Coolier - 新生・東方創想話

みっしんぐ サラシ ふるぱわー☆

2009/01/12 20:25:07
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「前回私はパンツを萃めて吹っ飛ばされたあげく、地獄を味わったわけだけど」

あの日受けた傷が完治するまで、ギャグのはずが半年の年月がかかってしまった。
主に精神的な外傷で。

苦々しきあの日のこと……。
たかが、パンツを集めただけなのにフルパワーでボコボコにされる。
一体私の何が悪かったのか。悪いのは下着の趣味じゃなかったのか。

「でも、あの屈辱が、私に大事なことを思い出させてくれた」

自分には必要がなかったから、忘れていた。
パンツとセットになっている、アレ。

「今一度、鬼の力を思い知るがいい、幻想郷の住民たちよ!」

今度ばかりは、加減ナシ。
貴様らのつけているものを、引き千切ってやる!



萃香という鬼は、妖怪の山を一人で崩すと豪語している強妖である。
少し力を出せば、ぶらじゃーの紐やサラシぐらい容易く引き千切れる。
しかし、力ではどうにもならない死亡フラグにお願いだから気づいて欲しい。
古来より鬼は、純粋すぎるゆえに放逐されるのだ。
季節は秋。
ぽかぽか陽気の昼下がりに原っぱのど真ん中でぶらじゃーを集め出すとは、どうにも救いようが無い鬼だ。


◆魔法の森


「ばかやろおおおお!! ネタの天丼はやめろっていっただろうがああああ!!」

お母さん、魔理沙は先日、初めてのぶらじゃーを買いました。
初めてのぶらじゃーは、青いお花があしらわれた可愛いのを買ったんです。
それが今、猛スピードでどこかに飛び発って行きました。
幻想郷最速の名を、私はぶらじゃーへと譲ろうと思います。



アリス邸。
またまたアリスは、研究疲れでベッドに倒れ伏していた。
当然寝ているときはぶらじゃーもしていない。
一見、被害を免れたかのように見えたアリスだが、残念ながら予想外の被害者が現われた。
それも大量に。

アリス・マーガトロイドの人形に対する凝り様は半端無い。
それこそ、一体一体下着の柄まできっちりと作りこまれているこだわりようだった。

「シャンハアアアアアアアアイ!!」
「ホラアアアアアアアアアアイ!!」

見えない引力にぶらじゃーが引っ張られる二体の人形。
アリスの人形の中でも特に愛が篭ってる二体はどうにか持ちこたえていたのだが。

からくり大江戸人形が、飛んでしまった。
先陣が思いっきりに爆発して壁を破壊し、引力に引き摺られた大江戸人形部隊が、萃香目掛けて吹っ飛んでいった。


◆紅魔館


「パチュリーさまああああああ!!!!」
「むきゅきゅきゅきゅきゅきゅきゅ」

パチュリー・ノーレッジは自他ともに認める貧弱さんである。
その貧弱さと言ったらもう筋金の代わりにもやし入りで、本より重い物を持つと次の日は全身筋肉痛になってしまうほど。
そのパチュリーは、萃香の引力に逆らうことができず、

「本棚とキスしちゃだめですよおおおおお」

本棚に磔にされていた。
下着を着けない健康法を実践している小悪魔が必死で引っぺがそうとするが、泡を吹き始めたパチュリーを開放もとい介抱するにはあまりにも非力すぎた。



その日たまたま休暇を貰っていた美鈴は、天気も良いということで湖のほとりに寝そべって昼寝をしていた。
湖の近くというのが運の尽き。横になっていた美鈴は萃香の引力でコロコロ転がって行って、そのまま水の中にポチャン。
美鈴コロコロ転がって、お池にハマってさあ大変。

「うへっ冷たっ! 死ぬっ! 死ぬっ! 引き摺りこまれるって! 足吊った足吊った!」

カタコトなのは焦っている証拠。
美鈴はどうにか引力に抗おうとするのだが、準備運動もしていないうえに着衣で秋の冷たくなりはじめた水の中。
足は吊るわ筋肉は硬直するわえらいこっちゃで彼岸が近い。

「なんなん、ですか! これっ!」

ぶらじゃーを外せって、誰か伝えてあげてください。



「見なさいフラン。サラシというものはぶらじゃーとは違って成長していなくても着けられるのよ」
「ふーん」
「霊夢だって巫女服のしたにこの布を巻いているのよ。どう? 霊夢とお揃いって」
「ミーハー?」
「首を傾げないの。しかもちょっと意味間違ってるし。ともかくフランにも巻いてあげるからこっちにいらっしゃい」
「私は別にいらないけどなぁ……」

サラシ姿にドロワという刺激的な格好を見せびらかしていたレミリアは、あまり乗り気でないフランドールの服を強引に脱がせてサラシを巻き始めた。

「ふふ、お姉さまとお揃いになれて嬉しいでしょう」
「あんまり」
「嘘おっしゃい。ほれほれここはこんなになってるぞ」
「お姉さまからおっさん臭がしてくる……」

その瞬間である、巻きかけだったサラシが見えない力に引っ張られ、驚いたレミリアはついつい手を離してしまった。
その結果。

「よいではないかああああ!!」

コマのように回るフランドールを見て、レミリアは顎が外れるかと思われんばかりに口を開けた。
幻想郷に来る以前、ジャパニーズカルチャーの勉強を必死こいてした時期の心の支えとなった光景である。
まさか愛くるしい妹が目を回しながら高速回転をしているのを見れる瞬間が来るとは思わなかった。

「ふらああああうっわサラシがっ!!」

衝動に駆られて飛びつこうとした瞬間、レミリアのサラシもまた限界を迎えた。
空中で高速回転してしまったレミリアはそのまま目を回し、頭をしたたかに打ち付けた。
まさに、スクリューパイルドライバー。

「ひでぶっ!」


◆竹林


永遠亭の姫は高貴なるまな板のため、ぶらじゃーはおろかサラシを巻いているはずもない。
永琳は、輝夜が盆栽の手入れをしている姿をじっくりと舐め回すように見ていた。

(姫、おやつは何が食べたいですか)

「まったく姫の悩ましい腰つきは世界一ですね」
「え?」
「なんでもないですよ」

天才は思ったことと喋ることが混ざるなんていうベタベタなことをしても決して焦らない。
これが一般人ならばしどろもどろになって台無しにしてしまうところを、涼しい顔で取り繕うことに成功した。
この柔軟な対応こそが天才の真骨頂。
天才は、決して焦らない。

「うぉぉぉぉいノンストップ幻想郷ォォォオ!!」
「ぶっ!」

如何に天才といえども、胸が当社比1.5倍になった鈴仙が爆走しているのには耐えられなかった。
ブラウスの中でぶらじゃーの紐が千切れ、飛び出そうとしているのに引っ張られていく鈴仙は、そのまま永遠亭の門から何処かへ走り去って行った。

「永琳……。なにあれ?」
「知りませんよ!」

健康志向の永琳は、ぶらじゃーで胸を締め付けるような真似はしないため。今回の異変には気づくことは最後までなかった。
ただ鈴仙の様子を見て、何か誤った薬を投与してしまったのかと一日悩むことになる。



「うおおおおおなんぞこれええええええ」

ぶらじゃーのホックが千切れて、ブラウスの中から飛び出そうとしているのだ。
そのせいで鈴仙の胸元は富士マウンテン。惜しむらくは山が一つしかないことだろうか。
鈴仙には突然胸元をはだけるような趣味はないため、ボタンが外れないよう必死で走る走る。

「れいせえええん!」
「何てゐ! 今私はっ、忙しいのっ!」
「落ちろぉぉぉぉ!」
「あっ?」

急に足元の感覚がなくなった鈴仙は、てゐが仕掛けていた落とし穴へと落下した。
落ちる鈴仙のかわりに天高く舞い上がっていく紫色のレース付き。

「あいたた……。何すんのよてゐ」
「ざまぁ、ってかなんでぶらじゃーが飛び出してるわけ?」

見事に尻餅をついた鈴仙。
その格好は胸元がはだけている上に、落ちた衝撃で衣服が乱れていて、その道のファンには堪らない。

(清楚な女子高生、乱れるっ!)

てゐはよくわからないキャッチフレーズを心の中にだけ留め、手を差し伸べた。

「さ、ウドンゲ。そこから出してあげるよう。おやつのプリンでいいよ」
「ありが……とっ!」
「おわっ!」

てゐの腕を思いっきりに引っ張り、鈴仙は反動をつけて落とし穴から飛び出した。

「卑怯だぞーっ!!」
「用事が済んだら出してあげるからしばらく反省してなさい」

さて、ぶらじゃーを集めているのはどこの変態だ。
ここは一つ、懲らしめてやらないと。
ピンと耳を立てると、なるほど、小さな物体(おそらくぶらじゃーだろう)がある一箇所に向かって飛来していることがわかった。
月兎の耳は高感度のセンサー、おやつの場所から姫の足ツボまでなんでも見つけてみせる。
使い道がそれぐらいしかないことに若干ゲンナリしたけれど、今は飛んでいったぶらじゃーを見つけ出すほうが大事。
さすがにブラウスから生乳が透けることは避けたかったから。


◆妖怪の山


「最近面白いことがありませんねぇ……。お風呂にでも入りますか」

新聞記者である射命丸文にとって、平和ほど退屈なこともない。
のんびりほんわかとしているよりも、それこそ未確認飛行物体が目撃されたほうがよっぽど楽しい。

烏天狗の行水は非常に短い。
しかしほんの少しの隙をついて、スポーツブラは窓を突き破ってぶっ飛んだ。

「何今の音!?」

着るものもロクに着ず、驚いて飛び出したが時既に遅し。
替えのぶらじゃーも脱いで放り投げたぶらじゃーも跡形もなく消え去っている。

「こ、これじゃあ取材にも出られない……」

シャツの間からチラっと覗いたりしたら、少女として一生の恥。
これが例えば八雲紫とかなら、歳も歳だとギリギリ許される気もするけれど。

「ああ困ったぁ……。椛とかにサラシ巻いてもらおうかな。でもそこまで行くのがちょっと……。
 というかなんでぶらじゃーがぶっ飛んでくのよ!? いくらなんでもおかしいでしょ!!」

ノリツッコミ。


「あぁーサラシがー。まだ巻いてる途中なのにー」

その頃椛は、飛んでいくサラシを唖然として見送っていた。


◆太陽の畑


向日葵たちが萎れてしまった後も、風見幽香は太陽の畑に留まり種を拾い集めていた。
また来年になれば向日葵が咲き誇り、夜になればプリズムリバー楽団のライブなどで騒がしい日々がやってくるのだろう。
そんなことはお構いなしに、みっしんぐサラシふるぱわーの毒牙が、幽香の下着にも及んだ。
誰も見ていないからと、胸元を少し開けていたのが敗因だった。

引力は一瞬でホックを引きちぎり、向日葵柄のぶらじゃーを幽香の胸元から奪い取ることに成功した。

「あ! ちょっとまって!」

慌ててぶらじゃーを追いかける幽香。
しかし鈍足具合では幻想郷一とも囁かれる彼女は、霧雨魔理沙をもってして一位の座を譲るぶらじゃーの速度には、到底追いつくことができなかった。

(慌てちゃだめ、こういうときほど心の目を使うのよ)

よくわからないフォースに目覚めた幽香は、『敵』らしき者を感じた方向に向かって思いっきりに魔砲をぶっ放した。
あわよくば、向日葵柄のぶらじゃーもこの手で葬れることを願って。


◆三途の河


「うほおおおおすげえ楽ぅぅぅううう」

水を物凄い勢いで撥ね飛ばしながら、船が一艘爆走していた。
怠惰死神小野塚小町の、ボロっちぃ船である。

サラシが幻想郷に向かって引かれているおかげで、わざわざ手漕ぎをせずとも勝手に走る。
いやはやこりゃ便利。一体どこの誰がやっているかは知る由もなかったけれど、小町にとってはこの異変は凄くありがたい異変だった。

「あーでも、これはあれか。渡し場から彼岸へ行くのは大変だなぁ。
 そうだ、異変で漕ぐことができませんでしたって四季さまに言えば、堂々とサボれるじゃないか。
 いやぁありがたいねぇ。楽が出来る上に昼寝の理由まで作ってくれるだなんて」

三途の河上に小町の陽気な声が響き渡った。
残念ながらこの声は、四季映姫の耳へと届くことはないのだが。


◆人間の里


東風谷早苗は人を集め、いかに守矢神社が素晴らしいかを熱弁していた。
集まっている聴衆はござに座りながら、いかに早苗さんが可愛いかをひそひそ語っていた。

両者の間で埋められない溝があるのだが、風祝目当てでやってきているものが多数の現状では仕方のないことである。

「今守矢を崇めれば、これとこれと、あとこれもつけちゃいます!」

早苗が取り出したのは携帯用ホッカイロや洗剤。
幻想入りするときに何かと要り様だろうと、大量に持ち込んでいたのだ。
これ目当てで少数の主婦も聴衆には混ざっているのだが、大半は男たちである。
主婦の味方を持ち出されたところで食指が動くわけでもない。

「むぅぅ……」

早苗は押し黙り、どうしたものかと頭を悩ませ始めた。
これは早苗chanタイムと呼ばれ、ファンの間でもとても人気の高い仕草の一つである。
男たちはそれをニマニマと眺めていたが、そこに思いがけない天恵が舞い降りた。

たまたま締めが緩かったのかサラシが古くなっていたのか。
早苗の胸から、サラシが外れた。

腋の隙間から飛び出していく布切れと、事態がうまく飲み込めずに軽いパニックを起こす早苗。
幸い露出してしまうようなことはなかったが、早苗は顔を真っ赤に染めて座りこんでしまった。

「な、なんなんですかこれはっ!」

下手に動けば、腋の隙間からは横乳が覗いてしまう
いやもしかすると、お山の頂上までがこんにちは。

誰しもが神風を待ったのだが、必死で体を抑え込んでいる早苗はちょっとやそっとじゃ動けそうにはなかった。

「解散!! 解散してください!! お願いですから見ないでください!!」

男たちはしたたかだった。
ここでまじまじと早苗を見ていたところで、乳を拝める可能性というのは非常に少ない。
羞恥に顔を染めている早苗はそれはそれはよいものだったが、ブラックリストに載せられてしまえば元も子もないのだ。
一人、また一人と踵を返し去っていく男たち。
彼らの背中は、一つ戦いを乗り越えた戦士のたくましさがあった。

「ふえぇーん」



上白沢慧音は悩んでいた。

最近妹紅の態度が変なのだ。なんだか。いやによそよそしい気がする。
思い違いならばそれでいいのだが、どうにもモヤモヤとして気持ちが悪かった。

そんな妹紅から、先日プレゼントが贈られた。なんでも今年は干支が牛だから、牛柄のぶらじゃーを。

『うれしいだろけいね』
『もちろん。ありがとうもこう』

妹紅からの贈り物というだけで、ほんとうにほんとうに嬉しかったのだが、妹紅は形容しがたい表情をしていた。

『そういえばもこう、私のおくったぱんつは、つかっているの?』
『え、ああ……。うん、ありがとうねけいね』

少し刺激的だった、燃え盛る炎のようなローライズショーツ。
阿求の薦めで贈ったのだが、喜んでもらえて本当によかったと思う。
それに、こんな素敵な贈り物をしてくれるだなんて。
妹紅の態度が少し変なのも、時間がいずれ解決してくれるだろう。

人の歴史というものは他人がとやかく口を出すものではない、それが慧音の矜持なのだった。

「よし、今日のところは畳んでおこう」

贈られてからは毎日、慧音はぶらじゃーを畳んでは仕舞い、取り出しては広げていた。
着けてみたことは、まだ一度もない。

(これは私の勝負下着という奴だな)

一人得心して頷くと、慧音はぶらじゃーを折り畳みにかかろうとして。
その手を、ぶらじゃーはすり抜けていった。

「な、なにぃ!?」

目にも留まらぬ速度でぶらじゃーは襖をぶち抜いていった。
慌てて追いかけても、そこにはぶらじゃーの痕跡だけが残っていた。

「くっ……!! また永遠亭の罠か!!」

何か悪いことがあれば輝夜のせいにするのが、今慧音と妹紅の間で大ブーム。
しかし、乳が重くて肩が凝ったことまで輝夜のせいにしているのはいただけない。
輝夜には乳がないのだ。

「待っていろ妹紅、絶対に取り返してくるからなっ!」



「くちゅんっ! あー風邪かなぁ。どうせ慧音辺りが噂してるんだろうけど。
 というか慧音……。なんで牛柄の下着貰って喜べるんだろ」


◆天界


昨日衣玖が、誕生日プレゼントだといって胸当てをくれた。

『総領娘様にもそろそろ必要かと思いまして』

余計なお世話だと思ったけれど、天界に来てからは誰かからプレゼントを貰ったことなんてなかったので、結構嬉しかった。
恥ずかしいから、衣玖に対してはそのことを話してはいないんだけども。

ただ一つ、問題があった。

「サイズでかくない……? これ」

着けてみると、明らかに隙間が出来てしまうのだ。
しかも柄は天界仕様の桃柄で、当然の如く天衣無縫。
崇高な技術を柄一つで台無しにするのが天界流なのかもしれないが。

「そろそろ他の柄の下着も欲しいのになぁ」

お母さん、着ないんでよくわからないメーカーの服を買ってくるのはやめてください。
いつの世、どんな場所であろうとも、ニーズとの開きは埋めがたいものがあるのだ。

「ちぇっ、結局宝の持ち腐うぇええええい!?」

ぽんっとぶらじゃーを放り投げた瞬間、ぶらじゃーが物凄い勢いで視界から消え去った。
前にも同じような事件があったのを思い出したが、その時よりもよっぽど速度が速い。
追いかけようにも追いつける速度では当然なかった。

「またあの小鬼はっ!」

完全に自分のものにしてしまった緋想の剣を携え、半年前の異変の原因である鬼を退治することを決心した。



「ふふ、私は空気を読む女」

勇んで飛んでいく天子を見送りながら、衣玖は自らの勝負下着(ドロワ)を放り投げた。

「飛んでいかない!?」


◆地霊殿


「……」

さとりは目の前の光景を認識することを拒否し、淹れてあった紅茶を一口啜った。
しかし、現実を拒否したところで何かが変わるわけでもなかった。
大量のぶらじゃーは、命を持ったように跳ね回っている。

「何が目的なの」

ぶらじゃーたちの心は読めない。
心を読むことで予防線を張ることが常となっているさとりにとって、意図の読めない現象ほど恐ろしいこともなかった。
また紅茶を一口啜って、どうにか平常心を保つ。こういうときに限ってお燐もお空もこいしも姿を見せなかった。






「私幽霊とか駄目なんだってばあああああああああああああ」

誰もいないことを確認してベッドへと飛び込むさとり。

(だって何考えてるのさっぱりわからないとか、怖くて怖くてしょうがないでしょ!)

ペットが居る前では威厳のない姿を見せられない。
ご主人様も大変なのだ。


◆八雲家。


八雲家、住人以外は誰も行き方がわからないといわれるこの家にも、みっしんぐサラシふるぱわーの効果がまた及んでいだ。

「……」

見栄で手に入れたはいいけれども、どうも派手すぎるというか、えっちすぎるというか、藍に「痴女ですか」と鼻で笑われたというか。
幽々子に自慢してみたら「紫ったらそんなので喜んでるの?」って馬鹿にされたというか。
そんな悲しい思い出だけが詰まったぱんつは、先日この手から旅立っていってしまった。

その時の心境というのはまるで、我が子を愛することができず、逃げ出した母親の心境。
それがワガママであろうとも幸せでいてくれるならばそれでいい。
しかし紫は、今日の今日まで忘れていた。
下着とは元来上下セットであり、ぱんつが旅立ったのならば当然ぶらじゃーも存在して然るべき。

「ごめんなさい、あなたのことを忘れていたわ」

不意に熱いものが頬を伝った。
相棒が自由を手に入れたというのに、この紫色の透け透けブラジャーは行く当てもないままタンスに仕舞われていたのだ。
きっと、生き別れになったぱんつを探す旅に、今まさに出ようとしているのだろう。
紫は彼(彼女?)の決心を止められるはずもなかった。

「お行き、私のぶらじゃー」

そう言って隙間を開き、ぶらじゃーをその中へと吸い込ませる紫。

(寂しかったでしょうね。兄弟とも姉妹ともいえる存在がいない場所で半年も一人でいるだなんて)

ぶらじゃーの孤独を考えると目頭が熱くなった。
付けることができなかった自分は、ただあの子らを縛る鎖でしかなかったのだ。
紫は己の罪を恥じ、悔いた。

「あー、紫さまー? ぶらじゃー飛んでいきませんでしたー? 紫色の透けてる奴。悪趣味ですよねーあれ」 
「あんたはまたかっ!!」

藍は舌打ちをし、「このメロンが」と毒づきながら家事へと戻った。
ちなみに、八雲家には藍のぶらじゃーは存在しなかった。
妖獣は縛られることを嫌うのだ。


◆最終章


物語の終焉というものはいつも唐突で、それはぷっつりと切れてしまったフロントホックのようなものである。
女性の胸を隠すために作られた布、それに纏わる壮大なドラマもまた、終わりが近づいてきていた。

はじめは私怨のためだった。

ぱんつを集めたあの日味わった屈辱を、誇り高い鬼は忘れるわけにはいかなかった。
その禊ぎをするには、同じように下着を集めるしかない、そう思った。



「うわこれすっげ! 名前書いてあるし。えーと、比那名居天子……。ああ、あの天人か」

美しい楷書体で書かれている天人の名前。
実はこれは、永江衣玖がこの時のために書いたものだったが、本当に余計なお世話だった。

「なんかこのぶらじゃー、桃の香りがする。んでこの青い花柄は……。ちっちゃいなぁ」

まな板なので人のことは言えないけれど、このぶらじゃーの持ち主は貧相な胸の持ち主に違いない。

「どれどれこれは、んー、向日葵柄? 変なの。これは多分紫だなぁ、まーた趣味が悪い色」

向日葵柄のぶらじゃーからは、太陽の香りが漂ってきた。
透けている紫のぶらじゃーからは、防臭剤の香りが漂ってきた。
集めたぶらじゃーを漁っていくと、萃香の気持ちはだんだんと暗く陰鬱なものへとなっていった。

(結局私は、ぶらじゃーを集めて何がしたかったんだろう?)

ぱんつのときはまだ崇高なる目的もあったのだが、今回は自分の私怨を晴らすためだけに集めたようなものだ。

「バカらしくなっちゃったよ」

萃香の力は萃める力だけではない。反対に、薄め、拡散させる能力も同時に備わっている。
持ち主に返してやろう、それでこの話を肴にして酒を飲めば、この騒動も手打ちで済むはず。
そう思い至るのがほんの一瞬早ければ、この先の悲劇も避けられただろうに。



「ほほお、いい心がけだ。一度ならず二度までも同じ過ちを繰り返すとはな、見損なったぜ萃香ァ!」
「まったく、酷い話です。天狗にケンカを売ってただで済むとお思いですか?」
「妹の手前、よく恥をかかせてくれたわぎゃーっ!!」
「あぁーっ!! レミリアさんに大江戸人形が直撃してるー!! っとと、私だって里の人の前で恥ずかしい思いしたんですから許しませんよ」
「今度こそ二度と悪さができないように痛めつけてあげるわ!! さあ返しなさい私のぶらじゃーを!!」
「いや、私はーべつに、返してもらえればそれでいいんだけどなー……」

一人だけテンションの違いに引いているウドンゲ。
それ以外の五人は交戦も辞さないという態度を崩そうとはしなかった。

「これも、運命か……」

戦いを捨てようとした矢先、降りかかってくる憎しみの連鎖。

「自分で撒いた種は自分で刈り取らなきゃいけないってわけね。いいよ、かかって来なっ。今度ばっかりは悪役を貫いてやるっ!!」

そういって構える萃香と、それぞれ懐からスペルカードを取り出す五人。
こそこそとぶらじゃーの山の中から自分のものを探す兎。

陽も傾きかけた原っぱに、緊張が走る。

「覚悟しやがれ。今度の今度は灼熱地獄の先まで叩き落してやるからな」
「鬼を屠ったとなれば天狗の中でも箔が付きます。さあ行きますよ!」
「ふぅ……痛かった。日傘を持って戦うのはアレだけど、まぁハンデってことにしといてやるわ」
「同じ苦しみを味わえばいいんです。私の精神的外傷はちょっとやそっとでは収まりませんよ!?」
「奢り高ぶっている鬼に天からの鉄槌を!! 小鬼風情が天人に楯突いたことを泣いて詫びなさい」
「あ、帰ります。お疲れ様でした」

ペコリと頭を下げて、ウドンゲはそそくさと退散した。
後には、なんだか退くに退けなくなった六人だけが残された。

「えーと、まとめてかかってくる? それとも順番決める?」

ウドンゲのせいで興を削がれた五人の心は一つだった。




私たち、何でこんなに必死になってるんだろう。しかも、ノーブラで。

「ほらほら! かかってきなってば!」

萃香の声が、夕暮れの原っぱでずっと響いていた。


◆伝統芸


「まぁ大体見当はついてたわよ」

霊夢は縁側に座りながら、目の前に迫ってくる光線を睨んでいた。

「幽香が適当にぶっ放したら、爆発オチに使うことぐらい誰にだってわかるわ」

もはや結界も間に合わない。
人は目の前に危険が迫ると感覚が異常に鋭敏になり、見ているものが緩やかに感じる。
いよいよ霊夢は覚悟を決めた。どうせギャグだ、大怪我をすることもあるまい。



こうして博麗神社は白光に包まれ、跡形もなく爆散した。
慧音「おいえいえんてい! わたしのぶらじゃーをかえせ!」
永琳「うちにはブラジャーはウドンゲのしかないわよ」
慧音「なんだと、わたしのぶらじゃーはないのか」
永琳「なんでうちにあるの?」
慧音「そうか、じゃましたな」
永琳「はい」

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早苗さんのサラシ食べたい。


※^o^色々直しました。
電気羊
http://ayayayayayayayaya.blog43.fc2.com/
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コメント



0.3000簡易評価
10.70煉獄削除
パンツに続いて次はブラジャーとサラシですか……。
でも私にはちょっと面白みに欠けるような感じがしました。
あと上海と蓬莱の悲鳴が可愛かったです。
14.80名前が無い程度の能力削除
自分は、文は鴉のイメージカラーである色と合わせた結果この色しかなかったからしょうがなく付けている。
っと言って黒色に少しだけレースが入ったものをしょうがなく、と言う名目で実は意欲的に付けている派であります。
ですが、スポーツブラもまたありだと思います。
15.100名前が無い程度の能力削除
わらいすぎて おなかが いたい
20.100名前が無い程度の能力削除
霊夢はきっと傷の治癒に半年以上かかるのだろうwww
24.80名前が無い程度の能力削除
やべぇ。天丼www
優曇華と幽香とさとりんがつぼでしたwww
26.90名前が無い程度の能力削除
フランの独楽回しは、
>「よいではないかああああ!!」
よりも「あれぇぇぇぇ、お殿様お戯れをぉぉぉぉぉ!!!」のがしっくりきそうですw
27.90名前が無い程度の能力削除
作者と萃香に反省という言葉を考えてもらいたいw
28.80名前が無い程度の能力削除
2度ネタかよwって思いましたがうどんげのリアクションで噴いたw
29.90名前が無い程度の能力削除
なんてかわいいんださとり様www
30.80名前が無い程度の能力削除
爆発オチw
空気を読み損ねた衣玖さんがかわいかったですw
31.90名前が無い程度の能力削除
幽香りんのひまわりぶらじゃー…ゴクリ!
あと慧音がおバカになっとるwwwwwww
32.60名前が無い程度の能力削除
それぞれのファンのために幻想郷各所ほぼ全てを書いたのがすごいと思います
テンポとネタのレベルアップが要求される大変なことだと存じます。
ゆゆさまがたゆんたゆんするのが見たかったですね
33.無評価名前が無い程度の能力削除
>32の「ネタのレベルアップ」は後半に行くにつれ、マンネリ化せぬように高めていってらっしゃいますね、ということです。
紛らわしい表現で、ともすれば僭越なことを申し上げたかのような表記で申し訳ありませんでした
41.100名前が無い程度の能力削除
ブラジャーって、幻想郷ではどれぐらい浸透してるんでしょうね?w
43.100名前が無い程度の能力削除
>彼らの背中は、一つ戦いを乗り越えた戦士のたくましさがあった
まさに漢ww霊夢の諦念に涙が
46.100名前が無い程度の能力削除
……ふぅ。
とりあえず小悪魔の健康法について、今度じっくり聞かせて頂こうか。なんなら伽で。
48.90名前が無い程度の能力削除
ブラvsさとりの図がシュールすぎていいなあw

>永琳「うちにはブラジャーはウドンゲのしかないわよ」
!? まさか、永琳は……
52.80謳魚削除
最初に「季節は秋」と明言しておられますが美鈴隊長の場面で「冬の水の中」と表現されて御座りまする。
衣玖さんとさとり様が良い味出しすぎでっせ。
でもぱんつの方がノリ的に好きです(神奈子様が出てたからとも言う!)
55.60名前が無い程度の能力削除
やらしさが足りない
もっと素肌に密着したネタを求む
56.50名前が無い程度の能力削除
う~ん。
少々悪ノリし過ぎな気がしなくもないです。
57.30名前が無い程度の能力削除
前作(?)と比べると意図的に笑わせようとするネタが多かった感じが……
悪い意味で天丼すぎたと思います
あと、メタ的な地の文が多過ぎたのもマイナス印象でした
前作がなければもう少し評価が上がったかと
58.100名前が無い程度の能力削除
今回のベスト・オブ・エロスは早苗さんだと思います!!

つまり衣玖さんだけは下も穿いてないんですね。わかります。
60.80名前が無い程度の能力削除
どうしても各所での面白さが前作より…
まぁ、ぶら>ぱんつ な私の場合はあまりそれは問題になりませんでしたが
62.100名前が無い程度の能力削除
俺は前より笑えた
64.90名前が無い程度の能力削除
最後の爆散でふいたww
73.80名前が無い程度の能力削除
安心してと言うか、余裕を持って読めるSSでした。
前作を読んだからこそ、なんとなくノリきれない皆が面白かったです。
79.100名前が無い程度の能力削除
あんたはえらい。
96.70ミスターX削除
>48.
『健康志向の永琳は、ぶらじゃーで胸を締め付けるような真似はしないため』って書いてあるやん

それにしても、てっきり最終章でみんなが集まったところに幽香のマスパが飛んでくるかと思ったら、なんで博麗神社やねん