Coolier - 新生・東方創想話

眠れないとアリスが言ったから

2009/12/05 02:44:06
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※アリスと紫とお伽噺。
 一部改変しました。






【プロローグ】

こんな話がある。

妖精や悪魔や鬼は、時に愛らしい人間の赤子を攫い、代わりに自分たちの子か、そっくりな人形なんかを置いていく。置いていかれた子どもは姿が醜かったり、言動が人とは違ったり、あるいは人間業とは思えない力を持っていたりすることもある。これを取り替子という。たいていの取り替子は親にそう疑われると、その子自身が親をどう思っていようと疎まれる。そうして親は自分たちの本当の子を取り戻そうと、取り替子に辛くあたる。そうすると、見かねた取り替子の本当の親がやってきて、人間の子どもを返してくれるというのだ。



多くの人が信じ、子どもを死に至らしめてきた風習だが、中には違うとわかっていながら取り替子と偽り、実子を手にかけた者もいるという。
いつの世も、本当に恐ろしいのは人間なのかもしれない。






【眠れない夜の童話 その1】

虫を捨てた初めての日、夜は存外明るいのだと知った。

[Alice]

久々に思いっきり夜を満喫したくて、アリスはバスケットを一つ持って出かけることにした。今日だけは人形も連れて行かない。ちょっと不用心かも知れないけれど、有事の際には転送を整えてあるし、なにより今夜は新月だ。妖精も妖怪も人間も、今夜だけはそう浮かれずに大人しくしていることだろう。案の定、森はいたって静かなもので、アリスは自分の足音を聞きながら、一人鼻歌なんかを歌っていた。曲名は知らない。前に霊夢が歌っていたのを聞いただけだから、ひょっとすると彼女の即興曲なのかもしれなかった。

魔法の森はちょっと特別で、人間はおろか妖怪でさえ迷うことがある。ただ迷うだけならともかく、漂う空気まで独特だから、限られた生き物しか生息できない。だからか人型をしたモノよりも、ここには魔獣や妖獣の方が多く見ることが出来る。そんな環境こそが理想である魔法使いという生き物は、ひょっとするとどこか可笑しいのかもしれない。そんなモノを捕まえて最も人に近い種族と評すのだから、あの稗田の子も変わっている。

そうは思わない?-アリスはずっと前から感じていた視線の主を振り向いて笑った。空気が歪んだ感覚に体が応えて、首の後がざわりという。すっと夜に亀裂が走り、やがて闇がばっくりと口を開くと、中からずるりと影が一つ出てきた。問われたその人が、アリスの声に答えて姿を現したのだ。星明かりの遠い森闇の中にあっても、その存在ははっきりとしていて、強い妖気に肌を打たれたアリスは目を細める。陽も落ちているのに、いつものように彼女の手には日傘が握られていて、白いそれはぼんやりと光っている心地がした。叩かれると結構痛いので、アリスはあれが好きではなかった。思い出すと不快になるから視線を傘から逃し、代わりに彼女をひたと見据える。目が合った瞬間、彼女は嫣然と嗤った。無邪気さからはほど遠く、見ているとどことなく不安になる、けれど品と華やかさを持つ含みのある笑い。けれどアリスはその笑顔に心を動かさなかった。何てことはない、それが彼女の普通なのだと知っていたのだ。

「今晩は人形遣い。今日は寝ていないのね」夜に日傘を差す妖怪、八雲紫は言った。挨拶の後にからかいが続き、アリスはちょっと口をとがらせた。一応、妖怪ですから。夜に起きていたりもするわ-アリスが続けて、貴女の方こそ珍しい。異変が起きたわけでもないのに-と言うと、「私だって散歩ぐらいしますわ」と返された。紫の口調はのんびりとしていた。それでアリスは、散歩に来るぐらいだから、やっぱり紫には森(ここ)の空気は何ともないのだなぁとしみじみ思った。それにしても散歩っていっても、貴女のことだから歩いてなんていなかったんでしょう-とアリスが言うと、紫はそれには答えず、「貴女の方は何をしているの?」と聞き返してきた。アリスの理由も紫と同じようなものだったが、そうとは言わずに、探し物があるのよ。他の人にとってはどうでもいいものだけど-と意味深に笑っておいた。「あらそう」と興味の薄い反応が返ってくる。アリスの言葉を信じていないようだった。嘘というわけでもないのになぁとアリスは思った。これでも嘘はあまり吐かない質なのだ。

「何を探しているの?」別に本気で知りたいと思っていないのだろうけど、紫はアリスに会話の続きを促した。退屈しているのかなと思う。アリスはふわりと浮かぶと、適当な木の枝に腰掛けた。バスケットの中を検めながら、もう見つかったかも-と曖昧に答える。続けて、ハーブクッキーは好き?-と尋ねた。紫はあら、というように首をちょっとだけ傾げて、「それじゃ、お相伴にあずかろうかしら」とアリスを真似て腰を下ろした。下ろした先が枝ではなく何も無い空間なのは、いつもながら見ていて気持ち悪い光景だとアリスは思った。

好きなだけどうぞ-どうせ食べなくても死なない身だから、アリスは量そのものには固執しない。その代わりと条件を持ち出す。紫が訝しげな表情を浮かべたので、大したことじゃないわ-とすかさず先回りして弁解を入れる。大した事じゃないわ。ただ、面白い話を一つお願いしたいだけなの-ほら、簡単な事でしょうとアリスは紫を見上げる。青い視線を受けて、紫は「面白い話」とオウム返しに言葉を呟いた。推し量るような眼に見つめ返されるが、疚しいことは何もないから、そんな視線は怖くなかった。アリスは布包みを開きながら、何だか今晩は眠れないの。だから、面白いことを探していたの-と嘘偽り無く自分の行動を言葉にした。こうしてアリスが気兼ねなく頼むのは、この大妖怪が結構な話し好きであることを知っているからだ。紫はふむと頤に手をやった後、すっと白い腕が伸びて、アリスの膝から菓子を一つ摘んでいく。交渉は成功したということだろう。元より、決裂するとは微塵も考えていなかったのだが。

ささやかな咀嚼音。

アリスはクッキーと一緒に持ってきた紅茶を取り出す。カップが一つしかない事に気づき、どうしようかと思っていると、紫はどこからともなく自前の一品を取り出した。相も変わらず無茶苦茶な能力である。お酒ではないが手酌させるのは気が引けるので、アリスは自分のカップをバスケットから取り出さず、先にそちらを寄越せと視線で伝えると、紫はまたあの含んだ笑みを浮かべると、カップを持った手をすっと二人の間――――アリスの目の前――――にやると、ぱっとそのまま手を離したから、アリスはぎょっとした。

しかし、ティーカップは落ちず、相変わらずアリスの前で静止していた。紫の仕業らしい。驚かさないでよ-アリスは口をとがらせる。水筒(こっち)の方を落としそうになったじゃない-そう非難がましく睨め付けるが、一方で律儀にお茶を注いでいるので迫力が無い。紫は「未熟ねぇ」と澄ましているだけだ。いつものことである。しかもこういったからかいは紫に限った事でないから、被害に遭うばかりのアリスは偶にウンザリする。長く生きた妖怪は五分に一回話し相手をおちょくらなければ会話も出来ないのだろうか。自分もいつかこんな風になったらどうしようとアリスは不安になったが、思えば十年かそこらしか生きていない人間にもそういうところがあるのだから、これは単に性格に依るものだろうと自分を励ました。

そんなアリスの様子など欠片も興味無いのか、紫は紅茶を一口飲んで唇をしめらせると、「それじゃあ、こんな話はどうかしら」と勝手に話しだした。紫のことだから難しい話をすると思っていたのだが、意外にも出だしは「昔々あるところに」で始まった。「昔々あるところに、森には一人の魔法使いが住んでいました。ある日のことでございます。夜遅く、彼女の家の戸が叩かれて――――」しかもどうやら魔法使いの話のようだった。人形遣いである同時に魔法使いであるアリスを目の前にして魔法使いの昔話とは、この妖怪は何を考えているのだろう。馬鹿にされているのかしらとアリスは思ったが、文句を言うのは結末まで聞いてからでも遅くはないだろうと思い直し、取り敢えず自らも紅茶と菓子に手を付ける。ハーブの風味を味わいながら、ふとアリスは疑問に思う。




そういえば、私はどうしてこの妖怪が、あんまり怖くないのだろう。










【見知らぬ星座とあたたかい影】

瞼を開くと知らない星座が広がっていた。

体を動かそうとしても上手くいかず、ただ泥の中で四肢は藻掻いている。

星に手を伸ばすようにして。

今晩は月がないのだろうか。

辺りは本当に暗く、その代わりにどんな小さな星も見つけることが出来た。

その星空を、遮られる。

暗い影だ。

先程から幾つも獣の視線を感じていたから、ついにこの時がきたのだろうか。

藻掻く手足を止める。



影からは、ひどくあたたかい匂いがした。








【迷い人】


その家には食べ物なんかロクに無かったから、家中をひっくり返さなければならなかった。
ようやっと見つけたザラメを白湯に溶かし、少女にそっと手渡した。
熱いよ、気をつけて。そんなことも言ったような気がする。
小さな鼻を二三度鳴らした後、おっかなびっくりといった様子で少女は糖湯を飲み出した。
細い喉を何度も震わすのを見ていると、何とも言えない懐かしさが胸に広がっていく。
あたたかい……やがて湯飲み中身をすっかり飲み干した彼女はぽつり言った。

――――――――ありがとう。この味を、わたしはきっと生涯忘れないわ


[Alice]

パナマ帽を掴んだ腕がめいっぱいに振られる。
さよならさよなら。
ありがとうございました。

アリスはそれに小さく返して、すぐに家へと引き返した。中にはアリスの人形達がくるくると動き回っていて、それらを覗けばもう此処にはアリスしかいなかった。その事実に満足し、アリスはほうっと息を吐く。ようやっと気が楽になった。やはり、半日も他人といると疲れるものだとアリスは思った。

なら迷い人なんて放っておけばいいじゃないか。そう前に魔理沙に言われたが、それはいくらなんでもあんまりではないだろうか。どうして魔理沙は人間なのに、同じ人間にも親切ではないのだろう。(楽しめそうなことだけはお節介なほど介入してくるが)。つくづく不思議である。それに、アリスは弾幕を嗜まない人妖は嗜む連中と比べて不満を溜めやすいように感じているから、あまり恨みを買いたくないのだ。

そもそも人間を持てなせるほど食べ物があることがおかしいと言ったのはパチュリーだったろうか。特に話した記憶もないのに、アリスが未だに三食摂っていることを知っていたのは、例によって稗田の子の書いた本を読んだからだろうか。何のために妖怪になったのかわからないじゃないか、とでも言わんばかりに溜息を吐かれたのはそう遠くない過去のことだ。生粋の彼女からしてみると、アリスの生活はママゴトめいているのだろう。妖怪らしさが足りないと言われたのも一度や二度じゃないし、言ったのはパチュリーだけに限らない。違うんだけどなぁとアリスは思う。これは人間らしい行動なのではなく、自分らしい行動なのだ。アリス・マーガトロイドという存在がどんなものであるかまでは、誰が決めるわけでもないじゃない。そりゃ、最近はとんと人間を襲うどころか怖がらせてもいないけど-何だか偉そうかつ馬鹿にしたように言ってくる連中の顔を思い出し、アリスは口をとがらせた。

「別にいいじゃない。迷い人を助けたり、人形劇をしたって」

ねえ、と人形達に問いかける。

「暗い森の中を歩いてきて」

気遣うように寄ってきた人形の一体に手を伸ばし、アリスはその子の頭を撫でた。

「灯りとあたたかい食べ物があるって事は、とても素敵なことなのよ?」

うんうん、と人形達は頷き、アリスはそれに笑い返した。
















【眠れない夜の童話 その2】

見たいものがあるのと彼女は言ったはずだった。
それが何だったのか、結局は聞かず終いだったことを思い出す。
だからどうって、わけでもないけれど。

[紫]

そういえば、今日はやらないのかしら-魔法使いが子ども拾ったところまで話し終えた紫は、ふと今晩出会わせた時から疑問に思っていたことを口にする。「弾幕(や)らないわよ」とアリスは答えた。どうして?退屈していたなら、それが一番良い暇つぶしになるのに-と紫は重ねて訊いた。「気分じゃないもの」それだけで十分な答えだとばかりに素っ気ない口調だった。先程からアリスはこちらを見ていない。自分の意見が通ると信じて疑わないようだった。少女らしい無邪気な傲慢さに紫は小さく笑いを零す。アリスの中では紫がやりたがるというパターンは想定されていないらしい。

紫の作った見えないテーブルにバスケットを置いて、両足を自由にした彼女は器用なことに枝の上で片膝を抱えていた。紫と違って力場を作っているわけではないから、アリスは純粋なバランス感覚だけでそんな不安定な姿勢を取っていることになる。勿論紫だってそれぐらいのことは容易いが、力場を作る方がさらに容易いので力を使う。この魔法使いには未だ前者の方が楽と見え、彼女はいつもより少し崩した格好で紫の話に耳を傾けていた。幹に背を預け、安定感を増したアリスは「それで」と紫に水を向けた。「それで、その魔法使いはどうしたの」話の再開をせがまれ、紫は思考を今から過去へと戻す。別に大した話ではない。だから、そう遠くない未来に、すっかり忘れ去ってしまう昔話だ。昔と言っても、紫にとってみればつい昨日のような昔だが。


亡骸に縋り泣く彼女の嗚咽を、
その震える指が本を捲るのを、
拙く呪いを読み上げた声を、

紫は、はっきりと覚えている。










【食】

適正があるよ、とその人は言った。
キミははきっと向いているんだ、と。
だってキミはココにいても何ともなくて、おまけにコレが読めるんだもの。
森に住むその人は、そう言って私にグリモアをくれた。

――――――――それを読み終えたら、今度はあなた専用のヤツを用意してあげる

その人と一緒になれるのが嬉しくて、私は大きく頷いたのだ。



【暗転】



人に良しと書いて、食という-だからたくさん食べなさい、というのが彼女の口癖だった。

これがきっと一番言われた言葉で、二番目が「身を美しくと書いて躾けという」だ。

もっとも、彼女の言うそれは、私の知らない異国の文字の話で、当時の私はよくわかっていなかったのだが。

けれど、その森に人の食べ物などほとんどないことを、私は知っていたのだ。

それで私は、空を飛ぶより早く、食を捨てることにした。

――――――――これで

私は嬉しくて言った。

――――――――これで、おんなじだね

――――――――うん

私の話を聞いてあの人は、さびしく笑ってそう言った。


――――――――おんなじだ







息の通るところ全てが軋んでいた。

ぐるぐるなく。
ぐるぐる泣く。
ぐるぐる鳴く
ぐるぐる啼く

喉がひりひりして、視界は真っ暗だった。











【眠れない夜の童話 その3】

――――――――めでたし、めでたし

[Alice]

「そうして二人はしばらくの間、何事もなく穏やかに暮らしていました」紫がそこまで話し、一息入れたのを見計らって、アリスはねぇと声をかける。「何かしら?」紫はもう残り少ない茶菓子を食べ、紅茶で喉を潤している。クッキーを掴む指が布で覆われているのを見て、アリスは顔を顰める。こういう時は手袋を外せばいいのにと思いながら、その話って、ハッピーエンドなの?ときいた。紫はぱんぱんと手を払う。「先に結末を言ったら面白く無いじゃない」もっともだ。しかし、序盤からここまでが平和ということは、これから波瀾万丈な人生が待っているか、唐突に悲劇的なクライマックスが起きるかのどちらかと相場が決まっている。あんまり悲劇って好きじゃないんだけどと紫を見ると、スキマ妖怪は何とも言えない頬笑みを浮かべていた。嫌な笑いだなぁとアリスは思った。

月が見えない今夜は時間の経過がわかりづらい。
星を見ようにもここは魔法の森だ。
頭上に広がる樹冠の所為で、星座一つとて満足に見えない。
だからアリスは紫を視た。

朝は、まだ来ない。











【隠れ里】

こんな話がある。

人と人あらざる者の仲が必ずしも良好でない場合、人あらざる者は、人に隠れて里を作るというのだ。これを隠れ里という。こういった手段を執るのは、有る程度頭の良い連中だ。勝手気まますぎる種族にも真似できない。人から隠れなきゃいけないから、すぐ見つかるような、力の弱すぎるヤツも駄目。そういった種族達の隠れ里に人間が行く場合、それは大層酷い目に遭うか、逆になにか良いことがあるか、あるいは彼らの仲間に入れられてしまうこともある。いずれにせよ、人が隠れ里を発見したら、ただでは済まない。ただでは済まない。それは、見つけられる方の話でもあるのだ。



ごめんねとその人は言った。

「ごめんね。ちょっといろんな人と喧嘩しちゃったの。だから、私はもう行かなきゃいけないわ」

私は泣きそうだった。そんな私を見下ろして、彼女はそうだと手を打った。

しばらく、部屋をごそごそとやった後、人形を一つ抱えて戻ってきた。

「あげるわ。この子とお留守番していてね。きっとすぐに戻ってくるから」

謝りに行くの?-私は訊いた。彼女はにっこり笑って、それには答えなかった。











【眠れない夜の童話 その4】

真っ暗闇の中で、白い手袋は浮き上がるようだった。

[Alice]

「そう言えば、貴女の所がやっていた観光ツアー」唐突に紫は、アリスの出身の話に水を向けた。今はお伽噺を中断している。おそらく、これが最後の休憩になるだろう。予想通り魔法使いと子どもは大変なことになってしまったので、アリスはちょっと不機嫌そうに、それがなに-と紫を見た。「あれって、幻想郷以外にも行くのかしら」アリスはちょっと考え、行くと思う、多分-自信なさげに言う。アリスが魔界の他にはここ幻想郷だけしか行ったことがないが、知り合いの何人かがそんな話をしていた気がする。そもそも、確か私の親は外から来た魔法使いだしね-アリスは記憶を検めつつ首肯する。「外の魔法使い。貴女の母方がそうだったかしら」知っているの?-あんまりにも意外だったので、アリスはちょっと驚いた。すると紫は、あらと面白がるように笑った。「貴女が自分で言ったんじゃない」私が?-アリスは首を傾げる。「そう貴女が」忘れちゃったの?若いのに大変ねぇ。嗤われる。いつもの含んだ笑いを、さらに意地悪くしたやつだった。こんなんだから信用されないのだ。この笑い方を直せば、もうちょっとくらいは印象が良くなるのになぁ、とアリスは思ったけれど、それを告げる代わりに、そんなことより、話の続きは?-とお伽噺の再開をせがんだ。終わらなければ帰れない気がしたのだ。紫がすっかり話し終えるまでは、朝が来るのも遠慮してしまうのではないか。そんな感覚に囚われていたのである。
紫は先程までの笑いを消して、また声を作り直すと、それではと話始めた。「魔法使いに置いていかれた子どもは、仕方がないので旅に出ることにしました。そうすれば、いつかは自分を置いて出かけてしまった魔法使いに、再び会えるかもしれません。彼女はまず最初に――」

話が終わるまで、夜は開けないような?

そんなこと、あるわけなんて、ないのだけれど。

アリスは目を閉じる。

朝は、もうすぐだろうか。










【夜笛】

けれどもほんとうのさいわいは一体何だろう

                            『銀河鉄道の夜』より



こんな話がある。

夜に一人眠りかけていると、不意にどこからか汽笛のような音が聞こえてくる。こんな所に線路も港もないのに妙なものだ。不審に思って家から出ると、何だか大勢の人の声まで聞こえてくる。もちろん、祭りがあるなんて話もない。ますますどうも妙だ、となる。本当ならここで止しておいた方がいい。こういう日もあるのだと納得し、あるいは納得を諦めて、さっさと家に戻り、布団を被って寝てしまうに限る。けれどどういうわけか、ここで引き下がらない質の人間に限って、この汽笛を聞いてしまう。しばらく音を頼りに足を進めると、そのうちに集団に出くわす。彼らはみな、互いに親しげに話し、何かを待っているらしい。いったい何を待っているんだろう。聞いてみたいけれど、そうすると自分がこの集まりに関係のない人物だと知られてしまう。だからじっと周りの会話に耳を傾けている。

やがて痺れをすっかり切らした頃、さぁーとみんなの話し声が消えていき、喧噪が静まる。そこへ、最初に聞いた汽笛を鳴らしながら、どこからともなく汽車が走ってくる。これは場合によっては船かもしれないし、そもそも聞こえてくるのは汽笛じゃなくてラッパかもしれない。とにかく夜に聞こえてくる音にはご用心。さて、この乗り物に乗ったらどうなるか。大抵は乗車を断られる。これは安心できる。翌日もちゃんと自室のベットで朝を迎えることができるだろう。けれどもし乗ってしまったら、その人は戻ってこられないかもしれない。


一種の神隠しである。








Ⅹ 

【魔界行き、鈍行】

冷たくなった人を抱きかかえると、どういうわけか却って体中が熱くなった。

息の通るところ全てが軋んでいる。

ぐるぐるなく。
ぐるぐる泣く。
ぐるぐる鳴く
ぐるぐる啼く

喉がひりひりして、視界は真っ暗だった。

彼女の部屋から持ち出した本を手に取る。

題名の無い、でもきっと私の為の魔導書。

指が震えて、頁をうまく捲れない。

それでも。

ひどく、たどたどしい声で、私は呪いを吐いたんだ。

消えてしまえばいいと、思ったから。




後のことはよく覚えていない。




【暗転】




気がつけば辺りは静かになっていた。

瞼を開くと知らない星座が広がっていた。

体を動かそうとしても上手くいかず、ただ泥の中で四肢は藻掻いている。

星に手を伸ばすようにして。

今晩は月がないのだろうか。

辺りは本当に暗く、その代わりにどんな小さな星も見つけることが出来た。

その星空を、遮られる。

暗い影だ。

先程から幾つも獣の視線を感じていたから、ついにこの時がきたのだろうか。

藻掻く手足を止める。



影からは、ひどくあたたかい匂いがした。




同じだ。

あの人と、同じだ。

ああそうか、あの人は。

きっと、ここから来たんだ


わたしは、さびしく笑って言った。


――――――――おんなじだ








【エピローグ】

手袋をはめてみる。
案の定、私の手には大きかった。

[Alice]

「そうして、遂に安住の地を見つけた子どもは、その時には随分と大きくなっていました。子どもはもはや子どもではなく、一人の大人でした。そして、立派な魔法使いでもありました。彼女はそこで家庭を持ち、やがて彼女の子どもも魔法使いになりました。旅の間、ついに自分を育ててくれた魔法使いには会えませんでしたが、彼女は自分がかつての師と同じ立場になることにより、心の中で再会を果たしたのです」ここまで一息で話し、紫は言葉を切った。それでお終い?-しばらく待ったが、紫が言葉を続ける気配を感じないのでアリスはきいた。「そう。私が話すことはお終いです」変な言い方だった。これはめでたしめでたしなのかしら、とアリスは疑問に思った。そう言うと、「それは貴女次第でどうとも変わるわねぇ」と濁される。すっきりしない。その返答は不満ですという気持ちが顔に出たのか、紫は薄く笑って、「それなら、めでたしめでたしは止めて、どっとはらいにすればいいのよ」と、とんちんかんな事を付け足してきた。「さて。物語はともかく、妖怪の時間は終わりよ。もうすぐ朝が来るわ」何にせよ、永い夜だった。意外と紫が話し上手だったこともあり、子ども向けのような話であったが真剣に聞いてしまった。これ以上は何を話しても仕方ない。どこか釈然としないまま、アリスはバスケットにティーセットを仕舞った。「それではね、魔法使い」紫はちょっと眠たげに欠伸して言った。あ、ちょっと待って-今にもスキマに落っこちて消えそうな姿に声をかける。そうしてバスケットから僅かに残ったクッキーを入れた紙包みを取り出し、はい-と紫に差し出した。


「式の式にお土産。持って行って。これだけあってもしょうがないもの」
「そう?」

じゃあいただくわね、と紫が紙包みを受け取る。その動作を目で追っていたアリスは、ふと紫の手を見て顔を顰めた。「なに?」と紫が聞く。

「手袋」
「これ?」
「そう。やっぱり汚れてる。これ油よ。シミになっても知らないわよ?」

アリスは汚れを指でなぞる。

「次のときは、横着せずに外すことね」

紫はそんなアリスを少し意外そうな瞳で見てから、不意に一つ綺麗に笑った。いつもの含んだ笑いとは違う、アリスが初めて見る笑い方だった。なんと言えばいいのだろう。ひどく普通っぽい笑い。勿論、元がいいから、普通っぽいと言っても、人よりずっと花がある笑いなのだが。

「え?」

声が零れる。
その笑顔にアリスがびっくりしている間に、紫は姿を消していた。



アリスが掴んでいた右手の手袋だけを置いて、八雲紫は夢のように消えていた。




そうして、永い夜が明けたのだった。










                                                                                      .
【魔界にて】

虫を捨てた初めての日、夜は存外明るいのだと知った。

[Alice]

今日こそはと思っていた。
今日こそは、完全な魔法使いになるのだ、と。
そんな私に、その人は声をかけてきた。

「こんばんは」とその女の人は言った。
「こんばんは。貴女はだあれ」と私は返した。

「私はね、貴女のお母さんの、お母さんの知り合い」
「お祖母様ってこと?でも、うちにお祖母様はいないわ」
「そうね。もうとっくに亡くなられたはずだから」

その人はちょっと目を伏せて、

「ねえ、貴女は魔法使いになるの?」
「もうなっているわ」
「そうではなくて、完全な魔法使いになるのかしら」
「もちろん。だって見たいものがあるんだもの」
「見たいもの?何かしら」
「ひみつ」

私は少し得意げに言った。
彼女はちょっと笑って、


「そうね。好きにしたらいいと思うわ、魔法使い」


そうして、私の頭を撫でた。






だから私はそれを捨てて、変わりに夜に拾われたんだ。







――――――●―――――――●――――――●――――――●―――――――

「ねむれないの。お話して」「じゃあ、あなたのお母様の話をしてあげる」

というだけの話。

こちら、歪な夜の星空観察倶楽部です

今更ながらアリスの「……お外の人形が欲しいなぁ」の台詞が異様に可愛く思える今日この頃、皆様はいかにお過ごしでしょうか。
ついに師走となりましたね。
なにかと忙しい時期ですが、今年中にもう一本くらい何か書けたらいいなと思います。


追記。

誤字脱字その他修正しました。
讃辞には謝意を、コメントには返信を。

>いつもながら引き込まれる様な物語ですね。
>紫にお話をねだるアリス、良いですね~
「……お外の人形が欲しいなぁ」が可愛いなと思っていたらこんな話が出来ました。
紫は親しい人妖に「退屈だからどうにかして」みたいなこと言われてましたから、案外サービス精神があるのかもしれませんね。
アリスと紫は、もう百年後ぐらいにはそこそこ“仲良く”話せている気がします。
今は紫がいろいろと譲歩してあげているんだと思います。

>これは前シリーズとは違う世界におけるアリス(死の少女)の物語なのでしょうか。
>それともアリスの「母親」の物語なのでしょうか。
>それともそれらが混在しているのでしょうか。
>また、「母親」とは魔界と人間、どちらの母親なのでしょうか。
>まだまだよく解っていないのでもう何周かしてきますね。
そうです。前シリーズとは、アリスの設定からして違います。
いろんな読み方が出来ると思うのですが、この話は以下のキーワードが重要です。
「元人間説」、「魔界出身」、「人間に親切な理由」、「名前入り魔導書」、「三食睡眠の理由」、「幻視力の高い目」、「若い妖怪」
これは全てアリスに関してのキーですが、これが成立するなら、それがこの物語の真実です。
なお、紫のお伽噺はあくまでお伽噺なので、過去のことをそのまま話しているわけではありません。悪しからず。

>外の人形・・・フィギュa(ry
>前後関係がうまく理解できませんでしたが、
>この静かな雰囲気がたまらなく好きです。
アリスは人形の種類には拘りがなさそうなので、貰ったら喜ぶのではないでしょうか。
この素材は何?みたいなことになって、はしゃぐかもしれませんね。

>作品集にあなたの名前を見つけてガチで「あっ」といってしまった今日この頃・・・
>いつもより短めで、しかしいつものテイスト
現在、一話完結物の模索をしております。
次はなんの意味もない話を一つ書けたらいいなと思っているのですが……

>ついつい世話を焼いてしまうあたりがアリスと紫は似てるのかも、と思ったり。
紫はけっこう面倒見良いですよね。胡散臭いのでそうは見えづらいのですが。
個人的に、アリスが割と親切なのは、良い子というよりは他の幻想郷の人妖とは勝手さの基準が違うからなのだと思っています。

>前の、幽香との絡みのときにも思いましたが、年長(?)の妖怪に相対して、
>アリスはひどく幼い印象を受けますね。本当に子どものよう。ああ、可愛らしい(ここに帰結
>可愛らしくも独特の雰囲気を楽しませていただきました、ありがとうございました。
本当にアリスは可愛いですね。というより、幻想郷のキャラはみんな可愛いと思います。
アリスは誰にでも同じ態度ってタイプではないと思っているので、対幽香紫時には年若く未熟な妖怪といった体で書いています。
本当なら幽香と紫も可愛く書けたらいいのですが、アリス視点が多いので、難しいです。
ですが、いつかみんな可愛いと言って貰えるようがんばりと思います。

>話の内容自体はすんなりと頭に入ってくるけど
>背景・設定でむずかしいというか、アリスの祖母やその師匠の存在には???となってしまう
>作中に出てこない設定がたくさんあるのかな
>それでもあいかわらず、キャラクターと会話が魅力的でそれらしい物語だ……
>新作期待してます
今回、設定はあんまり作ってないですね。
他の方のコメントにもしたのですが、
『いろんな読み方が出来ると思うのですが、この話は以下のキーワードが重要です。
 「元人間説」、「魔界出身」、「人間に親切な理由」、「名前入り魔導書」、「三食睡眠の理由」、「幻視力の高い目」、「若い妖怪」
 これは全てアリスに関してのキーですが、これが成立するなら、それがこの物語の真実です。
 なお、紫のお伽噺はあくまでお伽噺なので、過去のことをそのまま話しているわけではありません。悪しからず』
次作は、大晦のちょっと前くらいに出せたらと考えています。

>いつも貴方様の作品を拝読する度に頭がショート寸前です。
>でも見ちゃう、悔しいっ!でもっ!b(ry
>もうゆかりんがアリっさんの母様で良い様な気が致しました。
紫は幻想郷を愛しているそうなので、幻想郷全ての人妖が彼女の子どもでいいんじゃないでしょうか。
紫より大きそうな子がごろごろいますけどね。
しかし、そうすると他はともかく神綺様の立場が危ういような。


>紫さん、うーなんてこったい! な昔話でした。
>歪殿が話し上手だから、また夜更かししてしまったではないですか(笑)
>今回は敢えて改行しない技法なんでしょうが、文字が詰まっているのにスラスラ読めてしまうのが不思議です。さすがです。
>→唐突にJ.F.セバスチャンの部屋を思い出しました。
お褒めに与り恐縮です。
夜更かしのしすぎにはご注意を。ほどほどに寝て、そして朝に起きてください。
夜更かしとは朝きちんと起きるから夜更かしなのであって、午前中に起きられなかったら、それは昼夜逆転であると思うのです。思うのです。
あと、アリスの家はさすがにあんな暗い雰囲気じゃないと思いたいですが、里の人間にとっては不気味なんですよね……ううむ。
ところであまり関係ありませんが、今作は当初、レイ・ブラッドベリの『霧笛』のエピソードも入れる予定でした。


>誰も書かないんだろうなぁ、と思ったから自分が書いてみる。
>雰囲気は良いんだけど、純粋に読みにくい。
>時空列をない混ぜにして書く手法だとわかってるんだけど、それを考慮しても読みにくい。
>穿った見方をすれば、練っていない設定や書ききれない(書くのが面倒な)部分を
>曖昧にしてごまかしてるんじゃないかと思えるぐらいに。
>ついて来れる人だけが読めればいい、てなスタンスかもしれないけど、
>一応作者氏の作品を初めて読んだ者の感想だと言う事で。
初めまして。丁寧な意見ありがとうございます。
読みづらいとのご指摘は、ごもっともだと思います(この読みづらいは文章そのものではないと判断しました。もしそうだという場合は次作から気をつけますが)。
ですが、ずっとこの書き方(主に視点が複数。時系列がバラバラ)なので、これはもう合うか合わないかで読むのを決めていただけたら思います。
といっても、この先もまったくそれしか書かないという決まりを作っているわけでもないのですが。
あと、質問されたわけではないかもしれませんが一応答えされて頂くと、曖昧にしているのは設定が無かったり、書くのが面倒だからというわけではないです。
むしろ他作はそれが過剰なので、今作はそこはあまり書かないという方針にしたのですが、それが却って良くなかったのでしょう。
それでは、貴重な感想をありがとうございました。


それにしても学研といい、UFOといい、仕分け予算といい、ここ最近の傾向は科学に厳しいですね。
今なら早苗の言葉にも同意できる気がします。
歪な夜の星空観察倶楽部
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コメント



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4.100無休削除
いつもながら引き込まれる様な物語ですね。

紫にお話をねだるアリス、良いですね~
5.100名前が無い程度の能力削除
これは前シリーズとは違う世界におけるアリス(死の少女)の物語なのでしょうか。
それともアリスの「母親」の物語なのでしょうか。
それともそれらが混在しているのでしょうか。
また、「母親」とは魔界と人間、どちらの母親なのでしょうか。
まだまだよく解っていないのでもう何周かしてきますね。
7.90名前が無い程度の能力削除
外の人形・・・フィギュa(ry
前後関係がうまく理解できませんでしたが、
この静かな雰囲気がたまらなく好きです。
17.90図書屋he-suke削除
作品集にあなたの名前を見つけてガチで「あっ」といってしまった今日この頃・・・
いつもより短めで、しかしいつものテイスト
20.100名前が無い程度の能力削除
ついつい世話を焼いてしまうあたりがアリスと紫は似てるのかも、と思ったり。
22.100名前が無い程度の能力削除
前の、幽香との絡みのときにも思いましたが、年長(?)の妖怪に相対して、
アリスはひどく幼い印象を受けますね。本当に子どものよう。ああ、可愛らしい(ここに帰結
可愛らしくも独特の雰囲気を楽しませていただきました、ありがとうございました。
27.100名前が無い程度の能力削除
話の内容自体はすんなりと頭に入ってくるけど
背景・設定でむずかしいというか、アリスの祖母やその師匠の存在には???となってしまう
作中に出てこない設定がたくさんあるのかな
それでもあいかわらず、キャラクターと会話が魅力的でそれらしい物語だ……
新作期待してます
28.100謳魚削除
いつも貴方様の作品を拝読する度に頭がショート寸前です。

でも見ちゃう、悔しいっ!でもっ!b(ry

もうゆかりんがアリっさんの母様で良い様な気が致しました。
32.無評価名前が無い程度の能力削除
紫さん、うーなんてこったい! な昔話でした。
歪殿が話し上手だから、また夜更かししてしまったではないですか(笑)
今回は敢えて改行しない技法なんでしょうが、文字が詰まっているのにスラスラ読めてしまうのが不思議です。さすがです。

>アリスはそれに小さく返して、すぐに家へと引き返した。中にはアリスの人形達がくるくると動き回っていて、それらを覗けばもう此処にはアリスしかいなかった。
→唐突にJ.F.セバスチャンの部屋を思い出しました。

脱字かもしれない報告です。プラスやや違和感を感じた部分を。

①空気が歪んだ感覚に体か応えて
②それにしても散歩っていたって、
③パナマ帽を掴んだ腕がめいいっぱいに振られる。
④唐突に悲劇的なクライマックスが起きるかのどちらと相場が決まっている。
33.100名前が無い程度の能力削除
↑ご免なさい。点数入れ忘れました。
39.50名前が無い程度の能力削除
誰も書かないんだろうなぁ、と思ったから自分が書いてみる。
雰囲気は良いんだけど、純粋に読みにくい。
時空列をない混ぜにして書く手法だとわかってるんだけど、それを考慮しても読みにくい。
穿った見方をすれば、練っていない設定や書ききれない(書くのが面倒な)部分を
曖昧にしてごまかしてるんじゃないかと思えるぐらいに。
ついて来れる人だけが読めればいい、てなスタンスかもしれないけど、
一応作者氏の作品を初めて読んだ者の感想だと言う事で。
48.80名前が無い程度の能力削除
わかってはいると思いますが、プロでもなく要望に応えなくてはいけない決まりがあるわけでもないクーリエですから、書きたいように書ければいいと思います。きっとわかりやすい文章のほうが評価(点数)は高くなりやすいと思いますが、書き手の表現方法とか色々な個性を受け入れられるほうが好む人もいるでしょう。作者さんがどちらの人間かはわかりませんが…。
あっ、自分はこういったのは好きですよ。ここまで3日で読みましたから。
49.80名前が無い程度の能力削除
ああ、アリスだなあと感じました。