Coolier - 新生・東方創想話

紅と蒼の風呂事情

2009/05/17 22:54:26
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日もすっかり沈んだ幻想郷。
悪魔の館とも言われる紅魔館のメイド長が最近博麗の巫女に合わせて朝に起床時間をずらしている主の世話を
終えるのと、門番長の仕事が終わるのはほぼ同時刻だ。
したがって1日の疲れを癒す入浴の時間も必然的に重なる。
今日も仕事を終えた者達で賑わう時間帯の脱衣所で鉢合わせた2人。
高い地位にある2人も他の妖精メイド達と同じ紅魔館の大浴場を使うことになっている。

「あっ、咲夜さん。今日もお疲れ様でした」
「ええ。そちらこそお疲れ様。」
「いやぁ、最近襲ってくる妖怪が増えて大変ですよぉ」
「その割に随分楽しそうに子供達と遊んでるじゃない?」
「うぐぅ・・・」

子供達とは紅魔館の近くの湖に住むチルノや大妖精、少し離れた森に住むルーミアやリグル等のことである。
どうも美鈴に懐いたらしく、最近門の前でじゃれ合って遊んでいるのを見る回数が増えた。
微笑ましい光景ではあるのだが、そこに咲夜が現れると(美鈴以外は)一目散に逃げてしまうため、咲夜にとって
あまり面白くないらしい。
子供と言っても見た目が幼いだけで、少なくとも咲夜よりは長く生きているというのは今更言うまでもないだろう。

「侵入者が来ない間は暇なのもわかるけどほどほどにね」
「はい・・・」

いつものように他愛も無い話をしながら着衣を外して、洋風な館に似合わない銭湯チックな籠に入れていく2人。

「それじゃ入りましょうか」

ガラッと意気揚々に大浴場の戸を開ける美鈴。

「うわちゃー・・・やっぱりこの時間は混んでますねー」
「それはいいんだけど・・・」
「どうかしたんですか?」
「・・・お願いだからタオルくらい巻いて頂戴」

立ちのぼる湯煙の中、美鈴はタオルを肩に掛けて堂々と直立している。
換気が不十分なため湯気が若干のブラインドの役目を果たしていたが、逆にそれがアレな感じだ。

「えー、いいじゃないですか女同士なんですから。それにどうせ身体洗う時に外すじゃないですか」
「そ、それはそうだけど・・・」

毎日のように浴場の暑さ以外の理由で顔を真っ赤にして注意する咲夜だが毎回一言で一蹴されてしまう。
周りで鼻血を出して倒れている者がいるのに気づかないのだろうか。
美鈴は髪が長い。よって洗うのも他の者より時間がかかるのでその分犠牲者も多くなってくるから困りものである。
同性に対してそういう感情はどうなのかと思う者は幻想郷では少数派だ。むしろ絶滅危惧種だ。幻想郷なら仕方ない。
幻想郷の外の世界出身の咲夜は美鈴に対してそういった感情を抱く自分に戸惑っている段階であり、それが初々しいと
妖精メイド達の影の話題になっている。
「素直になれないメイド長を応援する会」などという組織も影で拡大を続けていたりする。
しかし咲夜か美鈴のどちらかに想いを寄せている者も多いので、同士を集めて対抗組織を設立する予定もあるとかないとか。

「~♪」

さまざまな意味の篭った周りの視線に構わず鼻歌交じりに髪をワシャワシャと洗い始める美鈴。
この透き通った歌声を聴くことで癒しを感じる者も多い。咲夜もその内の1人なのは秘密だ。
その歌声を聴き続けたいのは山々だったが、咲夜にはもう1つ気になることがあった。

「美鈴」
「何ですか?」
「いつも思うのだけれど、髪をもう少し丁寧に洗ったらどうなの?その洗い方では髪が痛んでしまうわ」
「そうですか?」
「そうよ。特に髪の長いあなたの場合はもっと丁寧に撫でるように洗わないと」
「こうですか?」
「・・・いいわ、私が教えてあげる」

そう言うと美鈴の後ろに座り、長く紅い髪に手をかける。

「い、いいですよ。決して咲夜さんの手を煩わせるようなことでは・・・」
「そうはいかないわ。門番は館の顔の一つなのよ。最低限の身だしなみはしっかりしてもらわないと。」
「あぅ~・・・わかりましたよぅ」

そんな様子を二人の背後にある湯船に浸かっている者達が観察していた。

「メイド長・・・今日は積極的ね」
「そうね、このまま進展が見られるといいんだけど」
「ハァハァ・・・」
「うー・・・隊長ぉ・・・」
「咲夜様・・・」

妖精メイドや門番隊員が何やら興奮したり切なそうに指をくわえたりしてブツブツ言ってるが咲夜達の耳には届かなかったようなので
よしとしておこう。
それを他所に美鈴の髪を見ていた咲夜は目を丸くした。

「本当に今までずっとあの洗い方続けてたの?」
「え?ええ。ずっと続けてましたけど」

あの洗い方とは先ほど美鈴がやってたワシャワシャという擬音のするとても丁寧とは言えない洗い方のことである。
美鈴の「ずっと」とは何十年、いや何百年のことなのか咲夜には分かりかねた。
にもかかわらず美鈴の髪はまっすぐで柔らかく、見事なしなやかさを保っている。

「・・・ならどうしてこんなに綺麗なのよ」
「うーん、体質じゃないですかね?」
「・・・・・・よけいなお世話だったみたいね」

スタイルといい髪質といい、心底この妖怪が羨ましいと思いつつ、咲夜は再び自分の身体を洗う作業に戻った。

「あぁもう!あとちょっとだったのに!」
「くっ・・・!続きは脳内変換でカバーするしか・・・!」
「ふぅ・・・」
「個人的には安心してる」
「同じく」

引き続き様子を見ていた者達はいろんな種類の溜め息をついた。
そうこうしているうちに2人ともそれぞれの髪と身体を洗い終えて広い湯船に浸る。

「ふぃ~・・・極楽極楽・・・」
「なんだか年寄りくさいわね」
「まぁ実際結構生きてますしねぇ~」
「・・・そうだったわね」

美鈴が何百年も生きているなんて事実は見た目からは想像もつかない。
分かってはいるのだが、ついつい自分のものさしで測ってしまうのが人間という生き物だ。
人間かどうかも怪しい強さを持つ咲夜とて例外ではない。

「ところで咲夜さん」
「なによ?」
「そんなに胸を凝視されると・・・さすがに恥ずかしいんですけど・・・」
「・・・ッ!!ご、ごめんなさい・・・」

いつにまにか美鈴の幻想郷トップクラスの胸に目がいってしまっていたらしい。
パーフェクトメイド長である十六夜咲夜にもコンプレックスというものは存在するのだ。
すぐに真っ赤に染まった顔を伏せる。

「そこでもう一押しよメイド長!」
「揉め!揉んじまえ!」
「ハァハァハァハァ・・・」
「隊長の・・・すごく・・・大きいです・・・」
「咲夜様・・・私のでよければいくらでも・・・」

様子を見ている者達のテンションがおかしくなりはじめた。
長時間湯船に浸かって観察しているため、そろそろのぼせ始めたのだろう。
心なしか頭がフラフラと揺れているように見える。早く上がることを全力で推奨したい。

「あはは そんな気にしなくてもいいですよ。」
「そ、そう?」
「そんなことより咲夜さん、この後空いてます?」
「え?ええ。お嬢様もお眠りになられたし、朝まではこれといった予定はないけど?」
「私も今夜は夜勤がないので朝まで大丈夫なんですけど」
「ええ知ってるわ」

それが何?と咲夜が返すと美鈴がそれに答えた。

「私の部屋に来ませんか?」
「え・・・えぇっ!?」
「わぁ!?」

驚きのあまりザバッと激しく立ち上がってしまった咲夜に美鈴も驚いた様子。

「ここここれは・・・そうなの!?そういうことなの!?
だ、駄目よ・・・!まだキキキキスもしてないのに一夜で一気に済まそうなんて・・・!
も、も、もちろん私としては嬉しいのだけれど、貴女から誘ってくれるとは思ってなかったからまだ心の準備が・・・!」
「あ、あの、咲夜さん・・・?」

突然クネクネと身体を動かしながら何やら意味不明なことを言い出した咲夜を不思議そうにみる美鈴。

「いいお茶が手に入ったのでご馳走しようと思ったんですけど・・・嫌ですか?」
「・・・え?」

長いような短いような微妙な沈黙・・・・・・・・

「・・・あ・・・ああ。そういうこと?ええ、喜んで」
「よかったー。じゃあお風呂上がったらすぐに準備しておきますね」
「お願いするわ」

持ち前の切り替えの早さで事なきを得た咲夜だったがもし相手が美鈴以外の人物だったらと考えるとゾッとする。

「フー・・・一時はどうなるかと思ったわ・・・」
「さすがメイド長。対美鈴様用の誤魔化しは完璧だったわね」
「ただのお茶のお誘いかぁ・・・いや、まだ望みはあるわ!美鈴様がお茶に媚薬を仕込む可能性だって(ry」
「隊長ぉ・・・」
「咲夜様・・・」

まだ見てたのかお前ら。3番目の人はいい加減自重しろと思うがここは我慢することにする。

「じゃあそろそろ上がりましょうか」
「そうね」

立ち上がると出口に向かって歩き出す。心なしか咲夜の背中は嬉しさを物語っているような気がする。
たくさんの熱い視線に気づくことなく2人は浴場を出て行った。
2人が完全に出て行ったのを残された者の中の1人が確認して皆に合図を送る。
その合図が出された途端、浴場内に楽しげな声が響き渡る。

「はい!じゃあ覗きに行く人手ぇ挙げて!!」
「「「ハーイ!」」」

その後、美鈴の部屋を覗きに行った者達が鬼のようなメイド長にお仕置きを受けたのは言うまでもない。
お初にお目にかかります、ATMと申します。
文章力、会話力に全く自信が無いのですが他の作者さんのSSに触発されて勢いで書きました。
分かりにくい部分やみょんに説明口調になっている部分は見逃していただけると助かります。っていうか見逃してください。
目的もなしに書いたらこんなんになっちゃいました。読みにくかったらごめんなさい。
大浴場を書いたけど幻想郷にシャワーというシステムはあるんだろうか。ってか電気は?
電灯は香霖堂から持ってくるとして、電源は魔法かな?
東方というジャンル自体始めたばかりなのでまだ幻想郷という世界が自分の中でイマイチ固まっていません。
ちなみに自分はイージーシューターです。
こんな駄文を最後まで読んでくださった方、本当にありがとうございました。
ATM
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コメント



0.3160簡易評価
2.70名前が無い程度の能力削除
せっかくだからもうちょいイベントがあってもよかったかなあなんてw
3.80名前が無い程度の能力削除
この妖精たちはw
6.80名前が無い程度の能力削除
面白かったですwwお茶会の中身がよみたかったです。
7.80名前が無い程度の能力削除
一行目に誤字が……
8.90名前が無い程度の能力削除
妖精メイドの三番目=おまいら
9.90名前が無い程度の能力削除
いい。実にいい。
 
欲を言えばもっとボリュームが欲しかった。
続編希望ともいう。
10.80煉獄削除
もう少しハプニングなりなにかあっても良かったかと思いますが、
妖精メイドたちなど面白かったですよ。

誤字の報告
>「幻想卿」じゃなくて「幻想郷」ですよ。
あとは「…(三点リーダ)」などのほうが良いかと思います。
12.無評価ATM削除
誤字の指摘ありがとうございます。
幻想卿幻想卿と連発してましたね(笑)
急いで直したのでまだ誤字があるかも
15.80名前が無い程度の能力削除
風呂事情が風呂情事に見えた自分はずいぶんと汚れてるんだろうなぁ……(苦笑)

テンポ良く進んでいて、面白かったです。日常の一こま、という感じで。
ただ、逆にいえばそれだけで、という感じなので、もう少しメリハリが欲しかったかもしれません。
17.80名前が無い程度の能力削除
2828SSwww

これは良いめーさく劇場ww
19.80名前が無い程度の能力削除
妖精メイドら5人が好印象でした。それにしてもやっぱりオフ時の美鈴は飄々とした美男子イメージですよね。ジャスティスです。

全体としては、上に同じくせっかくのお風呂なので、もっとぶっ飛んでもいいと思いました。
26.100名前が無い程度の能力削除
ああ、紅魔館の浴場がアヴァロンだったのか…
29.100奇声を発する程度の能力削除
3番目の妖精メイドwwwww
30.90ふぶき削除
おもしろかったですw

勿論続編はあるんですよね?w
40.80名前が無い程度の能力削除
3番目の妖精の顔をよく見ていただきたい…どこかあなたの顔に似ていないだろうか
つまりそういうことですね
44.100名前が無い程度の能力削除
「立ちのぼる湯煙の中、美鈴はタオルを肩に掛けて堂々と直立している。」
の下りを詳細を書く作業に戻るんだw
73.100名前が無い程度の能力削除
ふぅ…
74.100名前が無い程度の能力削除
3番目がヤバすぎる、途中で賢者入ってんじゃねえかww