Coolier - 新生・東方創想話

雨の降る日は・・・

2008/11/28 01:55:04
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注意!!、実際に想像すると、大変グロい表現がありますので、ご注意下さい。
そういうのも大丈夫だ、と言う方・・・どうぞ、お楽しみ下さい。




























霊夢・・・一つ、怖い話をしてやろうか。
・・・・・・・・・そいつはな・・・雨が降る日に現れるそうなんだ。

雨の降る日なら、諏訪子だって出るわよ。

いやいや、話の腰を折るなよ・・・
コホン・・・話を戻すぜ?










・・・・・・











それは、草木も眠る丑三つ時・・・月の光が明るい日のことだった。

その日は夜分遅くから急に雨が降り始め、寒さでなかなか寝付けなかった。

寝苦しくはないのだが、いかんせん肌寒い。

さて、仕方がないので納屋から毛布でも取ってくるか、と、寝床から男は起きあがった。

すると・・・・・・



コン・・・コン・・・



何やら、玄関から音が聞こえた気がした。

男は、はて?、と思い、耳を澄ませる。

すると、また・・・



コン・・・コン・・・



やはり、何かが戸に当たっているような音がする。

男は気になって、玄関の方に向かう。

すると、今度ははっきりと聞こえた。



コンコン・・・コンコン・・・



恐らく誰かが戸を叩いているのであろう音。

男は、どなたですか、と、声を掛けてみた。

すると・・・



夜遅くにごめんなさい・・・いきなり雨が降ったから、困っているの・・・



と、子供の声で答えが返ってきた。

男は、はて?と思った。

何故、こんな夜遅くに子供が出歩いているのだろうか。

何故、よりにもよって、民家の端に立っている我が家に訪ねてきたのだろうか。

そして、それよりも、何よりも。



・・・・・・何故、こんなにも、胸騒ぎがするのだろうか・・・・・・



ぐるぐると頭の中によぎる考えを、子供の声が遮る。



ねえ・・・どうして開けてくれないの?・・・ねえ・・・どうして返事しないの?。

コンコン・・・・・・コンコン・・・・・・ゴンゴン・・・・・・ゴンゴン・・・・・・ゴンゴン・・・ゴンゴン・・・ドンドン・・・ドンドン・・・ドンドン、ドンドンドン、ドンドンドンドン、ドンドンドンドンドンドン、ドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドン!



やはり何かおかしい!、そう思った男は、とっさに、嘘を付いてしまった。

我が家には子供と妻が居て、もう眠っているから家に入らせることは出来ないと。

だから、他の家に頼ってくれないか、と。

すると、戸を叩く音がピタリと止んだ。



ふぅん・・・そうなんだ・・・じゃあ、しょうがないか・・・・・・



と、戸の向こうから、ふっと気配が消えた。

男は内心、ほっと溜息を吐いた。

扉の向こうに居たのが何なのかは判らない、否、判らなかったからこそ戸を開けることが出来なかった。

安心したところで、急に肌寒さが戻ってきた。

だが、納屋に向かうには、この戸を開けなければならない。

男は、どうしたものかと悩む。

戸の向こうに、まだ何か居るような気がしてならないのだ。

ふと、足下に風が当たった。

下を向くと、戸に小指ほどの小さな穴が開いてあるではないか

男は、これで外を覗き見て、何もなさそうなら外に出ればいい、そう考えた。

そして、いざその穴に顔を寄せ、穴を覗き見ると。



ギョロリとした、赤い目玉と目が合った。



うわあっ!、と、男は声を上げて後ろに飛び退いた。

・・・居た。

まだ、居たのだ。

あの声の主は、自分の家の前から動くつもりなど無かったのだ。

男の頭の中は、真っ白になった。

どうすれば居なくなってくれるのか。

どうすれば。

どうしたら。

どうやって。



ガタリ・・・



ハッ、と、男は我に返った。

見ると、戸が少しずつ、ほんの少しずつ開いていこうとしているのだ。

戸の向こうにいる何かが、戸を開けて、中に入ろうとしている!

そう判断した男の行動は早かった。

既に指が見え、後は力を入れるだけで横に開くであろう戸を、思い切り閉めた。

すると、グシャリ、という、柔らかい果物を潰したような音。

そして足下に、細長い何かがこぼれ落ちた。

何だ、と思い、下を見ると。

長い爪の生えた、病的なまでに白い指が数本、足下に落ちていた。

見ると、まだ、ピクリ、ピクリ、と動いている。

その光景に息をのみ、思わず後ずさったのがいけなかった。



がらり



と、音を立てて、戸が開いた。

雨は既に止み、月明かりがソレを照らす。

そして、男が見たモノは・・・



皮膚は爛れ、ボロボロになった子供の姿。

焼けただれたかのような腕の先に付いているはずの指は無く。

ただただ、その赤い目が、男を睨め付けていた。










・・・・・・・・・










・・・・・・と、男が見たのはそこまでなんだそうだ。
朝日に気が付いて、目が覚めた頃には、何も無かったんだとさ・・・・・・・・・ただ一つを除いて、だがな?
・・・・・・開いた戸の表に、べったりと血の跡が付いていたんだそうだ。
男はそれを見て、三日ほど寝込んだらしいぜ?
・・・・・・・・・どうだ、私だって怖い話くらい出来るってもんだ。
な?、怖かったろう?

・・・別に。

ちぇっ、反応薄いなあ・・・・・・じゃあ、こんな話なんてどう・・・



コン・・・コン・・・



んあ?・・・今、何か聞こえなかったか?

・・・さあ?、気のせいじゃないの?

いや、確かに聞こえたぜ。



コン・・・コン・・・



ほら!、やっぱり!

五月蠅いなあ・・・それならアンタが戸を開ければいいじゃない・・・



ねえ・・・



ば、バカ魔理沙!、変な声出すな!

ま、待てよ!、今の、私の声じゃないぞ・・・

・・・え?・・・・・・それじゃあ・・・・・・



・・・いきなり雨が降ったから、困っているのよ・・・



ま、まさか・・・



がらり



きゃあああああああああああああああああああああああ!!

うわあああああああああああああああああああああああ!!



・・・全く、いきなり雨が降るんだもの・・・もう少しで熔けるところだったわ・・・って、どうしたの?



ああああああああああああああああああああ・・・・・・・・・あ?

ああああああああああああああああああああ・・・・・・・・・え?

いきなり大声なんか出して、まるで人を化け物か何かのように。

・・・いや、事実吸血鬼だろ。

まあ、そりゃあそうだけど・・・

ほっ・・・驚かさないでよ・・・

おやあ?・・・霊夢ぅ・・・

な、何よ・・・

怖かったんだろ?

・・・何の事よ。

まったまたあ・・・霊夢が、きゃあああああああ!!、なんて声出して驚いた所なんか、初めて見たぜ。

そ、それを言うならアンタだって、うわあああああああ!!、なんて、色気もへったくれもない声出してたじゃない!

ねえ・・・何の話?

いや、それがな?





少女、説明中・・・・・・





・・・と言う話なんだが・・・

・・・ふうん。

あら、反応薄いわ。

そりゃそうよ・・・私だって吸血鬼よ?、そんな程度の話じゃ

わあああああああああああああああああああああああああああああああ!!

うっひゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!

・・・コタツの中に、潜っちまった・・・

よっぽど怖かったのね。

ぷは・・・ンなワケあるかぁっ!、いきなり大声出されたらビックリするでしょ普通!?

どうだか。

・・・でもホント、そいつって、一体何なのかしらね?

さあ?・・・・・・でも・・・・・・

でも?

案外、身近にいたりして。

いやいやいやいや、レミリア・・・そりゃ無いぜ。

そうよ、そんな奴、見たことも聞いたこともないわよ。

んー?・・・でも、どこかでそんな事があったような・・・・・・

あーーー、もう、この話はやめやめ!・・・夕飯にしましょ。

今日は何作るんだ?

人数もいるし、鍋にしない?

それは賛成だが、酒はどうする?

咲夜。

はい・・・こちらに、洋酒から日本酒まで、一通りそろえて参りました。

うお・・・何時の間に。

丁度いいわ・・・アンタも食べて行きなさいよ

お嬢様、よろしいのでしょうか?

鍋は、大勢で食べた方が美味しいわ。

決まりだな。

・・・そういえば・・・

んあ?・・・どうかしたのか?

さっきから、一体何の話をしていたの?

こら!、咲夜!、話を蒸し返すな!

え、ええっ?、も、申し訳ございません???

まあまあ、良いじゃないか・・・怖い話も鍋も、大勢でつついた方が味わいがあるだろう?

むう・・・魔理沙にしては、理にかなった事言うわね。

おいおい、それはないぜ。

・・・それで、どういう話なの?



ああ・・・・・・・・・そいつはな・・・雨が降る日に現れるそうなんだ・・・・・・・・・




















・・・・・・・・・・・・




















おまけ










むー・・・めーりんー・・・・・・・・・

妹様!、ああ、こんなに痛々しいお姿に。

グスッ・・・指・・・取れちゃった。

ええと・・・ひい、ふう、みい・・・全部ありますね。

・・・くしゅんっ

・・・お屋敷に戻られたら、まずはお体をお拭きいたしましょう。

うん。

その後、ホットミルクをお作りいたしますね。

うんっ。










被害者男性(独身)、乙。
天気が雨だったので、突発的に書いてみた作品。
吸血鬼は水に濡れると体が焼けただれるとか何とか。
レミリアの方は、幾ばくか耐性が付いているから大丈夫だとか。
怖い話かと思いきや、オチはほのぼので終わるという新感覚。
実は落としきれなかったというオチ。

ただ、何が言いたかったかというと・・・鍋は、良い物だ。
大勢で共通の話題を話しながら鍋をつつくのは、とても楽しい。
そんな、冬の一時。

ご感想、ご意見など、ございましたらお書き下さい。
それではまた・・・。



ほんの少し、文を差し替えたり、追加してみたりしました。

後、この話・・・本当は霊夢といっしょに香霖も出てくる作品だったんですけどねえ・・・いつの間にか舞台が香霖堂から博麗神社に・・・・・・作っている本人がビックリしました。

それでは、この辺で・・・また別の作品にてお会いいたしましょう。
GUNモドキ
[email protected]
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コメント



0.1010簡易評価
1.70名前が無い程度の能力削除
レミリアが来た辺りでオチは読めたけど、普通の村人がそんな状況に出くわしたら恐がりもするだろうし寝込むだろうなぁ…って凄く納得した。
とりあえず、恐がる三人が可愛くて素敵でしたw
4.100与吉削除
自作を投稿し、新しい作品が出ている事に喜び勇んでクリックをし、そして恐怖しました。
いえ、最後まで読んだのですよ? それでも怖かったのです。
後書きに、鍋は、良い物だ、とありますね。
私の話の今回の主題が鍋でして……。
いやはや、偶然とは恐ろしいものです。
閑話休題。
霊夢やら咲夜やらというキャラクターが生き生きと動く様には嫉妬を感じてしまいます。
情景が目に浮かんで思わずにやりとしてしまいました。
そしてまた、テンポが良い。
やはり話にはテンポが必要だと思うのです。
人を怖がらせる話を作るのなら、尚更です。
そのテンポというものを、しっかりと掴んでいる作品でしたので、読んでいて痛快でした。
無駄な描写を一切省くという手法も斬新です。
くどくないというのは良いことです。
読んでいて、本当に気持ちの良い作品でした。
次の作品も、楽しみに待たせて頂きます。
素晴らしい作品をありがとうございました。
5.70名前が無い程度の能力削除
吸血鬼は招き入れてもらわないとその家に入れないそうだから、
無理やり押し入る事も出来ずに頼み込むかノックしまくるしかないですね。
指が落ちたのは、きっと扉に挟んだせいじゃなく無理に入ろうとしたせいなんでしょう。
13.90発泡酒削除
男性の戸惑いや、恐怖がこっちまで伝わるかのようでした。いやはや怖かったです。
オチも納得。っていうかフランちゃん勝手に出歩いちゃダメじゃないっ。
もっとだ! もっとパワーを! シッショー!
15.無評価GUNモドキ削除
どんなに少なくてもいい・・・私の書いた作品を見て、誰かの心に残る・・・。
点数だけが、全てじゃないのさー・・・でも、点数も欲しかったり。
・・・まあ、誰かが楽しんでくれる、それだけで感謝の極み。
小説も、パワーだぜ!!
21.80名前が無い程度の能力削除
ドアをノックで吸血鬼ではなくデュラハンを思い浮かべた俺は間違いなくSW中毒者

フランちゃんカワイソス(´;ω;`)
26.80名前が無い程度の能力削除
なんともうらやましいシチュエーションを無駄にしたものだな!村人よ!
29.無評価名前が無い程度の能力削除
可愛かったけど怖くはなかったなw
点数をつけるべきなのかどうか迷うぜ