Coolier - 新生・東方創想話

でじたるすちるかめら

2009/05/20 17:21:20
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秋も中頃、川はさらさらと音を立て流れ、木々はさわさわと音を立て踊る

それに合わせひらひら舞う葉。私はこの光景を見るのが好きだ

今日も基地の周りを散歩する。昨日は変なコードを見つけた。今日も素敵なものが落ちてるかもしれない


ここは幻想郷。妖怪と人間が共に生を知り、死を知る地。今日も平和

最近『外の世界』から引っ越してきたお方がいるらしく、収集物は好奇心そそるものばかり

今日も素敵なものを探しに川沿いを歩く。ここら辺に落ちてる事が多い


「おや?」


小さな立方体の物体。石の上に不自然に落ちていた。置かれていた?

手に取ると重い。今までの経験からすると外の世界の「キカイ」という代物だ

心躍る。こういうものは初めて見る!早く基地に持ち帰って調べたいな

でもちょっと回り道。最近新しい盟友が増えた。

一月ほど前、他の「キカイ」を弄くっていた時に声をかけられた。


彼はお店をしているらしく、そのキカイをみてすぐにキカイのことを教えてくれた。物知りさんだ

いつでも遊びに来ていいって言ってくれた。今日はこの「キカイ」のことを聞いてみよう


「いらっしゃい…お、君か。何か面白いものでも見つけたのかな?」


笑って私を見る盟友。私も笑って、キカイを手渡した。嬉しそうだね、といわれた

盟友は安楽椅子に座って眼鏡を掛けなおし、キカイを眺めだした。このお店には色々なものがある

でもお金がないとお店のものは買えない。最近は収入が無いので手持ちは無い

だから見るだけ。見るだけでもとっても楽しい。静かな時が流れる




「…かめら?」

そう、カメラ。と彼は今一度言った。カメラは知っている。お友達の新聞やさんが愛用している

「でも…なんか違う」


「正式名称『デジタルスチルカメラ』撮影することは同じだが媒体に『データ』を用いている
 光学センサで生成するデータをメモリーという記録媒体に保存することで
 半永久的に保存できるし技術者でなくとも綺麗に写真が撮影できる」

「…ふわぁ。」


その後彼と色々試してみた。ボタンが色々ありどれが撮影ボタンなのか分からない

適当に押していたら軽快な音楽と共に作動音がし、四角だったものかられんずが出てきた

私は吃驚して手を離してしまったので彼があわてて両手で掬い上げた

良く見てみると、液晶のようなものが光り、映像を映し出した


「映写機かな?」

「いや、これはれんずを通して物を見てるんだよ」

「え?」


確かに、映し出された映像は店内そのものだった。手でかめらを動かすと映像も動いた

他のボタンも押してみる。すると、また作動音がし、画面が暗転した

そしてすぐにまた映像が出てくる。先ほどとは違い、静止画だ


「ほう、こうやって写真を撮るのか…」

「え?今ので撮れたの?すごい!」









「えへへ。かめら。かめら!」


その後色々試したが他に得られた情報はあまり無かった。ボタンを押すと良く分からない単語が

画面上に浮かび上がったりした。横文字は難しい。盟友にはお礼に育てている胡瓜をこんどあげよう

試しに風景を撮ってみたりした。完成した映像は4秒ほどで消えてしまう

そうこうしているうちに、山の上のほうまで来ていた。引越ししてきた神様のおうちだ

境内の後ろからひょこっと出てみると、巫女さんが掃除していた。麓とは大違いだ


「あれ?珍しいですね」


巫女さんに声をかけられる。彼女は人間らしく、外の世界のことをお話してくれた優しい盟友だ

以前キカイを弄っていたら不意に声をかけられた。吃驚して部品を一つ落っことしたのもいい思い出


「あ!デジカメですか!?幻想郷にもあったんだ~」

「でじ…かめ?これはでじたるすちるかめらだよ?」

「でじ…すち…幻想郷ではそう呼ぶんですか」

「ううん。今日初めて拾った」

「…?まぁいいや。どんな写真を撮ったんですか?見せてください!」

「え?」


そういうと彼女はカメラを手に取り、慣れた手つきで操作し始めた

良く分からない文字列を出すと回転盤のようなものを操作し画面を切り替えて行く

彼女は外の世界から来たんだ、詳しいのはあたりまえか、と思った


「わぁ…素敵」


そう言う彼女の持つかめらを覗き込む。すると、先ほど4秒ほどで消えてしまった映像がまた映っていた


「うわぁ…!」


私も感嘆の声をあげる。そこには美しい川と木々が写っていた。舞う落ち葉も時間を止めて

その時間だけを私たちは眺めていた。こんなに綺麗に撮れていたなんて思わなかった

私が撮った写真。ちょっとむずむずした


「上手ですねぇ!…あれ?」


彼女はまた操作し、突然声をあげた。不具合でもあったのだろうか、私はドキッとしてまた覗き込む

するとそこには見慣れない人間の顔が映っていた


「これ、外の世界かなぁ…」


そういいながら彼女は何枚かある見慣れない映像を切り替えて行く。楽しそうな男女の写真

好いているもの同士の写真だろうか、幸せそうに見えた

彼女はどこか寂しそうな顔をして「こういうのも、素敵ですねぇ」と言った










「どうします?」


幻想郷にあるということは何かの拍子にこちらに送り込まれてしまったということだ

外の世界に帰すことは容易ではない。私はかめらを持ち帰ることにした

盟友に操作の仕方を粗方教えてもらった。あと、精密機器なので分解しない方がいい、とも言われた

少し残念だが、壊れるのは悲しいので諦めることにした




これだけは壊したくなかった。これを壊すと、なにかいけないことのような気がして





このかめらは充電式で、やはり「電気」が必要らしい

盟友は社に入り、あるものを持ってきてくれた。充電器だという

「やっぱり形同じだ~!よかった」

電気については研究を進めている途中だ。この研究の目標を、このかめらの充電と定めた


基地に帰る。兼、私のおうちでもある

もう一度電源を入れる。淡い光。そして軽く操作すると、楽しそうな二人の笑顔が出てくる

それを見るとほほえましく、そして寂しい感じがした

ふと天井を見ると鋭く風を切るような音が聞こえた。続けて、大地を刻むような砂利の音

外を見ると、髪をすこし乱れさせている最近知り合った盟友が楽しそうに笑っていた


「やぁ。遊びに来てもいいって言うから来てやったぜ。何か面白いもんあるか?」


こんな一妖怪のために足を運んで、「あそびにきて」くれた。こころがぽっとなった

彼女は歯を見せて「にひひ」というかのように笑っていた

その楽しそうな笑顔を見てると、こっちも楽しくなって、自然と笑っていて、ふと思いつく



「ねぇねぇ。写真、撮らない?」
初投稿だったり

拙い文章ですが感想などいただければ嬉しいです
すば
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コメント



0.2790簡易評価
8.100名前が無い程度の能力削除
いいね。名前がでない所も完成度あげてる。満点をあげよう。
9.無評価名前が無い程度の能力削除
合同誌企画に立候補したかったから、投稿したかったんですねわかります
10.100名前が無い程度の能力削除
内気だけど好奇心満々なところが良いにとりですね。
13.70名前が無い程度の能力削除
ところどころ句点が抜けてたりするのが気になる
37.80名前が無い程度の能力削除
かなり幼い感じですがこれはこれで良し。
44.80名前が溶解削除
多少キャラに幼い感じが強いですが、気を衒わずに素直に読めてよかったと思います
60.100リバースイム削除
デジカメに対する反応が可愛いな。