Coolier - 新生・東方創想話

ある妖狐のレンタル事情

2009/06/16 15:37:08
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目が覚めると


そこは



地下室だった












「...はい? 」







天井に吊り下げられた小さなシャンデリアが振り子運動をしながら照らしている現在地。その下で、たった今目を覚ましたばかりの九尾の妖孤こと、八雲藍。
起きてから感じてあったもふもふの違和感を確かめると、そこには尻尾の一本を抱き枕にして眠っている破壊っ子。もとい吸血鬼っ子。
よほど気持がよいのだろうか、しっかりと両腕で抱え、ふやけた寝顔を浮かべている。
こんな普段の生活場から一転している、ありえない状況でも比較的落ち着いている藍。
慣れは恐ろしいものだ。
とりあえず、いつものように記憶をさかのぼることにした。
昨日はいつものように見回り、洗濯、朝食、掃除、昼食、買出しを一通り行ってから博麗神社に向かい、宴会の準備を手伝った。未だに八雲家に寄生中の博麗神社の巫女に泣き付かれ、守矢の巫女と共に手伝った後、宴会へ突入。宴会には藍はもちろん霊夢や橙、主である紫も参加していた。


十中八九、今の状況の原因に関係しているであろう。


両耳が力なくだらんと垂れる。そして自身の主の名前をこぼす。
これまた当然のように隙間が現れて、そこから身を半分乗り出してあらわれた紫。
そんな主に、藍の半分「何やってるんですか」半分「橙は大丈夫なんですよね」と言いたげな視線が突き刺す。が、効果はないようだ。それどころか実に楽しそうである。
「とりあえず、説明してもらえますか」
「はいはい、分かったからそんな怖い目やめなさいよ。ゆかりん怖い」
「すみませんが少々二日酔いで、しかも近くに橙もいないので手短に話していってください。正確にはかかわりたくありません」
「ちょ、藍ひどいわよ。そんなこと言うならゆかりん話しません」
「ではこれからは炊事洗濯他もろもろ、ご自分でお願いします。あ、橙はこちらに呼びますので」
「すみませんでした。マジすみません。調子乗ってました」
「で、これくらいでいいですか。二日酔いは本当なので、そろそろ本題に行ってほしいのですが」
「もう、藍は相変わらず真面目ねぇ」
さもつまらなそうにそういうと隙間に腰をかけことの発端を話し始めた。
「昨日の宴会で、ここの吸血鬼と簡単な賭けごとをしたのよ。はいはい、分かったから。いいじゃない別に、宴会だったんだから。それで、たしか、昨日は、そうチェスだったわ。チェスをやったんだけど、あの吸血鬼思いのほか強くって。ついつい本気を出しちゃった。なによ藍、その顔は。で、何をしようか考えたらちょうどそこの妹っ子がいたから、何かあなたのお姉様にお願いでもあるかしら、って訊ねたのよ。そうしたら、「あの時の妖孤に会いたい」っていったから。一週間ほどレンタルで出しちゃった。てへ」
「てへ、じゃないです! なにやってくれてるんですか! 私の意思はどうなるんですか! 」
「静かに。そこの妹っ子が起きちゃうじゃない」
はっと見ると、どうやら起きる気配は微塵もないようだ。よほど寝心地がいいのだろう。
こうしてみると、普段は悪魔の妹やら気がふれているやら言われているフランドールも、橙と同じ幼い娘に見えるのだから不思議なものだ。あくまで見た目は、である。
「かわいいでしょ」
「今はそんなことは置いておいて。大体私がレンタルされている間、誰が橙や霊夢の世話をするんですか。あと紫様も」
「最近のその扱いにはさすがに私も心が痛くなるわよ。ま、そういうだろうと思ってね。しばらくは私が家事とかしておくから」
「紫様がって、そんな一週間もそのようなことを主にはさせられません」
「さっきは炊事洗濯ほか諸々私に押し付けようとしたくせに。全く、あなたって変に硬いわよね。そう育ってくれてうれしいのはうれしいんだけど、そんなんじゃまたいつ体を壊すやら」
うっ、と顔を歪ませた藍。紫の指摘がぐっさりと刺さる。確かに昔、無理がたたって体を壊した時期があった。藍自身、悔しくそしてなにより恥ずかしい記憶である。
「それにあなたは式神であってここのお嬢様と従者のような関係じゃあないんだから、そんなに厳しくなくてもいいのよ」
さらに、常日から愚痴のように指摘されていることも言われ、だんだんと防戦となる藍。
実際、藍が家事などを行っているのは紫が命令しているわけではなく、藍自身が進んで行っていることである。もちろん、そのほうが楽なため、藍に任せている形ではあるが、それでもたまにはそういうこともしてみたい、らしい。そのほとんどは藍によって止められている。
「まぁこの機会に、休暇というわけで、一週間お世話になりなさい。ここなら一流のおもてなしのはずよ。リゾート気分。」
「悪魔の館という点を除けば、ですがね」
「あなたが気にするほどの問題? 」
「......橙は」
「橙なら友達と『きゃんぷ』とかするって言ってたし、心配ないでしょう。霊夢にしたって一通りのことなら一人でできる子でしょうし」
「.....結界の見回りは」
「あれは元々私がやってたものでしょ」
「....紫様の世話は」
「どこぞやのわがままじゃあるまいし」
「...わかりました」
折れた。結局休暇ということで丸く収められた。そもそも休暇というのは休むためにあるべきものであるが、はたしてここでそんなことが可能なのだろうか。
藍の紅魔館一週間在住が決定すると、低音が響きドアが開いた。入ってきたのはここの主、レミリアだった。
何よりも威厳を重んじているレミリアにしては珍しく、半開きな目に所々跳ねた髪。いつもは凛々しい背中の翼も心なしか垂れ下がって見える。
いつもはそばにいるメイドも今はいない。加えてあくび。もちろん口は隠して行う。レディのたしなみである。
「ま、そういうことだから後はよろしくね」
「はいはいわかったからさっさと出て行けこのすきま」
しっしと手を払い紫を追い返した。じゃあね~というしばしの別れの挨拶を残し、隙間妖怪は隙間の中に消えていった。
残された妖孤は疲れがどっと来るのを感じ、二日酔いと混ざり合って気分は絶嫌調である。絶嫌調ってなんだよと自分で自分のぼけにツッコムのも忘れない。なら主のボケにもツッコんでもよかったのに。
そんなどちらかというと意気消沈な藍を見ながらレミリアはぼそりと呟いた。
「おなか減った」
「確実に今の状況で私に向けて言うセリフではないな」
「減ったのだからしょうがないじゃない」
「あまり聞きたくはないのだが、私にどうしろと」
「血」
「そういうことは自慢の従者に頼むことだ」
「ちょうどいまうちの自慢の従者は瀟洒タイムが終了してて門番とこで仲良くやってるから無理ね」
「こんど私も美鈴殿にマッサージを頼むことにしよう」
「一回上腕二頭筋のみで1dL(デシリットル)の血液よ」
「上腕二頭筋限定はおかしいだろ」
「一家に一匹紅美鈴」
「ぁぁ、二日酔いなので難しいのには触れんぞ」
「渾身の一句だったのに」
「句になってないだろ」
「霊夢に習って自由律を嗜んでいるの」
霊夢が自由律なのはそのほうが簡単だから、らしい。ちなみに藍は定型である。そして蛇足に、藍はたまに文々。新聞にて最近新しくできた「蓬莱先生の輝ける夜」という俳句、短歌コーナーに投稿したりしている。このコーナーは、意外とレベルも高く先生も的を得た指摘やアドバイスを行っているため、人気も出始めている。藍の作品も数回紹介された。
「おなか減った」
「言っておくが血はやらんぞ」
「今は血よりも噛むものよ。それに妖怪の血は当たり外れが大きいから嫌い」
「じゃあ血なんて言うんじゃない」
「だれも吸血するなんて言ってないじゃない。あなたの早とちりよ」
その割には目がマジだったりする。少し瞼が下がっているので一層怖い。もちろん、あっち的な意味で。
とりあえず、一旦ここから出ることになった。
その際、尻尾に抱きついていたフランをどうするかでレミリアがマジで尻尾を切り落とそうそしたことはあえて深く追求しない。

そのほうが、もふもふさ。

地下から出て初めて分かったことだが、今は昼らしい。紅魔館はレミリアの体質上それほど窓は多くはないが、それでも外が明るいことはわかる。それに、廊下にあった時計も見たので間違いない。
いつもはそばに付き添っている従者がいないのを尋ねると、休ませたと答えた。レミリアは吸血鬼であるため、その活動のほとんどは夜である。とはいえ、昼だろうと気にせず日傘をさし出かけるためか、メイドたちはほとんど24時間フルで活動していたりする。休憩などの管理は咲夜に任せているため大丈夫ならしいが、とはいえ、その咲夜は労働基準法も真っ青な労働時間を人間の体で行っている。レミリアも
ただ休めといっても休む気など皆無なメイド長のために、宴会などの後の日には適当な理由をつけて美鈴に押し黙らせている。そうでもしないと休もうとしないのだ。
そんなわけで、いつも一緒な従者は今日はいなく、変わりに九尾の妖孤が一緒なわけだが。
「一応客人って言ってあるから何かあったら近くのメイドに言って。あと、紅魔館からは出ないでね。これはあなたの主人からの託なの。あと食堂についたら適当に軽めのもの一品作って。もういい加減に寝たいから」
「一応客人なら料理を作らせるな」





「そういっても作るあたり、とことんお人よしね」
「ああ、私も最近そう思うよ」
藍の作ったトマトと卵の炒めあえを食べながらレミリアは昔の、それこそ初めて対峙した時の藍と、今、目の前にいる藍を重ねていた。それはもうずいぶん昔、咲夜はもちろん、パチュリーとも知り合っていない頃のことだ。それほど昔でもないか。
ここ数十年は随分と時間の流れが遅く感じるものねぇ、そう思うほど色濃い時間が流れていたわけだ。
「似てるんだか、似てないんだか」
注文通りあっさりした味付けに満足しながら、こんな所を咲夜に見られたらまた怒られるだろうと瀟洒な従者の怒る顔を思い浮かべる。
レミリアの発言に、何のことかと不思議そうな顔をしたままの藍。しかし、レミリアはそれ以上は何もいわず料理を楽しんだ。
藍も特に気にはせず、しばらくの静粛が二人に流れた。
食堂にいたメイドに後を任せ、席を立つ。
「それじゃあとっとと部屋に案内するわよ」
「お前が案内するのか? そういうのはメイドがやるんじゃないのか」
「ただの気まぐれよ」
食事が終わり、再び歩き始める。一見すると、なんともバランスの悪い組み合わせである。服装は間逆、背は凸凹、種族も西東、名前もカタカナ漢字、後ろに生えているのもまったく違う。同じ点は髪の毛の長さくらいであろうか。
「髪、いつの間に切ったのかしら? 」
歩きながらの会話。そう、レミリアの知る八雲藍の髪はロング。主である隙間妖怪と同じくらい長かった。初めて見たときはもちろん、その後もしばらくはロングであったのは覚えている。
そして気がつけば、ばっさり切っていた。
「ちょっと前にな」
「あんなに長かったのに?」
「私は今の方も気に入っているのだが」
「髪を切るときというのは、失恋したときって人間は言ってるみたいよ」
「なら、そういうことにしておこう」
「そういわれると、余計知りたくなるじゃない」
「他人の過去に土足で入り込まないことだ」
「靴を脱ぐ習慣がないだけよ」
「それもそうか」
とはいえ、これ以上は詮索はしない。妖怪でもそれくらいの礼儀は知っている。特に、レミリアのような威厳を重んじるものや、藍のようなはるかな時間を生きたものには。とはいえ、たまにイレギュラーは存在する。あえて誰なのかは、考えないことにした。
まぁ、つまるところ、言葉遊びなので気にしてはいけないということだ。
ただし、レミリア自身は今の話はそれなりにマジだったりもする。そのくらい、きれいな髪だった。
そんなこんなで足が止まる。目的の部屋についた。
「何で地下室なんだ? 」
そこは地下室だった。隣には見事にフランドールの部屋もある。
「だって、あなたしばらくフランのおもちゃでしょ」
「私はおもちゃとしてここにレンタルされたのか」
当たり前といわんばかりに頷く。とりあえず、部屋に入ってみる。
部屋自体はそれほど悪くはない。地下という点さえ除けば十分だろう。
そう思っていた矢先、変なものが視界に飛び込んできた。
濃紺のワンピースにフリルの付いた白いエプロンを組み合わせたエプロンドレス。同じく白いフリルの付いたカチューシャ。俗に言うメイド服である。しかもご丁寧に名札がついており、しっかりと『メイド イン ユカリン』と書いてあった。
藍は、二日酔いが一気に悪くなるのを感じた。
「それじゃ、フランが起きるまでには着替えてね。サイズとかは大丈夫っていってたし。それじゃ、私は寝るわ」
「一応、一応たずねるが」
「拒否権なんてそんなのないわよ。いいじゃない、おもちゃからフランのメイドに昇格よ」
「紫様、本当にうらみますよ....」
藍の落胆する顔を見ながら、実に愉快そうに笑うレミリア。これが見たいだけに案内するなんていったのだろう。
基本的に、藍は今着ている服以外は持ち合わせていない。あるのも同じ服くらいだ。というのも、同じ服を長年着てきたため、着慣れない服に抵抗があり、何より他人に見られるのが恥ずかしかったりする。もちろん、レミリアはそんなことは知らない。知っているのは主の紫を含めてもごく少数。
どうせどこかの隙間からこの光景を盗み見ているのだろうと思うと、余計二日酔いがひどくなった。
「まぁ、フランのこと、よろしくね」
「このシスコン」
「あら、シスコンなんて、ほめ言葉にしか聞こえないわよ」
「そこまで開き直れるお前がすごいよ」
当然、と言い残してレミリアは部屋を後にした。
フランが起きるまで、単純計算でおよそ6時間。いや、もしかしたらもう起きてしまうのかもしれない。
目の前の、自分には縁のないものだと思っていた衣服を見つめながら、仕方なさそうに着ていた服に手をかけた。
どもです。レイシェンです。
また藍さまのです。

今回は、紅魔館メンバー、といってもレミリアだけですが、出してみました。
ちなみに、これはシリーズとかはまったく考えてません。
藍様の苦労姿に萌えてるだけです。
でも書きたい。てか続けたい。特に、ロングヘアーとかって
破壊力ぱねぇっす。
今回フランとの絡みも入れようかと考えましたが
たぶん、以上に長くなり、いつ投稿できるのかわからない
てか区切りつけないと終わんない
とおもい、ずって寝ててもらいました


今回は誤字に注意してますので、そんなにないと思います。
中身は相変わらずそんなにないです。
あと、書き方も、スペースをなるべく使わないほうにしてみました。
見にくかったでしょうか?前のほうがよかったら、そっちに直しますが。


それじゃあ、感想やらコメントやら楽しみにしています。
あ、ブログをリンクのほうにはっときますが、もし邪魔でしたらすぐ消します。
邪魔じゃなかったら、たまに暇つぶしに見てやってください。

ではまた。

追伸
修正でけました
指摘してくださった方々ありがとうございました。
あ、ブログが新しくなりました。よかったら見てやってください
レイシェン
http://cidering.blog45.fc2.com/
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コメント



0.1060簡易評価
1.70名前が無い程度の能力削除
なんかあっさり話が終わっちゃいましたね
これならフランと藍の話も続けてよかったのでは
3.無評価レイシェン削除
1>>感想ありがとうございます
あっさりなのはあっさりと作ってみたからです。このあと続けると途中で投げ出してしまうかも知れなくて
きりのいいとこがここくらいな気がしたんで。
考えがまとまったら続きを書いてみたいと思います。
4.無評価名前が無い程度の能力削除
>起きてから感じてあったもふもふの違和感を確かめると、そこには尻尾の一本を抱き枕にして眠っている破壊っ子。もといい吸血鬼っ子。<-いがひとつ多くないですか?
7.70名前が無い程度の能力削除
デシリットルなんて単位久しぶりに見たよ……
なんだか折角話の風呂敷を広げたのに、違う風呂敷を畳んだような気まずさがありました。
今回なぜか三点リーダーが「...」になってましたけどなんか意図してのことなんですかね?

>気配はみ微塵もないようだ
「み」もいっこ多いですね。
9.70煉獄削除
読みやすかったと思いますし面白かったんですけど、もう少し話が欲しかったですね。
藍のもふもふな尻尾に抱きついて寝ているフランも可愛いですし、
レミリアとの会話で過去の藍と比べたりすることなども良かったです。
続きを書かれるのなら今後の藍の行動とか楽しみですね。
11.60名前が無い程度の能力削除
せっかくワクワクしてきたのにもったいない終わり方でした
12.80名前が無い程度の能力削除
さぁ、続きを書く作業に戻るんだ!
そしたら100点あげちゃう!!!
14.100名前が無い程度の能力削除
短いッッ
15.80名前が無い程度の能力削除
結局フランは寝っぱなしですかw
17.90名前が無い程度の能力削除
続きに期待!!
19.80名前が無い程度の能力削除
なるほどDL=デシリットルは幻想入りかww
・・・続きますよね?
23.70名前が無い程度の能力削除
ゆかりんGJ
続編に期待してこの点数で。
24.無評価レイシェン削除
コメントありがとうございます。
続編、がんばって書いていますので、できるだけ早くあげられるようにします。

ではまた。
28.90名前が無い程度の能力削除
>靴を脱ぐ習慣がないだけよ
うまいwww
続きはフラ藍なのか藍フラなのか、そこが問題だ
30.無評価名前が無い程度の能力削除
さあ!! 早く続きを書けぇぇぇぇぇっっ!!!!!
31.80名前が無い程度の能力削除
靴を脱ぐ習慣がないだけよ
ってセリフには本当に感心したw

打ち切りの少年漫画みたいな終わり方でしたが、
これはこれで味があっていいと思いました。