Coolier - 新生・東方創想話

幻想、それは認めること

2009/10/23 23:11:41
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この作品は『現実~幻想』の続きとなっております。まずはそちらを











私はゴール出来なかった


『前』の世界は皮肉にも否定した
『今』の世界は皮肉にも肯定した


私が起き上がったとき、空間を裂いた一人の妖怪が姿を現した





――ようこそ幻想郷へ。ここにはあなたのような妖怪が住んでいるわ、
まあここで派生した妖怪もいるのだけれど。そして最後に一つだけ――

―幻想郷は全てを受け入れる。それはそれは残酷な話ですわ―




妖怪と人間が均等に存在する世界


妖怪が平常として存在する
神すらも存在する
皆様々な理由でここにたどり着いて存在する
『存在』とは私の今までの行動すらも森の中の一本の木のようにおぼろげな物とさせる。


『気』はただの能力となり
『気』はさほど世界に影響をもたらさず
『気』は気であり、直接的な影響は無いと
私は絶望した


これまで以上に私を殺しにかかり
これまで以上に厳しく生活し
これまで以上に自分が普遍的だと感じて
私は絶望した


私は皮肉にも追放され―幻想にも追放されている




前の世界では、私以外に生きとし生ける妖怪は存在していなかった
強いのは私であり
優しいのは私であり
世界を多く見てきたのも私であった
時は止まることなく進んでいく


あの世界では感謝された妖怪
この世界ではただの妖怪
あの世界では襲われる妖怪
この世界では殺されかける妖怪


世界と世界は、断絶される





それから私は時を重ねた
この世界で過去の過ちを繰り返さないようにした
故に私は自己を鍛錬する事が出来た
故に私はニンゲンにも優しくする事が出来た
自ら死に急ぐ事もできた
自ら生にしがみつく事も出来た
――前の世界より、世界は広がる気がした


妖怪たちは私の強さを知り
しかしニンゲンは私を妖怪だと人里以外では避け
妖精たちは私に構い
しかしニンゲンは声をかけることすらもしなかった
―世界は変わらない
だってここは前と同じで
―仮面を被ることを
それで私は優しくなれて
―許さない
でも妖怪はあやかしい物の怪であり続ける



生を実感するためにニンゲンの依頼でも受けることが出来た
ニンゲンは私を信用しない。しかしそれは利用できると
信用は無くても依頼だけは出てくる
殺人 退治 撃退 手伝い
私は何も考えずに
私は生きてる事を忘れて
ただ何かをしていた――――――





あるとき私はある依頼を受ける
―ある館の吸血鬼の退治
かなり遠く
かなり大きく
それは幼い幼い吸血鬼だという
依頼を受けた
そのとき私は何の感慨もなく。ただ漠然と依頼を承諾した
その旅には一月もかかった
常夜の妖怪に襲われ
氷精に凍らされ
妖精や、様々な妖怪までもが私を阻んだ
―私が生きている理由
―私がこうしている理由
―私が仮面を被る理由
私は歩みを進めることをやめなかった
―教えて
―理解して
―破って
一人で歩く草原
誰かに大切とされない事。大切にされること
どちらがこんなに辛くしているのだろうか
私の空間がゆがんで言った
私の足は交差し
私は目蓋を閉じた








――どうかしら?――
――残酷かしら?――


倒れた私はある場所ある時の家にいた
「気分はどうかしら?」
こんどはちゃんとした声で、裂けた世界から一人の女性が出てくる
「どうやらあなたをこちらに持ってきたのは望まれた事ではなかったようね、あなたにとっては」
私は頷く。
笑顔、嫉妬、妬み、暴力、建前、略奪、生、死
私は全てに疲れていった





何故私を救ったのかと聞いた時、答えはなんとなくというところだった。
つまり、なんとなくで、私は救われてしまったのだ
―ネガティブ思考はよくないわよ―
自分で何を考えているか分からない。整理がついていない
―ありがとうございます
「礼なんていいわよ。でもあなた、これからどうするつもり?」
思わず下を向いてしまう、もともと死亡することを望んでいた
「どうせ死ぬなら、吸血鬼とどんぱちやってみなさいよ」
―すっきりするし、死ねるから―
「あなたがどうするかなんて決められていない。あなたが選ぶこと、運命を手繰り寄せられるか、それとも引き込まれるか。それだけ」





吸血鬼に会うことを望んだ





私が立っているのは館のすぐ傍の木
―速やかに、殺すか死ぬか


「手繰り寄せたのは私の方だったようね」
木の上には吸血鬼が一匹


気の力で隣の木を叩き割る
ふわりと飛び、館の門へと飛び移る


「ここら辺の妖怪を全て蹴散らしたのはあなたが始めてよ、おめでとう」


私は月に沿う少女の姿を直視できなかった


「縁とは、かくも不思議なものなのね。異端者同士」


異端?
私は可笑しかった
力が抜ける


「あら、信じてないようね」


違いますよ
私は敬語で答える
私は拳に力を入れ、衝撃波を放つ。


「門を破壊するとはやるわね。でも、正確では無いわね」


「ここでは私の分が悪いので」


「ふふ、頭もいいのかしら」


「あなたに、一つ聞きたい。Yesならあなたを殺す」


「それは大胆な、Noなら?」


「それはそのとき」


「質問は?」


「悪魔の御当主、あなたに苦しみはあるか?」


「模範の妖怪、苦しみは運命とは関係ない」


気を使い相手の脚を固定
自分の筋肉を最大限に使い上空へと飛び立つ
目と目の先が合った時

「首がもげます」


爽快な一発
首がもげるとまでは行かなかったが確かに首の骨が折れる音がした
それで終る
まだ私は死ねないのか


「痛いわね」

少女の声が木魂する
振り向いた先には満面の笑顔
僅かに吐血した口元


「気の操作、気の固定。なかなか出来るもんじゃないわね」


私が殴って生きている
それは脅威


「もう一度同じ事を」


「無駄よ」


足を固定する。抵抗はしない
またも上空に飛ぶ
そして今度は気を込めて叩き潰す


「あなたは死ねるわ。それも確実に」


私の体は赤い紅い物で貫かれた


「はぁ――、はぁ―」





「あらあら、自分でも貫かれたと思ったの?」


よくみるとかすっていただけであった。
しかしこの痛みは自分に容赦なく直撃する


「気とは便利ね。痛みすらも無くせるんでしょ?ね」


そんな事は出来ない
疲労が蓄積する
何なら今正に倒れそうだ


「吹き飛びなさい」


そのまま槍の柄で私の体を吹き飛ばす。それに私は逆らえず、反対の塀と塀の間に挟まる形で直撃する


「難儀な事ね。人間に使われ、人間に感謝されること無く死ぬ。苦しみはあなたに容赦はしない」


一歩一歩と近づく


「運命は回り続ける。それは一人いなくなった程度では止まらない」


私の前に影がたどり着く


「お前の望は何だったのだ?」


槍を仕舞い、腕を組む。


「私は……」


私はこれで死ぬのだろう
でもこれだけは言っておきたい















「背水の陣」


塀に囲まれた私と悪魔
条件はこれだけで十分だった


手から目いっぱいの力を周りの塀に送り、そして塀ごと…



「ま、まさか!」
初めて
悪魔は驚いた表情をした
そして悪魔は翼を広げ飛ぼうとする。しかしその前に


「逃げれない道。避けては通れない道。それは私を真っ直ぐに見させてくれる」




―叩き潰せ―




最大の気を込めて、塀を悪魔にぶつけ、悪魔を潰した


―ガコン


悪魔は目を閉じて


―ガコン


私の目の前に


―ガコン


夜を背景に


―ガコン


「これで終わり?」







倒れることは無かった


悪魔は目を閉じたまま、否。明けられないのだろう。仁王立ちをしていた


「もう、背水もなにも無い私は負けです」


これで私は諸手を上げれる


「ふ~ん」


悪魔のほうを見ると、強がっているが片腕と片足は全て潰れていた


「あんたさ、本当は何が望だったの」


レミリアは私の隣に座り込む。敵意は感じられない


「私は―――」


私がしたかったこと
私がしていたこと
私がされたがっていたこと


――それは全て一つの事に向かっていたのではないか――














「誰かに、『認めて』欲しかったんだと思います。感謝も憎しみも……超え…た」


―私の意識は薄くなる


眠い


―これは新しく目覚めることも無い


横の悪魔はこちらをじっと見つめる


―おやすみなさい










目を開けるとそこは幻想郷だった

「ええ!!」

私は突拍子も無い言葉で起き上がってしまった。


私は生きていた。それどころか今私がいる世界のまんまで


「死んで…ない」

「あなたにはもう認めてくれる人を見つけたわ。死ぬ必要も無い」


認めてくれる人


「だれ…です「私よ!!」


目の前の悪魔は胸を張ると


「このレミリア・スカーレット、あなたを門番としての才能を認める。つまり」


レミリアはきょとんとしている私を見た後


「生きて私に仕えない?」


と、遠慮がちに聞いてきた


「館の掃除は…」


「認めない」


「館の修繕は…」


「門番にした後認める」


「じゃあ門番で…いいんですか?」


「決まりね」


























「美鈴また…」

咲夜が窓際から観察する。美鈴は妖精の子供達相手に曲芸を披露していた
咲夜は自分の隣に立っている、レミリア・スカーレットに対して

「美鈴を他の所にやるべきでは」


「拒否するわ」

その意見はあっさりと蹴られた


「だって美鈴は…」


レミリアは満足そうに笑いながら








「『私が認めたもの』」













幻想郷は今日もいい天気だった
ありがとうございました

knowです。
美鈴にこんな過去がという妄想から始まったものでした
背水の陣のグングニルしか出せなかったのは少々残念でしたが・・・
know
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コメント



0.440簡易評価
2.70名前が無い程度の能力削除
配水になってますね
6.無評価know削除
>>2さん
ご指摘ありがとうございます、修正しておきました。