Coolier - 新生・東方創想話

ジョーク

2009/12/03 22:59:42
最終更新
サイズ
7.48KB
ページ数
1
閲覧数
507
評価数
8/38
POINT
2060
Rate
10.69

分類タグ


 少し肌寒い冬の昼。白蓮は自室で文々゜新聞を読んでいた。
 騒がしい鴉天狗の押しに負けて契約してしまったのだが、これが中々面白い。
 内容の信憑性はともかく、人間と妖怪が一緒に騒ぐ内容の記事は見ていて飽きることが無かった。
 そんな時、部屋の入り口に誰かの気配を感じたので視線を向ける。そこには、最近になって命蓮寺で暮らすことになったぬえの姿があった。
 部屋の入り口に佇む、ぬえの泣き腫らしたような真っ赤な目を見た白蓮は胸を痛める。
 この様なことは以前もあり、そのとき白蓮は、ぬえが寺の皆と仲良く出来ていないのかと心配になったので、ダンボールに隠れて一日見張ってみたことがあった。
 しかし心配とは裏腹に、少し悪戯やちょっかいはかけるものの、寺の皆のお手伝いをしたり一緒に遊んでいたりと、とても仲良くしていた。
 ダンボールの隠密性に関心しながらも皆と仲良く出来ていることに安心したものだ。
 だが、ぬえが時々泣いているらしいことは変わらず、無理に原因を聞き出すわけにもいかない白蓮は心配と不安が晴れない日々が続いていた。
 そんな心境を顔に出さないように白蓮は「どうしたの?」と優しく声をかける。するとぬえは決まって無言のまま白蓮に近づき、まるで小さい子供が甘えるみたいに、白蓮の胸に頭を寄せる。そんなぬえを白蓮は黙って優しく撫でてあげるのだった。
 こうして頭を撫でていると、初めて会った時の事を思い出す。
 ぬえは、白蓮の復活を妨害していた事謝りに来たのだが、小さくなって震えるぬえを見た時、これがあの正体不明と恐れられていた鵺の正体だとはとても信じられなかった。
 許したときの信じられないといった表情はとても印象に残っている。
 それからぬえは命蓮寺で暮らすことになったのだが、白蓮はこの天邪鬼で甘えん坊な妖怪がとても愛おしかった。
 今まで一人だったためか感情表現が少々下手なところがあり、最初は寺の皆と衝突することも珍しいことではなかった。しかし、ストレートに甘えてくるぬえが皆に受け入れられるのに時間はかからず、すぐに家族の一員となった。
 だが、時々ぬえは一人寂しそうな表情を浮かべたり、泣たりしているらしいことがたびたびある。
 白蓮から見たぬえは、どこか一歩距離を取っているようであり、家族の団欒を外から眺めて羨ましそうにしている感じがするのだ。
 ぬえの何がそうさせているのかは分からないが、ぬえが苦しんでいると思うと、居ても立ってもいられない白蓮であった。

 何かいいきっかけは無いものか。

 そう思い新聞に目をやると、最近人里で評判になっている道化師の記事が目に入る。
 その記事を見て白蓮はまだ、ぬえと一緒にお出かけしたことが事が無いのを思い出す。
 これはちょうどいい機会だと思い、白蓮はぬえに一緒に出かけを提案してみることにした。

 「ねえ、ぬえ。この道化師すごくおもしろいって評判みたいですよ」
 「ふうん」
 「そうだ。少し、二人で人里までお出かけしてみませんか? 運がよければ道化師に会えるかもしれせんよ」
 「やだ。今日は聖とここに居る」

 自分と一緒に居たいと言われたことは嬉しかったが、お出かけの案が一蹴されたのは残念だった。
 しかし、ここで諦めるのは早すぎると思い直し、もう少し説得してみることにする。

 「でも、私はこの道化師の芸を見てみたいですよ」
 「私は見たくない」
 「それに外はいい天気で散歩したら気持ち良さそうだな~」
 「寒いからヤダ」
 「でもね」
 「む~!」

 あの手この手で粘ってみた白蓮だったが、ぬえが胸に顔を埋めて断固拒否の体制になったため、諦めるしかなかった。

 「分かりました。降参です。今日はここでのんびりしましょうね」
 「ん」

 返事はそっけなかったが、埋めた顔をぐりぐり押し付けて甘える様子からどうやら自分の意見が通ったことに満足したようだった。
 少しだけ、お出かけが楽しみだった白蓮は心の中でため息をつき、その寂しさを紛らわせるようにぬえの黒くて柔らかい髪を撫でる。
 しばらくそうしてたが、ふと、ぬえが顔を白蓮に向けこう尋ねてきた。

 「ねえ、聖。もし今の私は正体を隠していて、突然本性を現して襲い掛かったら聖はどうする?」
 「あら? ぬえったら、何かの冗談かしら?」
 「・・・・・・」
 白蓮の問いかけにも、ぬえは無表情で黙ったままだ。
 少し沈黙が続いたが、白蓮は微笑みを浮かべ、ぬえの顔を優しく撫でながら囁いた。

 「ぬえになら、食べられてもいいですよ。私はぬえがどんなことをしてもずっと大好きですから」
 
 その言葉を聞いたぬえは顔を真っ赤にすると、白蓮から離れてそっぱを向き一言。

 「もう、聖なんか嫌い!」

 その瞬間、白蓮にはガ~ンという音が頭に響いた気がして、世界が崩壊する錯覚に襲われた。
 よよよとうなだれる白蓮を、ぬえはちらっと見た後

 「嘘、大好き」

 と訂正した。
 大好き。その一言で白蓮は、生きていて本当に良かった! 南無三!! と大感激。とはいえ、正直に喜ぶのもちょっと癪だったので表面上は怒ることにした。

 「もう、ぬえったら酷いです。笑えないジョークですよ」
 「ごめんなさい。でも、聖がすごく恥ずかしいこと言うんだもん」
 「本当のことを言っただけです」

 白蓮がプンプンしていると、冬の寒さで冷たくなった白蓮の白い手を、ぬえは両手で優しく包み込んだ。
 びっくりする白蓮の目の前にぬえの顔が近づいて来て、嬉しいやら恥ずかしいやらで真っ赤になった白蓮に、ぬえは静かに語りかけた。

 「聖、もう一つ下らないジョークを聞いて欲しい。あるところに狼がいた。その狼は羊と仲良くなりたいと思っていた。でも、狼である自分が、羊の群れに近づいたら逃げられるのは目に見えている。そこで、狼は変装して羊の群れに混ざってみたのだ。作戦は大成功。変装した狼はたくさん羊の友達が出来て、幸せな毎日を過ごした。でも、ある日のこと、狼は変装した自分じゃなくて狼としての自分で羊と友達になって欲しくなった。そこで狼は思い切って正体を明かしてみた。結果、皆逃げ出して狼は一人ぼっちになりましたとさ」

 そこまで話し終えると、ぬえは目を閉じ一息つく。
 白蓮にはそのぬえの姿が、最初に会った時の震えている姿と重なって見えた。

 「ねえ、聖。聖はこの狼をどう思う? 正体を現さなければずっと幸せだったのかもしれないのに、自分から幸せをぶち壊したなんて。馬鹿だと笑う?」

 その問いに白蓮はしばらく考え、そして答えた。

 「正直に言います。私にはその狼が愚かなのかどうかは判断できません。ですが、本当の自分を愛してもらいたいという心は理解できるような気がします・・・ごめんなさい、今の私にはこれくらいのことしか答えられません」

 ぬえは目を閉じたまま白蓮の言葉を聞いていたが、目を開けるとニッコリ微笑み白蓮の胸元に飛び込んだ。
 反射的に抱きかかえる白蓮を、ぬえは強めに抱き返すとその頬に軽くキスをする。
 狼狽する白蓮を見て、ぬえは意地の悪い笑みを浮かべた。

 「聖ったら、何をそんなに真面目になっているの? こんなのただのジョークなんだから」

 呆然とする白蓮からぬえは身を離すと、部屋の入り口へ歩き出す。そして部屋を出る前に白蓮の方を向くと少し恥ずかしそうに言った。

 「今度、一緒にお出かけしてあげてもいいよ」

 それを聞いた白蓮は一瞬ポカーンとしたが、すぐに嬉しそうな顔になり

 「ええ、楽しみにしていますよ」

 と答えた。
 ぬえは微笑むとそのまま部屋の外へと消えていった。



 ぬえが居なくなった後、白蓮はやるせない気持ちになっていた。
 それは、ぬえが部屋を出る直前に涙を流していたのが見えてしまったから。
 いったい何がぬえに涙を流させているのだろうか? それが分からない自分に白蓮は苛立ちを感じる。
 白蓮はぬえが愛おしい。それこそ我が子の様に、あるいはそれ以上に。ぬえになら本当に食べられてもいいと思っている程に。
 天邪鬼なぬえ、甘えん坊なぬえ、我侭なぬえ、泣き虫なぬえ。どんなぬえも愛おしい。
 ぬえには、心から笑って欲しい、幸せになって欲しい。そんな想いを込めて白蓮は

 「愛していますよ。ぬえ」

 誰も居ない空間で一人呟くのだった。
 










 タグと内容が合っていないと思った奴。それは正しい。
 あとがきでタグの条件が全てそろうが、この物語の結末に満足したならこのまま戻るかコメントすることを薦める。
 何故かって? 
 この先には下らない話しかないからさ。
 俺が何者か? 
 そんなのはどうでもいいことだ。毛玉でも幽霊でもお前が好きに想像してくれ。
 さあ、お前はどうするんだ?








 
 このまま、あとがきへ行くのか。それなら俺はもう止めはしない。
 まあ、大げさに言ってみたところで、この先にあるのが下らない話なのは変わらないがな。
 補足しておくと、あとがきが本編でもある。
 ああ、先に言っておくがグロとかそういう類の話ではないからそこは安心して欲しい。
 さて、俺の役目も済んだことだしもう何も言うまい。
 じゃぁな。
 日は照っているのに肌から体温が奪われるのを実感できるそんな日。八意永琳は地上より更に寒い冬の空を飛んでいた。
 本業は薬師なのだが医者としても活動している永琳は、今回はとある依頼主から話しを聞いてほしいと手紙で頼まれたのだ。
 その手紙に依頼主の名前は書かれておらず悪戯の可能性もあったが、書かれた文字に尋常じゃない何かを感じた永琳は手紙に書かれた場所へ行くことにしたのだった。

 指定された場所は、とある建物の倉庫らしき所。
 その倉庫の戸は少しだけ開けられており、中は真っ暗で何も見えないが何者かの気配があった。

 「手紙を出したのはあなたかしら?」

 永琳が暗闇に向かって声をかけると、何かが動く気配とともに少女の声で返事が返ってきた。

 「先生来てくださったのですね、ありがとうございます」

 その声はどこか震えていて、今まで泣いていた様な声である。

 「それでは先生、外は寒いので中へ入ってください。ただ、お願いです。その入り口付近の椅子に座ったらその場でお話を聞いてください。それと戸は閉めてもらえると助かります」

 恐らくは顔を見られたくないのだろう。
 カウンセリングを受ける患者にはよくあることだし、何より本当に外は寒かったので永琳は素直に言うことを聞いた。
 倉庫の入り口近くに用意された椅子に座り戸を閉めると、倉庫の中は完全な暗闇に包まれる。目が慣れるまでは完全に視界が塞がれることに若干の警戒を抱いたが、暗闇のから聞こえる依頼主の「不便でしょうが我慢してください、危険は絶対ありませんから」との言葉に、ある程度は警戒を解いた。
 準備が整った所で永琳はさっそく本題に入ることにした。
 相手に安心感を与える様、できるだけ明るく穏やかに話しかける。

 「さっそくだけど何か話してくれる? どんなことでもいいわよ」

 問いかけてから少し間があいたが、姿の見えぬ依頼主は少しずつ話初めた。

 「私はずっと一人で生きていたのですが、最近になって仲間、いえ、家族と大切な人が出来ました。皆優しくて、私が今まで満たされたことの無かった何かが、満たされたような気がしたんです」

 依頼主は家族の事を思い出しているのか、沈黙する。
 その沈黙はしばらく続いた。やがて、慌てる気配と「失礼しました」との謝罪と共に話は再開された。

 「自分で言っていて恥ずかしいのですが、これが愛かなって思うんです。大切な場所が出来て、大切な家族が出来て私はとっても嬉しかった」
 「ええ、愛は素晴らしい。その通りよ。私も色々あったけど、今では愛する”家族”と一緒に幸せに暮らしているわ」

 永琳の脳裏には輝夜や、鈴仙、てゐを始め、永遠亭の面々の笑顔が浮かぶ。
 無意識に楽しい思い出に浸っていた永琳を現実に引き戻したのは、声を殺した嗚咽であった。
 驚いた永琳が声をかけると嗚咽に混じって返事が返ってきた。
 
 「愛を知って幸せなはずなのに、何故か私は孤独を感じて、悲しいんです。何で、何でしょうか・・・この世が残酷に思えます」

 そこまで言うと依頼主は堪えきれなくなったのか、声をあげて泣き始めてしまった。
 依頼主が予想以上に苦しんでいる事を理解した永琳は、何かおもしろそうなことに意識を切り替えるのがいいと判断し、最近評判になっている人里の道化師を思い出した。

 「悲しい時は、何も考えずに笑ってみるのも良いかもしれないわ。最近、人里で話題になっている道化師は知っているかしら? 私も見たけれど、あの素晴らしい芸を見れば楽しくなって笑えること間違いないわ。姫様は、顔が真っ赤になるまで笑いっぱなしでもう大変だったんだから」

しかし、泣き声は収まるどころか号泣になった。

 「先生、その道化師は私です!!」
 「・・・何ですって?」

 「その道化師は私の”仮の姿”の”一つ”なんです」

 永琳が見た道化師はいつもニコニコ笑っており、その芸は泣いている赤子ですら笑顔にしてしまう程の芸だ。そんな道化師は里の人気者で、いつも楽しそうにしているのが印象的だった。それが目の前で号泣しているとはとても信じられなかった。
 思いもしなかった話に狼狽する永琳をよそに、依頼主の告白はなおも続く。
 
 「道化師の私を里の人々はとても慕ってくれています。私も皆に喜んでもらえるのはとても嬉しい。でも、慕われているのは”道化師”であって”私”じゃない」
 「でも、いくら素顔を隠していても道化師はあなた自身でしょう?」

 なんとか元気づけようとする永琳だったが、暗闇の奥で依頼主が首を振る気配がした。

 「いいえ、先生。道化師は”私”であって”私”ではない仮の姿。嘘の姿なんです。それどころか、愛する家族の前でさえ私は”本当の私”になったことがない」
 「それは、本性を隠しているって事かしら?」
 「・・・どんな”姿”になっても私は私です。だからこそ、悲しいんです」

 目が暗さに慣れてきて倉庫の中もだいぶ見えてきたが、それでも依頼主の姿は見つけられない。依頼主の状態を確認したい永琳だったが、どうやら奥のほうに隠れているらしく見つけることは出来なかった。
 そうしている間にも依頼主は落ち着いてきたらしく、鼻声だが落ち着いた話し方になっていた。

 「家族は私を愛してくれている。それは間違いありません。でも、本当の姿になったら、”本当の私”になったら愛してもらえなくなる。絶対にです」

 この依頼主がどんな醜悪な姿をしているかは分からないが、永琳はなんとしてもこの依頼主を助けたくなった。
 永琳自身、欲望と血に塗れ醜くなったときがある。だが、輝夜は愛し続けてくれている。昔も今も、そしてこれからも。
 依頼主の家族の愛が本物なら姿形など関係無い。その事を知って欲しい。永琳がそう思った時だった。
 
 「フッ、クスクス」

 突然、依頼主は笑い出し、最初は小さかった笑いはすぐに爆笑に変わった。
 依頼主の豹変に何も言えない永琳だったが、笑いはすぐに収まり、依頼主は呼吸を整えると落ち着いた様子で話始めた。

 「驚かせてごめんなさい。でも、最初から分かっていたんです。”本当の私”は心を持つ存在から永遠に愛されないということを・・・それでも誰かに愚痴りたくなって先生に来てもらいました。本当にごめんなさい、そしてありがとうございました。お礼は椅子の横に用意してあります」

 もう用は済んだかのような依頼主の態度に、まだ諦めていない永琳は荒療治に出ることにした。
 戸を大きく開けると日の光が倉庫の中を照らす。すると何かが倉庫の奥に隠れる気配がした。

 「お願いです、先生。どうか、私に構わずお帰りください」
 「そこまで私に姿を見せたくないって事は、今のあなたは”本当”のあなたなのね?」
 「そうです。先生にも、家族にも見せられない姿をしています。お願いですからどうかこのまま帰って」
 「・・・ねぇ、あなたの本当の姿を私に見せて。恐いのは分かる。でも、行動しないと何も変わらないままよ。お願い、勇気を出して」

 永琳の説得にしばらく無反応な依頼主だったが、やがてため息をつく気配がした。

 「・・・分かりました。先生に”本当の私”を見せます。でも、最後に言っておきますけどどうなっても知りませんよ。それは先生自身も気がついているはずです」

 言われて永琳は全身に嫌な汗をかいている事を気がつく。本能がやめろ、逃げろと警告をしているが、それを気のせいだと自分に言い聞かせ、永琳はその場を動かなかった。
 その様子に依頼主は再びため息をつくと、倉庫の奥から永琳の方へと近づいてきた。

 「先生、私は心が生み出す”脅え”を糧にしています」

 依頼主が近づいてくるたびに体の震えが大きくなっているのが分かる。

 「そんな私は一応、”正体不明の妖怪”といわれています。ですが、本当に私は妖怪なのでしょうか?」

 永琳はかなり永く生きてきたがこれほどの”恐怖”は初めてだった。その恐怖が、月の使者と戦った時よりもはるかに勝っている事に気づいて更に恐怖した。

 「それは私も分からない。本当に”正体不明”なのかもしれない。でもこう思うことがあります」

 依頼主がどんな姿をしていても「あら、かわいいじゃない」と言うのだ。そうすれば少しでも助けになるはず。
 だが、そんな決意とは裏腹に、体の震えは益々大きくなっていき

 「心の”脅え”を糧にする私の正体と言えるのは」

 遂に姿を現した“ソレ”を見た永琳の意識は

 「”恐怖”そのものじゃないかと」

 闇に閉ざされてしまった。

 「”恐怖”が心を持ち”愛”を求める、下らないジョーク。今の”偽りの私”で居れば”本物の愛”は貰えるのに、更に”本物の私”が愛されたいなどと余計な欲を出す。笑えないジョーク。そして結果は明らかなのに諦められない私は最悪のジョークよ。笑えちゃうわ」

 しかし、”ソレ”は笑っていなかった。





 倉庫の中で永琳は目を覚ました。
 何か軟らかい布の上に寝かされたらしく、頭の傍にはお礼が置いてある。
 外へ出て太陽の動きを見てみると、気を失っていたのはほんの数分だったようで、体は汗で濡れたままだった。
 気を失う前に何かを見たはずだが、体が拒否しているように全く思い出せない。
 依頼主の気配はすでに無く、残っていたのは”命蓮寺”に続いている何かの水滴が落ちたような跡だけである。
 ”本物”は正しく”偽者”は間違っているのか・・・少し考えたところで、永琳は馬鹿らしくなり考えるのをやめた。
 所詮この世は、ロールシャッハテストのようなもの。正解など無いに等しいのだから。
ゴウテン
簡易評価

点数のボタンをクリックしコメントなしで評価します。

コメント



0.1300簡易評価
14.90名前が無い程度の能力削除
はぁなるほど…その発想は無かったですねぇ…

後書き前は気になったけどひじぬえと発想が素敵だったのでこの点に。
15.100名前が無い程度の能力削除
いい話でした。
ぬえの正体はラヴクラフト的ななにかなのでしょうか。
17.100名前が無い程度の能力削除
正体不明、意味不明、はたまた実態不明は褒め言葉だな。
18.100名前が無い程度の能力削除
えーりんが見た者は……
はたして「ぬえ」なんでしょうか?
正体を曝したぬえはもはや「ぬえ」ではないのでは?
そもそもぬえ自身にも自身の正体は不明なのでしょうか?
自身の正体を見破ったとたん「ぬえ」でなくなるのでしょうか?

うーん謎は深まるばかりです
20.90名前が無い程度の能力削除
正体不明を恐怖するのではなく、恐怖こそが正体不明の本性である、という解釈ですね。
明確な二面性を持った作品というのはなかなか作れるものでは無いと思います。色々な意味で楽しく読ませていただきました。
22.90名前が無い程度の能力削除
須臾の唄か
23.90名前が無い程度の能力削除
こんなのはどうでしょう?
恐怖と言うのも一種の快楽であります。
どん底の恐怖を味わった後は、偽りのぬえがあなたを優しくケアします(それこそ心身ともに)
えーとつまり一種のつり橋効果? 
むしろ痛くて苦しいのがいいんです。私はそんなぬえが嫁に欲しい。
34.100名前が無い程度の能力削除
まず聖さんに交通事故にあってもらってですね