Coolier - 新生・東方創想話

厄災までの1週間

2009/01/24 00:24:33
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私はただ命ぜられるままに動いた
重要な内容だけを「伝える」それが使命
後のことなど知らない、興味がなかった

「3日後に、この地に大きな地震が起きます」
そう村の長に伝えまた別の場所へ

「1週間後、この地に災いが起きます」
そう村の民に伝えまた別の場所へ







空気が変わった
私はまた地上へ降りいつもの作業をする
それがどんなに悲劇的な内容であっても
事務的にこなす、私はいつもそうしてきた







「村の長に話があります、今会うことは出来ますか?」
畑で農作業をしていた老婆に声をかけた
聞こえなかったのか、黙々と畑仕事をしている
どうしたものかと考えていた、するとそこへ一人の青年が話しかけてきた
「すみません、うちの母は耳が聞こえないもので、えー、母になにか用でしょうか」
再び村の長に会えないかとたずねるとすぐに家まで案内してくれた
家に入ると座敷まで招かれお茶を出された
妻と思われる初老の女性は私に軽く会釈をしてでていった
「それで、お話というのは?」
「はい、この村は1週間後に、水の底へ沈みます。」
私はなんでもないことのように淡々と語る
「・・・えーっと、それはなにかの冗談でしょうか?」
面白いお嬢さんだ、と村長は愉快そうに笑っていた
いつもそう、おもしろい冗談と笑われ、ふざけているのかと怒鳴られ
誰一人として私の話をまともに聞こうとしなかった
別に悲しくなどない、そもそも悲しいという感情すら、私にはないのかもしれない
これが1週間後に本当に起こることだと分かっていても何も思わない自分、伝えるだけの自分には
悲しいだけではなく、感情すらないのではないのだろうか
「話はそれだけです、失礼しました」
そういって私はお茶の礼をいい村を後にする、これも毎回変わらない
しかし今回だけは違った
「はやかったね、どんな用事だったの?」
先程家に案内してくれた青年がすぐ家の前で待っていた
私はなんでもないと軽く流しそのまま歩いていく
だけどあまりにもしつこく聞いてくるものだからうっとうしくなった
だから私はこの青年に村の運命を伝えた、そうすれば呆れてどこかへいくだろう
すると青年は真っ青な顔をして
「ほ、本当なのかい!?分かった、皆に伝えてくる、教えてくれてありがとう」
そうして青年は急いで村のほうへと走っていった
邪魔者が消えたところで空に帰るとする、でも少しだけあの青年のことが気になった
信じなかった者や村がどうなったのかはいくつも見てきた
でも、初めて私のことを信じた人間がいた
いや、もしかしたら信じていないのかもしれない、ただその時だけ話を合わせただけだったかもしれない
きっとそう、だから私は空へと戻った。







次の日、私はなんとなくあの青年のことが気になっていた
本当に信じてくれたのだろうか、やはりいつものことだったのだろうか
様子を見るだけ行ってみようか、そう、青年が信じたのか信じてないのかを確かめに
興味がないわけじゃないし






なんだろう、村の広場が騒々しい
「本当なんだって!この村は1週間後の嵐で、そこの川が決壊して水の底になるって!!」
あの青年が叫んでいた、信じてくれていたんだ・・・
少しだけ胸が暖かかったような気がしたがすぐにそんな自分に嫌悪感を抱いた
そこを通り過ぎる人たちはみな、侮蔑的であざ笑うかのような反応しか示さない
まるで私を見ているようだった
「誰に聞いたんだよ!?神様からのお告げってやつか?」
と、一人が煽るかのような口ぶりで彼に食って掛かった
そうだそうだ、と回りもはやし立てる
「っ・・・」
とうとう彼は何も言えなくなってその場にしゃがみこんでいた
「あなたは馬鹿ですか」
私はそんな彼に思いもせず歩み寄り話しかけていた
一度話した人間ともう一度出会い話をする、もしかしたらはじめてかもしれない
私と会話した人間は、すぐに死んでしまうから
「君は!?」
私の声に彼がハッと顔を上げる
その目には薄っすらと涙が浮かんでいるようだ
そしてまたうなだれてしまった
「くそっ、せっかく君が教えてくれたのに皆には伝わらない。どうしたらいいんだ・・・」
髪の毛をかきむしり石畳をなんども叩く
なぜこの人はこうも悔しがっているんだろう
自分の話を信じてもらえないだけでなぜこんなにも・・・
私には分からなかった
「なぜ、私の話をそこまで信用しているのです?」
今度は顔を上げずにうなだれたまま
「おかしいよな、突然村が沈むなんて事言われて信じるやつなんかいないよな・・・」
そんな彼になにかが差し出される
「ねぇ、おにいちゃん、このむらしずんじゃうの?」
ボロボロの布切れを持った小さな女の子
心配そうな顔で見つめていた
「あぁ、そうらしいね、そこの人が教えてくれたんだ・・・」
すると女の子は再び私に聞いた
「ねぇ、このむらしずんじゃうの?もうあそべなくなっちゃうの?」
私は静かにうなずきこの場を去った
あとはもういい、青年もこれで懲りたろう
明日からは残りの人生を
「このむら、しずんじゃうんだって!もう、おそとであそべなくなっちゃうの!」
私の思考をかき消したのは女の子の大声
「ねぇ、みんな!なんとかしようよ!むらをまもろうよ!!」
静かにしろと怒鳴る声、女の子をひっぱたいて黙らせようとする大人たち
私はもう見てはいられなかった





私はそれから3日間ずっと考えていた、あの青年のこと、あの少女のこと
大嵐まで後3日、なにをしているんだろう、まだ私を信じてなにかをしているのか
もはや他の事が手につかなかった
緋色の雲がわたしを焦らせていく
普段は、そうか、今日が地震の日だったわね
そんな程度
でも今は違う、刻一刻と悪くなる空気の流れにいいしれない不安があった
1日1日がとても長く感じる
やっぱり見に行こう
興味というよりも、私はもう人間を心配していた





灰色の空の下、私は村へと歩く
この灰色の雲もいやおうなしに私の不安をかきたてる
降るとしたら、今夜からでしょうね・・・
湿っぽい空気の流れを読みながら私らしからぬことを思っていた

「後3日後に村が沈んじゃうんです!なんとかしましょう!!」
「このむら、しずんじゃうの!!だれか、たすけてよ!!」
まだやってたんだ、あの二人
そこに
「誰か!川の決壊を阻止する作業を手伝ってください!!お願いします!!」
「人手が足りないんです!お願いします!」
聞きなれない二人の声
そして川のほうからもなにやら音が聞こえる
私は気になって川へ向かう
そこで信じられない光景を見た
中年の男性が3人、川の土手の補強をしていた
そこへさっきの青年が合流し
土嚢を積み上げたり切り倒した木で柵を作ったり
さらに何人かの若い人たちが加わり、どんどん増えていって
最終的には10人を超えた
そんなことで喜んでいたのもつかのま
「雨・・・」
ついに降ってきてしまった
もう、帰ろう、私がここにいても意味はないわ
そして私は、ある決意をしていた






いよいよ今日ね、もう私は自分に嘘をつかないわ






すさまじいまでの雨と風、村は大丈夫だろうか

誰かが叫んでいる
誰かが悲鳴を上げている
誰かのうめき声が聞こえる
村は想像を絶する状態だった
積み上げていた土嚢や丸太は流され村にまで川の水が流れてきている
しかしこの程度で済んでいるのはあの青年のおかげだろう
そんななか、まだ川のほうでは作業が行われていた
はじめは彼をからかっていた男、そのまわりではやし立てていた人たち、冷ややかな目を向けていた人々
そのだれもが互いに手を取り合い、助け合い、村を守ろうとしている
そんな光景が私には信じられなかった
私は今までこんなところを見た事もなかったから
私が見てきた村や、町はその災厄に消えていった
でも、ここは
「おーい!こっちから漏れてきてるぞ!!」
「こっちはまだいける、そっちにまわしてくれ!!」
「村の人たちは!?」
「全員川上に逃がした!!あとは俺らが村を守るだけだ!!」
この打ちつける雨の中、吹きつける風の中
まだ、希望の灯は消えてはいない
しかしこの嵐はそんな灯さえ消し去ってしまうのか
そこに走ってきた村の男はこう叫んだ
「おいっ!!大変だ!!パン屋んとこの娘が流されたって!!」
私にはこのパン屋の娘というのが誰なのかは分からなかった
でもこの言い知れぬ不安が私に告げていた
あの子だと
それを聞いて一番に走り出したのはあの青年
私の予感は間違ってはいないみたいだ
彼の後を追いかけて走る

彼が立ち止まった、そこには
僅かに出ていた木の枝につかまり今にも流されそうなあの女の子
「まってろー、今助けるからなー!!」
そういって彼はこの目の前の激流の中に飛び込んだ
途中で何度も沈みかけ必死で息継ぎをしている
流されながらもなんとか少女の元まで行きその手で抱える
村の人々がしきりになにか叫んでいるがもう聞こえない
私は祈っていた、天の方たちがなんとかしてくれるのを
こんなときにも私は何もしない、ただ祈ることしかできない
違う、そういうことじゃない、私は、私は・・・
「おにいちゃん!!」
女の子の叫びで我に返る
今度は彼が流されていく
彼はこの1週間片時も休まずにこの日のためにがんばってきた
その体でこの激流を泳ぎ、人を抱え岸に戻ってくる
もう彼に残された力は無いに等しいのだろう


私は、決意したじゃない

もう

もう

伝えたり、見ているだけじゃなくて

実際に行動するって


私は川に飛び込んだ
そして流され、沈んでいく彼の手をつかんでそのまま岸へあがる
そのまま彼を仰向けに寝かせその頭を抱えひざに乗せる
彼の顔は体温を奪われ真っ青になっている
そして、ゆっくりと目を開けた
「ははっ・・・君は、いったい誰なんだい?」
「永江衣玖、龍神様の使いよ」
「そっか、君は・・・龍なんだ」
彼は疲れた顔で笑っていた
「どうしたの?驚かないの?」
弱々しくうなずいた、もう喋る力も残ってないのだろう
「・・・あのさ、助けてくれて、ありがとう・・・村を、大切な・・・皆を」
私は何も言わなかった
ただただ彼の顔を見つめていた
「ありがとう、衣玖」

それから、彼は何も言わなくなった、目も開けなくなった
でも、笑っていた
「・・・これは、雨粒よね、そう、きっとそう」
私は頬を伝う暖かい雨粒をそっとぬぐい
彼にこう伝えた
「伝えることが役目なのに、まだ私の気持ちは、まだ伝えていなかったわ。だから、聞いて」

「私のことを信じてくれて、ありがとう。好きだったわ、あなたのこと」
そして、彼は返事の変わりに
涙を流した






私はきっと、怖かったんだ
行動したけど、上手くいかなかったときが
そんな私が、たまらなく怖かった

だから

「伝えるだけだから」と、自分に嘘をついていたんだ
最初からなにかを得ようとしなければ
失うものだって何も無い

でも

そんなことをしていて後悔した
結局中途半端になってしまった自分に後悔していた
彼の名前だって分からなかった
村の人に聞けば分かったんだろうけど私はそのままここへ戻ってきた

けれど

彼は確かに私に教えてくれた
行動を起こす力、失敗を恐れない勇気

そして

自分を信じてくれる人の素晴らしさと

その、暖かさを
はじめまして、いかがだったでしょうか。
東方緋想天より永江衣玖さんのスピンオフという設定で書きました、あと衣玖さん視点で書いてます
私は小説はけっこう読みますが書くのって初めてなんですよね(汗
なんだかおかしな部分とかも結構出てきそうで怖いです
これから他も書いていくにあたってここ注意したほうがいいよとかありましたら、ぜひぜひ添削指導お願いします!!
ALICE
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コメント



0.1390簡易評価
9.50名前が無い程度の能力削除
とりあえず自信をもって書けばいいと思う。
精進する心構えは立派だけど、
でもそれを添削されるの前提とするのはどうかな、と。

なんというか、作品のメッセージを書こうと先行しすぎて
登場人物それぞれの内面や背景の描写がおざなりになっているように感じました。
なぜ少年だけは予言を信じたのか、なぜ衣玖は怖いと思うようになったのか。
なぜ周りの大人は信じなかったのか。この世界では竜宮の使いはどの様な存在なのか。
色んな視点(読者も含め)から考察するとより完成度が高まると思います。
次の作品、期待してますよ
14.80名前が無い程度の能力削除
楽しめましたよo(^-^)o
もっと肉付けが欲しかったけど
18.70煉獄削除
もう少し色んな人物の様々な行動などが欲しいとは思いました。
それでも、このお話しは面白いと思いますよ。

やっぱり上達するには書いて友人などに評価してもらったり、
他の方々の作品を読んでみるなど色々とあるとは思います。
次回の作品を楽しみにしています。
27.90名前が無い程度の能力削除
うん、内容的には100点かな、でも90点にしたのはちょっと説明とかが足りなすぎる気がしたからですね。
他の方々のレスに言いたい事を全部言われてしまったんで私はほとんど何もいえませんが
次書くときにこのことに注意すればもっともっと素晴らしい作品が出来るんじゃないでしょうか?
本当に完成したあなたの作品、読んでみたいです
28.100名前が無い程度の能力削除
こういう衣玖さんの話好きです。

添削指導なら、『東方創想話について語るスレ』ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/computer/41116/1232635141/
で「この作品(作品集:作品名)の評価(もしくは添削)お願いします」って言えばやってもらえると思いますよ。
29.90久我削除
おぉ、衣玖さんでしたか~。
途中まで完全オリジナルの話だと思ってて、どこに東方キャラが出てくるんだろうと、思っていましたw
頭すっからかんでしたねw
初めての小説のようですが、きっちりしてて読みやすかったです。
ですが、なにか一味足りない気がします。
それが何なのか、言語化できないので申し訳ないです~。
これからも頑張ってくださいませ~。