Coolier - 新生・東方創想話

酒と鬼とそれから恋

2009/10/01 02:00:16
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この作品は萃香のキャラが原作と違います。

それを理解した上でお読みください。

















「今年も見事に咲いたな」

厳しい冬も無事に終え、春が顔を出した今日この頃。

僕としては嬉しい限りなのだが、

霊夢や魔理沙からしてみれば、寒いのが暖かくなっただけで

何らいつもと変わらないそうだ。

異変が無い限り宴会で騒ぐか、グータラしてるかのどちらかなので、

変わらないのも頷ける。

ちなみに今日も宴会があるそうで、彼女たちは来ないらしい。

魔理沙はともかく、霊夢は巫女らしく振舞ってほしいところなのだが、

彼女曰く「参拝客が居ないと盛り上がらないわ」だと。

妖怪が集まるのも1つの理由だが、あれだけグータラだと

新しくできた神社に信仰が集まるのもわけないだろう。

もう1つの神社…守矢神社と言ったか、

そこは博麗神社とは対照的に、信仰を集めるのにえらく熱心である。

元々信仰の為に幻想郷に来たそうだから、

逆に熱心にならないと様にならないといった具合であった。

「…すけ…りん…霖之助!」

「おや、びっくりするじゃないか。どうしたんだい?」

目の前に突如出現したのは、自前の酒を抱え、

少し不満そうな顔をした萃香だった。

「前からいたんだから気づけよ!」

「すまないね。考え事をしてたんだ」

目の前の萃香は無視されていると勘違いしてるのだろうか。

「まぁいいけど・・・それよりなんかない?」

「なんかとは?」

聞く前より大体想像はできるが…。

「酒」

酒以外に興味を引くものがないのが残念だった。

「ふむ・・・。あるにはあるが、お金はあるのかい?」

「ないよ?」

そんな当たり前のような顔をされても僕も困るんだが・・・。

「そうかい、だったらお金を持ってから来るんだね。出口は後ろだ」

「お金じゃないと駄目なのか?」

「買う物と対等な物を持ってくれば売ってあげるよ」

お金限定にしてしまうと、客の数が激減してしまうのである。

そうなると、客と言える客が紅魔館のメイド長ぐらいになってしまう。

霊夢と魔理沙は論外だが。

「だったら、あたしの酒と交換しよう!これはこれでイけるからな」

萃香の笑顔はチルノの「あたいって天才ね!」の時の、

輝かしい笑顔に酷似していた。

「鬼の酒か・・・。しかしその酒は無限に湧き出るという。

 それだとまだ足りないな」

確かに鬼の酒も魅力的だが、こちらは無限ではない。

無限に出る酒とそうでない酒。

差がというよりタダであげてるようなものだ。

「君の瓢箪と交換なら考えるけどね」

「これはダメだ。鬼の宝だからな」

我侭な鬼である。しかし彼女に、

まだ価値のある物を持ってるとは考えにくい。

「申し訳ないが、それだと売れないね。回れ右をして歩きたまえ」

「ダメなのか…。うまそうな匂いだったのに・・・」

鬼は酒の匂いまで嗅ぎ分けれるのか。

「だったらこういうのはどうだろう。

僕は鬼の事について詳しく知りたい。その情報料は僕の酒ということだ。

もちろん鬼の酒ももらうがね」

決して彼女のしな垂れる肩を見て情に入ったわけではない。決して。

「本当か!ありがとう、霖之助!」

「げふぅっ!?」

突如、彼女は嬉しそうな顔をし霖之助に激突してきた。

普通の人間の子がやるなら可愛げもあるだろう。

だが、考えてほしい。彼女は鬼だ。

鬼の力はいとも簡単に山を吹き飛ばしてしまう。

そんな力を持った鬼が激突してくるのだ。

下手すれば死にかねない。

「大丈夫か!死ぬな!」

笑顔で言われても恨みが募るだけだよ。

「げほっ、ごほっ。大丈夫だから降りなさい」

今の体勢と言えば、僕が倒れてその腹の上に彼女が乗ってる感じだ。

彼女は大人しく僕から降り、いかにも酒を楽しみにしてる顔だった。

「早く!早く!さーけ、さーけ♪」

分かりやすく例えるなら、

おもちゃを楽しみにしてる子供といったところだろう。

「分かった、分かった。少し待ってなさい」

彼女を落ち着かせると、酒の入ってる倉庫へと向かった。





「これとこれと・・・あとこれもか」

鬼の事を聞けるのはいいが、その情報料は高くつくな・・・。

僕が言い出したのだから仕方ないのだが・・・。

「霖之助ー!まだかー?」

奥から萃香の声が響いてきた。

あの子は我慢というのも覚えられないのか・・・

「霖之助ー!」

「今持っていくから静かにしようね」

いやはや・・・。





「お!持ってきたな」

「君が催促するから大急ぎでね」

霖之助の手の中には一升瓶が4つあった。

「そう言うなって。あたしだって早く飲みたいからな」

どうしてこう幻想郷の少女は我侭なのだろうか。

「それじゃあ飲もうか」

「おう!かんぱーい!ってやつだな!」

「君と乾杯することなんてないよ」

何に乾杯せろというんだ・・・。

「そう言うなって。一度くらいしたいじゃないか」

「宴会でしてるだろうに・・・。まぁいいか」

乾杯というのは普通何かを祝う時に使うものだ。

こんな場面で使う事ではない。

鬼と人との乾杯ならとうの昔にやり終えてるだろう。

「じゃあそうだな・・・あたしと霖之助の出会いにかんぱーい!」

「かんぱーい・・・」

飲む前から疲れてきてしまった。





萃香からは色々な事を教えてもらった。

まだ人との共存をしていない頃の鬼の事や、

どうして鬼が減ってしまったなどを知った。

もう何時間飲んだだろうか・・・。

既に僕は限界まで飲んだ気がする。

だというのにどうだ。彼女はまだ少し赤くなった程度しかない。

さすが鬼というべきか。鬼の事を知るからとは言え、

もう鬼とはできれば飲みたくない。

「霖之助?」

「どうしたんだい?」

彼女は少し潤みかかった目で霖之助を見つめてきた。

「迷惑だったか?」

「そう思うなら今度はお金を持ってくるんだね」

「う・・・ごめん」

彼女なりに考えていたんだろう。

「冗談だ。鬼の事を知れてよかったよ。ありがとう」

そういうと霖之助は彼女の頭を撫でていた。

すると彼女は急に顔を真っ赤になった。

「あっ…」

「どうしたんだい?具合でも悪いのか?」

手を頭から退けると、彼女は何か言いたそうな顔をしていた。

「う、ううん・・・何でもない。それよりさ霖之助」

すると彼女は霖之助のところへ寄ってきて、

「鬼の事どう思う?」

と言い出した。

「鬼の事?そうだね・・・昔は色々とあったのかもしれないが、僕からしてみれ

 ば、とても情の深い生き物だと思うよ」

鬼とて無差別に人を殺してるわけではない。

もちろん歯向かってきた者は言うまでもないが。

「じゃ、じゃあさ。その・・・鬼が人や妖怪を好きになるのは・・・?」

彼女は何を言いたいのだろうか、それは彼女しか分からない。

「どうしてそんなことを思うんだい?」

「ほら、鬼って昔はひどかったろ?今はそうでもないけど・・・。

 だからさ、鬼は恋しちゃいけないのかなって思って」

「確かに昔は今とは違った。でもね、生き物が恋する事に誰も文句は言えない。 
恋は自由だ。僕は素敵だと思うけどね」

そう言うと彼女の顔が輝いたように笑顔になった。

それは人間の少女と何ら変わらない、可愛らしい笑顔だった。

「そ、そうだよな!うん!」

「何に納得したかは知らないが、喜んでもらえてよかったよ」

酔っているせいなのか、霖之助は自然と笑みを零していた。

「う、うん・・・ありがとう」

彼女も酔っているのか、または別の理由か、

首まで真っ赤になっていた。

「じゃ、じゃああたしは帰るから・・・」

と言い、歩いて帰ろうとするがフラフラとよろけてしまう。

「そんなんじゃ危ないから今日は泊まるといい」

その発言を彼女がどう解釈したかは知らないが、

「え?あたしと?別に嫌じゃないけど・・・でも順番もあるし・・・」

少なからずその可能性は皆無だろう。

「じゃあ布団敷くからね」

「う、うん・・・」

布団を敷き終えると、

「霖之助・・・」

と言いながらすぐに眠ってしまった。

「寝顔だけなら天使なんだが・・・」

そう言うと霖之助も隣で寝てしまった。

翌朝、中に入ってきた魔理沙が店を半壊したのは、

酒に溺れたい出来事だったということは、言うまでもない。

萃香が帰る直前に、

「あたしは諦めないからな」

と言ったのだが、多分彼には分かるまい・・・。
えーと、萃香が壊れました。

全国の萃香ファンの方すいませんm(_ _)m

でも私的にこういうのもタマにはいいかなと思っています。

最初は勇儀を考えてたんですが、どうも接点がアレなので・・・。

はい、霖之助LOVEですが、それが何か?
白黒林檎
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コメント



0.1510簡易評価
10.50名前が無い程度の能力削除
う~ん~なんか唐突過ぎるな。もっと前振りと中身を充実して欲しかった
11.50名前が無い程度の能力削除
霖之助好きなのはわかりますが、ちょっとばかし過程を端折りすぎな気がします
萃香程の実力者が惚れるだけの魅力がちょっと感じられないですね
19.無評価白黒林檎削除
確かに少し唐突ですね…。

分かりました。ありがとうございます。
22.100名前が無い程度の能力削除
俺のほうが霖之助好きだし!

萃香よりも白黒林檎さんよりも好きだし!

でも萃香可愛いよ萃香
霖之助も可愛いよ霖之助
24.80名前が無い程度の能力削除
確かに萃香のキャラが違うが、白黒林檎さんの
霖之助LOVEは十分伝わった。
27.100名前が無い程度の能力削除
俺は面白いと思ったよ。