Coolier - 新生・東方創想話

如何にしてレティ・ホワイトロックは心配するのをやめてサンタクロースの代行者となったのか。

2008/12/25 23:06:37
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「お姉様はサンタさんに何を頼むの?」
「サンタ? そんなもの子供だましでしょ?」
「別に良いじゃない。子供だましだって、せっかく紅魔館は最初から煙突があるんだし、頼んでいて損はないと思うの」
「まあ、一理あるかも知れないわね……」
「でしょ、だから私はサンタさんに『壊れない人間』を頼むわ。人間はすぐ壊れてツマンナイからさ」
「……流石に無理じゃないの、それは」
「ぶー、どうせ頼むだけならタダだから良いじゃない。そんな一々私に文句を言うお姉様は何を頼むのよ?」
「私は……頼まないわよ」
「ふーん、ツマンナイの」
 姉とそんな会話をしてフランドール・スカーレットは部屋を出た。
 部屋に残ったレミリアは控えていた咲夜に視線を移す。
「咲夜は、これから里に行くの?」
「はい、色々と買いものがありますから」
「じゃあ、フランのサンタへの手紙もその時に?」
「はい、妹様から預かっていますので」
「………………」
「お嬢様?」
「咲夜、ついでにこれも出してきて」
 そう言ってレミリアは可愛らしい便箋を差し出した。
「はい、承りましたお嬢様」
「べ、別にサンタを信じてるとかそういう事じゃないからね! フランにちょっと付き合ってあげようと思っているだけなんだから、勘違いしないように!」
「はい、分かっております。お嬢様」
 恭しく頭を下げる咲夜、何でもない事で声を荒げるレミリア、いつも通りの風景。

  それはクリスマスの少し前の出来事だった。




 
 十二月の初頭、暦の上では師走であるが幻想郷唯一の学校であるここは、師が走るほど忙しくなっていなかった。
「さて、この時期に岩長姫が妖怪の山に移り住んだわけだな」
 教鞭を振るうのは、半人半白沢である上白沢慧音だ。
「この時期を境に山からは不尽の煙が昇ようになった。そもそも妖怪の山は本来の姿の八ヶ岳であり、岩長姫が住んでいた八ヶ岳とは異なるのだが……」
 その授業の内容は幻想郷の歴史であり、うつろいやすい人間が幻想郷の現在をキチンと認識できるように歴史を教えているのである。
 過去を学び、それによって現在を認識し、歴史を学ぶことで未来に備える、なかなか有意義な仕事と言えるが、里の人間にはあまり理解されているとは言い難かった。
 学校で学ぶ子供達の声を拾ってみると。
 曰く、「小難しい」「退屈」「冗長」「嬉しいのは終わる時」「宿題を忘れると頭突きって、どうよ?」「早弁したら頭突き喰らった、餓死しろと?」「あの帽子には誰か住んでいる」などと余り好評では無い。
 だが、そのことをあまり慧音は気にしていない。
 そもそも人間というのは勉学を好まないものだし、それを教える人間も同様に好まれないものだからだ。
 好かれなくとも良い。重要なのは彼らの脳の隅にでも勉学の成果が残り、それが少しでも役に立てばいいのだ。
「つまり八ヶ岳というのは、二つ存在するということだな。この山の背比べで……」
 そうして黒板に向かって妖怪の山の成り立ちを書いていると何やら教室は騒がしくなった。
「……そこ授業中だぞ!」
 振り返って注意すると慧音の眼に里では見慣れぬ姿が飛び込んだ。
 ざわつく子供たち、用立てた机、教室の後ろに貼られた生徒たちの習字、そこまでは良い。
 そこまでは許容の範囲内だった。
 問題なのは窓に貼りついている人影だ。
 里では見慣れぬ青い髪、その髪に括られた青いリボン、そして興味深げに教室を見渡す青い目と、胸の赤いリボンを除けばだいたいが青一色のその姿、霧の湖に住む氷の妖精チルノだった。
 その姿を認めて、慧音は『授業中だ!』と怒鳴って追い返そうと思い、持っていたチョークを置いた。慧音の仕草に教室がざわつく、慣れた里の子供たちは急いで耳を塞ぐ。
 だが、窓の外で教室の中を見ていたチルノは、慧音と目があった瞬間に凄まじい勢いで手を振った。
 それは主人の帰宅に喜ぶ飼い犬の尻尾のように手を振っていた。
「……ち、ちょッ」
 そのあまりに必死な姿に慧音は思わず吹き出してしまった。
 どうにも毒気を抜かれたというか、気勢を削がれた慧音は、一つ諦めたように嘆息するとチルノが貼りつく窓へと歩いていった。
「一体何の用だ?」
 少し呆れ気味に慧音はまだ窓の外で手を振っている妖精に聞いた。
「気が付くのが遅いよー 手がちぎれるかと思ったじゃない」
 だったら、現在進行形で振っているその手を止めれば良いと思う。
 そう思ったが、指摘する以前にツボに入ってしまったので、笑いをこらえながら、
「す……すまん」
 と応えるのが手一杯だった。
「ほんとにもう、しっかりしてよね?」
「あ、ああ。そうだな……」
 しっかりするのはお前じゃないか。
 と言ってやりたいところだが、大人な慧音は突っ込まなかった。
 そんなやりとりをしている間にチルノの手もようやっと止まったようだ。ふと、慧音が後ろを振り返ると教室に居る子供らが、そそくさと黒板を写している振りなどをした。
 やはり、興味があるのだろう。
「あー、ごほん。で、一体何の用だ?」
 そんな子供達の様子を見て、慧音は多少顔を赤らめながら、チルノに詰問を繰り返した。

「トンカチ」

「なんだって?」
 唐突な言葉に慧音は思わず聞き返す。
 そんな里の賢人にチルノはじれったそうに、
「だーかーらー、トンカチよトンカチ。どこにあるの?」
「まさか突然、妖精から金槌を要求されるとは思わなかったな……」
 慧音は深いため息を吐く。
 暖かくなるとオツムが残念な人間が増えるが、妖精は寒くなると頭が残念な感じになるのだろうか?
「とりあえず、妖怪でも見てもらえる医者なら紹介するぞ。妖精でも見てもらえるかは分からんがな」
「……もしかして、あたい馬鹿にされている?」
 周囲に漂う可哀相な子に対する空気を感じ取ったのか、チルノは微妙に不機嫌そうな顔をして慧音に訪ねた。
「いや、馬鹿にはしていない。ただ心配しているだけだ」
 蛙を凍らせるぐらいは理解の範疇だが、学校に金槌を探しにくるのは尋常では無い。
「そうなの?」
 クリっとした目でチルノは慧音を見上げる。
「ああ」
 そんなチルノを慧音は心底憐れむように見つめていた。
「大丈夫! あたいは元気だよ!」
「……そうだろうな」
 深いため息と共に慧音はチルノに同意した。
「でさ、トンカチってどこにあるの?」
「どうしてお前は金槌が欲しいんだ?」
 重病人に聞く様に慧音は優しくチルノに聞いた。
「煙突作るの!」

 良かった。

 まだ『トンカチを使ってバナナを作るの!』というような物理限界を突破する領域には達していたいようだった。
 トンカチで煙突を作る、十分理解の範疇内だ、コミュニケーションの余地は十分にある。
 しかし、なぜ氷の妖精が煙突を作ろうとしているのだろうか?
 煙突と言えば暖炉、あるいは排煙、排熱などに関係した設備、それは氷の妖精に相応しいものではない。
「そうか、煙突かー なかなかいいじゃないか」
 まるで薄氷を渡るかのように慧音は言葉を選びながらも氷の妖精に同意し、続けて尋ねた。
「どうして煙突を作ろうと思ったんだ?」

 煙突を作りたい→金槌が欲しい→学校に探しに行こう

 学校に金槌を探しに行く点を除けば十分に理解可能だ。
 ただ、分からないのが煙突を欲する動機だ。
 寒気を好み、暖気を苦手とする氷の妖精が暖炉の煙を排出する設備である煙突を欲する理由はない。
「入れないのよ、煙突がないと」
「入れない?」
 何が?
 そう聞こうと思ったとき、チルノは慧音の心を読んだかのように続けた。
「煙突が無いとさ、入れないじゃん。サンタクロースが」
 謎はある程度解けた。
 慧音が辛抱強く聞き取り調査をした結果、チルノは気がふれたわけではなくサンタクロ-スなる存在の出入りのために煙突を欲していたようだった。
 チルノが語るには、サンタとは赤い服と赤い帽子に恰幅の良い姿、それに白い大きな袋を持った存在で、十二月の二十四日の深夜から二十五日の早朝にかけて徘徊し、子供のいる家に侵入するのだという。
 このサンタは吸血鬼が招き入れられないと家に侵入できないかのように、他者の家に侵入する際には大きな制約が存在するらしい。
 それは吸血鬼のように許可を得る必要は存在しないものの、その侵入経路は煙突に限定される。つまり煙突にはサンタは立ち入ることはできないのだ。
「……なんだって、そんな怪しげな存在を呼び込みたいのだ」
 呆れたように慧音は呟いた。
「それはねー、プレゼントがもらえるんだって!」
 サンタクロースはただ無目的に煙突のある家に侵入するわけではない。
 そこには恐るべき目的が存在する。
 もし、サンタクロースが侵入した家に善良な子供が住んでおり、かつその子供が枕元に靴下(未使用のものに限る)を片方だけ下げていれば、サンタクロースはそのふとましい肉体に秘められたあがらうことの出来ない性のまま、靴下の中にプレゼントをねじ込むのである。
「……なんか、靴下とか変質者臭くないか?」
「でも、プレゼント貰えるんだよ、凄くない!」
 興奮気味にチルノはのたまった。
 そんなチルノの話を教室の子供らは、やはり興奮して聞いている。

「すげーな」「プレゼント……贈り物という事か」「お歳暮との違いは?」「バッカッ、ハムじゃなくて俺らに直撃なんだよ」「マジで」「ヒャッハーですね、分かります」「総取りってことか」「嬉しいのう、嬉しいのう」

 何やら騒がしくなってきた教室内。
 プレゼント、それはいつでも子供たちのアコガレ、それが手に入るのだからこれはたまらないだろう。
「しかしなー、聞いていると簡易とはいえ召喚の儀式みたいじゃないか。素人がそんな事をするのは感心しないぞ」
 しかし、そんな興奮した子供ら(含むチルノ)に教育者らしく慧音は、腕組みをして釘をさす。
「でもでも、レティは外の子供らは普通にやってプレゼントをもらってるって言ってたんだよ……だからトンカチ」
「……そう言えば、ずっと気になっていたが何でここに金槌を求める」
 そう聞かれるとチルノは目をパチクリして、
「じゃあ、どこに行けば良いの?」
 と、聞き返した。
「……普通に考えれば金物屋だろ」
「そうなの?」
 パチパチと瞬きしながらチルノは尋ねる。
「ああ、そうだ」
 それに対して慧音はため息をついて答えた。
「そっか、分かった! ありがとー!」
 疲れきった慧音の答えを聞くと、チルノはさっさと金物屋に行ってしまった。
 
 なぜ、チルノが学校に金槌を求めたのか。
 それは以前に教わった『学校は知らないことを教えてくれる場所』という知識が『分からない事は学校に行けばいい』にいつの間にか書き変わってしまっているためなのだが、そんな事など慧音が知っている道理はなかった。
 


 更に、少し時間を戻そう。

 そもそも幻想郷にクリスマスという習慣は無い。
 柏手を打ってアーメンとのたまう幻想郷に西洋の祭であるクリスマスは全く伝わらなかった。
 一部の賢人の間では知識としては存在しているもののキリスト教という土台が無いので、全く定着していない。
 しかし、何事にも例外は存在するものだ。
 たとえば、博麗神社にたまたまお茶を飲みにくるスキマ妖怪がいたとする。
 そこにたまたま冬でテンションが上がりまくった所為で巫女に挑んであっけなく返り討ちにあった氷妖精がいたとする。
 その氷の妖精を見てスキマ妖怪は冬を実感し、巫女から冬眠しなくていいのかとからかわれながらも、その紅白の衣装から日本うんたら協会の年末恒例の歌謡ショーを思い起こせばあと一息、普段は上がらない話題を口にし、それを氷の妖精が耳にすることもある。
「しかし、もうすぐクリスマスね」
 八雲紫は拝殿の隅っこに愛用の炬燵を出して、そこでぬくぬくしながら呟いた。
「クリスマス?」
 掃除をしている霊夢が尋ねる、炬燵でまるまる紫とは違い、意外と寒さに耐性はあるようだ。
「ええ、外の世界のお祭りよ」
「へー、どんな祭なの?」
 唐突に境内でだらだらしていたチルノが口を挟む。
「元はミトラ教の冬至の祭と言われているわ。その後、異教の祭を根絶できないキリスト教が、妥協案としてイエスの誕生日としたことで現在のキリスト教式クリスマスとなったって感じかしら」
「へー、良く分かんない」
「まあ、チルノのようなお子様にとってはプレゼントをもらえる日ってところよ」
「プレゼント!?」
「ええ、そうよ。プレゼント。クリスマスにはサンタからプレゼントが貰えるの」
「マジで!?」
 目を輝かせてチルノは紫に尋ねる。
「ふーん、私は貰った覚え無いけど」
 一方、霊夢は箒を吐きながら話半分に聞き流していた。
「それはそうよ。だってプレゼントは良い子しか貰えないんだからね」
 にやりとして紫は霊夢を見た。

「え?」

 その言葉を聞いてチルノは小さく声を上げる。
「あんたねー、それが言いたかっただけじゃないの?」
「さあ、どうでしょうね。分かっている事は博麗霊夢はプレゼントをもらっていないという事実です」
「まったく、ロクなこと言わないんだから」
 互いに減らず口を叩きあう霊夢と紫、しかしチルノは会話に加わらず、
「あたい、帰る」
 そう一言呟いて、神社に背を向けた。
 そんなチルノに紫と霊夢の二人は気づくことはなかった。

『ただし良い子だけね』

 八雲紫の言葉が耳に残っている。
 自分は良い子と言えるのだろうか?
 悪戯は良くするし、蛙に対してのみとはいえ無駄な殺生を行っている。
 妖精仲間にも迷惑をかけているし、そう言えば何かと人に迷惑をかけている気がする。

『プレゼントをもらっていないのが事実です』

 サンタというのもからプレゼントをもらっていない。
 これが答えなんだろう。

「レティ~!」

 いたたまれなくなったチルノは半泣きになりながらレティの家に転がり込んだ。
「ど、どうしたの!?」
「かくかくしかじかー!」
 そうしてチルノは要領悪く説明を始めた。
 何度もつっかえながら、話も行きつ戻りつしていたが、レティは辛抱強くチルノの話を総合し、完全に理解した。
「そっか、サンタが来ないからチルノは自分が悪い子なんじゃないかと思ったのね」
「うん……」
 凄くしょんぼりとしてチルノは頷いた。
 黒くどんよりとした雲を背負ったチルノにレティは少し考え込こんでいたが、その頭上に電球が点る。
「ねぇ、チルノ知ってる? サンタはね……」
 嗚呼、この電球が幻想郷にどれほどの悲劇を、特にレティ本人にもたらすのかをこの時レティは知る由もなかった。
 しかし、レティはチルノが『悪い子』ではない事を証明するために、サンタ召喚の正確なる手順をチルノに教えてしまったのだ。

 曰く「煙突のない家にはサンタは入れないの」
 曰く「プレゼントは靴下に入れるの、だから靴下を用意しなきゃだめよ」
 曰く「だからチルノは悪い子だからプレゼントが無かったわけじゃないわ。用意ができてなかっただけよ」

 など、微に入り細に入りレティは『煙突を呼び水とするサンタ召喚式』をチルノに教えた。
「つまり、煙突があって靴下を用意して良い子にしてればサンタはプレゼントを持って煙突をくぐり抜けてやって来るのね!」
 喜色満面でチルノは叫んだ。
「ええ、必ずね」
 そんなチルノにレティも笑顔で答えた。
「おっしゃー! それじゃ家帰って煙突を作らなきゃ!!」
 そう言うとチルノは来た時の三倍の速度と五倍の勢いでレティの家を飛び出した。
「……元気になったみたいね」
 そんなチルノを見てレティは嘆息した。
 やはりチルノは元気でないといけない。最も、その笑顔の代償にクリスマスはチルノの家にこっそりとプレゼントを持っていかなければならないみたいだが、それぐらいは何でもない。
「うーん、うまく煙突を潜れるかしら」
 そんな事を呟きながらレティはチルノへのプレゼントの内容を考え始めた。

 
「煙突と靴下で良い子にしてればプレゼントが貰えるの?」
 少し胡散臭げに橙はチルノを見つめた。
「そだよ、それでサンタクロースはやってきて良い子にしていればプレゼントをくれるんだ!」
 そんな橙にチルノは自信満々に答える。
 あれから金物屋で金槌をはじめとする大工道具各種を手に入れたチルノは一日がかりで自宅に煙突を増設することに成功した。
「ふーん、でもめんどくさくない?」
「簡単だよ! ちょっと適当に木で囲いを作ってそれを屋根に貼り付けて、あとは穴を開ければいいんだから!」
 なかなか歪ではあるものの煙突の仕上がりは上々、テンションは鰻昇り、こうして舞い上がった鰻ならぬチルノは、知り合いに出会うたびにこうやって「サンタクロース召喚式」を説いて回っているのだった。
「……やっぱめんどい気がするんだけど」
 しかし、説いて回っても反応が必ず良いとは限らなかった。
 大妖精や三月精を始めとする妖精仲間の反応は良好、ルーミアは『そーなのか』と好感触、リグルは「まあ、面白いかもね」とそれなりに良かったが橙の反応はよろしくない。
 やはり耳にピアスをしている分だけ大人という事なのかもしれない。
「こんな寒いのに外で大工仕事ってのはねぇ……」
 単に冬という事で動くのが億劫になっているだけなのかもしれない、猫だし。
「でもさ、煙突はサンタ以外でも役に立つんだよ!」
「……暖炉も一緒に作るの?」
 煙突は、文字通り煙を屋外へと排出するための施設である。
 その煙の発生源は色々であるが、家庭内では暖炉であることが多い。その暖炉は幻想郷では西洋系妖怪の一部が使用している程度で、それほど一般的では無い……が、そのぽかぽかレベルには定評があった。
 薪をくべて火をたけば瞬く間に部屋はぬくくなる、それは魅力的ではあった。
 煉瓦がたくさん必要、ブナなど火の粉が出ない薪が必要と苦労しそうなど問題はあるがそれはそれで魅力的な提案であった。
「ぽかぽか暖炉……いいかも」
 暖炉の前に寝っ転がる自分を想像して、橙は恍惚とため息をつく。
「違う違う、そんなめんどくさくないよ」
 しかし、チルノはそんな橙に手を振った。
「へ?」
 その気になっていた橙は、つい間の抜けた声を上げてしまったが、そんな事お構いなしでチルノは続ける。
「煙突ってのは、部屋から直で外に繋がってるじゃない?」
「う、うん。そうね」
 指を立ててチルノはにやりと笑い、橙に問いかけた。
「つまりさ、サンタが煙突を使って家に入るようにあたい達も煙突を使って家を出入りすればいいってことさ!」

 まるでどこかの頭がパンの人である。

 チルノのア○パンマン式出陣法を聞き、橙はしばし呆然としていたが、
「それ良いじゃん!」
 と、激しく同意した。
 かのようなノリで、若い妖怪や妖精の間に『煙突を呼び水とするサンタ召喚式』は広がりを見せたのであった。
 そして里でも、それは同様の広がりを見せる。
「阿求ちゃん阿求ちゃん、知ってる?」
 稗田家の一室で紅茶を啜る子供が二人居た。
「ん、何の事?」
 話しかけられた側は九代目阿礼乙女 稗田阿求。 
 話しかけた側は、慧音の学校に通っている花屋の娘だった。

「クリスマスの事」

 ここでの話題もクリスマスの事だった。
「ああ、里でも話題になってるね。煙突があればサンタってのが来るだっけ」
 そう言って阿求は紅茶を啜った。ちなみに二人とも先にミルクを淹れた由緒正しい形式のミルクティーである。 
「いいよねぇー、煙突があればサンタが来てプレゼントをくれるんだよ」
 そう言って花屋の娘はぽわーと背景に花を咲かせた。
「しかし、そのためにわざわざ煙突を作るのも骨が折れるんじゃない?」
 添えられたビスケットをミルクティーに浸しながら、阿求は呟いた。
「いや、そこはなんか棟梁が張り切ってさ、希望者には全力で煙突を付けるとか言ってたよ」
「マジですか」
 流石は幻想郷の住人、何だかんだと言って無駄な事には力を入れる。
「で、今日来たのは阿求ちゃん家も煙突を付けるかって聞きに来たんだよ」
「なるほど……」
 正直、プレゼントなど興味はない……いや、まあないことはないんだけどそこまでは無い。
 それ以上に阿求が気になったのは『サンタクロース』である。
 そんなケッタイなものが幻想郷に出現するとなれば、できるだけ詳細な情報が欲しいところだ。幸い、聞いている限り人間に危害を加える類の妖怪ではないようなので、自分でサンタを体験するのは悪くないだろう。
 しかし、プレゼント。やはり新しい茶器あたりが妥当だろうか、いやいや外の世界の本というのも捨てがたいし……
「どったの、阿求ちゃん? 突然もだえ始めて」
 いきなりうねうねし始めた阿求に、花屋の娘は冷静に突っ込みを入れた。
「いや、ちょっと考え事を……」
「煙突の事?」
「まあ、ね」
「で、つける? つけるなら私から棟梁に話しとくけど」
 そう聞かれて阿求は一拍置いてから、
「ん、お願い」
 と答えた。
 この時点で、幻想郷はクリスマス一色に(正確にはサンタ一色に)染まっていたのだった。

※ 

 レティ・ホワイトロックは、その日人間の里におせちの材料を買いに来て呆然とした。
 人間の里の多くの家から煙突が付き出しているのだ。
 そして、
「おかーさん、煙突を付けたからうちにサンタは来るよね?」
「そうね、きっと来るんじゃないかしら」
 などと、話す親子連れがちらほらと見受けられた。
 そして、一部の店にはクリスマスにお勧めと「サンタ饅頭」「サンタこけし」「サンタ飴」などが売られている。
 しかも、サンタの特徴は赤い服を着た恰幅の良い存在としか語られていないため、その姿は店によってまちまちになっている。
 まさに里はクリスマス一色、というかサンタ一色だった。
「な、なんてことなの……」
 レティは声を失った。
 まさか、これほど幻想郷全体にクリスマスが広まるとは完全に想定外だ。
 チルノ一人にプレゼントを贈ればそれで済む、レティはそう思っていた。

 だが、仮にチルノだけにプレゼントをあげたらどうなるだろうか? 
 
 多くの幻想郷でサンタを信じる者たちは絶望するだろう。
 そして、一人プレゼントを貰ったチルノにしたところで、自分だけが貰った事に疑問を持つかもしれない。
 いや、そもそもこの人間の里に広まったクリスマスの情報源は誰だろうか?
「あの氷の妖精の言ってた事って本当なのかな?」
「いやー、わかんねーけどさー でもあの妖精は『ほんとにほんとだ!』とか言ってたらしいし、何よりあの阿求も煙突を作っていたらしいぜ」

 はい、チルノですね。
 本当にありがとうございます。

「これは……ッ! まずい……ッ!」
 このままではチルノは大嘘吐きという事になってしまう。
 狼少女として幻想郷で孤立してしまう。
「ああ、なんとかしないと……」
 うわごとを呟きながら、レティは人間の里から離れた。



 サンタクロースは実在する。
 それはグリーンタンドの公認サンタのような形では無い。
 かつて聖ニコラウスという聖人が存在した。
 彼はミラの司教であり、持参金の無い貧しい娘に煙突から金貨を恵んだという伝説を持ち、その伝説が時代を下るごとに変化していって、子供にプレゼントを配るという現在の形に落ち着いた。
 しかし、かの聖ニコラウスことサンタクロースは外の世界で忘れ去られていない。
 つまり、彼はいまだ『現役』であり、幻想入りをしていない。
 この事実の意味することは――

「幻想郷にサンタはいないってことなのよねぇ……」

 深いため息、果てしなく深いため息だった。
 そのため息の主はレティ・ホワイトロックその人、そして――
「まあ、来てないものは仕方がないわね」
 その向かいでお茶を飲んでいるのは外と幻想郷を自由に行き来できる唯一の妖怪、八雲紫だった。
「だから、貴女を呼んだのよ……妖怪の随一の賢者、八雲紫」
 そう言うとレティは室内で唯一の暖房器具である炬燵に入った紫を見た。
「本当だったら冬眠しているはずだったんだけどね」
 そんな事を言って怪しく笑うと紫はお茶のおかわりを要求する。
「ええ、こんなあばら家に高名なる妖怪の賢者様に来ていただき、ありがとうございます……それで賢者様はキンキンに冷やしたアイスティーとカチカチに凍らせたアイスティーのどちらがよろしいですか?」
 凄まじく滑稽で慇懃無礼とも言えそうなレティの台詞に紫は目を白黒させた……が、そこは百戦錬磨の妖怪である。
「ふむ、できればホットを賢者は所望であるな」
 流れを読んで、レティのネタに乗ってみる妖怪の賢者。しかし、その表情には微妙な恥じらいが浮かんでいた。
「では、この愚昧なる妖怪に知恵をお授けくださいますね?」
 そんなやりとりをしながら、二人は笑いをこらえ始めた。
「うむ。ならば茶がし……ぷ、くっくく……」
 そこまで言って紫は、あまりの馬鹿馬鹿しさに笑いを堪え切れなくなったようだ。
「さあさあ、この遠く離れた人間の里の貸家が作った芋羊羹、途中恐ろしい猛犬をくぐり抜けて手に入れた逸品ですぞ?」
 レティは畳みかけるように栗羊羹を差し出した。
「い、芋じゃないじゃない」
 かのようにどこかとぼけたやりとりの中、レティは紫をもてなしていった。
「……まったく、何をやらせるんですか」
 だいぶ落ち着いた紫は栗羊羹とお茶を平らげると、冷静にレティに突っ込んだ。
「まー 楽しんでいただけたでしょう?」
 そう言うとレティは涼しい顔でアイスティーを啜った。
「……つい乗せられただけで、楽しんだというのは語弊があるけど、まあリラックスできたわね」
 そう言って紫は少し顔を赤らめると咳払いをした。
 どうやらこれはレティなりの数寄なもてなしのようだった、なんか違う気もするが。
「で、相談なんだけど……」
 そう言いながらレティは紫の前に包装紙で包まれた栗羊羹を一本積んだ。
「ええ」
 その羊羹を胡散臭げに見つめながら紫は頷いた、どうやらお土産用らしい。
「ちょいと外の世界に居るサンタをスキマでひょいとさら……」
「却下」
 レティの提案を紫は0.02秒で却下した。
「何でなの!」
 レティはテーブルをドンと叩く。
「そんな個人的理由で幻想郷のルールを乱すわけにはいきません」
「そんな非の打ちどころのない正論で!」
「正論なら問題ないでしょ」
「いや、普段ろくでもないことばかりしてる人に正論を吐かれると癇に障らない?」
「ほほう、そんな事言うわけ」
「まあ、サンタを攫ってこれない時点で貴方を呼んだ意味は薄れてるんだけどね……あ、その栗羊羹は置いていって」
 そう言うとレティは紫の前に置かれた栗羊羹を手元に引き寄せた。
「……いいの? そんな態度で」
 微妙にささくれ立っているレティに対し、紫はにやりと笑って見せた。
「え?」
「……外の世界の子供たちも必ずサンタの恩恵を受けることができるわけじゃないわ。そうしてサンタが来ない時、彼らがそうしているか」
 そこまで言って紫は一拍置いた。
「……な、なに?」
「知りたい?」
「そりゃ当然よ!」
「なるほど、それなら手に持っているものをどうすればいいか分かっているわよねぇ?」
 そう言われてレティは慌てて栗羊羹を紫に手渡した。
「宜しい……じゃあ、続けましょ。外の世界では本物のサンタなんてめったに来ないわ。あまりに人が多すぎるのにサンタはたった一人だからね。だから基本的にサンタの代行者が立てられるのよ」
 栗羊羹を弄びながら紫はレティに教授する。
「……代行者?」
「ええ、多くの場合はその子供の親がサンタの代行者となり、正体を隠してサンタに代わってプレゼントを子供に送るの」
「ちょ、ちょっと待って」
「で、子供は代行者から受け取ったプレゼントによってサンタが家にきたと思うわけね」
「ちょっと待ってよ。それって最初にチルノに……」
「みんな思いつくのは同じね」
 そう言って紫は深いため息をついた。
「相談して最初の結論にたどり着くとは……」
 がっくりとレティはうな垂れる。
「チルチルミチルの青い鳥って知ってる?」
「……結論は最初から出てたって事?」
「人生なんてそんなものよ」
「私は妖怪だけど」
「じゃあ、妖怪生もそんなもの」
 その言葉を聞いてレティも深いため息をついた。
「じゃあ、貴方が言いたい事は、私が幻想郷のサンタの代行者になれって事?」
「まあ、うちの橙も楽しみにしているみたいだしね」
「……普通は各家の保護者が代行者になるんじゃないの?」
「来年からはそうしましょ。でも今年は時間がないことだし、言い出しっぺの法則に従い貴方が幻想郷のサンタとなるのよ!」
 そう言って紫はレティに指を突きつけようとして、思いっきり目ん玉を突いた。

「アウチ!」

「私もできるだけ協力させてもらうわ、より良い幻想ライフを目指す為にね」
 のたうちまわるレティを無視して紫は遠い目をする。
 とりあえず助けろ。



「意外とサンタってスペックが高いのよ」
 どこかのラスボスや悪の幹部が悪だくみをしていそうな、紫水晶やら不思議な岩塊やらが浮かぶ謎の空間。そこの一段高くなった崖の上でで八雲紫は、一つため息をついた。
「まあ、仮にも聖者。大きな力を持った聖職者なわけよねぇ」
 そんな八雲紫に同意するのはどこからともなく現れた紫の友人である西行寺幽々子『面白そうな匂いがする』とやって来たのだ。
「そんな存在の代行者を……私が?」
 そんな二人に見下ろされる形で話を聞いているのは『幻想郷におけるサンタの代行者』を任じられたレティ・ホワイトロックその人である。
 彼女ら三人はこの八雲紫の生み出した亜空間でクリスマスに向けて作戦会議をしているのだった。
「まー、サンタに必要なのはだいたいこんな感じよね……あくまでこれはサンタの仕事を遂行するために必要なスキルをまとめただけだけど、他にも色々と必要な力が必要になるかも知れないわね」
 紫がそう呟くと周囲を浮遊する紫水晶は集合結合し、大きな一枚のパネルと化し、そこにはこのようなものが表示された。

サンタを演じるキャストに必要なスキル


必須!

隠密能力 S
侵入能力 A
調達能力 S
調査能力 S
スタミナ A以上


赤いサンタ服
プレゼントの入った白い袋


推奨

カリスマ A以上
チャイルドアットハートのパーク
トナカイとそり
襲いかかる襲撃者を打倒せるだけの装備


「あの、必須も全然満たせないんだけど……あと、推奨の項目にある襲いかかる襲撃者って何?」
 物騒な文言に汗を垂らしつつレティは紫に聞いた。
「簡単な話よ。サンタは子供たちのためのプレゼントをいっぱい持っている……となればそれを奪う輩がいても不思議はないでしょう?」
「えー、子供へのプレゼントって事は大半がおもちゃなんでしょ? そんなものを欲しがるわけ?」
 紫の答えにレティは疑問を差しはさむが、
「おもちゃを欲しがるのはいつだって子供です」
 と、紫は涼しい顔で答えた。
「なるほど、与えられるだけではなく、奪う! って考える子供もいるわけね」
 なかなか世紀末なお子様と言えよう。
 そんな幽々子の答えに紫は同意した。
「それに、プレゼント目的ではなくともサンタを捕獲しようと考える子供も少なくはないしね。穏便にことをおさめるために非殺傷兵器ぐらいは持って行った方が良いと思うわよ?」
 そう言って紫は催涙ガスの詰まったスプレー缶やスタンガンをスキマから取り出した。
「いや、子供泣くから……」
 汗を垂らしてレティが突っ込んだ、実際には泣く元気も残るまい。
「まあ、話を戻すけど、どうするの? この雪女さんじゃ到底サンタのスペックには届かないわ」
 そう言って幽々子はレティを見下ろす。
「ふむ……一夜のうちに幻想郷中の子どもらにプレゼントを配るスタミナは根性論でどうにかするとして」
 そう呟くと紫水晶のパネルは表示を切り替えた。


 レティ・ホワイトロックのスペック

 
隠密能力 S 現時点では困難
侵入能力 A 設置されるであろう煙突、あるいは八雲紫の支援によってクリア
調達能力 S 八雲紫の支援によってクリア
調査能力 S 現時点では困難
スタミナ A以上 根性によってクリア


「プレゼントを調達する調達能力、家屋への侵入は設置された煙突によってどうにかなるし、どうしようもない場合はスキマでなんとかなるわ」
 そう言うと幽々子は、パネルを見やすい位置にとレティの隣に移動した。
「つまり、残りの必須条項は、家屋に浸入した後に見つからずに動き回れる隠密能力と、子供の要求するプレゼントを事前に調べる調査能力の二項目……」
「そんなの簡単じゃない」
 紫が口元に手をあてて考え込もうとした瞬間、幽々子は声を上げた。
「ほう、どんな解決策を考えたの?」
「そんなの紫が直接プレゼントを靴下に突っ込めばいいんじゃない」
「それは無理よ、眠いから」
 脊椎反射レベルで紫は幽々子の提案を却下し、
「なるほど、それじゃあしょうがないわね」
 その理由を幽々子は平然と受け入れた。
「……だったら、隠密能力に関しては、妖怪の山の河童から姿が見えなくなる装備でも貰ってくれば問題ないわね」
 河童の光学迷彩ならば、よほど目をこらさなければその姿が見えることはない。
 隠密能力に関してはそれでクリアという事となった。
「じゃあ、残りは調査能力……子供がどういうプレゼントを求めているかを調べる必要があるわけだけど」
 そう言うと紫は「地下からサトリでも引っ張ってくるか」などと思案していた。
「あの、それなら私に考えがあるの」
 その時、二人の会話を黙って聞いていたレティが口を開いた。



 人間の里のど真ん中にある日忽然と不可思議な物体が建てられた。
 高さおよそ5尺の棒の上に、鳥の巣箱を思わせる小さな裂け目の付けられた箱が付いているそれには、こう書かれていた。

『サンタポスト』

 このポストと同時に一つの噂がどこからともなく広がった。
 クリスマスまでにこのポストにプレゼントを要求する手紙をサンタへ出せば、クリスマスにサンタがプレゼントを持ってやってくるという。
 それまでは漠然とした噂に過ぎなかった幻想郷におけるサンタの噂、一部の酔狂人が盛り上がっていただけサンタの伝説は、サンタの実在を示すであろう物証を得て、にわかに現実味を帯び始めていた。
 人も、妖怪も、妖獣も、妖精も、幻想郷に住む子供たち(含む、精神年齢が子供も)はポストに手紙を投函していった。
「なんと言うか、よくまあこれだけ集まったものね」
 サンタポストの中はスキマによってレティの家と繋げられている。
 床に広げられた手紙の山を見てレティは、クリスマスの仕事の困難を想像して深く溜息を吐く。
「あら、これはチルノの手紙ね……何々? 『業務用かき氷器が欲しいです』と、なかなか重いものを要求して切れるじゃない、これは橙で……あら、てゐも手紙を出していたのね」
 そんな独り言を呟きながら、レティは手紙を整理していく。
 サンタへ、直接プレゼントをリクエストできる受け皿を作ればいい、そのレティのアイディアはなかなか上手くいっていた。
 子供達は手紙を出したことで、欲しいプレゼントを確実にリクエストできるわけだし、サンタ側にしてもプレゼントの調査を省けるというわけだ。
 自分のアイディアに自画自賛しつつ、レティは手紙の仕分けを順調に進めていたところ、一枚の手紙を見て手を止めた。

「こ、これはッ! こ、紅魔館のッ!」

 紅い便せんに書かれた差出人の名は『フランドール・スカーレット』と書かれていた。
「ま、まさか紅魔館の吸血鬼もプレゼントを望むとは……って、という事は私は紅魔館に侵入しなくちゃいけないって事!?」
 死亡フラグの立つ音を聞きながら、ペーパーナイフで丁寧に便箋を開け、悪魔の妹の要求するプレゼントを確認する。
 そこには『壊れない人間』と書かれていた。
「……………………さて、次の手紙は、と」
 とりあえず考えるのは後回しにし、レティは手紙の分類に戻った。
 まあ、調達するのは紫の仕事だ、彼女ならどうにかしてくれるだろう、多分。
「えーと、あら随分と可愛らしい便せんね……って、これもか!」
 可愛い兎の便せんに書かれた差出人の名は『レミリア・スカーレット』悪魔の妹の次は紅魔館の悪魔ご本人の登場である。
 はたしてどんなプレゼントが要求されているのか。
 戦々恐々としながらレティは便箋を開けると、

『カリスマ』

 の一文のみ。
 それを見たレティはそっとその手紙をフランの手紙と同じ場所に分類した。
 こうして、クリスマスへの準備は着々と整っていた。


 
「だー、疲れた……」
 赤を基調にし、ふちに白いモコモコのついたサンタ服を着て、巨大な白い袋を持った姿が霧の湖の上でため息をついた。
 サンタがプレゼントを配るのは、クリスマスイブの夜更けからクリスマスの夜明けにかけてである。
 この僅かな時間の間にレティは幻想郷中を駆け巡り、手紙を書いた子供たちにプレゼントを配りまくった。
「あとは紅魔館で終わりね……」
 順調にクリアされていったプレゼントリストを眺めると、思わずレティはため息を漏らす。本当に幻想郷の子供たちのリクエストに応えるのは大変だった。
 たとえばルーミアへのプレゼントは『そーなのかー』だ。
 この禅問答のようなプレゼントには八雲紫は『そーなのかー』と書かれた掛け軸、お腹を押すと『そーなのかー』と喋る人形、銘菓『そーなのかー』の『そーなのかー』三点セットを送ることで対応した。
 ちなみに銘菓『そーなのかー』とは、銘菓『そーなのかー』と包装紙に書かれている饅頭の詰め合わせである。
 八雲紫曰く「困った時は饅頭に限る」との事だった。
 他に難易度が高かったものでは、てゐだった。手紙には『一回、月に行ってみてぇ』と書いていたので、寝ているうちにスマキにしてスキマから月へと送り込んだ。

 そして紅魔館である。

 なんだかんだと光学迷彩によって侵入は容易だった(煙突などスルスル入れた)が、問題はその後だった。
 異様に勘の鋭い紅魔館のメイド長をくぐり抜けて、姉妹のもとに辿り着かなければならないのだ。
「ついでに妖精メイドたちにもプレゼントを配らなければならないから、骨よねぇ」
 大きく溜息をつき、レティは光学迷彩を発動する。
 これで暗がりに居る限りは早々見つかることはない。
 抜き足差し足忍び足、レティは慎重にレミリアの部屋を目指した。
(月が出ているわね)
 窓から洩れる優しい光を避けるようにレティは紅魔館の中を進んでいく。
 そうしていると、正面から靴音が聞こえてきた。
(見回りね)
 静かに、ゆっくりとレティは通路に陳列された甲冑の陰に隠れる。
(妖精メイドなら問題はない……でも)
 ランタンを持った人影、その背は妖精にしてはやや高いように見える。
 少しづつ、ランタンの明かりが近付くにつれ、見回りをしているメイドの姿が明確になっていく。
 美しい銀髪、高くてすらりとしたスタイル、そして鋭い視線、それは紅魔館のメイド長、十六夜咲夜の姿だった。
(悪い予感ほどよく当たるわ)
 うまくやり過ごさなくてはいけない、心の中でレティはため息をついた。
 少しずつ咲夜はレティに近づいてくる。

 レティは息を止めた。

 かつんかつん、という靴音がとても大きく聞こえる。
 それを聞きながら、レティは咲夜が通り過ぎるのをじっと待った。
「……あら?」
 咲夜が止まった。
 その瞬間、レティの心臓は『ドクン』と大きな音を鳴らす。

(み、見つかったッ!?)

 すぐさま逃げ出したい衝動に駆られたが、レティは必死にその場にとどまった。
 まだ、見つかったとは限らない、ここで動くのは早計というものだ。
「……まったく、ちゃんと掃除できてないわね」
 咲夜はそう独り言をつぶやくと床に落ちているごみらしきものを拾い、そのまま行ってしまった。
(ふう……)
 ひそやかにレティは息を漏らす。
 うまくやり過ごしたレティは、レミリアの寝室を目指して動き始め、なんとかたどり着くことに成功した。
(なんというか、ゴージャスよねぇ……)
 寝室に侵入したレティは、思わず息を漏らしそうになった。
 家具、調度品、寝具、そのすべてが最高級品、流石は幻想郷でも有数の妖怪だけはある。
 そんなすべてに恵まれた吸血鬼のお嬢様が求めたのが『カリスマ』だった。
(しかし、わざわざカリスマなんて必要なのかしら)
 実際、紅魔館の悪魔は幻想郷で十分に畏れられている、圧倒的なカリスマを示しているではないか。
 そんな事を考えながら、レティは寝ているレミリアの顔をそっと覗きこんだ。
(あら、まあ……)
 思わず、クスリと笑いそうになって、レティは自分の口をふさいだ。

 そこにあったのは可愛らしい寝顔だ。

 起きている時のレミリアは、それこそ強烈な圧迫感すら感じたが、ここで寝ている姿を見ている小さな吸血鬼は、それこそ天使の寝顔と言っても差し支えあるまい。
(なるほど、まあ、確かにもっとカリスマが欲しいかもね)
 これはちょっと、カリスマと言うにはあまりに可愛すぎるのかもしれない。そんな事を考えながら、レティは袋から、レミリアへのプレゼントをごそごそ取り出そうとする。
 この八雲紫の用意した白い袋は、中はスキマと繋がっており、プレゼントをスキマに収納しておける優れもの。その上、取りだそうと思うプレゼントを頭で思い浮かべて探るだけで、目的のプレゼントを取り出すことができるのだ。
 そんな白い袋から出てきた『カリスマ』を見てレティは呆然とした。
(ナニコレ……)
 レミリアの要求するカリスマ、それに八雲紫が用意したのは……猫耳の付いたヘッドバンドに肉球の突いた手袋、尻尾、それに鈴のついた首輪だった。
 紫の用意したものであるから間違いはないと思われるが、はたしてこれがカリスマに繋がるのか、レティには分からない。

 むしろカリスマをより喪失してしまうのではないだろうか?

 腑に落ちないという顔をしながらベッドにぶら下げられた靴下の中に四点セットを突っ込むと、レティはもう一人の難問である地下室のフランドール・スカーレットに向けて再び移動を開始した。
 既に最難関であるメイド長はやり過ごしていた為、途中、妖精メイドにプレゼントを配りながらも、レティは誰にも見つからずにフランの部屋の前にやってきた。
(これですべてが終わる……ッ!)
 そんな感慨と共にレティはフランの部屋のドアをそっと開ける。
 意外と片付いた部屋に驚きつつ、レティはベッドの近くへと音を殺して接近する。
 やはり姉妹というのは似ているもので、寝顔は可愛い天使だった。
(で、フランのプレゼントは……と)
 袋に手を突っ込み、プレゼントを取り出そうとした瞬間、レティの顔色が変わった。

 生ぬるかったのだ、フランのプレゼントは。

 そこでレティは思い返す、フランのプレゼントのリクエストを。

『壊れない人間』

 ジワリと嫌な汗が噴き出した。
 つい口元もひきつっている。
 思い浮かぶ嫌な想像、それが当たっていないことを願いつつ、レティは袋からプレゼントを引っ張り出した。
 それは肌色の物体だった。
 というか生きていた。
 さらに言えば人型で、より正確に言えば人間で、個体識別名を言えば藤原妹紅だった。
 蓬莱の人の形、老いる事も死ぬ事も無い程度の能力の持ち主、確かに彼女なら『壊れない人間』だ。ありとあらゆるものを破壊するフランの相手も可能だろう。
 しかし、そのために妹紅の人権を軽く無視するとは八雲紫、恐るべし恐るべし。
「うーん……」
 リボンで猿轡をかまされている妹紅が唸った。
 観察して見るに完全に意識を失った妹紅はプレゼントらしく、剥かれて綺麗にリボンでラッピングされているようだった。
 なぜひん剥かれているのかは分からないが、八雲紫なりの理由があるのだろう。
 しかし、そこでレティの考えていた事は、
(ど、どうやって靴下に入れようか)
 という事だった。
 どうにも動揺しているようである。

 とりあえず、ベッドにかかっていた毛糸の靴下を妹紅の頭にかぶせて放置しました。
 見た人間を呪い殺す前衛的なオブジェの完成です、でも妹様は人間じゃなくて安心ですね。

 こうしてレティ・ホワイトロック・サンタのサンタ代行業はめでたく終了したのであった。

 ※

「レティ! レティー!!」
 明け方に帰宅して、寝ていたレティの元にチルノが飛び込んできた。
「あ……ふぅ、ああ、チルノ……おはー……」
 重い瞼を強引に引き上げてレティはチルノに朝の挨拶をする。
「ねぇねぇ!! レティレティ、見て見て!」
チルノは高まるテンションの赴くままに背負っていた業務用かき氷器を床の上に降ろした。
「凄いじゃない……どうしたの、これ?」
 ふらつきながらもベッドから起き上がったレティは、業務用かき氷器に驚いて見せる、するとチルノはその勢いのまま、
「サンタさんだよ! サンタさんがプレゼントしてくれたんだ!! あたいは良い子だったんだー 良かった――!!」
 と、かき氷器のハンドルをクルクルと回して見せ「すぐにかき氷を作ってあげるからね!!」と巨大な業務用かき氷器を持って台所へと飛び込んだ。
 その様子を見てレティはホッとため息を吐く。
 良かった、無事に幻想郷の初めてのクリスマスを迎えられた。

 より良い幻想ライフを。

 そんな紫の言葉を最初は話半分に聞いていて、他の子供たちにプレゼントを渡す行為もチルノを村八分にしない為だけに行っていた。
 しかし、終わってみれば、サンタとしての活動は言葉にできない素晴らしい何かとなってレティの心を満たしているのだった。

「できたよ、かき氷ー!」

 チルノが台所からかき氷を持って飛び出す。
 そんな感慨と共にレティは起き出して、チルノと二人で朝ごはんという流れとなった。
 テーブルに並んだのはかき氷(主食)に昨日作っておいたヴィシソワーズとサラダ、食卓の話題は当然、クリスマスのプレゼントの事だ。
「でさ! リグルはなんかすっごいひらひらした服を着てたんだ! こんなの似合わないとか言ってたけどあたいはそう言うのもアリだと思うんだよね」
「なるほどね、チルノ的にはありだったわけね?」
「うん、ギャップモエって奴なのかな?」
 そのような感じにクリスマスプレゼントの話題で盛り上がる二人、どうやらチルノは相当早く起きて業務用かき氷器を見せて回っていたらしく、プレゼントを貰った子供らの話をレティに聞かせてくれる。
 そんな話を聞いていると、レティもつい顔を綻ばせてしまうのだ。
 そんな楽しい食卓の中チルノの顔がふと曇った。
「ん、どうしたの?」
「あ、うん。ちょっと思い出したんだけどさ、レティはてゐの事知らない?」
「え! ええと、てゐがどうしたの?」
 そのことを聞かれて、思わずレティの声が上ずった。
「なんかね、朝から姿が見えないらしいんだ。鈴仙が探してた」
 月です、月に送り込まれました。
 心の中でレティはチルノに答えた。
「あ、あと、そう言えば紅魔館がなんか火事らしいよ。火の始末は気をつけないといけないよねぇ」
「……そうねぇ」
 どこか白々しくレティはチルノに同意した。
 色々と思い当たる節はあったが、考えても仕方ない事は考えないに限る。
 ああ、チルノのかき氷美味しい。
「美味しいわね、チルノ!」
「うん!」
 
 レティは全力で現実逃避に走った。







 燃えている。

 燃えている、燃えている。

 紅魔館の火事は現在進行形で続いている。
 そしてそれは確かに火事であるが問題の本質は、紅魔館を焼く火では無い。

「燃え尽きろ、吸血鬼!」

 繰り出されるのは、不滅「フェニックスの尾」の一撃。
「はっ、当たんないよ、そんなの!」
 その一撃をかわす悪魔の妹。
「消火活動急げー!!」
 そして、消火活動に従事する紅魔館の住人達。
 燃やしているのは、全身をリボンでラッピングされている放送できるギリギリの格好をした藤原妹紅と、

「燃え尽きろ、ニンゲン!」

 禁忌「レーヴァティン」によって紅魔館を薙ぎ払っているフランドール・スカーレットだった。
 燃えていく紅魔館。、それに右往左往するしかない妖精メイドたち。
 事の起こりがどのようなものか、紅魔館の人々には分からない。
 朝食の仕込みをしていた咲夜が分かっている事は、早朝に妹様のいまだかつてない悲鳴が聞こえ、続いて大音響、そしてしばらくして、この乱痴気騒ぎが始まったという事だけだ。
「咲夜! どうにか止められないの!?」
 消火活動をしていたパチュリーが声を上げる。
 水霊を最大限に活用しているが、流れ弾をよけながらの消火作業なので大変効率が悪そうだ。
「それは、少し難しいですね……」
 やはり流れ弾をよけながら答える咲夜。
 状況はまだ飲み込んでいないが、自分ではあの荒れ狂う弾幕に割って入れるとは思えない。

 しかし、お嬢様なら……ッ。

 そう考えてしまった直後、咲夜はその考えを捨てた。
 屋敷の危機に対処できず、主人に期待するなど愚の骨頂だ。
「何とか、やってみます」
 そう言って咲夜は一歩踏み出した。
 その時、
「待ちなさい!」
 後ろから聞きなれた声がして、咲夜は足を止めた。
「お、お嬢様!?」
 主人の声に振り返り、その瞬間に咲夜の時間は止まった。
 時を止める方の自分が止められてしまったのだ。
 
 最初に目に付いたのは猫の耳だった。
 
 それは主人の頭でピコピコと動いている。それに連動して動いているのは主人のお尻についている尻尾であり、首輪の鈴がチリンと鳴っていた。
 咲夜を制する手は、ピンクの肉球が付いた手袋に覆われている。
 それは完全なネコミミヴァンパイアな姿だった。

 分かりましたサンタさん。
 これが私へのクリスマスプレゼントなんですね。
 
 メリー・クリスマス!

 視界が赤く染まり、出血多量で意識が遠のく中、咲夜はサンタに感謝の意を捧げた。

「ちょっ! 咲夜ー!」

 突然、鼻と耳から赤い花を咲かせて倒れた咲夜を前にして、紅魔館の主レミリア・スカーレットは声を上げた。
「……レミィ、その姿は?」
 鼻からボトボトと血を流しながらパチュリーは尋ねた。
「い、いや……サンタからのプレゼントで……って、あんまりじろじろ見ないでよ!」
 そうして恥じらうレミリアの殺人的可愛さを見て、小悪魔、紅美鈴、そして妖精メイドたちは鮮血と共に倒れた。

 「な、なんと言う破壊力……ッ」

 戦いに夢中になっている二人以外では、パチュリーを除いて紅魔館の住人達は萌え死した。
 どうにか意識を保っているパチュリーにしたところで、かろうじて踏みとどまっているに過ぎない。
(だけど、これなら止められる……あの二人を止めることができるッ!)
 両手で鼻を押さえつつ、パチュリーはレミリアのもとへと進んだ。
「……く、なんて力なのッ」
 近づけば近づくほど強力になるレミリアの萌えフィールド、自然と鼻からの出血量も増え、意識が朦朧としていく。
 知らなかった……レミリアにこれほどネコミミが似合うなんて。
「パ。パチェ、だ、大丈夫!?」
 その一言で、パチュリーから、人が出してはいけないほどの鼻血が出た。この一撃で出血量は取り返しのつかない量となってしまったようだ。
 
 これ以上は無理、か。

 後は、すべてをレミリアに託すしかない。

「レミィ……この騒ぎを止めたいなら、二人に向かって×××××をしなさい」

 かすれた声ではあったが、パチュリーはどうにかレミリアに伝えた。
 それで、すべては終わるだろう。
 終焉を自分が見ることはないだろうが、それはむしろ幸いと言える。
 血が足りなくなり、これ以上意識を保っている事は困難だ。
「ちょ、は、恥かしいわよ……」
 一方パチュリーのプランを聞いたレミリアは、肉球を擦り合わせて恥じらった。
 それが目に飛び込んだ瞬間、パチュリーの視界も赤く染まった。

 ああ、神様。
 そんな追い打ちは酷過ぎる。
 でも、パチュレミ良いよね……

 自分で作った赤い水溜りの中に顔を着水させながら、パチュリーは意識を失った。

「パチェ――ッ!!!」

 レミリアが駆け寄りパチュリーを抱き起こす。
 それにパチュリーはだくだくと鼻血を流しながら「いや無理、これ以上は無理だから」と、うわ言を呟くだけだ。
 レミリアがパチュリーを介抱していると、流れ弾がかすめ背後で炸裂する。紅魔館の住人達がレミリアによって次々と倒れる中、妹紅とフランの戦いはいまだ継続していた。
 壮絶なる弾幕嵐、そこに挑めばたとえレミリアといえども無事には済まないだろう。
 だが、レミリアは荒れ狂う弾幕嵐に挑むべく、一歩足を進めた。
 友の残したダイイングメッセージ、それを信じてレミリアは、
「二人とも!」
 と、呼びかける。
「ああん?」「あによ?」
 殺気だった人間と吸血鬼は、振り向き、そして固まった。

 微妙に恥ずかしそうに腰の引けた猫耳吸血鬼の姿を見て、完全に釘付けとなったのだった。
「な、何やってるのよお姉様……」
 完全武装をした姉の姿にチラチラと盗み見るように見て、
「く……はぁ、これは」
 妹紅は片手で顔を押さえつつも、手の隙間からガン見していた。
(い、今だ!)
「にゃ、にゃーん……」
 動きの止まった二人にレミリアは、招き猫の様に手を動かし猫のまねをして見せた。
 顔を赤らめ、とても恥ずかしそうに。
 ピコピコと耳は動き、尻尾はまねくように動く。
 あらゆる点で完璧だった。

 ――それはまさに一撃必殺。

 すべては紅に染まり、猫耳吸血鬼の全てを賭した一撃によって、出血多量で、フランと妹紅は二人仲良く昏倒した。
 
 かくして幻想郷を駆け抜けたクリスマスは終焉を迎えつつあった。




「さーて、どうやって帰るかな」
 月面で青い地球を仰ぎ見る兎が一匹。
「お客さん、乗ってく?」
 そこに出てきたスキマが一人。
「幻想郷まで幾ら?」
 兎が聞くとスキマは、
「初乗り一円」
 と一言。
 高いなー、とぼやきながらも帰る手段はこれしかない。

 兎はなけなしの一円を払い、スキマに乗り込んだ。



間にあった……

12/26 誤字を少し修正。
七々原白夜
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コメント



0.2960簡易評価
3.80名前が無い程度の能力削除
白岩さんご苦労様ですww
妹紅のくだりで吹いたww
4.100名前が無い程度の能力削除
幻想のサンタクロースは最高です!
というかみんないい!
5.90名前が無い程度の能力削除
最後のおぜうさまが良かったwww
ネコミミヴァンパイアとか………
想像しただけで死ねるwww
20.90名前が無い程度の能力削除
個人的にはてゐのオチが気に入りました。
確かに昔の時代だと初乗り一円は高いですもんね。
次回作も期待しています。
22.100名前が無い程度の能力削除
紅魔館のあたりで盛大に笑わせてもらいましたw
スカーレット姉妹のプレゼントは難易度高すぎ(色んな意味で)ですね
いや、ほんとに楽しかったですw
25.100名前が無い程度の能力削除
これは面白かったww
後半部分でおもいっきし吹いたwww

>レミリアがパチュリーを開放していると
誤字変換かな? 開放→介抱
27.80名前が無い程度の能力削除
久しぶりに楽しみながら読むことのできたSSでした。
めりーくりすます!
29.無評価名前が無い程度の能力削除
>パチュリーの視界も赤く染まった
興奮しすぎて目の周りの毛細血管が破裂したんですね。
わかります。
31.90名前が無い程度の能力削除
チルノのプレゼントとか発想とか知識が何気にすげぇwww
レティさんお疲れ様でした。
32.100煉獄削除
チルノの無邪気さが幻想郷にクリスマスを呼び込むことになるとは。
でも、それがチルノの可愛いところですよね。
レティ、お疲れ様。

お・・・おうっふ!?
お、お嬢様……そのような格好をされては私は…私はぁ……ッ!
このネコミミお嬢様は私にとってもプレゼントです!
ああ、だめだ……お嬢様を想像したら笑みが止まらない……。
だれか・・・だれか助けて。
33.90名前が無い程度の能力削除
お疲レティ
やや誤字多目だったけど面白かったです!
34.100名前が無い程度の能力削除
そーなのかー3点セットが、無性にほしいww
42.90名前が無い程度の能力削除
オチのてゐ、いいなぁ。
50.100名前が無い程度の能力削除
ヒャッハァでヒャッハァすぎるほどにヒャッハァでした!
テンポのいい文章にとても引き込まれました。
51.80名前が無い程度の能力削除
これはなかなか
52.90名前が無い程度の能力削除
キャラがみんな人間味にあふれていて良かったです。
幻想郷にクリスマスが広まってゆく様も、見事に描写されていましたね。
そして最後のてゐが、達観していてとても素敵だなと思います。
54.100名前が無い程度の能力削除
マジカオスwwwwwwww
ねこみみれみりゃはジャスティスッッッ!!!
62.90名前が無い程度の能力削除
ねこ耳カリスマス・・・。あ、ちがった、
ねこみ(ry

ええ、萌え殺されましたとも・・・。ええ。
63.100名前が無い程度の能力削除
おつかれてぃ!何だかんだと言いつつもサンタの代行者を果たしたその優しさと行動力に敬服。
ところで、ねこみみお嬢様のイラスト化はマダデスカ?

とても面白かったです。最高の聖夜をありがとう!
68.90Admiral削除
レティこそカリスマサンタですね!
73.100名前が無い程度の能力削除
オチのしみじみと言うか、まどろみ感と言うか、喪失感と言うか、郷愁にかられる感じがなんか素晴らしく、且つ笑えました
80.100名前が無い程度の能力削除
いいレティだったぜ……
81.100鮮血削除
とりあえず自分で煙突を増設していたチルノはすごいと思わないか?