Coolier - 新生・東方創想話

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2009/11/01 06:50:38
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※オリジナル設定+二次設定が入っています。オリジナル設定+二次設定が苦手な方は退散をお勧めします。
そうでない方はどうぞお読みください。ってけーねがいってた!

















「久しぶりね。小さな私。この1年いい子にしていたかしら」

「うん!だから早く石畳なおしに行こう!!」





とくんと、胸打つ音で私は闇の中で目が覚めた。もう一人の私はまだすやすやとかわいらしい寝息を立てて眠っている。
いつもこのように闇を張って木の上で寝ているのだろうか。
どうやらいつも通り私が先に起きたみたいだ。私が起きたということは、一年のうちであの日しかあり得ない。
私が目覚めたということは異変が必ず起きる。もしトラブルでこの子が上級の妖怪に狙われるのは、胸が痛む。仮にも私は下級妖怪なのだから。
なら幻想郷のパワーバランスを担っている方々へ挨拶を事前に済ましておこう。眠っている間の記憶だけどたしか今年は紅魔館でパーティーをやるとかいってたな。
じゃあ、紅魔館は最後にして、妖怪の山から挨拶に行こうかしら。
私は、そう思い宵のを目指して私は闇の中から飛びだった。夕暮れで染まりつつある妖怪の山に向かって。



博麗神社。そこは妖怪共の巣窟と化している異端な神社だった。原因はひとつ。巫女が妖怪に好かれやすい体質だったのだ。
しかも強い妖怪ほど巫女をしたって来るという迷惑なことでおかげさまで博麗神社に人間の参拝客など一人もいない。

おかげさまで巫女である博麗霊夢は「どうせ仕事したって妖怪しかこないなら仕事しなくてもいいわよね。うん」とか言って日々縁側に座って
お茶を飲む怠惰な生活を送っていた。しかもそれでなんとか生きられているのだから社会人なら涙が出るほどうらやましい生活であるといえよう。

そして夜の博麗神社に、一人の普通の魔法使い、霧雨魔理沙が霊夢を尋ねてやってきた。

「おい、霊夢早くしろよ。早く行かないと紅魔館でのごちそう食いっぱぐれちゃうぞ」
「うるさいわね。少し待ってないさいよ。こちらと私服なんて巫女服しかないってのに
レミリアのやつ仮装して来いっていうんだもの。理不尽にもほどがあるわ」

「巫女服は業務服じゃないのか?」
「私服兼業務服よ」

霊夢は箪笥を開け閉めを繰り返し、今夜の紅魔館のパーティに出席するための仮装の服を探している。
箪笥の周りには服が散乱していた。

何故、仮装しなければならないか。それは今日が10月31日。つまるところのハロウィンだからである。
幻想郷の人々は、昨年までハロウィンという存在を知らなかった。それもそのはずで幻想郷入りするにはまだまだ早いイベントであるからだ。

それが何故幻想郷中に広まったかというと、事の発端はレミリアが暇だと咲夜にねだったところ、パチュリーが外の世界では10月31日に
子供たちは、仮装をして家々を回り、「とりっくおあとりーと!」といってお菓子をねだる祭りがあるそうだ。と伝えたところさっそくそれを
やろうといいだした。

しかしレミリアはそれでは紅魔館内だけでやってはつまらないので
この際幻想郷の住人全てを巻き込んで、紅魔館で盛大な仮装パーティーをやろうと言いだしたからだった。

未だに霊夢はごそごそと箪笥を探索している。どうでもいいけど「たんすをたんさく」ってなんか微妙に似ている言葉が続いて面白いよね。
「よし、これでいいわ」
「結局いつもの紅白じゃないか」
魔理沙はやれやれと思いあきれた。

「違うわよ。リボンの大きさが少し大きいわ」
「よくわからん」
「通常の1,5倍よ。当社比だけど。それに魔理沙もいつもと同じじゃない」
「私は魔法使いの仮装をしているんだぜ」
「結局は手抜きなわけね」
「褒めるなよ。照れるぜ」

そんな会話をしながら二人は紅魔館へと向かった。


――月は少しずつ上がっていく。静かな月光を携えて。

紅魔館。いつもは魔理沙ぐらいしか人間は近寄らないのだが今夜は奇奇怪怪な恰好をした人間
で中庭がごった煮替えっていた。もはや闇鍋状態だった。その中にちらほらと妖怪の姿や妖精の姿も見える。

中庭にはメイド長咲夜のお手製の料理がいくつもの円形テーブルに乗せられており、立食パーティー会場と化していた。
その中庭を見下ろすように、上のテラスから「ククク・・・」と笑いながら紅茶を飲んでいるのは、
紅魔館の主、永遠に紅い月と異名を称えられている。レミリア・スカーレットだった。

「クククク……フハハハハハ…!!がっはっははっは!!」
「お嬢様、民衆が大勢いますので変に、にやけないでください。キモいです」

「なんとなく王の気分に浸ってみたかったのよ」
「さいですか」

そんな永遠の紅い月と会話をしているのは瀟洒で完璧なメイド、十六夜咲夜であった。

「咲夜見なさい。民衆の中をかきわけて食べ物をとりにいく悲しき霊夢の姿を」
「見慣れていますので何とも思いませんわ。
しかしもう白玉楼の主が霊夢の目の前にある食べ物を、全て食べてしまい霊夢が地団太踏んでおりますが」

「これも祭りの一興よ。見なさい、みんな笑っているわ」
「霊夢は鬼の形相ですけど」
「あら、あんなロリ鬼のようなかわいい表情が霊夢にできたかしら」

皮肉をこめてレミリアは、満足そうに紅茶を再びティーカップを口に運んだ。
その時咲夜は、何かを思い出したかのように、手のひらからいきなり紙を出した。

お得意の種なし手品であった。

「そういえば、お嬢様。美鈴からこのようなものを受け取りましたが」
レミリアはティーカップを咲夜に渡して紙を広げてみた。

「どうやら手紙のようね」
「誰からでしょうか?」

「内容は、『10月31日そちらにお伺いします。 R』と書いてあるわね。」
「Rというと誰でしょう?」

咲夜は少し首を傾け、レミリアに怪訝そうに聞いた。

「んー、Rねぇ。どこぞのほにゃらら団は幻想郷に入ってもおかしくないけどそんなわけないわよね。
まぁ、どうせこのRという人物から来るなら私は迎撃するまでよ」

客人を迎撃してどうするのでしょうかお嬢様。と咲夜は心中に思ったが内緒にしておいた。カリスマブレイクされては困るので。

「そうですね。何も異変など起きなければいいのですがね」


――月はそろそろ頂点へ達する。暗く黒い闇の空へ浮かび上がり。


―――紅魔館中庭
がやがやと人間や妖怪ごった煮の中、白玉楼の主と博麗の巫女は喧嘩していた。というよりも博麗の巫女の一方的なやつあたりだった。

「あんた私が楽しみにしていたごちそうを何一瞬で消し飛ばしているのよ!!!」
「あらら、ごめんなさいね。霊夢。ついついおなかがすいてたから」

「幽々子さまはいつもお腹すいているじゃないですか」
そうね。っと幽々子は扇子で口元を隠してくすりと笑っていた。

「まぁまぁ、霊夢さん。今度白玉楼に来てくださいな。最高の懐石料理を私が振舞いますから」

と妖夢が霊夢を宥めると、
「それならいいわ」

とだけいって、別のテーブルへと食料を求めて走り抜けていった。
周りにいたルーミア、チルノ、ミスティア、リグル、魔理沙は

「まったく食べ物のことになると見境ないぜ」
「そーなのかー」

「まったくあたいみたいな最強になれば食べ物なんて朝飯前に料理してやるわよ!」
「チルノちゃんそれ当り前のこといってるだけだよ」

「珍しいね。普通のことが言えてるなんて」

チルノはみんなのばかー!といってどこかへ行ってしまった。

「あらら……お友達は大切にね」
幽々子は去っていくチルノの背中にひらひらと手を振りながら微笑んでいた。

「さてと……特に何もするわけでもないからそろそろ帰ろうかなー」
「ルーミアもそうするなら私も帰ろうかな」

「あらら、それは残念ね。せっかくお酒でも一緒にどうかと思ったのだけどね」
その幽々子の言葉に周りの4人の耳はぴくりと反応する。

「わ、私はまだまだいるぜ!!」
「あ、私もまだいようかなぁ……」

「ゆ、幽々子さん今度鰻をおごりますよ!」
「お酒がもらえるならわたしもいるー」

みんな幽々子に抱きつきながら甘い声で言った。

「あらあら、妖夢まで抱きつくことないんじゃない?」
「いえ、あの、なんか悔しかったので」

「ふふふ、かわいいわね。妖夢は」
そういって幽々子は自分の半人前の従者の頭をなでながら、笑っていた。

「じゃあみんな迷惑にならない様に端のほうへ行きましょうか」
そう言って幽々子の後ろには百鬼夜行よろしくなありさまであった。

――い……す……に……わ……ち……さ……わ……し。

ルーミアは、少し後ろを振り向いた。だが誰もいない。首をかしげながら魔理沙に問いかけた。

「んー?魔理沙なんかいったー?」
「何言っているんだルーミア。私は何も言っていないぜ?」
「んー?空耳かなぁ」

ルーミアは周りをきょろきょろと見渡して再び離れていく幽々子たちの背中を小走りで追っていった。

―――今すぐに会いに行くわ小さな私。


―――月は、頂点へ登り終えた。そして月は闇に包まれていく。

こつん…こつん…紅い廊下を歩いているのは黒を基調とした服を着ている金髪の女性。
頭の上には天使の輪のような、紅い輪を浮かばせていた。

そして腰には一本の漆黒の大剣を携えていた。そして窓から幽々子についていく元気な魑魅魍魎たちを見て
「ふふふ……あの子楽しんでいるみたいね。さて私は手紙を出した以上、ここの主に挨拶をしておかないといけないわね」

静かに微笑んでまた女性は、静かに歩き出した。しかしその歩を進めようとした時、足元の床に大量のナイフがガガガガガ!!と刺さった。

「えっと、あなたは十六夜咲夜さんだったかしら」

紅い廊下のさきに佇む咲夜を見つけ笑顔で女性は微笑んだ。

「そのとおりですわ。とんでもない妖気を感じて飛んできたら見知ったようで見知らぬ客が侵入していましたので荒々しいご挨拶をさせていただきましたわ。
あなたはルーミアってわけではなさそうですね。ルーミアなら今さっき中庭で幽々子さんと一緒にいましたし」

咲夜はスカートのすそを掴んで挨拶をした。少々挨拶の順番が逆のような気がするが。

「あながち否定ができないから困るわね。確かに私は宵闇の妖怪ルーミアであり、ルーミアではないのよ。
あちらが名前通りの意味の『Lumiere』つまり光であるならば、私はそのルーミアの能力の具現といってもいいかもね」

そういって少し困ったようにいいつつも微笑んだ笑顔は崩さなかった。

咲夜は目の前の女性が何を言っているのかが理解できなかった。ルーミアでありながらルーミアではないというものだ。
とにかく、わかっていることは一つ。目の前の人物は敵であること。このパーティに剣を帯刀している人物なんて
魂魄妖夢一人で十分だ。このパーティーにそんな無粋なものを持ち込むこと自体が、敵の証。

つまり紅魔館の害となるものはメイド長の名にかけ掃除するまで。

「貴女は余りにも不可思議すぎるわ。そのような刀を帯刀している時点で、我等紅魔館に対する敵と見させていただきます。
貴女は私に倒されてさっさとお帰りください。貴女の時間は私のもの。貴女は私に勝てるかしら」

咲夜がそう言い終えた瞬間には、金髪の女性の周りにはナイフが数百と並んでいた。
その並べられたナイフが一斉に風を切り女性めがけて飛んでいくが、女性は眉ひとつ動かさなかった。

「時間を止められようとも、私には関係のないこと。人は希望を光と比喩することが多いわ。光がなければ物というものは活動の気力を失う。
見せてあげるわ。『世界を闇に沈める程度の能力』を」

金髪の女性の周りを足元から浮かび出た球体上の黒い闇が金髪の女性を中心に円柱状に覆う。その黒い球体に向って咲夜の投げたナイフが向かっていくが、ナイフは闇に呑まれるように
消えてしまった。

「――闇符「創世の世紀末」」

そして金髪の女性が指をぱちんと鳴らすと、黒い球体もシャボン玉のようにぱちんとはじけると、中の女性は無傷の姿で立っていた。
咲夜は正直驚きを隠せなかった。あれだけのナイフを一瞬でいなしたのだから、無理もない。

「さてと、余り力は使いたくないけどあなたが反抗するなら少し眠ってもらおうかしら」

金髪の女性の左手の手のひらから、小さい黒い球体が一つ浮かび上がった。
そして、品定めをするかのような目でそれをみて満足すると、視線を咲夜のほうへ向けた。

「…くっ!」

咲夜は後ずさりを自然としていた。理性ではなく本能で分かったのだ。
この女性にはいくら時を止めようとも勝てはしないと。せめてもの主のレミリアに敵を知らせねば。

「さて、お休みなさい。朝日が昇るころには目が覚めるはずよ。
その瞼を閉じ貴女の世界を闇に沈めてあげるから、だから今は―――ただ深い眠りにつきなさい」

その女性は床を強く蹴り咲夜に飛びかかり力を込め肩を掴み、逃げられない様にして咲夜の鳩尾に小さな黒い球体を打ち込んだ。
瞬間、咲夜は紅い床に崩れ眠ってしまった。そして廊下は再び静寂に包まれた。女性は咲夜を肩に担ぎ再び歩き始めた。

中庭からはルーミアや魔理沙の楽しそうな声が聞こえてくる。それをきいて女性は、楽しそうね。とだけおもい
この紅い館の主のいるテラスまで、歩き始めた。

―――月は覆われた闇に。そして月光すらも届かない夜が始まった。

「本当に迎え撃つことになりそうとは思いもしなかったわ」
「あら、こちらのメイドさんが先に手を出してきたものですから少し、お仕置きをしただけですよ」

レミリアは予想外の客に対して殺意をむき出しにして会話をしていた。場所は依然としてテラスの部屋。
担いでいた咲夜を静かに床に置くと、微笑んで会話を切りだした。

咲夜はただ静かに寝息を立てているだけで外傷はなかった。

「お久しぶりですね。夜の王レミリア・スカーレット。一年ぶりですね」
「ええ、一年ぶりね、もう一人のルーミア。
このタイミングで何故貴女が現れるかは理解しがたいのだけども。このパーティーを潰す気できたのかしら」

レミリアはテラスから室内へと戻り、もう一人のルーミアと正面に向き合った。
そしてもう一人のルーミアの頭からつま先までみて、

「にしても貴女、表のルーミアは私と同じくらいの身長なのに貴女は咲夜ぐらいの身長なのが納得いかないわ」
レミリアは頬を少し膨らませて不服そうに言い放った。

中庭は未だに騒がしく、子供たちの遊び声などが聞こえる。
「あなたもあと1000年ぐらいしたら素敵な女性になれるかもしれないわよ?」
「咲夜、その時まで生きていられるかしら?」

もう一人のルーミアはふふっと笑って、足元のかわいいらしい寝息を立てている咲夜をみた。

「あと、私は今夜の宴を壊すつもりはないわ。こんなにもいい笑顔が集まっているのにそれを闇に沈ませるなんて無粋にもほどがあるわ。
ただ、今日が10月31日だから私はこうやってあの子の中から出てきて具現しただけのこと。
知ってる?ハロウィンには闇夜に紛れ精霊や幽霊が降りてくると考えられていたのよ。そして今夜はあの子の妖力が一年のうち最高潮に達する日よ。
さながら私はあの子に紛れて今夜だけ具現する幽霊というところかしら」

レミリアは、ふぅんと興味なさげに一瞥して暇だからに月を見ようとした。

「あら?月がない?」
「ああ、ごめんなさいね。私が現れると絶対月食が起こるのよ。そのことで今日はここにも来たのよ。
幻想郷のパワーバランスを担っている所はすべて回ってきたわ。余計なトラブルを起こしたら表の私に迷惑をかけてしまうもの」

レミリアはせっかくの月をとかぼやいているが、ルーミアは気にしない。
「さて、私はこの辺でお暇させていただくわ。明日の夜にはちゃんと月は戻っているから安心なさい。ではまた来年会いましょう」

そういってルーミアはレミリアに手をひらひらと振って、長い長い一寸先は闇のような紅い廊下に戻っていった。
誰もいなくなった部屋でレミリアは「ふぅ」とため息をついた。

「相変わらずね……。気を抜くと意識を持って行かれそうな妖気だったわ。私のカリスマがなければ即死だった。あんなの4年に一度でいいのよ。外の世界のおりんぴっくとかいう
熱気を纏った怪物ですらそれで我慢しているのに」

そういった後、床で寝息を立てている咲夜の顔を見たらどうでもよくなってきて、咲夜の部屋まで抱えていったはいいが
疲れ果ててレミリアはまどろみと共に咲夜のベッドで咲夜と一緒に寝てしまった。

―――未だに月は闇で覆われていた。まだまだ騒がしい夜は続いている。

「おいーみょーんさけがたらないぜー」
「誰がみょんですか。魔理沙さんもうべろんべろんじゃないですか」
「よーむー、ミスティアとリグルが寝ちゃったよー」
「ああ、もう私は一人なんですから!!」
「あら?ここの妹は分身の術が使えるみたいよ?あなたもそれが習得できないなんてまだまだ未熟よ」

そんなやり取りを中庭の隅っこでがやがやとする魔理沙たち。
はっきり言って隅にいっても騒がしくて自重していなかった。

酒瓶はごろごろと転がっているしちょっとした宴会状態だった。
もう10本近くは空になっていた。まぁ、博麗神社でやると桁が違うのでまだかわいいほうだ。

「わかりましたよ。また白玉楼にいってお酒を取ってくればいいでしょ。もうこれで3往復目ですよ」
妖夢はため息をついて、ふよふよと白玉楼目指してとびだった。

魔理沙は、半人前の幽々子の従者の背中を見送った後真上を向き
「ふぅ……おい、そろそろ出てきたらどうなんだ。月を闇で覆っているのはお前だろ」
夜の闇を背景に鷲のような漆黒の翼を広げ浮遊していた、宵闇の妖怪へと視線を送りそう言い放った。

その人物は、
「あら、気づいていたの。さすがは魔理沙といったところかしら」
そういって地面へ静かにとん、と地面に足をつけ舞い降りた。
その様子は宛ら堕天使が降臨したかのようだった。

大きな漆黒の翼に、金砂のような髪、そして臙脂のネクタイに黒い黒い服。そして漆黒の大剣。
その人物は先刻レミリアと会談していたルーミアだった。

「久しぶりね。小さな私。この一年間いい子にしていたかしら?」

もう一人のルーミアは、ちいさなルーミアの所まで歩み寄り頭をくしゃくしゃと撫でて、まるで我が子をあやす母のように微笑んでいた。

「おっきなわたしだー、ひさびさー」

ルーミアは頭を撫でられて嬉しそうに笑いもう一人のルーミアに抱きついた。

「あら、甘えん坊ね」
ふふふと笑いながら抱きついてきたルーミアの髪を撫でながら、幽々子のほうへ顔を向け軽い会釈をした。

「どうも、白玉楼の主、西行寺幽々子さん。私、宵闇の妖怪ルーミアの中に眠るもう一人のルーミア、
まぁ通称EXルーミアって呼ばれております。
私は、毎年この日になるとこの子の力が一年の内最高潮になり、私はその力に押し負けこの子の中からはみ出してしまい、半強制的に具現してしまいます。
しかも私が具現すると必ずしも月が闇に呑まれるのという異変が起こってしまっています。
今年は、何かしらお祭りがあるとこの子の中にいながら数日前聞いておりましたので、今日をいい機会に
幻想郷の重鎮の方々へ挨拶に参っている所存です。そして西行寺幽々子さん。一つ質問がございますがよろしいでしょうか」

「あら?何かしら?いーちゃん」

幽々子は朗らかに、手を口に当て、「うふ、うふふふ」と笑っていた。
魔理沙はその笑い方を見て、思い出したくないものを見てしまったかのように手を頭に当て唸っている。

「八雲紫さんはもう冬眠の時期でしょうか?」
「いや、紫ならまだ眠ってはいないはずよ。いーちゃん」

「あの、その呼び方止めていただけませんか…?」
「いいじゃないー、かわいらしいわよ?」

もう一人のルーミアは少し頬を赤らめながら、呆れていた。

「ならば、この辺りでしょうね」

そう言ってもう一人のルーミアは、首をかしげているルーミアに少し離れるようにというと
ルーミアは素直に首を縦に振り、頭を抱えている魔理沙の横に離れて行った。

魔理沙は、酒を飲んで忘れたいことを忘れようとしている。酒の力に頼るほどのことを思い出してしまったのだろう。
もう一人のルーミアは漆黒の大剣を鞘から抜き取り、その刃を空気に触れさせた。その刀は刀身も黒だった。

宵闇の妖怪だけあって、やはり身につけているもの全てが魔理沙よりも黒であった。

もう一人のルーミアは、そのまま刀身で真上の空に弧を素早く描くと、空間が断絶されそこにはすっぽりとスキマができていた。
そのスキマから幻想郷の大賢者八雲紫は墜落してきた。まさしく効果音は「ババァーン!!」がお似合いな状況だった。

「盗み見とは趣味が悪いですね。こんばんは八雲紫さん貴女が最後に挨拶を私がしなければならない方みたいです。
というよりもあの頃からあってませんでしたね。お久しぶりです」

「あいたたた。ひどいじゃない。せっかく人がみんなの笑顔を楽しく鑑賞していたところを」
「鑑賞するならせめてスキマから出てきてください。そうしなければただのストーカーと同じです」

もう一人のルーミアは黒の刀身をした刀を鞘に戻しながらそういった。
刀の柄と鞘の「かちん」とぶつかりあう金属音がして、紫はもう一人のルーミアをまじまじとみる。

「にしても久しぶりね。あの頃は私と藍が協力して戦いに挑んでもあなた互角で3日も粘ったわね。
封印できたのはただ私たちの運がよかっただけなのよね」
「まぁ、あの頃は若気の至りですよ。あの子の中に長い間いるせいかおかげかはわかりませんが、今は落ち着いていますよ」

そうね、と紫はいって手を縦に振りおろしスキマを作りその中から酒瓶を一本取り出した。
ラベルに達筆で書いてある文字は、「月隠し」。そして再びスキマに手を突っ込み大きな朱色の盃を1つ取り出した。

「あなたにぴったりじゃない?このお酒」

紫はにやりと胡散臭い笑みを浮かべてもう一人のルーミアに盃を渡して、

「魔理沙、ちょっとあなた音頭取りなさい。一年に一回しかできない音頭よ」

魔理沙のほうへ紫は顔を向けるとそこにはルーミアに愚痴をこぼしている魔理沙の姿があった。

「昔はさぁ、魅魔様に強制されて、うふふ、うふふふを話すときに絶対喋れって言われて苦痛の日々だったんだぜ」
「そうなのか……」

魔理沙は途中で、泣きじゃくっていて声がとぎれとぎれになっていた。

「でさ、アリスの奴もさ、幻想郷に来た時私を見て、全然違うって言って大笑いしやがったんだ」
「そうなのか……」
「ちょ!魔理沙あんたそういう柄じゃないでしょ!!音頭取りなさいよ!!大きなルーミアが一気飲みよ!」

紫は魔理沙の頬をババァンババァンと強く叩き、酔いを覚まさせる。

「うっ…魅魔様、それはドル札じゃないです。それはぱぴゅーむです」
「いい加減におきなさい!」

魔理沙は、もう少しボケていたかったという不満顔で、渋々と乗り気ではないが手拍子を仕方なくし始めた。

「るーみゃのいいとこみてみたい!!!はい飲んで!飲んで!飲んで!飲んで!飲んで!!」
魔理沙の顔はまさに青春をしているかのような顔だった。描写するならかなりノリノリだった。

「ちょって待って。これは私が呑まなきゃいけないのかしら?」
「ええ、しかもそれアルコール度数かなり高いわよ。
暇なときに炎を操る蓬莱人に「偶然」「奇跡的」「天文学的数値の確立」でかけてしまったら業火のように燃えていたから証明だけはしてあげる。」

もう一人のルーミアはかなり戸惑っていた、何しろこの方生まれて初めて酒を飲むのだ。一年に一回しか出てこないので酒を飲む機会などありはしないし、
まず呑もうとも思ったこともない。

「ううう……」

仕方ない。小さな私が見ている。これでは示しがつかない。と決断を下し盃の淵に口をつけようとした時、
横から小さな手で大きな盃が横から引っ張られ視界から消えたと思っていると、

「かして!」
そこにはルーミアがもう一人のルーミアの代わりに目を瞑り「月隠し」を一気飲みをしていた。

飲み終えると同時に、ばたんと地面に倒れそうになったので、もう一人のルーミアが急いで重力に引かれていた体を私の腕の中で支えて
ルーミアの顔を見た。そこには頬を赤らめて「ふにゃふにゃ」と小さくいうだけの幸せそうな顔があっただけだった。

「あら、あなた結構自分を大切にしているのかしら」
紫は、少しにやけながら酔いつぶれているルーミアの顔を見ながら言った。

「さぁね……、でも私が私を心配してくれているのはありがたいお話ね。
自分が好きということは素晴らしいことだと思うもの。例え容姿が違えども」

「なんだよ。ルーミアお前ナルシストだったのか?」
魔理沙は横から口をはさむとルーミアは

「意外と難しいのよ。自分を好きになるって。あなただって私と同じ心境よ。昔のあなたと今のあなた容姿は違えど同じ「キリサメマリサ」でしょ?
あなたは、昔の自分を好き過去の自分から好かれるような人物になっているのかしら?」

少し意地悪そうにわざと穏やかに言った。魔理沙はこれを聞いてぐぅの音もでなかった。
しばらくすると、月を覆っていた闇が徐々に晴れてきて綺麗な満月はもうすでに斜めに傾いていた。

そしてもう一人のルーミアは小さなルーミアをおんぶすると、紫と幽々子に深く礼をした。
「今日は良くして貰って本当にありがとうございました」

「ああ、もぅ何言ってるのよいーちゃん。私たちはもう友達じゃない。そんな畏まって言わなくていいのよ。一度宴会すれば
それでもう友達よ。ねえ紫」

「そうね。また来年楽しみにしておくわ。あなたたちと飲むといろいろと面白かったしね。今度暇つぶしにでも御札の封印弱めておくわ」
紫と幽々子は、少し物惜しげにそういっていた。

もう一人のルーミアは、「異変が起ってもいいなら私もちょくちょく顔を出すけどね」と言って笑った。
「その時は、霊夢と魔理沙が貴女をふるぼっこにしに来るわよ?」

紫が少し厭味ったらしく言うと
「それは楽しみね」
もう一人のルーミアは苦笑いして返答した。

依然として
ルーミアは酒気帯びた息を静かにしながら、もう一人のルーミアの背中で幸せそうに寝ていた。

「では、そろそろ時間が切れる前に消失したらこの子に悪いから私たちはこの辺でお暇するわ」
「いーちゃん来年会いましょうね」

「またいらっしゃい。今度はスキマを破らずともちゃんと出てきてあげるから」
「まぁ、お前が寝ている間に私たちがいるからルーミアがやられることはまずないだろうから安心して寝てろ」

各々別れ際の友人にさよならの言葉を告げ、月が静かに沈みかけて、
空が徐々に灰色になってきている方角を見ながらしばらくその場を動かなかった。


――――月は沈み、再び日は昇る。それは日常だが、昨日とは全く違う風景。

明けの明星が東の空へ浮かんできた。
一日限りの、劇も終幕が近付いている。

私の腕の中にいる私はまだ起きない。
飛行のために少し邪魔になるので抱える形にした。

私は、東の端を目指していた。

私はもっとスピードを上げるために翼を広げ、夜明け前の空を羽ばたいていく。
羽ばたくたびに風を切っているのが分かる。まだ、はやく。まだ、はやく。羽ばたけ。

幻想郷の夜明けの前に、博麗神社へと向かう。
あの場所なら誰にも邪魔されずに済むだろうから。霊夢はちゃんと空気の読める巫女と聞いてるし。

しばらく飛んで、見えてきた。おんぼろ神社、博麗神社。
私は、その境内に落下し、落下し終える前に羽で風を起こし衝撃を相殺して無事着地をした。
石畳、灯篭が風で玉砕したけどかまわない。

腕の中の私は今の風でどうやら目を覚ましたようだ。

「うへぇ、あ、おっきな私おはよう」
「ええ、おはよう小さな私」

幻想郷に再び日がのぼり始めた。鶏たちも徐々に鳴きだしている。

「今年は楽しかったわ。あなたが周りからどれだけかわいがられているかわかったし、
何よりあなたを守ってくれている人たちがいて安心したわ」
「うん、魔理沙とか霊夢とか私より強いけど私とちゃんと遊んでくれてやさしいよ」

無垢の笑顔をルーミアはもう一人の自分へとみせ、抱きついた。
短く細い腕でもう一人の華奢な自分の体を強く抱きしめた。

朝日が昇ってきた、楽しい時間もすべて終わってしまう。
永遠などほとんどありはしない。それは全てにおいての共通点だ。

地平線からわずかに我出している朝日でもう一人のルーミアの金髪がより一層綺麗に輝き、黄金のような光を放っていた。

「甘えん坊ね」
「そういう大きな私だって抱きしめているじゃない」
「そうね。私も甘えん坊なのよ。私に似てね」

もう一人のルーミアの頭の御札が金色の粒子が出ているのがルーミアは気づいた。そしてその部分から体が消えて行っているのも。
そしてもう一人のルーミアの目を見たら、少し涙が溜まっていた。

「泣き虫だね」
「そうね、私に似てね」

もう一人のルーミアはルーミアを粉砕した石畳の上に自分の腕の中から、下ろした。
太陽がそろそろ半分以上登り始めている。そしてもう一人のルーミアの頭の輪はもう消えていた。
そして徐々に足元から金色の粒子となって消えていく。
ルーミアは涙を流していた。

「泣き虫ね」
「そうだね私だもん」

ルーミアはぐしぐしと服の袖で涙を拭うと、明るい笑顔で提案を一つした。

「じゃあ最後の思い出作りにさあれやろうよ!」
「ふふ、久しぶりにやるからうまくできるかしら」

もう一人のルーミアはもう膝元まで消えていた。

「霊夢、いるんでしょう出てきなさい」

もう一人のルーミアが霊夢を呼ぶと

側の林の陰から霊夢が、いつも通りの巫女服で、でてきた。
別段、もう一人のルーミアをみて驚くそぶりもしない。

「まったく、この石畳とかどうするのよ……」
霊夢は少しぼやいたが今回はあんまりとがめなかった。

「まぁ、時間ないっぽいからいうわよ。人は暗いところでは物がよく見えないのよ」

「あれ?でも夜にしか活動しない人間も見たことある気がするわよ」

「それはとって食べてもいい人間なのよ」


二人のルーミアは息を深く吸って、腕をぴしっとまっすぐに横に伸ばしていた。

太陽をバックにしているため無駄にその行動は神々しかった。二人の金髪が黄金のようにきらめき、太陽よりも眩しい光を発していた。

そして何回も誰もが聞きなれたセリフを二人は言い放った、

「そーなのかー」

もう一人のルーミアは片目を閉じてウィンクして、ちょっぴり舌を出してお茶目な恰好でそのまま言い放った。

「どう?聖者は十字架に礎られましたっていってるようにみえる?」

霊夢は、この時ほど魔理沙の奴空気読めてないなぁとか思ってたが、渋々と質問に代理で答えた。

「人間は十進法を採用しましたって見えるわね」

霊夢はやれやれと思いため息をついた。

「ちゃんと来年には石畳なおしなさいよ。お金だってかかるんだから」

「わかったわ。じゃあ小さな私そろそろ時間だから、また来年ね」

「うん!」

そう言い終えると、もう一人のルーミアの体は全て金色の粒子になり、

もう一人のルーミアがいた場所に残った金色の粒子がルーミアの御札の中に入っていき

いつも通り宵闇の妖怪はルーミア一人となった。しかしそれが日常。

だけども、ルーミアは昨日とは全く違う風景を感じながら今日を過ごすことになる。

少し子供らしさのあるルーミアにはきつい「待つ」という作業をしなければならない。

約束の日までその「会える」楽しみとその日まで会えないという「もどかしさ」

その二つをルーミアはこの一年間経験することになった。


――――1年後

「久しぶりね。小さな私。この1年いい子にしていたかしら」

「うん!だから早く石畳なおしに行こう!!」

「そうね。今年はこれが思い出ね」
おまけ


用務「えーっとこれは迷子になりましたね」
SUIKA「へい!そこの半霊ちゃん!私と一緒に酒を飲んで朝まで語りあかそうぜ!!」
用務「え?誰ですか?」
SUIKA「いいからいいからほら酒10升だ!これを飲むまで帰らさないぜ!」
用務「ええええええ!!?!」
SUIKA「朝までコースだぜ!」
そんなかんじで妖夢は帰ってきませんでした。

あやや「スクープですね!!!宵闇の妖怪にまさかの隠れ親発覚!!?もうこれは明日の一面決定ですよ!!!ああ、もうけたお金でもみじもみもみを存分に楽しみますよ!!ぐへへへ」
06「お客様、店の裏口までよろしいでしょうか」
―――その後、あややの行方を知る者はいなかった。
そんなかんじであの時霊夢は神社の林にいました。


どうも。徹夜でこれ今さっき書き終えた七月青夜です。ハロウィンにはその日限定で精霊とかが下りてくるそうです。じゃあハロウィンSSはEXルーミアしかないじゃないか!!と思い立って書いたはいいけどぐだぐだですね。まだまだ精進が足りませんね。では、「まだ10月31日だしwwww」って余裕を持って書いていた結果がこれだよ!!!な私でございました。
七月青夜
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コメント



0.680簡易評価
8.60名前が無い程度の能力削除
発想はとても面白かったです。小ネタも結構笑えましたし。
ただ、全体として伝えたいストーリーが見えてこなかったかな・・・と。
あと、あまりに改行が目立つ点と、句読点ミス?(「民衆が大勢いますので変に、にやけないでください」→「民衆が大勢いますので、変ににやけないでください」)が気になりました。
「徹夜で書き上げた」とのことですが、やっぱり公の場に出す以上は、何度か推敲することは必要だと思いますよ。
ただ、逆に言えば、もっと丁寧に書くことで、何倍も面白い話に仕上げることが出来たと思います。
これからも、頑張って下さい。
22.100名前が無い程度の能力削除
こんな俺得な作品に今まで気づかなかった…