Coolier - 新生・東方創想話

妖怪の、正体みたり、――

2009/09/24 21:21:07
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 ずるり、べたり。
 ずるり、べたり。

 夜の道を、音と共に行く影が在った。
 奏でる音は二つ。
 重く湿った物が跳ねる音と、何かを地に擦る音だ。

 ずるり、べたり。
 ずるり、べたり。

 影は行く。
 ううう、うううと呻きを上げながら。
 針山にされた体を、庇いながら。

「夜でも驚かないなんて、あの巫女、本当に人間……?」

 呟く疑問は誰の耳にも届かず。
 目撃者の記憶には、恐怖だけが残された。

  *

 ずるり、べたり。
 ずるり、べたり。

 それからいくつかの昼を越え、迎えた夜。
 音と影は、再びその姿を現した。

 ずるり、べたり。
 ずるり、べたり。

 影は行く。
 ううう、うううと呻きを上げながら。
 熱線に炙られた体を、庇いながら。

「夜でも笑ってるなんて、あの魔女、本当に人間……?」

 呟く疑問は、やはり誰の耳にも届かず。
 目撃者の記憶には、恐怖だけが残された。

  *

 ずるり、べたり。
 ずるり、べたり。

 それから更に、幾度目かの夜。
 影は再び姿を現し、宵闇に音を響かせ、歩く。

 ずるり、べたり。
 ずるり、べたり。

 影は行く。
 うくく、うくくと笑みを漏らしながら。
 どこも痛まぬ体を、それでも重そうに引き摺りながら。

「こんなのを怖がるなんて……人間って、案外チョロいのね!」
「いえ、そうでもないですよ」
「!?」

 呟く言葉は、誰かに聞きとがめられた。
 振り向けばそこには、山の巫女。

「正体不明の妖怪が出ると聞いて飛んできました」
「あわ、あわ、あわわ」
「でもまさか、貴方だったなんて……お久しぶりですね、小傘さん?」
「あわぁー!」

 影は走る。
 さでずむに狂った巫女から逃げるため。

「それじゃ、さっくりやられちゃってくださいな」

 だが、巫女がそれを見逃すはずもなく。

「妖怪退治って、素敵ですよね! 楽しい上に、信仰まで増えるんですから!」
「ぎゃーっ」

 人間って、怖い――

 小傘の心には、恐怖だけが残されたのだった。
お疲れ様でした……というほどの文章量でもありませんが、
ともあれ、お疲れ様でした。
この哀れな小話は、これにて終いとなっております。

二度、小傘の話を綴ろうとしましたが、力及ばず、
「えいや、三度目の正直だ!」といった気概に任せ、
出来上がったものが今回のお話です。
まさに三度笠。笠違いだけど。

あの子を見てるとなんだかいじめたくなってくるのは、
きっと自分だけではないはずだと、堅く信じております。
新戸
[email protected]
http://bloodletters.blog64.fc2.com/
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コメント



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1.70名前が無い程度の能力削除
小傘ちゃん…
目の付け所は、良かったと思うのだけども
7.80名前が無い程度の能力削除
あわれなり小傘…
さでずむ腋祝コワイネ
13.80名前が無い程度の能力削除
さでずむとはたぶん儚さがにおいたつような儚さが本人はヒッシで普通っぽくしておさえようとしてても
その仕草とモニングシャンプーの馨りとらんらんおめめとツルツルのわきの下と風とくすりの

ああ!なんで伝わらないかなあ!?
14.100名前が無い程度の能力削除
暗黒面に堕ちた風祝オソロシス・・・
小傘ちゃんがんばれw
15.90名前が無い程度の能力削除
たしかに小傘はいじめてオーラ出してるよなぁ
20.80名前が無い程度の能力削除
小傘はかわいいなあ