Coolier - 新生・東方創想話

梅雨に氷精降ってきた

2009/06/17 23:13:48
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「また今日も雨かぁ・・・」

雨が縁側で一息つく私の邪魔をする

最近梅雨入りしたと鴉天狗が言っていた気がする

「ジメジメして困るのよね・・・もう」

そのままでいると濡れてしまうので部屋の戻ることにした

したのだが・・・

―――ゴスッ!!

あれ、何か聞こえた

いやいや気のせいよね

「れ、れいむぅー・・・」

「・・・・・」

何かが私を呼んだ

いやいやそんなはずはない

だって此処は私の家だし・・・・

外からならともかく、どうして居間から聞こえるのだろう

「れ、れい―――」

―――ゴスッ!!

「ひっ」

不覚にも奇怪な声をあげてしまった自分に赤面した

意を決した私はそっと戸に手を掛け

勢い良く開けた

そこには・・・・

「・・・・・」

「ぁーぅー・・・」

なにやら呻いている「ソレ」は、とても苦しそうに言った

「あついよー・・・れいむぅ・・・」

「チ、チルノ!?」

「ぅー・・・」

氷精チルノは全身から湯気の様なものを出しながら地べたに突っ伏していた

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「むぅー・・・」

私はただひたすら天井に空いた大穴を見つめる

「これ、どうしよ」

幸いにも雨は止んでおり、居間は濡れていない

あの後チルノを和室に運び、看病していた所、かわいい寝息をたてながら寝てしまった

あの子のことだ、雨にも関わらず外で遊んで風邪でも引いたのだろう

「―――っとこんなことしてる場合じゃなかった」

自分が何しに台所に来たのか忘れてしまうところだった

とりあえず、なにか食べさせて体力つけてもらわないとね

おかゆでも作ろうかな

食べやすいしね

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「あら、起きてたの」

「んー・・・うんー・・」

寝ぼけているのだろうか、何やら譫言のような事を言っている

「ほら、おかゆ作ってきたから食べなさい?体力つけて早く治さなきゃ」

土鍋の蓋を開けると、おかゆ独特の香りが食欲をそそる

あやうく自ら食べてしまいそうになるくらいだ

「れいむぅー」

「ん?」

「あー・・・」

・・・・・

「・・・食べさせてほしいの?」

無言でチルノは頷く

しょうがないなぁ

さすがに病人に無理させてまでなんて私にはできないしね

それに、なんだかこの子かわいいし

「ほら、もう少し口開けないと入んないわよ」

「んー」

はむっと一口

「どう?おいしい?」

「おいひぃよー」

100点満点の返答だった

我ながらこのおかゆは自信作だったのである

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「ごちそーさまー」

「お粗末様でした」

そんなこんなで食べ終わり、この子も覚醒したようだ

しかし風邪は風邪、あんまり元気はないらしい

「それにしてもアンタが風邪とはねぇ・・・」

「なによー」

力の無い返答にいつもと調子が狂ってしまう

「んーん、何でもないわよ」

「むぅ・・・・」

噛み付いてこないところ、余程体にこたえているようだ

あんまりからかうのも良くないわね

ふと、外を見る

空は雨雲、また一降り来そうだった

「ねぇチルノ、今日泊まっていかない?」

「ふぇ?」

ほけーっとしてる顔もまたかわいい

「アンタ、そのままで飛べる?」

んっとチルノは体を起こそうとするが

「・・・無理っぽい」

「でしょ?」

この子の仕草が面白くて、つい笑みがこぼれてしまう

「ほら、寝なさい?いつまでも起きてると治るものも治らないわ」

「はぁーい」

少しだけ不満そうな声をあげながらも、素直に布団を被った

「・・・さてと」

まだ仕事が残ってたわね

屋根、直さなきゃ

そのまま立ち上がり、和室を出ようとする私を、掠れた声が呼び止めた

「れーむ」

「なぁに?」

チルノは恥ずかしそうな表情をし、一向に口を開こうとしない

「どうしたの?」

「あ、あのね・・」

布団に顔を埋めながら言った

「あたいが寝るまで・・・その・・、傍に居てほしいな」

―――――――――――トクン

私の中で、なにかが弾んだ

チルノはそのまま布団に隠れてしまう

私はその布団をどけながら

「良いに決まってるじゃない」

―――――――トクン

チルノの表情がぱぁっと明るくなる

―――トクン

「あれ、れいむ顔あかいよ?」

「そ、そんなことないわよ!」

しまった、動揺してしまうとは・・・

チルノは不思議そうに私を見つめてくる

「ほ、ほら、早く寝なさい」

「ん」

チルノはそのまま目を瞑った

寝息を立てている所、もう寝てしまったらしい

「・・・・」

それにしてもかわいい寝顔だ

「私も少し寝ようかしら・・・」

屋根の修理はまた起きてからでいいだろう

私はチルノの隣に横になった

「ん・・・ふぁー・・」

睡魔は直ぐに襲ってきた、私もなかなか疲れていたらしい

私はそのまま眠ることにした

右手がなにか冷たいものに握られたので

きゅっと握り返しておいた


幻想郷の梅雨はまだ、始まったばかりである



fin
どうも、ものくろです。
私的にれいむ×チルノはジャスティs(ry
ほのぼのにしたいなって思いましてw

感想、指摘なんでも受けるのでよろしくです!
ものくろ
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コメント



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10.100名前が無い程度の能力削除
GJ
13.100名前が無い程度の能力削除
ここで終わりだなんて。
是非とも続きを。
17.100名前が無い程度の能力削除
短いけどよかった
34.100名前が無い程度の能力削除
俺もレイチルがジャスティスだZE
55.100名前が無い程度の能力削除
ほのぼのいいですね