あ、おはようございます。今朝もお散歩ですか? ええ、寒いですね。
私ですか? 私はいつもここで門番やってますし、慣れてますから大丈夫ですよ~。
そんな事より聞いてくれますか? 今年のバースデー、最高だったんです!
一週間前の話なんですけど……。あの日は、私の誕生日でした。
その日も私は、いつものように門番をしていました。誕生日だからって、いつもと何か変わるわけじゃありませんし。
日が昇る前からしてました。まぁ、毎日の事なので、苦ではありません。門の前で、いつ来るか分からない侵入者を待つだけでした。
流石に、暇でしたね。物騒な世の中だからって、ここまでしなくても良いと思いません?
油断して余所者に侵入されて『ネコ度が足りないわ』ってお嬢様に怒られましたけど。要するに、侵入者という名のネズミを私という名のネコが捕まえられてない。そう、ネコ度が足りないんです。
もうちょっと分かりやすい喩えは無かったんでしょうか。難しい事を言いたかったんでしょうかね……。
あ、すいませんね。関係の無い話をしてしまいました。
そうそう、バースデーの話。今年ほど嬉しいバースデーは、初めてなんです。まともに祝ってくれた事なんて無かったから――
その日は、どうしても祝って欲しくって。思いっきり、アピールしちゃおうかと思い立った訳です。
私以外の人に門番を任せて、掃除している咲夜さん、あ、咲夜さんというのはお嬢様のメイドさんなんですよ。その咲夜さんにアタックしてみたわけです。
「あ、咲夜さーん」
「何かしら?」
「知ってます? 今日は私の――」
「咲夜ーーーーっ!」
「はっ、はいお嬢様!? 何でしょうか!?」
忙しい咲夜さんは、お嬢様に呼ばれてパタパタと走っていっちゃうんです。当然ですよね……。私より、お嬢様が大事ですし。
それで私、思いついたんです。『お嬢様ならどうかな?』って。お嬢様に祝ってもらおうなんて、図々しい話かもしれないです。でも、私はとにかく祝って欲しかったんです。恐れ多くも、お嬢様にアタックしました。
「お嬢様ー、今日は私の――」
「あんた誰?」
玉砕。あれは誤算でした。お嬢様に顔すら覚えてもらってなかったんです、私。
うーん、雇っている人の情報みたいなのは、咲夜さんが管理してるからでしょうかね。私たち下っ端の事なんて知る訳無かったんでしょう。
……いえ、泣いてなんかないです。普段から喋ったりしてるのに、今更名前を聞かれたこと位じゃ泣いたりしないです。ほんとですってば。
でも、まだ諦めませんでしたよ。パチュリー様というお方が居るんです。この紅魔館の図書館に居る人なんです。
それで、その方にもアタッーク。ですよ!
「あ、あのーパチュリー様……」
「……」
「も、もしもーし?」
「……」
読書に没頭していたパチュリー様に話しかけられると思ってた私が間違いだったという……。
泣いてないです。ええ、泣いてないですとも。
ええ? 他の人は、って? ……我侭ですけど、私は親しい人に祝って欲しかったんです。
ちちちち、違いますよっ! 友達が少ない訳じゃないですっ! ほんとですってばぁ!
……コホン。取り乱しました。そ、それでそうこうしてるうちに、門番交代の時間が来てしまったんです。
仕方なく戻る訳です。椅子に座って、本を開きました。そう、その本がきっかけだったんです。
『バースデーは、祝ってもらうと嬉しいのは世の真理』
そんな偏見染みた事を書いてたんですよ。その本。そんなの読んでしまったからです。私が、祝われたいなんて思ったの。
「……寒いなぁ」
追い討ちでしたよ。小雨ながら、雨が降り出したんです。まるで、私のその時の心のような……。
え、いや。ナルシストとかじゃないですよ?
結局、その日の仕事が終わっちゃいました。何も出来ないまま、ね。
雨の中頑張った自分にご褒美でもあげちゃおうかな、って思いながら自分の部屋へと向かいました。ええ、私は住み込みの門番ですから。
楽しみに取っておいた、グレープのアメでも舐めようなんて。えへへ。贅沢し過ぎですかね? あれ、何ですか、もしかして……。笑ってます?
もう、ここからが大事なんですよ? そこで私、部屋に入ったんです。そしたらそしたらっ!
机の上に、手紙とケーキセット、それと包みが置いてあったんです。手紙にはですね、こう書いてたんです。
『ハッピーバースデー。アピールなんかしなくても分かってるわよ。 咲夜より』
読んだ瞬間、涙が止まらなくなっちゃって。咲夜さんの優しさが嬉しくて嬉しくて。グレープのアメも忘れて、ケーキを頬張りました。あの時のケーキの味が、忘れられないです。
咲夜さんお手製の、特製ケーキ。滅多に食べられません。甘くて、とっても美味しかったです。あったかいココアもありました。
私が仕事を終わる時間を見計らってくれたのでしょう。
涙がココアに入っちゃわないように、飲みました。
冷えてた私の体が一気に温まって。もう涙も止まらなくて。
それでそれで、包みの中身ですよ。この冬ピッタリの、マフラーでした。
綺麗な赤色をしてまして。ココアとあわせて、暖かさ二倍でしたよ。
あ、分かりました? そうです、私が今してるマフラー。これですよ。
こんなプレゼントも貰った事なくって、とにかく私、嬉しかったんです。
それで、もっと嬉しかった事はですね――
「こらそこ。近所の人と仲良くするのは良いけど、私語は慎みなさい。私は買出しに行って来るから。留守中、ちゃんと守りなさいよ?」
「あっ、咲夜さん。マフラー、お揃いですね!」
「だから何? 色が被ってるだけでしょ」
「えへへ……。気をつけて行って来て下さいね~!」
咲夜さん、今日も同じ色のマフラーで出掛けていきましたよ。ね、ね。見てました?
ええ? 自慢話は聞き飽きたって? そ、そんな~。
私ですか? 私はいつもここで門番やってますし、慣れてますから大丈夫ですよ~。
そんな事より聞いてくれますか? 今年のバースデー、最高だったんです!
一週間前の話なんですけど……。あの日は、私の誕生日でした。
その日も私は、いつものように門番をしていました。誕生日だからって、いつもと何か変わるわけじゃありませんし。
日が昇る前からしてました。まぁ、毎日の事なので、苦ではありません。門の前で、いつ来るか分からない侵入者を待つだけでした。
流石に、暇でしたね。物騒な世の中だからって、ここまでしなくても良いと思いません?
油断して余所者に侵入されて『ネコ度が足りないわ』ってお嬢様に怒られましたけど。要するに、侵入者という名のネズミを私という名のネコが捕まえられてない。そう、ネコ度が足りないんです。
もうちょっと分かりやすい喩えは無かったんでしょうか。難しい事を言いたかったんでしょうかね……。
あ、すいませんね。関係の無い話をしてしまいました。
そうそう、バースデーの話。今年ほど嬉しいバースデーは、初めてなんです。まともに祝ってくれた事なんて無かったから――
その日は、どうしても祝って欲しくって。思いっきり、アピールしちゃおうかと思い立った訳です。
私以外の人に門番を任せて、掃除している咲夜さん、あ、咲夜さんというのはお嬢様のメイドさんなんですよ。その咲夜さんにアタックしてみたわけです。
「あ、咲夜さーん」
「何かしら?」
「知ってます? 今日は私の――」
「咲夜ーーーーっ!」
「はっ、はいお嬢様!? 何でしょうか!?」
忙しい咲夜さんは、お嬢様に呼ばれてパタパタと走っていっちゃうんです。当然ですよね……。私より、お嬢様が大事ですし。
それで私、思いついたんです。『お嬢様ならどうかな?』って。お嬢様に祝ってもらおうなんて、図々しい話かもしれないです。でも、私はとにかく祝って欲しかったんです。恐れ多くも、お嬢様にアタックしました。
「お嬢様ー、今日は私の――」
「あんた誰?」
玉砕。あれは誤算でした。お嬢様に顔すら覚えてもらってなかったんです、私。
うーん、雇っている人の情報みたいなのは、咲夜さんが管理してるからでしょうかね。私たち下っ端の事なんて知る訳無かったんでしょう。
……いえ、泣いてなんかないです。普段から喋ったりしてるのに、今更名前を聞かれたこと位じゃ泣いたりしないです。ほんとですってば。
でも、まだ諦めませんでしたよ。パチュリー様というお方が居るんです。この紅魔館の図書館に居る人なんです。
それで、その方にもアタッーク。ですよ!
「あ、あのーパチュリー様……」
「……」
「も、もしもーし?」
「……」
読書に没頭していたパチュリー様に話しかけられると思ってた私が間違いだったという……。
泣いてないです。ええ、泣いてないですとも。
ええ? 他の人は、って? ……我侭ですけど、私は親しい人に祝って欲しかったんです。
ちちちち、違いますよっ! 友達が少ない訳じゃないですっ! ほんとですってばぁ!
……コホン。取り乱しました。そ、それでそうこうしてるうちに、門番交代の時間が来てしまったんです。
仕方なく戻る訳です。椅子に座って、本を開きました。そう、その本がきっかけだったんです。
『バースデーは、祝ってもらうと嬉しいのは世の真理』
そんな偏見染みた事を書いてたんですよ。その本。そんなの読んでしまったからです。私が、祝われたいなんて思ったの。
「……寒いなぁ」
追い討ちでしたよ。小雨ながら、雨が降り出したんです。まるで、私のその時の心のような……。
え、いや。ナルシストとかじゃないですよ?
結局、その日の仕事が終わっちゃいました。何も出来ないまま、ね。
雨の中頑張った自分にご褒美でもあげちゃおうかな、って思いながら自分の部屋へと向かいました。ええ、私は住み込みの門番ですから。
楽しみに取っておいた、グレープのアメでも舐めようなんて。えへへ。贅沢し過ぎですかね? あれ、何ですか、もしかして……。笑ってます?
もう、ここからが大事なんですよ? そこで私、部屋に入ったんです。そしたらそしたらっ!
机の上に、手紙とケーキセット、それと包みが置いてあったんです。手紙にはですね、こう書いてたんです。
『ハッピーバースデー。アピールなんかしなくても分かってるわよ。 咲夜より』
読んだ瞬間、涙が止まらなくなっちゃって。咲夜さんの優しさが嬉しくて嬉しくて。グレープのアメも忘れて、ケーキを頬張りました。あの時のケーキの味が、忘れられないです。
咲夜さんお手製の、特製ケーキ。滅多に食べられません。甘くて、とっても美味しかったです。あったかいココアもありました。
私が仕事を終わる時間を見計らってくれたのでしょう。
涙がココアに入っちゃわないように、飲みました。
冷えてた私の体が一気に温まって。もう涙も止まらなくて。
それでそれで、包みの中身ですよ。この冬ピッタリの、マフラーでした。
綺麗な赤色をしてまして。ココアとあわせて、暖かさ二倍でしたよ。
あ、分かりました? そうです、私が今してるマフラー。これですよ。
こんなプレゼントも貰った事なくって、とにかく私、嬉しかったんです。
それで、もっと嬉しかった事はですね――
「こらそこ。近所の人と仲良くするのは良いけど、私語は慎みなさい。私は買出しに行って来るから。留守中、ちゃんと守りなさいよ?」
「あっ、咲夜さん。マフラー、お揃いですね!」
「だから何? 色が被ってるだけでしょ」
「えへへ……。気をつけて行って来て下さいね~!」
咲夜さん、今日も同じ色のマフラーで出掛けていきましたよ。ね、ね。見てました?
ええ? 自慢話は聞き飽きたって? そ、そんな~。
これはやっちゃいかんだろ
しかし、何かオチがあるのかと思っていたら、急に終わってしまいました。
起伏が乏しく、少し残念に感じました。
せっかく良い雰囲気を作れているのだから、それを一つの材料にして物語を作ってみたら面白いと思います。
辛口コメントですみません。
というかそもそも、お嬢様が美鈴のことを知らないってことは流石にないような……。
私は未プレイですが、非想天則では両者の会話シーンもあるらしいので。
でも話の雰囲気とかは良かったと思います。
読み手に語り掛ける形式っていうのも斬新で面白かったです。
みすちーやお⑨じゃないんだから…
※9
美鈴ストーリーの原因の3分の1はお嬢様が「面白いから貴方も読んでみなさい」と美鈴に貸した漫画だったりする
>>6様
えっと、もしかしてネタ被りでしょうか……?
だとしたら申し訳ありません。
次からはもっと被らないような斬新なネタを考えられるように精進します……。
>>葉月ヴァンホーテン様
辛口で全然大丈夫ですよ、むしろ励みになります^^
起伏ですか……。まぁ、確かに山場も無いようなお話ですね;
雰囲気を一つの材料に? なるほど……。
良いですね! 非常に参考になります^^
>>9様、14様
お二方同意見の様なので纏めさせていただきます……。
ちなみに私も天則のストーリーはやった事が無いですorz
実は私もお二方と同じような意見に辿り着き、これはフォローが必要かなと思いまして、
……いえ、泣いてなんかないです。普段から喋ったりしてるのに、今更名前を聞かれたこと位じゃ泣いたりしないです。ほんとですってば。
……という一文を入れてみたんですが……。
全く無意味だったようです。申し訳ないですorz
それでは、コメントありがとうございました。
まだまだご指摘などございましたらどうぞ。