Coolier - 新生・東方創想話

チルけーね! 

2009/04/29 14:08:16
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5月××日 はれ

今日は、あたしはカエルをこおらせてあそんだ、きのうもカエルであそんだからあきて来た。
レティがいなくなったからやることがなくてつまらない。
だけど今日は人里のけーねとあった、
けーねは人里で寺子屋の先生をやっているんだって!
明日はあたしを寺子屋につれていってくれるっていってくれてすっごくうれしい!、
明日は学校に行けるから楽しみ!。





紙、それも和紙に限っては人里で扱っているものより天狗が作ったものが質が良く、長持ちする。
人里で寺子屋の先生をしている私は今度の授業で使う和紙を購入しに天狗の山に来ていた。
人里の日本酒を数本、これだけで天狗の使う上質の和紙数十枚と交換できるなら安いものだ、

天狗達から和紙を貰い、一言二言会話を交わした後、箱に入れたそれを両手に意気揚々と人里へ帰る途中だった。 魔法の森を半分まで進んだところ、突如右の草薮から私の目の前に向かって飛んでくる握り拳ほどの大きさのなにか。
目先3寸のところで上手くキャッチしたそれは・・・蛙の氷漬け?

疑問符を浮かべていると今度は足音のようなものが聞こえてくる、さっきの草薮の方だ。
顔だけをその方向へ向ける、見えたのは草薮を飛び越えてやって来る6枚の氷の羽。
あの子との出会いは大体こんな感じだった筈だ、兎にも角にも私はその日、あの子とであった。

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彼女の名前はチルノ、湖の畔でこの子の口から聞いた言葉でわかった名前だ。
あえて話をかわしてわかったとは言わないその理由は、

「でさ!レティがいないととってもつまらないの!何かおもしろいことしらない!?」
「レティったら「また冬に会いましょうねチルノちゃん」っていってまたいなくなっちゃったの!」
「あたいってばカエルを凍らせる遊びしかしらないから新しいあそびを見つけたいの」
「そ・れ・で!あんたは知っているでしょうね!面白い事!」
「逃げようとしたって無駄よ!なにせあたいはサイキョーなんだから!」

とこのように一方的に話かけるだけ。何かを話そうとしてもその前にどんどん話を進めていくので
会話が全く成り立たないのだ。せめて相づちくらいは打たせてくれてもいいだろうに。
質問をまともに話せないまま、彼女の一方通行の会話は終わった。
つまり彼女の知り合いの「レティ」なる人物が春になる直前か後に「また」消えてしまった。
……「レティ」とは恐らく冬の妖怪「レティ・白石」のことだろう。あくまで推測だが
氷精と知り合いで毎度春にいなくなる「レティ」とでれば雪山に現れる彼女で間違いないだろう。
冬の妖怪である彼女なら氷精と知り合いでもおかしくはないし春にいなくなるというのにも合点がいく………
それで一緒にあそんでくれる存在がいなくなり、遊びのレパートリーが少ない彼女は暇になった。
そこで新しい遊びを見つける事にした彼女…チルノは私をつかまえて新しい遊びを聞き出そうとしているわけだ。
とりあえず言いたいことは理解できたがもう少しわかりやすい説明をして欲しかった、話す方はいいが聞く方はとても疲れる。
この子は勉強なるものを知らずに育ってきたのだろう。言葉の支離滅裂具合からそれが見て取れる。
人よりも長生きすることが可能な妖精が人よりも無知。自然という純粋なものから生まれた妖精には
知識などさして必要ないというのか……、せめて勉強でもすれば幾分ましにはなると思うが………………それだ

「だまってないでなにか言ったらどーよ!このはこティッシュ!」
「はこティッシュが何かは知らないが遊びなら知っているぞ。」
「ホント!?」
「ああ」

私の頭で一つの思いつきが提示される、勉強をやったことがないのなら・・・・

「どんなあそびなの!?」

期待に満ちた眼で私を見つめてくるチルノ、その期待に応えるべく私は返答を返す

「「おへややお外でみんなといっしょにたのしくよみかきそろばんきょうしつ」…という遊びだ、
  明日の朝から人里でやる予定だが…一緒に来るかい?」

是非彼女には勉強をやってもらおう、無知なる子供に英知を与え
歩むべき道を教えるのが先生という仕事だ。      ココマデキョウセイ…オシエガイノアルセイトハハジメテダカラナ……

「とにかく楽しいのね!?」

ああ楽しいとも、サイゴマデシッッカリツキアエバネ…

「それは保証できる。私が先生をするんだ、楽しく勉強できるよう務めるのが私の仕事だ。」
「あんた先生だったの!!先生ってなにするの!?あたいよくしらないの!」
「明日、私と一緒に来ればわかることだ。それで君は来るのか?」
「あったりまえよ!よろしくねはこティッシュ!」
「私には慧音という名前がある。君が私の生徒になるのなら、私のことは慧音先生と呼べ。
 明日の朝ここにもう一度来る、その時一緒に人里に行こう。私は用事があるので先に家に帰らせてもらう。
 いいか?明日の朝にまた此処にくる、そして一緒に人里へ行こう…わかったな?じゃあまた明日会おう…チルノ。」
「わかったけーねセンセ!いっしょに行くって約束したんだから!あした必ず来なさいよ!」

もちろんだ、そう返事を返し、和紙の入った箱を片手に抱え、今度は人里へ向かって走りだす。
明日の授業はチルノにとっても私の生徒達にとっても有意義な時間を過ごせるだろう、
といっても明日の授業に飛び入りで参加する形になるといつも通りの授業ではチルノがついて来れないし何よりチルノにとってつまらない授業になってしまうだろう。
そうならない為にも早く家に戻ってチルノの為の特別授業の内容を考えねばいけない。

絶対に失敗にはさせない、失敗では終わらせない。心の中の決意を私の中で何回か復唱する、
その結果、風速を超える勢いで家に向かい、家の戸口に頭から突っ込むような形で帰宅することとなった。 

家に着いた頃には空には月…満月が昇り初めていた。そのため
家の中で戸口に背を向けて漬物を漬けていた妹紅をcaved!!!!してしまったのはまったくの余談だ。



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「まだなの?あたいもう疲れたんだけど?」
「もうすぐ着く………そこに神社が見えるだろう…あそこだ。」

人里の中心から東に2000歩、そこに慧音と慧音の生徒達が足繁く通う寺子屋がある。
元はいつも沢山の参拝客が来るような立派な神社だった、だが此処で遊んでいた子供が妖怪に襲われた所為で参拝客の足は途絶え信仰も失い神主も姿を消した。だがその噂を聞きつけた慧音が神社の妖怪を即退治し、そのお礼ということで元神主(ニート)から譲ってもらったそれを改修して寺子屋にしたのだ。ちなみにその妖怪とは両手に水着を掲げ至福の笑みを浮かべる永遠亭の姫様で、襲われた子供とは慧音の友人妹紅のことであるという噂が人里でたったがその真偽は定かではなく、噂は3日とたたず忘れ去られてしまった。

正面の鳥居から入ると見える30坪程度の敷地に建てられた本堂と改修した一階建ての校舎、校舎を設計したのはとある道具屋の店主。
彼曰く「外の世界の「学校」という建物を参考にした」とのことだ。敷地を囲むように茂る青竹が時折風に揺られて涼しげな音を出した。この青竹は妹紅に頼んで持ってきてもらったものを数年前に敷地の周りに植えたのが育った結果だ。

「………で!はこティッシュ!あたいと遊ぶやつが他にもいるんでしょ!どこ!?」

期待に胸を躍らせ手鞠のように慧音の周りをはねながら問いかけるチルノ。慧音は自分の生徒のように―否、ここではチルノはもう慧音の生徒と同様の存在。彼女の先を行き、先の生き方を教える、いわば人生の道を教える師のような存在。
間違った道へは決して行かせない、慧音はそれが先生という存在だと常日頃から考えているのだ。
だから慧音は優しい手つきでチルノの両肩を掴む、突然の慧音の謎の行動に疑問符を浮かべるチルノ、その小さなおでこに・・・

「…フンッ!」
「あぅっ!」

軽く頭突きをした。小石と小石をぶつけたような音がチルノの頭の中で響く。しばらくして復活したチルノが頬を赤くして慧音を睨む。

「いっったいわね!!なにすんのよ!!!」
「私を呼ぶ時は慧音先生と呼べと昨日言っただろう。初対面ならまだしも二度目で名前を忘れるのは関心しないぞ。」
「うるさいわね!あんたが弁当箱みたいな帽子かぶっているのがいけないんでしょ!」
「フン!」
「はぅ!」

二度目の頭突き。今度は金鎚をぶつけたような音が周囲に響く。

「人の所為にする前に先ず己の過失を悔いろ、そうしないといつまでたっても成長しないぞ。
 それに他人のことも少しは考えろ、名前を忘れられた私の立場はどうなる?」
「ぅ………………今のは私が悪かったわね、あやまってあげるからかんしゃしなさい………ごめんなさい。」

 棒立ちで慧音の顔から視線を逸らし、謝罪の言葉をのべるチルノ。

 本当なら口の一つも改善させたい…が

「よろしい」

今はこれが精一杯だろう、これ以上何かを強いても得るものは何もない。慧音はそう考える。
ちゃんと謝れるだけでも彼女は立派なのだ
わけのわからぬ見栄をはり、しっかりと謝れず、悪い部分を改善しようともしない結果自滅した謝れない大人達。
今彼女はこれらの大人達よりずっとまともになったのだ。

「…で?どこよ?あたいとあそぶやつは・・・」
「みんなそこの建物の中だ、皆すでに来ている筈だ。あの中にある部屋に入ったら私の生徒に君のことを転入生として紹介する。
 君はその時みんなに自己紹介をしてくれ。」
「事故紹介?」(白黒に服を獲られて青黒にもらって赤白に破られて青黒に直してもらって紫に脱がされて青黒が……とか?)
「自分の名前や好きなものを言えばいいだけだ。それじゃあ入るが…いいな?」
「もちろん!なんせあたいはサイキョーなんだから!」

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校舎:教室の前

「…いいか、私がいいと言うまでは此処で待っていてくれ。」

 チルノの返事を聞く前に私は教室への入り口を開けて中に入る。

「「「慧音先生おはようございまーす!!!!!」」」

畳16枚分の広さがある教室にはもう生徒達がそろっている。ざっと見渡せばいるのは16人、今日も欠席はないようで安心した。

「おはよう諸君、今日も元気そうでなによりだ。さて今日は勉強をする前に2つ、皆に言うことがある。」

「「「?」」」

 ヒソヒソ ケーネセンセイドウシンダロウ・・・
            ツイニケッコンスルコトニナリマシタ!トカ!?
    バッカ、ケイネセンセイハオレノヨメダ   ヒソヒソ
           チゲーヨオレノダヨ   ヒソヒソ
            アタシノニキマッテルデショ!オトメゴコロガワカラナイヤカラハヒッコンデナサイ! 
          ナンダト!
                     キャーイクサーン
           ババァオレダ!ケッコンシテクレ!!    

「そこ!私語は厳禁!」
「「「はーい!!!!」」」

「………静かになった所で話そう・・・先ず一つ目は……この教室に今日転入生が来る。」
「「「!?」」」
「しかも魔法の森に住む氷の妖精だ。君らが知っている通り、この幻想郷には妖怪魔物幽霊果ては神様まで住んでいる。
 その誰もが人間が持ちえない力を持っている、力を使って欲望のままに人間を襲ってくるモノも少なからずいる。」
「「「・・・・・・・・・・・」」」

子供達は真剣だ、目を見れば判る。子供達にとっては会う機会の無い妖精は確かに未知の存在だろう。どんな存在なのか、人の常識は通用するのか、理解しあう仲になれるのか。その不安を取り除くように私は言葉を紡ぐ。

「しかし安心してほしい。彼女は人を襲わない、人と同じように笑い・泣き・怒り、人と同じように考え、行動する存在だ。
 彼女も遊び友達が欲しいといっていた、仲良くしてやってくれ。紹介しよう……………チルノ、もう入っていいぞ。」

先に注意しておけばよかった…、それがおきた後私はそう思った。突如入り口のドアが凄い音をたてて吹き飛んだのだ……私に向かって。

「…………っ!!!!」

避けたら私は無傷だがドアが何かにぶつかったら部屋の方は無傷ではすまされない、そう考えた私は飛んでくるドアを真正面から受け止める事にした。迫るドアの前に両手を突き出す、一瞬両腕に衝撃が来るが手にはしっかりとドアが握られていた。
とりあえずドアのキャッチには成功したが……一体何をやっているのだあの子は!

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生徒達は皆口を開けたまま固まっている。計34の瞳は吹き飛ばしたドアの向こう側に立つ彼女に向けられていた。

彼女が教室に入ると同時に過半数の男子生徒が息を呑んだ。水色の大きなリボンに透き通るような水色の髪、
青色のワンピースに深い泉のような青の瞳、雪のように白い肌にほのかにはいった両頬の赤、
片方3枚計6枚の氷の羽が彼女が人と違う存在だと知らしめる。
34の瞳を向けられるなか、彼女…チルノは黒板の前まで移動すると慧音を抜いた32の瞳に向け凛とした声で、言った。

「あたいはチルノ!好きなものはレティ!嫌いなものは白黒!好きでも嫌いでもないものはカエル!よろしくね!!!」

(確かに好きなものではあるが……)自己紹介になってない自己紹介に思わず目眩がしてきた、
 痛む頭をいたわうかのように右手をそえる慧音。だが、

 スッゲェヨ!マジスッゲェヨ!!
   コレガヨウセイ……フツクシイ…    ヒソヒソ
         ホントキレイヨネ…ジュルリ
  ヒソヒソ      コオリノハネイイナァーサワッタラツメタイノカナー?
     オレノヨメガフタリモ!!
           マテコラ
        キャーチルノーチャーン
           ドチラトモケッコンシテクレ!!  ヒソヒソ

生徒達は皆、チルノの容姿に気を取られていて幸い誰も聞いてはいなかったようだ。とりあえず最初の自己紹介?は成功した。
チルノははじめてのお買い物がちゃんとできた子供のように得意気に胸を張っている。私は成し遂げた…!そんな表情…だが、

「やっぱりあたいってばサイキョーね!」
                                                                  センセイ
チルノは分かっていない。ついさっき自分がやってはいけない事をしたことに。ここには絶対に怒らせてはならない鬼がいることに。
入り口にドアをつけ直した鬼は少しの間をおいた後執行人のごとき足取りでチルノの方へ向かう。

「?けーね?どうしたの?」

無知なることは罪。チルノは人間の常識の一つである「ドアを吹き飛ばして入ってはいけない」をしらなかったが故に刑音により刑が執行されるのだ。哀れ無知なるチルノは刑音に両肩をガッチリと掴まれた、16人の観衆がそれぞれの悼辞の言葉を送る中。刑は執行された。

「ドアを!壊して!!中に!!!入るなァ!!!!!!!!」

岩と岩がぶつかって砕けたような音と、声にならない悲鳴が校舎中に響いた。



一番前の席でしきりに頭をさするチルノを横目に慧音は言った。
「――それでは授業を始める前に言いたいこと2つ目を言おう。今日の授業は少し特別なものをやらせてもらう、
 これは君達の知識ではなく頭の回転の速さが問われる授業だ、では始めよう。」

言い終わると同時に始業の鐘がなった。授業開始だ。

「では問題を出そう。」

そう言って慧音は黒板に流れるような動きで何かを書いていく、数秒と経たずうちに問題文が一つ黒板に書かれた。

「紅魔館にバスが来て始めに3人乗りました。白玉楼で一人降りて半人だけ乗りました。八雲さん家で2人降りてそこから
 3人乗りました。永遠亭でだれも降りず更に4人乗りました。香霖堂で3人降りてそしたら5人が乗りました。
 無縁塚で2人乗って半人だけ置いていき桃源郷で一人撥ねて霊夢のとこで全員降りたらさてバスの乗客は合計何名でしょう?」
              

ただの多少複雑な計算問題に見えるが実は最後に「全員降りた」と書いてあるのに気づくのがポイントだ。これは文章力を鍛える問題なのだ。途中複雑な計算をしなくとも最後に全員降りたなら0人に決まっている、どれだけ早くコレに気づくことができるのか。
以外にも一番最初に手を挙げたのはチルノだった。

「はいはい!あたいあたい!」
「「はい」は一回だけでいい。それで、バスの乗客は何人だ?」
「0にん!!」
「ほぉ……正解だ。どうして分かった?」
「そんなのカンタンよ・・・・・・」

チルノは一息つくと腰に両手をあててこう言った。

「幻想郷にバスはない!」
「フン!」
「はぅ!」

おでこにおでこをくっつける程度の頭突きをする。この程度の間違いで本気の頭突きをしていたら、生徒の頭が悪くなってしまうという慧音の配慮だ。

「答えは正解だがその理由が間違いだ。もう一度文章を見直してみろ、それでも分からなかったら私が教えよう。」
「わかった!」
「では次の問題だ………」


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時間はあっというまに過ぎる、終業の鐘の音が響いたところで今日の授業は終了した。

校舎から17名の生徒達と先生がでてくる。空はもう綺麗な茜色に染まっていた。

青竹から零れてくる夕日の赤、赤いガラスの破片のような光の中。チルノは生徒達が帰るのをうしろから見送っていた。

「明日も一緒に遊びなさいよ!約束だからね!」
「うん!明日も一緒に来ようね!」
「俺、今日家に帰ったら…フラグを立てるんだ・・・。」
「馬鹿!それ死亡フラグだ!」
「けーね先生さようならー」
「ああ、またな。」
「慧音先生!俺だ!結婚してくれ!」
「俺が慧音先生だ・・・」
「ちょっ…まっ!来るなッ!」アッー!

生徒達はみんなそれぞれの家へと帰った、後に残ったのは慧音とチルノの二人と寂れた本堂と寂びれた校舎だ。
二人は寺子屋を後にして魔法の森の入り口まできた。チルノが別れの言葉を言おうとしたそのときだ、慧音が口を開けたのは。


「…………どうだ、楽しかったか?」

慧音は問う。楽しめるような工夫は凝らしたつもりだ、楽しんでもらえたのかそうでないのか、チルノの感想を慧音は聞きたかった。

「すごい楽しかった!!明日も来るわね!!!」

それはよかった、慧音は心底そう思った。

「そうか、ではまた明日会おう…チルノ。」

そう言って慧音は自分の家に向かう、妹紅がお腹を空かせて待っているのだ。

「うん!またねけーね先生!」

後、明日の授業のことも考えねばいけない、しばらく慧音は退屈はしなさそうだ。


尚、家に帰ったら服を半分脱がされた妹紅が永遠亭の姫様にcaved!!!!されそうになっていたがこれもまったくの余談だ。

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×月××日 晴

何も知らず何も考えなければ余程のことがない限り誰だって幸せになれる。余計な事を知りすぎ、考えすぎるから不幸になるのだ。
私が100万円の壷を割れば子供は喜ぶが、大人は「何てことを!」等と悲鳴を上げる。ひどいときには錯乱状態になりながら私に掴みかかってくるのだ。この違いは何か。それは知っているか知らないかの違いなのだと私は思う。
子供はこの壷が「とても高価で大事なもの」と知らないから笑っていられるのだ。壷の価値を知っている大人だからこそ悲鳴を上げて錯乱状態になったりする、それは価値を知っているからこそ起こるある種の不幸だ。
もちろん壷の価値を知らない子供はその不幸を感じることはない。だが知るということはそれだけではない。
知識とは五感全てで知ることのできるものだ。走って転べば「痛み」を知る、ダンゴを食べれば「ダンゴの味」を知る、目でモノを見れば「色」を知る、花に顔を近づければ「花の匂い」を知る、そして本を読み会話を聞いたりすれば「言葉」を知るのだ。
五感を持って生まれてきた子供はすでに幾つもの不幸を知っているのだ。
殴られたら痛い、ご飯がないとお腹が空く、罵倒の言葉は耳に入れると辛い。
知識を知るということは不幸と同義語なのだ。何かを知れば、必ず何処かでそれが不幸の元になる。
それならば何も知らない方がいい。何も考えない方がいいと思ったこともあった。
だけど知るからこそやってくる幸せもあるのだ、考えるからこそ気づく幸せだってある、知識を使うということは幸せと同義語なのだ。
あの頃より沢山のことを知った私が言うのだから間違いは無い。知っている事の少なかったあの頃よりも今はずっと幸せなのだ。
知ることが不幸の元になるとしても私はもう立ち止まらない。今は使う知識をもっと増やしたいのだ。
明日も寺子屋で慧音先生の授業がある、今日は予習を済ませてもう眠ろう。
明日が、とても充実した日になりますように。
もう馬鹿の書いた駄文でいいわよ!知らない!!
ねるねる
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コメント



0.490簡易評価
2.90煉獄削除
チルノが寺子屋で勉強というのは微笑ましいですね。
頭突きをぶちかまされたりもしてましたけど…。
別れる際の二人の会話とか好きですね。
最後には知識を増やしたチルノの書く日記?から彼女が
成長している様が感じられますね。
面白かったですよ。

誤字なのかどうか解りませんが報告です。
>『故に刑音により刑が』、『哀れ無知なるチルノは刑音に』
刑音となっている箇所がありますけど、あえてそうしているのでしょうか?
4.90名前が無い程度の能力削除
生徒達がカオスww
というか俺といい友達になれそうなのが何人かいたw
7.無評価ねるねる削除
>刑音となっている箇所が~
そういう仕様です。コメントありがとうございます。

>生徒達がカオス
最近の生意気でマせている小学生をイメージして書きました。
コメントありがとうございます。
15.80名前が無い程度の能力削除
罪袋候補生がいたぞww

あらゆる英知を束ねて集めても、彼女の丈夫(感性)には敵わないわけですね。