Coolier - 新生・東方創想話

笑顔を失った亡霊 笑顔を取り戻したい妖怪

2008/12/04 20:03:34
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静かに漂う線香の煙。

静まり返る白玉楼。

元々音一つない冥界だけれど、今日は何時もに増して、静かである。

今日の白玉楼は、決して何時もの何処か賑やかな姿を取り戻す事はないだろう。


「幽々子…。」


私の隣で、ずっと押し黙り続ける親友。

一言も話さず、ただただ私達の正面で、静かに眠る者を見つめ続けている。

ずっと幽々子に仕えていた、幽々子にとって最も大切な存在。

長きに渡って幽々子の元で生き、幽々子のために生き、幽々子を愛した存在。


「…泣いても、いいのよ?」


ずっと黙り続ける友に、私はそう語りかける。

苦しそうな幽々子の姿を見ているのが、たまらなく辛かったから。

思いっきり泣いて、少しでも気分を和らげて欲しい。

幽々子に泣いてもらえるならば、あの子だってきっと嬉しいと思う。


「…駄目よ、紫。私は…泣かないわ…。」


幽々子の口から、消え入りそうな声が漏れる。

今にも泣き出しそうな声をしているのに、幽々子は泣こうとしない。

目に涙を浮かべているのに、その涙を落とそうとしない。


「我慢しなくていいのよ…?」


だけど、私はそう言い続ける。

辛いなら、泣いてしまえばいい。強がる事に意味なんてない。

誰かの事を思って流す涙が、悪いはずがない。その涙は、誇るべき物。


「…駄目…。…駄目よ、それが…それが…。」


…ううん、幽々子。それは違う。

あの子が最期に残したのは、お別れまで泣かないで欲しいと言う事。

あなたはもう、泣いていいのよ。


「…幽々子…。」


…私は、幽々子を静かに抱きしめる。


「…私が、隠しておいてあげるから…。…泣きなさい…。」


そこで眠るあの子に見られたくないなら、私が隠してあげるから…。


「紫…、…ううっ…。」


私の服を、ぎゅっと握り締める幽々子。

そう、それでいいのよ。あの子があなたを愛したように、あなたもあの子を愛していたのよね。

その涙は、思いは、きっとあの子に届くはずよ。


「ううっ…!!うああああぁぁぁ…!!うわあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


静まり返った白玉楼に響く、幽々子の泣き声。

こんな幽々子の姿は、きっと一番長く幽々子の傍にいるであろう私でも、初めて見る事だった。

それだけ、あの子の存在は幽々子にとって大きかった。

誰よりも死と縁遠く、誰よりも死に近い存在。それが冥界の姫、西行寺幽々子。

だからこそ、大切な人の死と言うのが、何よりも辛かったんだろう…。


「妖夢!!妖夢!!妖夢ううううううううぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!」


魂魄妖夢。幽々子に仕えた、魂魄家最後の1人(・・・・・)

彼女はたった今、この白玉楼で、その命の火を消した。

人間よりも長い寿命だとは言え、半分は人間。何時かはこんな日が来るとは、判っていたはずなんだけどね…。


「妖夢…。」


私の胸で泣き続ける幽々子を抱きしめながら、私は天を仰ぐ。

妖夢、あなたも遂に逝ってしまったのね…。

霊夢、早苗、咲夜、魔理沙、霖之助、そしてあなた…。

…これで、私が一番思い出に残る時代、その時を共に生きた、人間の血を引く者は全員いなくなってしまった…。

…なんで、みんな私よりも先に逝ってしまうのよ…。

なんで、こんな何時までも生きてる私を差し置いて、先に死んでしまうのよ…。


「…ううっ…!!」


なんで、なんでみんな私を置いて逝くのよ…。

私の事を、年寄りだって馬鹿にしてた事もあったくせに…。

自分達の方が先にいなくなってるじゃないのよ…馬鹿…!!


「うわあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


私も、泣いた。

幽々子と一緒に、涙が枯れるまで泣いた。

幾ら泣いたって、死んだあの子達が帰ってくるわけじゃないけれど。

今はあの子達への思いを、涙と共に吐き出し続ける事にする。


私だって妖夢の事が、あの子達の事が、大好きだったから…。





…これは、そんな悲しい妖夢の死から10年ほど経った、とある春の日の話…。





 * * * * * *





「ゆ~か~り~さ~ま~!!さっさと起きてください~!!」

うるさいわねぇ、眠いんだからもうちょっと寝かせなさいよ、5年くらい。

「5年も寝る奴がありますか!!5分くらいならともかく!!」

「ああそう、じゃああと5分ね。」

「駄・目・で・す!!」

布団を剥ぎ取られる。ううっ、春先とはいえ布団なしだと寒くて寝れないわね…。
判ったわよ、起きればいいんでしょう起きれば。

「全く、藍はいつまで経っても変わらないわねぇ…。」

昔に比べて若干強気に突っかかってくるところを除けば、藍は昔とあまり変わっていない。
まあ、別に変わって欲しいとも思わないけど、人の安眠を妨害するのだけはやめて欲しい。

「えーえーそうでしょうとも、紫様がお変わりになられなければ私は何時までもこうでしょうよ。」

こうして正面切って皮肉を言ってくることくらいね、変わった事と言えば。
昔に比べて妖力が強くなったから自信が付いたのかしら?まあまだ私には程遠いけれど。

「そんなんだから、いつまで経っても橙が甘えんぼなんじゃないかしら?」

「その原因を作っている紫様に言われたくはないです。」

結局のところ、マヨヒガは霊夢達と深く関わりを持った数百年前と殆ど変わっていない。
藍が何時もどおりなのは先の通り、橙も幾分か大人にはなったとは言え、まだまだ子供。
私が変わらなければ藍も変わらないし、藍が変わらなければ橙も変わらない。
ああ、そう言えば成長して尻尾が立派になって、もふり甲斐があるようになったわね。
紅魔館の永遠に幼い月は永遠に幼い月のままだし、妖怪は長生きな分成長し姿が変わるのも遅いから、不思議ではないのだけどね。

「そうねぇ。まあ、何時までも変わらないのも一興じゃない?私が数百年姿をこのままでいるのも珍しいと思わない?」

「それはそうですね、ですが紫様は最近寝すぎだし以前に増して働かないし…!!」

ぐちぐち文句ばかり言う藍。だって最近は特に眠いんだから仕方ないじゃない。
それに結界の修復を任せてるのだって昔からじゃない。今更文句言わないで欲しいわね。

「…結局、紫様はあの時のままでいたいだけなのでしょう?」

…藍の言葉が、少しだけ胸を刺す。そうね、そうかもしれないわね。
今の博麗神社の巫女も嫌いではないし、あの時と大分変わった幻想郷の今を、私は受け入れなくちゃいけないのだろうけど…。
何百年経とうと、私はあの時の霊夢たちが大好き。
時に異変を起こし、時に異変を解決し、一緒に大空を飛び回った霊夢たちの事を、私は今でも忘れられない。
だから、私は何時までもあの時のままでいたい。私の一番の思い出として残る、あの時のままで…。

「姿は若いままだからって、中身はあれなんですから無理しないでください。」

「藍、空気読まないとそろそろ本気で怒るわよ?」

人が思い出に耽っている時に余計な事を…。
空気を読まないところも昔からちっとも変わってないんだから。

…それにしても、あの子達は如何なんだろう。
今はもう、新しい人間として新たな人生を歩んでいるのだろうか…。
ひょっとしたら、生まれ変わった霊夢や魔理沙は、幻想郷にいるのかもしれないけど…。
…夢物語ね、そんなの。あるはずがないわ。ああもう、そんな考えは止め止め。

「とにかく、食事が出来てますから冷めないうちに食べてください。」

はいはい判りました。私はゆっくりと立ち上がり、着替えるのも面倒なので寝巻きのまま居間に向かう。
居間のテーブルの上には、完成されたばかりの朝食が2人分。

「あら?橙の分は作ってあげなかったの?」

「もうとっくに出かけましたよ。今何時だと思ってるんですか。」

午後の3時ね、まだまだ朝じゃない。

「はぁ、どうして何千年経っても朝昼夜が一個ずつずれてるんだか…。」

ため息交じりに食卓につく藍。
…ああ、そう言えば2人分だから、藍は今まで食事を取らずに待っていてくれたのかしら?
何だかんだと文句をつけつつ、やる事に優しさが篭もってるのも変わらないわね。

「それじゃ、いただきます。」

藍の優しさに感謝しつつ、私は箸を取った。










「…で、紫様。」

食事の途中、不意に藍が私の名を呼ぶ。
普段は食事中に話す事はあまりしないのに、どう言う風の吹き回しかしら?
私が食事しながら新聞読んでるだけでも「行儀が悪い」とか言ってくるくせに。

「…幽々子様は、どうされてるんですか?」

箸を持っていた私の手が止まる。

「…相変わらずよ。生きてるような気がしないわ。」

いやまあ、最初から生きてはいないけどね。
10年ほど前に妖夢が死んで以来、私は幽々子に殆ど逢っていない。
何度も白玉楼には足を運んでいるのだけれど、大体は部屋に閉じこもってしまっている。
勿論、最初は幽々子がそれほどまで落ち込んでいると言うのは判っていたし、あまり世話を焼く事もしなかった。

もうあれから10年。いい加減に幽々子には立ち直って欲しい。
確かに、妖怪にとっての10年なんてほんの僅かなものだけれど…。
あの子の事を忘れろだなんて言わない。ただ、何時までも塞ぎ込んで欲しくないだけ。

だのに幽々子は、お酒に誘った時は確実に断ってくる。
それに例え、話をしてくれる時もろくな会話にならない事が多い。
幽々子があまりに話を聞かないのと、その沈んだ心のせいで長く一緒にいるのが憚れるから。
全く逢ってくれないよりは遥かにましだけどね。

勿論部屋に閉じこもっていても、その気になればスキマを開いて無理やり外に引っ張り出す事は出来るけれど…。
…妖夢を失って悲しいのは、幽々子だけではない。私もだった。
幽々子の気持ちが痛いほど判るから、結局何とも言えずに私も引き下がってしまうのが、今の現状。

「本当、どうすればいいのかしらね…。」

私の頭脳をもってしても、その答えは導き出せない。
今の関係を続けて自然に幽々子が立ち直るのを待つか、強引にでも幽々子と話し合うべきなのか…。

「幽々子様の気持ちも判りますが、お陰で彼岸も大変らしいですよ。
 幽々子様がああして塞ぎ込んで以来、魂の管理が疎かになって、転生出来ずにそのまま冥界に居座る霊も…。」

「藍。」

…少しだけ、口調を強く藍の言葉を制する。

「…申し訳ありません、不謹慎でした…。」

全く、真面目なのも考え物ね。こんな時までそんな話をするなんて。
でも、確かにそれもそうなのよね…。
少し前に白玉楼に行った時、同じような用件で白玉楼を訪ねていた閻魔から、そんな話を聞いた。
曰く「白玉楼で霊の管理が出来てないから、転生可能な霊を判別できない」らしい。

白玉楼は転生前の霊が集まる場所。しかし、その中でも転生が可能だったりそうでなかったりする霊はいるらしい。
だけど今はそれが判別出来ないために、霊が溜まる一方で減らないみたいだ。
今はまだ大した影響は出ないけれど、放っておけば何れ、顕界にまで霊があふれ出すかもしれないわね。
勿論、そうなるまでには少なくとも60年は掛かるだろうから、その間に幽々子が立ち直ればいいだけの話なんだけど…。

「やっぱり、そろそろ強引にでも引っ張り出すべきなのかしらねぇ…。」

私は白玉楼で数回だけ見た、此処10年ほどの幽々子の姿を思い出す。
…それはまさに、本物の亡霊のようだった。
いささかの生気も感じられない、死人のようにやつれた幽々子の顔…。
亡霊なんだから痩せたり太ったりする事は無いはずなのに、だ。

何より、私はここ10年で幽々子の笑顔を一度も見ていない。
普段何があったって動じず、ちょっとした事でもすぐに笑顔を見せて場を和ませる幽々子が、ここ10年一度も笑っていない。
…それがどれだけ深刻な事なのかは、何千年と幽々子と一緒に生きてきた私が一番良く理解している。

あんな生きた屍みたいな幽々子、見ていたくない。
昔のように天真爛漫に…とまでは言わなくても、せめて普通に私と酒を酌み交わすくらいには戻って欲しい。
戻って欲しい、のだけれど…。

「幽々子様の気持ちを考えると、そうも行きませんよ。
 無理に連れ出そうとすれば、幽々子様に相当嫌われるかもしれませんからね。」

そう、一番の問題はそれ。私は幽々子に嫌われたくない。
千年以上友達でいる幽々子と、今更になって縁を切りたくはない。
勿論千年も友達でいれば、多少無理をしたって嫌われる事はないと思うけど…。
でももしかしたら、と思うとどうしても強気になれない私が、今此処にいる。
本当、どうすればいいのかしら…。

「…とにかく、食べ終わったら白玉楼に行ってくるわね。」

「でしたら、妖夢に花を持って行ってくれませんか?丁度庭の花達が開いたところですし。」

あらそう、それは妖夢も喜ぶかもしれないわね。
そうと決まれば、私は早急に食事を済ませ、着替えるために一旦部屋へと戻る。

今日こそ、幽々子の心を取り戻せればいいなと思う。
何か切欠さえあればいいのだけれど…。
結局その切欠が見つからないまま、10年も経ってしまったのか…。

今日こそ何とか、その思いを胸に、私は藍から花束を預かって、白玉楼へのスキマを開いた。





 * * * * * *





相変わらず、白玉楼は静かだった。
妖夢が死んでからというもの、冥界で言葉を発する事が出来るのは、幽々子一人となってしまった。
静かになるのも当然だ。此処を訪れる者は、基本的には私や閻魔、そして騒霊達くらいだから。

「幽々子、いるかしら?」

幽々子の部屋の前で、私はそう呼びかける。
先ほどちょっと見回してみたけど、外には出ていなかったみたいだから、たぶん部屋にいると思うのだけれど…。

…思ったのだけれど、中から返答はいつまで経っても帰ってこなかった。

「…変ね、幽々子。」

もう一度呼んでみるけれど、やっぱり返事は返ってこない。
うーん、亡霊だから万一にも中で病気か何かで倒れてる、って事はないだろうけど…。
やっぱり心配になってきたので、私は小さなスキマを開けて、幽々子の部屋の中を覗き見ることにする。
ばれたら後で色々大変だっただろうけれど、幸いどうやってもばれるような事はなかっただろう。
何せ、幽々子は部屋の中にはいなかったから。

おかしいわね、さっき白玉楼の中はある程度見回ったのだけれど…。
今の幽々子が、まさか自分から顕界に遊びに行くとも思えないし…。

「…となると…。」

一つ心当たりがあるので、と言うか如何考えても其処しか有り得なかったので、私は今一度大きくスキマを開く。
案の定、スキマの先には幽々子の姿が確認出来た。


…これは、私に訪れたチャンスなのかしらね…。
其処にいるならば、幽々子に声を掛けても逃げられたりする事はないわよね。
幽々子とよく話し合う、チャンスかもしれない。
元々其処に行く用事があった事だし、私はスキマを越えて、幽々子の背後に静かに降り立った。


「幽々子、此処にいたのね。」


声を掛けると、私に背を向けてしゃがみこんでいた幽々子の肩がびくりと跳ねる。

「ゆ、紫…?」

「…引き篭もりのあなたが部屋にいないなら、此処しか考えられないから…。」

桜舞い散る、西行妖が聳える冥界の庭。
その西行妖から一番近い桜の木の根元、其処に幽々子はいた。
…その桜の木の下には、妖夢が眠っているから。

西行妖から一番近い桜の木、其処に妖夢を眠らせようと提案したのはこの私。
幽々子は知らないけれど、西行妖の下には幽々子の生前の身体が未だ眠っている。
その一番近くの木の下、即ち幽々子の一番近い場所に、妖夢を眠らせてあげよう。
何時までも、妖夢が幽々子の傍にいられるように、と…。

「紫、その花は…。」

か細い声で、幽々子は私が抱えた花束を見る。
藍が生けてくれた、色とりどりの花。藍が今まで生けた花の中でも、これは最高の出来栄えだと思う。

「藍からの手向けよ。妖夢にって。」

私も幽々子の隣に座り、妖夢の墓にその花束を手向ける。
手を合わせ、静かに妖夢に向かって祈りを捧げた。

「ありがとう、紫、藍ちゃん。きっと妖夢も喜んでるわ。」

今にも泣き出しそうな虚ろな目で、幽々子も妖夢の墓に向かって手を合わせる。
本当に、あの子が喜んでくれれば私も嬉しいわ。

「そう言えば、プリズムリバーの子達も後で来るらしいわ。」

あらそう?あのお騒がせちんどん屋達が?
そう言えば、あの姉妹も妖夢と仲が良かったっけ。
特に長女ルナサが、妖夢と同じ苦労人だったせいか親しい仲だった。
宴会の後片付けなどを妖夢とルナサが何処か呆れた表情で一緒にしているのを、何度も目にした記憶がある。

因みにそんな関わりでか、私とプリズムリバー姉妹も今ではかなり仲がいい。
個人的に彼女達を呼ぶ事はないけど、白玉楼でプリズムリバー演奏するというときは大概顔を出すようにしている。
ルナサが妖夢と同じく真面目だから、妖夢と一緒にからかって遊ぶのも面白かったわね…。

…そんな有り日の事を頭に思い浮かべると、涙が出そうになってきた。
もう妖夢も、そして霊夢達も、もうこの世にはいないんだ…。

「…もうあれから、10年も経ったのよね…。」

スキマに手を入れて線香を取り出し、火をつける。
私達が一番大好きだったあの時代の、人間の血を引く者たちがいなくなって、もう10年か。
私が生きた時間で考えればほんの僅かなのに、どうしてこの10年はこんなに長く感じるのだろう…。

「そうね、あっという間に10年も経ったのね…。」

天を仰ぐ幽々子。
その姿が、今の生気を感じられない姿と合わさって、とても儚く…。
…不謹慎な言い方かもしれないけれど、とても美しかった。

「幽々子。」

静かに、私は幽々子へと声を掛ける。

「…辛い?」

そう問うと、幽々子は静かに微笑を浮かべて、妖夢の墓へと目線を移す。

「…ええ、辛いわ。妖夢の前でこんな事、言うものじゃないかもしれないけどね…。」

幽々子の目に、少しだけ涙が浮かぶのが見える。
あれから幽々子は、いったいどれだけの涙を流したんだろう。
妖夢の事を思って流した涙は、きっとそれまで冥界で暮らしてきて流した涙よりも、多いんだろうな…。

「妖夢がいなくなってから、私はもう何もする気が起きないのよ。
 冥界の魂の管理とか、しなくちゃいけない事は沢山ある、それは判っているのだけれど…。」

ああ、やっぱり幽々子自身もそれは自覚してたのね。
今の冥界に霊魂が溜まり過ぎてる事、放っておけば顕界にまでその影響が出そうな事。
自覚してなかったらどうしよう、とも少し考えていたけれど、これで私の不安は一つ減った。

「…駄目なのよ。妖夢がそんな事望んでいないと思っても、どうしても…。」

泣き声が洩れるのを必死で堪え、幽々子は言葉を紡ぐ。
やっぱり、幽々子の心の傷は相当深い。こうも傷ついた幽々子を見るのは、本当に初めての事だ。
幽々子のこの心の傷を、私は癒してあげるの事が本当に出来るのか…。

「ねえ、紫。」

今度は幽々子が私に言葉を投げる。

「妖夢は私の事、どう思ってたのかしらね。」

…えっ?

「どうって、大事に思ってたでしょうね。でなきゃ、何百年もあなたに付き従ってなんかいないわよ。」

私は素直な感想を述べる。
当たり前だ、妖夢が幽々子の事を大切に思ってなかったはずがない。
幽々子の事を本当に愛していたからこそ、妖夢は最期に、幽々子と笑ってお別れがしたかった。
泣かないでほしい、笑って見送って欲しい、それが妖夢の最後の願いだった。
…それ故の涙だったじゃない。あなたも妖夢の事を愛し、その心が判っていたからこそ、あれだけ本気で泣いたんじゃないの…?

「…でも、本当にそんな事が言えるの?」

だが、幽々子から返ってきた言葉はとても重苦しく、息が詰まりそうになった。

「妖夢はもうこの世にいない、その答えを聞けるのは誰もいない。
 誰も妖夢の本当の気持ちを知る事は出来ないのに、本当にそんな事が言えるの?」

静かに、だが力強くそういう幽々子。
その信じられない言葉に、私は一瞬言葉を失ってしまう。
幽々子、まさかあなたそんな事を考えていて、今までずっと塞ぎ込んでいたというの…?

「あのね幽々子、確かにその通りだけど、そんな事はないから安心しなさい。
 妖夢はあなたの事を誰よりも愛していたわ。それは今でもきっと変わらないはずよ。
 だから、あなたも妖夢のために生きなさい、あの子の思いを、無駄にしちゃ駄目よ。」

妖夢は真面目だったから、きっとあなたのそんな姿を見て心配してるんじゃないかしらね。
自分がいなくなった後、幽々子は白玉楼に一人残されてしまう。
そんな状況だけでも妖夢は落ち着いて眠れないでしょうね。
それなのに、あの子の心配の種を増やしちゃ…。



「…だから、何でそんな事が言えるの?」



…幽々子の氷のように冷たい視線が、私の胸を刺す。
私にそんな冷たい視線を向けたことなんて、今まで一度だってあったか…。否、無い。
私は、何か幽々子の触れてはいけないところに触れてしまった…?

「紫は死んだ者の言葉を聞けるの?そんな事ないわよね?
 だったら、どうしてそんな事が言えるの?あの子の気持ちはあの子にしか判らない。
 なのにどうして、あなたはそんな事が言えるの?妖夢でもないのに、どうしてそう判ったふうに言えるの?」

幽々子の言葉一つ一つが、私の胸を抉る刃物になる。

「…そうね、紫には判らないかもしれないわね。
 こうして大切な人がふといなくなってしまって、一人置いてかれるこの気持ちは。」

ゆ、幽々子…?何を言っているの…?

「藍ちゃんや橙ちゃんは元気にしてるものね。あなたには、まだ家族がいるものね。
 だけど、私はもう周りに誰もいない。もうずっと、私は一人なのよ。
 この気持ち、紫に判る?こんな例える事も出来ない、この孤独感が、あなたに判るの?」

幽々子の言葉に、私はただ狼狽する。なんで、こんな事になっているの…?
違う、私はそういうつもりで言ったんじゃない。
妖夢はあなたの事を愛している。それに間違いがあるはずがない。

だからこそ、今の白玉楼にはあなた一人しかいないのよ?
あなたの今置かれている環境、それこそが妖夢があなたを愛した証なのよ?

「ち、違うのよ幽々子、私はただ…!!」

とにかく、幽々子の誤解だけは解かなくてはいけない。
だけど、幽々子の冷たい目線が私の言葉を詰まらせる。
なんて言えば、幽々子は誤解だと判ってくれるのか、その言葉が見つからない。
ど、どうすればいいの?このままじゃ、私は幽々子にとって悪者でしか…。



「…冗談よ。紫ってば慌てちゃって、可愛いわね。」



…幽々子の目が、普段の柔らかく仄かに暖かい物へと戻る。
それと同時に、私の肩の力が一気に抜ける。思わず尻餅を搗いてしまったほどだ。

「判ってるわよ、あなたが私を元気付けようとしてくれてるのは。
 だけどね、私の今の傷は、そういった言葉で癒されるほど浅くないの。
 だから、あまりそういう事は言わないで欲しい。妖夢の声を聞けない以上、誰も本当の事は判らないから…。」

寂しそうに俯きながら、幽々子はそう呟く。
とりあえず、私はその言葉で一安心する。本気で嫌われたかと思ったわよ…。
私が軽い発言をしてしまったから、それに怒ったのね。
…それほど、幽々子の心の傷は深いという事、か…。
私にあれだけの殺気を向けるほど。私は幽々子の心の傷を、確かにちょっと浅く見すぎていたかもしれない。

…だけどね幽々子、妖夢があなたを愛していたのは本当。
だから、今からそれを教えてあげる。妖夢が残した思いを、妖夢が本当にあなたを愛した、その証拠を。


「ねえ、幽々子。どうして妖夢がいなくなって、白玉楼にあなたしかいなくなったのか判る?」


「えっ…?」


質問の意図が判らなかったのか、ぽかんと目を見開く幽々子。
まあ、それもそうよね、こんな質問を急にされて、戸惑わないほうがおかしいかもね。
でも、私の質問はそれ以上でもそれ以下でもないわ。

「そのままの意味よ。どうしてあなたは、今白玉楼に一人でいるのか、判るかしら?」

呆然とする幽々子。まだ意味が判らないかしらね。

「…どうして妖夢が、西行寺に仕えた魂魄家最後の一人になってしまったか、って事よ。」

妖夢の子孫はいない。
誰とも結婚したりせず、少なくとも妖忌や妖夢の血を引くものは、もうこの世にいない。
どうしてその血筋を絶やしてしまったのか、あなたにそれが判るかしら?

「…そんなの判らないわよ…。…私なんて一人になってしまえばいいって言う嫌がらせ?」

いやいや、どれだけネガティブになってるのよあなたは。
まさかそんな答えを思い付くとは思わなかったわ。
…そんな事はすぐに考え付くのに、どうしてあの子の気持ちは判って上げられないのかしらね…。

「違うわよ。それこそが、妖夢が本当にあなたを愛した証拠なのよ。」

妖夢は誰よりも真面目だったからね。
幽々子を愛する故に、他の誰も本気で愛する事が出来なかった。
結果的に幽々子が一人になってしまうとしても、どうしても…。

「…どういう事…?」

何処か冷たい表情を浮かべる幽々子。
…正直、かなり怖い。人を死に誘う能力を持つ故の迫力かしらね…。
だけど、私もその迫力に飲まれてはいけないわね。
教えてあげないといけないのだから。妖夢の気持ちを。あなたが判らないなら、私が教えてあげる。

「あなたを愛するが故に、他の誰も、あなた以上に愛する事が出来なかったのよ。
 妖夢は真面目だったからね。人を本気で愛せないと、結婚とかしちゃいけないとでも思ったのかしらね。」

私は生前の妖夢の事を思い出してみる。
…そういう事でからかってみて、顔を真っ赤にして何処か飛び出していった事もあったわね。
妖夢は真面目だったし、そういう所をからかって遊ぶのも一興だった。

それに、藍がさっき言ってたっけ。
「紫様がお変わりになられなければ私は何時までもこうでしょうよ」と。
…幽々子もまた、妖夢が死ぬまではずっと幽々子のままだった。
だから、妖夢も最後まで変わらなかった。幽々子を愛し、愛し、愛し続けた妖夢のままだった。

「誰よりもあなたを愛し、誰よりもあなたに愛されたかった。
 だから、妖夢はあなた以外の誰の隣にもいたくなかった、あなた以外の誰も、隣にいて欲しくなかった。
 誰よりも、何よりも、あなたの隣にいたかった。魂魄家の血筋を絶やしてでも、あなたの隣にいたかった。
 …あなたの今の一人きりの状況は、そうとは考えられないかしら?」

私の言葉に、大きく目を見開いて固まる幽々子。
勿論、これはただの私の推測。妖夢に聞いたわけでもないから、確証があるわけでもない。
だけど、妖夢が幽々子に一途だったのは確かな事。あの子はあまり表には出さなかったけどね。

あなたの事を本気で愛していなければ、一時も離れずあなたに付き従うなんて事、出来るわけないじゃない。
幽々子の事でいろいろと不満を言う事もあったけど、そういうのも全部、あなたを思っているが故の事。
だって、誰かに不満を抱くというのは、その誰かの事を少なからず思っているから。
本当に誰かの事が嫌いならば、不満に思う事すらないからね。それは不満じゃなくて、ただの嫌悪。
もっと良くなって欲しい、そうすればもっと好きになれる。不満というのは、そういう感情から生まれるものなのよ。

「…判らない、判らないわよ…。」

ふと顔を沈めて、幽々子はそう呟く。

「私の事が好きだったなら、どうして私を一人にするのよ…。
 どうして私を置いて、一人で先に逝っちゃうのよ…。…どうして…。」

幽々子?人の話聞いてた?今その理由は話したと思うんだけど?
それに妖夢は亡霊でも幽霊でもない、あくまで半人半霊。
半分は幽霊でも、半分は人間。寿命があるから、いつかはこうして別れなくてはいけなかったのよ。
そんな事も判らないくらいに、今の貴方の心は閉ざされているの…?

「判らない、判らない…。…妖夢、妖夢…。」

俯きながら、ただただ妖夢の名を呼び続ける幽々子。
そんな幽々子の姿、出来れば見たくはなかった。

そして、私は本当にどうすれば良いのか判らなくなってしまう。
私の考えは多分間違ってない。妖夢の思いは、私の推理の通りで良いんだと思う。
だけど、それでも幽々子の心を開く事は出来なかった。
幽々子の心の扉を開くための最後の鍵は、結局回る事はなかった。
妖夢の気持ちを伝えられれば、幽々子は心を開いてくれると思ったのに…。

どうすればいいのよ。どうすれば、幽々子の心を開いてあげられるのよ。
幻想郷の賢者とすら呼ばれた私に判らない事、他の誰が判るって言うのよ。

どうすれば、どうすれば…。





「じゃあ、聞かせてあげようか?妖夢の声。」





突然掛けられた声に、私と幽々子は同時に後ろを振り向く。

「こらリリカ、自分で黙って見てようとか言っておきながら。」

「あはははは~、自分で計画台無しね~。」

「うっさいなぁ、ルナ姉もメル姉もちょっと黙っててよ。」

先ほどまで静かだったこの場の雰囲気が、急に賑やかになる。
幻想郷のお騒がせちんどん屋、プリズムリバー三姉妹。
彼女たちは一人一人、別々の種類の花で彩られた小さな花束を抱えていた。

そう言えば、最初此処に来た時に幽々子が、彼女達も後で来ると言っていたっけ?
僅かな時間だったはずなのに、その間にいろいろありすぎてすっかり忘れてたわね。

「それよりリリカ、今なんて言ったの…?」

そうだ、そんな事より先に、気になる事があった。
一番最初にリリカが言った言葉。私の聞き間違いでなければ…。

「だから、判らない判らないって言うくらいなら、私が妖夢の言葉を聞かせてあげようか?って言ったの。」

にこにこ笑顔を浮かべるリリカの言葉に、私も幽々子も声を失ってしまう。
それって、どういう事…?

「ちょ、ちょっとリリカ、そんな事出来るのか?」

私だけでなく、ルナサまで驚愕の表情を浮かべながらリリカに詰め寄る。
とりあえず、プリズムリバー全体で何か企んでるわけじゃないみたいね。

「ねえ、お二人さん?私がどんな能力を持ってるかは知ってるよね?」

ルナサの問いには返答せずに、リリカは私達にそう質問してくる。

「手を使わずに楽器を演奏する能力、じゃなかったかしら?」

パッと思いついた彼女達の能力を私は口にする。
幽々子はさっきから呆然としたままだし、ここは私が話を進めるしかないわね。

「そうじゃなくて、私自身がどう言う“音”を担当してるかって事よ。」

ああ、プリズムリバー姉妹全体じゃなくてリリカ個人の能力の事ね。
能力と言うのかは判らないけれど、リリカはプリズムリバー姉妹でも扱う音が異色だから、能力と言ってもいいかしらね。

「確か、幻想の音を扱う…。」

その言葉を口にした途端、私は何かが心に引っかかって言葉を止めてしまう。
…幻想の、音…?

「そう、その通り。私が扱うのは幻想、この世から無くなってしまった音(・・・・・・・・・・・・・・・)よ。」

私はそこで、リリカが何を言いたいのかをなんとなく理解してしまう。
いや、ちょっと待って、確かにそれは幻想の音かもしれない。
あの子の死から10年、人々の心からは妖夢の存在は幻想になりつつあるかもしれない。
だけど、いくらあなたがその音を使う事に長けているからって、そんな事が出来るの?
私が思うとおりなら、リリカがやろうとしてる事は…。

…死して幻想となった妖夢の声、その心を音楽として演奏する…?

「ちょっと待てリリカ、お前はいつの間にそんな事を…?」

私の代わりに質問してくれるルナサ。ああ、突っ込みが他にいると周りは楽ね。

「楽器の練習ばっかりやってる駄目な姉さん達とは違うからね。
 やっぱり音は心に響かせるのが一番。死んだ人の声を再現出来るなんて、誰の心にも響かせられそうじゃない?」

あっさりとルナサの言葉に返答するリリカ。
いや、そう簡単に言うけどね、あなたそれがどれだけ難しい事なのか判ってる?
そうほいほいと死んだ者の言葉を聞ける存在があるなら、世の中に亡霊なんてものは生まれはしないわよ。
誰も未練を残してこの世を彷徨うなんて事はしなくなるでしょうからね。

確かにあなたの言うとおり、死んだ者の言葉を聞けるというなら、それは最高の「音」なのでしょうけど…。

「まあまあ姉さん、ここは一つやらせてみない?
 もしも今までの言葉が嘘だったら、さり気なく私達を馬鹿にしたのと含めてリリカを袋叩きにすればいいんだし。」

一方そんな事は微塵も考えていない風に、陽気にそう提案するメルラン。
彼女自身そう言う性質なのだから仕方ないけど、やっぱりどうしてもこういう場所に相応しい存在だとは思えないわね…。
そして、あなたもさり気なく随分怖い事言うわね。まるで酔った藍が私の愚痴を言ってる時みたいな台詞をさらりと…。

「…はぁ、まあいいけどね…。幽々子嬢がそれを望むというならば、私達もそれ相応に演奏しよう。」

自分の名前を出されてようやく我に返ったのか、幽々子はびくりと肩を震わせる。
今までの話を聞いていたのかは多少不安だけど、確かにその通りね。
リリカが本当にそんな事が出来るかどうかはともかく、これは幽々子の問題。
幽々子が本当に妖夢の声を聞きたいのか、そうでないのか。死者の本音を聞く事に、恐れを抱かないかどうか…。

「えっ…。…わ、私は…。」

俯いて黙り込んでしまう幽々子。
…それはそうよね、怖いわよね。さっきまであれだけ悪い想像ばかりしていたんだから。
妖夢の本音を聞く事が出来るなら、嬉しいかもしれないけれど、聞きたくもないかもしれない。
妖夢の本当の気持ちを知るのが、怖いから。

…でもね、幽々子。

「…聴いてみましょう?あなたが一番、聞かなくちゃいけない事なんだから。」

逃げては駄目、リリカが出来ると言うなら、それから逃げたら駄目だと思うわ。
あなたが一番知りたがってる事なのだから。それにリリカも、妖夢も、あなたに一番聴いて欲しいのだから。
聴かないでいろいろと悩むより、聴いて気持ちをハッキリさせた方がいい。
…それに、どうせ他に幽々子の心を開かせる方法も思いつかないしね…。

「で、でも…。」

決心がつかないのか、まごつく幽々子。
…駄目ね、こんなんじゃ時間の無駄だわ。
私は今、リリカの言葉を信用してあなたに妖夢の言葉を聞かせる、それ以外の選択肢をとる気はないわ。

「それじゃみんな、演奏を始めてくれる?」

幽々子の言葉は聞かずに、プリズムリバー姉妹にそう告げる。

「ちょっ、ゆか「はい来たっ!それじゃ姉さん達やっちゃって!!」

「全く、打ち合わせもしてないのに…。」

「アドリブ演奏なんて何時もの事じゃん~。」

全員が全員幽々子を完全無視。声を発することすら許さず、即座に演奏する準備に取り掛かる。
うん、空気の読める子達で助かったわ。単に騒ぎたいだけかもしれないけど。

「ゆ、紫…。」

不安そうな表情で私を見る幽々子。
そんな幽々子の顔を見て、私はため息が出る。

…本当に、あなたにそんな表情は似合わないわね。

私が、そして妖夢が大好きなあなたは、どんな時でも笑顔を浮かべていた。
何が起ころうと、常に笑みを絶やさない心の太陽だった。
霊夢が死んで、魔理沙が死んで、みんなみんないなくなって…。

…いろんな物を失ってしまった私の心を、あなたの笑顔は何時も救ってくれた。

私はそんな太陽に、もう一度光を取り戻して欲しい。
妖夢の死という名の皆既日蝕を、10年続いた暗闇を、今度こそ打ち払って欲しい。

「幽々子、大丈夫。あの子達に全て任せましょう。」

私がそう言うと、一瞬だけ幽々子は悲しそうな表情を見せ、後は黙って俯いてしまう。
…裏切られたとでも思ったかしらね。まあ、今は思ってくれて構わないわ。
…後で私の気持ちが伝わってくれれば、それでいいわ…。

「それじゃメル姉、今日はキーボード頼むよ!」

「え~っ?トランペットじゃ駄目なの?」

「…まあ、どう言う曲調になるかを考えればトランペットは合わないだろうな…。」

「まあいいけどね~。私は騒げればそれでいいし~。」

「いや、あまり騒ぐな。そのためのキーボード演奏だろ。」

「え~っ?」

「空気読んでよメル姉、無理だろうけど。」

「リリカ、後で覚悟しておきなさい?」

そんな感じで、プリズムリバー姉妹の即興打ち合わせ(?)は続いていく。
会話から判断すれば、今日はメルランがキーボードの演奏をするみたいだけど…。

「…えっ?じゃあリリカは何の楽器を?」

私は思わずそう質問してしまう。
プリズムリバーの演奏は何百年と見てきたし、その中で彼女達が別の楽器を使うという事も、なかったわけではない。
だけどそれも非常に稀な事だったし、それはわりとオールマイティに楽器を扱えるリリカに限ってのこと。
ルナサとメルランが他の楽器を使うことなんか、あっただろうか…?

「ん?私は何の楽器も使わないよ?」

しかも、返ってきた答えはもっと不可解なものだった。
楽器を使わない?楽器を使わないのにどうやって音を出すというの?

「判らないかなぁ、紫は頭がいいんじゃなかったっけ?」

いや、別に人からそう言われるほどじゃないけどさぁ、確かに頭はそれなりにいいわよ。
それでもそうパッと思いつくわけないじゃない。情報が少なすぎるわよ。
そもそもあなたが「幻想の音」で妖夢の思いを伝えようとしていると言う事でさえ、未だに上手く理解出来てないんだから。


「今日は私自身が楽器。幻想の声を伝えるのに、特別な楽器を使うわけにはいかないわよ。」


…ああ、ようやく理解した。要するに今日のリリカはボーカルなのね。
確かにリリカは最初に「声」を伝えると言っていた。声を伝えるのは、楽器ではなく口だろう。
…だけど、自分を楽器にって…。そんな事出来るのかしら?

ああもう、出来る出来ないと考えるのは止めよう。
今は彼女達を信じるだけ。私に他に出来る事なんて何一つない。

賢者だの何だの言われてても、結局私はただの妖怪に過ぎない小さな存在なのね。今ほど、それを実感したことは無いわ…。


「さあ準備完了!もう私達から逃げられると思わないでねっ!」


やけにハイテンションなリリカ。元々活発なほうだけど、今日は何時もに増して激しいわね。
別に私は最初から逃げる気はないから安心しなさい。そして幽々子は私が逃がさないから。

「幽々子嬢の沈んだ心、私達の音で覚まさせてあげようか。」

バイオリンを構えるルナサ。手を使う必要はないはずだけど、形式として、かしらね。

「私の音でハッピーにならない者なんているわけないわ!」

キーボードに手を掛けるメルラン。楽器が変わってもその音の特性は変わらないらしい。
まあ、既にリリカが何度か別の楽器を使っているのは見ているし、いまさら気にする事でもないわね。

「さあ、ライブを開始するよ!」

ボーカル、リリカがそう叫ぶと、今までの騒がしさが一転、一つの音もなく静まり返る。
…さっきルナサが、曲にトランペットが合わないと言っていたから、多分静かな曲なんでしょうね。
プリズムリバー姉妹の普段の騒がしい演奏を考えると、かなり珍しいコンサートになりそうね。

「…幽々子、ちゃんと前を見て、妖夢の思いをしっかり受け止めるのよ?」

未だ俯いている幽々子に、私は静かにそう語りかける。
幽々子は何も返答しなかったけど、ちゃんと聞いてくれたわよね。

信じてるわ、騒霊姉妹さん。幽々子の心を開いてくれる事を。

信じてるわ、幽々子。妖夢の心を受け止めて、もう一度あの笑顔を取り戻してくれる事を。


…プリズムリバー姉妹全員が、同時に静かに目を閉じて…。

ルナサとメルラン、バイオリンとキーボードが、静かに音を奏で始める。

遅く暗く、普段のプリズムリバー姉妹の曲調とは正反対の前奏。

ルナサの音と相俟って気分が一気に滅入りそうになるが、メルランの音がそんな気分を打ち消してくれる。

…そして、10秒ほどの前奏の後、リリカが静かに口を開き…。



―――  もう この身体 あなたの 隣には…  ―――


―――  もう この声も 私には あなたへと 送れない  ―――


―――  消え去った 命の火 燃えきらず 燻って…  ―――




…この時点で、私も幽々子もリリカの姿から目を話す事が出来なかった。
バイオリンとキーボードの清水のように静かで美しい音色は、リリカのアルトの声とよくマッチして、非常に素晴らしい。
普段のプリズムリバー姉妹の曲調とはまるで違うけれど、それでもこれだけ美しい合唱となるのは、彼女達の音楽センスの素晴らしさを感じさせる。

…だけど、私と幽々子がリリカに釘付けになったのは、それではなかった。

信じられない事ばかり起きるこの幻想郷で、信じられないと久々に本気で思った。

静かに歌い始めたリリカのその声が、リリカの声でなかった事が…。

リリカの声は、リリカの声ではなく…。


…妖夢の、声だった…。



―――  最後に あなたが 流した 涙暖かくて  ―――


―――  私の 心を 満たしてくれた  ―――


―――  幻想に なり行く 私のこの思い  ―――


―――  あなたの 心に 残るように  ―――




まさに、それは幻想の声。

死してこの世からいなくなり、幻想となってしまった妖夢の声。



―――  I wish you catch my heart. 最後にあなたに伝えたい  ―――


―――  Living in your mind forever. 心は此処に在る  ―――




彼女達が作る音楽にしては、妙に歌詞がぎこちない気がした。

確かに彼女達は合奏が専門だから、歌を作る事は基本的にはしないけれど、それにしたって…。

だけど、そのぎこちなさとリリカの声が相俟って、本当に妖夢が歌っているかのような錯覚を覚える。

歌詞は確かにぎこちないけれど、燻った命の火をもう一度燃やして、誰かに心を残したい。その一途な思いは伝わってくる。

不器用で口下手だった妖夢が、必死に自分の思いを伝えるかのように。

妖夢が幽々子に思いを伝える為に歌を作るなら、本当にこんな歌を作りそうだ…。


…そして、ルナサとメルランのバックミュージックが、今までの静かな音と急激に変化し、強く大きく、激しく響く。



―――  あなたが 見上げた 妖怪桜の傍らで  ―――


―――  私 永久に 見守り続けます  ―――


―――  顔を 上げて 前を向いて歩いてください  ―――


―――  それが 私が ここに残す思い  ―――


―――  生きた 証  あなたと過ごしたあの日々は  ―――


―――  ずっと ずっと 心に刻みます  ―――




―――  笑顔の ままで 私が愛する幽々子様(・・・・)  ―――





―――  ずっと ずっと 私は忘れません  ――






…幽々子、様…。…リリカは、最後の最後に確かにそう歌った。

妖怪桜、西行妖の傍らでずっと眠り続け、そしてずっと幽々子を見守り続ける。

幽々子とすごした日々を、幽々子の笑顔を、死してもずっと心に刻み付ける。

…だから、笑顔でいて欲しい。笑顔でいる幽々子を、妖夢は愛していたから。

死して幻想になった今でも、幽々子の事を愛しているから…。



「…ずっと、ずっと笑顔でいてください。」



ルナサとメルランが演奏を続ける中、リリカは妖夢の声で、静かにそう語りかけてくる。



「ずっと、私の事を忘れないでください。そうすれば、私はずっとあなたの心に生きていますから。」



私の視界が、少しだけ滲む。

そして、その滲んだ視界の中で、滲んでいたはずの中で…。



「愛しています、幽々子様。今も、昔も、これからも、ずっとずっと…。」



…笑顔を浮かべるリリカの隣に、同じように笑顔を浮かべる妖夢の姿を見たような気がした…。


「妖夢…!!」


あれ、おかしいな、声には出さなかったはずなのに…。

…何の事はない、妖夢の名を呼んだのが、私ではなかっただけの事。

私の隣で、幽々子はリリカに一瞬だけ手を伸ばして、はっとその手を引く。

きっと幽々子も、私と同じ光景を見たのだろう。


だけど、もう一度リリカに目線を移した時には、そこにいるのはやっぱりリリカだけだった…。





 * * * * * *





「以上、ご清聴ありがとうございました。」

演奏を静かに終わらせるルナサとメルラン。
そして、演奏終了と共にルナサは静かに頭を下げる。
…正直な話、最後の数十秒のあなた達の演奏は殆ど耳に入ってなかったわ、ごめんなさいね。

「どうだったかしら~。少しはハッピーな気分になれたかしら?」

陽気にそう尋ねるメルラン。
…さあ、どうかしらね、私は少なくともいい気分にさせてもらったわ。
問題は、幽々子のほうだけれど…。

「…妖夢の気持ち、ちゃんと伝わった?」

…それは、幻想の音ではないちゃんとしたリリカの、何時もの声だった。
勿論、それは私に向けられた言葉ではない。
演奏が終わってから、俯き黙り続けている、幽々子への…。

「…リリカ、本当に、本当に…。…妖夢は…。」

そう思っていたのか、そう聴きたいのだろう。
だけど、幽々子はそれ以上言葉を続けなかった。続ける勇気がなかったのかもしれない。
そんな幽々子に対して、リリカはにっこりといい笑顔を作って、


「当たり前じゃん。あなたの心の中にいる妖夢は、そんなに冷たい子だったの?」


…それが、最後の一押しだった。


「…そう、ね…。そうだったわね。私はずっと、あの子の事を考えてたつもりだったけど…。
 結局、私が一番あの子の事を判ってあげられてなかったのね…。」


今まで俯いていた幽々子が、少しずつ顔を上げる。
そして…。



「ありがとう、紫、ルナサ、メルラン、リリカ、それに妖夢。あなた達の思い、確かに受け取ったわ。」



10年ぶりに、幽々子は笑顔を見せてくれた。



私が一番大好きな、笑顔の幽々子が、漸く戻ってきてくれた…。



「…おかえり、幽々子。」

私は幽々子の頭に手を置き、そっとなでる。
本当に、おかえりなさい。ずっと、今のあなたが帰ってくるのを待っていたんだから。

「ただいま、紫。」

笑顔のままそう答える幽々子。
ああ、もうこれだけでいい。私は満足した。
結局、私は笑顔のあなたを迎える事しか出来なかったけどね…。
だから、最後にこれだけはちゃんと言わないと。私が出来る、最後の事だと思うから。

「でも幽々子、もう一人その言葉を言わなきゃいけない子がいるでしょ?」

私は妖夢の墓へと目を移す。
きっと、あなたもそこで見てるわよね、妖夢。
あなたも言ってあげなさい、幽々子に。おかえりなさい、と。
幽々子も、妖夢にちゃんとただいまって言ってあげなさい。

「…そうね。ねえ、みんなちょっとだけ向こう向いててくれる…?」

幽々子のその要求を、私達は静かに受け入れて、妖夢の墓に背を向ける。
ここからは、幽々子と妖夢だけの時間。私達が介入する事じゃない。
…それに、リリカにちょっと聴きたいこともあるからね…。
幽々子はゆっくりと、妖夢の墓前へと足を運んでいく。

「ただいま、妖夢。」

幽々子の声が、私達の耳に届く。

「ごめんなさい、ずっとあなたの心を判ってあげられなくて。本当に、私はどうしようもないわね…。」

この10年で溜めた思いを、幽々子はゆっくりと吐き出していく。

「…ありがとう、こんな私を、ずっと慕ってくれて…。…私も、愛してるわ、妖夢…。」

幽々子の言葉が、少しずつ途切れ途切れになっていく。
…そうね、もうあなたが涙を流す機会なんて殆どないかもしれないから…。

…最後に、妖夢に思いっきり縋りなさい…。

「ありがとう…ぐすっ…!!ありがとう、妖夢…!!ありがとう…!!」

涙と共に、ひたすらに妖夢に感謝の言葉を述べる幽々子。
後はただ、妖夢に縋って泣き続ける幽々子の声が、響き渡るだけだった。


…幽々子、少しだけそっちに集中しててね。


「…ねえ、リリカ。」

「…なにかな?」

「本当、だったの?」

「…さて、どうでしょう?いくら境界の大妖怪様とはいえ、それは答えられないね。」

「狡猾な子ね。私にも引けをとらないわよ。」

「お褒めの言葉、ありがとうございました。」


手短に、リリカとの会話を終える。幽々子に聞かれたら、また面倒なことになりそうだからね。
本当に、この子はずる賢い。私が意図した質問を、結局答えが特定出来ない形で返すのだから。

…でもまあ、どっちでもいいか。嘘か本当かなんて、瑣末なこと。
あれが妖夢の思いであった事は確か。少なくとも私と、そしてそれを歌ったリリカはそう思っている。
妖夢の心は、ちゃんと幽々子に届いた。その結果だけでいいじゃない。

そうでしょう?妖夢。

嘗てあなたが言っていたこと、私は今でもちゃんと覚えてるんだからね?

私に嘘をつくなんて事は許さない。だからずっと、幽々子の事を見守ってあげるのよ?


…妖夢にそう語りかけながら、私は天を仰ぎ…。



―――  私は、幽々子様の傍に何時までも仕えます。例え、どんな事が起ころうとも…  ―――



そんな事を言っているあの子の姿を、幽々子の泣き声が落ち着くまで思い浮かべていた…。





 * * * * * *




「もう大丈夫よ、ありがとうみんな。」

幽々子がそう言うので、私達はゆっくりと幽々子の墓へと向き直る。
目が赤くなっている幽々子。亡霊でも、涙で目が赤くなるってことはあるのね。
幽々子がそうなるまで涙を流すことなんて、これ以降あるかな…。

…幽々子の泣き顔は見たくないけれど、出来れば後一回だけ、そうして泣く機会があって欲しい。

と言うより、もう一度だけ泣いて欲しい。私のために。


…だって、多分次に幻想郷からいなくなるのは…。


「さて、幽々子。久々に一緒に呑んでくれるかしら?」

今思い浮かべた悪い予想を振り払いつつ、私はスキマから酒瓶を取り出す。
もう10年以上も一緒に呑んでないからね、いっそ宴会でも開くのも一興じゃないかしら?

「そうね、久々にいいかもしれないわね。ルナサ達も一緒にどう?」

「そうだな、折角だしご一緒させてもらおうかな。」

「そうね~。ライブの後のお酒は格別よね~。」

「うーっ!!またテンションあがってきたなーっ!!」

プリズムリバー姉妹も既に乗り気な様子。
これは久々にいい酒が呑めそうね。藍や萃香も呼んだほうがいいかしら?

「それじゃあ、何時もの宴会場でいいかしら?」

何時もの、か。何年も使ってないだろうに。
まあ、10年ぐらいはやっぱりあっという間の時間なのね、私達妖怪にとっては。
…でも幽々子それはちょっと違うわよ。

「なに言ってるのよ。ここでやらなきゃ、一人呑めない子がいるでしょう?」

そう言って、私は妖夢の墓前へと足を動かす。
宴会場になんて行ったら、妖夢も一緒に呑めないじゃない。
ちょっと不謹慎かもしれないけど、宴会はここでやらせてもらうわ。

「あなたも一緒に呑みましょう、妖夢。」

酒杯に酒を注ぎ、妖夢の墓にお供えする。
そしてもう5つ杯をスキマから取り出し、妖夢の杯の前に並べる。

「さあ、後で何人か呼ぶつもりだけど、今はこの6人で乾杯しましょ。」

私がそう言うと、幽々子たちは面白いぐらいに全員が同じタイミングで一瞬だけ戸惑った表情を見せて、同じような笑顔を見せる。

「そうね、この宴会の主賓を置いていくわけにも行かないわね。」

幽々子が、まずは一番に杯を取る。

「まあ、妖夢にも一緒に楽しんでもらいたいのも事実だしな。」

続いてルナサが。

「そうね~。みんなでハッピーになればそれでいいと思うわ。」

そしてメルランも。

「観客様の要望にはちゃんと答えないとね。」

リリカも杯を取り、そして最後に私も杯を取る。
こうして大勢で酒を呑むのも、本当に久々の事ね。
うん、本当に今日はいい日になりそうね。

…後残り少ないだろうこの命、最後まで燃えきるために、私は今を楽しみましょう。


「妖夢、私達はいつまでも一緒。私達は絶対にあなたの事を忘れないわ。」


最後にそれだけ言って、私は妖夢の杯に自分のものを近づける。

そして他の4人も同じように、自分の持つ杯を、妖夢のものへと近づけて…。



「乾杯。」



私がそう言うと共に…。



「「「「乾杯。」」」」



6つの杯が、静かに触れ合った…。










この世に生きている者は、何時かはお別れしなくちゃいけない時が来る。

だから、この世に生きていない者のあなたに、何時までも私の事を覚えていて欲しい。

私が死んでも、きっと何時か生まれ変わって、あなたに巡り逢えるように…。


 * * * * * *


今日は、酢烏賊楓です。それではあとがきみたいな物を。

今回は紫と幽々子、そしてプリズムリバー姉妹の話を。
いくら妖怪が長生きだとは言っても、妖夢は人間の血が混ざっている存在。半人半霊。
不生の幽々子や現象のプリズムリバー姉妹は、きっと妖夢の死を見届けなくてはいけないのでしょう。
そして、長く共にいただけ幽々子の悲しみは大きくなると思います。
そんな妖夢の死後の話を紫視点で書いたのがこの話です。

最後の紫とリリカの会話は、どう言う意味であったかは察していただけると思います。
本当か嘘か、その真実は皆様が自由に決めてください。
どちらであっても、妖夢の思いは変わりません。どちらであっても、それは正解ですので。

…リリカの歌の歌詞を作るのが一番苦労したかもしれません…。
どうすれば妖夢らしさを出せるのか…、…歌で敬語表現を使ったりするのも大変でした…。
…とりあえず文中で紫が語ったとおりの感じにはしたつもりなのですが、あくまで個人的主観です。((
アレンジ曲作れる方って凄いですね…。
あの曲は一応「東方妖々夢 ~ Ancient temple」の音程で作りました。そのリズムで思い浮かべながら読んで頂けたら幸いです。

ほんの少しだけ「白玉楼とマヨヒガの境界?」(作品集53)と掠っているところもあります。
世界は同じだけど、時間軸はぜんぜん違うので殆ど別の話ですので書きませんでしたが…。
一応この場でその事を伝えておきます。勿論読んでおく必要は全くありませんので。

さて、此処までお読みいただきありがとうございました。
ご意見、感想、突っ込み、誤字脱字等ありましたらよろしくお願いします。


【12月5日】
なんか一日も経たずに目標2000行ってる!!ありがとうございましたー!!
今年大学受験と言う事で、この話を最後に暫く隠居しようかと思っていただけに嬉しいです。
妖夢の思いを読んでくださった皆様に伝える事が出来たならば、作者冥利に尽きます。
四季様、ですか…。…一応考えてはいたんですが何処に出せばいいのか判らなかったので…。
誤字の方も修正させていただきました。本当にありがとうございましたー!!

【12月9日】
更なるコメント及び大学受験へのメッセージ真にありがとうございました。
その言葉を生きる気力にして、安心した気持ちでもう一度此処で小説書けるよう頑張ります。
紫が死んだときは、幽々子はいったいどうするのでしょうか…。…と言う事ですが…。
…実はその話は書いてあったりします。(( 
ただこれを入れるとさらに長くなる上に、なんだか少し悲しい終わり方になってしまったので…。
…どうしよう、この話単体でもこの話の続きとして、今から投稿するべきなんでしょうか…。
…とりあえず年末までにあげるかあげないかは決心しておきます。既製品ですから時間は喰いませんし。((
酢烏賊楓
magic_three_map@yahoo.co.jp
http://www.geocities.jp/magic_three_map/touhou_SS.html
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コメント



0.2930簡易評価
4.100名前が無い程度の能力削除
ええはなしや
7.100名前が無い程度の能力削除
上手いですね

楽しく読ませてもらいました
11.100煉獄削除
うう……妖夢の「声」の場面で涙腺が緩みました。
紡ぎ出されていく幽々子様への溢れんばかりの想いを
感じることが出来たように思います。

歌詞が一番苦労したそうですが、私はその分
それに見合う以上の表現がされていたと思います。
素敵なお話でした。
13.100ギブン長削除
あれ?
なんだか、涙腺が・・・刺激されて・・・
あまり涙もろくないはずなんだけどな・・・。

うん。霊夢たちが居るのは、「今」なんですよね。
当然いつかは別れるときが来る。来てしまう。
そして、霊夢たちの今が失われようとも、世界は今を続けていく。
それはそれは、残酷な話・・・ですね。
そんな残酷な世界であるからこそ、いい出会いというのが、宝物の如く感じるのでしょうね。

・・・自分の中でもうまくまとまってませんが、いい話でした。
こういう絆、大好物です。
16.90名前が無い程度の能力削除
よかったんだけど、映姫様が出ないのはちょっと不自然かな
31.100名前が無い程度の能力削除
カンパーイ
(*~ρ~)/C□
35.80名前が無い程度の能力削除
魂魄妖夢。幽々子に使えた、魂魄家最後の1人
仕えたじゃないですか?
41.100名前が無い程度の能力削除
感動した!!目から汁が大量に出るほど感動した!!
ゆゆよむいいね。いつかはくる死について考えさせられたお話でした。

紫の時は幽々子はどう反応するのか気になりますね。
大学受験がんばってください!ありがとうございました!!
46.100名前が無い程度の能力削除
久しぶりに号泣しました!!
ホントに良いSSでした!!!

大学受験がんばってください!