Coolier - 新生・東方創想話

それは光の如く舞う

2009/07/28 01:48:59
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 鳥の声。

 あぁ、朝だ。そう思いながら私は目覚めた。

 目覚ましがなくても、私はいつも同じ時間に目が覚める。私の体内時計が目覚まし機能を備えているのか、小鳥達が定刻に私を起こすのか。理由は良くわからないが、とにかく私はちゃんと起きるのだ。

 部屋に掛かった時計を見る。――7時50分。今日もいい感じだ。

 私は周囲から早起きだと思われているらしいのだが、実はそうでもない。早起きの基準が何時なのかは知らないが、8時ちょっと前はどう見ても早起きとは言えないだろう。

 私はベッドから立ち上がると、大きく伸びをした。そしてカーテンを開ける。

 窓から朝の眩しい光が入ってきて、私は思わず目を細めた。窓の近くの木の枝で小鳥達が踊っていた。美しい声で鳴きながら、軽快なステップを私に披露した。

 いい天気だ。心も晴れやか。

 小鳥達は羽ばたいた。それは朝の神々しい光の中で舞い、そして空の中に飛び込んで行った。

 窓を閉めて部屋の中に入った。

 私はいつものように、服を着るなどの朝やるべきことを済ませた。いつものことなので特筆することはない。全くもっていつも通りの朝である。正確に言えば、足の指を物にぶつけてしまって苦しんだが、それを除けば完全なるいつも通りの朝である。

   ◇

 私は外に出た。気持ちの良い朝だ。

 私は毎朝、散歩に出る。ゆっくり、のんびり、この美しき幻想郷の景色を見ながら歩くのが、私は好きだった。

 しかし、そんなことは普段の私からは想像できないだろうと思う。いつも動いている、というイメージを私は周囲に持たれているらしいのだ。

 まぁそのようなことはともかく、私はぶらぶらと歩いた。その結果、まず辿り着いたのが神社であった。巫女さんはまだ夢の中だろうか。

 小銭を持っていたので、私はそれを賽銭箱に入れた。その音は「チャリーン」ではなく「カランカラン」なのだろうなと私は思った。

 私は神社を出た。――何をお願いしたのかって? もちろん「幻想郷が平和でありますように」だ。

 私は散歩を再開した。幻想郷の景色は自然の素晴らしさを私に訴えかけ、毎日散歩をしていても飽きることはなかった。木々は静かに私を見下ろしていた。

 次に訪れたのは、チルノ達がよく遊んでいる湖だった。もちろんこの時間には誰もいなかったから、私は大きな湖を存分に眺めることができた。

 そうだ。この湖を一周してみようか。

 湖はとても大きく、1周するのに1時間は掛かると言われている。しかし私は歩き始めた。湖の周りを散歩するのは初めてのことなので、私は新しいことに挑戦する子供のような気持ちになっていた。

   ◇

 そして今、私は帰宅した。私の体は疲れなどを一切訴えなかった。私はタフなのだ。

 多くの仕事が私を待っていたので、私はそれを片づけることにした。掃除、洗濯、などなどである。

 食事を作り終えて、全ての仕事が終わったのはそれからかなり後のことであった。

 私は、ふぅ、と一息。仕事を終えた後は、やはり清々しい。

 時計を見ると、7時55分。

   ◇

「朝ですよ! おじょ――」
「わかってるわ!」

 レミリアは叫ぶようにして言った。私が部屋の外で待っていると、レミリアが部屋の中からゆっくりと出てきた。朝のレミリアからはカリスマを欠片も感じることができず、子供のようにしか見えなかった。

「おはよう、咲夜」
「おはようございます。朝食の準備はととのっております」
「ええ」

 時計の針は8時10分を示していた。これが朝の8時であることは言うまでもなかろう。

「今日はどこかお出掛けになりますか」
「そうね……」
 レミリアはちょっと考えて、それからこういった。
「散歩に行きましょ。――湖の周りなんてどう?」
 もしかしたら咲夜は、またかと思ったかもしれない。しかし咲夜は笑顔で言った。
「はい。喜んでお供致します」
 こう言うところは、やはり流石の咲夜なのである。
 
読了ありがとうございます。短めです。

テーマは、咲夜さんの意外な一面です。レミリアが見ていないところで、咲夜さんは色々頑張っているのだと思います。

どの辺で咲夜さんだと気がつきますか? 「なのだろうなと私は思った」でわかってしまいましたか?
丸ひ
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魔理沙だと思った俺涙目
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美鈴だと思った俺も涙目