、えっ」

 一方私は拳に気合を込めた。

「お前は仏様なのだろう? ならばサンドバッグのお役目ぐらい、きっちり果たして見せろ」
「ちょっ、丹田ってか、タン――」

 悪霊――退散。



 ◆ またのご来店を



「これは貰いすぎだ」

 全身に残る鈍い痛みと戦いながら、僕はテーブルに提示されたお金の半分を返そうとした。
 半分の、そのまた半分でも多すぎるぐらいの額だ。
 度を越えた利はかえって身を滅ぼすことになる。それぐらいの理屈は、商売人の端くれである僕は十分に承知していた。

「いいんだ、ウチのゴミクズが迷惑をかけてしまったようだから」

 ナズーリンは鞠突きをするように宝塔を地面に叩きつけ、跳ね返ってきたところをキャッチした。上手いものだ、と思う。
 迷惑……、まぁ確かに迷惑だったのだろう。
 気づいたら悪夢のようなファッションで土下座をさせられた上に足蹴にされていただなんて、初めて経験する種の迷惑だったが。

「しかしだ……」
「まぁいいから、とっておいてくれ。君は商売人なんだろう?」
「商売人だからこそ遠慮しているんだ」
「理屈っぽいのはもういい。時間がないし……。こんな、ミミズのフンを力士の汗で煮込んだようなゴミアイテムでも」

 待ってる人が、いるんだ。彼女はどこか誇らしげにそう言った。
 まぁ、道具の価値というのは僕だけの物差しで計れるものでもないし、心の付加価値まで計算にいれるのは、道具屋の仕事ではない。
 そう自分を納得させて、紆余曲折あったが、僕は代金を頂戴した。

「お買い上げ、ありがとうございます」

 商売の達成感というものは、概ねこの決まり文句を吐いたときに訪れる。
 その達成感に背中を押されるようにして、僕はドアまでお客様をエスコートした。

「あの言葉……」

 ドアに手をかけたナズーリンが不意に言った。けれど、その続きが一向に出てこなくって、僕は続きを促す。

「……あの言葉?」
「いや……、その……。助けてくれた、ときの」
「助けた? 毘沙門天の皮を被った悪霊に取り憑かれていた、という……僕を助けてくれたのは君じゃないか」

 彼女の口から、そういう説明を受けたのだ。何やらお互い大変な目にあっていたらしい。
 だけど、呪いの道具に被害を被ることは始めてのことじゃないから、僕はさして慌てなかった。全身の鈍い痛みを追求することもしなかった。
 なぜなら呪いのせいで猫耳を生やしてメイド服姿の一週間を過ごした経験だって僕にはあるわけだから――細かいことは省こう。

「いや、それより、もっと前の話……」
「それより前……?」

 ああ、と僕は手を打った。

「そう、あのとき、君は……」
「花瓶のことを言っているのか」

 きょとん、と目を丸くするナズーリン。

「……か、かびん?」
「いや、確かにあの時は無我夢中だったものだから……多少の言いすぎはあったかもしれない。大金を出して手に入れた宝物を何日もしないで粉々にされるだなんて冗談じゃないから……、本当に肝を冷やしたんだ。でも、気を悪くしたのなら謝ろう、――申し訳ありませんでした」

 結局のところは、こうして何事もなく取引を終え、予想以上の報酬を得ることができたのだ。
 頭の一つや二つ下げることぐらいどうということはない。

「えっと、それってつまり……これがこうで、こういうことで……」

 さて、これで万事解決かと思いきや ナズーリンは口元に手をあてて何やら考え込んでいた。
 まるでバズルのピースを当て嵌めているような顔。
 ややあって正解にたどり着いた、という情報を僕は、急に真っ赤になった彼女の顔から得た。どうしてそういう反応になるのかはわからないが……。

「帰る! 時間がないんだッ! お前みたいなのと話してる時間はもう一秒もない!」

 ――バンッ! ガランカラ……

 平穏無事で終わったはずだったのに、穏やかではない捨て台詞を吐かれる。
 ……また何か食い違いがあったのだろうか、と代金を金庫に納めながら先ほどまでのやり取りを思い出していると、

 ――カランカラン。

 不意に彼女が戻ってきて、僕を問いただすように言った。

「名前」
「え?」
「名前、聞いてない!」
「あ、ああ……。僕は森近、森近霖之助だ」

 彼女は僕の名前を噛み砕くように、口のなかで何度か繰り返した。

「こんな店……、二度と来ないからなッ!」

 またのご来店をお待ちしております、という最後の社交辞令を交わす前に、彼女の姿は、今度こそ本当にかき消えていた。

 ……よくわからない内に、貴重なお得意様候補を失ってしまった。
 でも、二度と来ないのならどうして僕の名前を訊く必要があるのだろう?
 多少は期待してもいいのかもしれない。そう、思い込むことにした。

 ――カランカラ……。

 騒がしさの名残を表す釣り鐘の音色。 

 窓から刺す西日は、姫林檎のように黒みがかった赤へ変わりつつあった。
 過分な報酬は得たが、過剰な疲れも僕は得た。
 今日は早仕舞いにしよう、と腰を叩いたとき、ひっくり返した木箱と道具の山を見つけてしまう。

「これを元に戻すのか……」

 宝探しの後始末をするトレジャーハンタがどこにいるのだろう? 
 やはり、道具屋家業は楽ではない。

「やれやれ」

 今までと、これからの手間を考えると、ため息まじりの呟きが出てくる。

「大変な一日だ」

 そのときだ。
 それはおそらく風の音の錯覚だったのだろうが、「どれぐらい?」と誰かに訊ねられた気がした。
 だから僕は、

「決まっているだろう、ぱねえぐらいさ」

 何となしにそう答えた。





<完>


 
来年もよろしくおねがいします。
Ninja
簡易評価

点数のボタンをクリックしコメントなしで評価します。

コメント



0.6270簡易評価
6.100名前が無い程度の能力削除
少しも退屈することなく最後まで読むことができました。
このナズーリンは、いい!
8.100名前が無い程度の能力削除
相変わらずまじぱねえ文章でした。
よいお年を!
18.100ぺ・四潤削除
Sで乙女なナズーリンはもう公式設定でいい!
まさかの毘沙門天登場にマジ大爆笑www
「なずが、おにいちゃんのこと、いっぱいいっぱいイジめてあげるね」
変な吹き方したらリアルに鼻血が出たんですが。
20.100名前が無い程度の能力削除
何これ素敵……
21.100名前が無い程度の能力削除
今年最後の忍者さんはいつも通りにまじぱねえwww
来年もまた貴方の作品を楽しみにしています
22.100名前が無い程度の能力削除
まじぱねえ話ありがとうございました
ナズ可愛すぎて相当気持ち悪い笑いしてました
23.100名前が無い程度の能力削除
ナズ可愛いよナズ…
DJ妖忌てあんた孫ほってなにやってんだw
年収めにいいもん見させて貰ったよgj
24.100名前が無い程度の能力削除
なにこのかわいい妖www
来た! DQN毘沙門天wwこれはいいwww
26.100名前が無い程度の能力削除
まじぱねえっすwww
27.100名前が無い程度の能力削除
Sと乙女は両立できないなんて大嘘だ。
ナズーリンがぱねえ。霖之助がぱねえ。毘沙門天がまじっぱねえ。
来年も宜しくお願いします!
28.100名前が無い程度の能力削除
もはや何を言ったら良いのやらwww
取り敢えずナズ霖は我がジャスティス!
31.100名前が無い程度の能力削除
よいお年を!
32.100木製削除
ナズやばいよかわいいよ涙出てきたよ…
ありがとう、これを書いてくれて本当にありがとうございます…
34.100火忍削除
ぱねえっす。リアルにハートにドッキュンときましたわ。

大好きです。その……ほんとにありがとうございました。
36.100名前が無い程度の能力削除
言葉のすれ違い、赤面、泥酔デレ、そしてツンデレ……
忍者氏は何故ここまで俺の性的趣向をご存知なのか一度じっくり話し合いたいものですな。
37.100名前が無い程度の能力削除
まず最初に言いたいことは、作者は頭が可笑しい!
どう言う思考になればこんな内容書けるんだ。

これはある意味貴重な才能です。
38.無評価名前が無い程度の能力削除
可愛いナズーリンですね!
とっても面白かったです!
だけどな、俺は!こーりんの存在が嫌いだっ!というか東方に男を絡ませるのが絶品料理に塩をぶちまけてるようで好きになれん!
だが話は面白かった!
だがこーりんは嫌いだっ!
このジレンマがモヤモヤする!
39.100名前が無い程度の能力削除
DQN毘沙門天とか新しすぎるwwww

>「丹田に力を込めろ。彼が怪我をしてはいけない」
おーっと、ぐっときた。
41.100名前が無い程度の能力削除
おい




おいwwwwwwwwwwwwwwwww
良いじゃねぇかこの野郎wwwwwwww
45.100名前が無い程度の能力削除
兎も角霖之助が可哀想だww

彼女が上客となり何度も香霖堂を訪れますように
46.100名前が無い程度の能力削除
流石忍者
48.100名前が無い程度の能力削除
すばらしい。
落とし方が見事です…ぱねえ。
49.100名前が無い程度の能力削除
馬wwww鹿wwwwじwwwwwゃwwwwwwwねwwwぇwの
50.100K-999削除
勘違いしてる時も、勘違いに気付いた後もナズーリンが乙女で可愛すぎる!
新年一発目のSSがこれとは、幸先が良いかんじですね。

チェケラ。
52.90名前が無い程度の能力削除
後のDJ森近である。
ちゃんと元に戻るよね…?むしろ戻って下さい。
56.100名前が無い程度の能力削除
すげえ。
ものっすごく面白かった。
59.80名前が無い程度の能力削除
星さんがちょっと活躍してて何故だかほっとした。
60.100名前が無い程度の能力削除
元旦からなんてものを…見せてくれはるんや…!
62.100sdsd削除
>「殴ったね! シッダルタにもぶたれたことないのに!」

 ここで死んだwwww
63.100名前が無い程度の能力削除
腹筋がwww元旦から腹筋がぁぁぁぁぁwww
新年創想話の一発目がこれとかwww
ツッコミが追いつかねえがこれだけは言わせてくれ、毘沙門天マジ自重しろwww
あと霖之助さんが経験した猫耳メイドな一週間の詳細が知りてえwww
64.100名前が無い程度の能力削除
毘沙門天爆死しろ
67.100奇声を発する程度の能力削除
ぱねえっすwwww
あと毘沙門天は駄目男すぎるwwwww
68.無評価名前が無い程度の能力削除
毘沙門天が痛すぎる子にwww
あと爺さん、DJやってないで孫んとことっとと帰れよwww
69.100名前が無い程度の能力削除
↑すんません、点数入れ忘れました
70.100名前が無い程度の能力削除
言いたいことが色々あったような気もするが、気の所為だったようだ。
ここまで素直に笑って読めた作品は久々でした!w
75.100名前が無い程度の能力削除
ナズのツンデレさんめ
77.100名前が無い程度の能力削除
面白かった
新年早々笑わせてもらった
78.100名前が無い程度の能力削除
絡みナズいいよー
あと鬼の花瓶がさりげに面白い
79.80名前が無い程度の能力削除
まさかこの毘沙門天が再登場するとは。
今年もよろしくお願いします。
82.100名前が無い程度の能力削除
>そっち方面での相性もバッチリ
そこ突っ込む所だろハニー!

霖之助もナズーリンも毘沙門天様も原作そのままで光景が浮かびます。
83.90名前が無い程度の能力削除
なんてダメなナズ子ww
85.100名前が無い程度の能力削除
あなたの毘沙門天はもうガチだなwww
90.100名前が無い程度の能力削除
色々な意味でマジパネェっすw
93.100名前が無い程度の能力削除
まず一行目から吹いたwww
見出しがいちいちおもしれぇw
内容の超展開にも吹いたw
96.100名前が無い程度の能力削除
最悪だよ、糞っ垂れwww
俺の腹筋を返しやがれコン畜生!wwwww
98.100名前が無い程度の能力削除
なんというツンデレラ・・・ッ

堪能させていただきました
100.100名前が無い程度の能力削除
僕にその手を汚せというのかに反応してしまったw
それはともかく、毘沙門天様がぱねぇwwww
103.100名前が無い程度の能力削除
ぱねぇぐらいさwww
106.100名前が無い程度の能力削除
シッタルダに殴られた奴とか何柱居るんだよwww
111.100名前が無い程度の能力削除
まじぱねぇwww
112.100名前が無い程度の能力削除
猫耳メイド服一週間霖之助についてお伺いしたいのですが
113.100名前が無い程度の能力削除
huita
115.100 削除
これはひどい…いいぞもっとやれw
117.100名前が無い程度の能力削除
どれぐらい面白い?
ぱねぇぐらいさ!!
121.90名前が無い程度の能力削除
駄目だこの毘沙門天はやくどうにかしないと
122.100MTB削除
わからないわからない。ジャンルが何なのかさっぱりわからない。
シリアスだったようなギャグだったようなラブロマンスだったような。

わからない。

ただ一つわかることは台詞回しの面白さが異常なクオリティだったということ……!
123.100名前が無い程度の能力削除
ナズーリン可愛すぎてまじぱねぇんだけどw
126.100名前が無い程度の能力削除
とりあえず、この世界の謙信さま涙目w
神様の恐ろしい本性を知ったw
130.100名前が無い程度の能力削除
なんだこれはwww
131.100名前が無い程度の能力削除
初っ端からとんでもないのが次々に拗れてくw
132.無評価名前が無い程度の能力削除
133.100名前が無い程度の能力削除
評価忘れ
134.90名前が無い程度の能力削除
ナズーリン・霖之助・星はどの組み合わせでも美味しいですq
140.100名前が無い程度の能力削除
毘沙門天さんマジぱねぇっスwww
143.100名前が無い程度の能力削除
Sに乙女にツンデレだと・・・
流石忍者マジパネェっす!w
145.100名前が無い程度の能力削除
ははっ、俺頭がどうにかなっちゃったみたいだ
155.100名前が無い程度の能力削除
Frailty,thy name is woman!
・・・ナンダコレwww
156.100名前が無い程度の能力削除
なにやっちゃってんのぉ~
俺の中のりんのすけが完全崩壊して再構築された結果「YOYO!!!!JOJOだYO!!!!」しか言わなくなっちゃったじゃないですか…………いいぞ!!!!もっとやれ!!!!
161.100みなも削除
このナーズリン,かわいい!
182.100名前が無い程度の能力削除
ナズーリンが可愛すぎてもう

>僕にその手を汚せというのか
唐突にこれはふいたwww
183.100名前が無い程度の能力削除
>>殴ったね! シッダルタにもぶたれたことないのに!
 ブッダとかけたんですね、わかります。
188.100名前が無い程度の能力削除
毘沙門天さんマジぱねぇっスwww