Coolier - 新生・東方創想話

さくやにっき17.5

2009/06/14 16:44:55
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注)このお話はさくやにっき17の裏話です、先にその辺を目を通してもらうと幸いだったりする、とでもいうと思ったか!

  すいません嘘です、通してくれるとありがたいですはい。





























○月□日


「どうしたものかなぁ」

私は今、大変困っている。
別に妖怪の山で何か起こったわけではない、長に何か厄介な事を任されたわけでもない。

























ただ単に・・・






















新聞のネタが無いのだ。























これは私にとって最大の危機である。
ネタが無ければ新聞は書けない。
文々。新聞を発行できないとなれば新聞を待ち望んでいる方々に申し訳無い。

決して私利私欲に満ち溢れてるわけじゃない、そう、皆の為の新聞なのよ!








・・・ちょっとだけ私利私欲入ってますけど。









「誰か何か起こしたりしてくれればいいんだけどなぁ・・・
 でも夏の暴熱異変みたいに何時の間にか解決されてもいやだけど」

あの時は何時の間にかいつもの夏くらいの暑さに戻ってしまい、
何がどうなって起きたのか、戻ったのか、結局わからずじまいで終わってしまった。
適当なネタでも見繕って書くのはさすがにそろそろ飽きた。
何かいいネタでもないだろうか。

「うーん・・・こういう時は悩んでもしょうがないわ。
 とりあえず、一番事件が起きそうなところに行くのがよさそうね」

私は大空に羽ばたき、目的の場所へ飛ぶ。


もちろん、一番何か起きるような場所なんてあそこしかない。
そう、あの場所だ。

























「と、いうわけでこんにちは、何か起きたりしてませんか?
 図書館が壊れたとか館自体が壊れたとかそういう類のネタ」

「・・・・・・・・・・・・・・・・帰れ」



正門からだと門番の方が厄介なので裏口からこっそりと入らせてもらった。
窓とか破壊して入るともれなくこの人にお仕置きを喰らうので最近は自重している。
射命丸文は学ぶ天狗ですから。

そして相変わらずここのメイド長は私に凄い冷たい。
何か酷い事をしたはずがないんだけどねぇ・・・
毎回ナイフやら関節技やらを喰らった後に蹴りだされたりするから困る。
私が妖怪じゃなかったらあれは死んでる、だからこそあそこまでやるのかもしれないけど。
酷いメイドだわ・・・何かゴシップ記事でも書いてやろうかしら。

「今何かよからぬ事考えたでしょ? 」

「そ、そんなわけないじゃないですか、ははは・・・」

ちっ、どこぞの巫女みたいにいい勘してるわね。
人間は勘がいいのが多いのかしら?
とりあえず事前情報でどんな人妖でも相談によく乗るらしいので泣きついてみる事にしよう。
新聞記者はその気になれば一瞬にして嘘泣きができる・・・!

「とりあえず何でもいいから何かネタをくださいよぉ・・・
 新聞にできるネタがなくて困ってるんですよぉ・・・よよよ」

うん完璧ね、しっかりと涙まで流すのがポイント。
こうすればこの冷たいメイド長もきっと・・・

「嘘泣きなんぞするようなパパラッチに出すようなネタはないわよ? 」

ば、ばれてーら!
なぜこの射命丸文必勝の嘘泣きがバレた!?
さすが幻想郷の実力者から一目置かれる(本人から聞いたわけじゃないけど)存在ですね・・・!

「まったく、大体紅魔館で働く私が面白いネタなんて持ってるわけないでしょう?
 魔理沙とかみたいなどこ行ってるのかわからないような奴にでも聞いた方がいいじゃないの」

「いやぁ~あの方の場合、八雲紫程ではないですが真実か嘘かよくわからないところがありまして」

はっはっはっ、と笑っておく、何せ本当にそう思ってるんだからしょうがない。
あの辺からのネタは信憑性が薄くて使えたもんじゃない。
本人達には言えませんけどね~

「その辺わかってるならいい加減あなたもパパラッチ行為をやめなさい」

いい加減面倒になったのかナイフでぺちぺちされながら外に連れてかれる私。
ここで何か行動を起こすとこの非道なメイドは何をしてくるかわからない。

「まったく、いい?新聞を書くのもいいけどモラルっていうものが・・・」

何やら説教の流れになってうわぁ逃げたいなぁなんて思ってると突然の轟音が。
何事かとメイド長と慌てると建物を貫くほどの凄まじい火柱が横手から。
どうみても紅魔館図書館ですね、毎度ありがとうございます。
とりあえず撮っておきますか。

「いやぁ~やっぱりここは面白いネタがいっぱいですね~
 今回の記事は【今度は火柱!またも紅魔館図書館炎上!メイド長の我慢は何時まで持つのか!?】ですかね。
 毎度どうもありがとうございま・・・あれ?メイド長さ~ん? 」

写真も撮り終わりメイド長の方を向くと誰もいない。
あれ?と周囲を見回してると嫌な殺気を感じる。
何が!?と振り向いた先には素晴らしい回転をかけたメイド長キックが見えた。
せめて下着だけでもと思ってあややややアイでスカート部分を凝視してもなぜか見えない、さすが完璧なメイド長ですね!
敵ながらあっぱれです、と相手を賞賛し、直撃を受けた私の意識は途絶えるのであった・・・



気づいたら紅魔館の外で倒れていた。
おそらくまた蹴りだされたのであろう、カメラのフィルムも無い。

「人の皮をかぶった鬼!悪魔の狗!今度洗濯物を吹き飛ばしてあげます!」

紅魔館に向かって恨み事を叫んでおく。

返答は大量のナイフとすっごい怒ってるメイド長だった。

私はすぐさま逃げ出した。
くすん・・・私が悪いんじゃないのにぃ。
















「で、何故に私は捕まっているのでしょうか」

あ、何か足に生暖かいものが触れた!何これ!?動いてる!?怖いんですけど!?

「そりゃあもちろん昼間の話に決まってるじゃな~い」

紅魔館から逃げ、森の中を飛んでいると突如スキマツアーに。
気づいたら森の中で両足をスキマで拘束されるという何か危ないシチュエーション。
そして目の前には笑顔だけど怒ってるとしか思えない八雲紫が・・・うわぁん踏んだり蹴ったりってこういうこと!?

「だ・れ・が・胡散臭いですって? 」

「んなことは言ってませんて!ただあんまり信じられないな~ってぐらいで」

「失礼な、嘘はそんなについてないわよ、そんなには」

でも結局嘘もあるんですよねぇ~だから信じられないんです。
あ、何これ何か今度は何か表面は柔らかいけど中は固い感じのものが。

「ナマコね」

「なぜナマコォ!? 」

その後も足によくわからない物体のいや~な感触を味合わされる事になるのを私はまだ知らなかった・・・











「うぅぅぅ・・・この幻想郷最速(自称)の足が・・・汚されました・・・もうお嫁に・・・うぅぅ」

今回ばかりはマジ泣きよ。
終わった後に洗ってもらったからといって汚された事に変わらないんだから。
あぁ、まだ感触残ってるよぉ・・・

「ところであなたネタがないって言ってたけどだったら人物特集でもしてみたら如何? 」

私に対する陰湿な苛めですっきりしたらしく、いつもと変わらぬ八雲紫になった。
人物特集・・・か。
確かに昨今知り合うようになった人妖が増えたし守矢神社のようにこちらに来た方も増えた。
ここらで幻想郷の人物に関して新聞を書いてみるのもいいかもしれない。
後は誰を書くかだけど・・・

「普通なら博麗の巫女こと霊夢さん辺りですかねぇ」

「あら、最近じゃ霊夢以上に色々と関わり持ってるのがいるじゃない。
 あなたが今日ボコボコにされたあ・い・て」

「おぉメイド長さんですか」

確かにあの人はこの八雲紫などの実力者からも一目置かれ、
各方面とも付き合いがある珍しい人間である。
ある意味一番幻想郷において人付き合いが多いかもしれないわ。
となれば色々な事を聞けるはず、
もしかしたら本人にとって恥ずかしいことも聞けるかもしれない。

リベンジチャンス・・・!

「あ、何か企んでる顔ね」

放っておいてください。
後は各方面に色々と話を伺ってネタ集めかしら。
さて、まずは・・・

「私、かしら?」

何時の間にか八雲紫家のマヨイガに連れていかないでください、怖いです。
さて、聞こうかと思った刹那、いきなり家の中とか怖いんです。

「あ、紫様おかえりなさ・・・むっ、烏天狗か。
 紫様、また妙な事を言わないでくださいよ?ただでさえ世間では胡散臭いとかな・・・」

あ、八雲藍がスキマに落ちた。
とりあえず見なかった事にしておこうと思う、何か言うとおそらく私も同じ目にあう。

「と、とりあえずあなたから見てあのメイド長というのはどういう人間ですか? 」

「そうねぇ・・・今の幻想郷にとって無くてはならない存在となった者の一人、かしら? 」

そりゃまたいきなりでっかいことを。

「彼女がいた、ないしいるおかげで今がある、とでも言っておこうかしらね。
 幻想郷でのパワーバランスの一角をちゃんと抑えてくれてるわけだし」

「というとあの吸血鬼姉妹ですか」

あの吸血鬼姉妹のメイドである為かあの二人はメイド長にかなりべったりなのは周知の事実。
ある種母親とその娘と言わんばかりの状況の時もある。
紅魔館の母、とでも名付けようか、うんこれ記事に入れとこ。

「あの二人は昔はそれはもう手を焼かせてくれたわよ。
 まぁ妹で一番手を焼かされたのは姉のほうだけど。
 それが十六夜咲夜のおかげで今は安定しているわ。私としても幻想郷としても大助かりね」

「そんなに酷かったんですか? 」

「そりゃあね、一度戦争紛いの事もしてくれたりもしたわ。
 当時の博麗の巫女や私や幽香、レティ、幽々子とかで抑えてたわ。
 幼さ故の傲慢さってやつかしらねぇ・・・今も幼いけど」

「それは知りませんでした・・・てことは今はかなり丸くなったんですねあの姉妹。
 でも確か紅い霧の異変の時はあのメイド長は姉妹というか姉を助けてましたよね? 」

「そうね、たぶんあの時は盲目的にでしょうね。
 でも、幻想郷に来てから色んな奴に会って、色んな事を経験してあのメイドは変わったわ。
 その結果、今の紅魔館、そして今の十六夜咲夜がいる、それは素敵な事では無くて? 」

「つまり紅魔館はこれからも変わっていくと? 」

「さぁて、それはあのメイドと吸血鬼姉妹、そしてその周囲次第かしらね。
 まっ、とりあえずあのメイドがいればしばらく平穏で暇な生活ができるかしら」

むしろそっちの方が本題な気も・・・
あ、やばい睨まれた、妙な事は考えないようにしないと。

「まぁ後は便利屋かしらねぇ、私以外も色々と相談したのがいるみたいだし。
 藍とは色々と仲良くしてくれてるみたいだし、大事な藍の為にも重要な人間ね」

「そ、そう思うなら紫様、も、もう少し私の扱いをですね・・・」

あ、いつの間にかスキマから戻ってきたんですか。
うわっ、ひどくボロボロにやられてしまって、南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏。

「私からはこんなものかしら、後は藍、あのメイドについて言える事教えておきなさい。
 私は寝るわ、それじゃおやすみなさい」

スキマに潜って八雲紫は消えて行った。
後に残ったのは私とボロボロの八雲藍。
相変わらず色々と勝手な妖怪ね・・・

「こほん、ふむ・・・十六夜咲夜の事をどう思ってるか、か。
 そうだな・・・私は彼女を見本にさせてもらっている」

「見本ですか? 」

どんな事をだろうか?

「例えば主人が間違っていれば例えどう思われようともそれを間違っていると言う事。
 私の場合、紫様相手だと意見は言えても間違いを間違いという事はできない。
 そもそもあのお方が間違いをしているかどうかすらわからずに私はただついていくだけだ。
 まぁこの辺は紫様の人となりもあ・・・いたっ! 」

あ、スキマから枕が落ちてきた。
寝るとか言いつつ盗み聞きとはさすがスキマ妖怪というべきかしら。

「その点彼女はスカーレット姉妹が間違いを起こせばそれを間違いといい、場合によっては我が身を顧みずに進言もしくは叱るだろうな。
 彼女達が幼いとはいえ、彼女達は自分の主人だ。普通の従者では中々出来ることではない」

なるほど、確かに私は長がそうなったとしたら何も言えないだろう。
相手は天狗の長である大天狗様、意見などできようはずがない。
それが普通、それが当たり前。
だがあのメイドは己の主人の為にあえてそれを進言する。
たとえ自分が憎まれ役になろうとも。

なるほど、そんな従者だからこそあの吸血鬼姉妹は信頼しているのかもしれないわね。

「まぁこの幻想郷のパワーバランスの一端を担っているという点での興味対象でもあるがな。
 紫様の言うとおりあの吸血鬼姉妹を抑えられるのは彼女と吸血鬼姉の親友の魔女くらいだろう。
 もしもこの二人に本気で害をなそうとすればあの二人は問答無用でその相手を滅するだろうよ。
 本気、いや本物の鬼となったら紫様と霊夢が組んでも辛い戦いになるだろうな。
 主である紫様を冒涜するつもりではないがあの方とて無敵ではない。
 能力、実力、どちらかだけでも十二分に危ない奴がごまんといるこの幻想郷では仕方ない話ではあるのだがな」

何か本題から外れてしまってるけど興味をそそられるのも事実だったりする。

「最後の言葉を聞く限り何か色々と知らないやばいのがいる、みたいな感じなのですが」

「そうだな、例を挙げるならば十六夜咲夜の親友の騒霊長女のところの三女だ。
 幻想となった音、その中には本当に危険な物も数多ある。
 それこそ聞けば死ぬ音だってある、本当のレクイエムという奴だ。
 紫様とて境界を操る前にもしかしたらあるかもしれない能力を封じる音でも奏でられたらお手上げになるやもしれない。
 幻想となった故に誰も知らぬ音、それ故に危ない、ということさ。
 まぁ当人にそんなものを奏でる気はさらさらないだろうがな」

おぉ怖い、もしもライブの時にそんな音やられたらひとたまりもないかもしれない。
いくら幻想郷最速を自負する私でもそういう類はご免被りたいものだ、逃げられるかどうかわからないのだから。

「まぁあの十六夜咲夜ももしかしたら己の身を顧みずに能力を使えば
 誰かを永久に時間の牢獄に押し込む事もできそうだな・・・
 彼女の能力は体に負担をかけるものらしい、故に最近はあまり使わないらしい。
 しかし、もしも本気で消したい相手が出たら彼女はそういう手段を使うかもしれんな。
 まぁ、そういう相手は今のところこの幻想郷にはいないだろうがな」

ははは、と八雲藍が笑う。
私は釣られるようにして笑ったが内心では結構ドキドキしていたりする。
本気で怒ってないのはよくわかったけどつまり本気で怒ったらそういう事をされるかもしれない、というわけで・・・
や、やめよっかなぁ弱みとか探すの。
い、いやここで諦めては天狗の名折れ!諦めちゃ駄目よ、射命丸文!

「まぁそんな事はどっかに置いておくとして
 純粋に友人と私は思っている。恩も少なからずあるしな。
 私からはこんなところだろうか、いい記事を頼むぞ烏天狗」

「えぇ、それではお暇しますね」

うーん、弱点とかそういうのは聞けなかったなぁ。
ていうか怖い話ばっかり聞かされただけな気がする。
でも明日は紅魔館、これはいい話が聞けるはず。
むふふ・・・楽しみです。








○月△日

「と、いうわけでやってまいりました紅魔館」
「はぁ、というわけでいらっしゃいませお帰りください」

昼も過ぎた頃、里の買出しに行くメイド長をしっかりと確認した後、私は紅魔館門前に降り立つ。
先程寝ているのをフリッカーで起こされたのか微妙に涙目でここの門番は立っている。

「そんな事言わずにぃ~今回は記事を書くのにどうしても紅魔館の皆さんに話を聞かないといけないんですよぉ~」

「どんな記事だか知りませんけどあなたに妙な事を言うなと咲夜さんにきつーく言われてるんです」

むっ、さすがメイド長、その辺の手回しは万全ということか。
ですが今回書く記事をしれば・・・

「そこを何とか、今回人物特集をすることになって第一回が十六夜咲夜さんなんですよ。
 いろんな人から聞いたのにここの方から話を聞かないわけにはいかないんです」

まだ二人しか聞いてないですけどねー

「咲夜さんの記事ですか? 」

「えぇ、八雲家のお二人からちゃんとお話も頂きましたし。
 今回は迷惑行為しませんから・・・お願いします、インタビューさせてください」

「はぁっ、まぁ今回は大丈夫そうだし。
 んで、ここで話しますがそれでいいですか? 」

「大丈夫です、それでは早速。
 十六夜咲夜さんについてあなたの見識を教えて下さいな 」

「最初はそうですねぇ・・・長くないと思ってました。
 だってそうでしょう?ここには咲夜さん以外人間はいないわけですから」

確かにここにいるのは妖怪ないし妖精。
人間であるのは十六夜咲夜のみ。
おそらく最初からああいう仲ではないでしょう、一つ二つ色んな事があったはず。

「妖怪である私たちにとって人間の一生自体が短く感じてしまいますけど
 1年もつかどうか、と思ってましたね・・・あ、これ記事には入れないでください、あまりいい話じゃないので」

ふむ・・・何かあったというところですか。
昔のあのメイド長については聞けそうにはないかな。

「咲夜さんがメイド長に実力で上がってからは顔を会わせる機会が増えましたね。
 そのおかげで色々と彼女の事を知る事ができました、結構凝り症とか意外と鈍い人なんだなぁとか」

「鈍いんですか?」

「えぇ、その辺はお嬢様に聞いてみるといいと思いますよ。
 後はそうですねぇ、今ではなんでしょうか、家族の様なものですかね私にとっては」

家族、ねぇ。
そういう意味じゃもしメイド長が母親ポジションだとすればこの門番は父親ポジション、なんてね。

強ち間違ってない気もするけど。

「色々と出歩くようになって色々な人妖に会って咲夜さんもたぶん本来の自分を取り戻したんでしょうね。
 昔は結構他に冷たい人でしたから、あれでも」

「私にはすっごい冷たいんですけど? 」

「ノーコメントとさせていただきます」

汚い、この門番汚いわ。

「咲夜さんのおかげで妖精メイドの皆も元気だし、紅魔館自体が賑やかで私は本当に今が楽しいんです。
 ただまぁ、時々門や館が壊れたり咲夜さんにお仕置きされるのだけは泣きたくなりますけど」

おかげで色々と記事に出来て私はありがたいんですけどねー
まぁそろそろ壊れるネタ以外で書きたいのも事実なんだけど。

「私にとって咲夜さん、というよりも紅魔館の皆は家族です。
 これだけはこれ以後ずーっと変わらない私の思いです」

家族、か・・・
私も色々と周りにいれば変わるのかしら・・・
いや、私には妖怪の山にいる仲間がいるじゃない。
家族、というのには何か違うかもしれないけど、それでいいじゃない。

でも、何だろうか、こうも笑顔で言われると羨ましさを感じてしまうのは仕方ないことだと思っておく。






















紅魔館に入っていざまずは図書館へ。
途中やたら名前の長いのやら私ととても気が合う妖精メイドからも話を聞いておいた。
長いのは曰く、
「素晴らしい人です、私にとって憧れの方ですね」
と、とてもべた褒めであった。

とても気が合うようなのは曰く、
「だいっきらいよ。
 ただ・・・あの人はここにいないといけないのよ。
 て、ていうかあの人を追い出すのは私の仕事だけどね!」
と何だか赤い顔してそっぽ向いていた。

どうやら妖精メイドからもかなり信頼されているようね。
おっと、ここだ、紅魔館図書館、と。

「こんにちはー朝から夜まであなたと一緒、文々。新聞でーす」

「そんな嫌な新聞はいらないわ」

予想通りこの図書館の主は椅子に座って本を読んでいた。
使い魔の悪魔は苦笑いでこちらに一礼してきた、教育が行き届いているわね。

「まぁ私も実は嫌です、前置きはその辺で彼方に飛ばします。
 こちらのメイド長の記事を書きたいんでご協力を」

「咲夜の?妙な記事だったら山ごと燃やすわよ」
「私は別に構いませんよ、妙な記事でなければ」

ありがたい、といいたいけど・・・

「まさかあなたまでそこまでいうとは思ってませんでした」

そう、この魔女までそこまで言うとは思っていなかった。
これは認識を少し改める必要がある見たいね。

「別に・・・ただ身内の恥なんていいものじゃないでしょ」

その恥が知りたいんだけど。
しかし口が固そうだしこの魔女からメイド長の弱点とか恥とかは聞けないかなぁ。
まぁ記事にすると決めたからにはちゃんと書かないと後で何をされるか・・・
見える、この烏天狗の目には縛りあげられて様々な人妖に凹られる姿が・・・びくんびくん。

「どうかしました? 」

「いえ、危うい橋の上にいるなぁーと」

「はぁ・・・?とりあえず紅茶をどうぞ」

魔女の対面に座り、紅茶を頂くことに。
んーいい香り、私は頂きます、と言ってから口をつける。
おぉさすが紅魔館、美味しい紅茶です。

「それで、咲夜について何が知りたいのかしら? 」

「あなた方が知っている事を、そしてどのように思っているのかを。
 今と昔じゃ結構違う人だったらしいのでその辺もおまけしてくれると嬉しいです」

ここの魔女とメイド長の間柄はよくわからない。
日頃問題行動を起こしているこの魔女を止めたりお仕置きをするのはメイド長の他にいない。
レミリア・スカーレットの友人ではあるがあのメイド長である、その辺も容赦はしていないと思われる。
それを苦々しく思っていても不思議ではないが友人の顔を立てるのか対立を聞いた事がない。
はたしてこの魔女はあのメイド長をどう思っているのか、興味が尽きない。

「最初はそうねぇ、レミィの操り人形みたいだったわ・・・レミィの言う事なら何でも聞く便利な子。
 顔を合わせる事はほとんど無かったわ、見ても無表情な顔で仕事しているのを見るくらい。
 今を生きる為にレミィに全てを委ねている、そんな感じだったかしら」
「あの時の咲夜さんはちょっと怖かったです・・・何か今にも壊れそうだったというか何というか」

ふむ・・・今と昔とでそんなに違ってたわけか。

「そんなメイド長が何時ぐらいから今の様に? 」

「変わったのはそうね・・・妹様に会ってからかしら。
 外に出たい出たいと傍迷惑に館を壊すわ姉妹喧嘩でさらに壊れるわで遂に限界が来て両者拳骨制裁。
 日が出るまで正座で二人を説教してたものよ、あれからかしらね、人間味が出てくるようになったのは」
「・・・そこにご自分も入っている事を言わないとはさすがパチュリーさ、いひゃい、いひゃいですぅ」
「余計な事は言わなくていいの! 」

とりあえず先程の使い魔の言葉も含めると毎度破壊活動している3人のおかげ?で変わったということか。
そしてそこから本来のメイド長となった、というわけかしら。

「それからは人が変わったように笑顔が見れるようになったわね。
 いや、変わったのかもしれないわ、あの時の十六夜咲夜は別人だったのかもしれない」
「妖精メイドは生まれ変わっただの双子の妹だの実はドッペルゲンガーだの色々と言ってましたね」

ふむ・・・なるほどね。

「まぁそれからは今とあんまり変わらないわ、口うるさい姑にでもなったかのようよ。
 毎日、危険な事はやめてくださいとか大人しくしているようにとか私を何だと思ってるのかしら・・・」
「いやパチュリーさ・・・イエナンデモナイデス」
「それは自業自・・・イエナンデモナイデス」

お願いですからそのスペルカードを宣言するような事は止めてほしいと目で訴える。

「一回は許してあげる。とりあえずそんな咲夜の事をどう思ってるか?だっけ? 」

「はい」

本を置き、紅茶を一口飲む魔女。
目を閉じ、ため息をつき、そして

「面倒な隣人だけど、必要な人間かしらね。掃除も紅茶も料理も美味しいわけだし」

なんでそこでそっぽを向くのか。
こちらが凝視すると本をまた読み始めた、表情がわからなくなった。
使い魔が何やら微笑んでるけど。

「一応感謝はしてるんですね」

「一応ね、さ、読書の邪魔よ」

何やら急に帰らされる事になったり、本当にどうしたやら。

「あ、送りますね」













「あぁ見えて実は本当に咲夜さんを大事に思っているんですよ、パチュリー様は」

「え? 」

図書館から出る途中、使い魔がにこにこしながら話しかけてきた。
大事に・・・ねぇ。

「それは自分にとって有益であるからですか? 」

「いいえ、お嬢様やフラン様と同じように、ですよ」

ふむ・・・となれば。

「素直じゃないんですね、あの魔女は」

「不器用なお方ですから。もしくは・・・お嬢様やフラン様に遠慮しているのかもしれません。
 だからこそ危ない実験して咲夜さんの気を引こうとしているのかも。
 いやぁ、我が主人ながら可愛いですね」

「いやぁ本当ですね・・・ふふふ」

いいネタが手に入った、メイド長に関してよりも魔女に関しての方が強いけど。

「あぁ、それと私個人がどう思っているかですけど」

あ、そういえば聞き忘れてた。

「私にとっては師匠です、主人はパチュリー様ですけど私は咲夜さんを尊敬してます」

「なるほどっと、ん?何か落ちてますね」

進路上に本が落ちているので拾うと勝手に本が開き、

【余計な事を言う奴はお仕置き!】

とページに書かれており、気づいたら・・・

「あーこんな仕掛け作ってたんですねパチュリー様。
 後で咲夜さんにばれても知りませんからねー」
「え、ちょ!?飛べない!?なんで!?いやああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!! 」

使い魔の方と一緒に地下へ落ちていくのであった。
ここの図書館はからくり屋敷ですかぁぁぁぁぁ!?

















「ひ、酷い目にあいました・・・」

謎の巨大サボテンや巨大金魚に襲われたり
魔女に似た巨大ロボットと戦わされたりで
長い階段を上って壁を触ると紅魔館廊下に。
振り向いても先程の階段は見えない、どこかへ消滅したかのように。

一緒にいたはずの使い魔はどこかへ消えてしまっていた。
おそらく私とは違うところに落ちたのかしら、南無。
今度からは色々と気をつけようと心に誓う。
また同じような事になるのはご免被りたい。

さて、後はここの困った吸血鬼姉妹から話をと・・・

「お、お姉様、本当に大丈夫? 」

おや?この声は妹の方かしら。
周囲を窺うと調理場と書かれたところから声が聞こえてくる。
ちょっと見てみましょ。

「大丈夫よ、今はいないし黙ってれば美鈴かパチェのせいになるわ。
 えぇと、確かこの辺に・・・あ、あったあった」

どうやら姉妹でおやつの盗み食いをしているみたいね。
一応メモっておきましょ、メモメモ。
さて、さっそく話を聞いておきますか。

「こんにちわーゆりかごから墓場まで、ポケットティッシュから金銀財宝まで、
 何でもどこでもお届けする文々。新聞でーす」

「うわっ、なんだ天狗か・・・びっくりさせないでくれる? 」

二人して羽をピーンとして驚いてくれるとは驚かした側としては嬉しい限り。

「何か用?先に言っておくけど新聞のネタなら咲夜に駄目って言われてるから何も言わないよ? 」

「そのメイド長に関して聞きたい事がお二人に。
 実は人物特集第一弾に目下メイド長を書こうと思いまして。
 一番親しいお二人からお話を聞かせてもらおうということで参上しました」

「ふむ・・・あわよくば弱みを握りたいという意思が見えるな」

おっ、メイド長の名前を出したせいか姉の態度が悠然とした感じに。

「そのつもりではあったんですけど釘を各方面に刺されてましてね。
 その辺は聞く気ないです、はい。
 私としてはちゃんとした新聞が書ける話を聞ければそれでいいです」

一応これは本音。
確かにちょーっと復讐心とかありますけど
話を聞いてるとその手の物がほとんど聞けないというか
皆、本当に真面目に答えてくれるわけで。

それで真面目に書かない程私は落ちぶれてはいないわ。
それに、あのメイド長がそうも信頼されてるのを知るのも面白いじゃない。
どれだけこの幻想郷に影響しているのか、
様々な人妖からどのように思われているのか、

新聞屋として世間に公表するのが今回の私の使命なのよ。

じーっと睨まれる。
でもその手にあるのがメイド長が作ったと思われるクッキーでは怖くも何ともない。

「わかったわ、それで?咲夜の何が知りたいの? 」

「公表できる全てを。無論あなた方お二人がどう思っているかも」

「そうね、じゃあお茶がてら話してあげるわ」








「ふむ・・・意外ですね、こういうのも上手いなんて」
「ほほほ、幽香との勝負のおかげよ」
「でも咲夜の方が美味しいもん」
「さすがにお二人の好みに関してはメイド長に勝てる者はおりません、そういう事です」

・・・これはまた結構様になってるわね。
案内された応接間にてティータイムがてら話を聞ける事になったけど
そのティーをくれるメイド長は外出中。
仕方なしに誰か代わりを呼ぶとやって来たのは冬の代名詞レティ・ホワイトロック。
ここでアルバイトをしていると噂で聞いてたけどまさか本当にやっていたとは。
しかも出された紅茶美味しいし、むむむ、女はこういう事はできないといけないのかしら?

「さて、と。話すにしてもパチェやら美鈴から色々と聞いているのだろう?
 昔と今の違いを、咲夜がまだ心を開いてくれなかった時の頃の事を」

紅茶に視線を下げる吸血鬼姉。
その過去を思い出しているのだろうか、その瞳は今を見ている気がしない。
ここの誰もが皆過去を話したがらない、その時の表情はあまりいいものではない。
確かに私は全てが知りたい、しかしそれをこの館の住人達は決して許さないだろう。

それほどの絆をこの館は持っているのだ。

「えぇ少しは、しかし具体的には聞けませんでしたし、聞く気もありません。
 下手なことすると私、ここの夕飯にでもされてしまいますし」

はははっと頭を掻きながら苦笑い。
元々書く気はないけどもし書いたなんて事になったら確実にここの連中に消されるのは目に見えている。
私は自分が可愛いわよ、えぇ。

「烏はまずそうねぇ・・・お肉なさそうだし」

「そもそも食べようとしないでください」

「と、冗談はおいといて。それじゃあ私達がどう思ってるかぐらいかしらね。
 外からまぁ拾ってきたような子だけど、この運命は私が何かしたわけじゃないの。
 それこそ本当に運命の出会いってやつかしらね、私に、いえ、私達にとっては」

おそらくあのメイド長もそんな事言うだろうなぁ、この姉妹に関しては。

「たぶんあの子は私達のおかげで自分は救われた、と思ってるでしょうね。
 本当に救われたのは私達だっていうのに」
「咲夜のおかげで私は館以外の世界が見れた、咲夜のおかげでお姉様とこうしていることができる。
 私は咲夜から色んな物を貰ってるの、咲夜に返す事ができないのに」

この姉妹が一番感謝してるっていうのは考えていた。
それ故に一番苦悩しているんじゃないか、というのも。

「だから、あの子が望む限り咲夜の主人は私達なのよ
 そしてあの子が望む私達であるのがせめてものあの子への感謝」
「うん、咲夜が笑ってくれてれば私も嬉しいの。
 きっとそれが私にできる唯一の事だから」
 
胸に手を当ててあのメイドへの感謝を言う吸血鬼姉妹の笑顔を私は当分忘れそうにはない。
それほどまでに写真に残しておきたい、素敵な笑顔だった。











「ふぅ・・・予想以上というか何というか」

「ふふふ、それほどここはメイド長で成り立ってるという事よ」

帰るといったら冬妖怪の送り付き。
正直苦手な類なんですよねぇ、スキマ妖怪とかと同じ類みたいで。

「そういえばあなたはどんな風にメイド長を思ってるんです? 」

確かに大妖怪が仕事をするなどとなればここくらいしか雇ってもらえないだろう。
人里なんて行った暁には何が起こるかわくわくですけどめんどくさい事が起こりそうで微妙である。
しかし雇用関係上の付き合い、というわけではないはず。
風見幽香繋がりか、この妖怪も結構メイド長と付き合いがあるらしい。

「そうねぇ・・・ちょっと世話好きすぎる友人、かしらね。
 まぁ頼ってる私がそんな事言うのもなんだけどね」

世話好きねぇ・・・私にもそういうのを発揮してくれると嬉しいんだけどなぁ・・・
別に敵対してるわけじゃないのに。

「迷惑行為は敵対してるっていわないのかしら? 」

「あやや!? 」

むぅ・・・あのメイドが私に優しくなる日は来ないような気がしてきた。
















「さて、お次はやはりここですかね」

目の前には古びた洋館。
それでも昔よりは生活感を濃くしている感じはある。
それは姉妹の繋がりによるものなのかはたまた長女の頑張りか。
とりあえずチャイムがあるので鳴らしてみるとはーいという声と共にドアが開かれた。

「げっ新聞屋、うちはいらないよ
 パパラッチの新聞は音も嘘臭いのよね」

出てきたのは口が悪い三女。
はーそういうこといいますかこの騒霊は。

「そういえばあなた時折お姉さん方のブ「わーわーわー!!!な、何で知ってるのよ! 」

「そりゃあ新聞屋ですので、しかし溜息をついている辺りあな「はいはいお茶飲んでく?ねえさーんお客さーん! 」

ふっ、まだまだですね。
ちなみに上の二人は次女が少しだけリード、とみた。
しかし三女だけ素晴らしく差がついているのは天が与えた試練かしらね。
もう死んでるけど。



「おや、新聞屋さんか。何か用かしら?
 あぁ、新聞の契約なら結構だからそのつもりで」

ははは最近特に私に手厳しい気がするのはあのメイド長の影響ですかね。
一番の友人である故になのか認めたくないけどもしかしたら日頃の行いか。
どこでもこんな風に言われれば自分のせいかと思うわよ、止めないけど。

「いえいえ、今日はあなたの一番の友人についてお話を聞きたくて」

「一番の友人というと咲夜の事?
 あぁ、メルラン、ちゃんと火加減は調整しなさい、焦げるわよ」

何というかメイド長が紅魔館の母ならばこの長女はプリズムリバーの母かしらね。
まぁここの生活全ては一時期この長女がやっていたらしいし、仕方ないのかしら。

「えぇ、実はこの度人物特集をやってみようというわけで。
 紅魔館の次は一番の友人と言われているあなたにお話を、というわけです」

「なるほど、紅魔館から最初に聞いて来たなら安心ね。
 わかったわ、といってもそれなら私が話せるような事は何もないと思うけど」

どういう意味だ、安心て・・・おっといけないいけない営業スマイル営業スマイル。
天狗百面相と言われた私にかかれば目に見えない速度で表情を変えるなどわけないことよ。

「あなたにとって彼女はどういう人間なのか、を。
 あぁ、友人であるのはわかっています、その辺は周知の事実ですから。
 ですが、ここ一年くらいで急に親しくなった、という情報があるわけで。
 まぁ話せる範囲でその辺もお聞かせ願おうかなーと」

「姉さん奪った極悪メイド」
「私達だけの姉さん取った犬肉メイド」

さすが姉妹、瞬時に声を揃えて言う辺りさすがですね、意味も同じようなもんですし。
でも次女と三女には聞いてないんだけどねー

「メルラン、リリカ、はやく、御夕飯の、用意に、戻りなさい」

振り向いた長女を見た二人の姉妹は瞬時に青い顔をして台所に退散した。
顔を見てませんが凄い圧力のようなものを私は感じた。
咳払いをしてこっちを向いた長女の顔は前と同じだったけど私の脳にこの騒霊は怒らせない事にしようと記憶された。

「確かに去年の冬に私と咲夜は友人の間柄になったのは事実。
 それまでは紅魔館でのパーティの演奏についての打ち合わせをする程度の仲だったわ。
 あの冬にあった紅魔館の事件で私は咲夜を助け、そして咲夜に私は助けられた。
 お互いの信頼関係ができたのはそこからね」

事件っていうと・・・あぁ、十六夜咲夜暗殺未遂事件ですか。
何者かにあのメイド長が襲われて重体、身内なのかはたまた外部の者の仕業なのかわからず事件は迷宮入り。
あの時は相当吸血鬼姉妹が暴れたそうなのよねぇ、ちゃんと取材したかったけど怖かったので断念した。
だって今にもその首と動体引き裂くぞみたいな眼でこっち見るんだもの、そりゃ聞けないわよ・・・
そういえば第一発見者はこの長女だっけ。あれ?でもそれでこの長女も助けられたってどうゆうこと?

「咲夜には本当に感謝している、もしかしたら私達姉妹がバラバラになるかもしれなかった所を彼女が救ってくれた。
 いや、本当は私が臆病すぎたのが原因なのだけど、それでも、彼女は私の為に親身になって悪役もやってくれた」

何があったのか・・・詳しく聞ける感じじゃあなさそうね。
姉妹喧嘩、というわけでもなさそうだし、仲のいいって評判のこの姉妹にも色々とわけありな事はあるってことか。
まぁ幻想郷でわけありじゃないのなんて全くというくらいいないけど。

「彼女は私にとって大切な親友、そして恩人であり、良き理解者、かしら。
 そして私は彼女にとって良き親友でありたい、それだけよ。
 彼女から貰った恩は私が消えるまで一生忘れないわ、絶対に、よ」

なんて眩しい笑顔で言うのかしら・・・
あの吸血鬼といいこの騒霊といい、彼女の事を信じて信じて信じまくっているのがよくわかる。
いや、おそらく紅魔館の皆も同じだろう、だから十六夜咲夜はあぁも信頼される、頼りにされるのだ。
そりゃあ彼女は完璧な従者を自負していたって欠点はある、できないことだってある。
でもそれが何の問題になろうか?と彼女を信頼する者は言うだろう。
十六夜咲夜だからこそ、彼女達は信頼している。

はぁぁぁっ、なーんか、色々と負けた気分だわ。

「?どうかした? 」

「いえ、ちょっと聞いてきた話を思い出してただけです。
 ありがとうございました、それじゃあ記事の方はちゃーんと書いてこちらにもお渡ししますので期待しててくださいね」

「何か一抹の不安はあるが、まぁいい記事を頼む新聞屋さん。
 ただ、咲夜本人は凄く恥ずかしがりそうな記事になりそうだがね」

口に手を当ててくすくすといった感じで長女が笑った。
そりゃそうでしょうねぇ、こんなにも信頼されたコメントばかりじゃ書く私も恥ずかしいですよ。

・・・・・・そうね、この記事を書く事でささやかな復讐ということにしておきましょうか。

この幸せメイドめ、自分の幸せを噛み締めて悶絶するがいい。

私はそんなささやかな復讐に心の中で笑みを浮かべるのであった。







○月#日


遂に記事は完成した。
昼頃に完成し、私は今紅魔館に来ている。
記念すべきこの新聞の最初のお届けはここしかない。
ここの主人に渡し、そして騒霊の長女に渡し、スキマ妖怪に渡し、それこそ話を聞いた全ての場所に渡していく。
永遠亭に行けば月兎はベタ褒めし、月の天才はいつかぶっ倒れるなんてそろそろありえそうな事を言った。
白玉楼に聞けば庭師は如何に尊敬してるかを口早に、亡霊は彼女の料理がどれだけ美味しいかを長々と喋った。
博麗神社を尋ねればめんどくさそうに朱に染まらぬ紅白巫女が忌々しげに悪口を言ったが最後に嫌いじゃないとそっぽを向いた。
魔法の森、彼岸、天界、人里、色んなところを聞いて回った。
その集大成が今ここにある。

さぁ、この記事を見たあのメイド長はどう思うか。

これを見た彼女を知らぬ者は彼女をどう思うか。

楽しみでしょうがない、こんな感じは久しぶりだ。

ただ、十六夜咲夜という人間を聞いて回ってわかった事がある。











本当に、あのメイドは・・・幸せ者よ・・・
「ふふふ・・・おしかったわねぇ
 私は毎日・・・悪夢の中でこの場面を見ていたわ。
 だけど、その結末はいつもわからなかったわ」
「・・・・・・・・・」
「あはははは!スキマめ!私は勝ったぞ!
 これで悪夢とはおさらばよ!」
「・・・・・・・・・・・・・ロン」
「・・・ば、馬鹿な!?確かにまだテンパイにはなってないはず!」
「うふふふふ、悪かったわね、私はすでにテンパイだったのよ、手に一つ握っててね。
 あなたこそ、この場でリーチなんてしちゃって!私こそが勝者よ!」
「ていうか麻雀で時止めて色々見たりスキマから牌をもってきたりしないでください」


はいはい素晴らしく間が開きましたがまぁ色々と理由あったんすよ色々と。
主にネタがもうな・・・いや、なんでもないよ?うん。
え?さくやにっき以外も書け?そんな意見を聞ける耳は持ち合わせていないんだ残念だったな!
まぁ目標として地キャラ出せるくらいまでちゃんと書きたいものではありんす。
そしたら今度は星キャラが既に出てるんだぜHAHAHA

そしてさくやにっきはまだまだ続くのであったまる

なーんてね。
強ち間違ってないような気がするから困る。
つまり東方の新作が出続ければさくやにっきもまた書き続けられる。
まぁ本当にそうなるかは私がちゃんと書いていられるか、ではありますがね。
んだば最後に咲夜さんが、自分の夢に引導を渡すのは結局自分なのよっていってた。


*近況
18、少し止まってますが書いてはいます。
最早忘れられた存在ですが気長にお待ちくださいませ。
黒子
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コメント



0.1910簡易評価
2.90名前が無い程度の能力削除
続編来てたー。
毎回楽しみに読ませていただき、結果楽しませていただいております。
咲夜さんの日記ではなく、今回は文の視点での裏話でしたけど。
読み終わってなんとなーく思ったことは、文も咲夜さんに甘えてみたらいいと思うよ!ってことか。
考えれば考えるほど、この話の咲夜さんは人気者だなぁ。総受けってこういうことをいうのだろうか。

すでに周りと咲夜さんの関係性ができているこの状態から、地のキャラがどう絡むのかが楽しみです。
咲夜さんは人気者ですから、パルスィが出てきたらいろいろと嫉妬が絶えないでしょうね。

次回も頑張ってください!! あらあらかしこ まる
5.90名前が無い程度の能力削除
OK、とりあえずブ・・・の先の詳細を書こうか
6.100煉獄削除
続きを楽しみに待っていましたよ。
前回の新聞のネタを文の視点でどんな意見を聞いてきたのかというのは面白かったです。
皆、咲夜さんのことが好きなんだというのが解るお話ですよね。
過去を少し語ったり皆の評価に笑みが浮かびます。
取材で相手の意見を聞いているときなどの文の心情なども良かったです。
7.無評価名前が無い程度の能力削除
幻想郷最速って自称じゃなくて、実際に一番じゃなかった?
15.無評価煉獄削除
ども、脱字らしき部分と誤字を見つけたので報告します。

>私の場合、紫様相手にしていると意見は言えても
藍のセリフですが、『紫様を相手に』ではないかと思います。

>お願いですからそのスペルカードを締まってほしいという事を目で訴える。
『閉まってほしい』ではないでしょうか?
報告は以上です。(礼)
16.100Zeke削除
ずっと待ってました。
1から何度か読み直したりしてますが、ここの咲夜さんは本当に素晴らしい
17.無評価名前が無い程度の能力削除
地キャラが本当に楽しみです
さとりから見て咲夜さんって犬なのか猫なのかとか
古明地姉妹とスカーレット姉妹の関係性とか
これからも頑張ってください!
26.無評価名前が無い程度の能力削除
>>15
御指摘感謝します、修正しました
32.100名前が無い程度の能力削除
>二人して羽をピーンとして
萌へた
41.100DB削除
>「こんにちわーゆりかごから墓場まで、ポケットティッシュから金銀財宝まで、何でもどこでもお届けする文々。新聞でーす」

大丈夫、だいじょーぶ。って、SDガンダムの運び屋。(笑
このシリーズの作品は、面白いです。
42.100名前が無い程度の能力削除
がんばれっ!!
48.100名前が無い程度の能力削除
ここまで一気に読みました
とても面白かったです!