Coolier - 新生・東方創想話

博麗戦線 異常無し (前編)

2008/11/22 04:01:17
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*なんだか所所、好きな漫画作品等の台詞をぱくった言い回しがあります。
*それ以外にも気が付かないうちに色々ぱくっている可能性があります。
*初投稿かつ、初東方SSなので、色々崩壊している部分もあるかと思います、さらに、日本語が不自由な方ではないとは思うのですが、乱文の無礼がありましたら、先んじてお詫びしておきます。☆(ゝω・)v






「えーりんえーりーん」
ドタドタドタ

「えーりーんえーりーん。」
ドタドタドタドタ

「えーりんえーりんたすけてえーりーん」
「はいはいなんですか!騒々しく呼ばなくても聞こえてますよ」

じゃあさっさと返事しろよ。と心の中でツバを吐き捨てながら
そんな本音は億尾にも出さず、永遠を生きる姫 蓬莱山輝夜は満面の笑みである

「あら居たのね。えーりん。ちょっと思いついた事があるの。」
「・・・・・・はぁ・・・(メンドクセェ・・・)」

「何よその”メンドクセェ”を全面に押し出した顔は・・・」
「そんなこと思ってませんよ。 で、なんです?」

どうせロクでも無い事なんだから、聞いて満足させてさっさと部屋に帰ってもらおう
ただでさえウドンゲに投与する予定の、あらゆる行動がエロスになる薬の完成が間近で
色々と忙しいというのに、ニートの相手等している暇はない。

「で、何を思いついたんですか?」

「うん、あのね。博麗 ぶっ潰そう♪」
「あぁ、そうね。そう。それでいいんじゃない?」
「そう?んじゃ永琳も協力してね!」

はいはい、じゃ話は終わりね。さ、実験実験、さっさと実験。
って、あれ。あれ?今コイツなんて言った?
なんかとんでもない事言ってなかった?

「あー・・・。ちょっと。ちょっと待って輝夜。」
「何よー。決まったからには即準備なんだから!忙しいのよ?」
「うん、うん。まぁいいから。いいから落ち着きなさい。
んで、何をどうするって?」

子供をあやすようにもう一度確認してみる

「だからー。潰すの」
「何を」
「だからー。博麗」

つぶす 潰す? なんで?
はくれい 博麗? 霊夢? なんで?why?

「なんで・・・?」
色々な”なんで”が思わず口をついてでる
「決まってるじゃない。・・・みんなのためよ!」

やばい、何言ってるかさっぱり理解出来ないわ。
落ち着きなさい。八意永琳。月の頭脳 八意永琳。
主とは言えたかがニート。私が狼狽える程の難題等、在りはしないわ!

まず考えるのよ。理由を。何故突然今朝になって輝夜がこんな事を言い出したか・・・
昨日までは言ってなかったから、恐らく昨日思いついた・・・
昨日・・・昨日何かあったかしら・・・。昨日あったこと・・・

エロスになる試薬1号を、てゐが鈴仙に人参ジュースと騙して飲ませるよう計算し
てゐの悪戯心をくすぐる演出を施し、同時進行で鈴仙に急遽稽古をつけ
12時間飲まず食わずで動かした所に、調度良くてゐが訪れる所までセッティングし
自ら作った薬の効果をその眼で確かめた位・・・。後は輝夜は・・・

何時もどおり、自室に引きこもって何かやってたわね・・・。
キャハッ☆(ゝω・)v なんて顔でウィンクしやがって・・・!
大体いつもどおりが8割自室で過ごす生活の奴の、何を知れって言うのよ!
いくら家族だからって顔突き合せなきゃ何もわからないわよ!馬鹿!

「だからー、戦争よ戦争。博麗と戦争すんのよ。」
なんでわかんねーんだよ とでも言わんばかりの口調で
この馬鹿ニートはまくしたてる。殴る?そろそろ殴っていいのかしら。

「ちょっと、何物騒な事言ってるのよ。 大体戦争って
霊夢に何かされたの?その報復ってことかしら?」
それであればまだ大儀名分はある。例えば一応ニートとは言え我が家の主
それが何かしらの理由で辱められた というのなら、永遠亭としても動きようがあるのだ

しかし返す言葉は
「べつに」
そっぽ向いて 別に じゃねーんだよ畜生。
どうなってんの?私の育て方が間違ってたの?ねぇ?間違ってたの?
いきなりヒキニートが部屋を飛び出したと思ったら、
満面の笑みで「戦争しようぜ戦争!」ですよ。
いい歳の人間が「合コンしようぜ合コン!」みたいなノリで。姫が。

「ともかく、戦争なんてダメです。認めませんし協力もしません。
大体なんですか、たまに部屋から出てきたと思ったらそんな物騒な事を
姫にはもっと自覚をもって頂かないと困ります。貴方はこの屋敷の主
そして多くの部下を従える者としても、毅然と自分を律し、節度と礼節を保ち・・・」

くどくどくどくど
最近はあまり二人で顔を付き合わせる事もなかったせいか
溢れて溢れて出るわ出るわ。我ながら小言が止まらない。
別にこんな事を言いたいわけじゃないのに、止まらない。

「そもそもですね。姫がそんな怠惰な態度を改めないから
今ひとつ配下のイナバへの統率力に欠け、姫からの命令を出すのも、
てゐか鈴仙を経由しての物になるんです。全く情けない。
カリスマってなんですかね。どこぞの吸血鬼や花妖の爪の垢でももらってきましょうか?
まったく、それくらいしないといけないのかと思うくらい、最近の姫様のカリスマは不足しt」

そして
「・・・い」
「ちょっと、聞いているの?輝夜」

「うるさい!!うるさいうるさいうるさい!!!」
決壊

「永琳の馬鹿!大馬鹿!変態! もういい!一人でやる!もう頼まない!!」
バン!と私を突き飛ばし、輝夜は走り去る。その背中に声をかける事も出来なかった。

・・・・・・・・・・・また、やってしまった・・・。
最近はいつも、永琳と輝夜はこのパターンだった。
輝夜が会いに来ること自体がそれほどなかったので、
いつも と言うほどに回数は無いのだが、会えばいつも
永琳が適当に相手をし、輝夜が癇癪を起こし、また引きこもる
この繰り返しだった。 今回も、そのはず だったが

「あれ、ししょー。何でこんなとこで尻餅ついてるの?」

てゐに言われるまで、立ち上がる事も忘れていた。
やれやれ、突き飛ばされるのは初めてだったからか、ちょっと動揺していたのかもしれない

「ううん、大丈夫。なんでもないのよ。ちょっと、躓いただけ。」

ふーん。と大して興味もなさげに私の手をとり起こしてくれる。
それじゃあね。といつものように別れようとした私の背中に、

「ひめさま、 ないてた」

ビクッと てゐの言葉がひどく刺さった

「そんだけ、いちお伝えておきたくて。」
ぺこっ と頭を下げ、てゐは走り去った。
取り残された私は、その場に動けないままだった。

考える

いつからだろう。 いつから、姫は自室に篭られるようになった?

いつからだろう。 私が姫との時間ではなく、自分の研究の時間を優先するようになったのは

いつからだろう。 こんなに姫との距離を感じるようになったのは・・・。

もしかしたら、いつからか姫は孤独を感じたのだろうか。
孤独を姫が望んだかはわからない。しかし、姫が寂しいと感じる事があったのならば、
原因は紛れも無く、私。
あの、薬を飲んだ日に決めた。永遠を輝夜と生きる という誓いを破ったこの私にある

私は、永遠を生きる姫の従者。 永遠の伴侶。

「ハァッ・・・ハァッ・・・ハッ・ハァッ・・・・・」
廊下を気が付くと走っていた。普段ならば、はしたない と止める側だが
今はそんなことになりふり構ってはいられない

一度堰を切った言葉の刃は、もう止める事が出来ず
姫を傷つけてしまったけれど、まだ、やり直すことは出来るはずだ。
永遠とは、その場に留まることではない。見えぬ道を模索し、進めることは普通の人と同じ。
ただその道が人より長いだけだ。勿論失敗もある。 
だがそれを反省し、乗り越える時間が無限にある、ということだ。
謝ろう。そして、もう一度輝夜と永遠を生きる努力をしよう。

そんな事を考えながら、私は姫の部屋の前にいた。

「姫・・・」
返事はない。 よく耳を澄ますと、鼻を啜り上げるような音が聞こえてくる

「輝夜・・・」
・・・やはり返事がない。 仕方ない、強引だが、直接・・・
「・・・なに」

襖に手をかけ、開けようとした所で、ふいに声がかかり、体が硬直する。
「・・・あの、輝夜・・・言いたい事があってきたの。入っても・・・いいかしら?」
我ながら似合わない とは思うが、おずおず と言う言葉がぴったりな様子で尋ねる
が、返事はない。

・・・かわりに、無音で襖が開かれた。 入ってよい ということだろう。
中に入ると、部屋の中は真っ暗だった。ただ暗いわけではない。
宵闇を永遠に留める。 永遠と須臾を操る輝夜なら、造作もない芸当だろう。

「なんのよう」
暗く、表情も読めないが、涙声に掠れたその声は、眼で見る以上に心に効いた


「・・・ごめん・・・なさい」
謝る事しか出来なかった。 さっきまで考えていた言葉が 皆まとめてどこかへ流れてしまった
天才とか 月の頭脳とか そんなものじゃどうにもならない
何も言葉も出てこなくなり、頭の中がグチャグチャとかき混ぜられたようになり
何か言おうとしても、全て「ごめんなさい」になってしまう

「なんで・・・えい、りん、が、あやま、るの?」
「だて・・・だって、わた 私、 輝夜にひどいこと いっぱい いっぱい言ったから・・・
私 が か ぐやの こと いちばんわかんなきゃ いけない のに」

言葉にひっかかるのがもどかしい、上手く伝えられないのが悔しい
こんなにも辛い こんなにも悲しいのに 一言紡ぐ毎に 心が締め付けられるのに


「かぐや の こ、と、 わからな、 くて わからないから、そのまま して
やくそくも わすれて 、かぐやを ひとりに しちゃったからぁ・・・」
そこまで言って、後はもう言葉にならなかった。

輝夜は泣いている私を優しく抱きしめ、「もういいよ。わかってるよ」

泣きながら、ずっと撫ぜていてくれた。 これではどちらが年上かわからないな。
と心の中で苦笑し、それでも今は、心地よさに包まれながら、お互い子供のように泣きあった


あれからどれくらいたっただろう。お互い涙の乾いた酷い顔で
眼が真っ赤よ まるでイナバね 等と茶化しあい、本題に入ることにした

「永琳、昼間に言ったことだけれど」
「ええ、博麗を 潰すんだったかしら?」

さっきは聞き流してごめんなさい、と
衣を直し、襟を正す。トレードマークの薬師帽も忘れずに。

「うん。・・・でも私も悪かったわ。理由を言っていなかった。
貴方には言っておくわね。」

スッ と輝夜の前に手のひらが向けられる。
言わなくても良い というサイン 

同時に「鈴仙!!てゐ!!出てきなさい!!!」
屋敷中に響き渡るような大声で、己が弟子の名を叫ぶ
「「はいぃ!!ごめんなさい!!!」」
ババッという効果音つきで、2匹の兎が永琳の前で土下座した
大方てゐが輝夜と私の異常に目ざとく気がつき、鈴仙を誘って出歯亀しようとし
それを止め切れなかった鈴仙が、好奇心に負けて一緒に覗いていたところ
ってとこかしら、私が気がつかないと思われたのなら、まだまだ私も教育が足りないわね・・・

さて、そんなことは今はいいわ。それよりも、今はやる事がある

「鈴仙」
「はいぃ!ごめんなさいごめんなさい許してください許してください何でもします!
なんでもしますから痛いのだけは許してください・・・ごめんなさいごめんなさいごめん」

「全員を、集めなさい」
「ごめんなさ、ふぇ・・・!?全員・・・ですか? 兎達を、全員?」
頷く代わりに、視線で応える 
「・・・!・・・・わかりました。てゐ。」
ん とコクリ肯くと、てゐは人参型ホイッスルを吹き鳴らした

それだけで、程なく永遠亭全兎が集結する。部屋に入りきれない分は外へ
普段は騒がしく知恵も低い妖怪兎だが、てゐが本気で指揮を執れば、
その統率力は生半な物ではない。普段どれだけてゐが手を抜いているかが丸判りである

パァンッ
広間に拍手の音が響く、基本臆病な兎は、ビクッと驚き、音の主へ自然と集中する
「聞きなさい、兎達。 姫様から重要なお話があります。」
姫 と促され、輝夜がしゃなりしゃなり と1歩づつ前にでる
その姿は、兎の知恵の足りない頭からみても、美しいものであった。
どこからか わぁ・・・と息がもれる

音に驚き、絵に魅了される。 これも永琳の計算。
カリスマとは往々にして演出によってプラスになる
そして
「イナバ達、私や貴方達の幸せの為に。私に力を貸して頂戴。
今永遠亭は重大な危機を抱えているわ。
そう、私達も、貴方達にも 癒しが足りない。

それは待っていても得られる物ではない。決してね。
癒しとは、獲るもの。限られたものは回ってくるのを待っているだけではダメ
自分から取りに行かなくてはいけない。
それを私は、貴方達のリーダー てゐに教わったわ

私は彼女に感謝し、敬意を表すわ。貴方達も、彼女を誇りに思いなさい。
そうして、もう一度お願いするわ。貴方達のリーダーの旗の下
私達、貴方達の安息の為に。

─── 一緒に戦って頂戴。」

完璧な演説 

一瞬の間をもち、その後 うおおおお! という雪崩のような怒号を響かせ
兎達の咆哮はしばらく止む事は無かった。
この夜。永遠亭は本当の意味で一つとなった。



その夜更け
「くふふ、思ったより上手くいきましたね。ひめさま」
「ねーw ほんとてゐの作戦的中だったね~~w みたあのえーりんの顔ww」
「あー。姫に突き飛ばされて ぽかーん としながら尻餅ついてましたよ!あの顔www!」
「いやー、なんで戦争よって言われてもさー。イナバ達もつれて温泉に皆で行きたいなんて言っても
絶対あの堅物は許してくんないからさーw 私としても頑張ったわけよwwww」
「いやでも流石の私もひめさまがいきなり、「神社にだけ温泉あるとかずるくね?神社のっとっちゃおうぜ」って
言い始めて、更にそれを実現させようとするとは・・・いやー、そこに痺れるゥ!憧れるゥ!」
「まーねーw 前からあの巫女若干気に入らなかったし。ちょーど良い機会よ。
どっちが強いかはっきりさせちゃるわよ」
「私はひめさまの味方ですからねwwww人参うめえwww」
「くうぅーはっはっは!天命は我にあり!えーりんも甘い甘い・・・」

その夜、輝夜の部屋は遅くまで電気が付き、人参臭かったんだそうな

何はともあれ、永遠亭 宣戦布告




「さて、今日皆に集まってもらったのは他でもないわ。」
永遠に幼い紅い月 レミリア・スカーレットの静かだが厳かな声だけが響く
夕映え刺す紅魔館のロビーには全員が集められていた。

知識と日陰の魔女 パチュリー・ノーレッジとその使い魔
完璧で瀟洒な従者 十六夜 咲夜
華人小人 紅 美鈴

そして、ありとあらゆる物を破壊する。悪魔の妹 フランドール・スカーレット

この館の主たるメンバーは、突然の館の主の招集に応え、この場にいた。

「大事な話がある。」親友であるパチュリーすら、レミリアからそれ以上の事は聞かされていない
それは勿論、絶大な信頼を得る完璧な従者である咲夜も同じであった。
全員の一抹の不安が過ぎる中、カリスマ全開モードのレミリアは、ゆっくりと口を開く

「博麗を・・・攻めるわ。」

全員の顔に浮かぶクエスチョン。それを見て一瞬レミリアがたじろぐ
しまった。言葉が足りない。うー。なんて言おう。ええと。ええと。
カリスマを保ったまま、次の言葉が浮かばないレミリアを他所に、知識の魔女がズイッと前に出る

「・・・いよいよなのね・・・レミィ。」
レミリアは察した。これは親友からの助け舟である。と。ありがとうパチェ
「そう、いよいよよ・・・。私は」

「いよいよあの巫女を力技で屈服させる時なのね!
いいわ!嫌がる巫女を無理やり!その首に牙を衝き立て、永遠にレミィの物にするのね!
そそるわ!そんな背徳的なプレイ!なんか・・・インスピレーション沸いてくる!」

違った。
皆の自分を見る眼が痛い。あ、フランそんな目で姉さまを見ないで。
違うの。誤解なの。霊夢は欲しいけど。でも違うの。そんな変態的な好意じゃないの。
あら何、なんで中国の後ろに隠れるのフラン。フラーン。

「隠さなくてもいいのよレミィ。わかってた。私にはわかってたわ。親友だもの。
そうと決まれば何時決行かしら。出来ればその様子をスケッチに取りたいのだけれど
今後の資料の為に。」

腐ってやがる。早すぎたんだ。
何が早かったかはともかく、この親友はもう言葉等聞こえていないだろう
ちょっと付き合い方を考えなきゃいけないかもしれない。
相変わらずフランは中国の背中越しにこちらを覗き
中国は私とフランに挟まれ恐々としている。

なんでこんなことになったんだっけ・・・。まぁいいか・・・。

「・・・ともかく。紅魔館は博麗を攻めるわ。
目標は・・・とりあえず神社制圧すれば良いかしらね。」

言い終えるやレミリアの雰囲気が目に見えて変わる
硬く、尖り、ギシギシと見るものの心に爪を刺し、しかし決して離さない
痺れる程に恐れ、狂える程に心酔させる、確固としたカリスマの姿がそこにある

「決行日は追って伝える。諸君、くれぐれも私を失望させるな」

紅魔館 宣戦布告



「・・・なんだってのよ・・・。」
その日、博麗霊夢は苛立っていた。
どこぞの黒白がいつものように勝手に家に上がりこんでいる事や
どっかの子鬼がいつものように勝手に庭先で酒盛りをしている事や
あそこの黒猫がいつものように居間のコタツの中をのびのび占有している事や
その他色々な事がひどく勘に触るのだった。

かと言って「お前ら出て行け!」等と言うのも徒労に終わる事がわかっていたので
何も言わず、ただムスッと縁側で熱いお茶を啜るのだった。

「れーむー。なぁにそんなにイライラしてるのー?
こっちきてのーもーおーよー」
にゃはははと笑う酔っ払いは、この糞寒い中、腋出して外で雪見酒をしようと誘っている
正気の沙汰とは思えない。コイツも相当な薄着だけど、全く寒くないの?
鬼ってのはどいつもこいつもこんなんなのかしら・・・ああ、もう一人いたけどこんなんだったわね。

ふぅ とため息をつくと、またお茶に顔を戻し、ズズズっと啜る
「なぁ。本当どうしたんだ?」
いつのまに横にいたのか。魔理沙が綺麗な髪を垂らし、こちらを心配そうに覗き込んでいた

「べつに、なんでもないのよ」
「そうか・・・?なんでもないようにはあまり見えないがな。」
全く、普段はズボラなクセに、こういうときは妙に目ざといのが魔理沙という奴だ。

「だから、別になんともないんだってば。ただ・・・」
「ただ?」
くりくりとした目が更に近く、こちらを覗きこむ。

「少し嫌な予感がしてるだけよ・・・」
そう。嫌な予感。としか言い様がないのだが
いつもの勘 といえばそれまで。しかしこれほど勘が持続しているのは珍しく
しかもなんとなくではあるが 嫌な予感 がするのである
それがもう数日続いていた。

最初はどこかで何か異変が起きているのかとも思ったが
里も、山も、湖も、竹林も 目だった様子はなかった。
いつもどおりの平和な日々 といった感じだったのだが
パトロールから戻ると、なぜか言い知れぬ不安が更に胸を濃く覆った
どこかで何かが起きている。 しかし何もわからない。
その普段とのギャップに、違和感と危機感を感じながら
何も出来ない自分に苛苛と鬱憤を溜めていたのだ

「だから、そういうわけだから。別にあんたたちのことで苛苛してるわけじゃないのよ」
ごめんね。気にしないで。 そういいながら、再び霊夢はお茶と向き合い
ズズズ と茶を啜るしかしなくなった。

それ以上何も言わなくなったので、魔理沙もそれ以上追求する事は止めておいた
それにしなければならない事も出来た。準備にかからねばならない
協力者も、必要かもしれない。心当たりに当たってみるか。
そんな事を考えながら、魔理沙は「じゃあ私は用事が出来たから帰るぜ」と霊夢につげ
愛用の箒に跨り、跳ねるように空へと消えた

「霊夢の嫌な予感の勘・・・か。」
帽子をグッと深くかぶり、体勢を低く、低く。ギアをより重く、疾く。
弾丸のような速度で駆け抜ける。

「何が起きてるかはわからんが、何か起きてる事だけは 確信出来る予感だぜ」
黒と白の魔法使いは、ニヤリと口元を引きつらせると
一条の流星のように、あっという間に見えなくなった。


霧雨魔理沙 始動





「あの子も。わかってきたじゃない。」
隙間の大妖怪 八雲紫がニヤニヤとしながら、ポツリとつぶやいた。
「・・・また覗き見ですか・・・?」

また主人の悪い病気が始まったのか と思い 若干辟易しながら
紫の式 最強の妖獣 八雲藍が主人に尋ねる
ポカリ 藍の頭上に出来た割れ目から、紫のゲンコツが飛び
きゃん!と小さな悲鳴が上がる。

「主人の趣味を悪く言うものではないわ」
「・・・いたた・・・、覗き見が趣味 っていうのを公言するのもどうかと思うのですが・・・」

うるさいっ と言うのと同時にもう一つゲンコツ
きゃん!とまた悲鳴があがり、もう藍は頭を摩りながら黙ってしまった

「そんな事よりも、藍、準備しなさい。これから少し、忙しくなるわ」
遊んでいる場合ではないのよ。と続ける主人。
ここ最近から先ほどまで博麗神社や、紅魔館、永遠亭や妖怪の山まで、
その隙間からニヤニヤニヤニヤとしながら覗き見て、
たまにクスクス笑いを零していたその人に、こんな事を言われたくないな
心の底でそんな事を考え、舌を出していると

オマケにもう一つゲンコツが追加された。
「式が何を考えてるかくらい、簡単にわかるのよ」
だそうだ。式には人権やプライバシーなんて無いのだろうか。

そんな事を考えていると、紫がいそいそと外出の準備をしている
この時期にしては珍しく冬眠もなされないようだし、
以外と本気で、これから忙しくなるのかもしれない。

紫様のように、隙間から世界を望む事も出来ず
紫様のように、天地の全てを見通すような聡明さも無い私は
今何が起きているか、まだ計りかねていた。・・・いくら考えてもわからない
わからないことは聞いてみるんだぞ。それは恥ずかしい事じゃないんだから
そう橙にも教えている通り。
私は紫様に正直に尋ねた

「紫様。一体何をなされるおつもりなのですか?」

そして訪れる沈黙、・・・静寂が痛い。
あれ・・・無能な式だと思われてしまっただろうか・・・?
鈍感で愚かな従者だと軽蔑されてしまっただろうか
それほど大きな異変が今、どこかで起きているのだろうか

沈黙に様々な不安を巡らせ、狼狽する私に向かって
紫様は美しい金糸の髪を靡かせ振り返る。
・・・瞳に何かが満ちていた。
そしてその眼が、正しく口程に物語っていた

楽しい事がおきる。楽しむわよ。藍。
そうその眼が言っていた。

だから私はもう一度聞くのだ。
「紫様、どちらへ行かれるのですか?」
「博麗神社へ」

まっすぐと幽雅に前を見据え

「目的は?遊びに。ですか?」

少女のような可憐さで、淑女のような妖艶さで、

「いいえ」

幻想の境界 神にも喩えられる絶対者

「COMBAT (-戦争よ)」

その従者である矜持を抱いて

「・・・Aye-aye, Mam」

八雲一家 参戦確定
次回予告

ついに始まってしまった戦争という名の狂気!
本気でわけがわからないまま、争いに巻き込まれる霊夢!

戦火が幻想の花畑を焦がす時  ついに最強の妖怪が動く!

魔理沙
「私はな、神社なんて嫌いだ 古くさい場所だと思ったし 毎日あんなもんの掃除なんて、
私には全然理解できないとこだと思ったよ ・・・
でもな 私が暇な時ににくり出して行って出されたお茶は暖かくてうまかったし
いついてる幼女鬼も、くだらねえ下ネタが大好きなバカな奴でさ

たまにくる参拝客たちには、金に汚く賽銭要求して帰られたって事も多かったけど
でもな、みんな優しかったしみんなかわいそうな目で見る奴ばっかりでよ・・・

腹ヘリ時に行ったら 飯を食わせてくれて、馬鹿な天人が頼んでもないのに桃をいつも勝手につけやがる
私が成長期だからって 体にいいんだって 毎度毎度・・・
私アレ味がまずすぎて食えないって言ってんのに 天子に悪いから 毎度無理に食うのがつらくてさ

私は神社なんか嫌いだ でもな あいつらは 霊夢や萃香や天子はこの戦争とやらと何の関係もねえ
戦争も 蓬莱人も 吸血鬼も 何も関係がねえ 輝夜って奴も レミリアも 紅魔館も この霧雨魔理沙も
知ったこっちゃなかった でもあいつらは今 血眼になって霊夢を狙ってる
それが私にゃ勘弁ならねえ!!」

唸るマスタースパーク! 魔理沙は友の窮地を救えるか。
次回「博麗戦線 異常なし 後編」


と適当な次回予告を書きつつも、前編が散々だったら後編はお蔵入り☆(ゝω・)v
ここまで読んでくださった、お優しい諸兄に感謝の意を。

ではお会いできればまた後編で。
\絶命丸/
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コメント



0.330簡易評価
2.無評価名前ガの兎削除
とりあえず後編読まないとなんとも。
5.無評価名前が無い程度の能力削除
とりあえず評価は保留。
ただ、顔文字はあまり使わないほうが宜しいかと。
6.無評価名前が無い程度の能力削除
その顔文字に腹が立ちます。
9.10名前が無い程度の能力削除
自分の文章で語れ
12.40名前が無い程度の能力削除
とりあえず永遠亭のあたりで終わってれば面白かったと思います
13.無評価名前が無い程度の能力削除
冒頭の顔文字でイラッときて、後書きの顔文字でプッツンですね。
本文では無いんであまりどうこう言えませんが、少なくともこう言う場で
詫びの文に“w”や顔文字を入れるとどう思われるかくらい考えれば分かると思いますが。
それに、評価が悪かったら後編はお蔵入りとか気持ちの中に留めておくのは自由ですが
公言するのも止めた方がいいと思います。

内容は面白そうなのに、そこが残念です……
生意気な事書きましたが、後編には期待しているので更新楽しみにしてます。
14.30名前が無い程度の能力削除
えーと、PNと文章のノリから察するに「あちら」(あえて名前は出しません)から入った方だと思いますが、
ここは「あちら」のノリを非常に敬遠する空気があります。
徹頭徹尾ネタにするならともかく、ノリで書くとまず受け入れられません。
自分のような両方分かる人間も生息していますが、表に出すことは基本ありません。
郷に入っては郷に従えといいますし、次からは気をつけたほうがよろしいかと。
18.無評価名前が無い程度の能力削除
俺に!弾幕を!撃たせろぉおおおおおお!!
ですね?
19.100名前が無い程度の能力削除
えー面白いじゃん
ここの住人って本当にこういうの嫌いだよね。なんでだろ。
管理人さんが何か公言してるのかな?それならまだわかるけど。
それでないなら、こういうのに批判浴びせて追い出そうとするのは狭量としか言いようがないと思うんだ。