Coolier - 新生・東方創想話

小悪魔は見たんですよ。

2008/12/16 03:23:48
最終更新
サイズ
10.78KB
ページ数
1
閲覧数
1044
評価数
21/64
POINT
3340
Rate
10.35

分類タグ


 なにをですって? おやおや興味がおありですか。
 単純に言うと淫靡な場面です。
 おや、ますます興味がおありのようで……ひひ。
 では少しだけ説明しましょう。
 わたしが勤めている紅魔館には美麗で長身なメイド長、十六夜咲夜さんと、未成熟な美貌を持ちながらその実、暴君であられるレミリア・スカーレット様がいらっしゃいます。
 まず咲夜さんの印象を一言で表すとすると、そうですね、鋭利な刃物のような感覚です。
 刃物に限らず、人を殺傷する兵器及び凶器の類はできうる限り合理化されているものでして、そういうソフィスティケイトされた部分がとても美しいと感じることがあるものです。戦闘機やら戦闘機械を美しいと感じるのはそのためなのですよ。
 そして、咲夜さんはまさに細長いナイフのような感じの人です。刃先のような鋭い視線を浴びると並の人間は恐怖に身がすくむと同時に、甘き死を感じてしまうのではないでしょうかね。
 死は本来的に甘いものですから当然です。みんな死にたがりなのを隠して生きています。



 さて次に、レミリア様のほうはどのようなお方かというと、幼くも聡明な智謀を持ち、暴力をかわいい外貌でくるんだようなお方です。そのロリコンホイホイな容姿と暴力的な艶美さがレミリア様の最大の魅力でしょうね。カリスマってやつですか。
 ところで、そのお二方。
 咲夜さんはレミリア様の付き人でございますから、二人の距離は当然近いものです。
 どのくらい近いかというとですね。そうですね。地球と火星ぐらいは近いんじゃないでしょうかね。
 ふふ。星は近く遠い、です。
 まあ人間どうしの心なんてどの程度の距離があるのか――
 離れているのかそれとも遠いのかわかったものじゃございませんし、正直なところそんなことは他人にとってはどうでもよい話でしょう。
 ですが、肉体の戯れには関心がある。
 肌と肌がこすれあうことには興味がある。
 それもまた人間のサガですね。
 性と書いてサガと呼びますし、性的な戯れについて人間は決して目をそらすことができないのですよ。
 まず頬の筋肉が微妙に吊りあがります。
 そして視線です。
 いやらしいねっとりとした視線が蛇のように少女の肉体を視姦するのです。
 この視線――直接的な暴力よりも、実際はもっと暴力的なのではないでしょうかね。人間の感覚器は視覚によるところが大きいですし、視られることに気づいていなくても筋肉はなぜか緊張してしまうそうですよ。視線を感じるというのは、それほど強い力なのです。
 脱線してしまいましたか。すみませんねぇ。
 わたしの直接の上司であらせられるパチュリー様には、よくよくあなたの話は冗長だから三行で話しなさいとかいわれるんですよ。
 もちろん三行で話しますけどね、一行あたり千文字程度で。ひひ。まあ、くだらぬ話をどうか聞いてやってくださいよ。
 力を持たない微弱な生物であるわたしにとっては、話をすること、コミュニケーションをすることが一等大事なのです。
 


 話を先に進めましょう。
 視線の話でしたか?
 それとも性の話でしたか。
 はいはい、お二方が何をしていたか、それにもっとも興味がおありのようで……。
 ふふ。ですが、なんといえばいいのか。
 わたしは紅魔館においては完全な下っ端でしてね、咲夜さんとレミリア様の秘め事をバラして生き残れる道理がありません。ですから、あなた様にこっそり教えるのも恐ろしいことなのですよ。冗談ではなく生命がかかっていることなのです。
 レミリア様は運命を操る吸血鬼です。吸血鬼は速さと力に優れた種族であり、膨大な魔力をその身に秘めております。もしもその魔力を解放すれば、わたしなんぞは一瞬で消し飛ばされてしまうでしょう。咲夜さんのほうは脆弱な人間様の一員のようですが、あの人はあの人でチートというか裏技というか、時を止める能力を有しております。
 普通、四次元的な空間において時間を止めようとすると慣性が無限大になってその場から一歩も動けないはずなのですが、なぜか彼女は動けます。そうですね、たぶん咲夜さんは同じ時を小刻みに繰り返しているのでしょう。正確に言えば線分の時間を作り出す能力なのではないですかね?
 まあ、それこそどうでもいい話です。
 能力なんて、結局は理をはずれたところにある。そして世の中というものは理不尽のカタマリのようなものですからね。
 わからないことを飲みこむことこそがすべての生命体に求められていることなのですよ。
 もちろん、あなたにも、ね。
 ですから、そういった次第で、わたしはじぶんが見てきた淫靡な場面について、語ることができません。
 語るとわたしは消されてしまうことは確実でして、わたしもまだまだ死にたくないのです。
 こう見えてまだ処女なのですよ。わたし。くくく。
 ただ、あなたがどうしてもというのなら、あるいはどうしても知りたいというのなら、それはそれでしかたありませんよね。
 わかりますとも、その気持ち。
 わたしもパチュリー様のお洋服の中身が知りたくてたまりませんから。
 そのように、個人が欲望に素直になるということは常識的には眉をひそめられて当然のことですが、ほんのちょっと考えを推し進めれば、実際のところはきわめて良いことなのですよ。
 なぜならドラマからの逸脱だからです。
 つまり、自由だからです。
 わからないという顔をなされていますね。
 今、ここにいる人間たちのほとんど九十九パーセントは、不自由を不自由とも思わずに暮らしています。
 なぜか。
 ゴミを拾うことも誰かに見られていないとすることができないほどに、人間はおのおのがおのおののドラマを演じているからです。幻想郷の平和というのも偽りのドラマであるといえますし、そんなユートピアのようなデストピアの中で、それぞれが希釈化された悪を分担しているのです。
 本来、悪はもっと純粋なものでした。
 カインがアベルを殺したときの純粋悪に比べると、人間はどれほど悪を忘れて悪を自動的になすことができるようになってきたのでしょうね。現代にいたり悪はずいぶんと機械化されています。それはボタンの形をしていることが多く。例えば銃器のボタン。例えば核兵器のボタン。あるいはクリック一つで小さな世界は破壊可能でしょう。
 思いますに、こういった自動的な悪は輝かしい意志のきらめきとは対極に位置しています。
 そこには腐臭がなく、そこには綺麗にパッケージ化され、表の面には『悪 498円』と書かれてあるのです。これは確かに綺麗ではありますが、去勢されている犬のようなものです。生々しい肉のうねりと、猛々しい野生の咆哮こそが今の時代にこそ求められるものではないですか。
 そうするとですよ。
 ジグザグにかけられた少女のボタンを、強引にもぎとることは、これはこれで、純粋な悪の体現であり、人間の機械化への抵抗なのです。
 納得してもらえましたか。
 ええ、端的に申しますと、ここで言う少女とはレミリア様のことを指します。
 そしてもぎとったのは咲夜さんなのですよ。
 どうして知っているのか? 確かにそういう秘め事をわたしごときが知るということ自体がすこしおかしな話ではありますね。
 ですが、このこと自体はたいしたことではないのです。事は実は――公の場でおこなわれたのですよ。
 咲夜さんがレミリア様の服に手をかけたのは、食堂でした。そこにはお付きのメイド妖精たちが何人かいます。そんな場所で、咲夜さんの手が伸びたのです。
 焦らしている?
 そんなふうに見えますか。
 まあ、そんなふうに言ってるんですけどね。
 ええ。あなたが予想なされたとおり、このこと自体は別に淫靡ではありません。ボタンがほつれていたのです。ですから、そのほつれたボタンだけを咲夜さんはお取りになった。それだけのことです。完全で瀟洒な咲夜さんはわりと完璧主義者でもありましてね、たとえば白いシーツに一点でも紅い染みがついていれば、すぐに取り替えます。そういう精神性を持つお方ですから、糸のほつれたボタンをつけているぐらいなら、その完璧でないボタンを取り去ったほうがまだマシだと考えたのでしょう。
 もちろん暫定的処置です。どこまでも完璧で綺麗な空間を求めている咲夜さんにしてみれば、レミリア様のお洋服の欠缺を見過ごせるはずもありません。お食事の最中はともかくとして、すぐに咲夜さんは着替えるようにレミリア様に申しむけたのです。
 レミリア様は最初は抵抗なさっておいでのようでした。
 たかだかボタン一個で服を着替えるのが面倒。確かにそのとおりでして、レミリア様のお背中にはこうもり羽がついていらっしゃるので、服を脱いだり着たりするのは、わりと大変なことなのですよ。それでも咲夜さんは頑として譲りません。
 結局、折れたのはレミリア様のほうです。
 そして二人は連れ立って、レミリア様の部屋へと向かったのです。
 なぜかお姫様抱っこでしたねー。



 ふぅ。話し疲れました。
 人間の里に来るのはけっこう久しぶりでしてね。
 体力的にはそれほど問題ないのですが、やはり自分のテリトリー外のところに来るのは精神的に疲れるものですねえ。
 びみょーに寂れた茶屋で休まないと、とてもじゃないとやってられません。
 まあ、あなたのようなお方に出会えることもあるので、うれしいのですがね。
 まるきゅーさんでしたか? え、違う? あ き ゅ う ?
 あきゅうさんですか。どういう字なのかは存じませんし、覚える気もありませんが、まあ――同じようなものでしょう。
 すべては一期一会の精神です。あなたのことがわたしは少し好きになってしまいました。
 だからこうしてお話しているのですよ。
 わたしも含めた人間ってやつは、本当にきわめてどうでもいいことをどうでもいいふうに語っていることって多いですよね。なぜなのでしょう。
 こうした語らい自体が目的になっているのでしょうか。
 つまり、楽しいのは会話をしている時間です。
 そして、そこで伝達される『お話』自体はそんなに重要ではないのでしょう。
 人間は便箋に金粉が塗ってあれば、その手紙の内容が借金の取立てであろうと美文であると錯覚してしまうものですし、仮にこれ以上ない美文であろうとも、トイレットペーパーに書かれてあったら、お手洗いのあとの用に供されます。
 さて、これでわたしの話はおしまいです。
 そんな寂しそうな顔をしないでください。
 もちろん結末は明らかになります。
 ただ先ほども申し上げましたとおり、どこで誰かが聞いているかわからない状況ですし、わたしが話しているのを聞かれでもしたら、文字通りの意味でわたしの首が飛びます。ごろごろと転がった生首を見たら、あなたも寝覚めが悪いでしょう?
 だから、こっそり。
 こっそり教えましょう。
 ここに、幻視の魔術をかけておきますかね。
 わたしの使える魔法は大弾をくす球代わりに使うとか、クナイをなんとはなしに投げてみるとかしかないのですが、実はもうひとつだけ特技があるのです。脈絡なく誰かの目の前に現れたりもできるのですよ。それを応用すると、一見すると見えないという魔術を使えたりするわけです。
 具体的には――
 これです。
 お茶受けとして頼んだ、きな粉が少し残っているでしょう。
 これを、こうして――テーブルの上に振りかけておく。
 あとはあなたがテーブルの上を舐めるように、そっとこすれば、真実が明らかになる。わたしがいなくなったあとであなたがこっそり見れば、わたしの危険率はぐっと下がります。それでいてあなたはあなたの目的を達成できるというわけです。こんなことをするのはわたしにとっては益がないところですし、純粋に友愛の情の証ですよ。あなたのことが好きになったからこういうことをするのです。
 と、まぁ――あまり言い過ぎても真実味はなくなるのでしょうが、ともかく。
 そういう趣向です。
 べつにこれは単なる小話であって、小説ですらないのですから、まあ見たっておもしろくはないでしょうけれど、淫靡なことはこっそり鑑賞するに限りますからねー。もちろん読むも読まないもあなたの自由ですよ。エロエロですからね。もしかするとどこぞの妖怪さんに『規制』を喰らうレベルかもしれません。正直ひやひやしておりますよ。

 

 ひひひ。では、そろそろ失礼します。






===============================================================





やあ ^^(´・ω・`)^^

ようこそ、小悪魔ハウスへ。

この抹茶ミルクはサービスだから、まず飲んで落ち着いて欲しい。



うん、「また」なんだ。済まない。

ババァの顔もって言うしね、謝って許してもらおうとも思っていない。



でも、このテーブルを見たとき、君は、きっと言葉では言い表せない

「ときめき」みたいなものを感じてくれたと思う。

殺伐とした世の中で、そういう気持ちを忘れないで欲しい

そう思って、この幻術を作ったんだ。



じゃあ、またお会いしましょうか。






===============================================================
簡易評価

点数のボタンをクリックしコメントなしで評価します。

コメント



0.1630簡易評価
4.90名前が無い程度の能力削除
ふむ、甘さの中に潜む渋みが絶妙の抹茶ミルクだな
マスターおかわりを頼めるかい?

こ ん ち く し ょ う wwwwwwww
5.80名前が無い程度の能力削除
ゆるせねぇ。
そこの陰でひひwと意地が悪そうに笑っている小悪魔。
そんな楽しそうな彼女を想像したら騙された憤りが一瞬にして霧散してしまう。
そんな単純な自分が何よりも許せねぇ。
9.70マイマイ削除
わ、わかっちゃいたんだ。わかっちゃいたんだ!!
でも……。でも、そうだろ!? もしかしたらって思うのが男の悲しい性だろ!?
11.40名前が無い程度の能力削除
はあ……、伏字の前までは良かったのに、どうしてこんなことを書くかね。
あれで終わってたら面白い作品として受け入れられたのに残念ですよ。
あとあの絵文字も良くない。
内容は面白かったですけど最後でマイナスまで冷えてしまった。
15.100名前が無い程度の能力削除
マスターバーボンを1杯くれるかな?(´・ω・`)
17.100名前が無い程度の能力削除
抹茶ミルクうめぇwww
…ほろ苦いぜ(´;ω;`)
19.90名前が無い程度の能力削除
バーボンwwww
この小悪魔のキャラが気に入ったwwww
22.100名前が無い程度の能力削除
>>11
バーボンハウスという伝統があってだね

しかし元ネタ知らないといらっと来る人もいるのかな
自分はネット媒体における独自の表現はあってマイナスになる物とは感じませんが
とにかく小悪魔がやっぱり小悪魔
25.70Admiral削除
お美事!お美事にございまする!
絶妙なこのお話に、絶妙な点数を。

ところで、次回作ではこの小悪魔らしい小悪魔の処女性について、
詳しく書き連ねていただけるモノと信じております。
こあー。
27.90名前が無い程度の能力削除
やっぱり小悪魔はこういうんだよねーwww

いるよねー、11みたいな救いようのないKY
30.無評価まるきゅー@書いた人削除
おゆるしを。どうかおゆるしを。

これはまるきゅーの信念に近いものでございますが、読み手は公序良俗に反しない限り何を言ってもいいし、まるきゅーはいただいた言葉をすべて受け入れるつもりでございます。
今回の場合、ネタに走る作品が誰かしらに不快の念を与える可能性はありますし、他方で楽しんで下さる方もいることを知っています。
たぶんすべての文章がそうなのでしょう。
だからどうでもいいというわけではなく、少なくとも発信者である書き手は最初の一石を投じたものとして、読み手の感情を咀嚼する用意ができてなければと思っています。
またそうしようというのが、まるきゅーの信念です。
もちろん咀嚼するというのは全部ぺこぺこと謝るということではなくて、真摯に考え、そして自分なりの結論を出すということです。その結論をなんらかの形にしていけたらと思っています。

ゆっくり楽しんでってね。
31.100名前が無い程度の能力削除
ほんとにもうあんたの小悪魔大好きだよ。
これだけで全然読む価値がある。
紅魔館だけに居ないで、永遠亭やら白玉楼やらに
ぱっちぇさんのお使いで本を取りに行かせたりしてくれよ。
33.無評価名前が無い程度の能力削除
なんでバーボン消しちゃったんですか?
良かったのに
34.無評価名前が無い程度の能力削除
なんでバーボン消しちゃったんですか?
良かったのに
37.無評価名前が無い程度の能力削除
ヒント:反転
38.10名前が無い程度の能力削除
つまり携帯から見てるやつは滅びろということですね。わかります。
普通にオチ見れないんだが
39.100名前ガの兎削除
バーボンと聞いて釣られに来ました
ってなんだこの釣堀www
41.100名前が無い程度の能力削除
ガキとかおおうざいうざい
43.無評価まるきゅー@描いた人削除
オチ用に描いてみました。
だめなんです。物が歪んで見える。携帯サイズちっちゃ。画像つぶれまくり。
というかそれ以前に下手すぎる。フヒヒ。
しかし、これがまるきゅーに考えうる最も有効な手でした。
もともと携帯の人は滅びろとは思ってませんけども想定外ではありました。うにゅーん。
あとがきにリンク。こっちではリンクタグが効かないようですね。
助けてママン。
44.80三文字削除
バーボンもそうなんだが、あれだ。
>こう見えてまだ処女なのですよ。わたし。くくく。
ここに反応した俺は、自分が正常だと信じているよ。
あと、悪の講釈の所に感動しました。
目から鱗玉が……
46.70名前が無い程度の能力削除
ババァが誰のことなのか詳しく
47.90名前が無い程度の能力削除
小悪魔はエロエロな処女と・・・
フヒヒww
50.無評価まるきゅー@書いた人削除
>44氏
くくく……

>46氏
もし答えればまるきゅーはスキマ送りという罠ですね、わかります。
答えはあなたの心の中にある。

>47氏
貴様、いやらしいことを考えてるな!?
52.80名前が無い程度の能力削除
つまりあっきゅんはエロエロという事ですね、よくわかりました
53.無評価まるきゅー@書き手削除
エロエロなのは実は聞き耳を立てていたお客さんAさんでもいいかも。
62.80名前が無い程度の能力削除
はいはいバーボンバーボン。
いや、最初からわかってたし。期待とかしてなかったし。ぜ、全然悔しくなんかないし。

それはともかく、いい小悪魔でした。
67.90名前が無い程度の能力削除
wwwバーボンの顔文字あれ小悪魔かwww
どんなオチかとは思ってましたがバーボンとはwwwこれ大好きww

携帯で見てる人は云々とかありますが、そもそも携帯でそそわ開けすらしない自分からすれば読めるだけ僥倖
71.80Na削除
この小悪魔が好きで読みに来てます。非常にいやらしい!!