Coolier - 新生・東方創想話

儚さと美しさ

2009/12/11 22:30:37
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 灰色の空から舞い落ちる
 まっしろでふわふわしたつめたいもの
 あんな灰色の空から降ってくるのに
 あんなに綺麗で柔らかくて
 こんなに真っ白で輝いている

 どうしてあんなに綺麗なんだろう
 どうしてこんなに輝いているんだろう

 それを見るたび思うけど
 きっとそのわけは―――



 空を覆った灰色の雲から真っ白な雪が降り続く。
 朝からすっかり冷え込み、この前まで秋だと思っていたのに、季節はすっかり冬へと移り変わっていた。
 そんな中、私は魔理沙とともにまだ誰の足跡のついていない雪道を歩いている。
「はぁ、今日も一日中雪って感じだな…」
 隣に居る魔理沙のため息も、白くなって虚空へと消えていった。
 魔理沙の言うとおり、この様子では今日のうちに降り止むと言うことはなさそうである。
「まったく、なんでこんなに降り続くんだか。寒くて敵わないぜ」
 心底うんざりしたように呟く魔理沙。
 初雪が降った頃は凄くはしゃいでいたのに、一週間経ったらこの調子である。
 …といっても、降り始めてからもう四日ぐらい降り続いているから、ため息をつきたくなる気持ちも分からなくもない。
 だけど―――

「でも、綺麗じゃないかしら?」
 灰色の空を見上げながら、ぽつりと呟く。
 ゆっくりと舞い降りる沢山の雪の結晶が目に入った。
「へ? 綺麗って何がだ?」
 その言葉の意味を図りかねて、魔理沙は首を傾げる。
「雪がね、あんなに灰色の空から降ってくるのに、こんなに真っ白で綺麗なの…。不思議よね、どんよりした色の雲から降ってくるものが、こんなにも綺麗だなんて」
 雪が降ってくる大元は、あの灰色の雲なのにそれでもこの雪はその暗い色に染まらず、白く輝いている。
「確かにな。あんな色の雲から降ってくれば、それと同じ色をしていてもよさそうなものなのに、この雪は真っ白だ」
 魔理沙も私の答えに頷き、灰色の空を見上げる。
 私と同じことを感じ取ってくれたのか、その横顔にはさっきまでのダルそうな表情はなくなっていた。
「それで、どうしてこんなに綺麗なのかって考えていたんだけど……やっぱり―――儚いからだと思うの」
「儚いから…?」
 魔理沙は私の言葉に首を傾げる。
 そんな魔理沙の疑問に答えるため、私は手袋を取って、その手のひらに降ってきた雪の結晶を乗せた。
 当然のように、雪の結晶は一瞬で溶けて消えてしまう。
「こんな風に、雪の結晶は触れればすぐに消えてしまうほど儚いのよ。儚いからこそその美しさが際立って輝くの」
 もしこの雪が永遠に消えないものだとしたら、これほどまでに綺麗だとは感じないと思う。
 あっという間に消えてしまうからこそ、その一瞬に美しさが際立ち、心を奪われてしまうのだ。

「なるほど、確かにそれは言えてるな。……だけどさ、私は儚くなくたって、それよりずっと綺麗なものを知ってるぜ?」

「え? それってなによ?」
 魔理沙は私の方に向き直ったかと思うと、すぐ目の前まで近づいてくる。
「それはさ―――」
 そして右手袋を取ると、そっとその手を私の頬に添えてきた。
 それだけで私の心はドキドキし始めてしまう。
 だというのに、魔理沙はそんなことお構いなしで私の目をじっと見つめながら、

「―――アリス、お前のことだぜ」

 なんてとんでもなく恥ずかしいことを言ってきた。
「な、なななっ…なに言ってるのよっ!?」
「なにって私の本心だぜ? アリスはこの世の中にあるどんなものよりも綺麗だ。此の世のどんな美しいモノだって敵わないくらい綺麗だぜ」
 突然の魔理沙からの言葉に、顔が一気に熱くなってしまう。
 それなのに、魔理沙はそんな言葉を言っておきながら、全然照れた様子がない。
 な、なんでそんな言葉恥ずかしげもなく言えるのよ…っ。
「でもアリスが儚くないってのは嘘かもな」
「な、なんでよ…。私は魔法使いなんだから、結構長生きなのよ?」

「寿命としては私よりもよっぽど長いはずだと分かってても、アリスのことを見ていると、今にも消えてしまいそうな錯覚を覚えることが有るんだぜ? 不思議だよな。そんなことあるはずないのに、その笑顔や憂いを帯びた横顔がとっても儚く見えてさ―――守ってやりたくなるんだ」

 言い終わると同時に正面からギュッと抱きしめられた。
 上がり続けていた体温がさらに上昇して、鼓動は大きく高鳴る。
「ちょ、ちょっと魔理沙っ……その、恥ずかしいわよ…っ」
「大丈夫だ、私は恥ずかしくないぜ。それに周りに誰も居ないんだから、気にすることないだろう?」
「そ、そうじゃなくて…」
 周りに人が居なくたって、恥ずかしいものは恥ずかしいのに…。
 それにいくら人が見ていないからって言って、こういうことを外でするのはやっぱり落ち着かないんだけど、魔理沙にそんなことを言っても無駄な気がする。
 ま、まぁ…その、外でじゃなければ、抱きしめてくれたりするのは嬉しいんだけど…。
「なんだよ、アリスは私とこういうことするのが嫌なのか?」
「い、嫌なわけじゃないけど…」
「アリスの“嫌じゃない”は“してもいい”ってことだよな」
 嬉しそうにニカッと笑うと、もう一度抱きしめてくる。
 なんだか完全に考えを読まれてしまったみたいで悔しいけど、本当なんだから仕方がない。
 まったく、やっぱり魔理沙には敵わないわね…。
 だけどその…多少強引だって、こうしてくれるのは嬉しいかな…。
 今はちょっと無理だけど、いつかはお返しできるようにならなくちゃね。
 私と魔理沙の間にある、儚いわけじゃないけれどとっても綺麗なものを、一瞬のものにしてしまわないためにも……ね。



 灰色の空から舞い落ちる
 まっしろでふわふわしたつめたいもの
 あんな灰色の空から降ってくるのに
 あんなに綺麗で柔らかくて
 こんなに真っ白で輝いている

 どうしてあんなに綺麗なんだろう
 どうしてこんなに輝いているんだろう

 それを見るたび思うけど
 きっとそのわけは―――

 ―――それがとっても儚いから

 その美しさが一瞬だからこそ
 その輝きがすぐに消えてしまうからこそ
 それは美しく輝くのだ

 だけれど、儚くないからと言って
 綺麗ではないというわけじゃない

 例えば私と魔理沙の間にあるものとか

 それはきっと儚いものじゃないけれど
 世界のどんな美しいものにだって負けないくらい
 とっても綺麗で輝いている―――

 ―――世界で一番、大切なもの

 その輝きを絶やさぬように
 まずは思いを伝えることから始めよう

 この胸にあふれているけれど
 今まで言葉に出来なかったこの気持ち

 ―――私も魔理沙が、大好きだよ
初投稿させていただきました、紫煌刀と申します。
大好きなマリアリが書けて楽しかったです。
いろいろ拙いところもあると思いますが、
楽しんでいただければ幸いです。
よろしかったら、感想もお願いします。
紫煌刀
http://kyoukainomukou.web.fc2.com/
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コメント



0.1420簡易評価
2.80名前が無い程度の能力削除
ちょっと短いですね。
でも、まとまりは良いと思います。

何より、このだだ甘さは大好物ですw
これからの作品も期待しています!
6.100名前が無い程度の能力削除
(糖死)
8.100名前が無い程度の能力削除
ごめん、ことばで言い表せない。
ただもう悶えるしかない

そして俺も糖死するのか。それもいいかもしれない
9.100アリサ削除
初投稿でここまでの作品を書けるとは羨ましいです。自分は文章力が小学生並な物で…… 綺麗な雰囲気の良作だと思います。そして甘かったw 次回作も待ってます。
10.100奇声を発する程度の能力削除
もう糖死するしかない。
これは甘いのレベルを軽く超えているw
12.100名前が無い程度の能力削除
初でこれは凄いですね!
雰囲気がとても好きですw

甘くて良いマリアリでしたw
21.100名前が無い程度の能力削除
素晴らしい甘さのマリアリ!
27.無評価紫煌刀削除
コメントありがとうございます!
今まで自分のサイトに載せてた文では、文章一つにつき感想言ってくださる方が
一人居るかいないか…という状況だったので、
あまりの嬉しさにむせび泣いております!><
やっぱり感想もらえるっていいな…。

みなさんに喜んでいただけたみたいでとっても嬉しいです。
身に余るお褒めの言葉もいただき、大変恐縮です…。

やっぱり甘いのっていいですよね^^
私も甘党なので、自分的にはまだ甘くしたいような気も…w

コメントいただけたのがあまりに嬉しかったので、
また新しいマリアリ書いてます^^
上手くすれば2~4日ぐらいで投稿させていただくかもしれませんので
そのときもよろしくお願いします^^
40.100非現実世界に棲む者削除
マリアリは甘くて可愛い話がちょうど良いです。