Coolier - 新生・東方創想話

東方X1

2009/06/12 13:15:40
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注:このSSの前に「東方儚月抄」、「東方星麗船」、「東方の金曜日」をご覧になった方が無難です。

幻想郷。それは夏の最も暑い日に始まった。
ある日、霊夢は謎の男Zからの招待状を受け取り、初めての外の世界であるR島へと向かった。
依頼は、幻想郷と外の世界の危機の元凶である殺人機械人形T‐Jを抹殺することである。
幻想郷を守る為に立ち上がる霊夢達。だが、そこで悲劇が起こる。
T‐Jの反則的な強さにより、一人また一人と妖怪や神、幽霊等もことごとくその力の前に倒れる。
そして遂に、永江衣玖の知力戦によりT‐Jの破壊に成功する。だが、運命はそこで狂い始める。
T‐JはZが作り出したのだった。Zの真の目的は霊夢達の能力を軍事目的に使う事であった。
怒りと絶望感に捕らわれた霊夢は暴走、そしてZを殺害してしまう。だが、戦いは終わらなかった。
そんな中、魔界神、神綾のクローン少女キリュウの策略により、1年の猶予を与えられた魔理沙達は幻想郷へと戻った。
しかし、生き残った者の心は傷つき、霊夢も自分が犯した殺人を悔やみ、闘う事を止める決断をする。
それから、1年後・・・・・・。



2ndシーズン「東方X戦記」



第1話「復活の刻!⑨よ、君は何故あんな勇者に魂を売ったのか!?」
魔理沙は神社の階段を上っていた。手には食べ物がいっぱい入った籠が。
どうしてか気分が良くない。それは雰囲気なのか、自分の精神状態なのか。それを振り払うが如く、一気に駆け上がる。
そこにはいつもの通り、彼女は・・・・・・いなかった・・・・・・。
恐る恐る神社の中に入って見ると、彼女・・・・・・博麗霊夢が座っていた。
虚ろな目をし、右手には包帯が痛々しく巻かれている。これが楽園の素敵な巫女だと誰が想像できるか?
「れ、霊夢―。邪魔するぜ。」
「・・・・・・あ、魔理沙・・・・・・お茶入れるね・・・・・・。」
「い、いいって。ほれ、差し入れ。」
「いつもありがとう・・・・・・。」
そう言われ、会話が止まる。そう言った中、魔理沙は思う。
「(霊夢・・・・・・こんなにズタボロになっちまって・・・・・・安心しろ。もうお前が闘う事はないんだ・・・・・・。)」
霊夢と魔理沙。幻想郷では少し有名な名コンビで、数々の異変を解決してきた人間である。
どんな事があっても仲が良く、決して切れる事はない絆で結ばれている2人。
それが1年前にバラバラになってしまった。思えば、自分は浅はか過ぎたのだ。
師匠の仇を取りたい一心で焦り、霊夢の苦悩を感じなかったのだ。それは今でも情けなく思う。
だから今度は自分が異変を解決してやる。霊夢は絶対守ってみせる。そう誓う魔理沙であった。
その時、空が暗くなる。何だろう?まだ昼なのに・・・・・・。気になって魔理沙は外を見る。
「どれどれ、何が・・・・・・っ!?う、嘘だろ・・・・・・。」
その光景を見て、魔理沙は絶句した。そこには・・・・・・空飛ぶ船が多数浮いていた。
そして、魔理沙は思い出す。今日は○月13日、13日の金曜日だと。1年前にキリュウが言ったあの言葉。
『1年後の月未明で13日の金曜日、わしらは幻想郷を侵略する』
それが今、行われようしていた・・・・・・。1年前の惨劇を思い出し、魔理沙は怒りに満ちていた。
「キリュウの奴め・・・・・・とうとう舟を浮かばせるなんてとんでもない奴だ・・・・・・!」
「魔理沙・・・・・・。」
それを霊夢が心配そうに見る。魔理沙は振り返り、かつての友を見る。
「霊夢・・・・・・・・・・・・。」
「魔理沙御免・・・・・・私戦えない・・・・・・今はもう何が良くて何が悪いのかさえ分からなくなったの・・・・・・。」
「霊夢・・・・・・・・・・・・。」
「私、臆病だったね・・・・・・レミリア達が死んでいる中、1人だけ隠れているなんて・・・・・・。」
「そんな事・・・・・・そんな事ないぜ・・・・・・霊夢はもう戦わなくていい・・・・・・今度は私達がお前を守る・・・・・・。」
「・・・・・・魔理沙は何故、闘えるの・・・・・・?」
「私か?・・・・・・それは霊夢、お前がいるからだ。そりゃ、アリスやにとり等、大切なものはいっぱいあるが・・・・・・。」
そして魔理沙はこう言う。
「霊夢・・・・・・お前が好きだ・・・・・・誰よりもお前が大好きだ・・・・・・。」
「っ!?」
「これって友情から愛情への変化ってやつか?とにかく古いが、一万年と千年前位に愛している・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・。」
「咲夜も永琳も勇儀も・・・・・・あと夜雀もか?あいつらも愛する者の為に戦う事だってできるかもしれない・・・・・・確かに、レミリア達も死んだ、幽々子や魅魔様も成仏してしまった、輝夜も行方不明になってしまった。けど、あいつらのことだ、今はもういない奴等の大切な場所を守る為に、こうしている今も戦っているかもしれないんだ・・・・・・。」
そう言い、魔理沙は立ち上がる。トレードマークの帽子をかぶり、外へと出る。振り返り、言う。
「霊夢・・・・・・行って来るぜ・・・・・・。」
霊夢は魔理沙が去っていくのをただ黙って見ていた。その時、頬に涙が流れる。
「魔理沙、ありがとう・・・・・・私、馬鹿だったよ・・・・・・こんなにも大切なものがいっぱいあるなんて・・・・・・。」
そして、彼女も立ち上がる。今くよくよしては死んだ皆には申し訳がない。
「(魔理沙今わかったよ・・・・・・今まで異変解決してきたのは、貴方や皆のお陰だという事・・・・・・。)」



「いざ、私の世界へ!」
幻想郷のとある森の中。そこを紅魔館のメイド長、咲夜と機械人形軍が戦っていた。
機械人形軍はT‐Jの量産型であり、流石に反則的な性能ではなくスペックは落ちている。だが、問題は数だ。
弱点である首のコードもなくなり、性能の低さは多彩な武器で補っている。これが大勢来ると大変だ。
咲夜は時を止め、ナイフを大量に放った。多くは弾かれたが、一部は間接とかに刺さって、ダメージを与えている。
「このままでは、キリがないわね・・・・・・。」
「そうですね・・・・・・。」
刀1本で量産型を一刀両断する妖夢とそういう会話をしている中、咲夜は何とかしようと考えた。
「他の場所はどう?」
「紫様の指揮の下、人里はアリスが凌いでいます。竹林は鈴仙、てゐが、妖怪の山付近は早苗、勇儀、キスメが、空中は夜雀、サニー、天子、ナズーリン、たたら、一輪が、あと、理香子、夢美、ちゆり、子兎姫もそれぞれバラバラに対処しています。」
「そう・・・・・・。妹紅、お空、にとり、小町は?」
「分かりません・・・・・・お空は勇義と喧嘩別れしたという事は分かったのですが・・・・・・。」
そう、と咲夜は頷く。足りない。今の力では更にパワーアップした機械人形達には勝てない。
事情を説明して協力してくれた夢美達がいても戦力が足りなさすぎる。小悪魔とメイド達は館を守っているし、心配だ。
何より、今はもうお嬢様がいないのが心の中に響く。自分の未熟さのせいであの方を死なせてしまったのだ。
永琳は何をしているのだろう?こんな時に限って月で監禁されているとは、全くなんて腹の立つ医者だ。
咲夜はナイフの残数を確認する。このままでは、弾切れになる。ならば、「あれ」を使うしかないのか……。
「ならば、見せてやるわよ・・・・・・私の本気を!」
「咲夜さん、何を!?」
驚く妖夢を尻目に咲夜は1年間使いこなすのに手間取った能力を発揮する。その時、彼女の体に異変が起こる。
「十六夜咲夜・・・・・・紅魔形態!!」
なんと咲夜の背には吸血鬼の翼が生え、銀髪は赤く混じり、メイド服も金色の装飾を加えられて豪華になっていたのだ。
「ささささ咲夜さん・・・・・・。ななな何ですか・・・・・・。」
「驚いた?これはお嬢様より授かった『運命を操る程度の能力』を使って、力を増幅させているの。さて・・・・・・。」
そう言い、咲夜は飛翔した。昼間なのに何故か迫力が大きい。
「お嬢様により授かりしこの力・・・・・・最初にやられるのは誰かしら?」
そう言って不敵に笑みを浮かべる咲夜の表情には、亡きレミリアと重なるのは偶然か?それとも・・・・・・?



「わはははは―――!見たかT‐Jの機械人形共!この岡崎夢美の作りし巨大ロボット、カオスαの力を!」
巨大な物体の肩に乗り、大学の教授である夢美は高らかに笑った。カオスαの背後には残骸の山が作られていた。
今思えば、こうして戦うのは何年振りだろう?ここに来た時、脇を出していない頃の霊夢達と戦った時か?
最初、紫の話を聞いた時、信じられなかった。機械人形1体に霊夢の親友の多くが死んでしまうなんて半信半疑だ。
だが、現に空飛ぶ船が多数現れ、今こうして機械人形と戦っている。
だが、夢美は逃げずに戦う事を決意する。こんな美しい場所を侵略するなんて許すまじき者達だ。
『御主人―――――!早い所、空飛ぶ船をやっちまいましょうよ!』
耳元のイヤホンから助手である15歳の少女、ちゆりからの通信を聞く。確かに船を落とさないといけないな。
「確かにそうね・・・・・・カオスα、前進よ!目標は飛行船群!!」
高らかに言い、カオスαに指示を出す夢美。その時。
気のせいか、船の1つの甲板に少女が立っていた。髪は青く、まだ子供っぽい。
全身に見た事ない鎧で包み、背中には妖精のような羽が生えていた。顔は凛としている。
と、その時・・・・・・少女は一気に走り、飛び降りたのだ。これには流石の夢美もビックリ。
「まじっ!?」
『御主人―――!空から女の子が!』
正しくは船から女の子だが。その少女はどこからか剣を取り出す。かなり大きい剣だ。
『な・・・なんか嫌な・・・・・・予感がするけど・・・・・・。』
震える声でちゆりが言う。顔が引きつっているのが想像できる。少女は剣を構え、カオスαに近づき・・・・・・。
「・・・・・・必殺!『走れ、メロスの様に』―――――――!!!」
と奇妙な事を叫び、少女は一気に剣を振るう!その時!
バゴォン!!
大きな音と共にカオスαが真っ二つになった。当然、夢美は真っ逆様。
「ウソ―――ン!・・・・・・いぃっ!」
夢美は近付いて行く地面を見、顔が真っ青になる。夢美は高所恐怖症であるのだ。今までは空とか見ていたのである。
「いやぁぁぁぁぁ!助けて―――!こんな所で死にたくないよ―!ちゆりヘルピミ―!」
これまでのカリスマ(?)を殴り捨てて、泣きじゃくる夢美。余程、高い所が怖いのだろう。
あと少しで激突・・・・・・かと思いきや、魔法が得意な科学者、理香子がロケットベルトを噴射させて夢美をキャッチする。
「大丈夫、夢美・・・・・・?」
「はははは・・・・・・生きてる・・・・・・。」
「この様子だと大丈夫そうね・・・・・・。」
そんなやり取りの中、少女は何かを探しているかの様にキョロキョロしつつ去ろうとする。
「あ、この野郎!カオスαの修理代は高くつくぜ!」
そう怒鳴り、ちゆりは持っているパイプ椅子をブン投げる。パイプ椅子はそのまま、少女に向かって飛んでいくが・・・・・・。
「何よ!邪魔しないでよね!必殺、『UFOアポロン』―――――――!!!」
今度は何処からかさっきのより小さい剣2本を取り出し、パイプ椅子を粉々にした。流石のちゆりもこれには驚く。
「おっと、こんな奴等と相手している暇はないっけ・・・・・・霊夢DO☆KO☆DA―――!!」
そう言い、少女は去った。幸い、付近の機械人形は全て片づけたので安心して尻もちをつくちゆり。
あいつは一体何なんだ?今まで見た事がない技を持っているし・・・・・・。だが、分かった事は1つだけ。
「あいつ、霊夢を知っているのか・・・・・・?だとすれば、関係者か??」



「弾幕はパワーだぜ!!」
人里の付近で魔理沙は必殺のマスタースパークを機械人形軍団に放った。その向こうにはアリスが闘っている。
「くそっ、きりがないぜ・・・・・・。」
「魔理沙、大丈夫?」
「あぁ、大丈夫だぜ。」
人里付近では紫が境界を弄っているので、里の者達は外の喧騒を知らずに、平和に暮らしている。
その為、魔理沙達は安心して全力で戦っているが、相手も数で襲いかかって来る。
「台湾、こいつら一体何なの?弱点知っているかしら?」
「シラナイヨ―ホント。」
「ウソハダメダヨー!」
「マジメニコタエテ!」
「イタイイタイヤメテー!」
「・・・・・・分かった、分かった、上海も蓬莱も台湾を責めないで。」
かつてZのスパイだった台湾をポカポカする上海と蓬莱をなだめるアリス。いつの間にか2人はスパルタ方式でしごいている。
そんなやり取りの中、コソリと1体の機械人形がアリスの背後に近づいていく。それに魔理沙が気づく。
「っ!アリス危ない!避けろ!」
「え?」
そう言われ、アリスは振り返る。そこには接近戦用の武器を持った機械人形が振り下ろした所だった。
危ない!そう思い、アリスは眼をつぶる・・・・・・が、何の痛みも感じない。
目を開けると、キョトンとした魔理沙と真っ二つになった機械人形が映っていた。ということは・・・・・・。
「間に合った・・・・・・とりあえず、幽香には感謝しないとね・・・・・・。」
霊夢がいた。額には陰陽玉のイラストが載っているハチマキをし、左手には光る剣を持っていた。
「れ、霊夢・・・・・・?お前なのか・・・・・・?」
「魔理沙・・・・・・やっと分かった様な気がした・・・・・・今まで私が闘えたのは皆のお陰だって。皆がいたからこそ闘えた。」
「「霊夢・・・・・・。」
「それに、あんな終わり方をしたら、ファンが怒るでしょ?」
そう言って、笑う霊夢。まさに博麗霊夢そのものだったのだ・・・・・・。
「へっ、それが霊夢らしいぜ・・・・・・。」
「さて・・・・・・あらゆる異変を爆裂的に鎮圧するわよ!!」
「おぉ!」
「爆裂的に、って・・・・・・?」
「「「サァ・・・・・・?」」」
霊夢の言葉に首を傾げるアリスと人形達を置いといて、霊夢と魔理沙は敵陣へと突っ込んだ・・・・・・。



「ふぅ・・・・・・これでこの地域は大丈夫そうね。」
「だな。後はうどんげ達の援護に向かうか。」
霊夢と魔理沙、あとオマケ(ヒドイ)のアリスは死闘の末、なんとか人里付近の量産型軍を撃破した。
その時、霊夢の目の前にスキマが出、中から紫が現れた。
「3人共、お疲れ様。休憩したいと思うけど、夢美達の所で何か異常が起こったの。」
「分かった、すぐに急行するわ。」
「それと霊夢・・・・・・。」
「何?」
「・・・・・・おかえり・・・・・・。」
「・・・・・・ありがとう・・・・・・。」
「言いたい事は言ったから・・・・・・。私は他の皆の様子を見に行くわ。」
そう言って、紫はスキマへと戻った。その前に魔理沙とすれ違い、こう囁く。
「(せっかくのセリフ悪いけど・・・・・・霊夢は渡さないわよ♪)」
「(おいおい覗き見かよ・・・・・・。)」
紫が去った後、魔理沙は呆れる。全く、なんて巫女好きなスキマ妖怪だ・・・・・・。
とりあえず、夢美達を援護しようと霊夢と魔理沙は人里付近をアリスに任せ、その場所へと急行した。
途中で鉢合わせになった量産型機械人形軍団を蹴散らしつつ、霊夢達は思いもがけない者と再会する。
「ん?あれは・・・・・・?」
霊夢が見ると、そこには・・・・・・。
「・・・・・・チ、チルノ!チルノじゃないの!」
「ほえ?・・・・・・あ、霊夢!」
何と行方不明になった・・・・・・と言うより、忘れてしまったチルノがそこにいた。無論、着ている鎧の事は全然気づいていない。
「霊夢―――!」
チルノはそう言い、駆け出す。まぁ、忘れてしまったし、たまにはこの⑨の突進を受け止めてやるか・・・・・・。
そう思って、霊夢は受け取る準備をする。チルノは走りながら小型の剣2本を持ち・・・・・・。
小型の剣2本?
「・・・・・・え?」
「・・・・・・必殺、『イカロスの翼』―――――!!!」
そう変な事を言いながら、チルノは霊夢に向かって剣を振り下ろした。
「ちょちょちょっ!!」
慌てて霊夢は避ける。そして自分のいた場所をみると、地面はえぐれていたので心底ビビった。
「・・・・・・チ、チルノ!一体何の真似!?もしかして今まで忘れられた恨み!?」
「・・・・・・霊夢・・・・・・あたい・・・・・・あんたをぶった斬る!!」
「チルノ、何を・・・・・・まさか貴方・・・・・・!この機械人形軍団の一員になったっていうの!?」
霊夢はチルノに言う。どうか嘘であってほしい・・・・・・。そんな願いを心の中に秘めて。しかし・・・・・・。
「え?・・・・・・え、えぇそうよ。あたいは北方勇者帝国の⑨人目の勇者としてこの幻想郷にやって来たのよ!」
チルノの返事に霊夢は絶句した。何故、そんな事を・・・・・・?同様の心情なのか魔理沙も叫ぶ。
「何故だ!?こいつらのオリジナルはルーミア達を殺したT‐Jだぞ!」
「分かっているわよ・・・・・・。」
「だったら!」
「だからそれがどうしたって言うのよ!あれから1年間、あたいはやっと悟ったの!弱いのはいけない事だって!強ければ、誰も悲しまないって!だからあたいはキリュウとか言う奴と一緒に特訓して強く生まれ変わったのよ!」
「けどな・・・・・・そんな事をしたらルーミア達が悲しむぞ!」
「うっさい!あんたに何が分かるっていうのよ!あたいは戦ってやる!ルーミアやリグルを死なせたこの幻想郷と!」
そういうや否や、今度は特殊な形の剣に持ち替え、霊夢と対峙する。
「勝負よ霊夢!皆を見殺した分と今まであたいを馬鹿にした分、あと出撃前に食べたアイスバーがハズレの分の報いを受けなさい!」
「っ!・・・・・・最後のは余計じゃないの・・・・・・?」
そう平然と装ってみるが、霊夢の心はレミリアや神奈子達を見殺しにした事を言われ、心がチクリと痛かった。
左手の光の剣(1年前、T‐J討伐の前に幽香にいらないからという理由で渡された)を構え、チルノの出方を待つ霊夢。
「さあ行くわよ!まず1撃目!!」
そう言い、チルノはその剣を一気に振り下ろす。慌てて防御する霊夢。
大きな音が響き、霊夢はその太刀を受けとめたものの、左手がジンジンする。
「2撃目!!」
更に追い討ちをかけるかのようにチルノは剣を振る。その腕前はまるで妖夢以上の剣技だ。
再び、防御するが右腕はなく、片腕1本だけじゃなかなかうまく防御できない。左手が痛くなり始めた霊夢。
「3撃目!!」
「くっ!」
堪らず、横方向に避ける霊夢。しかしチルノも慌てず騒がず剣の向きを変え、霊夢に襲いかかる。
「(こいつ・・・・・・いつものチルノじゃない!)」
チルノの異常な程の成長(?)ぶりに戦慄を覚える霊夢。今の彼女には防御と避けるので精一杯だ。
「(まずいぜ・・・・・・霊夢がピンチだ・・・・・・。)」
その光景を魔理沙は見ていた。援護はしたいが、自分のパワーが取り柄の弾幕だと霊夢まで焼き巫女になってしまう。
数分後、肩で息をする霊夢に対し、動き回っていたにもかかわらずチルノは額の汗を拭っていた。
「ふう・・・・・・流石は霊夢ね・・・・・・けど、これで最後にしてやるわよ!!」
そう言い、チルノの鎧が輝いた。その光景に驚く2人。
「いくわよ!あたいの必殺技!!」
「くっ・・・・・・。何が起こるっていうの・・・・・・?」
「パート・・・・・・わわっ!」
チルノが言う終わる前に彼女に向って弾幕が飛んできた。慌てて剣で弾き返すチルノ。
「だ・・・・・・誰よ!せっかくあたいの必殺技がかっこ良く決まると思ったのに!」
チルノが弾幕の放った場所に向って怒鳴る。すると・・・・・・。
「・・・・・・魔界神で~す♪」
アリスの母親である魔界神、神綺であった。傍らにはメイドの夢子がいる。
「なんか、久しぶりにアリスちゃん会いに来たら自分と同じ魔力を感じてさ―、見に来たわけ。」
「は、はぁ・・・・・・?」
相変わらずカリスマもなく、ノホホンな感じの神綺に脱力感を感じる霊夢たち。
「ぐぐぅ・・・・・・!」
「あら、貴方ね?本体には魔力がなさそうだけど・・・・・・その服から私と同じ魔力がプンプン臭うわよ。」
「神綺と同じ魔力・・・・・・?っ!まさかその鎧、キリュウが作ったのか!?」
神綺の言葉に魔理沙はある事を思い出す。キリュウは神綺のクローンだという事を。
ということは、チルノはキリュウの魔力で強くなっているのか・・・・・・。
「そ、それがどうしたって言うのよ!・・・・・・あ!あんたみたいなアホ毛を倒せってキリュウが言ってた!」
「アホ毛って・・・・・・ひどいわね―。私の魔力で強くなった事に有頂天になった妖精に言われるなんて。」
チルノが神綺と霊夢を交互に見ている。どっちを討とうか迷っているのだ。
その時・・・・・・どこからか歌が聞こえた。悲しそうな歌声が。
♪ 紅に染まった罪人を 慰める者はもういない もう2度と届かないこの思い 閉ざされた愛に向かい叫び続けよう ♪
「・・・・・・これって紫が前に持って来た歌みたいね・・・・・・何か歌詞変わっているけど。」
霊夢達はその元を探しに辺りを見回す。その一方でチルノが舌打ちする。
「くっ・・・「紅」姉ちゃんがあたい達に撤退しろと言っているのね・・・・・・霊夢、勝負は預けたわ!次の機会に利子付きで!」
そう言ったチルノは飛びあがり、空飛ぶ船の1つに着陸する。そして船は全て、霊夢達から去っていた。
「チルノ・・・・・・どうして・・・・・・どうして貴方が・・・・・・?」
「魔理沙・・・・・・。」
それを見、寂しそうな表情になる霊夢を見る魔理沙。チルノは何故、自分達に敵対したのか?
それが、唯一、心の中に残っていた。



「・・・・・・成程ね・・・・・・じゃぁ、アリスちゃん達は今、私のクローンであるキリュウと戦っているのね・・・・・・。」
幻想郷の珍品道具屋、香霖堂で神綺はお茶をすすりつつ、言う。今までと違って真面目モードになっている。
何とか機械人形軍を退けた霊夢達は取り敢えず香霖堂で合流し、神綺達にこれまでの事を話した。
「ふむ・・・・・・君の言っている事は本当だというのは分かる・・・・・・しかし、氷の妖精の心中が分からない・・・・・・。」
「そうですね。確かに、友達を殺した者に味方するなんて考えられません・・・・・・。」
鼠であるナズーリンと尼さんみたいな恰好の一輪が言う。
「・・・・・・それにあの力・・・・・・神綺のものとはいえ、尋常じゃないわね・・・・・・。」
夢美がそう言い、ブルッと震わせる。カオスαの事がまだ頭の中にこびりついているのだ。
その時、アリスが思い出したように言いだす。
「あ、そうだ。あの、母様・・・・・・それと紫さん。聞きたいことがあって・・・・・・。」
「何?」
「何なの?アリスちゃんの質問にはできるだけ答えるわよ―。」
「・・・・・・闇の巫女って知っていますか?」
その時、ガラスが割れる音が響いた。神綺が持っている茶碗を落としたのだ。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・何故それを?」
そう尋ねる神綺に只事じゃないと霊夢は感じた。彼女が震えている事も分かってしまう。
紫も同様だ。必死に動揺を隠しているのが目に見えてしまう。
「T‐J・・・・・・私達が闘った奴より反則的に強いオリジナルですけど、情報では闇の巫女と関わりがあるらしくて。」
その変化に戸惑いながらも、アリスは続ける。
「アリスちゃん・・・・・・・・・。」
「な、何ですか?」
「世の中にわね・・・・・・知ってはいけない事もあるのよ・・・・・・・・・悪いけど、その事は聞かないでね・・・・・・。」
霊夢はますます気になった。闇の巫女とは一体何なのか?それが気にかかる。
「・・・・・・少しいいかい?そのチルノが言う北方勇者帝国の事だけど・・・・・・。」
雰囲気を紛らわそうと、香霖堂の主人である霖之助が新聞を取り出して言う。
「どうやら、外の世界では世間を騒がせている巨大なテロリスト組織で有名になっているらしい。各地で悪行を行ったり、小さくて資源が豊かな場所を襲っては拠点を作っているらしい。」
「じゃあチルノの言っている事が本当だとすれば、キリュウを除き、幹部みたいなのがあと8人いるって事だな・・・・・・。」
彼に続き、勇儀も答える。
果たして、チルノは何の理由で北方勇者帝国に加わったのか?その真相が知りたい。
そして何より、このままキリュウを放っておけば、幻想郷も外の世界も危ないということも分かった。
自分たちにできる事……それは……。
「キリュウを倒し……彼女達の野望を食い止めること……。」
霊夢がそう決断する。魔理沙達も頷く。
確かに、もうレミリア達はいない。だが、自分は最後まで戦ってやる。
これ以上、Zやキリュウに好きにさせない。幻想郷は皆のものだ。誰のものでもない。
そして、霊夢達はある事を思い出す。かつて、幻想郷の危機が起こった時、先代の巫女が残してくれた伝説の力の事を。
それはもしかすると伝説にすぎないが、話によればその力は幻想郷の何処かにあるらしい。
その力を集めて、一気にキリュウを叩く。そう決断する霊夢。
「……いくわよ!あらゆる異変を、爆裂的に鎮圧するわよ!!」
「「「お――――――――――!!!」」」
「だから何なのよ、爆裂的にって!?」
そんなアリスのツッコミが聞こえるが、霊夢達には聞こえなかった。
戦いは再び、始まる。
今、霊夢達の新たな冒険が始まった。



続く
お久しぶりですZRXです!
前作は、シリアスすぎて「殺しすぎ」、「キャラに愛が感じない」、「オリキャラが目立ちすぎる」、「こんな終わり方は嫌だ」というコメントが出たので、セカンドシーズンを書きました。
今作は前作とは打って変わって、ギャグあり、パロディありの何でもありのオールアクション(?)となっております。ぜひ、ご期待してください。
次回は立ち上がる霊夢達にあの先生が帰ってきます・・・!
ZRX
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コメント



0.270簡易評価
1.10名前が無い程度の能力削除
一行目から誤字、その後も名前間違えまくってます。投稿前によく見直しを。
それとアナタ自身が望まれてる存在かを過去の作品とコメを見返しての判断を。
4.無評価名前が無い程度の能力削除
もう突っ込まねぇ
6.70名前が無い程度の能力削除
笑いどころが多くて逆に流石と言わざるを得ないです
9.30名前が無い程度の能力削除
まさかのセカンドシーズンだと!?
思いっきり酷評を無視してやがる・・・。
また、あんたの事だから話数が多いのだろ?
正直、勘弁してほしいぜ・・・。
10.無評価名前が無い程度の能力削除
次は早く終わらせてくれよ
11.10名前が無い程度の能力削除
ツッコミどころ多すぎてなんて言っていいか分からない
13.無評価名前が無い程度の能力削除
とりあえず、ある程度まとめてから投下しる
14.無評価名前が無い程度の能力削除
また無粋なスペース埋めが始まるのか…
15.無評価名前が無い程度の能力削除
ZRX…少しは頭冷やしたのか?言っておくがお前のことはまだ信用してない。アンタが作った作品に俺はまだ激しい憎悪を持っている。
もしその作品がまたあの忌まわしきものなら今すぐここから出ていってくれ。そしてもう二度とこの場に立ち寄るな。
二度とあのような作品を作らないことを閲覧者に誓ってほしい。それなら続きを書いてもいい。
16.無評価名前が無い程度の能力削除
突っ込んだら負けかなと思っている
17.無評価名前が無い程度の能力削除
まぁわざとやってんだろうけど……
こういうのは自分のサイトでやった方がいいですよ。
18.10名前が無い程度の能力削除
お前さんが来ないのが一番いいから。
19.無評価名前が無い程度の能力削除
>>「こんな終わり方は嫌だ」というコメントが出たので、セカンドシーズンを書きました。

……その発想はなかったわ。
20.無評価名前が無い程度の能力削除
よし、わかってないようだから言ってやる。
終わり方云々じゃなく、このSSが嫌なんだ。
21.無評価過剰睡眠摂取症候群削除
勘違いをしてるかもしれないから言っておく
ここのコメント欄を無視するのと荒らしを無視するのとは違う
あとがきを見てここのコメント欄に目を通さないアホではないということは信じる
全部とは言わないが、この欄に書かれていることは荒らしじゃない
本気でこの作品に困っているんだよ
意地で続けるつもりならお前はただの荒らしだ

終わり方が悪かったからセカンドシーズンを始めるのは違う
みんなはあの悲劇を忘れたいのに、同じ世界でコメディやったところで笑えるものも笑えなくなる
東方の金曜日は捨てろ
一から普遍的な作品を書き始めて、書くことに慣れていった方がいい
誤字も多いからな

ド素人が失礼した
22.無評価名前が無い程度の能力削除
ZRX氏の作品見てたら、自分でも創想話に投稿出来そうな気がしてきた。
根性は凄いですね
23.70名前が無い程度の能力削除
読み手に読む権利があるように、書き手にも書く権利があります
どちらも、創想話のスペースを貸していただいているという前提がありますが
自分は言葉を気にせず書いていいと思います
自分は読む側よりも書く側に周ることが多いので、上達は何より書く事だと思っていますから
ただ、書く義務はありません。言葉が辛いと感じたら、少し休息を取り、自分の文を読み返してみると、新しい書き方や、失敗した部分、良かった部分、色々なものが見つかると思います
読み手も、読む義務はないのだから気に入らなければ読まないという選択肢もあるのですが、やはり読んで、その読んだものについて言葉を投げ掛けたくなる人もいます
これからも書き続けるという心があるのならば、頑張って
貴方のこれからに70点を
24.無評価名前が無い程度の能力削除
高得点をいれてるやつが自演にしか見えないわ
25.無評価名前が無い程度の能力削除
とりあえず基本的な単語(例:星蓮船)とかは辞書登録しておくといいですよ
後、星蓮船は「せいれいせい」ではなく「せいれんせん」だと思われます
26.40名前が無い程度の能力削除
とりあえず前回の作品を切り捨てて作るのがいいですよ。
ひとりぼっちにされるいじめは時によって、いじめられる側に問題があるのですよ。
もう一度考え直すのも大事だと思いますし、チャンスはそう何度も来ませんよ。

それだけ続けようという意志に40点です
27.無評価名前が無い程度の能力削除
前回の作品も通しで見てはいましたが、今作にしても長い上に薄い内容でまともに読めません。
ギャグもパロディも、何でもかんでも詰め込めばいいってもんじゃないですよ。前作と同じ世界観では全く笑えません。
失礼ながら作者さんは毎作毎作、他の方から頂くコメントを読んでいないのでしょうか?
知っていて書いてるというのならばその根性は認めますが、改善しろと何度もコメントが来ているのに
全くその努力が伺えないというのは読み手からすると非常に不愉快です。
正直な話、新着でこのシリーズ名を見つける度に「またか」という気持ちにさせられますので。

今一度、ご自分の今までの作品に付いたコメントを読み返してみては如何でしょうか。
その上でもう一度、ご自分の作品を考え直してみて下さい。
しっかりした作品を期待しております。
28.60名前が無い程度の能力削除
キャラ名の間違いがあまり改善されてないのが残念。
変換ソフトとか使ったほうが楽かも。

まあ、酷評多いけど頑張って。
書いてればどんどん良くなるから。
30.50名前が無い程度の能力削除
ある意味、ヤバいって・・・。
33.10名前が無い程度の能力削除
投稿する勇気がなかったけど決心付けてくれた
ありがとう。
34.無評価名前が無い程度の能力削除
なんだかんだで得点入れる人もいるのか。優しいね。まぁ半分イヤミだろうけど
35.無評価名前が無い程度の能力削除
なんか文章が臭い。
何を思ってこれを書いてるのかがわからない。

ちなみにまあまあ高い点数を入れる人は、批判の嵐を受けても
続ける作者の姿勢「だけ」を評価してるんじゃないでしょうか。
36.無評価名前が無い程度の能力削除
15. フリーレス 名前が無い程度の能力 ■2009/06/12 19:39:59
ZRX…少しは頭冷やしたのか?言っておくがお前のことはまだ信用してない。アンタが作った作品に俺はまだ激しい憎悪を持っている。
もしその作品がまたあの忌まわしきものなら今すぐここから出ていってくれ。そしてもう二度とこの場に立ち寄るな。
二度とあのような作品を作らないことを閲覧者に誓ってほしい。それなら続きを書いてもいい。

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何だこの恥ずかしいヤツはw
38.10名前が無い程度の能力削除
まwたwおwまwえwかw
45.無評価⑨なす削除
いまさらこれを突っ込むのはアレだけれども、
天才だね、君、これだけ批評されるって。